特許第5963625号(P5963625)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5963625ガラスと硬化性樹脂層および透明樹脂層を有する積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963625
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】ガラスと硬化性樹脂層および透明樹脂層を有する積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 17/10 20060101AFI20160721BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   B32B17/10
   C03C27/12 K
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-207733(P2012-207733)
(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公開番号】特開2014-61640(P2014-61640A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】水谷 剛
(72)【発明者】
【氏名】林本 成生
(72)【発明者】
【氏名】石井 一彦
(72)【発明者】
【氏名】内田 誠
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 泰昌
【審査官】 斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−362045(JP,A)
【文献】 特表2001−506198(JP,A)
【文献】 特開2003−039597(JP,A)
【文献】 特開2013−256410(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/058734(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 − 43/00
C03C 27/00 − 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス/硬化性樹脂層/透明樹脂層/硬化性樹脂層/ガラスの構成を持つ積層体において、硬化性樹脂層がフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)を含有することすることを特徴とする積層体。
【請求項2】
請求項1に記載のフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂(A)が下記式(1)
【化1】
(式(1)中mおよびnは平均値で、0.005≦n/(m+n)≦1.00を示し、また、m+nは5〜200の正数を、xは平均置換基数で1〜4の正数をそれぞれ表す。Arは2価の芳香族基を示す。)で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
ガラスの厚みが300μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
ガラス/硬化性樹脂層/透明樹脂層/硬化性樹脂層/ガラスの構成を持つ積層体において、硬化性樹脂層がフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)を含有する硬化性樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする積層体。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の積層体を具備する窓材。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の積層体を具備するディスプレイ用カバーガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスと硬化性樹脂および透明樹脂を有する積層体に関し、軽量性、耐環境性、耐衝撃性に優れた積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板は、耐候性、耐薬品性、耐擦傷性、ガスバリア性に優れ、透明で採光性に優れることから、一般建築や高層ビル等の窓材、屋根からの明かり採り、農業用温室の被覆材、自動車、電車、航空機等の乗り物等の窓材に広く使用されている他、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイや、太陽電池、リチウムイオン電池、デジタルサイネージ、タッチパネル、電子ペーパー等のデバイスのガラス基板、及び有機EL照明等のデバイスの基板ガラスや、カバーガラス(前面板)などに広く使用されている。しかしながら、ガラスは脆性材料であり、物理的衝撃に弱く容易に破損するという問題がある。ガラス板に飛来物や高速物が打突すると容易に破損し、また、熱衝撃でも容易に破損することが知られている。
【0003】
