(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンズ体を保持し得るレンズホルダ及び前記レンズホルダを光軸方向に沿って移動させる移動機構を有する第1保持体と、前記第1保持体を、光軸方向と直交し、かつ互いに直交する第1方向及び第2方向に移動自在に保持する第2保持体とを具備し、前記移動機構は、前記レンズホルダの周囲に配置された環状の第1コイル及び磁石を備えて構成されるレンズ駆動装置において、
前記第2保持体には、前記第1保持体を光軸方向と直交する方向に移動するための第2コイルが設けられており、前記第1コイルと前記第2コイルとが前記磁石を介して光軸方向に離間した状態で対向配置され、
前記移動機構は、前記レンズホルダの径方向に異なる磁極が着磁された前記磁石と、前記磁石の前記レンズホルダと対向する内周側に配置された内側ヨークと、前記磁石の外周側に配置されて前記内側ヨークと対向する外側ヨークとを有し、前記内側ヨークと前記外側ヨークの間には前記磁石が挟持されており、光軸方向において前記第1コイル側を上、前記第2コイル側を下としたときに、前記内側ヨークと前記外側ヨークには、それぞれ前記磁石の上面より上方に突出する第1延出部及び第2延出部が設けられており、前記第1延出部と前記第2延出部との間に前記第1コイルを配設すると共に、前記外側ヨークに、前記内側ヨーク側に屈曲する屈曲部を設けることで、前記第1延出部及び第2延出部の先端側に前記第1延出部と前記第2延出部との間隔が前記内側ヨーク及び前記外側ヨークが前記磁石を挟持する部分の間隔よりも狭い部分を設け、初期位置において、前記第1コイルの上端部と下端部との間に前記屈曲部が配置され、前記第1コイルが前記磁石から遠ざかるにつれ、前記屈曲部より先端側の、前記第1延出部と前記第2延出部との間隔が狭まった部分に対向する前記第1コイルの部分が増えるものとされていることを特徴とするレンズ駆動装置。
前記第2保持体の一部を構成するサスペンションワイヤの一端を前記上側板ばねに接続する一方、前記サスペンションワイヤの他端を電源供給手段に接続することを特徴とする請求項4記載のレンズ駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るレンズ駆動装置の分解斜視図である。
図1に示すように、レンズ駆動装置1は、カメラのピントを合わせるオートフォーカス機能用のオートフォーカス用アクチュエータ2と、オートフォーカス用アクチュエータ2を手ぶれに応じて微小移動させることによって撮影光軸を一定に保つ手ぶれ補正用のサスペンション機構部3と、を含んで構成される。レンズ駆動装置1において、第1保持体としてのオートフォーカス用アクチュエータ2及び第2保持体としてのサスペンション機構部3は、外側ケース4に収容される。
【0022】
オートフォーカス用アクチュエータ2は、図示しないレンズ体を保持するレンズホルダ21と、このレンズホルダ21を光軸方向に沿って移動させる移動機構を構成する第1コイル22、磁石23、内側ヨーク24及び外側ヨーク25と、上側板ばね27及び下側板ばね28が取り付けられる板ばね保持部材26と、を含んで構成される。
【0023】
レンズホルダ21は、例えば絶縁性の樹脂材料を成形して構成され、概して円筒形状に設けられている。レンズホルダ21の外周面には、レンズホルダ21の径方向外側に突出し、第1コイル22を保持するための複数(本実施の形態において4つ)の保持片211が設けられている。これらの保持片211の表面には、平面部が形成されている。図示しないレンズ体は、例えば、レンズホルダ21の内周に設けられたねじ溝にねじこまれてレンズホルダ21に取り付けられる。
【0024】
保持片211の上端には、レンズホルダ21の径方向外側に突出する突出片212がそれぞれ設けられている。突出片212は、上面視にて略U字状を有しており、二股状のアーム部212aが設けられている。突出片212の下端部は、後述する内側ヨーク24の凹部244に配置され、アーム部212aは、後述する外側ヨーク25の凹部253a及び板ばね保持部材26の凹部261a上に配置される。この構成により、内側ヨーク24、外側ヨーク25及び板ばね保持部材26が位置決めされると共に、レンズホルダ21の回転が規制される。
【0025】
一対の突出片212の上面には、上側板ばね27を固定するための複数のボス213が設けられている。これらのボス213は、後述する上側板ばね27の貫通孔273aに挿通された状態で熱かしめ等により変形されることで、上側板ばね27を固定する。なお、
