(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記交通流データ補正部は、前記乗客行動判定部により算出された前記エレベータ利用確率が基準値よりも低い場合に、当該通行者の乗場呼び登録に関するデータを前記補正交通流データ記憶部に記憶される前記交通流データから削除する、請求項1記載のエレベータ交通需要予測装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施の形態1>
本発明の実施の形態1について、図面を用いて以下に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係るエレベータ交通需要予測装置1の構成図である。エレベータ交通需要予測装置1は、1つの群管理装置15によって制御されるエレベータ群(バンク)ごとに設けられ、当該バンクの乗場における待客人数を予測する。エレベータ交通需要予測装置1には、交通流データ生成装置14と、群管理装置15と、設備計画装置16が接続されている。交通流データ生成装置14と群管理装置15には、エレベータ10,11の運行を制御する制御装置12,13が接続されている。
【0017】
交通流データ生成装置14は、制御装置12,13から取得したエレベータ制御信号に基づいて交通流データを作成し、作成された交通流データをエレベータ交通需要予測装置1へ出力する。エレベータ交通需要予測装置1内では交通流データの補正処理が行われるが、補正処理の詳細については後述する。群管理装置15は、エレベータ交通需要予測装置1内で補正された交通流データを用いてエレベータ10,11の運行を指令する。設備計画装置16は、補正された交通流データを用いて設備計画を立案する。
【0018】
次に、エレベータ交通需要予測装置1について説明する。エレベータ交通需要予測装置1は、交通流データ記憶部2と、判定基準記憶部3と、乗客行動判定部4と、交通流データ補正部5と、補正交通流データ記憶部6とを備えている。交通流データ記憶部2は、交通流データ生成装置14から出力された交通流データを蓄積して記憶する。判定基準記憶部3は、エレベータ10,11の乗場における通行者のエレベータ乗車特性を表す判定基準データを蓄積して記憶する。
【0019】
乗客行動判定部4は、交通流データ記憶部2から取得された交通流データと、判定基準記憶部3から取得された判定基準データとに基づいて、通行者のエレベータ利用確率である乗車確率Pを算出する。
【0020】
交通流データ補正部5は、乗客行動判定部4により算出された通行者の利用確率に基づいて、交通流データ記憶部2から取得された交通流データを補正する。補正交通流データ記憶部6は、交通流データ補正部5により補正された交通流データを蓄積して記憶する。
【0021】
なお、エレベータ10,11の数は1台以上であればよく、
図1に示された台数である必要はない。エレベータが1台の場合、群管理装置15は省略される。また、エレベータが複数台の場合、1つの群管理装置15が管理するバンクである。
【0022】
長期的な交通需要予測を行う場合、エレベータ交通需要予測装置1は、オフラインで交通流データを補正し蓄積してもよい。その場合、エレベータ交通需要予測装置1は、群管理装置15への補正後の交通流データの出力を行わない。また、判定基準記憶部3は建物ごとに備える必要はなく、ネットワークで接続されたエレベータ保守センター等に判定基準データを蓄積しておき、エレベータ交通需要予測装置1は、通信装置を経由して判定基準データを入手して利用してもよい。
【0023】
エレベータ10,11の乗場において呼びが発生すると、交通流データ生成装置14は交通流データを生成し、生成された交通流データは交通流データ記憶部2に蓄積して記憶される。また、設備導入計画時または設備更新計画時は、実際のエレベータ呼び情報ではなく、オフィスビルの各階の入居人数、出退勤時間等から、時間帯ごとの予想される移動人数と乗車階−降車階の組み合わせから、交通流データを作成することもできる。
【0024】
なお、交通流データ生成装置14は省略することが可能であり、交通流データ生成装置14を省略した場合は、制御装置12,13および群管理装置15から取得された制御信号が交通流データ記憶部2に蓄積される。
【0025】
次に、
図2を用いて交通流データについて説明する。
