特許第5963594号(P5963594)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963594
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】壁パネル取付構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/90 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   E04B2/90
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-166244(P2012-166244)
(22)【出願日】2012年7月26日
(65)【公開番号】特開2014-25263(P2014-25263A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】390018717
【氏名又は名称】旭化成建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100133307
【弁理士】
【氏名又は名称】西本 博之
(72)【発明者】
【氏名】林 真嗣
(72)【発明者】
【氏名】山田 中
【審査官】 河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−222790(JP,A)
【文献】 米国特許第03936986(US,A)
【文献】 特開昭62−010370(JP,A)
【文献】 持出し補強金物を用いるALCパネル縦壁の施工方法,発明協会公開技報,日本,発明協会,2004年 4月20日,公技番号2004-503099
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/00−2/96
1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質の横架材に壁パネルが取付金具を介して固定された壁パネル取付構造において、
前記壁パネルに前記取付金具が固定され、木質の前記横架材に沿って延在するL形の下地鋼材の鉛直フランジが前記取付金具に固定され、前記鉛直フランジが木質の前記横架材の上面の端部から所定長さだけ突出した状態で、前記下地鋼材の水平フランジが前記横架材の前記上面にビス類により固定され、前記横架材の前面に別のビス類によって固定された支持部材により、前記下地鋼材の前記水平フランジの下面は支持されることを特徴とする壁パネル取付構造。
【請求項2】
前記支持部材は、平板状であり、前記支持部材の上端は、前記下地鋼材の前記水平フランジの前記下面のうちの前記横架材の前記上面の端部から突出する部分に当接されることを特徴とする請求項1記載の壁パネル取付構造。
【請求項3】
前記支持部材は、水平フランジと垂直フランジとからなるL形であり、前記支持部材の前記水平フランジは、前記下地鋼材の前記下面のうちの前記横架材の前記上面の端部から突出する部分に当接されることを特徴とする請求項1記載の壁パネル取付構造。
【請求項4】
前記支持部材は、水平フランジと垂直フランジとからなるL形であり、前記支持部材の前記水平フランジは、前記横架材の前記上面と前記下地鋼材の前記水平フランジとの間に配置されることを特徴とする請求項1記載の壁パネル取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質の横架材に取付金具を介して壁パネルが取り付けられた壁パネル取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、木質軸組工構法で建てられた木造住宅に、留め付け金具を介して壁パネル(外壁板)を固定してなる壁パネル取付構造にあっては、特許3454244号公報(特許文献1)に開示されている。この公報に記載された壁パネル取付構造にあっては、留め付け金具(取付金具)を下側の外壁板の上辺部及び上側の外壁板の下辺部に係合させて、留め付け金具を、ビスにより構造躯体の縦柱に固定する。そして、壁パネルは、この留め付け金具に引っ掛けるようにして固定されている。また、特許3686701号公報(特許文献2)に記載の壁パネル取付構造にあっては、上層のALCパネル壁および下層のALCパネル壁は、下部取付金物および上部取付金物を介して木製梁(横架材)に取り付けられている。