図1においては、これらのボス213が変形された状態について示している。
【0026】
また、ボス213が設けられていない突出片212の上端には、上側板ばね27を位置決めするための位置決め片214が設けられている。これらの位置決め片214は、突出片212から上方側に突出して設けられ、後述する上側板ばね27の切り欠き部272bと係合可能に構成されている。
【0027】
同様に、保持片211の下端には、下側板ばね28を位置決めするための位置決め片215が設けられている(
図1において不図示、
図4参照)。これらの位置決め片215は、保持片211から下方側に突出して設けられ、後述する下側板ばね28の切り欠き部282aと係合可能に構成されている。
【0028】
第1コイル22は、レンズホルダ21の保持片211に接着固定するための直線部分を有しつつ、概して環形状に束ねられている。第1コイル22の端部221、222は、それぞれレンズホルダ21の突出片212側に引き出され、突出片212上に固定された後述する上側板ばね27の突出片272aに絡げられる。なお、第1コイル22は、レンズホルダ21の保持片211に直接巻回される構成であってもよい。
【0029】
磁石23は、4つの磁石23a〜23dで構成され、それぞれ直方体形状を有しており、
図1に示すレンズホルダ21の径方向に異なる磁極が着磁されている。例えば、磁石23a〜23dは、それぞれ向かい合う内側半分がS極、外側半分がN極に構成されている。磁石23a〜23dは、内側部分が内側ヨーク24の外周面と接着固定され、外側部分が外側ヨーク25の内周面と接着固定されることにより、内側ヨーク24及び外側ヨーク25に挟持されて配置される。
【0030】
内側ヨーク24は、例えば磁性金属材料を機械加工して構成され、一対の内側ヨーク24A、24Bから構成されている。内側ヨーク24A、24Bは、それぞれ平板状の壁面部241と、壁面部241を連結する連結部242と、を有している。壁面部241には、壁面部241の下端部と磁石23の下端部とが揃うように位置決めされた状態で、磁石23が接着固定される。壁面部241には、このように配置された磁石23の上面より上方に突出する一対の第1延出部243がそれぞれ設けられている(
図6参照)。一対の第1延出部243間には、レンズホルダ21の突出片212を収容する凹部244が形成されている。
【0031】
外側ヨーク25は、例えば磁性金属材料を機械加工して構成され、角筒状に設けられている。外側ヨーク25は、平板状の側壁部251と、側壁部251を連結する連結部252と、を有している。側壁部251は、連結部252よりも下方側に突出している。
【0032】
側壁部251には、側壁部251の下端部と磁石23の下端部とが揃うように位置決めされた状態で、磁石23が接着固定される。側壁部251には、このように配置された磁石23の上面より上方に突出する第2延出部253がそれぞれ設けられている(
図6参照)。第2延出部253の上端側中央近傍には、レンズホルダ21のアーム部212aを収容する一対の凹部253aが設けられている。
【0033】
一対の凹部253aの間には、ストッパ253bが設けられている。ストッパ253bの上端部は、外側ヨーク25において最も上方側に突出するように構成されている。ストッパ253bは、初期状態において後述する外側ケース4の天井面から所定距離離れて配置されており、外側ケース4に衝撃が加わった時に外側ケース4の天井面に当接し、レンズ体等の構成部品が外側ケース4と接触することを防ぐためのストッパとして機能する。
【0034】
第2延出部253は、側壁部251が内側に屈曲されて形成される。この構成により、側壁部251と第2延出部253との間には屈曲部254が設けられている(
図6参照)。屈曲部254は、側壁部251又は第2延出部253と略直交して構成される。すなわち、側壁部251と第2延出部253とは、屈曲部254を挟んで屈曲部254から側壁部251の下端までと屈曲部254から第2延出部253の上端までとが、略平行となるように設けられている。
【0035】
板ばね保持部材26は、例えば絶縁性の樹脂材料を成形して構成され、外側ヨーク25の上面の外形と略同一の形状を有している。板ばね保持部材26は、外側ヨーク25の屈曲部254上に配置される枠状部261と、枠状部261の四隅部分から下方側に延出する脚部262と、を有している。脚部262は、外側ヨーク25の連結部252と重なるように配置される。
【0036】
