(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963655
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】三相交流電極式円形電気炉及びその冷却方法
(51)【国際特許分類】
F27B 3/24 20060101AFI20160721BHJP
C21B 13/12 20060101ALI20160721BHJP
C21C 5/52 20060101ALI20160721BHJP
F27B 3/08 20060101ALI20160721BHJP
F27B 3/14 20060101ALI20160721BHJP
F27D 1/12 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
F27B3/24
C21B13/12
C21C5/52
F27B3/08
F27B3/14
F27D1/12 Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-257856(P2012-257856)
(22)【出願日】2012年11月26日
(65)【公開番号】特開2014-105904(P2014-105904A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2014年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】593213342
【氏名又は名称】株式会社日向製錬所
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100096677
【弁理士】
【氏名又は名称】伊賀 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 稔也
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100150898
【弁理士】
【氏名又は名称】祐成 篤哉
(72)【発明者】
【氏名】貝掛 敦
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 初義
(72)【発明者】
【氏名】黒木 良勝
【審査官】
佐藤 陽一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03849587(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 1/00−3/28
F27D 1/00−1/18
F27D 7/00−15/02
C22C 33/00
C22C 33/04−33/12
C21C 1/00−3/00
C21C 5/00−5/56
C21B 7/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料鉱石の熔解処理に用いられ、外周部に炉側壁を構成する炉側壁耐火物層が敷設された三相交流電極式円形電気炉であって、
上記炉側壁は、炉側壁耐火物と炉側壁外鉄板からなり、
上記炉側壁外には、三相交流電極により電気炉内に発生する高温雰囲気下で炉側壁温度が局部的に上昇している位置に穴が所定間隔で形成され、上記炉側壁外鉄板の穴に雌ねじが切り込まれ、外周面に所定の挿入深さ位置まで雄ねじが形成された高熱伝導性を有する金属丸棒が、上記穴に挿入されて上記炉側壁外側から炉内に向かって所定深さ位置まで螺進されることにより、一端部が上記炉側壁外側に突出した状態で所定間隔で埋設されており、
上記金属丸棒を介して炉内の炉側壁耐火物から上記炉側壁外側の一端部へ抜熱されることを特徴とする三相交流電極式円形電気炉。
【請求項2】
上記電気炉は、酸化ニッケル鉱石の還元熔解処理に用いるフェロニッケル製錬用であることを特徴とする請求項1記載の三相交流電極式円形電気炉。
【請求項3】
原料鉱石の熔解処理に用いられ、外周部に炉側壁を構成する炉側壁耐火物層が敷設された三相交流電極式円形電気炉の冷却方法であって、
炉側壁耐火物と炉側壁外鉄板からなる上記炉側壁の三相交流電極により電気炉内に発生する高温雰囲気下で炉側壁温度が局部的に上昇している位置に上記炉側壁外側から炉内に向かって所定深さの穴を所定間隔で形成し、
上記炉側壁外鉄板の上記穴に雌ねじを切り込み、
外周面に所定の挿入深さ位置まで雄ねじが形成された高熱伝導性を有する金属丸棒を、上記炉側壁外側から炉内に向かって上記穴に挿入して所定の挿入深さ位置まで螺進させることにより、一端部が上記炉側壁外側に突出した状態で埋設し、
上記金属丸棒を介して炉内の煉瓦から上記炉側壁外側の一端部へ抜熱させることを特徴とする三相交流電極式円形電気炉の冷却方法。
