(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記収納具は、複数枚の前記標本を起立した状態で収納可能であり、前記標本移動機構は、前記標本を起立した状態で上下方向に移動させる、請求項1に記載の標本収納装置。
標本収納済みの収納具を貯留する第1貯留部へ当該収納具を回収するための回収位置、及び、標本未収納の収納具を貯留する第2貯留部から当該収納具を取り出すための取り出し位置のうちの少なくとも一方に前記検知部が設けられている、請求項11に記載の標本収納装置。
標本収納済みの収納具を貯留する第1貯留部への当該収納具の回収と、標本未収納の収納具を貯留する第2貯留部からの当該収納具の取り出しとを行うための取り出し回収位置に前記検知部が設けられている、請求項11に記載の標本収納装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の標本撮像装置で使用されるマガジンは、複数の標本を水平の姿勢にして上下方向に並べて収納する。そして、マガジンの側面には開口部が形成され、この開口部を介して標本の出し入れが行われる。
しかしながら、標本の撮像にイマージョンオイルが使用されると、標本に付着したイマージョンオイルが様々な方向にこぼれ落ち、マガジン内部の側面及び底面等に付着したり、マガジン内の他の標本に付着したりする場合がある。特に、マガジンに付着したイマージョンオイルが側面の開口部から外部に漏れると、マガジンの周囲を汚してしまう。そのため、マガジンの周囲を洗浄する工程が必要になったり、マガジンの周囲の機構等にイマージョンオイルが付着し、当該機構等の動作に悪影響を及ぼしたりする可能性がある。また、マガジン自体は標本撮像装置内で移動しないので、マガジンに到るまでの標本の移動距離が大きくなり、移動中にオイルがこぼれて移動経路を汚してしまう可能性が高くなる。
【0006】
一方、特許文献2記載の自動化顕微鏡システムで使用される保管箱は、有底で上方に開口した形状とされ、複数のスライドガラスが立てた状態で収納される。しかし、保管箱自体は移動せず固定されているため、スライドガラスの移動経路が長くなり、移動中にイマージョンオイルがこぼれて移動経路を汚してしまう可能性が高くなる。また、標本撮像装置には一つの保管箱がセットされるだけであるので、当該保管箱がスライドガラスで一杯になると人為的に他の保管箱に取り替える必要があり、その間、装置を停止せざるを得ないので作業効率が悪化する。
【0007】
このような事情に鑑み、本発明は、標本に付着したイマージョンオイル等の液体が収納具の外部に漏れてしまうことが無く、しかも、収納具の供給や排出を自動化することによって作業効率を向上させることができる、標本収納装置及び標本収納方法、並びに、収納具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の第1の観点による標本収納装置は、
検体の撮像に使用された
、スライドガラスに検体を塗抹した標本を、上部に開口部を有する有底形状の収納具に収納するための標本収納装置であって、
前記開口部を上方に向けた状態で前記収納具を移動させる収納具移動機構と、
前記標本を上下方向に移動させる標本移動機構と、を備え、
前記収納具移動機構は、前記収納具を所定の標本収納位置に移動させ、前記標本移動機構は、前記標本収納位置に位置付けられた収納具に対して、上方から標本を収納することを特徴とする。
【0009】
このような構成によって、収納具に収納された標本からイマージョンオイル等の液体がこぼれたとしても、収納具の底に溜めることができ、当該液体が収納具から漏れるのを防止することができる。したがって、収納具の周囲や収納具移動機構等に液体が付着するのを防止することができる。また、収納具移動機構が、収納具を所定の標本収納位置まで移動させるので、標本の移動距離を可及的に短くすることができ、標本の移動経路を汚してしまうのを抑制することができる。
【0010】
(2)前記収納具は、複数枚の前記標本を起立した状態で収納可能であり、前記標本移動機構は、前記標本を起立した状態で上下方向に移動させることが好ましい。
このように標本を起立した状態で収納具に収納することで、標本からこぼれた液体が他の標本に付着してしまうのを抑制することができる。
【0011】
(3)前記収納具移動機構は、前記収納具を水平方向に移動させることが好ましい。
この構成によれば、収納具移動機構が開口部を上方に向けた収納具を標本収納位置に水平に移動させることで、標本収納位置において上下方向に移動する標本を収納具に収納することができる。
【0012】
(4)前記標本移動機構は、前記標本の保持と開放とを切り替えて行う保持部を含んでおり、前記標本を保持した前記保持部を前記標本収納位置の上方に移動し、その後、前記保持部を下降させることによって前記標本収納位置にある前記収納具に前記標本を収納し、前記保持部を開放させることが好ましい。
このような構成によって、保持部を上下方向に移動させる動作を利用して収納具に好適に標本を収納することができる。
【0013】
(5)本発明の標本収納装置は、標本収納済みの前記収納具を貯留する第1貯留部をさらに備えており、
前記収納具移動機構は、前記標本収納位置から前記第1貯留部へ前記収納具を移動させることが好ましい。
この構成によれば、標本収納済みの収納具を第1貯留部に貯留しておくことができるので、当該収納具を即座に取り出さなくても他の収納具を標本収納位置に移動させて標本の収納動作を継続することができる。
【0014】
(6)上記(5)の構成において、前記第1貯留部へ前記収納具を回収するための回収位置と前記第1貯留部との間の前記収納具の移動を阻止する第1移動阻止機構をさらに備えており、
前記第1移動阻止機構は、前記回収位置に前記収納具があるときは、前記収納具の移動を阻止しないことが好ましい。
このような構成によって、回収位置に収納具がないときは必要に応じて第1移動阻止機構により第1貯留部内の収納具が回収位置に侵入するのを防止することが可能となり、前記回収位置に前記収納具があるとき、当該回収位置から第1貯留部への収納具の回収動作を支障なく行うことができる。
【0015】
(7)上記(5)、(6)の構成において、本発明の標本収納装置は、標本未収納の前記収納具を貯留する第2貯留部をさらに備えており、
前記収納具移動機構は、前記第2貯留部から前記標本収納位置へ前記収納具を移動させることが好ましい。
この構成によれば、標本未収納の収納具を第2貯留部に貯留しておくことができるので、標本収納位置にある収納具への標本の収納が終わり次第、第2貯留部から標本未収納の収納具を取り出して標本収納位置へ移動させ、標本の収納動作を継続して行うことができる。
【0016】
(8)上記(7)の構成において、前記第2貯留部から前記収納具を取り出すための取り出し位置と前記第2貯留部との間の前記収納具の移動を阻止する第2移動阻止機構をさらに備えており、
前記第2移動阻止機構は、前記取り出し位置に前記収納具があるときは、前記収納具の移動を阻止しないことが好ましい。
このような構成によって、取り出し位置に収納具がないときは必要に応じて第2移動阻止機構により第2貯留部の収納具が取り出し位置へ侵入するのを防止することが可能となり、取り出し位置に収納具があるときは、例えば当該収納具を取り出し位置から移動させるのに合わせて、第2貯留部から新たな収納具を取り出し位置に移動させることができる。
【0017】
(9)上記(8)の構成において、前記取り出し位置と前記回収位置とが同一の位置であることが好ましい。
このような構成によって、取り出し位置及び回収位置に収納具がないときは、標本収納位置から標本収納済みの収納具が取り出し位置及び回収位置に戻ってくる可能性があるので、移動阻止機構によって第1及び第2貯留部に貯留された他の収納具が取り出し位置及び回収位置に侵入するのを防止し、取り出し位置及び回収位置への収納具の回収動作を支障なく行うことができる。一方、取り出し位置及び回収位置に収納具があるときには、移動阻止機構の機能を解除することによって、取り出し位置及び回収位置から第1貯留部への標本収納済みの収納具の移動を許容し、同時に、第2貯留部から取り出し位置及び回収位置への標本未収納の収納具の移動を許容することができる。
【0018】
(10)本発明の標本収納装置は、前記収納具の転倒を防止する転倒防止手段をさらに備えていてもよい。
この構成によれば、収納具が倒れることによって底に溜まった液体がこぼれ出てしまうのを防止することができる。
【0019】