下部取付金物と上層のALCパネル壁とは、下部取付金物の縦片のボルト挿通孔を通してボルトによって固定され、下部取付金物は、ビス等のタッピングネジが、下部取付金物の横片のセルフタッピングネジ挿通孔から木製梁にねじ込まれて固定されている。また、上層のALCパネル壁の下端は下部取付金物のパネル端受部片によって受け止められている。また、上部取付金物と下層のALCパネル壁とは、下部取付金物と同様に垂下片のボルト挿通孔を通してボルトによって固定され、上部取付金物は、タッピングネジが横片のセルフタッピングネジ挿通孔から木製梁にねじ込まれて固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3454244号公報
【特許文献2】特許3686701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献2記載の壁パネル取付構造では、壁パネルの重量を考慮して、木製梁(横架材)に集成材を利用し、取付金具を介して壁パネルを木製梁に当て付けるようにして固定されている。しかしながら、特許文献2記載の壁パネル取付構造では、壁パネルを木製梁に当て付けることを余儀なくされ、壁パネルと木製梁との間に所定の隙間を設けることができない。このような隙間が無いと、柱や横架材(梁)自体の製作寸法誤差・反り、建て方誤差、柱と横架材(梁)部材との接合部分での不陸などを吸収できず、壁パネルの面が揃わないといった問題がある。
【0005】
本発明は、木質の横架材と壁パネルとを所定の間隔をもって離間させることができるようにした壁パネル取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、木質の横架材に壁パネルが取付金具を介して固定された壁パネル取付構造において、
壁パネルに取付金具が固定され、木質の横架材に沿って延在するL形の下地鋼材の鉛直フランジが取付金具に固定され、下地鋼材の鉛直フランジが木質の横架材の上面の端部から所定長さだけ突出した状態で、下地鋼材の水平フランジが横架材の上面にビス類により固定され、横架材の前面に別のビス類によって固定された支持部材により、下地鋼材の水平フランジの下面は支持されることを特徴とする。
ここでいう所定長さとは、建て入れ誤差などを吸収するように出入り調整した長さを示す。所定寸法や所定間隔についても同様である。
【0007】
この壁パネル取付構造において、木質の横架材と壁パネルとを所定の間隔をもって離間させると、柱や横架材自体の製作寸法誤差・反り、建て方誤差、柱と横架材(梁)との接合部分での不陸などを吸収して壁パネルの面が揃わないような事態を回避させることができる。これを達成するために、木質の横架材に沿って延在するL形の下地鋼材が利用される。この下地鋼材は、鉛直フランジが、壁パネルに固定された取付金具に固定され、木質の横架材の上面の端部から所定長さだけ突出した状態で、水平フランジが横架材の上面にビス類により固定される。このように、下地鋼材の鉛直フランジを、木質の横架材の上面の端部から所定長さだけ突出させることで、木質の横架材と壁パネルとを所定の間隔をもって離間させることができる。よって、L形の下地鋼材の利用により、壁パネルと木製横架材との間を簡単な構成をもって所定の隙間を空けることができる。
さらに、横架材は、木質ゆえに調湿機能をもっているが、横架材には常にパネルの重量が掛かっているので、経年変化によってクリープ変形が発生し易く、しかも木やせも発生する。そして、本発明にあっては、下地鋼材の鉛直フランジを、木質の横架材の上面の端部から所定長さだけ突出させているので、木質の横架材の上面の端部に大きな支圧力が作用するためのクリープ変形が発生し易く、このような変形が起こると、当初は、横架材に沿って水平に固定された下地鋼材の水平フランジが次第に傾いてしまい、それによって鉛直フランジが拝むように下を向いてしまう。この拝み現象によって、壁パネルが傾いたり、取付金具に無理な負荷が加わってしまう。これを防止するために、本発明では、横架材の前面にビス類によって支持部材を固定させ、この支持部材により、下地鋼材の水平フランジの下面を支持する。仮に、支持部材を利用せずに、このような拝み現象を発生させないようにするには、下地鋼材の水平フランジを、木質の横架材の上面に当接させる面積を大きくし、下地鋼材を固定するためのビス類から横架材の前端部までの距離を長くする必要があるが、それによって、下地鋼材の水平フランジの大型化を余儀なくされ、下地鋼材の重量の増大や大型化を招来する。よって、本発明では、支持部材を利用しているので、下地鋼材の小型軽量化を図ることもできる。
