(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態>
〔画像形成装置1の構成〕
まず、
図1〜
図2を参照して、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の構成について詳しく説明する。
図1によると、本実施の形態の画像形成装置1は、原稿読取部2と、原稿給送部3と、本体部4と、スタックトレイ5と、操作パネル部6とを備えている。
原稿読取部2は、本体部4の上部に配設され、原稿給送部3は、原稿読取部2の上部に配設されている。スタックトレイ5は、本体部4の形成された記録紙の排出口41側に配設され、また、操作パネル部6は、画像形成装置1のフロント側に配設されている。
【0011】
原稿読取部2は、スキャナー21と、プラテンガラス22と、原稿読取スリット23とを備える。スキャナー21は、露光ランプ、及びCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像センサ等から構成され、原稿給送部3による原稿の搬送方向に移動可能に構成されている。プラテンガラス22は、ガラス等の透明部材により構成された原稿台である。原稿読取スリット23は、原稿給送部3による原稿の搬送方向と直交方向に形成されたスリットを有する。
原稿読取部2は、原稿一枚ずつ、名刺〜A3等のサイズを自動的に認識して、認識したサイズに対応する所定範囲の画像を読み取る(スキャン)ことができる。
【0012】
プラテンガラス22に載置された原稿を読み取る場合には、スキャナー21は、プラテンガラス22に対向する位置に移動され、プラテンガラス22に載置された原稿を走査しながら原稿を読み取って画像データを取得して、取得した画像データを本体部4に出力する。
また、原稿給送部3により搬送された原稿を読み取る場合には、スキャナー21は、原稿読取スリット23と対向する位置に移動され、原稿読取スリット23を介し、原稿給送部3による原稿の搬送動作と同期して原稿を読み取って画像データを取得し、取得した画像データを本体部4に出力する。
【0013】
原稿給送部3は、原稿載置部31と、原稿排出部32と、原稿搬送機構33とを備えている。原稿載置部31に載置された原稿は、原稿搬送機構33によって、1枚ずつ順に繰り出されて原稿読取スリット23に対向する位置へ搬送され、その後、原稿排出部32に排出される。なお、原稿給送部3は、可倒式に構成され、原稿給送部3を上方に持ち上げることで、プラテンガラス22の上面を開放させることができる。
原稿給送部3は、例えば、名刺〜A3の用紙等、複数の異なるサイズの原稿が給紙された場合でも、傾きを補正して繰り出すことができる。なお、原稿給送部3は、名刺について、所定の名刺読み取り用シート等に装着された状態で読み込むように構成することも可能である。
【0014】
本体部4は、画像形成部7(画像形成手段)を備えると共に、給紙部42と、用紙搬送路43と、搬送ローラー44と、排出ローラー45とを備えている。給紙部42は、それぞれサイズ又は向きが異なる記録紙を収納する複数の給紙カセット421と、給紙カセット421から記録紙を1枚ずつ用紙搬送路43に繰り出す給紙ローラー422とを備えている。
給紙ローラー422、搬送ローラー44、及び排出ローラー45は、搬送部として機能する。記録紙は、この搬送部により搬送される。給紙ローラー422によって用紙搬送路43に繰り出された記録紙は、搬送ローラー44によって画像形成部7に搬送される。
そして、画像形成部7によって記録が施された記録紙は、排出ローラー45によってスタックトレイ5に排出される。
【0015】
操作パネル部6は、LCD等の表示部と、スタートキー、テンキー、複写/FAX送信/スキャナー等の動作モードの切り換えボタンと、選択されたジョブデータ92−1〜92−nの印刷、送信、受信、保存、又は記録に関する指示を行うためのボタンやタッチパネル等とを含む入力部を備えている。つまり、操作パネル部6は、ユーザーによる画像形成装置1の各種ジョブの指示を取得する。
また、操作パネル部6により、アカウント情報90の各ユーザーの情報を入力・変更することもできる。
【0016】
画像形成部7は、感光体ドラム71と、露光部72と、現像部73と、転写部74と、定着部75とを備えている。露光部72は、レーザー装置やLEDアレイやミラーやレンズ等を備えた光学ユニットであり、画像データに基づいて光等を出力して感光体ドラム71を露光し、感光体ドラム71の表面に静電潜像を形成する。現像部73は、トナーを用いて感光体ドラム71に形成された静電潜像を現像する現像ユニットであり、静電潜像に基づいたトナー像を感光体ドラム71上に形成させる。