【請求項4】
上記炉内への水侵入防止用の遮水剤を使用しながら上記金属丸棒を上記穴に挿入して所定の挿入深さ位置まで螺進させることを特徴とする請求項3記載の三相交流電極式円形電気炉の冷却方法。
【請求項5】
上記電気炉は、酸化ニッケル鉱石の還元熔解処理に用いるフェロニッケル製錬用であることを特徴とする請求項3又は4の何れか1項記載の三相交流電極式円形電気炉の冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄鋼及び非鉄金属等の製錬において原料鉱石の熔融処理に用いられ、外周部に炉側壁を構成する耐火物層が敷設された三相交流電極式円形電気炉及びその冷却方法に関し、特に、局部的に炉側壁の冷却を強化するようにした三相交流電極式円形電気炉及びその冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄鋼及び非鉄金属等の熔融製錬に用いる三相交流電極式円形電気炉においては、原料鉱石等の熔融に伴ない炉内に形成される熔融物(以下、炉内熔融物と呼称する場合がある。)による炉側壁耐火物の熔損を防止することが、安全上、及び生産効率上の重要な課題であった。このため、電気炉を構成する炉側壁耐火物の熔損を防止するため、種々の炉側壁を冷却する方法が採用されている。
【0003】
例えば、(イ)電気炉の炉側壁の外周部に設けられた鉄板(以下、炉側壁外鉄板と呼称する場合がある。)の外表面上の全面に、シャワー冷却水を流し、炉側壁を保護する方法(例えば、特許文献1参照。)、(ロ)冷却水を通水した銅製冷却部品(銅クーラーと呼称する場合がある。)等に代表される高効率熱伝導媒体を炉側壁の全面に配置することにより、炉側壁を構成する耐火物を直接的に冷却して炉側壁を保護する方法、(ハ)三相交流電極により炉内に発生する高温雰囲気下で、熱負荷が大きくなる炉側壁の領域内に、炉側壁を構成する耐火物層の局部的な熔損を防止するに十分な程度に冷却できる高効率熱伝導媒体を局部的に配置する方法(例えば、特許文献2参照。)等が挙げられる。
【0004】
フェロニッケル製錬では、一般的に、原料鉱石としては、ガーニエライト鉱等の酸化ニッケル鉱石が用いられる。最も一般的に用いられるガーニエライト鉱の代表的な組成としては、乾燥鉱換算でNi品位が2.1〜2.5質量%、Fe品位が11〜23質量%、MgO品位が20〜28質量%、SiO
2品位が29〜39質量%、CaO品位が<0.5質量%、灼熱減量が10〜15質量%である。こうした酸化ニッケル鉱石を、通常は炭素質還元剤と共にロータリーキルンへ装入し、焙焼して、付着水分と結晶水とを除去し、一部還元された鉱石と炭素質還元剤とを含む焼鉱とする。そして、焼鉱を例えば三相交流電極式円形電気炉のような電気炉中に供給して還元熔融し、熔融物としてフェロニッケルメタルとスラグとを生成させ、比重分離する。
【0005】
従来、フェロニッケル製錬用の三相交流電極式円形電気炉では、炉側壁の外周部に設けられた鉄板(以下、炉殻と呼称する場合がある。)の外表面上の全面に、シャワー冷却水を流し、炉殻の熱を冷却水に移動させることで、炉全体の熱量を抜熱する方法が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−68099号公報
【特許文献2】特開2007−327660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、フェロニッケル製錬用の三相交流電極式円形電気炉の操業では、電気炉の熔解能力の評価値である炉床電力密度
炉床電力密度=電気炉電力kW/電気炉炉床面積m
2
が高い場合、あるいは、原料鉱石組成変動による炉内熔融物の融点が低下した場合は、シャワー冷却水による炉体(側壁)保護能力が不足し、炉体(側壁)耐火物の熔損が進行する。また、経年の電気炉操業中電力負荷変動等により、炉内の耐火物は急冷、急熱等の熱的変化を受けて炉体(側壁)耐火物である煉瓦目地が弛み、煉瓦間目地開きが発生する。その目地開きの箇所に炉内に炉内熔融物が浸透し局部的に温度が上昇、ひいては周辺の耐火物の熔損へと進化する。この場合一般的には炉体(側壁)のシャワー冷却水量を増加する処置を行うが、その効果は極めて少ない。
【0008】