(11)本発明の標本収納装置は、前記収納具の外壁面に設けられた被検知部を検知するための検知部をさらに備えていてもよい。
検知部により収納具に設けられた被検知部を検知することによって、収納具の存在を確認することができる。
【0020】
(12)上記(11)の構成において、標本収納済みの収納具を貯留する第1貯留部へ当該収納具を回収するための回収位置、及び、標本未収納の収納具を貯留する第2貯留部から当該収納具を取り出すための取り出し位置のうちの少なくとも一方に前記検知部が設けられていてもよい。
この構成によれば、収納具に設けられた被検知部を利用して、回収位置又は取り出し位置における収納具の存在を確認することができる。
【0021】
(13)上記(11)の構成において、標本収納済みの収納具を貯留する第1貯留部への当該収納具の回収と、標本未収納の収納具を貯留する第2貯留部からの当該収納具の取り出しとを行うための取り出し回収位置に前記検知部が設けられていてもよい。
この構成によれば、収納具に設けられた被検知部を利用して、取り出し回収位置における収納具の存在を確認することができる。
【0022】
(14)前記収納具は、平面視における中央線を基準とした2回対称の回転対称形状とされていてもよい。
このような構成によって、収納具を中央線回りに180°回転させても形状が変わらないので、水平方向の向きを気にすることなく収納具を利用することができる。
【0023】
(15)本発明の第2の観点による標本収納方法は、
検体の撮像に使用された
、スライドガラスに検体を塗抹した標本を、上部に開口部を有する有底形状の収納具に収納するための標本収納方法であって、
前記開口部を上方に向けた状態で前記収納具を所定の標本収納位置に自動的に移動させ、
前記標本収納位置に位置付けられた前記収納具に対して上方から標本を自動的に収納することを特徴とする。
【0024】
このような方法によって、収納具に収納された標本からイマージョンオイル等の液体が滴下したとしても、有底形状の収納具の底に溜めることができ、当該液体が収納具から漏れるのを防止することができる。したがって、収納具の周囲や収納具移動機構等に液体が付着するのを防止することができる。また、収納具移動機構が、収納具を所定の標本収納位置まで移動させるので、当該標本の移動距離を可及的に短くすることができ、移動中の液体のこぼれを抑制することができる。
【0025】
(16)本発明の第3の観点による収納具は、
標本収納装置において使用され、検体の撮像に使用された
、スライドガラスに検体を塗抹した標本を収納する収納具であって、
底壁と、この底壁の外周部から上方に立ち上がる側壁とを有し、かつ底部が閉じ上部に開口部を有する有底形状に形成され、前記標本を起立した姿勢で支持可能な支持部を有していることを特徴とする。
このような収納具を用いると、標本に付着した液体を底に溜めることができ、当該液体が収納具から漏れるのを防止することができる。また、標本を起立した姿勢で支持することによって、標本からこぼれた液体が他の標本に付着するのを防止することができる。
【0026】
(17)本発明の収納具は、前記標本収納装置に設けられた検知部によって検知される被検知部を外壁面に有していてもよい。
収納具の外壁面に形成された被検知部を利用して、収納具の存在を確認することができる。
【0027】
(18)当該収納具を並列させたときに、隣接する収納具の被検知部間には、非検知領域が形成されることが好ましい。
複数の収納具を並べて搬送する場合に、各収納具の被検知部と、収納具間の被検知領域とが交互に配置されることになるので、検知部によって、各収納具の存在を適切に確認することができる。
【0028】
(19)本発明の収納具は、下端部に、載置面に対する接触面積を減少させる凹部が形成されていることが好ましい。
このような構成によって、収納具を載置面上で移動させる場合に、当該載置面との間の摩擦抵抗を低減することができる。
【0029】
(20)本発明の収納具において、支持部は、上下方向に延びる凹溝である。
このような構成によって、標本をより容易に起立した姿勢で支持することができる。
【0030】
(21)本発明の第4の観点による標本収納装置は、
上部に開口部を有する有底形状に形成され、かつ検体の撮像に使用された
、スライドガラスに検体を塗抹した標本を収納するための収納具と、
前記開口部を上方に向けた状態で前記収納具を移動させる収納具移動機構と、
前記標本を上下方向に移動させる標本移動機構と、を備え、
前記収納具移動機構は、前記収納具を所定の標本収納位置に移動させ、前記標本移動機構は、前記標本収納位置に位置付けられた収納具に対して、上方から標本を収納することを特徴とする。
【0031】
このような構成によって、収納具に収納された標本からイマージョンオイル等の液体が滴下したとしても、有底形状の収納具の底に溜めることができ、当該液体が収納具から漏れるのを防止することができる。したがって、収納具の周囲や収納具移動機構等に液体が付着するのを防止することができる。また、収納具移動機構が、収納具を所定の標本収納位置まで移動させるので、当該標本の移動距離を可及的に短くすることができ、移動中の液体のこぼれを抑制することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、標本に付着したイマージョンオイル等の液体が収納具の外部に漏れてしまうことが無く、しかも、収納具の供給や排出を自動化することによって作業効率の悪化を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の標本検査システム(標本撮像システム)の実施の形態を図面を参照して説明する。
[標本検査システムの概略構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る標本検査システムを示す全体構成図である。
本実施の形態の標本検査システム1は、標本作製装置2、標本搬送装置3、及び標本撮像装置(標本検査装置)4から構成されており、血液等の検体の標本の作製から標本の撮像(検査、分析)までの一連の動作を自動的に行うシステムとされている。
なお、本明細書においては、
図1に示すX方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向として説明する。また、
図1においては下側を前側とし、上側を後側としており、標本作製装置2が標本検査システム1の右側部に配置され、標本撮像装置4が左側部に配置され、標本作製装置2と標本撮像装置4との左右間に標本搬送装置3が配置されている。標本搬送装置3は、その一部が標本撮像装置4の前側にオーバーラップして配置されている。また、本明細書においては、左右方向と言う意味で「横」と記載することがあり、前後方向という意味で「縦」と記載することがある。
【0035】
標本作製装置2は、検体である血液をスライドガラス上に塗抹し、乾燥や染色等の処理を施すことによって標本プレート(以下、単に「標本」ともいう)10を作製するものである。
図2は、標本プレート10とカセット11の斜視図である。標本プレート10は、ガラス等の長方形状の板材からなり、その中央部10aに検体が塗抹される。また、標本プレート10の上部には、検体情報(検体番号、日付、受付番号、氏名、検体の情報を示すバーコード等)10bが印刷される。
【0036】
また、作製された標本プレート10は、カセット11に収納された状態で、次の標本搬送装置3に供給される。標本作製装置2の左側の後部には、標本搬送装置3に標本プレート10入りのカセット11を供給するカセット供給部2aが設けられている。また、標本作製装置2における各機構部の動作は制御部2bによって制御される。制御部2bは、CPUや記憶部等を備え、通信部2cを介して他の機器と通信可能に接続される。
【0037】
標本プレート10を収納するカセット11は、正面視で略T字状に形成された扁平なケースとされている。カセット11の上端部中央には、標本プレート10を挿入するための挿入口11aが形成されている。この挿入口11aに挿入された標本プレート10は、その上部の検体情報10bが外部に露出するようにカセット11から突出する。また、カセット11の上部には、左右両側に突出するように鍔部11bが形成されている。
【0038】