図2は、交通流データ記憶部2に蓄積される交通流データの一例を示す図であり、4レコードのデータが蓄積された場合の一例である。交通流データは、エレベータ10,11の乗場における乗場呼び登録に関するデータ、すなわち、通行者の移動情報を表すデータである。交通流データの1レコードが1つの乗場呼びを表し、各通行者が階間移動を行う場合の移動開始時刻が時刻フィールド、移動元の階が乗車階フィールド、移動方向が行先方向フィールドに記録されている。
【0026】
乗場で行先方向を登録する乗場呼び登録方法においては、移動時刻は乗場呼びボタンが押された時刻または呼びが登録された時刻、移動元の階は乗場呼びボタンが押された階、移動方向は押された方向ボタン種をエレベータ制御信号からそれぞれ取得することができる。
【0027】
また、乗場で行先階を登録する形式の乗場呼び登録方法においては、交通流データに降車階を表す降車階フィールドを設けてもよい。さらに、IDカードなどを使用して個人ごとにエレベータ呼びを登録する形式の乗場呼び登録方法においては、1人の通行者を1レコードとして記録してもよい。
【0028】
図2のような交通流データの1レコードは、発生時刻をT、乗車階をO、行先方向をDとして、Psng(T,O,D)と表すことができる。エレベータ10,11が到着または応答すると、交通流データ生成装置14は、交通流データ記憶部2から当該階の当該方向の交通流データを削除する。
【0029】
通行者ごとに交通流データのレコードを生成する場合、通行者が乗車するエレベータを指示する形式の乗場呼び登録方法においては、交通流データ生成装置14は、乗車予定の通行者の交通流データを削除する。一方、それ以外の乗場呼び登録方法においては、交通流データ生成装置14は、当該階の当該方向の通行者について、かご定員分、かご定員以下で乗車可能な人数分、あるいはそれ以下で乗車可能な待客全員分の交通流データを削除する。
【0030】
次に、
図3を用いて判定基準データについて説明する。
図3は、判定基準記憶部3に蓄積される判定基準データの一例であり、4レコードのデータが蓄積された場合の一例である。判定基準データは、エレベータ10,11の乗場における通行者のエレベータ乗車特性を表すデータであり、より具体的には、ある条件において通行者がエレベータ10,11を利用して移動する確率を表す確率テーブルである。判定基準データは、通行者のエレベータ10,11への乗車に影響を与える所定の条件である条件フィールド群と、乗車確率フィールドから構成されている。判定基準データは、予め設定されており、判定基準記憶部3に蓄積して記憶されている。
【0031】
条件フィールド群は、時間帯フィールドと、乗車階フィールドと、行先方向フィールドとを有する。なお、条件フィールド群は、同行人数、かご位置、走行方向、降車階等のデータを含んでいてもよい。さらに、条件フィールド群は、通行者の移動属性情報に限らず、気温および湿度などの気象状況、通行者の識別IDおよびVIP運転対象者情報などの個人属性情報を含んでいてもよい。
【0032】
ここで、
図3に示す判定基準データは、8〜9時の時間帯において、1階から上方階へ移動する通行者の80%、2階から上方階へ移動する通行者の70%、3階から上方階へ移動する通行者の50%、4階から下方階へ移動する通行者の20%がエレベータ10,11を利用して移動することを表している。この判定基準データは、C(T,O,D)で表すことができる。
【0033】
乗客行動判定部4は、交通流データ記憶部2から交通流データを、判定基準記憶部3から判定基準データをそれぞれ読み込み(取得し)、発生した乗場呼びごとの通行者の乗車確率P(T,O,D)を算出する。例えば、
図2と
図3に関しては、P(8:15:10,4,DN)=20%、P(8:15:15,1,UP)=80%のように計算される。この乗車確率Pは、次に説明する交通流データ補正部5の補正処理に使用される。
【0034】
次に、
図4を用いて交通流データ補正部5の補正処理について説明する。
図4は、交通流データ補正部5の補正処理を示すフローチャートである。まず、交通流データ補正部5は、交通流データ記憶部2から交通流データを取得する(ステップS1)。交通流データ補正部5は、iを1に設定し(ステップS2)、交通流データのiレコード目である、Psng(8:15:10,4,DN)に関して、乗客行動判定部4が出力した乗車確率P(8:15:10,4,DN)=20%を取得する(ステップS3)。
【0035】
次に、交通流データ補正部5は、乗車確率Pが基準値よりも低い場合にPsng(8:15:10,4,DN)の優先度を下げる。より具体的には、交通流データ補正部5は、基準値である0〜99の乱数Rを発生させ(ステップS4)、その値が、R<P×100−1であるか否かを判定する(ステップS5)。