【0008】
また、支持部材は、平板状であり、支持部材の上端は、下地鋼材の水平フランジの下面のうちの横架材の上面の端部から突出する部分に当接される。
このような構成は、支持部材の形状がシンプルであり、支持部材の取り扱い作業性も良好で、低コストを可能にする。
【0009】
また、支持部材は、水平フランジと垂直フランジとからなるL形であり、支持部材の水平フランジは、下地鋼材の下面のうちの横架材の上面の端部から突出する部分に当接される。
このような構成を採用すると、支持部材によって下地鋼材を、横架材の上面の端部から可能な限り前方で支持することができるので、クリープ現象等による下地鋼材の拝み現象を起き難くし、横架材の上面で下地鋼材の無い部分を大きくすることができる。これによって、横架材の上面で床パネルなどの設置面積を大きくすることができる。
【0010】
また、支持部材は、水平フランジと垂直フランジとからなるL形であり、支持部材の水平フランジは、横架材の上面と下地鋼材の水平フランジとの間に配置される。
このような構成を採用すると、支持部材の水平フランジが横架材の上面と下地鋼材の水平フランジとの間で挟持されるので、横架材にクリープ現象や木やせが起きても、支持部材と下地鋼材との一体化を維持させ易い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、木質の横架材と壁パネルとを所定の間隔をもって離間させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る壁パネル取付構造の一実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示された壁パネル取付構造の断面図である。
図3】(a)は取付金具を示す斜視図、(b)は自重受金具を示す斜視図である。
図4】下地鋼材を支持部材で支持した状態を示す斜視図である。
図5図4の断面図である。
図6】下地鋼材を他の支持部材で支持した状態を示す断面図である。
図7】下地鋼材を更に他の支持部材で支持した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る壁パネル取付構造の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1図3に示されるように、壁パネル取付構造1は、建物100の外壁をなす壁パネルP1,P2を、横架材3に取り付ける構造である。例えば、横架材3は、木造の建物100における木質の梁である。「木質の横架材」とは、木質材のみからなる横架材、木質材が接着やビス締め等の手段により集成された横架材、H形鋼などの鋼材を木質材(集成材を含む)で覆った横架材、複層構成になっていて非木質材の(不燃)層と木質材の層を有する横架材(最外層は木質材であっても非木質材であってもよい)、木質材を耐火被覆材で保護した横架材、木質材からなる主たる構造部材を耐火材で被覆し更にその耐火材を木質材で覆った横架材、木質材(集成材を含む)の中央にH形鋼などの鋼材からなる主たる構造部材を埋設した横架材など、がある。
【0015】
壁パネルP1,P2は、例えば、高さ3000mm、幅600mm、厚さ100mmといった寸法をもつALCパネル(Autoclaved Lightweight aerated Concretepanels)であり、壁パネルP1と壁パネルP2とは、建物100の外壁面において上下に隣接している。以下の説明においては、上記2枚の壁パネルP1,P2のうち、上方に位置する方を「上段パネルP1」、下方に位置する方を「下段パネルP2」と区別して称する場合がある。また、各部位の位置関係の説明で用いる「外」、「内」の語は、建物100の外側、内側に対応するものとする。
【0016】
壁パネル取付構造1においては、上段パネルP1の下端部と下段パネルP2の上端部とが、1つの同じ横架材3に固定されている。具体的には、横架材3の上面3aに下地鋼材6が設置され、上段パネルP1の下端中央部と下段パネルP2の上端中央部とが、取付金具7を介して下地鋼材6に外側で固定されている。更に、下地鋼材6には自重受金具9が取り付けられており、自重受金具9が上段パネルP1の自重を受けている。なお、上段パネルP1の上端中央部は、横架材3の上方に位置する他の横架材(図示せず)に固定され、下段パネルP2の下端中央部は、横架材3の下段に位置する他の横架材(図示せず)や基礎立上がり(図示せず)等に固定される。
【0017】