また、ガラスは比重が2.2〜2.6g/cmであり、大変重量が重くなりやすい物質である。特にモバイル機器のディスプレイ用途には軽量化が強く求められているが、未だガラスが主流である。この問題を解決するために、ガラス板の代替として、薄いガラス板に透明樹脂層を積層した積層体が多数提案されている。例えば下記特許文献1では、異材合わせガラス積層体として、ポリカーボネート板等の合成樹脂板とガラス板とからなる合わせガラスが用いられている。この場合、接着層にはブチラール樹脂が用いられ、ブチラール樹脂を介して両板を熱圧着させることによって該合わせガラスは製造される。
【0004】
ところが、ブチラール樹脂はガラス板とポリカーボネート板等との線膨張係数の違い(例えば、ガラス板では8.5×10−6/℃、ポリカーボネートでは6.8×10−5/℃)から、従来の熱可塑性樹脂を用いたオートクレーブ方式あるいは紫外線や熱硬化接着剤を用いた方式では、急激な温度の変化により、反り、剥離、割れなどを生じる問題があった。
【0005】
さらに、ディスプレイ用の基板としては、ガラスを基板とするものが多く使われてきた。例えば、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、タッチパネル等では厚さ0.2〜1.1mm程度のガラス基板が汎用されているが、屈曲や衝撃に対して割れやすい問題があった。この問題を解決するため、下記特許文献2のような粘着性シートや下記特許文献3のような紫外線硬化樹脂が提案されているが、粘着シートは高温下、或いは寒冷地を想定した低温下では粘着力が低下するという問題があり、紫外線硬化樹脂では光重合開始剤の分解物が高温条件下、或いは真空蒸着工程下で揮発する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−915号公報
【特許文献2】特開2012−25152号公報
【特許文献3】特開2008−37094号公報
【特許文献4】特開2003−336020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明では、このような背景下において、軽量で、かつ高温下、低温下においても反り、剥離、割れを生じることなく、耐衝撃性に優れた積層体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、フェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)を含有することすること特徴とする硬化性樹脂組成物の硬化物が、柔軟性と高弾性率及びガラス及び透明樹脂と強固な接着性を発現することで、ガラス積層体に耐衝撃性、互いに線膨張率が異なる異種接合においても、優れたヒートサイクル耐性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は
(1)ガラス/硬化性樹脂層/透明樹脂層/硬化性樹脂層/ガラスの構成を持つ積層体において、硬化性樹脂層がフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)を含有することすることを特徴とする積層体
(2)上記(1)に記載のフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂(A)が下記式(1)
【化1】
(式(1)中mおよびnは平均値で、0.005≦n/(m+n)≦1.00を示し、また、m+nは5〜200の正数を、xは平均置換基数で1〜4の正数をそれぞれ表す。Arは2価の芳香族基を示す。)で表される構造を有することを特徴とする上記(1)に記載の積層体
(3)ガラスの厚みが300μm以下であることを特徴とする上記(1)乃至(2)に記載の積層体
(4)熱プレスにより硬化、接着させて得られる上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の積層体
(5)上記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の積層体を具備する窓材
(6)上記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の積層体を具備するディスプレイ用カバーガラス
【発明の効果】
【0010】
本発明の積層体は、軽量かつ高温下、低温下においても反り、剥離、割れを生じることなく、耐衝撃性に優れた積層体である。
本発明の積層体は、一般建築や高層ビル等の窓材、自動車、電車等の乗り物等の窓材、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイや、太陽電池、リチウムイオン電池、デジタルサイネージ、タッチパネル、電子ペーパー等のデバイスのガラス基板、及び有機EL照明等のデバイスの基板ガラスやカバーガラスなどに用途に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る積層体の断面図であって、ガラス/硬化性接着樹脂/ポリカーボネート/硬化性接着樹脂/ガラスの5層構造からなる積層体の図である。
図2】本発明の比較例1に用いた積層体の断面図であって、ガラス/紫外線硬化接着剤/ポリカーボネート/紫外線硬化接着剤/ガラスの5層構造からなる積層体の図である。
図3】本発明の比較例2に用いた積層体の断面図であって、ガラス/粘着剤/ポリカーボネート/粘着剤/ガラスの5層構造からなる積層体の図である。
図4】鉄球落下試験で用いた、受け治具の図である。縦10cm×横10cm×高さ5mmの枠型で、縁の幅1cmである。ここに積層体を置き、積層体の中央に鉄球を落とす。
【符号の説明】
【0012】
1 ガラス
2 シート状硬化性樹脂組成物