転写部74は、現像部73によって感光体ドラム71上に形成されたトナー像を記録紙に転写させる。定着部75は、転写部74によってトナー像が転写された記録紙を加熱してトナー像を記録紙に定着させる。
【0017】
図2には、画像形成装置1の概略構成を示すブロック図が示されている。上述の原稿読取部2、原稿給送部3、搬送部(給紙ローラー422、搬送ローラー44、排出ローラー45)、操作パネル部6、及び画像形成部7は、制御部8に接続され、制御部8によって動作制御される。また、制御部8には、記憶部9(記憶手段)、画像処理部10(画像処理手段)、FAX送受信部11(FAX送受信手段)、ネットワーク送受信部12(ネットワーク送受信手段)等が接続されている。
【0018】
制御部8は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータ等の情報処理部である。ROMには画像形成装置1の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。
制御部8及び画像処理部10は、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、操作パネル部6から入力された所定の指示情報に応じて装置全体の制御を行う。また、制御部8及び画像処理部10は、他の画像形成装置1やユーザーのPC(Personal Computer)やスマートフォン等の他の端末200からの指示で、各種の制御を行うこともできる。
制御部8は、ジョブ削除制御部81(ジョブ削除制御手段、差分画像作成手段、ジョブ削除確認手段)を機能部位として備えている。
【0019】
ジョブ削除制御部81は、端末200から送信された文書のファイルや原稿読取部2で読み取られた画像データのファイル等を、ジョブデータ92−1〜92−nとして記憶部9の記憶フォルダ91に登録する。この登録の際に、ジョブ削除制御部81は、光学文字認識(Optical Character Reader)により、画像データも文字化して記憶してもよい。
また、ジョブ削除制御部81は、認証を行ったユーザーの指示に基づいて、記憶フォルダ91の選択されたジョブデータ92−1〜92−nを出力する「プライベート出力」を行う。このプライベート出力の際、ジョブ削除制御部81は、選択されたジョブデータ92−1〜92−nより以前に登録された同一文書のジョブデータ92−1〜92−nについては、出力時にユーザーに確認をした上で自動的に削除する。
【0020】
記憶部9は、半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶媒体を用いた記憶部位である。記憶部9は、下記で示すように、原稿読取部2によってスキャンされた画像データ、画像処理部10で画像処理された画像データ、端末200から送信された印刷データ、記録媒体に記憶された各種ファイル、サムネイル画像のデータ等を記憶する。
記憶部9は、アカウント情報90を記憶するアカウント設定記憶手段、ジョブデータ92−1〜92−nを記憶するジョブデータ記憶手段として機能する。
【0021】
アカウント情報90は、ユーザーのアカウント毎のユーザーID(Identification、ユーザー名)、パスワード、端末200のIPアドレス、メールアドレス、サーバアドレス、権限等の属性情報を備えるデータベースである。アカウント情報90は、この他にも、ユーザーの住所、電話番号、クレジットカード番号、送信/受信先情報、アドレス帳等、その他の必要な情報を含ませることができる。
アカウント情報90は、操作パネル部6や端末200のウェブブラウザ等からユーザーが入力した各種情報を用いて登録される。また、アカウント情報90には、ゲストのユーザーを登録することもできる。また、操作パネル部6や端末200により、アカウント情報90の各ユーザーの情報を一括して入力・変更してもよい。
【0022】
記憶フォルダ91は、端末200から取得し登録され、各部から取得し登録されたジョブデータ92−1〜92−nを、順次、各ユーザーのアカウントに関連付けて格納する。また、記憶フォルダ91は、端末200や外部記憶媒体の各種データをNAS(Network Attached Storage)のように格納することも可能である。また、記憶フォルダ91には、ユーザーの各種指示に係る情報のファイルも格納される。
なお、記憶フォルダ91は、後述する差分画像のサムネイル(thumbnail)等のプレビュー画像を表示するための一次画像ファイル等も記憶されてもよい。
