(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、前記送り方向に延びるガイド面を含むガイド部と、前記ガイド面に対してほぼ垂直に配置された、互いに対面する2つのサイド板と、前記サイド板と平行に配置される1又は複数の積層板とを含む、前記シークイン連結体をガイドするための第一のシークインガイドを備え、
前記2つのサイド板が前記ガイド面に沿って延びる側部を有し、前記側部が前記ガイド面に当接されており、
前記ガイド面と前記2つのサイド板と前記積層板とによって包囲された空間にシュート部を形成し、
前記2つのサイド板同士の間の距離が前記シークイン連結体の幅にほぼ等しくなるように、前記1又は複数の積層板が前記2つのサイド板の間に配置されている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のシークイン送り装置。
さらに、前記送り方向に延びるガイド面を含むガイド部と、前記ガイド面に対してほぼ垂直に配置された、互いに対面する2つのサイド板と、前記2つのサイド板の間においてこれらサイド板と平行に配置されるセンター部材とを含む、前記シークイン連結体をガイドするための第一のシークインガイドを備え、
前記2つのサイド板が前記ガイド面に沿って延びる側部を有し、前記側部が前記ガイド面に当接されており、
前記ガイド面と前記2つのサイド板と前記センター部材とによって包囲された空間にシュート部を形成し、
前記2つのサイド板同士の間の距離が前記シークイン連結体の幅にほぼ等しくなるように、前記センター部材が前記2つのサイド板の間に配置されている、
前記センター部材の、前記ガイド部の前記ガイド面に対面する側部に、前記シークイン連結体のうちの1つのシークインの縫付孔を通過した前記プローブの先端部を受容するプローブ受容溝が形成されている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のシークイン送り装置。
さらに、前記シークイン連結体の幅方向位置をガイドする第二のシークインガイドと、シークインを被縫付け品に縫付ける縫付け面と略平行な平面を含むガイド取付部と、を備え、
前記第二のシークインガイドには、前記シークイン連結体の幅に対応する幅を有する切欠きがシークインを縫付ける箇所に向かって形成されており、
前記第二のシークインガイドは、前記切欠き内部に前記シークイン連結体のうちの少なくとも1つのシークインを収容して、ガイドされるシークインの縫付孔から前記送り方向に延びる延長線上にシークインを縫付ける箇所が位置するように前記シークイン連結体の幅方向位置をガイドする、
請求項1〜9のいずれか1項に記載のシークイン送り装置。
前記第二のシークインガイドを、前記シークイン連結体の幅及び縫付孔の位置のうちの少なくとも一方が異なる別のシークイン連結体に対応する切欠きが設けられている別の第二のシークインガイドに交換することができる、
請求項10に記載のシークイン送り装置。
さらに、前記シークイン連結体の幅方向位置をガイドする、第二のシークインガイドである2つのガイド駒と、シークインを被縫付け品に縫付ける縫付け面と略平行な平面を含む、前記ガイド駒を取り付けるガイド取付部とを備え、
各前記ガイド駒が、側方ガイド面と、前記ガイド駒の下面から突出する突出部とを含み、
前記ガイド取付部には、前記突出部と嵌合することのできる複数の孔が形成され、
2つの前記ガイド駒が、前記突出部と前記ガイド取付部の前記孔とを嵌合させることによって前記シークイン連結体の両側に、各々の前記側方ガイド面同士が対面するように配置され、
各前記ガイド駒の前記突出部が嵌合する孔を変えることによって、前記ガイド駒にガイドされる前記シークイン連結体の1つのシークインの縫付孔から前記送り方向に延びる延長線上にシークインを縫付ける箇所が位置するように前記シークイン連結体の幅方向位置をガイドする、
請求項1〜9のいずれか1項に記載のシークイン送り装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は上記の図面を参照しつつより詳細に記載される。なお、図面は、本発明の理解を容易にし、図面の記載を簡略化するために実際の構成要素の大きさ、縮尺、形状とは異なって描かれる場合があることに留意されたい。
【0015】
(第一の実施形態)
これより、
図1〜
図11を参照して、第一の実施形態のシークイン送り装置3について説明する。
【0016】
図1は、第一の実施形態のシークイン送り装置3を搭載する刺繍機1の部分断面概略図である。
図1には、シークイン連結体2をシークイン送り方向Dにシークイン送りピッチずつ繰り返し送り出す、第一の実施形態のシークイン送り装置3を搭載する刺繍機1が示されている。ここで、シークイン連結体2とは、
図6や
図11(a)〜
図11(c)に示されているような、個々のシークインがこれらの端部で連続してつなぎ合わせられている帯状の連結体である。シークイン連結体2のシークイン送りピッチは通常、シークイン連結体2の隣接する縫付孔2H同士の距離である。なお、
図1に示されているように、シークイン送り方向Dとは、上方に位置するリール(図示しない)から巻き出されたシークイン連結体2が、布等である被縫付品4に縫付けられる箇所まで進行する、シークイン連結体2の進行方向を指すものとする。
【0017】
図1に示されているように、シークイン送り装置3は、刺繍機1の箱体11内に、ピストン15をシークインの送り方向Dに移動させる、ピッチモータなどの駆動機構13を備える。駆動機構13は、