【0036】
乱数Rが20〜99である場合は(ステップS5においてNo)、交通流データ補正部5は、交通流データから、交通流データのiレコード目であるPsng(8:15:10,4,DN)の優先度を下げる(ステップS6)。具体的には、交通流データをエレベータ10,11の運行制御に用いる場合は、ステップS6において、Psng(8:15:10,4,DN)の応答順位を下げて、乗車確率Pの高い順に交通流データを並べ替えたり、Psng(8:15:10,4,DN)の通行者に乗場呼びをキャンセルすることを確認した後、削除して当該乗場呼びに応答しないようにしたりする処理が行われる。
【0037】
そして、交通流データ補正部5は、補正後の交通流データを補正交通流データ記憶部6に記憶させる。一方、乱数Rが0〜19である場合(ステップS5においてYes)、この処理はステップS7へ移行する。
【0038】
次に、交通流データ補正部5は、ステップS7において、iがn以上か否か、すなわち、交通流データにおけるすべてのレコードに対してステップS3〜ステップS6を実施したか否かを判定する。
【0039】
交通流データ補正部5は、ステップS7においてNoの場合、すなわち、交通流データにおけるすべてのレコードに対してステップS3〜ステップS6を実施していない場合は、iを1だけインクリメントしてから(ステップS8)、ステップS3へ移行する。但し、ステップS7においてYesの場合、すなわち、交通流データにおけるすべてのレコードに対してステップS3〜ステップS6を実施した場合は、交通流データ補正部5は、補正処理を終了する。
【0040】
なお、エレベータ交通需要予測装置1は、補正後の交通流データを群管理装置15に出力してエレベータ10,11の運行制御に用いる代わりに、設備計画装置16に出力して設備計画に利用してもよい。この場合、交通流データ補正部5は、ステップS6において交通流データから応答済みの乗客Psng(8:15:10,4,DN)を削除しない。
【0041】
以上のように、実施の形態1に係るエレベータ交通需要予測装置1では、交通流データ記憶部2から取得された交通流データと、判定基準記憶部3から取得された判定基準とに基づいて通行者のエレベータ利用確率を算出する乗客行動判定部4と、乗客行動判定部4により算出されたエレベータ利用確率に基づいて、交通流データ記憶部2から取得された交通流データを補正する交通流データ補正部5とを備えた。したがって、エレベータ10,11を利用する可能性が低い、すなわち無駄呼びとなる可能性の高い乗場呼びを排除することができるため、実際のエレベータ利用状況に近い交通流データを作成することができる。これにより、エレベータ10,11の運行効率の向上を図ることができ、また高精度な設備計画立案を実現することができる。
【0042】
交通流データ補正部5は、乗客行動判定部4により算出された乗車確率Pが基準値よりも低い場合に、当該通行者の乗場呼び登録に関するデータを補正交通流データ記憶部6に記憶される交通流データから削除するため、無駄呼びとなる可能性の高い乗場呼びを排除することができる。
【0043】
交通流データ補正部5は、乗客行動判定部4により算出された乗車確率Pの高い順に補正交通流データ記憶部6に記憶される交通流データを並べ替えるため、無駄呼びとなる可能性の高い乗場呼びに応答しにくくすることができる。
【0044】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2に係るエレベータ交通需要予測装置1Aについて説明する。
図5は、実施の形態2に係るエレベータ交通需要予測装置1Aの構成図である。なお、実施の形態2において、実施の形態1で説明したものと同様構成要素については同一符号を付して説明は省略する。
【0045】
実施の形態2では、補正交通流データ記憶部6に記憶される交通流データに、エレベータ10,11の運行状況を表す運行状況データを追加し、判定基準記憶部3に記憶される判定基準データに、エレベータ10,11の運行状況に関する指標を追加している。乗客行動判定部4は、運行状況データを含む交通流データと、運行状況に関する指標を含む判定基準データに基づいて、乗車確率Pを算出する。
【0046】
エレベータ交通需要予測装置1Aは、実施の形態1に係るエレベータ交通需要予測装置1に対して運行模擬部20を追加した構成である。運行模擬部20は、エレベータ10,11の運行を模擬して運行状況データを算出する。運行模擬部20の具体的な動作については後述することとする。
【0047】
次に、実施の形態2における交通流データについて説明する。