また、制御部8は、記憶部9の記憶領域の空き容量が所定値以下になったり、所定容量に達した場合には、登録の時刻が古いジョブデータ92−1〜92−nを記憶フォルダ91から自動的に削除してもよい。
【0023】
ジョブデータ92−1〜92−nは、各部位の機能を実行(出力)させる各種ジョブに関するデータである。ジョブデータ92−1〜92−nは、ジョブの種類、ジョブID(Identification)、ジョブの登録時間(タイムスタンプ)、画像データ/印刷データを含む各種データ、ユーザーID、出力情報等から構成されている。
ジョブの種類としては、例えば、画像形成部7による印刷ジョブ、原稿読取部2によるスキャンジョブ、原稿読取部2と端末200との間のリモートスキャンジョブ、原稿読取部2と画像形成部7によるコピージョブ、ファクシミリ送受信に係るFAXジョブ等が用いられる。
ジョブID(Identification)は、当該ジョブデータ92−1〜92−nが取得される度に、ジョブ削除制御部81により設定される、例えばユニークな番号や文字列等のIDである。このジョブIDに加えて、同一又は類似する文書の場合は、派生番号を用いてリストやツリー形式で「親」のジョブIDの情報が記憶されてもよい。
ジョブの登録時刻(タイムスタンプ)は、当該ジョブデータ92−1〜92−nが取得され記憶フォルダ91に記憶された時刻を示す時刻情報である。
各種データは、端末200から送信されネットワーク送受信部12で受信された文書等の印刷データ、原稿読取部2で読み取られ画像処理部10で画像処理された画像データ(スキャンされた画像データ)、この画像データからOCRにより認識された文字データ、記憶媒体等から読み取られた画像データや印刷データ等を記憶する。ここで、文書等の印刷データについては、端末200のデバイスドライバ等により付加された文書名(ファイル名)、使用されたアプリケーションソフトウェアの名称、文書自体のタイムスタンプやサイズ等の文書識別情報(識別情報)と、文書データ自体とを含んでいてもよい。ジョブ削除制御部81は、この文書識別情報により、同一のジョブデータ92−1〜92−nであるか否かを判定してもよい。また、画像データについては、OCRにより認識された文字データを基にした文書識別情報を含ませてもよい。
ユーザーIDは、アカウント情報90のユーザーID等のユーザーのアカウントに係る情報である。
出力情報は、各種ジョブ毎の出力の状態を示す情報である。出力情報には、出力が完了したか中止されたか、中止の原因は何か等についての情報が含まれる。これに加え、印刷ジョブの場合は、出力情報には、出力した際の用紙サイズ、向き、複数同時印刷、集約印刷、両面印刷、閉じる向き、トレイ番号、出力が完了したページ数、印刷した部数等の情報が含まれる。また、スキャンジョブの場合には、出力情報には、スキャンされた枚数等の情報が含まれる。さらに、リモートスキャンジョブの場合は、出力情報には、端末200等への送信の状態や通信速度等の情報が含まれる。また、コピージョブの場合には、出力情報には、印刷ジョブと同様の情報に加え、コピー枚数やコピー権限や課金に関する情報が含まれる。また、FAXジョブの場合は、出力情報には、送信又は受信の電話番号やリトライ回数等の情報が含まれる。
【0024】
画像処理部10は、DSP(Digital Signal Processor)やGPU(Graphics Processing Unit)の制御演算部位である。画像処理部10は、画像データに対して所定の画像処理を行う手段であり、例えば、拡大縮小、濃度調整、階調調整による画像改善処理等の各種画像処理を行う。
また、画像処理部10は、原稿読取部2で読み取られた画像を、PDFやTIFF等のフォーマットのファイル単位に変換して、記憶部9の記憶フォルダ91に「スキャンされた画像データ」として記憶することができる。
【0025】
FAX送受信部11は、ファクシミリの送受信を行う部位であり、通常の電話回線やISDN回線等と接続されている。
FAX送受信部11は、ファクシミリを受信した画像データを、画像形成部7から直接出力又はFAX受信ジョブのジョブデータ92−1〜92−nとして記憶部9の記憶フォルダ91に記憶する。
また、FAX送受信部11は、端末200から受信したFAX送信ジョブのジョブデータ92−1〜92−nを、画像形成部7で記録する代わりにファクシミリ送信する。
また、FAX送受信部11は、記憶フォルダ91に記憶された印刷ジョブのジョブデータ92−1〜92−nを、ユーザーの指示により、ファクシミリ送信する。
【0026】