標本搬送装置3は、標本作製装置2から受け取った標本プレート10(カセット11)を、隣接する標本撮像装置4に搬送する機能を有する。具体的には、カセット11から標本プレート10を取り出し、所定の経路を経て標本撮像装置4に標本プレート10を搬送する。また、標本搬送装置3は、標本撮像装置4において撮像が終了した後の標本プレート10を回収し、所定の収納具(回収箱)12に収納する機能(標本収納装置としての機能)をも有している。標本搬送装置3における各機構部(後述する標本収納装置20、標本移動機構21〜23等)の動作は制御部3bによって制御される。この制御部3bは、CPUや記憶部等を備え、標本作製装置2の制御部2bと通信部3c,2cを介して接続されており、相互に連携した動作を行うために情報の送受信が可能となっている。この標本搬送装置3の詳細な説明については後述する。
【0039】
標本撮像装置4は、標本搬送装置3から受け取った標本プレート10を撮像部4aに搬送し、この撮像部4aにおいて検体の撮像を行う。撮像された画像データは制御部4bに送信される。制御部4bは、CPUや記憶部等を備えており、画像データをもとに細胞の特徴抽出処理や識別分類処理等の所定の処理を実行する。撮像した画像データや分析結果は、表示モニター4dに表示したり、図示しないプリンタ等を介して出力したりすることができる。また、制御部4bは、標本搬送装置3の制御部3bと通信部4c,3cを介して接続されており、相互に連携した動作を行うために情報の送受信が可能となっている。なお、標本撮像装置4の制御部4bは、分析に関わる処理を行う部分が、パーソナルコンピュータ等の単独の制御装置により構成されていてもよい。
【0040】
[標本搬送装置3の構成]
次に、標本搬送装置3について詳細に説明する。
図1に示されるように、本実施の形態の標本搬送装置3は、標本移動機構21〜23と、標本収納装置20とに大別される。さらに標本移動機構は、カセット移動機構21と、上下移動機構22と、水平移動機構23とから構成されている。
【0041】
また、標本収納装置20は、ラック移動機構24と、収納具貯留部75とから構成されている。
そして、標本プレート10は、標本移動機構21〜23によって標本撮像装置4にまで搬送され、標本撮像装置4に引き渡される。また、標本撮像装置4において撮像が終了した後の標本プレート10は、水平移動機構23、上下移動機構22、及びラック移動機構24によって、所定のラック12(収納具)に収納され、その後、ラック12ごと標本搬送装置3から回収可能な状態とされる。
【0042】
[カセット移動機構21の構成]
カセット移動機構21は、標本作製装置2のカセット供給部2aから供給された標本プレート10入りのカセット11を受け入れて貯留する標本受入部26と、標本プレート10を取り出したカセット11を回収するカセット回収部27と、カセット11を左右方向に移動させる横移動部28とを有している。
【0043】
標本受入部26は、標本プレート10入りのカセット11を前後方向に多数並べた状態で収納することができる。標本受入部26には、例えば90個のカセット11を収容することができる。標本受入部26は、前後方向に延びるベルトコンベア(縦移動部)26aを左右一対備えている。カセット11は、左右のベルトコンベア26a上に鍔部11b(
図2参照)を載せることによって保持され、このベルトコンベア26aを回送させることによって前方へ移動する。なお、標本受入部26は、複数の標本プレート10を収容することができるので、標本作製装置2における標本プレート10の作製サイクル(例えば、120個/時間)と、標本撮像装置4における撮像サイクル(例えば、30個/時間)との差を吸収することができる。
【0044】
カセット回収部27は、標本受入部26の左側に隣接して配置され、標本プレート10が抜き取られたカセット11を前後方向に多数並べた状態で収納することができる。カセット回収部27には、例えば標本受入部26と同数の90個のカセット11を収納することができる。また、カセット回収部27は、前後方向に延びるベルトコンベア(縦移動部)27aを左右一対備えている。カセット11は、左右のベルトコンベア27a上に鍔部11b(
図2参照)を載せることによって保持され、ベルトコンベア27aを回送させることによって後方へ移動する。
【0045】
横移動部28は、標本受入部26及びカセット回収部27の前端部に設けられている。そして、横移動部28は、標本受入部26の前端にあるカセット11を保持して左右方向に移動させる。この左右方向の移動の過程で、カセット11から標本プレート10が取り出され、空になったカセット11がカセット回収部27に回収されるようになっている。
具体的には、
図3に示されるように、横移動部28は、標本受入部26の前端にあるカセット11を取り出して保持し、左方向(矢印x1)に搬送する(
図3(a)参照)。そしてカセット11は、カセット移動機構21の前端部の左側に設定された所定の標本受け渡し位置Wに位置付けられる。この標本受け渡し位置Wでは、後述する上下移動機構22の把持部31が上方(上段位置H)で待機している。把持部31は、下方(矢印z1)の中段位置Mへ移動して標本プレート10を把持し、その後、上方(矢印z2)へ戻ることによって標本プレート10をカセット11から抜き取る(
図3(b),(c)参照)。
【0046】
横移動部28は、標本プレート10が抜き取られたカセット11を右方向(矢印x2)に移動し、カセット回収部27の前端部に位置付け、カセット回収部27の前端部にカセット11を受け渡す。カセット回収部27は、受け渡された空のカセット11をベルトコンベアによって後方へ移動し、次の受入まで待機する。また、横移動部28は、再び標本受入部26から次のカセット11を受け取り、上記の動作を繰り返し行う。
【0047】
本実施の形態のカセット移動機構21は、標本受入部26、横移動部28、カセット回収部27のいずれにおいてもカセット11を起立させた姿勢のまま移動させている。そのため、カセット11の姿勢を変更させるような複雑な機構を必要とせず、構造の簡素化を図ることができる。
なお、横移動部28によってカセット11を保持する形態としては、カセット11の下面や鍔部11bを下から支持する形態や、カセット11をクランプ部材等によって挟持する形態、吸盤等によって吸着する形態等の種々の形態を採用することができる。また、保持したカセット11を左右方向に移動させるには、ベルトコンベアやチェーン等の巻掛搬送機構や、流体圧シリンダ等の伸縮動作機構等を採用することができる。
【0048】
[上下移動機構22の構成]
図4は、標本搬送装置3における上下移動機構22を示す概略側面図である。
上下移動機構22は、標本プレート10を把持する把持部(保持部)31と、この把持部31を上下昇降させる上下移動部32とを有している。把持部31は、前後一対の把持爪33と、この把持爪33を前後に開閉させる開閉機構34とを備えている。そして、把持爪33を前後に開閉させることによって標本プレート10の把持(保持)と開放とを行うことが可能となっている。また、把持部31は、上下移動機構22の支持フレーム35によって上下方向に移動可能に支持されている。支持フレーム35は、上下方向に延びるとともに、把持部31の上下移動を案内するガイドレール36を備えている。
【0049】
図5は、把持爪33の開閉動作を説明する概略底面図であり、
図5(a)は把持爪33が閉じた状態、
図5(b)は把持爪33が開いた状態を示している。一方の把持爪33には、左右に並べて設けられた2つの突起33aが設けられている。また、他方の把持爪33には、2つの突起33aの間に相当する位置に1つの突起33bが設けられている。そして、把持爪33は、3つの突起33a,33bによって3点で標本プレート10を挟み、把持するようになっている。これらの突起33a,33bは、ゴム等の弾性材料により形成される。または、一方の把持爪33の突起33aは、円すい形状に形成され、他方の把持爪33の突起は直方体又は立方体形状に形成されている。突起33aを円すい形状にすることで標本プレート10に対する接触面積を小さくし、把持圧を高めることができる。
【0050】
開閉機構34は、駆動モータ37と、この駆動モータ37の出力軸37aに連結された操作棒38と、この操作棒38の各端部にピン38aを介して連結された一対の操作部材39と、引っ張りコイルバネからなる付勢部材40と、を備えている。駆動モータ37は、把持部31の固定フレーム41に固定されている。操作部材39は、それぞれ一対の把持爪33に連結され、把持爪33とともに前後方向に移動可能な状態で固定フレーム41に支持されている。また、操作部材39には左右方向に長い長孔39aが形成され、この長孔39aにピン38aが係合している。付勢部材40は、前側の把持爪33及び操作部材39を後方へ付勢し、後側の把持爪33と操作部材39とを前方へ付勢する。
【0051】