図6は、交通流データ記憶部2に蓄積される交通流データの一例である。実施の形態2における交通流データは、乗客フィールド群と運行状況フィールド群から構成される。乗客フィールド群は、乗客番号フィールドと、時刻フィールドと、乗車階フィールドと、降車階フィールドとを有する。運行状況フィールド群は、待ち時間フィールドと、かご混雑度フィールドとを有する。なお、運行状況データは、運行状況フィールド群に記憶されるデータである。
【0048】
交通流データ生成装置14は、交通流データの乗客フィールド群のデータを作成する。交通流データの1レコードが1人の通行者を表し、レコードあるいは通行者の識別番号が乗客番号フィールド、移動開始時刻が時刻フィールド、移動元の階が乗車階フィールド、移動先の階が降車階フィールドに記憶されている。乗客フィールド群は、連れ立って移動する同行者の有無、同行人数、階床差などを含んでいてもよい。また、降車階の代わりに行先方向を含んでいてもよい。
【0049】
交通流データは、乗場で移動方向を登録する形式の乗場呼び登録方法においては、群管理装置15あるいは制御装置12,13から取得される乗場呼び情報を使用して生成することができる。また、乗場で行先方向を登録する形式の乗場呼び登録方法においては、オフィスビルの各階の入居人数、出退勤時間および統計的に得られた時間帯ごとの乗車階−降車階の組み合わせの人数割合および時間帯ごとの移動人数を、オフィスビルの各階の入居人数、出退勤時間から算出したり、統計的に算出したりすることによって、このような交通流データを作成することができる。
【0050】
図6のような交通流データの1レコードは、乗客番号をiとして、Psng(i)あるいは、発生時刻をT、乗車階をO、行先方向をDとして、Psng(T,O,D)と表すことができる。エレベータ10,11が到着または応答すると、交通流データ生成装置14は、交通流データ記憶部2から当該階の当該方向の交通流データを削除する。
【0051】
通行者ごとに交通流データのレコードを生成する場合、通行者が乗車するエレベータを指示する形式の乗場呼び登録方法においては、交通流データ生成装置14は、乗車予定の通行者の交通流データを削除する。一方、それ以外の乗場呼び登録方法においては、交通流データ生成装置14は、当該階の当該方向の通行者について、かご定員分、かご定員以下で乗車可能な人数分、あるいはそれ以下で乗車可能な待客全員分の交通流データを削除する。
【0052】
運行模擬部20は、交通流データ記憶部2から取得された交通流データに基づいて、エレベータ10,11の運行をシミュレーションし、運行状況データを算出して、交通流データ記憶部2に記憶される交通流データの運行状況フィールド群に蓄積して記憶させる。
図6では、運行状況フィールド群として、待ち時間フィールドとかご混雑度フィールドを示しているが、乗場待ち人数、乗場混雑度などを含んでいてもよい。
【0053】
次に、実施の形態2における判定基準データについて説明する。
図7は、判定基準記憶部3に蓄積される判定基準データの一例である。判定基準データは、条件フィールド群と、乗車確率フィールドから構成されている。条件フィールド群は、時間帯フィールド、乗車階フィールド、降車階フィールド、待ち時間フィールド、かご混雑度フィールドが記憶されている。ここで、待ち時間フィールドとかご混雑度フィールドが運行状況に関する指標に相当する。
【0054】
なお、条件フィールド群は、乗場待ち人数、移動開始時刻におけるかご位置およびかごの走行方向などを含んでいてもよい。また、条件フィールド群は、通行者の移動属性情報およびエレベータ10,11の運行状況に限らず、気温および湿度などの気象状況、通行者の識別IDおよびVIP運転対象者情報などの個人属性情報を含んでいてもよい。
【0055】
ここで、
図7に示す判定基準データは8〜9時の時間帯において、1階から2階へ移動する通行者は、待ち時間が30秒未満でかご内混雑度が50%未満である(と予想される)状況においては60%、待ち時間が30秒以上でかご内混雑度が50%以上の状況においては10%、1階から3階以上の階へ移動する通行者は、待ち時間が30秒未満でかご内混雑度が50%未満の状況においては80%、待ち時間が30秒以上でかご内混雑度が50%以上の状況においては70%の確率でエレベータ10,11を利用して移動することを表している。
【0056】
乗客行動判定部4は、交通流データ記憶部2から交通流データを、判定基準記憶部3から判定基準データをそれぞれ読み込み、通行者Psng(i)ごとの乗車確率P(i)を算出する。例えば、