一方で電気炉を止電し、炉体(側壁)である耐火物(煉瓦)を取り替える方法や角形の銅クーラーを煉瓦に埋め込んで冷却を強化する方法があるが、工期は数週間から数ヶ月を要し、その期間中は電気炉の操業を休止しなければならない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上述の如き従来の実情に鑑み、三相交流電極式円形電気炉の操業を休止することなく、局部的に炉体(側壁)の冷却を強化した三相交流電極式円形電気炉及びその冷却方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本件発明者らは、上述した目的を達成するために、鉄鋼及び非鉄金属等の製錬に用いる三相交流電極式円形電気炉において、局部的な炉体(側壁)の熔損進行などの温度が上昇している箇所周辺などに、ドリル等で炉体(側壁)の外側から炉体(側壁)内側に向かって所定の穴を開けて、そこに高熱伝導性を有した金属(例えば、銅、アルミニウム、鉄など)の丸棒を挿入し、その金属丸棒を介して炉内の煉瓦から炉体(側壁)外側端部へ抜熱させることで、炉内の耐火物を効果的にさせることが可能となることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
すなわち、本発明は、原料鉱石の熔解処理に用いられ、外周部に炉側壁を構成する炉側壁耐火物層が敷設された三相交流電極式円形電気炉であって、
上記炉側壁は、炉側壁耐火物と炉側壁外鉄板からなり、上記炉側壁外には、三相交流電極により電気炉内に発生する高温雰囲気下で炉側壁温度が局部的に上昇している位置に
穴が所定間隔で形成され、上記炉側壁外鉄板の穴に雌ねじが切り込まれ、外周面に所定の挿入深さ位置まで雄ねじが形成された高熱伝導性を有する金属丸棒が
、上記穴に挿入されて上記炉側壁外側から炉内に向かって所定深さ位置まで
螺進されることにより、一端部が上記炉側壁外側に突出した状態で所定間隔で埋設され
ており、上記金属丸棒を介して炉内の炉側壁耐火物から上記炉側壁外側の一端部へ抜熱されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に三相交流電極式円形電気炉において、上記電気炉は、酸化ニッケル鉱石の還元熔解処理に用いるフェロニッケル製錬用であるものとすることができる。
【0015】
本発明は、原料鉱石の熔解処理に用いられ、外周部に炉側壁を構成する炉側壁耐火物層が敷設された三相交流電極式円形電気炉の冷却方法であって、
炉側壁耐火物と炉側壁外鉄板からなる上記炉側壁の三相交流電極により電気炉内に発生する高温雰囲気下で炉側壁温度が局部的に上昇している位置に上記炉側壁外側から炉内に向かって所定深さの穴を所定間隔で形成し、
上記炉側壁外鉄板の上記穴に雌ねじを切り込み、外周面に所定の挿入深さ位置まで雄ねじが形成された高熱伝導性を有する金属丸棒を
、上記炉側壁外側から炉内に向かって上記穴に挿入して
所定の挿入深さ位置まで螺進させることにより、一端部が上記炉側壁外側に突出した状態で埋設し、上記金属丸棒を介して炉内の煉瓦から上記炉側壁外側の一端部へ抜熱させることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る三相交流電極式円形電気炉の冷却方法では、上記炉内への水侵入防止用の遮水剤を使用しながら上記金属丸棒を上記穴に挿入して所定の挿入深さ位置まで螺進させるものとすることができる。
【0018】
さらに、本発明に係る三相交流電極式円形電気炉の冷却方法において、上記電気炉は、酸化ニッケル鉱石の還元熔解処理に用いるフェロニッケル製錬用であるものとすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、外周部に炉側壁を構成する炉側壁耐火物層が敷設された三相交流電極式円形電気炉において、
炉側壁耐火物と炉側壁外鉄板からなる上記炉側壁の三相交流電極により電気炉内に発生する高温雰囲気下で炉側壁温度が局部的に上昇している位置に上記炉側壁外側から炉内に向かって所定深さの穴を所定間隔で形成し、
上記炉側壁外鉄板の上記穴に雌ねじを切り込み、外周面に所定の挿入深さ位置まで雄ねじが形成された高熱伝導性を有する金属丸棒を上記炉側壁外側から炉内に向かって上記穴に挿入して
所定の挿入深さ位置まで螺進させることにより、一端部が上記炉側壁外側に突出した状態で埋設し、上記金属丸棒を介して炉内の煉瓦から上記炉側壁外側の一端部へ抜熱させることで、局部的に冷却を強化することができる。
【0020】
また、本発明によれば、三相交流電極式円形電気炉の操業を休止することなく、局部的に炉体(側壁)の冷却を強化し、耐火物の熔損進行防止、あるいは、熔損進行を鈍化させ、炉体の延命を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明が適用される三相交流電極式円形電気炉の構造例を模式的に示す縦断面図である。
【
図2】上記三相交流電極式円形電気炉の横断面図である。
【
図3】上記三相交流電極式円形電気炉の炉側壁に外側から金属丸棒を埋設した部分の要部縦断面図である。
【