枠状部261において、外側ヨーク25の屈曲部254上に配置される部分の中央近傍には、レンズホルダ21のアーム部212aが配置される凹部261aがそれぞれ設けられている。脚部262の上面には、上側板ばね27を固定するための複数のボス262aが設けられている。これらのボス262aは、後述する上側板ばね27の貫通孔271aに挿通された状態で熱かしめ等により変形されることで、上側板ばね27を固定する。なお、
図1においては、ボス262aが変形された状態について示している。
【0037】
同様に、脚部262の下面には、下側板ばね28を固定するための複数のボス262bが設けられている(
図1において不図示、
図4参照)。これらのボス262bは、後述する下側板ばね28の貫通孔281aに挿通された状態で熱かしめ等により変形されることで、下側板ばね28を固定する。
【0038】
上側板ばね27は、例えばリン青銅などの導電性材料を成形して構成され、概して円環形状を有している。上側板ばね27は、一対の上側板ばね27A、27Bから構成され、それぞれ板ばね保持部材26に固定される外側固定部271と、レンズホルダ21の上面に固定される内側固定部272、273と、外側固定部271と内側固定部272、273とを連結する腕部274と、を有している。
【0039】
外側固定部271の所定位置には、複数の貫通孔271aが設けられている。上側板ばね27は、これらの貫通孔271aに板ばね保持部材26のボス262aが挿通された状態で、板ばね保持部材26に固定される。また、外側固定部271の隅部分には、後述するサスペンションワイヤ32が貫通する貫通孔271bが設けられている。
【0040】
内側固定部272の所定位置には、径方向外側に突出する突出片272aが設けられている。突出片272aには、第1コイル22の端部221、222がそれぞれ絡げられる。なお、図示していないが、第1コイル22の端部221、222は、突出部272aに半田付けされる。このように接続された端部221、222を介して、上側板ばね27A、27Bは第1コイル22と導通するように構成されている。また、内側固定部272の所定位置には、複数の切り欠き部272bが設けられている。これらの切り欠き部272bに、レンズホルダ21の位置決め片214を収容した状態で、上側板ばね27はレンズホルダ21に固定される。
【0041】
内側固定部273の所定位置には、貫通孔273aがそれぞれ設けられている。上側板ばね27は、これらの貫通孔273aにレンズホルダ21のボス213が挿通された状態で、レンズホルダ21に固定される。
【0042】
下側板ばね28は、上側板ばね27と同様に、例えばリン青銅などの導電性材料を成形して構成される。下側板ばね28は、板ばね保持部材26に固定される外側固定部281と、レンズホルダ21の下面に固定される内側固定部282と、外側固定部281と内側固定部282とを連結する腕部283と、を有している。
【0043】
外側固定部281の所定位置には、複数の貫通孔281aが設けられている。下側板ばね28は、これらの貫通孔281aに板ばね保持部材26のボス262bが挿通された状態で、板ばね保持部材26に固定される。
【0044】
内側固定部282の所定位置には、複数の切り欠き部282aが設けられている。これらの切り欠き部282aに、レンズホルダ21の位置決め片215を収容した状態で、下側板ばね28はレンズホルダ21に固定される。
【0045】
サスペンション機構部3は、第2コイル保持部材31と、サスペンションワイヤ32と、FPC(フレキシブルプリント基板)33と、下側ケース34と、磁気検出素子35と、を含んで構成される。
【0046】
第2コイル保持部材31は、例えば複数枚(本実施の形態において2枚)の絶縁性フィルムを接着剤を介して積層して矩形状に構成されており、中央近傍には図示しないイメージセンサに対応する位置に矩形状の開口部311が設けられている。開口部311の周辺には、磁石23に対向する4箇所の位置にプリントコイル312がそれぞれ配置されている。プリントコイル312は、フィルム上にコイルの配線パターンが渦巻き状に形成されたものであり、第2コイルを構成する。なお、積層される上側のフィルム及び下側のフィルムにそれぞれ形成された配線パターンの一端部同士は導通されている。第2コイルとしてフィルム等の基板上に配置されたプリントコイル312を用いることにより、レンズ駆動装置1の光軸方向における薄型化が可能となる。第2コイル保持部材31の四隅部分には、サスペンションワイヤ32が貫通する貫通孔313が設けられている。
【0047】