図6と
図7に関しては、P(1)=70%、P(2)=80%、P(3)=10%、P(4)=60%のように計算される。乗客行動判定部4により算出された乗車確率P(i)は、実施の形態1の場合と同様に、交通流データ補正部5の補正処理に使用される。
【0057】
以上のように、実施の形態2に係るエレベータ交通需要予測装置1Aでは、エレベータ10,11の運行を模擬してエレベータ10,11の運行状況を表す運行状況データを算出する運行模擬部20をさらに備え、交通流データ記憶部2に記憶される交通流データは運行状況データを含む。したがって、エレベータ10,11の運行状況に応じて時々刻々と変化する交通需要を予測して、エレベータ10,11を利用する可能性が低い、すなわち無駄呼びとなる可能性の高い乗場呼びを排除することができ、実際のエレベータ利用状況に近い交通流データを作成することができる。これにより、エレベータ10,11の運行効率向上および高精度な設備計画立案を実現することができる。
【0058】
判定基準データは、エレベータ10,11の運行状況に関する指標を含むため、エレベータ10,11の運行状況に応じて時々刻々と変化する交通需要を予測して、エレベータ10,11を利用する可能性が低い、すなわち無駄呼びとなる可能性の高い通行者を排除することができ、実際のエレベータ利用状況に近い交通流データを作成することができる。
【0059】
<実施の形態3>
次に、実施の形態3に係るエレベータ交通需要予測装置1Bについて説明する。
図8は、実施の形態3に係るエレベータ交通需要予測装置1Bの構成図である。なお、実施の形態3において、実施の形態1,2で説明したものと同様構成要素については同一符号を付して説明は省略する。
【0060】
実施の形態1,2では、判定基準データは予め設定された固定値であったが、実施の形態3では、交通流データ生成装置14により新たに作成された交通流データに基づいて、判定基準データは更新される。エレベータ交通需要予測装置1Bは、実施の形態1に係るエレベータ交通需要予測装置1に対して判定基準修正部21を追加した構成である。判定基準修正部21は、交通流データ記憶部2から新たに取得された交通流データに基づいて、判定基準記憶部3に蓄積される判定基準データを修正する。
【0061】
次に、実施の形態3における交通流データについて説明する。
図9は、交通流データ記憶部2に記憶される交通流データの例である。交通流データは、通行者ごとに付された乗客番号フィールド、移動開始時刻フィールド、乗車階フィールド、降車階フィールド、利用フラグフィールドにより構成されている。
【0062】
降車階フィールドは、乗場で行先階を登録する形式の乗場呼び登録方法においては、呼び登録装置(図示省略)からデータを取得することができるし、乗場で行先方向を登録する形式の乗場呼び登録方法においては、エレベータ10,11の秤装置(図示省略)、またはエレベータ10,11のドアセンサ(図示省略)から出力されるエレベータ信号から推測したり、IDカード等を利用して各通行者の居住階から推測したりすることもできる。
【0063】
利用フラグフィールドは、各通行者がエレベータ10,11を利用して移動したか否かを表すデータであり、エレベータ10,11を利用して移動した場合は「1」、他の移動手段を利用して移動した場合は「0」が入力される。交通流データ生成装置14は、エレベータ10,11を利用して移動したか否か、およびその人数について、エレベータ10,11の秤装置の変化量やドアセンサの通過時間などから推測したり、エレベータ10,11、階段など他の移動手段の近くに設置されたタグリーダと個人のIDカード等を組み合わせて各通行者の移動手段を推測したりすることにより、データを取得、入力することができる。なお、
図9では通行者ごとに1レコードとしているが、乗場呼びごとに1レコードとしてもよい。
【0064】
次に、実施の形態3における判定基準データについて説明する。
図10は、判定基準記憶部3に蓄積される判定基準データの一例である。判定基準データは、条件フィールド群と、一定期間における条件フィールド群の条件に一致する通行者の数を表す通行者数フィールドと、通行者のうちエレベータ10,11を利用した人数を表す利用者数フィールドと、通行者のうちのエレベータ10,11の利用者の割合を表す乗車確率フィールドから構成されている。
【0065】
なお、条件フィールド群は、待ち時間、かご混雑度、乗場待ち人数、移動開始時刻におけるかご位置およびかごの走行方向などを含んでいてもよい。また、条件フィールド群は、通行者の移動属性情報およびエレベータ10,11の運行状況に限らず、気温および湿度などの気象状況、通行者の識別IDおよびVIP運転対象者情報などの個人属性情報を含んでいてもよい。