図4】シミュレーションにより熱伝導計算を行って得られた上記金属丸棒の埋設部分の温度状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
本発明は、例えば
図1及び
図2に示すような構造の三相交流電極式円形電気炉10に適用される。
【0024】
この三相交流電極式円形電気炉10は、原料鉱石の熔解処理に用いられる電気炉であって、有底円筒状の炉体1と炉蓋2と3本の電極3で構成されている。
【0025】
上記炉体1は、外周部に炉側壁耐火物層14が敷設された有底円筒状の炉側壁11からなる。上記炉側壁11は、
図3に示すように、内張り煉瓦12と外張り煉瓦13からなる炉側壁耐火物層14を有し、この炉側壁耐火物層14の外側にクッション材15を介して炉側壁外鉄板16が設けられている。
【0026】
さらに、上記炉体1には、原料鉱石を熔解して得られるメタル21とスラグ22を分離して抜き出すためのメタル抜出し口17とスラグ抜出し口18が設けられている。
【0027】
また、炉蓋2は、不定形耐火物で内張りされ、電極3等を挿入する開口部が設けられている。
【0028】
そして、この三相交流電極式円形電気炉10では、その内部に溶融状態のメタル21層、溶融状態のスラグ22層が存在し、スラグ22層の表面を鉱石(焼鉱)23が覆っている。鉱石23は、図示しない鉱石シュートから炉内のスラグ22層上部に装入される。また、上記炉蓋2に設けられた開口部から炉内に挿入垂下された3本の電極3(例えば炭素電極)に3相交流電力を供給し、この3相交流電極3からアークを発生させてアークの熱により直接的に鉱石を熔解させる方法、または、3相交流電極6をスラグ22層まで浸漬させ、3相交流電極3からメタル21及びスラグ22に直接通電させて抵抗発熱する方法により、スラグ温度及びメタル温度をそれぞれ所定の温度にし、これにより鉱石23を還元溶融することによってメタル21とスラグ22とを生成する。生成したメタル21とスラグ22は、比重差によってメタル21層とスラグ22層とに分離される。なお、生成されたメタル21はメタル抜出し口17を介して抜き出され、またスラグ22はスラグ抜出し口18を介して抜き出され、次工程に供される。
【0029】
ここで、三相交流電極式円形電気炉10による原料鉱石の熔融処理においては、電気炉内の熱移動により炉内熔融物20が凝固することによって、炉側壁11の内周部にコーティング19が生成される。このようにして内周部にコーティング19が生成されることによって、炉側壁11の熱負荷を軽減させることができ、熔融処理に伴う炉側壁11の熔損を防止することができる。炉内熔融物20からの伝導伝熱は、コーティング19及び炉側壁耐火物層14を通じて、炉側壁外鉄板16に伝わる。しかしながら一方で、過剰なコーティング19の生成は、炉側壁11の熔損は防止できるものの、電気炉内の有効容積を縮小させ、操業効率を著しく損なわせることになる。したがって、原料鉱石の熔融処理に用いる三相交流電極式円形電気炉10においては、炉側壁11の内周部に生成するコーティング19の厚みや生成領域等のコーティング生成状態を適切に制御することが重要となる。
【0030】
また、この三相交流電極式円形電気炉10では、
図2に示すように、上記炉側壁11の外周部上方側にシャワー冷却水配管30が施されており、上記炉側壁11の外周部に設けられた炉側壁外鉄板16の外表面上の全面に、上記シャワー冷却水配管30からシャワー冷却水31を流し、炉側壁11を冷却して保護するようにしている。
【0031】
この際、三相交流電極3に最も近い炉側壁11部分に形成されるコーティング19は薄く、炉側壁耐火物層11の熔損が進行しやすい。また、炉床電力密度を増大した場合、或いは原料鉱石組成等の変動により炉内熔融物20の融点が低い場合には、三相交流電極3に最も近い炉側壁11部分の炉側壁耐火物層14の熔損はさらに進行し、その他の部分においてもコーティング19 が薄いので、炉側壁耐火物層14の熔損が進行しやすくなる。
【0032】
そこで、この三相交流電極式円形電気炉10では、
図3に示すように、三相交流電極3により電気炉内に発生する高温雰囲気下で炉側壁11の温度が局部的に上昇している位置に、その一端部が上記炉側壁11外側に突出した状態で高熱伝導性を有する金属(例えば、銅、アルミニウム、鉄など)丸棒40を上記炉側壁11外側から炉内に向かって所定深さ位置まで所定間隔で埋設することで、局部的に冷却を強化するようにしている。
【0033】
これにより、炉側壁11の温度が局部的に上昇している位置において、上記金属丸棒40を介して炉内の炉側壁耐火物層14から上記炉側壁11外側の一端部へ抜熱させることができる。上記金属丸棒40は、上記炉側壁11外側の一端部が水冷あるいは空冷される。
【0034】