したがって、一対の把持爪33は、付勢部材40によって互いに接近する方向へ付勢され、この付勢力によって標本プレート10を把持可能となっている。また、駆動モータ37によって操作棒38を回動させると、一対の把持爪33及び操作部材39が相互に離れる方向に移動し、一対の把持爪33を開放することができる。このように付勢部材40の付勢力によって標本プレート10を把持することにより、標本プレート10を把持している最中に駆動モータ37への通電が途絶えたとしても標本プレート10を落下させることなく把持し続けることができる。
【0052】
図4に示されるように、上下移動部32は、上下方向に延びるベルトコンベアからなり、このベルトコンベア32は、支持フレーム35に設けられた上下一対のプーリ43と、両プーリ43に巻き掛けられたベルト44と、一方のプーリ43を回転駆動する駆動モータ45とを備えている。ベルト44には、把持部31が連結されている。そして、駆動モータ45によってベルト44を回送させることで把持部31を上下方向に移動させることができる。なお、上下移動部32は、ベルトコンベアに限らず、チェーン搬送機構や流体圧シリンダ等の伸縮動作機構等の他の構成を採用することもできる。
【0053】
上下移動機構22は、把持部31によって把持した標本プレート10を、前述の標本受け渡し位置Wで上下方向に移動し、当該標本プレート10を上段位置H、中段位置M、及び下段位置Lの少なくとも3つの高さに位置付ける。前述のカセット移動機構21は、中段位置Mに配置されており、カセット移動機構21によって搬送されるカセット11内の標本プレート10を把持部31で把持した状態で上段位置Hに移動させることで当該標本プレート10をカセット11から抜き取るようになっている。また、後で説明する水平移動機構23は下段位置Lに配置され、標本収納装置20は中段位置Mに配置されており、上下移動機構22は、これらの機構23、装置20との間でも標本プレート10の受け渡しが可能となっている。
【0054】
以上のように、上下移動機構22は、標本受け渡し位置Wにおいて標本プレート10を上下方向に移動させるだけで前後左右には移動させない。したがって、カセット11からの標本プレート10の取り出しや、後述する水平移動機構23に対する標本プレート10の受け渡し、ラック移動機構24によって搬送されるラック12への標本プレート10の引き渡しは、全て標本プレート10の上下移動によって行われる。そのため、上下移動機構22の構成を簡素化することができるとともに、保護されていない(覆われていない)状態の標本プレート10の移動距離(移動範囲)を可及的に短くすることが可能となっている。
【0055】
[水平移動機構23の構成]
図1に示されるように、水平移動機構23は、標本受け渡し位置Wと、標本撮像装置4の標本受渡部4eとの間で標本プレート10を左右方向に移動させるものである。
水平移動機構23は、標本受け渡し位置Wにおいて把持部31から標本プレート10を受け取って標本撮像装置4の標本受渡部4e(
図1参照)へ向けて左方向へ移動させ、撮像済みの標本プレート10を標本受渡部4eから受け取って標本受け渡し位置Wに向けて右方向へ移動させる搬送ユニット50を備えている。
【0056】
図6は、水平移動機構23の搬送ユニット50を示す平面図、
図7は、
図6のVII−VII矢視断面図、
図8は、
図6のVIII−VIII矢視断面図であって、標本プレート10の位置決め機構の作用を示す説明図である。
搬送ユニット50は、基台51と、搬送ケース52と、横移動部53とを有している。基台51は、標本搬送装置3の装置フレームによって
図1に示される標本受け渡し位置Wと標本撮像装置4における標本受渡部4eとの間を左右方向に移動可能に支持されている。横移動部53は、ベルトコンベアからなり、左右一対のプーリ54に巻き掛けられたベルト55と、一方のプーリ54を駆動する駆動モータ56等からなる。また、基台51の上部には左右一対の支持片51aが設けられ、この支持片51aに左右方向の軸心を有する支軸57が架設されている。
【0057】
搬送ケース52は、第1壁部材58と、第2壁部材59と、仕切り部材60とを有している。第1壁部材58は、
図7及び
図8に示されるように、断面コの字状に屈曲されており、左右の側壁部58a,58bと、上壁部58cとを有している。一方、第2壁部材59は、上壁部58cの下方で対向する下壁部59aを有している。下壁部59aの左右中央には仕切り部材60が設けられている。また、第1壁部材58の前端部には、下方に屈曲する底壁部58dが設けられている。したがって、搬送ケース52には、第1壁部材58、第2壁部材59、及び仕切り部材60によって囲まれるとともに、後方に開放した2つのスペース61,62が左右に並べて形成されている。これらのスペースは、標本プレート10を収容可能な収容部を構成している。
【0058】
搬送ケース52に形成された収容部61,62は、撮像前の標本プレート10を収容する第1収容部61と、撮像済みの標本プレート10を収容する第2収容部62とからなっている。また、標本プレート10は、第1、第2収容部61,62に収容されることによって、検体塗抹10a部分を含む大部分が搬送ケース52に覆われ、検体情報10bを印刷した部分が搬送ケース52から突出した状態となる。また、
図6に示されるように、第2壁部材59における側壁部58a,58b及び上壁部58cと、底壁部58dとの境界部分には、切り欠き63が形成されている。この切り欠き63は、後述するようにイマージョンオイル等の付着物を滴下させるための開口部として機能する。
【0059】
搬送ケース52の第1壁部材58と第2壁部材59とは左右方向に相対移動可能に連結されている。このため、
図8(a)に示されるように、第1収容部61の左右幅w1が小さく、第2収容部62の左右幅w2が大きい状態と、
図8(b)に示されるように、第1収容部61の左右幅が大きく、第2収容部62の左右幅が小さい状態とに寸法調整が可能である。そして、第1,第2収容部61,62の左右幅w1,w2が小さい状態では、標本プレート10と、左右側壁部58a,58b及び仕切り部材60との間の隙間が小さくなり、標本プレート10の左右方向のがたつきが抑制される。また、第1,第2収容部61,62の左右幅w1,w2が広い状態では、標本プレート10と左右側壁部58a,58b及び仕切り部材60との間の隙間が大きくなり、各収容部61,62に対する標本プレート10の挿入が容易になる。なお、第1,第2収容部61,62の左右幅w1,w2の調整方法については後述する。
【0060】
図6及び
図7に示されるように、第1壁部材58における左右側壁部58a,58bの下端部には、左右方向に延びる脚部材64が架設されている。また、第2壁部材59の左右両側には前方に延びる連結腕59bが設けられている。連結腕59bの先端部は、支軸57に回動自在に連結されている。したがって、搬送ケース52は、支軸57を中心として上下(前後)に揺動可能であり、この揺動によって、第1,第2収容部61,62の開口を後方に向けた水平姿勢(基準姿勢)と、当該開口を上方に向けた起立姿勢とに姿勢変更可能である。
【0061】
また、搬送ユニット50の搬送ケース52は、姿勢変更機構65によって姿勢変更される。この姿勢変更機構65は、標本受け渡し位置Wに位置している搬送ユニット50の搬送ケース52の下側に挿入される操作バー65aと、この操作バー65aを上下に移動させる駆動部65b(
図9参照)とを備えている。駆動部65bは、駆動モータとリンク部材等から構成することができる。そして、駆動部65bによって操作バー65aを移動させると、搬送ケース52が支軸57を支点に上下に揺動し、水平姿勢と起立姿勢とのいずれかの姿勢をとる。なお、支軸57にはねじりコイルバネからなる付勢部材66が装着されており、この付勢部材66によって搬送ケース52は下方へ揺動する方向(水平姿勢となる方向)へ付勢されている。また、
図7に示されるように、基台51の後部には磁石(吸着部材)67aを備えた支持部67が設けられており、搬送ケース52が水平姿勢となると、第1壁部材58に連結された脚部材64が支持部67上に載置され、磁石67aに吸着される。これにより、搬送ケース52が振動等によって浮き上がらないように水平姿勢に保持される。
【0062】
図3を参照して説明したように、上下移動機構22によってカセット11から抜き取られた標本プレート10は、把持部31に把持された状態で標本受け渡し位置Wの上段位置Hに位置している。そして、