図1に点線で示されているようにその枢軸13A回りにアーム13Bを枢動させて、ピストン15の上端部を
図1の下方向に、つまり送り方向Dに押し下げることができる。なお、駆動機構13は、ピストンを押し下げること、又はピストンを上下動できるものであればどのようなものでもよい。
【0018】
シークイン送り装置3はさらに、シークイン送り・ガイド組立体(以下、単に「組立体」という)5を備え、組立体5は、箱体11に取り付けるための取付部17を含む。組立体5は、シークイン連結体2を所定の送りピッチずつ送り方向Dに繰り返し送り出すシークイン送り機構6と、シークイン連結体2の幅方向位置をガイドする第一のシークインガイド7とが一体となっている組立体である。
【0019】
組立体5及び組立体5と一体となっている構成要素は、バネ19の付勢力を利用しつつ水平方向調節ネジ21を回転させることによって、水平方向の位置を変更することができる。
【0020】
シークイン送り装置3はさらに、シークイン連結体2をカッタ23によって個々のシークインに切断し、被縫付品4に縫付ける際に、シークイン連結体2の幅方向位置をガイドする第二のシークインガイド8を備える。
【0021】
切断された個々のシークインは、従来の刺繍機の機構によって、被縫付品4に縫針9を用いて縫付けられることになる。
【0022】
次に、組立体5のシークイン送り機構6について説明する。
図2は、第一の実施形態のシークイン送り装置3の組立体5の縦断面図であり、
図3は、
図1のIII−III線に沿った横断断面図である。
図2及び
図3を参照すると、組立体5のシークイン送り機構6は、送り方向Dに沿って、鉛直方向に延びるピストン15を備える。ピストン15は、ピストン本体15Bとその上部の周囲に設けられている開口部付筒状体15Cによって構成されている。
図2に示されているように、ピストン本体15Bには部分的に雄ネジ15Mが切られており、雄ネジ15Mが切られた部分にはナット25が螺合されている。
【0023】
ピストン15及びナット25は、断面輪郭形状が矩形であるピストン収容体27内に収容される。ナット25には、シークイン連結体2を送り出すプローブ29が取付けられている。プローブ29は、ピストン収容体27のプローブ開口部27O及び後述する第一のガイド板41のプローブ開口部41Oを通過して、その先端部29Fがシークイン連結体2にアクセスするようになっている。
【0024】
また、ナット25は、ピストン本体15B回りに回転しないようにその周囲がピストン収容体27の内面によってブロックされている。これにより、ナット25は、ピストン本体15Bを左右に回転させると上下に移動する構成となっている。
【0025】
シークイン送り機構6はさらに、ピストン収容体27の上部に取り付けられる多段ストッパ31を備える。シークイン送り機構6の構造により、多段ストッパ31は、ピストン15がピストン駆動機構13によって送り方向Dに移動させられるとピストン15に当接する。具体的には、多段ストッパ31の各段部31A〜31Dのうちの1つの、
図2の場合では段部31Aの当接面31Aaが、開口部付筒状体15Cの開口部15Coの上端面15Cuに当接する。それにより、ピストン15の下死点を画定することができる。
【0026】
多段ストッパ31は、ピストン収容体27の上部に設けられた2つのネジ孔33のうちの1つに、蝶ネジ35によって選択的に取り付けられる。蝶ネジ35によって多段ストッパ31が取り付けられることにより、オペレータは工具を使用することなく、多段ストッパ31の取付位置を容易に変更することができるので、有利である。あるいは、ボルトと蝶ナットによって多段ストッパ31を取り付けるようにしてもよい。後に詳述するように、多段ストッパ31は、その取付位置を変更することによって、ピストン15の下死点を変更して、様々なシークイン連結体2の送りピッチを実現することができる。
【0027】
これより、続けて
図2及び
図3を参照しつつ、組立体5に含まれる第一のシークインガイド7について説明する。第一の実施形態において、組立体5に含まれる第一のシークインガイド7は、第一のガイド板41及び第二のガイド板43を含む。これらのガイド板41,43は、ネジ44によって互いに対面するように結合され、ピストン収容体27の正面に取り付けられる。
【0028】
図4は、
図3に類似する、ネジ44に代わる、第一のガイド板41及び第二のガイド板43の結合手段の変形例を示す図である。この変形例では、第一の及び第二のガイド板41,43は取付器具45によって結合される。取付器具45は、ピストン収容体27の両側面に取り付けられて、第一及び第二のガイド板41,43を結合させつつピストン収容体27に向かって付勢する。これにより、第一の及び第二のガイド板41,43をピストン収容体27に取り付けることができる。
【0029】
第一のガイド板41及び第二のガイド板43にはそれぞれ、互いに対面する面に送り方向Dに延びる凹部41r、43rが形成される。これらの凹部41r、43rが形成する空間に、シークイン連結体2が上方から下方に向かって送り方向Dに沿って通過することができるシュート部46が形成される。
【0030】
これら凹部41r、43rの底部には、2つの仕切り板47を嵌合させるための、同様に送り方向Dに延びる複数の溝部41g、43gが形成されている。仕切り板47を嵌合させる溝部41g、43gを適宜選択することによって、シークイン連結体2の幅方向位置をガイドすることができる。そして、仕切り板47同士の間隔がシークイン連結体2の幅とほぼ同じになり、プローブ29の先端部29Fがシークインの縫付孔2Hに入り込むようにこれらが整列する。第一の実施形態では、隣接する溝部41g、43g同士の間隔は1mmとなっている。溝部41g及び溝部43gのそれぞれは、互い違いに配置されているので、0.5mm単位で、仕切り板47同士の間の間隔を調節することができる。それにより、この第一のシークインガイド7は、1mm単位で3〜10mmの幅を有するシークイン連結体2をガイドすることができる。