3 ポリカーボネート
4 紫外線硬化樹脂
5 粘着剤
6 受け治具
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態について説明する。
本発明においては成分(A)であるフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂を成分(B)であるエポキシ樹脂の硬化剤として使用する。このフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂は特開2006−124545号公開公報に準じて合成することができる。
本発明において、成分(A)であるフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂は、ポリアミド構造及びフェノール性水酸基を有していれば得にその構造に制限はないが、前記式(1)で表される構造が好ましい。
【0014】
式(1)において、Arは2価の芳香族基、すなわち少なくとも一つの芳香族環を有する有機基を表す。2価の芳香族基としては、ポリアミド樹脂の原料となる芳香族ジアミンで例示すれば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−トリレンジアミン等のフェニレンジアミン誘導体;4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル等のジアミノジフェニルエーテル誘導体;4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル等のジアミノジフェニルチオエーテル誘導体;4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン等のジアミノベンゾフェノン誘導体;4,4’−ジアミノジフェニルスルフォキサイド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等のジアミノジフェニルスルホン誘導体;ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジアミノビフェニル等のベンジジン誘導体;p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、o−キシリレンジアミン等のキシリレンジアミン誘導体等が挙げられ、これらを2種類以上併用することもできる。中でもフェニレンジアミン誘導体またはジアミノジフェニルエーテル誘導体が好ましく、得られるポリマーの溶剤溶解性、難燃性の面から3,4’−ジアミノジフェニルエーテルまたは4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが特に好ましい。
【0015】
成分(B)であるエポキシ樹脂としては1分子中にエポキシ基を2個以上有するものであれば特に制限はない。具体的にはノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール縮合型エポキシ樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格含有ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
これらのエポキシ樹脂は2種以上を併用することも出来る。
【0016】
本発明の積層体において硬化性樹脂層を形成する硬化性樹脂組成物において、硬化剤成分としては、フェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂以外に他の硬化剤を併用しても良い。併用できる硬化剤としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノ−ルノボラック、トリフェニルメタン及びこれらの変性物、イミダゾ−ル、BF
−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらを併用する場合、フェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂が全硬化剤中に占める割合としては通常20重量%以上、好ましくは30重量%以上である。
【0017】
前記硬化性樹脂組成物は硬化促進剤を含有させても良い。硬化促進剤の具体例としては例えば2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾ−ル類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物等が挙げられる。硬化促進剤はエポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部が必要に応じ用いられる。
【0018】
硬化性樹脂組成物には有機溶剤を含有させても良い。有機溶剤としては、例えばγ−ブチロラクトン類、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド系溶剤、テトラメチレンスルフォン等のスルフォン類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤が挙げられる。硬化性樹脂組成物中の樹脂濃度は通常10〜80重量%、好ましくは15〜70重量%である。
【0019】
更に硬化性樹脂組成物には、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加することができる。