下地鋼材6は、横架材3に平行に延びる鋼製のアングル材であり、横架材3の水平な上面3aに固定される水平フランジ4と、水平フランジ4の縁部から鉛直上方に延びる鉛直フランジ5と、を有する。水平フランジ4が横架材3の上面3aにビス止めされることで、下地鋼材6が横架材3に固定されている。鉛直フランジ5は、横架材3の上面3aから僅かに外側にはみ出した位置にある。この鉛直フランジ5のはみ出し量が、下地鋼材6の設置時に調整されることで、壁パネルP1,P2の設置位置を水平方向に出入り調整することができる。
【0018】
取付金具7は、図3(a)にも示されるように、上下方向に延びる短冊状の金具である。取付金具7の上部には、上段パネルP1を取り付けるための上段取付部21が設けられ、取付金具7の下部には、下段パネルP2を取り付けるための下段取付部23が設けられている。上段取付部21と下段取付部23との間には、下地鋼材6の鉛直フランジ5に接合されるフランジ固定部22が設けられている。
【0019】
フランジ固定部22には、上下方向に延在する長穴をなすボルト穴22aが形成されている。これに対応して、下地鋼材6の鉛直フランジ5にも水平方向に延在する長穴をなすボルト穴5aが形成されている。そして、ボルト穴22a及びボルト穴5aを挿通するボルト11a及びナット11bを用いて、取付金具7が鉛直フランジ5の外面にボルト止めされている。ボルト穴22aが上下方向に延在する長穴であるので、取付金具7の取付位置を上下方向に調整することができ、ひいては、壁パネルP1,P2の設置位置を上下方向に調整することができる。一方、鉛直フランジ5のボルト穴5aは水平方向に延在する長穴であるので、取付金具7の取付位置を下地鋼材6の延在方向にも調整することができ、ひいては、壁パネルP1,P2の設置位置を幅方向にも調整することができる。
【0020】
更に、フランジ固定部22には、ボルト穴22aの両側に左右一対のビス穴22c,22dが設けられている。取付金具7の回り止め処理として、このビス穴22c,22dの少なくとも一方にビス13が挿通され、フランジ固定部22が鉛直フランジ5にビス止めされている。この回り止め処理により、ボルト11aを中心とした取付金具7の回転方向の位置が固定され、その結果、壁パネルP1,P2の位置が確実に固定される。また、上記のビス13としてドリリングタッピンビスを採用することにより、事前に鉛直フランジ5に下穴を準備する必要がなくなる。なお、一方のビス穴22cのみでビス止めがされているが(図1参照)、フランジ固定部22の回り止めを確実にする観点からは、両方のビス穴22c,22dにおいてビス止めを行うことが好ましい。
【0021】
上段取付部21の上端縁部には、上下方向に延在するU溝21aが形成されている。これに対応し、上段パネルP1の内面の下端中央部には、円筒状の植設ナット17が埋設されている。上段パネルP1の取付時には、植設ナット17にボルト15の先端部が螺合され、ボルト15の頭部が上段パネルP1の内面から離間した状態になっている。そして、ボルト15の後端部がU溝21aに上から挿入されることで上段パネルP1が取付金具7に引掛けられ、その後、ボルト15を締め込むことで上段取付部21に上段パネルP1が固定される。上段取付部21の外面は、上段パネルP1の内面に密着する上段パネル受面21bとして機能している。
【0022】
下段取付部23には、ボルト穴23aが形成されている。これに対応し、下段パネルP2の内面の上端中央部には、円筒状の植設ナット18が埋設されている。下段パネルP2の内面の上端中央部が、植設ナット18、ボルト16及びボルト穴23aを用いて下段取付部23にボルト止めされている。下段取付部23の外面は、下段パネルP2の内面に密着する下段パネル受面23bとして機能している。上段パネル受面21bと下段パネル受面23bとが、互いに同一の鉛直面内に位置していることで、上段パネルP1の外面と下段パネルP2の外面とが、互いに同一の鉛直面内に揃うことになる。
【0023】
取付金具7は2箇所の屈曲部7a,7bにおいて側面視で台形状をなすように屈曲されており、フランジ固定部22は、上段取付部21及び下段取付部23に対して内側に膨出している。この形状により、フランジ固定部22の外面22bが、上段パネル受面21b及び下段パネル受面23bよりも内側に位置することになる。従って、外面22b上に突出するボルト11aの頭やビス13の頭が、上段パネルP1及び下段パネルP2に干渉しないようになっている。また、上段パネルP1の下端は屈曲部7aよりも下方まで延びており、下段パネルP1の上端は屈曲部7bよりも上方まで延びている。