サスペンションワイヤ32は、弾性を有する導体からなり、一端部(上端部)がオートフォーカス用アクチュエータ2を構成する上側板ばね27の貫通孔271bを貫通して、上側板ばね27の上面に半田付けされ、他端部(下端部)が後述する下側ケース34の貫通孔342を貫通して、下側ケース34に固定されているFPC33(引き回しパターン)に半田付けされる。
【0048】
FPC33は、第2コイル保持部材31の外形と略同一の形状を有しており、第2コイル保持部材31に配置されたプリントコイル312と電気的に接続されている。すなわち、第2コイルを構成する配線パターンの他端部が、第2コイル保持部材31を構成するフィルムに形成された図示しないスルーホールを介してFPC33に形成された図示しない引き回しパターンと導通している。FPC33は、中央近傍に矩形状の開口部331が設けられ、四隅部分にサスペンションワイヤ32が貫通する貫通孔332が設けられている。開口部331は、第2コイル保持部材31の開口部311に対応するように構成されている。また、FPC33には、外方側に延出する延出部333が設けられている。この延出部333には、引き回しパターンと導通する図示しない外部接続端子が設けられる。
【0049】
サスペンションワイヤ32は、貫通孔332を貫通した状態で、FPC33の引き回しパターンと電気的に接続される。FPC33は、レンズ駆動装置1に電力を供給するために設けられており、サスペンションワイヤ32を介してFPC33から上側板ばね27に電流が流される。すなわち、FPC33は、第1コイル22に電流を流すための電源供給部を構成している。
【0050】
下側ケース34は、例えば絶縁性の樹脂材料を成形して構成され、第2コイル保持部材31の外形と略同一の形状を有している。下側ケース34は、中央近傍に矩形状の開口部341が設けられ、四隅部分にサスペンションワイヤ32が貫通する貫通孔342が設けられている。開口部341は、第2コイル保持部材31の開口部311に対応するように配置されている。下側ケース34の四隅部分に貫通孔342を設けてサスペンションワイヤ32を四隅に配置することから、スペースを有効活用することができるため、レンズ駆動装置1の光軸方向と直交する方向における寸法を小型化することが可能となる。
【0051】
開口部341の隣り合う2辺の近傍には、後述する磁気検出素子35を収容するための貫通孔343が設けられている。貫通孔342の周辺には、第2コイル保持部材31及びFPC33の四隅部分を固定するための固定片344が設けられている。固定片344は、下側ケース34の上面から上方に突出して構成される。また、下側ケース34の周囲には、後述する外側ケース4をはめ込むための段差部345が設けられている。
【0052】
磁気検出素子35は、例えばホール素子で構成され、
図1に示すX軸方向、Y軸方向の磁気検出用に少なくとも1つずつ配置される。磁気検出素子35は、下側ケース34の貫通孔343内に収容されてFPC33の下面に実装される。
【0053】
外側ケース4は、例えば非磁性体材料を機械加工して構成され、
図1に示す下方側に開口した箱状に設けられている。外側ケース4は、概して矩形状に設けられ、その中央に円形状の開口部41が設けられている。開口部41の周縁部には、上側板ばね27の内側固定部272、273の形状に対応した切り欠き部41aが設けられている。また、外側ケース4の下端部には、下側ケース34の段差部345に外側ケース4をはめ込んだ際に、FPC33の延出部333を外側ケース4外に露出させるための開口部42が設けられている。
【0054】
続いて、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1を組み立てた状態について説明する。
図2は、レンズ駆動装置1を組み立てた状態を上方側から示した斜視図である。
図3は、
図2に示すレンズ駆動装置1から外側ケース4を取り除いた場合の斜視図である。
図4は、
図2に示すレンズ駆動装置1から外側ケース4及びサスペンション機構部3を取り除いた場合を下方側から示した斜視図である。なお、
図4においては説明の便宜上、サスペンション機構部3を構成する磁気検出素子35を図示している。
【0055】
図2に示すように、レンズ駆動装置1を組み立てると、外側ケース4の内部にオートフォーカス用アクチュエータ2が配置されて、下側ケース34上に組み立てられたサスペンション機構部3と一体化される。外側ケース4の開口部41の内部には、レンズホルダ21が配置されている。図示しないレンズ体は、レンズホルダ21に、