【0031】
図5(a)は、偏心したシークイン連結体2をガイドする第一のシークインガイド7の断面図であり、
図5(b)は、
図5(a)においてガイドされるシークイン連結体2の部分平面図を示す。さらに、第一の実施形態の第一のシークインガイド7では、
図5(a)に示されるように、2つの仕切り板47を中心線CLに対して非対称に配置することもできる。このような配置によって、
図5(b)に示すような偏心した縫付孔位置を有する、すなわち各シークインの縫付孔2Hがシークイン連結体2の幅方向中央に存在せずに幅方向にオフセットしているシークイン連結体2をガイドすることもできる。なお、第一の実施形態では、3〜10mmの幅を有するシークイン連結体2をガイドできると述べたが、この範囲以外の幅を有するシークインについても、ガイドできるように第一のシークインガイド7の凹部41r、43r及び溝部41g、43gを構成できることは、当業者には明らかであろう。
【0032】
図6は、組立体5からシークインが切断される箇所までのシークイン送り装置3の正面図を示す。
図6において両矢印48によって示されるように、仕切り板47は、上方から引き抜き又は挿入することができるので、非常に容易かつ短時間で仕切り板47を所望の溝部41g、43gに嵌合させることができる。第一の実施形態では、仕切り板47の一部(例えば先端)に磁石が取り付けられており、ガイド板41,43に磁着することによって、仕切り板47を溝部41g、43g内に固定することができる。あるいは、ガイド板41,43の一部(例えば下部)に磁石が取り付けられて、仕切り板47を磁着してもよい。
【0033】
ここで、シークイン送り機構6の説明に戻って、
図2のVII部拡大図である
図7を参照しつつ、プローブ29の作用についてさらに詳細に説明する。プローブ29は、駆動機構13がピストン15を押し下げ、ナット25と共に送り方向Dに向かって移動するときに、その先端部29Fがシークイン連結体2の縫付孔2H内に入り込むように、シークイン連結体2に向かって付勢されている。縫付穴2Hに入ったプローブ19の先端部29Fは、縫付孔2Hの内表面2Hsに係止しつつ、内表面2Hsを送り方向Dに押すことによって、シークイン連結体2を送り方向Dに送り出すことができる。このとき、プローブ29の先端部29Fが確実に縫付孔2Hの内表面2Hsに係止するように、第二のガイド板43の凹部43rの中央部の底部に、プローブ29の先端部29Fを受容するプローブ受容溝43pgが形成されている。
【0034】
プローブ29の付勢力は、板バネ等のように、プローブ29の材料による弾性と屈曲した形状とから得られるものである。第一の実施形態のプローブ29の材料はバネ用ステンレス鋼線SUS−WPであり、その他にも、バネ用リン青銅などであってもよく、プローブ29の形状も、上述したような作用を発揮するための付勢力を得ることができるようになっていれば、各図に図示されている形状に限定されない。
【0035】
さらに、再び
図6を参照すると、シークイン送り機構6は、第二のガイド板43の凹部43rが設けられている面とは反対側の面に、逆流防止板49を備えることが理解できる。逆流防止板49の先端部49Fは、第二のガイド板43の開口部43Oを通過して、シークイン連結体2にアクセスできる。逆流防止板49は、その先端部49Fがシークイン連結体2の表面を押圧することにより、摩擦抵抗によってシークイン連結体2が送り方向Dとは逆方向に移動することを防止する役割をする。このため、逆流防止板49は、プローブ29と同様に弾性を有する材料であって、SUS304−CSP等の板バネ材などから作成され、
図2に示されているようにその形状によってその先端部49Fをシークイン連結体2に向かって付勢するようにされている。
【0036】
第二のガイド板43及び逆流防止板49との間には、逆流防止板49の作用を一時的に非作動状態にする開放レバー51が設けられる。開放レバー51は、上下動してその位置を保持できるようになっており、
図2に点線で示されているように、開放レバー51を下方向に押し下げることによって、逆流防止板49をシークイン連結体2の表面から離間させて、シュート部46を開放することができる。これにより、最初にシークイン連結体2をシュート部46に設置する際に、又はシークイン連結体2を別のシークイン連結体2に交換する際に、逆流防止板49に妨げられることなく、シークイン連結体2をシュート部46から取り除き又は挿入することができる。
【0037】
ここで、シークイン送り機構6の作用を説明する。まず、上死点に位置するピストン15が、駆動機構13によって下死点に向かって押し下げられる。これに伴って、プローブ29が送り方向Dに移動し、その先端部29Fがシークインの縫付孔2Hの内表面を2Hs押すことによって、シークイン連結体2を送りピッチだけ送り出す。その後、ピストン15が多段ストッパ31の作用により下死点に達する。次いで、ピストン15が、その下に位置する付勢されたバネ37によって上死点まで押し戻されることによって、シークイン送りの1サイクルを構成する。なお、第一の実施形態では、ピストン15が下死点から上死点に戻るときにも、プローブ29はシークイン連結体2に対して付勢された状態で接触しているものの、逆流防止板49の作用により、シークイン連結体2は送り方向Dとは逆の方向に進行しない。このサイクルを繰り返すことによって、各サイクルにおいてシークイン連結体2を送りピッチずつ送り方向Dに送り出すことができる。
