(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明について説明する。
本発明は、汚泥を処理してリンを回収し、放流水を排出する汚泥処理装置であって、晶析法を適用して、固形状のリンである固形リンを回収するリン回収部と、前記固形リンをアルカリ溶液によって洗浄する洗浄部と、を有する汚泥処理装置である。
このような汚泥処理装置を、以下では「本発明の装置」ともいう。
【0012】
また、本発明は、汚泥を処理してリンを回収し、放流水を排出する、リンの製造方法であって、晶析法を適用して、固形状のリンである固形リンを回収するリン回収工程と、前記固形リンをアルカリ溶液によって洗浄する洗浄工程と、を有するリンの製造方法である。
このようなリンの製造方法を、以下では「本発明の製造方法」ともいう。
【0013】
本発明の装置を用いて、本発明の製造方法を行うことができる。
【0014】
以下において、単に「本発明」と記した場合、「本発明の装置」および「本発明の製造方法」のいずれをも意味するものとする。
【0015】
本発明において処理する汚泥は、リン(少なくとも一部がリン酸態リンであることが好ましい)を含む汚泥であれば特に限定されない。汚泥として、し尿、浄化槽汚泥が例示される。すなわち、本発明において「汚泥」は「し尿」を含むものとする。また、汚泥は、し尿や浄化槽汚泥から、これに含まれるし渣を取り除いた後のものであってもよい。
【0016】
汚泥はし尿(生し尿を含む)であることが好ましい。すなわち、本発明では、し尿を好ましく処理することができる。
【0017】
汚泥の成分は、例えば、pH=6〜9、SS=3,000〜15,000mg/L、リン含有率(全リン)=25〜800mg/L、リン酸態リン濃度=20〜300mg/L、アンモニア性窒素濃度=500〜5,000mg/Lである。
また、汚泥の中でも、し尿の成分は、例えば、pH7.0〜8.0、SS=5,000〜15,000mg/L、リン含有率(全リン)=25〜800mg/L(好ましくは100〜200mg/L)、リン酸態リン濃度=20〜200mg/L(好ましくは10〜40mg/L)、アンモニア性窒素濃度=500〜5,000mg/Lである。
【0018】
<リン回収部、リン回収工程>
本発明の装置におけるリン回収部について説明する。
本発明の装置では、晶析法を適用して、固形状のリンである固形リンを回収する。
晶析法を適用する対象は前記汚泥であってもよいし、前記汚泥に処理を施した後に得られるものであってもよい。前記汚泥に高分子凝集剤を添加した後、少なくとも一部を固液分離し、主として液体部分である分離液に晶析法を適用して、固形状のリンである固形リンを回収することが好ましい。
【0019】
ここで、晶析法は、液中のリンを種晶表面に晶析させる反応に基づく方法であり、主なものとしてMAP法およびHAP法が挙げられる。
MAP法は、液中のPO
43-、NH
4+、Mg
2+の反応によって生成するMAPの晶析現象を利用した方法であり、リンとアンモニウムイオンを含む汚泥にMgイオン源(塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム等)を添加し、過飽和状態で種晶と接触させることで、種晶表面にMAPを晶析させ、これを回収する。
HAP法は、液中のPO
43-、Ca
2+、OH
-の反応によって生成するヒドロキシアパタイト(以下HAPと記す。)の晶析現象を利用した方法であり、リンを含む汚泥にCa
2+およびOH
-を添加し、過飽和状態で種晶と接触させることで、種晶表面にHAPを晶析させ、これを回収する。
【0020】
リン回収部として、従来公知の晶析反応槽を用いることができるが、高速処理を可能とする流動式のものを好ましく用いることができる。
【0021】
また、晶析反応はpHが7.5〜10.0程度で行われることが好ましく、8.0〜9.5程度で行われることがより好ましい。このようなpHとなるように反応浴(晶析リアクター)へpH調整剤を添加することが好ましい。pH調整剤としては、NaOH等のアルカリや、硫酸等の酸が挙げられる。
また、MAP法の場合、上記の反応浴中のMgイオン濃度がリン酸態リン濃度に対して、モル比で1.2〜1.5倍程度となるようにMgイオン源を添加することが好ましい。
また、必要に応じてアンモニウムイオン源を添加してもよい。
また、HAP法の場合、上記の反応浴中のCaイオン濃度がリン酸態リン濃度に対して、モル比で1.2〜1.5倍程度となるようにCaイオン源を添加することが好ましい。
その他の条件については、晶析法を行うに際しての従来公知の条件範囲内で行うことができる。