ネットワーク送受信部12は、ネットワーク100に接続するためのLANボードや無線送受信機やテレフォン・ダイアラーやカプラ等を含む、外部のネットワーク100へ接続する部位である。ネットワーク100は、LAN、WAN、携帯電話網等のネットワークである。
ネットワーク送受信部12は、ネットワーク100を介し、端末200と接続される。これにより、ネットワーク送受信部12は、端末200から受信したジョブデータ92−1〜92−n等を記憶部9の記憶フォルダ91に出力して記憶する。
【0027】
なお、画像形成装置1において、制御部8及び画像処理部10は、GPU内蔵CPU等やチップ・オン・モジュールパッケージのように、一体的に形成されていてもよい。
【0028】
〔画像形成装置1による同一ジョブ削除処理〕
次に、
図3〜
図4を参照して、本発明の実施の形態に係る画像形成システムXによる同一ジョブ削除処理の説明を行う。
この同一ジョブ削除処理は、記憶部9の記憶フォルダ91内に記憶されたジョブデータ92−1〜92−nについて、ユーザーが出力を指示した際に、同一又は類似のジョブデータ92−1〜92−nをユーザーの確認の上で削除する。このため、ユーザーがいちいち記憶フォルダ91からジョブデータ92−1〜92−nを削除する必要がなく、記憶フォルダ91の扱いを容易にすることができる
この同一ジョブ削除処理は、主に制御部8のジョブ削除制御部81が、記憶部9に記憶されたプログラム等を、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行することで実現する。
以下で、
図3のフローチャートを参照し、同一ジョブ削除処理をステップ毎に詳しく説明する。
【0029】
(ステップS101)
まず、ジョブ削除制御部81は、ジョブ登録処理を行う。
ジョブ削除制御部81は、印刷ジョブの場合は、ネットワーク送受信部12にて端末200から取得した印刷データを、記憶部9の記憶フォルダ91にジョブデータ92−1〜92−nとして記憶する。この際、ジョブ削除制御部81は、当該ジョブデータ92−1〜92−nに、ジョブIDを付加し、取得した時刻のタイムスタンプも付加する。また、ジョブ削除制御部81は、当該ジョブデータ92−1〜92−nが印刷等の出力をされた又は中止された場合、出力情報として記憶する。
また、ジョブ削除制御部81は、スキャンジョブの場合は、原稿読取部2で読み取られた画像データに同様にジョブIDとタイムスタンプを付加してジョブデータ92−1〜92−nとして記憶する。この際に、ジョブ削除制御部81は、当該画像データのOCRを行い、文字情報を取得してもよい。
ジョブ削除制御部81は、リモートスキャンジョブの場合は、スキャンジョブと同様にジョブデータ92−1〜92−nを記憶して、端末200に送信する。ジョブ削除制御部81は、送信が成功又は失敗したかの結果についても、出力情報として記憶する。
ジョブ削除制御部81は、コピージョブの場合、スキャンジョブと同様にジョブデータ92−1〜92−nを記憶する。この上で、複数同時印刷や集約印刷や何部印刷するかについてのユーザーの指示の情報を、出力情報として記憶する。
ジョブ削除制御部81は、FAXジョブの場合は、上述の印刷ジョブやスキャンジョブやリモートスキャンジョブ等と同様にジョブデータ92−1〜92−nを記憶する。これに加えて、ジョブ削除制御部81は、ファクシミリ送受信に係る結果について、出力情報として記憶する。
なお、ジョブ削除制御部81は、端末200から取得した文書データが、NASのようにそのまま記憶フォルダ91に記憶された場合、画像形成装置1で解釈し印刷可能な印刷データに変換することも可能である。
【0030】
(ステップS102)
次に、ジョブ削除制御部81は、ジョブ選択処理を行う。
図4を参照して説明すると、ジョブ削除制御部81は、端末200又は操作パネル部6によるユーザーの指示で、「プライベート出力」が選択された場合、まずは記憶部9のアカウント情報90を参照して、ユーザー認証を行う。
この際、ジョブ削除制御部81は、ユーザーによる端末200からの印刷指示の後、操作パネル部6上でパスワード等の入力によりユーザー認証を行うように構成してもよい。
また、ジョブ削除制御部81は、ICカードリーダーや生体認証機器等(図示せず)を用いて認証を行ってもよい。
また、ジョブ削除制御部81は、端末200のウェブブラウザ等からのパスワード等の入力によりユーザー認証を行ってもよい。
【0031】
ユーザー認証が成功した場合、ジョブ削除制御部81は、ユーザーに記憶フォルダ91の内容を確認させ、出力するジョブデータ92−1〜92−nを選択させる。