【0038】
ここで、上述した多段ストッパ31によってピストン15の下死点を画定する機構について、多段ストッパ31の様々な取付位置を示す概略説明図である
図8を参照しつつ詳細に説明する。
図8を参照すると、多段ストッパ31は、或る取付位置からX軸及び/又はY軸回りに180°回転されて、上側ネジ孔33U又は下側ネジ孔33Lのいずれか一方に取り付けられることによって、その取付位置を変更できることが理解できる。例えば、
図8の吹き出しによって示されているように、3mm幅のシークイン連結体2を4mm幅のシークイン連結体2に交換するときには、多段ストッパ31をY軸回りに180°回転させる。また、4mm幅のシークイン連結体2を5mm幅のシークイン連結体2に交換するときには、多段ストッパ31をX軸回りに180°回転させる。このようにして、ピストン15が押し下げられたときに、ピストン15の開口部付筒状体15Cにおける開口部15Coの上端面15Cuが段部31A〜31Dの当接面31Aa〜31Daのいずれかに当接する。その結果、ピストン15の下死点が画定される。
【0039】
ここで、ピストンの上死点と下死点との間の距離をピストン移動ピッチと呼ぶこととする。ピストン移動ピッチとシークイン連結体2の送りピッチを同じに設定することによって、ピストン15が1往復することによってシークイン連結体2を送りピッチだけ送り方向Dに送ることができる。
【0040】
しかしながら、ピストン移動ピッチと送りピッチとを同じに設定したときは、例えば機械的な誤差によりピストン移動ピッチが送りピッチよりもわずかに短くなってしまうおそれがある。この場合、プローブ29の先端部29Fが、シークインの縫付孔2Hの内表面2Hsに係止せずに、シークイン連結体2の表面を滑動してしまい、シークイン連結体2を適切に送り出すことができない可能性がある。このため、ピストン移動ピッチは、シークイン連結体2の送りピッチよりもわずかに長く、第一の実施形態では0.5mm(=α(
図8))だけ長く設定されている。このようにすることにより、ピストン15が下死点から上死点に向かって移動するときに、プローブ29の先端部29Fが、上方に移動して係合する縫付孔2Hの内表面2Hsを通り過ぎる。次いで、ピストン15が上死点から下死点に向かって移動するときに、下方に移動するピストン15と共に移動するプローブ29の先端部29Fが、上述した構成からシークインの縫付孔2Hにプローブ29の付勢力によって入り込む。その結果、プローブ29の先端部29Fが内表面2Hsに確実に係止するので有利である。
【0041】
第一の実施形態では、αは0.5mmに設定されているが、上述のような利点を得るようにαを調節することができることは、当業者であれば理解できるであろう。
【0042】
第一の実施形態では、シークイン送り装置3は、3〜10mmの送りピッチ、ひいては3〜10mm幅のシークイン連結体2に対応するようにされている。送りピッチを3〜6mmにするには、多段ストッパ31は上側ネジ孔33Uに取付けられ、送りピッチを7〜10mmにするには、多段ストッパ31は下側ネジ孔33Lに取付けられる。
【0043】
しかしながら、ネジ孔33の数を増加させ、又は位置を変更することによって、3〜10mm以外の幅を有するシークイン連結体2にも対応できることは、当業者であれば理解できるであろう。
【0044】
図1に戻って参照すると、第一のシークインガイド7のシュート部46を通過したシークイン連結体2は、方向転換ガイド部55とカバー57との間を通過して、送り方向Dを水平方向に転換させつつ第二のシークインガイド8に達することになる。
【0045】
これより、第一の実施形態の第二のシークインガイド8に関して説明する。
図1に戻って参照すると、シークイン送り装置3はさらに、シークイン連結体2を切断し被縫付品4に縫付ける際に、シークイン連結体2の幅方向位置をガイドする第二のシークインガイド8と、シークインを被縫付品4に縫い付ける縫付面と略平行な平面を含む、第二のシークインガイド8を取り付けるガイド取付部59を備える。
【0046】
図9(a)はガイド駒61の上面図を示し、
図9(b)は
図9(a)のガイド駒61を180°回転させたときの上面図を示し、
図9(c)はガイド駒61の側面図を示す。
図9(a)〜
図9(c)は、第一の実施形態の第二のシークインガイド8を構成する2つのガイド駒61のうちの1つを示している。
図9(a)〜
図9(c)を参照すると、各ガイド駒61は略直方形の形状をしており、その側部に第一の側方ガイド面61Gf及び第二の側方ガイド面Gsと、その下面に2つの突出部61Pとを含む。
【0047】
突出部61Pの断面の中心点同士を結ぶ直線Lpと第一の側方ガイド面61Gfとの距離をLfと、第二の側方ガイド面61Gsとの距離をLsと定義すると、Ls及びLfの長さは同じではないことが
図9から理解できるであろう。したがって、突出部61Pは、第一及び第二の側方ガイド面61Gf、61Gsの中間に位置する中心線からオフセットした位置に配置されていることになる。距離Lfと距離Lsとの違いは、第一の実施形態では0.5mmである(Lf−Ls=0.5mm)。
【0048】
図10は第一の実施形態のガイド取付部59の上面図を示しており、
図11は、第二のシークインガイド8が様々なシークイン連結体2をガイドする様子を例示している。