【0066】
次に、
図11を用いて判定基準修正部21の判定基準修正処理について説明する。
図11は、判定基準修正部21の判定基準修正処理を示すフローチャートである。交通流データ生成装置14により新しい交通流データが作成されたときに、当該交通流データに関して、以下の手順で対応する判定基準データを更新する。まず、判定基準記憶部3から判定基準データを取得する(ステップS11)。iを1に設定し、判定基準データのi番目のデータを取得する(ステップS12)。
【0067】
判定基準修正部21は、当該交通流データがi番目の判定基準データの条件フィールド群に一致するか否かを判定する(ステップS13)。具体的には、当該交通流データの時刻フィールドと乗車階フィールドと降車階フィールドが、判定基準データの時間帯フィールドと乗車階フィールドと降車階フィールドとそれぞれ一致しているか否かが判定される。
【0068】
当該交通流データがi番目の判定基準データの条件フィールド群に一致しなければ(ステップS13においてNo)、iを1だけインクリメントし、(i+1)番目の判定基準データを取得して(ステップS14)、ステップS13に移行する。一方、当該交通流データがi番目の判定基準データの条件フィールド群に一致すれば(ステップS13においてYes)、当該判定基準データの通行者数フィールドの値に1を加えた値に更新する(ステップS15)。
【0069】
判定基準修正部21は、当該交通流データに記録された通行者がエレベータ10,11を利用したか否か、すなわち交通流データの利用者フラグフィールドが「1」であるか否かを判定する(ステップS16)。通行者がエレベータ10,11を利用した場合は(ステップS16においてYes)、利用者数フィールドの値に1を加えた値に更新する(ステップS17)。
【0070】
判定基準修正部21は、更新された通行者数フィールドの値Aと、利用者数フィールドの値Bを用いて、以下の式により、乗車確率フィールドの値Cを再計算して更新する(ステップS18)。
【0071】
C=B/A
そして、判定基準修正部21はこの処理を終了する。但し、他の手段を利用した場合は(ステップS16においてNo)、判定基準修正部21は、乗車確率フィールドの値Cを再計算して更新した後(ステップS18)、この処理を終了する。
【0072】
また、判定基準データの条件フィールド群は、
図12に示すように、期間フィールドを含んでいてもよい。この場合、乗客行動判定部4は期間フィールド以外の条件フィールド群が一致する判定基準の重み付き平均により当該交通流データの乗車確率Pを算出する。例えば、時間帯T、乗車階O、降車階Dの判定基準データがn個あり、それぞれの確率がP1,P2,・・・,Pnであったとすると、時間帯Tにおいて、O階からD階に移動する利用者の乗車確率P(T,O,D)を以下の式により計算する。
【0073】
P(T,O,D)=k1×P1+k2×P2+・・・+kn×Pn
ただし、k1+k2+・・・+kn=1である。
【0074】
k1,k2,・・・,knはそれぞれ期間1,2,・・・,nに対する重みを表し、例えば現在から近い期間の重みを高くしたり、同じ季節または同じ月の乗車確率に対する重みを高くしたりすることにより、エレベータ利用傾向の長期的変化および季節変動を反映することができる。また、判定基準修正部21は、新しい交通流データを取得したときに、古い期間の判定基準データを削除することにより、最新のエレベータ利用傾向を反映することができる。
【0075】
以上のように、実施の形態3に係るエレベータ交通需要予測装置1Bは、交通流データ記憶部2から新たに取得された交通流データに基づいて、判定基準データを更新する判定基準修正部21をさらに備え、判定基準データは、通行者のエレベータ10,11への乗車に影響を与える所定の条件である条件フィールド群を含み、判定基準修正部21は、新たに取得された交通流データと条件フィールド群が一致する判定基準データを更新する。したがって、エレベータ10,11の運行状況に応じて時々刻々と変化する交通需要を反映して、通行者のエレベータ利用確率を更新することができる。これにより、最新のエレベータ利用状況に近い交通流データを作成することができ、エレベータ10,11の運行効率および高精度な設備計画立案を実現することができる。
【0076】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。