図4に示されるように、当該標本プレート10は、標本受け渡し位置Wの下段位置Lにある搬送ユニット50の搬送ケース52に受け渡される。このとき、搬送ケース52は、姿勢変更機構65によって起立姿勢とされ、標本プレート10は、把持部31が下降することによって搬送ケース52の第1収容部61に挿入される。
【0063】
図9及び
図10は、水平移動機構23の動作を説明する概略平面図である。
図9に示されるように、標本受け渡し位置Wにおいて搬送ユニット50の搬送ケース52に標本プレート10が挿入され、搬送ケース52が姿勢変更機構65によって水平姿勢に姿勢変更されると、横移動部53(
図6参照)が作動して搬送ケース52を左方向(矢印x4)へ移動させる。これにより、搬送ケース52は、標本撮像装置4の標本受渡部4eに位置付けられる(
図9(a)参照)。
【0064】
標本撮像装置4は、標本プレート10を移動させるための搬送部4fを備えており、この搬送部4fが、標本受渡部4eまで移動した搬送ケース52から標本プレート10を取り出す(
図9(b)参照)。取り出された標本プレート10は、搬送部4fによって撮像部4a(
図1参照)にまで搬送され、この撮像部4aにおいて検体の画像が撮像され、分析に供される。撮像済み(検査済み)の標本プレート10は、搬送部4fによって標本受渡部4eに戻され、待機している搬送ケース52に戻される。
【0065】
このとき、撮像済みの標本プレート10は、搬送ケース52の第2収容部62に挿入される(
図9(c)参照)。そして、搬送ケース52は、右方向(矢印x6)に搬送され(
図10(a)参照)、再びに標本受け渡し位置Wに位置付けられる。その後、搬送ユニット50の搬送ケース52が姿勢変更機構65によって水平姿勢から起立姿勢に姿勢変更される(
図9(b)参照)。
【0066】
なお、前述した水平移動機構23の動作において、標本撮像装置4に搬送した標本プレート10に対し分析が行われている間に、次に分析を行う標本プレート10が上下移動機構22に供給されている場合には、搬送ケース52は標本受渡部4eから標本受け渡し位置Wに移動し、次に分析を行う標本プレート10を搬送ケース52の第1収容部61に収容する。続いて、横移動部53の動作により搬送ケース52を標本撮像装置4の標本受渡部4eに位置付け、搬送部4fは次に分析を行う標本プレート10を第1収容部61から取り出す。そして、前回搬送され標本撮像装置4による撮像が完了した標本プレート10を、搬送ケース52の第2収容部62に収容する。このように水平移動機構23を動作させることにより、次に撮像を行う標本プレート10を搬送ケース52から取り出す動作および撮像済みの標本プレート10を搬送ケース52に戻す動作は、標本受渡部4eにおいて併せて行われることとなる。これにより、効率的な標本プレート10の搬送が可能となり、標本搬送装置3および標本検査システム1の処理能力を向上させることができる。
【0067】
以上のように標本搬送装置3の水平移動機構23は、カセット11から取り出した標本プレート10を搬送ケース52内に収容した状態で標本撮像装置4まで搬送する。そのため、カセット11から取り出した標本プレート10は搬送ケース52に覆われた状態となり、搬送中のゴミ等の付着が防止される。また、水平移動機構23の搬送ケース52は、撮像前の標本プレート10を収容する第1収容部61と、撮像済みの標本プレート10を収容する第2収容部62とを別個に備えている。そのため、撮像中に標本プレート10に付着したイマージョンオイル等の液体は、第2収容部62内に付着することはあっても第1収容部61に付着することはない。そのため、撮像前の標本プレート10に前記液体が付着するのを防止することができる。
【0068】
また、搬送ケース52の底壁部58dには開口部(切り欠き63;
図6参照)が形成されているので、撮像済みの標本プレート10を標本受け渡し位置Wに搬送し、搬送ケース52を起立状態としたときに、標本プレート10に付着した液体は開口部を介して下方に滴下し、搬送ケース52外へ排出される。また、
図7、
図9、及び
図10に示されるように、標本受け渡し位置Wの下部には、液体受けトレー68が設けられており、搬送ケース52から滴下した液体を受けることによって、当該液体が標本搬送装置3内の他の部品等に付着するのを防止することができる。なお、液体受けトレー68は、標本搬送装置3の装置フレームから着脱することが可能であり、取り外すことによって液体受けトレー68上に貯留された液体を容易に廃棄し、液体受けトレー68を容易に洗浄することができる。また、
図9及び
図10に示されるように、搬送ケース52の移動経路の下方には、液体受け板69が設けられており、移動中の搬送ケース52から滴下した液体を液体受け板69によって受けることができるようになっている。
【0069】
搬送ケース52は、2枚の標本プレート10を左右に並べた状態で収容することができるので、その構造を可及的に小型化することができる。また、搬送ケース52が水平姿勢とされた場合には、各収容部61,62内に収容される標本プレート10の高さを同一とすることができ、標本撮像装置4の搬送部4fによる撮像前及び撮像済みの標本プレート10の受け渡し高さを一定にすることができる。さらに、搬送ケース52が起立姿勢とされた場合には、各収容部61,62内に収容される標本プレート10の前後位置を同一とすることができるので、上下移動機構22の把持部31による標本受け渡しの前後位置を一定とすることができる。
【0070】
図4に示されるように、上下移動機構22によって搬送ケース52の第1収容部61に標本プレート10が挿入されるとき、第1収容部61の左右幅は広い状態(
図8(b)参照)とされる。そのため、第1収容部61に対して標本プレート10を衝突させることなく余裕を持って挿入することができる。しかしながら、その状態のまま搬送ケース52を標本撮像装置4にまで搬送すると、第1収容部61内で標本プレート10ががたつき、その後の標本プレート10の受け渡しに支障が生じる可能性がある。そのため、本実施の形態では、
図9(a)に示されるように、標本プレート10を標本撮像装置4に搬送する前に、一旦、搬送ケース52を右方向(矢印x3)に移動させ、搬送ケース52を装置フレームの壁71に当接させる。より詳しくは、
図8(a)に示されるように、脚部材64を壁71に当接させることで、第2壁部材59に相対して第1壁部材58を同図における右側に移動させる。これにより第1収容部61の左右幅w1を小さくし、標本プレート10のがたつきを無くすことができる。このとき、第2収容部62の左右幅w2は相対的に大きくなる。
【0071】
逆に、撮像済みの標本プレート10は、標本撮像装置4の標本受渡部4eにおいて搬送部4fによって搬送ユニット50における第2収容部62に挿入される。このとき、第2収容部62の左右幅w2が大きい状態とされるので、当該第2収容部62に対して撮像済みの標本プレート10を衝突させることなく余裕を持って挿入することができる。しかし、そのまま撮像済み10の標本プレート10を標本受け渡し位置Wにまで搬送すると標本プレート10にがたつきが生じる可能性がある。そのため、本実施の形態では、当該標本プレート10を標本受け渡し位置Wに搬送する前に、一旦、
図10(a)に示す左方向(矢印x5方向)に搬送ケース52を移動させ、装置フレームの壁72に当接させる。より詳しくは、
図8(b)に示されるように、脚部材64を壁72に当接させることで、第2壁部材59に相対して第1壁部材58を同図における左側に移動させる。これにより、第2収容部62の左右幅w2を小さくし、標本プレート10のがたつきをなくすことができる。
【0072】
[標本収納装置20の構成]
標本収納装置20(ラック移動機構24,貯留部75)は、上述のように水平移動機構23によって標本受け渡し位置Wに搬送された撮像済みの標本プレート10を所定のラック12に収納するためのものである。ラック12は、
図11〜
図14に示されるように、平面視で長方形状の底壁13aと、この底壁13aの各辺から上方に立ち上がる4つの側壁13b,13cとを有しており、上方が開口した形状とされている。そして、このラック12の内部には、合計12枚の標本プレート10を収納することができる。具体的に、このラック12は、複数の標本プレート10を略垂直に起立した姿勢で、底壁13aの長手方向に沿って並べて収納することができる。
【0073】