図10を参照すると、ガイド取付部59には、突出部61Pを嵌合させてガイド駒61を取り付けるための複数の孔63が設けられている。第一の実施形態では、孔63はシークイン連結体2が通過する経路の両側に8つずつ配置されている。これらの8つの孔63は2つずつ4つの組になっており、各組は1つのガイド駒61が含む2つの突出部61Pを受容するようになっている。
【0049】
第一の実施形態では、隣接する組は、送り方向Dに垂直な方向に1mm(=β(
図10))ずつ離間している。ガイド駒61を嵌合させる孔63を変更することによって、
図11に示すように様々な幅及び縫付孔位置を有するシークイン連結体2の幅方向位置をガイドすることができる。それにより、切断されたシークインの縫付孔2Hが、縫針9の真下に位置して、当該シークインを被縫付品4に縫付けることができる。また、上述したようにガイド駒61をガイド取付部59の平面上で180°回転させることにより、シークイン連結体2をガイドする側方ガイド面61Gを、第一の側方ガイド面61Gfと第二の側方ガイド面61Gsとの間で入れ替えることができる。それにより、片側0.5mm単位でガイド駒61の幅方向位置を変更することができ、ひいては様々なシークイン連結体2をガイドすることができる。
【0050】
なお、第一の実施形態では、シークイン連結体2の各側のガイド取付部59に8つずつの孔63を形成することによって3〜10mmの幅を有するシークイン連結体2をガイドできるようにしている。しかしながら、別の位置に孔を設けることによってさらにこれ以外の幅を有するシークイン連結体2をガイドできることが、当業者には理解できるであろう。
【0051】
これより、第一の実施形態のシークイン送り装置3において、シークイン連結体2を新しいシークイン連結体2に交換するときに必要となる作業について説明する。ただし、必ずしも順番は下記の通りである必要はない。
【0052】
(1)
図2に点線で示されている位置に開放レバー51を移動させることによって、逆流防止板49の先端部49Fをシークイン連結体2の表面から離間させる。
(2)逆流防止板49に対する開放レバー51と同様の作用をプローブ29に対してする解除板(図示しない)を用いて、プローブ29の先端部29Fをシークイン連結体2の表面から離間させた上で、シークイン連結体2をシュート部46から上方に引き抜く。
【0053】
(3)第一のシークインガイド7の仕切り板47を上方に引き抜き、新しいシークイン連結体2に対応する溝部41g、43gに各仕切り板47を嵌合させる。
(4)第二のシークインガイド8を構成するガイド駒61を、新しいシークイン連結体2の幅及び縫付孔位置に対応した孔63に嵌合させる。
(5)新しいシークイン連結体2の送りピッチに対応するように多段ストッパ31の取付位置及びネジ孔33を選択して、多段ストッパ31を取り付ける。
【0054】
(6)新しいシークイン連結体2をリール(図示しない)から巻き出し、組立体5のシュート部46に挿入する。
(7)ピストン15を回転させてナット25と共にプローブ29を上下移動させることによって、新しいシークイン連結体2に含まれるシークイン同士の継ぎ目が、カッタ23によって切断される位置に合うように調節する。
【0055】
(8)カッタ23によって切断したシークインの縫付孔2Hが縫針9の真下に位置するように、水平方向調節ネジ21を回転させて組立体5と組立体5に連結している構成要素とを水平移動させる。
(9)
図2に実線で示されている位置に開放レバー51を移動させて、逆流防止板49の先端部49Fを新しいシークイン連結体2の表面に対して押圧させる。
【0056】
上述の作業(1)及び(2)では、リール(図示しない)にシークイン連結体2が残っている場合について説明した。しかしながら、リール(図示しない)にシークイン連結体2がなくなったことを検出するシークイン残量なし検出器(図示しない)の検出によって、シークイン送り装置3が停止した場合も考えられる。この場合は、シークイン連結体2がリール(図示しない)に残っておらず、シークイン連結体2を上方に引き抜くことができない場合もあり得る。この場合においては、上述の作業(1)及び(2)の代わりに、以下の作業(1’)及び(2’)をすることもできる。
【0057】
(1’)シークイン連結体2の残部を、ピストン15を手動によって又はマニュアルスイッチ(図示しない)によって送り方向Dに移動させることによって、シークイン連結体2の残部を数回送り出す。
(2’)当該シークイン連結体2の残部のカッタ23側の先端部を摘み、送り方向Dに引き出すことによって、シークイン連結体2の残部をシークイン送り装置3から取り除く。
【0058】
この後、駆動機構13を作動させることにより、新しく適用されたシークイン連結体2を所定の送りピッチずつ送り方向Dに繰り返し送り出すことができる。
【0059】
第一の実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)スプロケットやリンクレバーを使用せず、鉛直方向に延びるピストン15を往復移動させることによってシークイン連結体2を送り方向Dに送るという構造により、シークイン送り装置3を、特に水平方向に小型化することができる。それにより、シークインを被縫付品4の縁部に縫付ける際に、被縫付品4を固定する枠体4Fがシークイン送り装置3に干渉するまでの、枠体4Fからの距離が短くなる。したがって、本発明のシークイン送り装置3を用いることにより、従来の装置よりも被縫付品4の縁部により近い箇所までシークインを縫付けることができる。