ここでは、ジョブ削除制御部81は、端末200又は操作パネル部6の表示部に、ユーザー認証を行った当該ユーザーの記憶フォルダ91に格納されたジョブデータ92−1〜92−nの情報を、「ジョブリスト」として表示する。
ジョブ削除制御部81は、端末200又は操作パネル部6の入力部から、ユーザーが、ジョブリスト上のどのジョブデータ92−1〜92−nを出力するか選択させる。
【0032】
図4(a)の画面例500は、端末200又は操作パネル部6に表示された、選択の指示画面を示す。
表示欄610は、ユーザーのアカウントIDである「ユーザーP」と記憶フォルダ91の名称等が表示される。
表示欄620は、当該ユーザーの記憶フォルダ91内のジョブデータ92−1〜92−nのジョブリストが表示される。このジョブリストには、ジョブIDを基にした番号、ジョブの種類、文書名、タイムスタンプ等がリスト形式で表示される。ジョブ削除制御部81は、ユーザーがタッチパネルやポインティングデバイス等で、ジョブリスト中のジョブデータ92−1〜92−nを選択したことを検出する。
表示欄630は、ジョブデータ92−1〜92−nの選択を指示するメッセージと、プライベート出力をしないで「戻る」ボタン710が表示されている。
【0033】
(ステップS103)
次に、ジョブ削除制御部81は、同一文書検索処理を行う。
ジョブ削除制御部81は、選択されたジョブデータ92−1〜92−nのうち同一の文書(以下、同一文書という。)を検索する。
ジョブ削除制御部81は、当該ユーザーの記憶フォルダ91内の、ジョブデータ92−1〜92−nの各種データを参照して、選択されたジョブデータ92−1〜92−nよりタイムスタンプが前のジョブデータ92−1〜92−nから同一文書を検索する。ジョブ削除制御部81は、例えば、文書識別情報において同一の文書名をもつものを、同一文書のジョブデータ92−1〜92−nと判断する。また、ユーザーの設定により、ジョブ削除制御部81は、使用されたアプリケーションが異なっている場合、IPアドレスが異なる別の端末200から送信された場合、ファイルのサイズ等が所定値以上に異なる場合等には、同一の文書と判断しない。
さらに、ジョブ削除制御部81は、スキャンジョブ、リモートスキャンジョブ、FAXジョブの場合には、OCRの文字データや画像データの類似度検索等を基にした文書識別情報を作成し、この文書識別情報から同一文書と判断する。この際、ジョブ削除制御部81は、所定の類似度以上に類似したものを同一文書と判断するように構成することで、文字データの誤認識による影響を低減することができる。
【0034】
ここで
図4(a)の例を基に、同一文書検索について説明する。
図4(a)では、ユーザーPの記憶フォルダ91には、ジョブデータ92−1〜92−nとして、ジョブ(1)〜(4)が記憶されている例を示す。
表示欄620のジョブリストにおいて、ジョブ(1)〜(4)は、当該ジョブが画像形成装置に登録された順に表示される。ユーザーPは、ジョブ(1)〜(4)を選択して出力を指示する。このジョブ(1)〜(4)のうち、選択されたものより以前に登録された、同一の元文書を利用したジョブ(1)〜(4)については、その実行時に削除される。
上述の例では、ジョブ(1)(3)(4)は、印刷するページ数や部数やページの向き等が異なるものの、同一文書であるとする。
このときジョブ(3)が選択されると、ジョブ削除制御部81は、同一文書としてジョブ(3)よりタイムスタンプが前のジョブ(1)を検索する。このジョブ(1)は、後述するように、ユーザーの確認の上でジョブ削除制御部81により削除される。
また、ジョブ(4)が選択されると、ジョブ削除制御部81は、同一文書としてジョブ(1)(3)を検索する。この場合も、ユーザーの確認の上で、ジョブ(1)、(3)が削除される。
つまり、ユーザーは、ジョブ(3)だけが不要なジョブである場合はジョブ(1)、ジョブ(4)の順で印刷するとよい。
なお、ジョブ(2)は元となる文書が異なるため、同一文書として検索されず、削除の対象とはならない。
【0035】
(ステップS104)
ジョブ削除制御部81は、選択されたジョブデータ92−1〜92−nに、同一文書があったか否かを判定する。ジョブ削除制御部81は、同一文書があった場合には、Yesと判定する。それ以外はNoと判定する。
Yesの場合、ジョブ削除制御部81は、処理をステップS105に進める。
Noの場合、ジョブ削除制御部81は、処理をステップS109に進める。
【0036】
(ステップS105)
ジョブ削除制御部81は、差分画像作成処理を行う。