【0024】
図3(b)にも示されるように、自重受金具9は、両端に鉛直に設けられた取付フランジ9a,9bと、取付フランジ9a,9bの間で水平に延びるパネル受け部9cとを有している。自重受金具9は、平面視でU字状をなしており、取付金具7を跨ぐように鉛直フランジ5の外面に取り付けられる。すなわち、自重受金具9は、取付金具7を水平方向に挟む位置において、取付フランジ9a,9bで鉛直フランジ5にビス止めされる。取付フランジ9a,9bの間には、切り欠き状の逃げ部9dが形成されている。この逃げ部9dの存在により、パネル受け部9cと鉛直フランジ5との間に間隙が形成され、この間隙に取付金具7が挿通されている。また、逃げ部9dの存在により、パネル受け部9cとボルト11aの頭との干渉が回避されている。なお、取付金具7の位置が、図1及び図2に例示する位置よりも下方にずれた場合には、ビス13とパネル受け部9cとが同じ高さに位置する場合もあるが、この場合にも、逃げ部9dの存在により、パネル受け部9cとビス13の頭との干渉が回避される。
【0025】
パネル受け部9cは、取付金具7の屈曲部7aと屈曲部7bとの間の高さに位置している。上段パネルP1の下端面がパネル受け部9cに当接することにより、上段パネルP1が上下方向に位置決めされると共に、上段パネルP1の自重が自重受金具9に支持される。前述のように自重受金具9が取付金具7を跨ぐ構造により、パネル受け部9cが上段パネルP1の下端面の中央に当接することになる。その結果、自重受金具9が、上段パネルP1の下端の中央を支持するので、自重受金具9が上段パネルP1のロッキング動作を阻害することが避けられる。
【0026】
図4及び図5に示されるように、鉛直方向に延在する壁パネルP1,P2の水平方向の出入り調整に利用される下地鋼材6の鉛直フランジ5は、木質の横架材3の上面3aの端部から所定長さAだけ突出した状態で、横架材3の上面3aにビス類の一例をなすラグスクリュー30により固定されている。そして、横架材3の前面3bにビス類の一例をなす木ねじ51によって固定された支持部材50の上端50aにより、下地鋼材6の水平フランジ4の下面4aは支持される。なお、支持部材50には、所定間隔でビス貫通孔50bが予め形成されている。
【0027】
支持部材50は、フラットな鋼材により構成され、支持部材50の上端50aは、下地鋼材6の水平フランジ4の下面4aのうちの横架材3の上面3aの前端部から突出する部分Sに当接される。フラットな鋼材からなる支持部材50は形状がシンプルであり、支持部材50の取り扱い作業性も良好で、低コストを可能にする。また、木ねじ51の外径は、支持部材50のビス貫通孔50bの径と略同径である。これによって、横架材3にクリープ現象や木痩せが起きても、木ねじ51と支持部材50との間で起こるガタ付きを防止することができる。なお、横架材3の上面3aのうちで下地鋼材6の水平フランジ4が存在しない部分Rは、床パネル52などの設置のために確保されている。
【0028】
この壁パネル取付構造1において、木質の横架材3と壁パネルP1,P2とを所定の間隔をもって離間させると、柱や横架材3自体の製作寸法誤差・反り、建て方誤差、柱と横架材3との接合部分での不陸などを吸収して壁パネルP1と壁パネルP2とを含む壁パネルの面が揃わないような事態を回避させることができる。これを達成するために、木質の横架材3に沿って延在するL形の下地鋼材6が利用される。この下地鋼材6の鉛直フランジ5は、壁パネルP1,P2に固定された取付金具7に固定され、下地鋼材6の水平フランジ4は、鉛直フランジ5が木質の横架材3の上面3aの端部から所定長さだけ突出した状態で、横架材3の上面3aにラグスクリュー30により固定される。
【0029】
このように、下地鋼材6の鉛直フランジ5を、木質の横架材3の上面3aの端部から所定長さAだけ突出させることで、木質の横架材3と壁パネルP1,P2とを所定の間隔をもって離間させることができる。よって、L形の下地鋼材6の利用により、壁パネルP1,P2と木製横架材3との間を簡単な構成をもって所定の隙間を空けることができる。そして、柱や横架材3自体の製作寸法誤差・反り、建て方誤差、柱と横架材3との接合部分での不陸などを吸収して壁パネルP1と壁パネルP2とを含む壁パネルの面が揃わないような事態を回避させることができる。
【0030】