図2に示す上方側からねじ込むことで組みつけられ、レンズホルダ21と一体的に移動可能に構成される。また、外側ケース4の開口部42からは、FPC33の延出部333が露出している。
【0056】
外側ケース4の内部では、
図3に示すように、下側ケース34を土台とするサスペンション機構部3上に、オートフォーカス用アクチュエータ2が配置されている。オートフォーカス用アクチュエータ2においては、外側ヨーク25上に板ばね保持部材26が配置されている。また、レンズホルダ21を囲むように、内側ヨーク24、外側ヨーク25及び板ばね保持部材26が配置されている。
【0057】
レンズホルダ21は、突出片212が内側ヨーク24における第1延出部243の間(凹部244)に位置し、アーム部212aが外側ヨーク25における第2延出部253に設けられた凹部253a及び板ばね保持部材26における凹部261a上に位置するように配置される。初期状態において、レンズホルダ21は上側板ばね27及び下側板ばね28によって下方側に付勢されており、アーム部212aが板ばね保持部材26の凹部261aに接触することで位置決めされている。
【0058】
上側板ばね27は、外側固定部271における貫通孔271aに板ばね保持部材26のボス262aが挿通された状態で、板ばね保持部材26の上面に固定されている。また、上側板ばね27は、内側固定部272における切り欠き部272bにレンズホルダ21の位置決め片214を収容すると共に、内側固定部273における貫通孔273aにレンズホルダ21のボス213が挿通された状態で、レンズホルダ21の上面に固定されている。上側板ばね27における内側固定部272の突出片272aには、第1コイル22の端部221、222がそれぞれ絡げられている。
【0059】
内側ヨーク24の壁面部241と外側ヨーク25の側壁部251との間には、
図4に示すように、磁石23(23a〜23d)が配置されている。このとき、磁石23のレンズホルダ21と対向する内周側に内側ヨーク24が配置されると共に、磁石23の外周側に外側ヨーク25が配置されている。また、磁石23、内側ヨーク24及び外側ヨーク25は、下端部が揃うように位置決めされている。
【0060】
下側板ばね28は、外側固定部281における貫通孔281aに板ばね保持部材26のボス262bが挿通された状態で、板ばね保持部材26の下面に固定されている。また、下側板ばね28は、内側固定部282における切り欠き部282aにレンズホルダ21の位置決め片215を収容した状態で、レンズホルダ21の下面に固定されている。
【0061】
磁気検出素子35は、X軸方向、Y軸方向に沿って配置された磁石23の下方側に、少なくとも1つずつ配置されている。磁気検出素子35は、磁石23の長手方向における中央近傍に配置されている。
【0062】
ここで、
図5、
図6を参照して、レンズ駆動装置1の構成部材の位置関係について説明する。
図5は、
図2に示すレンズ駆動装置1のA−A線矢視断面図である。
図6は、
図2に示すレンズ駆動装置1のB−B線矢視断面図である。なお、
図5、
図6では、レンズ駆動装置1の初期状態を示している。
【0063】
図5に示すように、レンズ駆動装置1において、サスペンションワイヤ32の一端部(上端部)は、上側板ばね27における外側固定部271の貫通孔271bを貫通して外側固定部271の上面に半田付けされている。サスペンションワイヤ32の他端部(下端部)は、第2コイル保持部材31の貫通孔313及びFPC33の貫通孔332を貫通すると共に、下側ケース34の貫通孔342を貫通してFPC33に半田付けされている。この構成により、オートフォーカス用アクチュエータ2は、サスペンション機構部3に揺動可能に支持された状態となるため、オートフォーカス用アクチュエータ2を光軸方向と直交し、かつ互いに直交するX軸方向、Y軸方向に自在に移動することが可能となる。
【0064】
板ばね保持部材26の上面及び下面には、それぞれ上側板ばね27の外側固定部271及び下側板ばね28の外側固定部281がボス262a、262bを変形させることによって取り付けられている。また、レンズホルダ21の上面及び下面には、それぞれ上側板ばね27の内側固定部272、273及び下側板ばね28の内側固定部282が固定されている。
【0065】
レンズ駆動装置1は、
図5に示す初期状態において、レンズホルダ21の上面が板ばね保持部材26の上面よりも上方側に位置している。そのため、上側板ばね27には、板ばね保持部材26の上面に固定された外側固定部271とレンズホルダ21の上面に固定された内側固定部272、273との関係で、レンズホルダ21を下方側に付勢する力が働く。