ジョブ削除制御部81は、削除の確認のための付加情報として、差分画像の画像データを作成する。ジョブ削除制御部81は、選択されたジョブデータ92−1〜92−nと、同一文書のジョブデータ92−1〜92−nの各ページを描画して、差異があるか否かを判断する。ジョブ削除制御部81は、差異があった最初のページの描画された画像を縮小化(サムネイル化)して、それぞれ差分画像の画像データとして、記憶部9の記憶フォルダ91に記憶する。
なお、ジョブ削除制御部81は、ページ毎に文字情報を差分検索して、差異があるか否かを判定してもよい。
【0037】
(ステップS106)
ジョブ削除制御部81は、ジョブ削除確認処理を行う。
ジョブ削除制御部81は、ジョブデータ92−1〜92−nが消えるときに、消してもいいかどうかを問い合わせる表示を行う。
図4を再び参照して説明すると、
図4(b)の画面例510は、端末200又は操作パネル部6に表示された、ジョブ削除確認の画面例を示している。
まず、ジョブ削除制御部81は、表示欄640、650にジョブ(4)が選択されたことを表示する。この上で、表示欄650に、タイムスタンプが前のジョブ(1)(3)が同一文書として検索されたため、削除されることを視覚的に表現する。ジョブ削除制御部81は、例えば、ジョブ(1)(3)箇所のコントラスト比を下げたり、網掛け等でグレー化したり、点滅させる等の表示処理をして、消えそうなイメージを表現する。
この上で、ジョブ削除制御部81は、表示欄650に、選択されたジョブ(4)及び削除の確認を行うジョブ(1)(3)の付加情報を表示する。ジョブ削除制御部81は、例えば、ジョブリストの当該ジョブ(4)(1)(3)の表示箇所の横に、上述の差分画像の画像データと出力情報とを表示する。
また、ジョブ削除制御部81は、表示欄660に、同一文書が削除される旨のメッセージと、削除を了承する際の「OK」ボタン720と、了承しない際の「キャンセル」ボタン730とを表示する。
これにより、表示されたジョブリストに同じ名前の文書が並んでいる場合でも、削除されるジョブデータ92−1〜92−nをユーザーが容易に判別することが可能となる。
なお、ジョブ削除制御部81は、設定によっては、このような確認をせずに同一文書のジョブデータ92−1〜92−nを自動的に削除してもよい。
【0038】
(ステップS107)
ジョブ削除制御部81は、ユーザーが削除を了解したか否かを判定する。ユーザーが削除を了解した場合には、Yesと判定する。それ以外はNoと判定する。
Yesの場合、ジョブ削除制御部81は、処理をステップS108に進める。
Noの場合、ジョブ削除制御部81は、処理をステップS109に進める。これにより出力の際、同一文書のジョブデータ92−1〜92−nが削除されない。
【0039】
(ステップS108)
ジョブ削除制御部81は、同一文書ジョブデータ削除処理を行う。
ジョブ削除制御部81は、選択されたジョブデータ92−1〜92−nと同一文書のジョブデータ92−1〜92−nを記憶部9の記憶フォルダ91から削除する。ジョブ削除制御部81は、この削除の際に、効果音や音声にて削除したことをユーザーに報知してもよい。また、ジョブ削除制御部81は、削除後の記憶フォルダ91のジョブリストを端末200や操作パネル部6の表示部に表示してもよい。
【0040】
(ステップS109)
ジョブ削除制御部81は、ジョブ出力処理を行う。
具体的には、ジョブ削除制御部81は、選択されたジョブデータ92−1〜92−nについて、ジョブの種類に従って、各部に実行を指示する。
実行が完了した際に、ジョブ削除制御部81は、選択されたジョブデータ92−1〜92−nの出力情報を書き換え又は追加する。
以上により、同一ジョブ削除処理を終了する。
【0041】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
本発明の実施の形態に係る画像形成装置1は、記憶フォルダ91に記憶された、ジョブデータ92−1〜92−nを選択して出力する際に、同一文書のジョブデータ92−1〜92−nを検索して削除する。このため、ユーザーが余分な作業をする必要がなく、記憶フォルダ91の扱いを容易化することができる。また、記憶フォルダ91内の情報管理を効率化することができる。
【0042】
なお、本実施形態の同一ジョブ削除処理は、画像形成装置以外の情報処理装置にも適用できる。つまり、ネットワークスキャナー、スキャナーをUSB等で別途接続したサーバ等、外付けのストレージ等を用いる構成であってもよい。
【0043】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。