【0060】
(2)上述したようなスプロケットやリンクレバーを用いた送り機構を有する従来の装置では、シークイン連結体2を交換する際に、機構部の送り爪位置及び送りピッチの切り替えのための、スプロケットなどの機構部品の交換や工具を使用したレバー機構部の調整等が必要となっていた。さらには、シークインの色彩、サイズ、形状等の多様化が進んでおり、シークイン供給装置としては、シークイン連結体2の交換に際して簡便な段取替えが要求されている。この場合においても、シークイン連結体2の幅に対して適切なガイドが要求される。よって、従来の一般的な装置では、シークイン連結体2のサイズ等の切替えのためのシークイン連結体2の交換の都度、ガイド部品の交換やガイド板の位置調整作業が必要なため、生産性の低下が大きい。これに対して、第一の実施形態のシークイン送り装置3では、上述したように、シークイン連結体2を交換するときの作業に工具を必要とせず、さらに交換部品や調整を必要としないので、容易にかつ短時間でこれらの作業ができるので有利である。具体的には、多段ストッパ31の取付位置及びネジ孔33を変更することによって送りピッチを変更することができ、このときに工具や交換部品及び調整作業等を必要としない。また、第一のシークインガイド7のガイド幅及びガイド位置を変更するためには、2つの仕切り板47を嵌合させる溝部41g、43gを変更すればよく、工具や交換部品及び調整作業等を必要としない。さらに、第二のシークインガイド8のガイド幅及び幅方向位置を変更するためには、ガイド駒61の突出部61Pが嵌合する孔63を変更し、かつ/又はシークイン連結体2をガイドする面を第一の側方ガイド面61Gf又は第二の側方ガイド面61Gsから選択すればよく、工具や交換部品及び調整作業等を必要としない。
【0061】
第一の実施形態では、多段ストッパ31を設置することによってピストン15の下死点を画定させたが、多段ストッパ31を使用せず、別のやり方で、例えば複数の段部を含まない単なる駒部材を用いて、ピストン15の下死点を定めるようにしてもよい。
【0062】
また、第一の実施形態では、逆流防止板49を使用したが、プローブ29の付勢力や形状を構成することによって、逆流防止板49を設置することを省略することができる。すなわち、ピストン15が下死点から上死点に移動して、プローブ29の先端部29Fが送り方向とは逆方向に移動するときに、シークイン連結体2と接触するプローブ29の先端部29Fが、シークイン連結体2を送り方向Dの逆方向に逆流させることなく、縫付孔2Hの内表面2Hsを乗り越えかつシークイン連結体2の表面上を滑動すればよい。
【0063】
(第二の実施形態)
次いで、
図12〜
図14を参照して、第二の実施形態に係るシークイン送り装置を備える刺繍機1について説明をする。第二の実施形態は、第一の実施形態とは第二のシークインガイドのみが異なる。したがって、本明細書では、第二の実施形態については、第二のシークインガイドのみを説明する。なお、第一の実施形態と同種のものではあるが異なる構成要素に関しては、その参照番号に200を加算することにより、第一の実施形態の構成要素との判別を行うこととする。
【0064】
図12(a)、
図12(b)及び
図12(c)は、第二の実施形態の第二のシークインガイドの上面図、正面図及び側面図を示す。第二の実施形態の第二のシークインガイド208は、
図12(a)〜
図12(c)に記載されている形状を有する嵌め込み部材71から構成される。嵌め込み部材71は、第二の実施形態では、後述する2本のネジ81(
図13及び
図14)を嵌合させることによって嵌め込み部材71を位置決めするための嵌め込みスリット73と、シークイン連結体2を切断し被縫付品4に縫付ける際に、シークイン連結体2の幅方向位置をガイドする役割をする切欠き75とを含む。
図12に示されているように、嵌め込みスリット73は嵌め込み部材71の厚さ方向に貫通しているスリットである。切欠き75は、厚さ方向には貫通しておらず、シークイン連結体2を載置する底部75bを有する。また、嵌め込み部材71の側部には、後述する止め具77(
図13及び
図14)によって嵌め込み部材71を固定するのに使用する窪み79が形成されている。
【0065】
図13は、シークイン送り装置203の、組立体5よりも下に位置する部分を示す側面図であり、
図14は、
図13のXIV−XIV線に沿った断面図である。嵌め込み部材71は、方向転換ガイド部255の底部に背後から水平方向に嵌入されることによって、シークインを被縫付品4に縫い付ける縫付面と略平行な平面を含むガイド取付部259上に配置される。
図14を参照すると、2つのネジ81を嵌め込みスリット73内に嵌合させることによって、さらに止め具77を嵌め込部材71の窪み79に係合させることによって、嵌め込み部材71を固定することができる。嵌め込み部材71が、
図13及び
図14に図示するような位置にあるときに、ガイドされるシークイン連結体2の幅にほぼ等しい幅を有する切欠き75によって形成される空間を通過させることによって、シークイン連結体2を適切にガイドすることができる。それにより、切断されたシークインの縫付孔2Hが、縫針9の真下に位置して、当該シークインを被縫付品4に縫付けることができる。
【0066】
シークイン連結体2を別の幅及び/又は縫付孔位置を有するシークイン連結体2に変更するには、このとき方向転換ガイド部255の底部に嵌め込まれている嵌め込み部材71を水平方向に引き抜いて取り除く。次いで、新しいシークイン連結体2をガイドするのに適合した切欠き75を含む別の嵌め込み部材71を、新たに方向転換ガイド部255の底部に嵌め込めばよい。