【0066】
一方、レンズ駆動装置1は、初期状態において、レンズホルダ21の下面が板ばね保持部材26の下面よりも上方側に位置している。そのため、下側板ばね28には、板ばね保持部材26の下面に固定された外側固定部281とレンズホルダ21の下面に固定された内側固定部282との関係で、レンズホルダ21を下方側に付勢する力が働く。
【0067】
これにより、レンズホルダ21は、光軸方向に離間して対向配置された上側板ばね27及び下側板ばね28の付勢力によって、初期状態における通常位置に保持される構成となる。このように、レンズホルダ21を通常位置に保持する弾性部材を板ばね保持部材26に取り付けられた一対の板ばね(上側板ばね27及び下側板ばね28)で構成することにより、レンズ駆動装置1の光軸方向における高さ寸法を小さくすることが可能となる。
【0068】
図6に示すように、レンズ駆動装置1において、外側ヨーク25における第2延出部253は、外側ヨーク25が内側ヨーク24側に屈曲されて構成されている。また、外側ヨーク25において、屈曲部254を挟んで屈曲部254から外側ヨーク25の下端部までと、屈曲部254から外側ヨーク25の上端部までは略平行に構成されている。屈曲部254上には、板ばね保持部材26の枠状部261が配置されている。
【0069】
内側ヨーク24の壁面部241と外側ヨーク25の側壁部251との間には、磁石23が配置されている。このとき、内側ヨーク24と磁石23と外側ヨーク25とは、下端部が揃うように配置されている。また、内側ヨーク24の第1延出部243と外側ヨーク25の第2延出部253との間には、レンズホルダ21に保持された第1コイル22が配置されている。なお、初期状態においては、第1コイル22の上端部と下端部との間に外側ヨーク25の屈曲部254が配置される。また、第1延出部243と第2延出部253との先端部の間隔は、内側ヨーク24及び外側ヨーク25によって磁石23を挟持する部分の間隔よりも狭く設けられている。
【0070】
一方、磁石23の下方側には、磁石23の中央部にコイルの配線パターンの非形成部(空芯部)が対向するように第2コイル保持部材31における第2コイルとしてのプリントコイル312が配置される。このように、レンズ駆動装置1における第1コイル22及び第2コイル(プリントコイル312)は、磁石23を介して光軸方向に離間した状態で配置される。第2コイル保持部材31は、第1コイル22及び磁石23の下方側に配置されることから、基板等に対する第1コイル22や磁石23の実装位置を考慮することなく第2コイル(プリントコイル312)の実装位置を決定できるので、第2コイル保持部材31を容易に配置することが可能となる。
【0071】
続いて、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1の動作について説明する。まず、オートフォーカス用アクチュエータ2の動作について
図6を参照しながら説明する。オートフォーカス用アクチュエータ2は、レンズ体の光軸方向の移動、すなわち、Z軸方向の移動を制御する。
【0072】
オートフォーカス用アクチュエータ2において、複数の磁石23それぞれの周辺には磁界が発生している。磁石23は、内側ヨーク24及び外側ヨーク25で挟まれることにより磁力線の経路が制御されている。磁石23、内側ヨーク24及び外側ヨーク25からなる磁気回路は、第1コイル22と交差する磁力線が増加するように構成されている。
【0073】
FPC33からサスペンションワイヤ32を介して上側板ばね27に電流が流れると、上側板ばね27の突出片272aに絡げられた端部221、222を介して第1コイル22に電流が流れる。磁石23による磁界中におかれた第1コイル22に電流が流れると、第1コイル22には推力(ローレンツ力)が発生する。これにより、レンズホルダ21は、上側板ばね27の及び下側板ばね28の付勢力に抗して上下方向に移動する。
【0074】
磁石23は、例えば、
図6に示す内側ヨーク24側半分がS極、外側ヨーク25側半分がN極に構成されている。したがって、磁石23まわりには、外側ヨーク25側から内側ヨーク24側へ磁界が発生している。このとき、第1コイル22のA部分にX軸負方向(紙面手前から奥方向)の電流を流すと、第1コイル22にはZ軸正方向(上方向)の推力が発生する。一方、第1コイル22のA部分にX軸正方向(紙面奥から手前方向)の電流を流すと、第1コイル22にはZ軸負方向(下方向)の推力が発生する。