さらに、横架材3は、木質ゆえに調湿機能をもっているが、横架材3には常にパネルの重量が掛かっているので、経年変化によってクリープ変形が発生し易く、しかも木やせも発生する。そして、下地鋼材6の鉛直フランジ5を、木質の横架材3の上面3aの端部から所定長さAだけ突出させているので、木質の横架材3の上面3aの端部に大きな支圧力が作用するためのクリープ変形が発生し易く、このような変形が起こると、当初は、横架材3に沿って水平に固定された下地鋼材6の水平フランジ4が次第に傾いてしまい、それによって鉛直フランジ5が拝むように下を向いてしまう。この拝み現象によって、壁パネルP1,P2が傾いたり、取付金具7に無理な負荷が加わってしまう。
【0031】
これを防止するために、横架材3の前面3bに木ねじ51によって支持部材50を固定させ、この支持部材50により、下地鋼材6の水平フランジ4の下面4aを支持する。仮に、支持部材50を利用せずに、このような拝み現象を発生させないようにするには、下地鋼材6の水平フランジ4を、木質の横架材3の上面3aに当接させる面積を大きくし、下地鋼材6を固定するためのラグスクリュー30から横架材3の前面3b側の端部までの距離Lを長くする必要があるが、それによって、下地鋼材6の水平フランジ4の大型化を余儀なくされ、下地鋼材6の重量の増大や大型化を招来する。よって、支持部材50を利用することで、下地鋼材6の小型軽量化を図ることができる。そして、支持部材50の小型化により、横架材3の上面3aのうちで下地鋼材6の水平フランジ4が存在しない部分Rの拡大化が容易になり、床パネル52を横架材3の上面3aに確実に設置させることもできる。
【0032】
支持部材50として、木質横架材の支圧強度と同等以上の支圧強度を有する材、及び/又は、木質横架材の支圧剛性と同等以上の支圧剛性を有する材が好ましい。支持部材50として、木質横架材の支圧強度より高い支圧強度を有する材、及び/又は、木質横架材の支圧剛性より高い支圧剛性を有する材がより好ましい。支持部材50として、不燃材であるとなお一層好ましい。支持部材50の材質として、鋼材、アルミ材、木質材、樹脂成形材、セメント系成形材が好ましい。支持部材50の木質材にあっては、木質横架材よりも高比重の木材、合板、圧密化木材、含浸処理木材、などが挙げられる。
【0033】
本発明は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0034】
図6に示されるように、支持部材60は、水平フランジ60aと垂直フランジ60bとからなるL形の鋼材により構成され、支持部材60の水平フランジ60aは、下地鋼材6の水平フランジ4の下面4aのうちの横架材3の上面3aの前端部から突出する部分Sに当接される。このような構成を採用すると、支持部材60によって下地鋼材6を、横架材3の上面3aの前端部から可能な限り前方で支持することができるので、クリープ現象等による下地鋼材6の拝み現象を起き難くし、横架材3の上面3aで下地鋼材6の無い部分Rを大きくすることができる。これによって、横架材3の上面3aで床パネル52などの設置面積を大きくすることができる。
【0035】
図7に示されるように、支持部材70は、水平フランジ70aと垂直フランジ70bとからなるL形の鋼材により構成され、支持部材70の水平フランジ70aは、横架材3の上面3aと下地鋼材6の水平フランジ4の下面4aとの間に配置され、ラグスクリュー30が下地鋼材6及び支持部材70を貫通している。このような構成を採用すると、支持部材70の水平フランジ70aが横架材3の上面3aと下地鋼材6の水平フランジ4の下面4aとの間で挟持されるので、横架材3にクリープ現象や木やせが起きても、支持部材70と下地鋼材6との一体化を維持させ易い。
【0036】
また、支持部材50,60,70は、断面がコ字状、I字状、H字状の何れであってもよい。支持部材50,60,70は、下地鋼材6の全長に沿って延在していなくとも、下地鋼材6を間欠的に支持するようにしてもよい。
【0037】
ビス類30,51は、ビスに限らずボルト、ネジ、釘などを含む。
【符号の説明】
【0038】
P1,P2…壁パネル、1…壁パネル取付構造、3…横架材、3a…横架材の上面、3b…横架材の前面、4…水平フランジ、4a…水平フランジの下面、5…鉛直フランジ、6…下地鋼材、7…取付金具、30…ラグスクリュー(ビス類)、50,60,70…支持部材、51…木ねじ(ビス類)、52…床パネル、60a,70a…支持部材の水平フランジ、60b,70b…支持部材の垂直フランジ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7