【0020】
また、硬化性樹脂組成物に着色防止目的のため、光安定剤としてのアミン化合物又は、酸化防止材としてのリン系化合物およびフェノール系化合物を含有させることができる。
【0021】
上記光安定材であるアミン化合物の一例として、次に示す市販品を使用することができる。市販されているアミン系化合物としては特に限定されず、例えば、チバスペシャリティケミカルズ社製として、TINUVIN765、TINUVIN770DF、TINUVIN144、TINUVIN123、TINUVIN622LD、TINUVIN152、CHIMASSORB944、ADEKA社製として、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63P、LA−77Y、LA−81、LA−82、LA−87などが挙げられる。
【0022】
上記リン系化合物の一例として、次に示す市販品を使用することができる。市販されているリン系化合物としては特に限定されず、例えば、ADEKA製として、アデカスタブPEP−4C、アデカスタブPEP−8、アデカスタブPEP−24G、アデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112、アデカスタブ260、アデカスタブ522A、アデカスタブ1178、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135A、アデカスタブ3010、アデカスタブTPP等が挙げられる。
【0023】
上記フェノール系化合物の一例として、次に示す市販品を使用することができる。市販されているフェノール系化合物としては特に限定されず、例えば、チバスペシャリティケミカルズ製としてIRGANOX1010、IRGANOX1035、IRGANOX1076、IRGANOX1135、IRGANOX245、IRGANOX259、IRGANOX295、IRGANOX3114、IRGANOX1098、IRGANOX1520L、アデカ製としては、アデカスタブAO−20、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−40、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−70、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−90、アデカスタブAO−330、住友化学工業製として、SumilizerGA−80、Sumilizer MDP−S、Sumilizer BBM−S、Sumilizer GM、Sumilizer GS(F)、Sumilizer
GPなどが挙げられる。
【0024】
このほか、樹脂の着色防止剤として市販されている添加材を使用することができる。例えば、チバスペシャリティケミカルズ製として、THINUVIN328、THINUVIN234、THINUVIN326、THINUVIN120、THINUVIN477、THINUVIN479、CHIMASSORB2020FDL、CHIMASSORB119FLなどが挙げられる。
【0025】
上記リン系化合物、アミン化合物、フェノール系化合物の中から少なくとも1種以上を含有することが好ましく、その配合量としては特に限定されないが、本発明の硬化性樹脂組成物の全重量に対して、0.005〜5.0重量%の範囲である。
【0026】
更に硬化性樹脂組成物には、有機フィラー、無機フィラーをガラス積層体に求められる透明度に応じて添加することが出来る。有機フィラーの具体例としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、飽和または不飽和ポリエステル樹脂、脂肪族または芳香族ポリアミド樹脂、セルロース短繊維、ポリフェニレンエーテル樹脂等の微紛、微粒子や、液晶ポリマー樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリサルフォン樹脂等のスーパーエンプラ樹脂の微粉、微粒子を挙げることができる。これら有機フィラーは、低分子量の樹脂の粉末、微粒子であってもよいし、高分子量、または架橋された樹脂の粉末、微粒子であってもよい。また、無機フィラーの具体例としては、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、アルミナ、タルク、ガラス短繊維等が挙げられるが、得られる樹脂の弾性率および機械強度の点から平均粒子系0.5〜5μmの小粒形が好ましい。また、これらは一種類で用いてもよいし、二種類以上の混合物で用いても差し支えない。配合量は硬化性樹脂組成物中において1〜30重量%を占める量が好ましい。
【0027】
硬化性樹脂組成物は成分(A)、(B)並びに必要により、他の硬化剤、硬化促進剤、有機溶剤及び他の成分を均一に混合することにより得ることができる。混合方法としてはプラネタリミキサー、ロールミル、ディゾルバーなどが使用できる。
【0028】
本発明において、硬化性樹脂層を形成させるための態様として、シート状に成形した硬化性樹脂組成物を使用する場合や、有機溶剤を含有する硬化性樹脂組成物をガラス表面に塗工する場合などが例示できる。
硬化性樹脂組成物を用いたシートは、有機溶剤を含有する硬化性樹脂組成物をそれ自体公知のグラビアコート法、スクリーン印刷、メタルマスク法、スピンコート法などの各種塗工方法により平面状支持体上に乾燥後の厚さが所定の厚さ、例えば3〜60μmになるように塗布後乾燥して得られる。乾燥温度としては通常80〜200℃であり、好ましくは100〜180℃である。