【0075】
磁石23の位置は固定されているため、一般に、第1コイル22は磁石23から離れるほど磁石23から受ける磁力は弱くなる。第1コイル22と磁石23との間の距離によって磁石23から受ける磁力が異なると、第1コイル22に発生する推力が一様とならない。
【0076】
そこで、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、外側ヨーク25に屈曲部254を設けて、第1コイル22が磁石23から一定距離だけ離れると、第1コイル22を挟む内側ヨーク24と外側ヨーク25との間隔が縮まるように構成されている。この構成により、第1コイル22は磁石23から遠ざかるほど磁石23から受ける磁力が弱くなる一方、内側ヨーク24と外側ヨーク25との間の磁力は強くなり、結果として第1コイル22に与えられる磁力を一定に近づけることができる。
【0077】
初期状態において、屈曲部254は第1コイル22の上端部と下端部との間に配置されている。したがって、初期状態において、第1コイル22は内側ヨーク24と外側ヨーク25との間隔が小さい部分(第1延出部243−第2延出部253の先端部間)と、屈曲部254よりも下方側に位置する内側ヨーク24と外側ヨーク25との間隔が大きい部分(壁面部241−側壁部251間)から、それぞれ強い磁力と弱い磁力を受けている。そして、第1コイル22が磁石23から遠ざかるにつれて、第1コイル22は屈曲部254よりも上方側に位置する第1延出部243−第2延出部253間に挟まれる部分が増えていき、この部分から受ける磁力が強まっていく。
【0078】
なお、初期状態において、屈曲部254が第1コイル22の下面よりも下方側に配置されている場合には、初期状態において第1コイル22全体が第1延出部243−第2延出部253間に挟まれる状態となる。しかしながら、この構成によると、第1コイル22と磁石23との距離の増大に伴って、第1コイル22が第1延出部243−第2延出部253間に挟まれる部分に変化が生じることがなく、第1コイル22に与えられる磁力を一定とすることができない。これに対して、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1によれば、初期状態において、屈曲部254は第1コイル22の上端部と下端部との間に配置されているので、第1コイル22が磁石23から遠ざかるにつれて、第1コイル22は第1延出部243−第2延出部253間に挟まれる部分が増えていき、この部分から受ける磁力が強まっていくため、結果として第1コイル22に与えられる磁力を一定に近づけることができる。
【0079】
また、第1コイル22が磁石23から一定距離だけ離れると、第1コイル22を挟む内側ヨーク24と外側ヨーク25との間隔が縮まる他の構成として、例えば、外側ヨーク25の側壁部251を斜めにする構成が考えられる。しかしながら、この構成によると内側ヨーク24及び外側ヨーク25間に磁力線が斜めに発生することに伴って、第1コイル22に発生する推力もZ軸に対して斜めに発生し、Z軸方向に移動するための推力が確保できない。これに対して、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1によれば、屈曲部254を挟んで屈曲部254から外側ヨーク25の下端部までと、屈曲部254から外側ヨーク25の上端部までは略平行に構成されているため、内側ヨーク24及び外側ヨーク25間にはこれらのヨークに直交するように磁力線が発生し、第1コイル22に発生する推力をZ軸に対して平行なものとすることができるので、Z軸方向に移動するための推力を十分に確保できる。
【0080】
さらに、第1コイル22が磁石23から一定距離だけ離れると、第1コイル22を挟む内側ヨーク24と外側ヨーク25との間隔が縮まる他の構成として、例えば、外側ヨーク25ではなく内側ヨーク24を屈曲させる構成が考えられる。しかしながら、この構成によると、径方向外側に屈曲する屈曲部を通過するために、第1コイル22の径方向の大きさを大きくする必要がある。これに対して、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1によれば、外側ヨーク25に屈曲部254を設けるように構成されているため、第1コイル22は内側ヨーク24の外径を通過可能な径を有していればよく、第1コイル22の径方向の大きさを必要最小限にすることができる。
【0081】