ラック12の左右側壁13bの内側には、上下方向に延びる凹溝(支持部)14が前後に複数形成されている。この凹溝14に標本プレート10の両側部を嵌合させることによって、標本プレート10が起立した姿勢に支持されるとともに、複数の標本プレート10が、相互に接触することなく間隔をあけた状態で収納される。また、凹溝14は、上方ほど幅が広くなるように形成されている。そのため、標本プレート10を凹溝14に嵌合させるときに、凹溝14間の突出部分に標本プレート10が衝突しにくくなり、標本プレート10を凹溝14の下側まで挿入することによってがたつきを抑制することができる。
【0074】
また、標本プレート10は立てた状態で収納されるので、撮像の際に付着したイマージョンオイル等の液体は下方に流れ、ラック12の底壁13aに溜められる。そのため、当該液体が外部にこぼれ出たり、ラック12の移動領域等を汚したりすることがない。また、左右側壁13bの下端辺には、凹部13dが形成され、この凹部13dによって、後述する貯留部75の底板80に対する接触面積が減少している。そのため、ラック12が底板80上を滑って移動する際の抵抗が低減される。
【0075】
ラック12の前後側壁13cの上端部には、下方に屈曲するフック部15が形成されている。また、ラック12は、
図12の平面視において、前後中心線01を通る垂直面に関して面対称に形成され、左右中心線02を通る垂直面に関して面対称に形成されている。言い換えると、平面視におけるラック12の上下方向にのびる中央線Cに関して回転対称(2回対称)に形成されている。したがって、標本搬送装置3の貯留部75に対してラック12をセットするときには、前後方向の向きを気にすることなくセットすることが可能となっている。
【0076】
また、
図13に示されるように、ラック12の前後側壁13cにおける下端部の左右両側には凹部17が形成されている。そして、左右両側の凹部17の間の部分は、後述する貯留部75内の所定位置(取り出し回収位置R)にラック12が存在するか否かを検出するためのセンサ(検知部)によって検知される被検知部16とされている。
【0077】
図1に示されるように、標本収納装置20は、複数のラック12を左右方向に並べて貯留することができる貯留部75と、貯留部75の内外においてラック12を水平方向に移動させるラック移動機構24とを有している。また、ラック移動機構24は、ラック12を左右方向に移動させる横移動部76(
図15参照)と、貯留部75内の所定位置Rからラック12を前後方向に移動させる縦移動部77とを有している。貯留部75は、標本受け渡し位置Wの前側に配置され、縦移動部77は、標本受け渡し位置Wを前後に横切るように設けられる。
【0078】
図15は、ラック移動機構24を側方から見た断面説明図、
図16及び
図17は、ラック移動機構24を正面から見た断面説明図である。
貯留部75は、平面視で左右方向に長い長方形状に形成された底板80と、底板の4辺から立ち上がる前後板81,82、左右板83とを有している。そして、底板80上に複数のラック12を載置することによってこれらを貯留することができる。そして、本実施の形態の貯留部75は、左右方向の中央部に、ラック12の取り出し回収位置Rが設定されている。この取り出し回収位置Rにおいて、貯留部75からラック12が取り出され、ラック12に対して標本プレート10が収納される。また、標本プレート10の収納が完了したラック12は、再び取り出し回収位置Rに戻される。
【0079】
また、貯留部75における取り出し回収位置Rの右側には、標本プレート10を収納していない空のラック12を貯留する前段貯留部(第2貯留部)75Aが設けられ、取り出し回収位置Rの左側には、撮像済み(検査済み)済みの標本プレート10を収納したラック12を貯留する後段貯留部(第1貯留部)75Bが設けられている。
【0080】
図16に示されるように、貯留部75の後板82は、前段貯留部75Aと後段貯留部75Bの部分のみに形成され、取り出し回収位置Rには設けられていない。そのため、取り出し回収位置Rに配置されたラック12は後方へ引き出すことができる。また、
図15に示されるように、後板82の上端部には、前段貯留部75A及び後段貯留部75Bに収納されたラック12の後側のフック部15が係合されるようになっている。これにより、貯留部75A,75B内のラック12の左右方向の転倒が防止される。したがって、ラック12に形成されたフック部15や、貯留部75A,75Bの後板82は、ラック12の転倒を防止する転倒防止機構として機能している。
【0081】
横移動部76は、貯留部75内のラック12を右から左へ移動させるように構成されている。すなわち、横移動部76は、前段貯留部75Aから取り出し回収位置Rを経て後段貯留部75Bにラック12を移動させる。より具体的には、横移動部76は、前段貯留部75Aに収容された複数のラック12のうち最も右側(搬送方向後部側)のものに係合するプッシャー部材85と、このプッシャー部材85を左右方向に移動させる駆動部86とを有している。
【0082】
プッシャー部材85は、
図15に示されるように、前後一対設けられており、それぞれラック12の前端部及び後端部に係合可能である。前後一対のプッシャー部材85は、貯留部75の下方において連結部材87により連結されており、この連結部材87は、左右方向に延びるガイドレール88によって、左右方向の移動が案内されている。
図16及び
図17に示されるように、駆動部86は、ベルトコンベアにより構成されている。具体的には、左右一対のプーリ86aと、両プーリ86aに巻き掛けられたベルト86bと、一方のプーリ86aを駆動する駆動モータ86cとを有している。ベルト86bには連結部材87が連結されている。
【0083】
そして、駆動モータ86cの作動によってベルト86bを回送させると、連結部材87を介してプッシャー部材85が左右方向に移動する。そして、プッシャー部材85を最も右側のラック12に係合させて、左方向に移動させることで、貯留部75上の全てのラック12を左方向に移動させることができる。なお、
図16に示されるように、プッシャー部材85は、前段貯留部75Aの右端部が初期位置とされ、この初期位置から左方向に移動することによってラック12を移動させる。
【0084】
横移動部76によって、取り出し回収位置Rに移動したラック12は、後述する縦移動部77によって貯留部75上から取り出されるが、この際に、取り出し回収位置R以外に存在するラック12が、誤って取り出し回収位置Rに侵入しないようにその移動を阻止するストッパ機構(移動阻止機構)78が設けられている。
このストッパ機構78は、
図16及び
図17に示されるように、取り出し回収位置Rの左右両側において、貯留部75の底板80上に突出してラック12に作用する移動阻止部材90と、この移動阻止部材90が底板80上から突出する作用状態と、底板80の下方に退避する非作用状態とに切り替える切替部91とを備えている。
図15に示されるように、移動阻止部材90は、取り出し回収位置Rの左右それぞれにおいて前後に2つ設けられている。
【0085】
移動阻止部材90は、それぞれ底板80の下方において前後方向の支軸90a回りに回動可能に取り付けられている。そして、左右に対向する移動阻止部材90同士は、リンク部材90bによって連結され、連動して揺動するようになっている。具体的には、左右の移動阻止部材90は、互いに近づく方向へ揺動することによって底板80上から退避し、互いに離れる方向へ揺動することによって底板80上に突出する。
【0086】
切替部91は、右側の移動阻止部材90の下端部に一端が連結された駆動リンク91aと、この駆動リンク91aの他端に一端部が連結された連動リンク91bとを備えている。連動リンク91bは、中央部が前後方向の支軸91c回りに回動可能に取り付けられ、上端部に駆動リンク91aが連結されている。また、連動リンク91bの下端部には、横移動部76の連結部材87とともに移動する係合部材87aが係合している。また、連動リンク91bは、図示しない付勢部材によって時計回りに付勢されている。
【0087】
したがって、ストッパ機構78は、横移動部76の動作に連動して動作する。具体的には、
図16に示されるように、プッシャー部材85が右端の初期位置にあるときは、係合部材87aが連動リンク91bに係合し、移動阻止部材90が底板80から突出した作用状態となる。この状態では、前段貯留部75A及び後段貯留部75Bにあるラック12は、取り出し回収位置Rに侵入できない。また、プッシャー部材85が初期位置にあるので、ラック12が取り出し回収位置Rに移動することもない。
【0088】
そして、
図17に示されるように、プッシャー部材85が初期位置から左方向に移動して、ラック12を押動しようとすると、係合部材87aが連動リンク91bから外れ、駆動リンク91aを介して移動阻止部材90が非作用状態となる。したがって、プッシャー部材85によって押されたラック12は、移動阻止部材90に妨げられることなく貯留部75内を移動することができる。