【0029】
平面状支持体としては例えばポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種高分子及び/またはその共重合体から作られるフィルムおよびアルミ箔を用いることが出来る。これらの基材の表面にはシリコンなどの離型剤が処理されていてもよい。
【0030】
基材の上に形成されたシートを、基材を剥離してラミネート処理によりガラスと張り合わせることによりガラス上に硬化性樹脂組成物層を形成させることができる。ラミネート処理の温度は通常100〜180℃である。
また、平面状支持体としてガラスを選択し、直接前記方法にて塗工することも可能である。
【0031】
本発明における、ガラスはガラスフィルムと呼ばれる厚さ500μm以下の薄板ガラスが好ましく、特に好ましくは50μmから300μmである。ガラスフィルムは、AF45(松浪硝子工業社製)をはじめ、旭硝子社、日本電気硝子社、日本板硝子社、ショット社、コーニング社等で製造されており、製法や仕様は各社異なるが、特に制限されるものではない。
【0032】
本発明における、透明樹脂層は、強度と透明性から、ポリカーボネート(PC)、PCとポリエチレンのポリマーアロイ、延伸加工されたポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレートが好ましく、特に好ましくはポリカーボネートである。また、ポリカーボネートはパンライト(帝人社製)、ユーピロン(三菱ガス化学社製)、ダイヤライト(三菱レーヨン社製)等の商品名で販売されており、仕様は多岐に渡るが、特に制限されるものではない。
【0033】
本発明において用いる硬化性樹脂組成物は、その硬化物が、柔軟性と高弾性率及びガラス及び透明樹脂と強固な接着性を発現することで、ガラス積層体に耐衝撃性、互いに線膨張率が異なる異種接合においても、優れたヒートサイクル耐性を有す。これを使用した本発明の積層体の特に好適な用途としては、耐候性、耐薬品性、耐擦傷性、ガスバリア性、透明性、採光性が必要とされるもの、例えばガラス代替材料として、軽量化が求められる一般建築や高層ビル等の窓材、屋根からの明かり採り、農業用温室の被覆材、自動車、電車、航空機等の乗り物等の窓材が挙げられる。
また、本発明の積層体は、物理的衝撃や熱衝撃に強いことから、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイや、太陽電池、リチウムイオン電池、デジタルサイネージ、タッチパネル、電子ペーパー等のデバイスのガラス基板、及び有機EL照明等のデバイスの基板ガラスや、カバーガラス(前面板)などに好適である。
【実施例】
【0034】
次に本発明を更に実施例、比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において特に断りがない限り、「部」は「重量部」を意味する。
(実施例1)
温度計、冷却管、分留管、撹拌機を取り付けたフラスコに窒素パージを施しながら、5−ヒドロキシイソフタル酸18.2部、イソフタル酸149部、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル200部、塩化リチウム10.9部、N−メチルピロリドン1156部、ピリジン231部を加え撹拌溶解させた後、亜リン酸トリフェニル501部を加えて95℃で4時間縮合反応をさせ、ポリアミド樹脂の反応液を得た。この反応液に撹拌しながら、90℃で水1100部を3時間かけて滴下し、更に90℃で1時間撹拌し、60℃にまで冷却して30分静置した。上層が水層、下層が油層(樹脂層)に層分離したため、上層をデカンテーションによって除去した。油層(樹脂層)にN,N−ジメチルホルムアミド1000部を加えて希釈した。この水添加・層分離・デカンテーション・溶剤添加による水洗工程を更に4回繰り返しポリアミド樹脂の洗浄を行った。洗浄されたポリアミド溶液を撹拌された水5000部中に2流体ノズルを用いて噴霧し粒径5〜50μmの微粉として析出させ析出物を濾別した。得られたウェットケーキをメタノール2700部に分散させ撹拌下で2時間還流した。次いでメタノールを濾別し水2700部で洗浄し、乾燥することにより、下記式(3)
【0035】
【化2】
【0036】
で表される芳香族ポリアミド樹脂部を得た。この芳香族ポリアミド樹脂中に含まれる元素量を蛍光X線測定装置で定量したところ、全リン量は150ppm、全塩素量は20ppmであった。得られた芳香族ポリアミド樹脂の固有粘度は0.53dl/g(ジメチルアセトアミド溶液、30℃)であり、式中、mの値は約36、nの値は約4であった。
【0037】
得られた芳香族ポリアミド樹脂(A)100部に対しエポキシ樹脂としてNC−3000を10部(日本化薬株式会社製、エポキシ当量275g/eq)、硬化促進剤として2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(2PHZ)を2部、光安定剤としてLA−81(ADEKA社製)を加え、溶剤としてジメチルホルムアミド260部を加えることにより硬化性樹脂組成物を得た。
【0038】
上記の硬化性樹脂組成物をPETフィルム上に乾燥後の厚さが10μmになるようにダイコーターにて塗布し、130℃、1分間乾燥させ溶剤を除去し、シート状硬化性樹脂組成物を得た。
【0039】