【0067】
したがって、第二の実施形態の第二のシークインガイド208は、容易にかつ短時間でシークイン連結体2の交換作業ができるという作用効果を奏する。
【0068】
(第三の実施形態)
これより、
図15〜
図18を参照しつつ、シークイン送り装置の第三の実施形態について説明する。第三の実施形態は、第二のシークインガイドがなく、第一のシークインガイドが、カッタ23の前までシークイン連結体2をガイドするという点において第一の実施形態と異なる。したがって、本明細書では、第三の実施形態については、第一のシークインガイドのみを説明する。なお、第一の実施形態と同種のものではあるが異なる構成要素に関しては、その参照番号に300を加算することにより、第一の実施形態の構成要素との判別を行うこととする。
【0069】
図15は第三の実施形態のシークイン送り装置303の部分斜視図を示し、
図16は第三の実施形態のシークイン送り装置303の部分上面図を示す。
図15〜
図16を参照すると、シークイン送り装置303の第一のシークインガイド307は、ガイド部として機能する第一のガイド板341及び方向転換ガイド部355と、サイド板91とセンター部材93と複数の積層板95とを備えることが理解できる。2つのサイド板91、1つのセンター部材93及び複数の積層板95は、スペーサ部材97及びネジ99によってそれぞれが密着するように揃えられており、ガイドアダプタ101を介してピストン収容体27に対して固定される。センター部材93は、サイド板91、センター部材93及び積層板95が揃えられたときに、これらの中央に位置する。
【0070】
図17は
図16のXVII部拡大図である。
図17では、第三の実施形態の第一のシークインガイド307に、シークイン連結体2を送り方向Dに沿って通過させるシュート部346が形成されていることが示されている。シュート部346は、第一のガイド板341及び方向転換ガイド部355の表面から形成されるガイド面103と、2つのサイド板91と、1つのセンター部材93及び複数の積層板95の側部93s、95sとによって包囲された空間である。そのため、2つのサイド板91同士の間の距離は、シークイン連結体2の幅にほぼ等しくなっている。
【0071】
第3の実施形態では、このシュート部346は、カッタ23の直前まで送り方向Dを鉛直方向から水平方向に方向を変えながら延びる。また、サイド板91の側部91sは概ね、シュート部346を形成するために、第一のガイド板341及び方向転換ガイド部355のガイド面103に、シュート部346の長さ方向にわたって当接している。同じ理由により、センター部材93及び積層板95は、これらの側部93s及び95sがガイド面103からシークイン連結体2の厚さよりも長い距離だけ離間するように配置される。このことは、サイド板91、センター部材93及び積層板95の一部展開斜視図である
図18からも理解することができる。すなわち、サイド板91の高さH
91は、シュート部346を形成するために、センター部材93及び積層板95の高さH
93,H
95よりも高くなっている。
【0072】
図18を参照すると、サイド板91、センター部材93及び積層板95が、ネジ99が通過するための、孔91H,93H,95Hをそれぞれ有する。
【0073】
第三の実施形態では、サイド板91及び積層板95の厚さは0.5mmであり、センター部材93の厚さは3mmである。センター部材93の厚さが3mmであるのは、シークイン連結体2の最小幅を3mmと想定しているからである。センター部材93の厚さを薄くすれば、さらに幅の狭いシークイン連結体2にも対応できるようになる。
【0074】
また、プローブ29と対面するセンター部材93の側部93sにはプローブ受容溝93pgが設けられている。プローブ受容溝93pgは、第一の実施形態における第一のシークインガイド7の一構成要素である第二のガイド板43に設けられたプローブ受容溝43pgと同じ働きをする。これにより、プローブ29の先端部29Fがシークインの縫付孔2Hの内表面2Hsに係止する作用を補助することができる。
【0075】
第三の実施形態の第一のシークインガイド307では、サイド板91と積層板95の配置を変更して、サイド板91の設置位置を変更することによって、様々な幅及び縫付孔位置を有するシークイン連結体2を適切にガイドすることができる。サイド板91及び積層板95の厚さが0.5mmであるので、0.5mm単位でサイド板91の位置を変更することができる。
【0076】
したがって、シークイン連結体2を別の幅及び/又は縫付孔位置を有する別のシークイン連結体2に交換するときは、サイド板91、センター部材93及び積層板95の配列を、新しいシークイン連結体2に適合するように組み替えて取り付ければよい。
【0077】
以上のように、第三の実施形態の第一のシークインガイド307は、シークイン連結体2を交換するために、サイド板91、センター部材93及び積層板95の配列を組み替えればよく、工具や交換部品及び調整作業等を必要としない。したがって、第三の実施形態の第一のシークインガイド307は、容易にかつ短時間でシークイン連結体2の交換作業ができるという作用効果を奏する。
【0078】
第三の実施形態の第一のシークインガイド307は、カッタ23の直前までシークイン連結体2をガイドするが、第一の実施形態の第一のシークインガイド7のように、組立体5部分のみをガイドしてもよい。そのときは、第一又は第二の実施形態の第二のシークインガイド8,208と組み合わせることによって、シークインを切断し縫付ける際に、シークイン連結体2をガイドすることもできる。