【0089】
このようにストッパ機構78(移動阻止部材90)は、横移動部76と連動して動作し、横移動部76の駆動部86と同一の駆動部によって駆動される。したがって、これらを別々の駆動部によって駆動する場合に比べて構造の簡素化を図ることができる。
【0090】
図21は、ラック移動機構24の縦移動部77(後退状態)を示す側面説明図、
図22は、ラック移動機構24の縦移動部77(前進状態)を示す側面説明図である。
縦移動部77は、横移動部76によって、取り出し回収位置Rにあるラック12を後方へ移動させることで貯留部75から取り出し、当該ラック12を標本プレート10の収納位置(前述の標本受け渡し位置W)に移動させ、標本プレート10を収納した後のラック12を再び貯留部75に戻す機能を有している。
【0091】
縦移動部77は、ラック12を支持する支持部92と、支持部92を前後方向に移動させる駆動部94とを有している。支持部92は、ラック12の後側のフック部15に係合する係合爪93と、係合爪93に係合されたラック12の姿勢を保持する姿勢保持具95と、係合爪93及び姿勢保持具95を前端に取り付けた移動部材96とを備えている。
移動部材96は、前後方向に長く形成された長尺の部材であり、ガイド部97によって前後方向に移動可能に支持されている。
【0092】
駆動部94は、ベルトコンベアからなり、前後一対のプーリ94aと、両プーリ94aに巻き掛けられたベルト94bと、一方のプーリ94aを駆動する駆動モータ94cとを備えている。ベルト94bには、移動部材96の後端部が連結されている。したがって、駆動モータ94cの作動によって移動部材96を介して係合爪93及び姿勢保持具95を前後方向に移動させることができる。なお、
図21に示される係合爪93の位置は、最も後退した初期位置とされる。
【0093】
係合爪93は、ラック12の後側のフック部15に係合することによってラック12を持ち上げた状態で支持している。また、係合爪93をフック部15に係合させただけであると、ラック12の前部側が下方に傾くので、姿勢保持具95をラック12の後側壁13cに当接させることによってラック12の姿勢を水平に保持している。姿勢保持具95は、ラック12に当接する保持具本体95aと、移動部材96上に左右方向の支軸95b回りに揺動可能に設けられた操作部材95cとを備えている。操作部材95cは、係合爪93との間に架設された引っ張りコイルバネよりなる付勢部材95dによって、前方へ揺動するように付勢されている。
【0094】
図22は、縦移動部77によって係合爪93及び姿勢保持具95を最も前方に進出させた状態を示している。このとき、係合爪93は、貯留部75の後板82の上端部と左右方向に並ぶ位置に配置される。したがって、横移動部76によって取り出し回収位置Rにラック12が移動すると、その後側のフック部15が自動的に係合爪93に係合する。また、姿勢保持具95の操作部材95cは、貯留部75の後上側に設けられた当接部98に当接し、後方へ揺動した状態となっている。これにより、姿勢保持具95の保持具本体95aは、ラック12の横移動を妨げないようにラック12の後側壁13cから後退した状態となっている。また、移動部材96の前端部下面には、ローラ96aが取り付けられており、このローラ96aは、貯留部75の後下側に設けられた支持台99上に載置される。これにより、移動部材96の前端部が支持され、係合爪93が適正な上下方向の位置に位置付けられる。
【0095】
図18〜
図20は、ラック移動機構24の横移動部76の動作を説明する概略平面図である。
図18(a)は、前段貯留部75Aに5個の空のラック12が貯留された状態を示している。前段貯留部75Aにラック12があるか否かは、センサ100によって検出することができる。このセンサ100は、前段貯留部75Aを斜めに通過する光軸を有する一対の投受光器により構成されている。また、横移動部76のプッシャー部材85は、右端の初期位置に配置されている。また、後段貯留部75Bにラック12があるか否かは、センサ102によって検出することができる。このセンサ102は、後段貯留部75Bの左端に設けられた反射型の投受光器により構成されている。そして、後段貯留部75Bの左端にまでラック12が搬送された場合、すなわち、後段貯留部75Bが満杯の状態になった場合、左端のラック12によって反射された光信号がセンサ102によって受光され、後段貯留部75Bが満杯になったことを検知する。
【0096】
図18(b)において、プッシャー部材85が左方向に自動的に移動すると、前段貯留部75A内の全てのラック12が左方向に押される。そして、最も左側のラック12が取り出し回収位置Rに位置付けられると、プッシャー部材85の動作が停止する。このとき、取り出し回収位置Rに位置付けられたラック12のフック部15(
図22参照)は、同位置Rで待機している縦移動部77の係合爪93に係合する。
【0097】
取り出し回収位置Rにラック12が位置付けられたか否かはセンサ101によって検出することができる。センサ101は、
図15に示されるように、貯留部75の前板81と底板80とに形成された孔81a,80aを通過する光軸101aを有する一対の投受光器からなる。そして、このセンサ101は、ラック12の前側壁13cの下端部に形成された被検知部16によって光軸101aが遮られることによって、取り出し回収位置Rにラック12が位置付けられたことを検出することができる。すなわち、
図13に示されるように、センサ101の光軸101aが、左右に並ぶラック12の凹部17の範囲A(非検知領域)にあるときは、ラック12の存在が検出されず、被検知部16の範囲B(検知領域)にあるときは、ラック12の存在が検出される。このように複数のラック12を左右に並べたとき検知領域Bと非検知領域Aとが交互に配置されるので、各ラック12を確実にセンサ101によって検知することができる。
【0098】
その後、
図18(c)に示されるように、縦移動部77の係合爪93が後方へ移動することによって、取り出し回収位置Rからラック12が取り出される。そして、取り出されたラック12には撮像済みの標本プレート10が順次収納される。この動作の詳細については後述する。
図19(a)に示されるように、プッシャー部材85が右方向に自動的に移動し、初期位置に位置付けられると、移動阻止部材90が貯留部75の底板80上に突出する。これによって、前段貯留部75Aに残っているラック12が取り出し回収位置Rに侵入してしまうのを防止することができる。そして、
図19(b)に示されるように、標本プレート10を収納した後のラック12が縦移動部77によって前進し、取り出し回収位置Rに戻されるとき、プッシャー部材85が少し左方向に移動し、移動阻止部材90が底板80の下方に退避する。本実施の形態において、移動阻止部材90が底板80上に突出しているときには、縦移動部77は、ラック12の取り出し回収位置Rへの移動を行なわない。
【0099】
図19(a)において、移動阻止部材90が底板80上に突出したとき、前段貯留部75Aのラック12は、若干右方向に押し戻される。これは、
図16及び
図17に示されるように、右側の移動阻止部材90が底板80から突出するとき、右方向への移動を伴うからである。このように前段貯留部75Aのラック12を右方向に押し戻すことで、取り出し回収位置Rのスペースをより広く確保し、標本プレート10を収納した後のラック12が取り出し回収位置Rに戻ってきたときに、貯留部75内の他のラック12に干渉するのを防止することができる。
【0100】
次いで、
図19(c)に示されるように、初期位置にあったプッシャー部材85がさらに左方向に自動的に移動し、前段貯留部75Aにある4個の空のラック12と、取り出し回収位置Rにある標本プレート10を収納したラック12と全て左方向に移動させる。そして、空のラック12が取り出し回収位置Rに位置付けられると、プッシャー部材85が動作を停止し、
図20(a)に示されるように、当該ラック12が縦移動部77によって後方へ取り出される。
【0101】
その後、
図20(b)に示されるように、プッシャー部材85が自動的に初期位置に戻ると、再び移動阻止部材90が底板80上に突出する。これによって、前段貯留部75Aに残っているラック12、及び、後段貯留部75Bのラック12が取り出し回収位置Rに侵入してしまうのを防止することができる。このとき、標本プレート10を収納したラック12は、移動阻止部材90によって若干左方向へ押され、空のラック12は、移動阻止部材90によって若干右方向へ押し戻されるので、取り出し回収位置Rのスペースを広く確保することができる。