オートフォーカス用アクチュエータ2においては、例えば、レンズ駆動装置1を搭載する携帯電話やデジタルカメラの制御部からの駆動指示に応じて第1コイル22に通電する電流量や向きを制御することによって推力を制御し、第1コイル22を上下移動してその位置決めを行う。これにより、第1コイル22が固定されるレンズホルダ21の位置決めを行うと共に、レンズホルダ21に組みつけられたレンズ体の位置決めを行うことが可能となる。なお、第1コイル22への通電を停止すると、レンズホルダ21は上側板ばね27及び下側板ばね28の付勢力に応じて初期位置に復帰する。
【0082】
続いて、サスペンション機構部3の動作について説明する。サスペンション機構部3は、オートフォーカス用アクチュエータ2を、光軸方向と直交し、かつ互いに直交する第1方向(例えば、X軸方向)及び第2方向(例えば、Y軸方向)の移動を制御する。
【0083】
オートフォーカス用アクチュエータ2において、複数の磁石23それぞれの周辺には磁界が発生している。第2コイル保持部材31におけるプリントコイル312は、それぞれの磁石23に対向して配置されている。磁石23による磁界中におかれたプリントコイル312に電流が流れると、プリントコイル312には推力が発生する。これにより、オートフォーカス用アクチュエータ2は、サスペンションワイヤ32の揺動に伴ってX軸方向及びY軸方向に移動する。
【0084】
磁石23は、例えば、
図6に示す内側ヨーク24側半分がS極、外側ヨーク25側半分がN極に構成されている。したがって、磁石23まわりには、外側ヨーク25側から内側ヨーク24側へ
図6に矢印で示すような磁界が発生している。このとき、プリントコイル312のB部分にX軸負方向(紙面手前から奥方向)の電流を流すと、プリントコイル312にはY軸負方向(右方向)の推力が発生する。なお、このとき、プリントコイル312のC部分にはX軸正方向(紙面奥から手前方向)の電流が流れている。
【0085】
第2コイル保持部材31は、FPC33と共に下側ケース34に固定されているため、オートフォーカス用アクチュエータ2にはY軸正方向(左方向)の力がかかり、下側ケース34に固定されたサスペンションワイヤ32がY軸方向に揺動して光軸方向に対して斜めの状態となる。この結果、サスペンションワイヤ32に揺動自在に支持されているオートフォーカス用アクチュエータ2は、Y軸正方向に移動する。
【0086】
図6に示す磁石23b、23d及びこれらの磁石23b、23dに対向配置されるプリントコイル312は、オートフォーカス用アクチュエータ2のY軸方向の移動を制御する。一方、これらの磁石23b、23dが配置される辺と隣り合う辺に対向配置される磁石23a、23c(
図1参照)及びこれらの磁石23a、23cに対向配置されるプリントコイル312は、オートフォーカス用アクチュエータ2のX軸方向の移動を制御する。
【0087】
磁石23aの下方側に配置される磁気検出素子35は、磁石23aの磁力を検出することにより、X軸方向の移動に伴うオートフォーカス用アクチュエータ2の位置を検出する(
図4参照)。磁石23dの下方側に配置される磁気検出素子35は、磁石23dの磁力を検出することにより、Y軸方向の移動に伴うオートフォーカス用アクチュエータ2の位置を検出する。
【0088】
以上説明したように、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1によれば、第1コイル22と第2コイル(プリントコイル312)とが磁石23を介して光軸方向に離間した状態で対向配置されていることから、第1コイル22と第2コイル(プリントコイル312)とをオーバラップして配置できるので、レンズ駆動装置1の光軸方向と直交する方向における寸法を小型化できる。また、第2コイル(プリントコイル312)を手ぶれ補正用コイルとして利用することにより、光軸方向の空間を活用して手ぶれ補正機能を実現できるので、磁石23を薄型化する必要がなく、十分な手ぶれ補正効果を確保できる。この結果、十分な手ぶれ補正効果を確保しつつ、光軸方向と直交する方向における装置本体を小型化することが可能となる。
【0089】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。
【0090】
例えば、上記実施の形態においては、第2コイルとしてプリントコイル312を用いる場合について説明している。しかし、第2コイルの構成については、これに限定されるものでなく適宜変更が可能である。例えば、第2コイルは、導線を巻回した構成であってもよい。