【0079】
また、第三の実施形態のサイド板91及び積層板95の厚さは0.5mmであったが、さらに薄くすることによって、さらに緻密なシークインの幅及び縫付孔位置のガイドが可能になることが、当業者には理解できるであろう。
【0080】
(刺繍機の変形例)
さらに、
図19〜
図21を参照して、本発明の刺繍機の変形例について説明する。なお、本明細書では、この刺繍機の変形例について、第一〜第三の実施形態で述べられてきたものとは同種ではあるが異なる構成要素に関しては、その参照番号に400を加算することにより、第一〜第三の実施形態の構成要素との判別を行うこととする。
【0081】
図19は、変形例の刺繍機401に搭載されているシークイン送り装置403の概略正面図を示す。これまでの実施形態では、刺繍機1は1つのシークイン送り装置3を備えていた。それに対して、
図19に記載されているこの変形例の刺繍機401は、3つのシークイン送り装置403を搭載しており、3種類のシークイン連結体2を交換作業なしに選択的に縫付けることができる。ただし、この刺繍機401には駆動機構13(
図20)が1つのみ搭載されており、この駆動機構13は3つのシークイン送り装置403に対して共通して使用される。このように、1つの駆動機構13によって駆動される複数のシークイン送り装置403を搭載する刺繍機401のことを、「1駆動源によるマルチ供給方式の刺繍機」と呼ぶ。
【0082】
図20は、変形実施形態の刺繍機401の部分断面概略図であり、全体的かつ容易に説明するために、3つあるうちの2つのシークイン送り装置403についての記載を省略している。刺繍機401は、第一の実施形態のバネ19(
図1)及び水平方向調節ネジ21(
図1)を備えておらず、その代わりにモータ111と、モータ111から延びて取付部417と連結する回転軸113を備える。
【0083】
上述のように、この変形例では、刺繍機401が、第一の実施形態のようにバネ19(
図1)及び水平方向調節ネジ21(
図1)を備えていないので、組立体405及び組立体405と一体となっている構成要素の水平方向位置を変更することができない。しかしながら、この実施例では、カッタ23が取り付けられているカッタブロック115をレール(図示しない)上で送り方向Dと平行に摺動させて、シークイン連結体2の切断位置を変更することによって、切断したシークインの縫付孔2Hが縫針9の真下に位置するように調節することができる。
【0084】
図21は
図19のXXI−XXI線に沿った断面図である。
図21に示されているように、刺繍機401においては、3つのシークイン送り装置403が、回転軸113を中心とした円周上に配置されている。モータ111を駆動させて回転軸113を回転させることによって、3つのシークイン送り装置403のうちの1つのピストン15の上にアーム13B(
図20)のピストン15を押し下げる側の端部が位置するように位置決めすることができる。
【0085】
この実施例では、各シークイン送り装置403の3つの多段ストッパ31を1つの蝶ネジ435によって固定するようになっている。これにより、1度に3つの多段ストッパ31を位置決めすることができる。このことにより、3つのシークイン送り装置403の送りピッチは、全て同じになっている。しかしながら、別の実施例では、3つの多段ストッパ31を別々の蝶ネジ35でそれぞれ固定することができるようになっており、各シークイン送り装置403が別々の送りピッチで各シークイン連結体2を送るようにすることもできる。それにより、様々な幅及び縫付孔位置を有する異なる種類のシークイン連結体2を一度に3つまで装備することができる。
【0086】
この変形例の刺繍機によれば、3種類のシークイン連結体2を同時に取り付けることができるので、3種類までであればシークイン連結体2を交換作業することなく、種類の異なるシークインを被縫付品4に縫い付けることができるという作用効果を奏することができる。従来では2種類のシークイン連結体2を搭載できる刺繍機が主流であり、それ以上の種類のシークイン連結体2を使用する場合は、シークイン連結体2を交換しなければならなかった。したがって、シークイン連結体2を交換する時間を短縮することができ有利である。
【0087】
この実施例の刺繍機401は、シークイン送り装置403を3つ搭載しているが、スペースの許す限りそれよりも多くのシークイン送り装置403を搭載することができる。
【0088】
さらに、この実施例では、使用するシークイン送り装置403を切り替えるのにモータ111を使用したが、手動で切り替えることもできる。
【0089】
あるいは、この実施例の刺繍機401は、回転軸113を中心に、組立体405及び組立体405と一体となっている構成要素を回転させることによって、使用するシークイン送り装置403を選択するようにしているが、複数のシークイン送り装置403を並列して配置して、例えばモータ駆動によってこれらのシークイン送り装置403を平行移動させることにより、使用するシークイン送り装置403を選択するようにしてもよい。
【0090】
なお、本明細書、図面及び特許請求の範囲から当業者によって理解されることのできるような全ての特徴は、これらの特徴が特定の他の特徴に関連してのみ組み合わされて説明されたとしても、それらの特徴が明確に除外されない限り、又は技術的な態様が不可能な若しくは意味のない組み合わせにならない限りにおいて、独立して、またさらに、ここで開示された他の特徴又は特徴の複数の群と任意に組み合わせて、結合されることができるものとする。