上記で得たシート状硬化性樹脂組成物を、ガラス(松浪硝子工業社製AF45、厚み100μm、縦10cm×横10cm)/シート状硬化性樹脂組成物(厚み10μm、縦10cm×横10cm)/PC(日本テストパネル工業社製、厚み2mm、縦10cm×横10cm)/シート状硬化性樹脂組成物(厚み10μm、縦10cm×横10cm)/ガラス(松浪硝子工業社製AF45、厚み100μm、縦10cm×横10cm)の構成で重ね(図1)、真空熱プレス機にて、150℃、1MPa、20分間熱プレスして積層体を得た。
【0040】
(比較例1)
特許文献3の実施例1に記載の手法にて、紫外線硬化接着剤を得た。すなわち、イソホロン構造を有する6官能のウレタンアクリレート(日本合成化学工業社製「UV7600B」)97部、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM5103」)2部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製「Irgacure184」)1部を、60℃にて均一になるまで撹拌し、紫外線硬化接着剤を得た。
【0041】
得られた紫外線硬化接着剤を、ガラス(松浪硝子工業社製AF45、厚み100μm、縦10cm×横10cm)上に滴下後、スピンコート法にて紫外線硬化接着剤層が10μmになるように塗工した。
【0042】
上記紫外線硬化接着剤層を有するガラスを2枚とポリカーボネート(日本テストパネル工業社製、厚み2mm、縦10cm×横10cm)を準備し、ガラス/紫外線硬化接着剤層/ポリカーボネート/紫外線硬化接着剤層/ガラスの構成になるように積層し、ハンドローラーで押下後、オートクレーブ(平山製作所製)に50℃、0.5MPaの条件に30分間投入して脱泡処理を行った。
【0043】
上記で得られた積層体にメタルハライドランプを用いて、照度200mW/cm2、光量5J/cm2で両面から紫外線照射し、ガラス/紫外線硬化接着剤/ポリカーボネート/紫外線硬化接着剤/ガラスの構成からなる図2の積層体を得た。
【0044】
(比較例2)
特許文献4の実施例1に記載の手法にて離型ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの間に10μmのシート状に成形した粘着剤を得た。すなわち、未架橋アクリル酸エステル共重合体100重量部に対してグリシジルメタクリレート0.1重量部、ベンゾフェノン1.0重量部を加熱・撹拌して100μmの平滑な離型PETフィルムの間に10μmのシート状に成型した後に、離型PETフィルム越しに高圧水銀ランプを用いて積算光量4000mJ/cm2で紫外線照射して架橋したシート状粘着剤を得た。なお、前記アクリル酸エステル共重合体の組成は、n−ブチルアクリレートが78.4重量%、2−エチルヘキシルアクリレート:19.6重量%、アクリル酸:2.0重量%を共重合させたものである。
【0045】
上記で得られた粘着剤を用いて、ガラス(松浪硝子工業社製AF45、厚み100μm、縦10cm×横10cm)/粘着剤(厚み10μm、縦10cm×横10cm)/PC(日本テストパネル工業社製、厚み2mm、縦10cm×横10cm)/粘着剤(厚み10μm、縦10cm×横10cm)/ガラス(松浪硝子工業社製AF45、厚み100μm、縦10cm×横10cm)の構成で積層し、ハンドロールで押圧後、オートクレーブ(平山製作所製)に50℃、0.5MPaの条件に30分間投入して脱泡処理を行い、図3の積層体を得た。
【0046】
上記で得られた積層体を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
外観
得られた積層体の外観を目視にて確認した。蛍光灯の光りをガラス積層体に映し、蛍光灯の映りこみにうねりが無い場合は合格(表1中、○で示す)とした。
透明性
分光光度計(日立製作所社製)にて積層体の全光線透過率を測定し、透過率80%以上の場合は合格(表1中、○で示す)とした。
恒温恒湿試験
恒温恒湿機(エスペック社製)に積層体をセットし、80℃、85%相対湿度の条件に100時間放置した。その後24時間室内で自然乾燥させた後目視観察を行い、変色、剥がれ、割れ、歪みのない場合は合格(表1中、○で示す)とした。
ヒートサイクル試験
ヒートサイクル試験機(エスペック社製)に積層体をセットし、−50℃から85℃のヒートサイクルを100サイクル繰り返した後の目視観察を行い、変色、剥がれ、割れ、歪みのない場合は合格(表1中、○で示す)とした。
鉄球落下試験
130g、直径3.5cmの鉄球を25cmの高さから積層体の中央に落下させた。
積層体は、図4に示す受け治具に置いた状態で固定していない。
落下後の積層体の目視観察を行い、剥がれ、割れ、のない場合は合格(表1中、○で示す)とした。
【0047】
【表1】
【0048】
以上のように、本発明の積層体は軽量である上、鉄球落下試験においても破壊されることなく、−50℃から85℃のヒートサイクル試験でも剥がれや割れを生じること無い高い耐環境性を示した。これらの結果から本発明の積層体は、一般建築や高層ビル等の窓材、自動車、電車等の乗り物等の窓材、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイや、太陽電池、リチウムイオン電池、デジタルサイネージ、タッチパネル、電子ペーパー等のデバイスのガラス基板、及び有機EL照明等のデバイスの基板ガラスやカバーガラスなどに用途に極めて有用である。
図1
図2
図3
図4