【0102】
次に、撮像済みの標本プレート10をラック12に収納する動作について説明する。
図23は、ラック移動機構24の縦移動部77の動作を説明する概略側面図である。
図23(a)において、貯留部75の取り出し回収位置Rから取り出されたラック12は、縦移動部77の係合爪93を初期位置まで後退することによって、標本受け渡し位置Wよりも後側に位置している。そして、前述したように、上下移動機構22が撮像済みの標本プレート10を水平移動機構23における搬送ケース52から取り出し(
図10(b)参照)、標本受け渡し位置Wの上段位置Hまで搬送すると、ラック移動機構24の縦移動部77がラック12を前進させ(矢印y1)、把持部31の下方に位置付ける。
【0103】
図12に示されるように、ラック12には、前後方向の複数箇所に標本プレート10の収納スペースが設けられているので、縦移動部77は、標本プレート10を挿入すべき所定の収納スペースを標本プレート10の下方に合わせるようにラック12を前進させる。
次いで、
図23(b)に示されるように、上下移動機構22における把持部31を下降させ、標本プレート10を自動的にラック12内に挿入する。
【0104】
その後、
図23(c)に示されるように、把持部31の把持爪33を開放した状態で把持部31を上昇させる。ラック12に対して続けて標本プレート10を収納する場合には、縦移動部77によってラック12を後方に移動し(矢印y2)、上記した
図23(a)以降の動作を繰り返し、ラック12に対する標本プレート10の収納が終了した場合には、縦移動部77によってラック12をさらに前進させ(矢印y3)、当該ラック12を貯留部75における取り出し回収位置Rに戻す。
当該ラック12を貯留部75に戻した場合、
図19(c)及び
図20(a)に示されるように、新たな空のラック12を貯留部75から取り出し、再び
図23(a)以降の動作を繰り返し行う。
【0105】
本実施の形態のラック移動機構24は、ラック12の長手方向(標本プレート10の並列方向)を前後方向に向けた状態で、複数のラック12を貯留部75内に左右方向に並べてセットし、同貯留部75内でラック12を左右方向に搬送している。そのため、ラック12の長手方向を左右方向に向けた場合に比べて、ラック移動機構24の貯留部75を左右方向にコンパクトに構成することができ、横移動部76によるラック12の左右方向の搬送距離も短くすることができる。
【0106】
また、ラック移動機構24は、貯留部75に対するラック12の取り出し回収方向と、ラック12における標本プレート10の並列方向とを一致させているので、貯留部75に対してラック12を取り出し回収する動作と、ラック12の各収納位置を標本プレート10の待機位置に合わせる動作とを一方向の動きで行うことができ、これによってラック移動機構24の構成を簡素化することができる。
【0107】
さらに、ラック移動機構24は、上方に開口部を向けた状態でラック12を標本収納位置へ向けて前後方向に搬送し、当該標本収納位置においてラック12に上下移動機構22によって上方から標本プレート10が挿入される。このようにラック12自体を移動させることによって標本プレート10の移動距離を可及的に短くすることができ、標本プレート10の移動経路にイマージョンオイル等の液体がこぼれるのを抑制することができる。
【0108】
本実施の形態の標本収納装置20は、標本未収納のラック12を貯留するための前段貯留部75Aと、撮像済みの標本プレート10を収納済みのラック12を貯留するための後段貯留部75Bとを標本搬送装置3の前部側(標本移動機構21〜23よりも前方)に備えているので、使用者は、前段貯留部75Aに対するラック12の供給と、後段貯留部75Bからのラック12の取り出しとを標本搬送装置3の前側の一箇所において行うことができ、これらの作業の作業性を向上させることができる。
【0109】
また、前段貯留部75に標本未収納のラック12を貯留することによって、標本収納済みのラック12と迅速に交換することができ、作業効率を向上させることができる。また、後段貯留部75Bを備えることによって、標本収納済みのラック12を一時的に貯留しておくことができるので、当該ラック12を標本搬送装置3から取り出さなくても次の標本未収納のラック12を標本収納位置に移動させることができる。
【0110】
また、本実施の形態の標本検査システム1は、標本作製装置2と標本撮像装置4との間に標本搬送装置3が設けられており、標本作製装置2により作製した標本プレート10は、標本撮像装置4に直接供給されるのではなく、標本搬送装置3を介して供給される。また、撮像済みの標本プレート10は、標本撮像装置4において回収されるのではなく標本搬送装置3においてラック12に回収される。そのため、標本撮像装置4には、標本作製装置2から標本プレート10を受け取るための構造や、撮像済みの標本プレート10を回収するための構造を備えなくても、標本搬送装置3に対する標本の受渡部4eを備えていればよい。そのため、構造の簡素化及び小型化を図ることができる。また、標本作製装置2にとっても、標本撮像装置4まで標本プレート10を搬送する機構を備える必要がないので、構造を簡素化及び小型化を図ることができる。
【0111】
さらに、標本搬送装置3は、標本作製装置2から標本撮像装置4へ標本プレート10を搬送する機能と、標本撮像装置4で撮像済みの標本プレート10を回収する機能とを有しているので、これらの機能を別個の装置により実現する場合に比べて、標本検査システム1全体のシステム規模を小さくすることができる。
また、標本搬送装置3は、使用済みのカセット11や撮像済みの標本プレート10の回収を行うことができるので、使用者は、使用済みのカセット11及び撮像済みの標本プレート10を標本搬送装置3のみから取り出して処理をすればよく、当該処理の作業性を向上させることができる。
【0112】
本実施の形態の標本搬送装置3は、標本作製装置2から標本プレート10を受け取って標本撮像装置4に搬送する搬送経路と、標本撮像装置4から標本プレート10を受け取ってラック12に収納するまでの搬送経路とが一部において重複している。すなわち、双方の搬送経路で、上下移動機構22と水平移動機構23とが標本プレート10を搬送している。このように双方の搬送経路の一部を重複させるとともに、重複する搬送経路では共通の標本移動機構22,23によって標本プレート10を搬送することにより、標本搬送装置3の構造の簡素化や小型化を図ることができる。
【0113】
標本搬送装置3における標本移動機構21〜23は、標本受け渡し位置Wにおいて相互に標本プレート10を受け渡しながら搬送している。そのため、標本受け渡し位置Wを基準として、相互に連携した円滑な標本プレート10の搬送が可能となっている。また、上下移動機構22は、標本受け渡し位置Wにおいて標本プレート10を上下方向に直線移動させているので、互いに高さの異なるカセット移動機構21と水平移動機構23との間で適切に標本プレート10を受け渡すことができる。また、上下移動機構22は、カセット移動機構21と水平移動機構23との間の標本プレート10の受け渡しだけでなく、ラック移動機構24によって搬送されるラック12に標本プレート10を収納する機能をも有しており、互いに高さの異なる水平移動機構23とラック12との間でも適切に標本プレート10を搬送することができる。
【0114】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で適宜変更可能である。
例えば、ラック移動機構24において、貯留部75における1箇所に取り出し回収位置Rが設定されているが、取り出し位置と回収位置とを個別に設けていてもよい。また、取り出し位置と回収位置とを個別に設けた場合には、それぞれにストッパ機構78を設けてもよし、一方のみにストッパ機構78を設けてもよい。また、貯留部75におけるラック12の貯留数も適宜変更することができる。
また、標本搬送装置3に対する標本プレート10の供給は、標本作製装置2からだけでなく、標本受入部26に対して人手によって行うこともできる。
【0115】
また、検査対象の試料は血液に限らず、尿や、子宮頸部から採取した試料などであってもよい。
また、標本撮像装置(標本検査装置)4は、標本の撮像から分析までを行うのではなく、撮像による画像データの取得までを行い、画像データの分析は他の装置や人手によって行ってもよい。