すなわち、外周部に炉側壁11を構成する炉側壁耐火物層14が敷設された三相交流電極式円形電気炉10において、三相交流電極3により電気炉内に発生する高温雰囲気下で炉側壁11の温度が局部的に上昇している位置に、高熱伝導性を有する金属丸棒40を上記炉側壁11外側から炉内に向かって一端部が上記炉側壁11外側に突出した状態で埋設し、上記金属丸棒40を介して炉内の炉側壁耐火物層14から上記炉側壁11外側の一端部へ抜熱させることで、局部的に冷却を強化することができる。
【0035】
ここで、操業中の三相交流電極式円形電気炉10の炉体(側壁)熔損進行部分に対して、上記方法で局部的に冷却を強化する場合、予め、上記炉側壁外鉄板16にドリルなどにより穴41を開け、この穴41にタップ加工を施すことにより雌ねじを切り込み、外周面に所定の挿入深さ位置までダイスにより
雄ねじを形成した金属丸棒40を上記穴41に挿入して、炉内への水侵入防止用の遮水剤(例えば耐火物モルタル、カーボンペースト、耐
熱樹脂)等を使用しながら、上記金属丸棒40を所定の挿入深さ位置まで捻じ込むことにより、一端部が上記炉側壁11外側に突出した状態で上記金属丸棒40を埋設する。
【0036】
これにより、三相交流電極式円形電気炉10の操業を休止することなく、炉体(側壁)熔損進行部分の補修工事を短時間で行うことができる。すなわち、三相交流電極式円形電気炉10の操業を休止することなく、局部的に炉体(側壁)の冷却を強化し、耐火物の熔損進行防止、あるいは、熔損進行を鈍化させ、炉体の延命を図ることができる。
【0037】
三相交流電極式円形電気炉10の用途は、特に限定されるものではなく、鉄鋼及び非鉄金属熔融製錬に用いるものが挙げられるが、その中でも、酸化ニッケル鉱石の還元熔解処理に用いるフェロニッケル製錬用のものが好ましい。ここで、フェロニッケル製錬では、原料鉱石として、ガーニエライト鉱等の酸化ニッケル鉱石が用いられる。最も一般的に用いられるガーニエライト鉱の代表的な組成としては、乾燥鉱換算でNi品位が2.1〜2.5重量%、Fe品位が11〜23重量%、MgO品位が20〜28重量%、SiO
2品位が29〜39重量%、CaO品位が<0.5重量%、灼熱減量が10〜15重量%であり、通常はロータリーキルンへ装入され焙焼された後、電気炉中で炭素質還元剤によって還元熔融され、熔融物としてフェロニッケルメタル21層とスラグ22層が形成される。
【0038】
ここで、フェロニッケル製錬用の三相交流電極式円形電気炉10について、局部的に炉体(側壁)温度が上昇している位置に上記炉体(側壁)外側から炉内に向かって、表面400mm間隔の桝目に深さ100mmで直径17mmの銅の丸棒を挿入したモデルにて、桝目の中央に設けた熱電対50により温度測定を行うものとして、熱的シミュレーションにより定常伝熱計算を行った結果を次の表1に示すとともに、上記金属丸棒の埋設部分の推定温度状態を
図4に模式的に示す。
【0040】
表1に例示するように、金属丸棒(例示では銅棒)の熱流束は、金属丸棒付近のレンガ部分の熱流束に比べて約20倍大きくなっており、抜熱効果が高いことがわかる。
【0041】
なお、表1中のM2は、
図1に示すメタル抜出し口17のレベルであって、
図2に示すコーティングが厚くなっている部分の一つであり、通常位置とは、同じくメタル抜出し口17のレベルであって、コーティングが薄くなっている部分の一つである。また、CPは、カーボンペーストの意味であり、
図2に示すクッション材15として使用されている。
【0042】
コーティングの厚い部分M2の温度と銅棒差込み箇所直下温度とを比較すると、外張りレンガ−内張りレンガ間の温度は同じであるが、CP−内張りレンガ間の温度は、銅棒差込み箇所直下温度のほうが低くなっており、コーティングの厚い部分M2よりも効率よく抜熱されていることがわかる。
【0043】
また、通常位置温度と銅棒差込み箇所直下温度とを比較すると、外張りレンガ−内張りレンガ間の温度も、CP−内張りレンガ間の温度も、通常位置のほうが高くなっており、銅棒差込み箇所直下の部分ではコーティングが厚くなることがわかる。
【0044】
上記熱的シミュレーションにより、400mm間隔の桝目に深さ100mmで1℃の温度降下効果が得られることが判明した。なお、挿入する金属丸棒16の直径の増加、又は、金属丸棒16の数を増加することで、更なる温度降下を期待できる。
【符号の説明】
【0045】
1 炉体、2 炉蓋、3 電極、10 三相交流電極式円形電気炉、11 炉側壁、12 内張り煉瓦、13 外張り煉瓦、14 炉側壁耐火物層、15 クッション材、16 炉側壁外鉄板、17 メタル抜出し口、18 スラグ抜出し口、19 コーティング、20 炉内熔融物、21 メタル、22 スラグ、23 鉱石、30 シャワー冷却水配管、31 シャワー冷却水、40 金属丸棒、41 穴