【0022】
このようなリン回収部によって、本発明の製造方法におけるリン回収工程を行うことができる。
【0023】
リン回収部またはリン回収工程によって得られる固形状のリンである固形リンの少なくとも表面には、前記汚泥に由来する不衛生な物質が付着している場合がある。この場合、臭気を発する可能性もある。固形リンを肥料等として利用する場合、より衛生的であり、臭気を発しないことが好ましい。
また、回収した直後(例えば晶析反応槽から引き抜いた直後)は、水分含有率が非常に高い。よって、これを系内にて乾燥させた後、系外へ運び出す必要があるが、乾燥(水分含有率が約2質量%の状態)するまでの時間は、通常、1か月程度以上である。この時間を短くすることができれば好ましい。
【0024】
<洗浄部、洗浄工程>
本発明の装置における洗浄部について説明する。
本発明の装置では、上記のようにして回収した固形リンを、アルカリ溶液によって洗浄する。
【0025】
ここでアルカリ溶液とは、アルカリ性の液体を意味する。
本発明においてアルカリ溶液は、pHが8.0〜11.0であることが好ましく、9.0〜10.0であることがより好ましい。
また、アルカリ溶液は水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。この場合、水酸化ナトリウムの濃度は500〜3000mg/Lであることが好ましく、1000〜2500mg/Lであることがより好ましい。
また、アルカリ溶液は次亜塩素酸ナトリウムを含むことが好ましい。この場合、次亜塩素酸の濃度は100〜1000mg/Lであることが好ましく、300〜500mg/Lであることがより好ましい。
また、アルカリ溶液は、アルカリ水溶液であることが好ましい。
【0026】
後述するように、アルカリ溶液として、系内で発生するアルカリ性の廃液を利用することが好ましい。
【0027】
固形リンをアルカリ溶液によって洗浄する方法は特に限定されず、例えば従来公知の方法によって洗浄することができる。例えば、固形リンをアルカリ溶液に浸漬し、撹拌することで洗浄することができる。
【0028】
洗浄部として、前記固形リンと前記アルカリ溶液とを受け入れて、前記固形リンを洗浄できる設備を用いることができる。例えば従来公知の攪拌機を備えた反応槽を用いることができる。
【0029】
また、例えば上記のように反応槽を用い、ここへ前記固形リンおよび前記アルカリ溶液を入れて洗浄すると、反応槽中の前記アルカリ溶液のpHやアルカリ濃度が、徐々に変化する場合がある。そこで、洗浄中に反応槽へ新たなアルカリ溶液を追加する等して、前記アルカリ溶液のpHや濃度が適正値となるように調整することが好ましい。ここで、新たなアルカリ溶液を反応槽等へ追加する場合、既に洗浄に用いたアルカリ溶液を反応槽等から排出する必要があるが、排出されたアルカリ溶液は、リン回収部またはリン回収工程にてpH調整剤として用いることが好ましい。
【0030】
このような洗浄部によって、本発明の製造方法における洗浄工程を行うことができる。
【0031】
このような洗浄部または洗浄工程によると、衛生的であって、かつ短時間に乾燥する固形リンが得られることを、本発明者は見出した。具体的には、本発明によれば、大腸菌をほとんど含まず、かつ、短時間、より具体的には、室内や屋外(常温、常圧下)において放置すれば、数時間後(概ね12〜24時間以内)には含水率が約2質量%程度となるほどに乾燥しやすい固体リンを得ることができる。大腸菌をほとんど含まない程度に衛生的であるので、本発明によって得られたリンは、肥料等として好ましく利用できる。また、数時間で乾燥するため、例えば系外へ運び出す時を自由に選択できるので、操業上、好ましい。
【0032】
また、洗浄部または洗浄工程によって回収された固形リンに、ブロワ等を用いて送風すると、さらに短時間で乾燥するので好ましい。
本発明の装置は、このように、洗浄部によって回収された固形リンを乾燥させる乾燥部を備えることが好ましい。
また、本発明の製造方法は、このように、洗浄工程によって回収された固形リンを乾燥させる乾燥工程を備えることが好ましい。
【0033】
次に、本発明の装置の好適態様について、
図1を用いて説明する。
図1に示す本発明の装置の好適態様(装置10)は、受入部12と、高分子凝集剤添加手段14と、濃縮部16と、リン回収部18と、無機凝集剤添加手段20と、脱水部22と、混合部24と、生物処理部26と、殺菌部28と、脱臭部30と、洗浄部32とを有している。
【0034】
<受入部>
装置10において受入部12は、汚泥40を受け入れ、これを所望の供給量で濃縮部16へ送る役割を果たす。
本発明の装置が受入部を有する場合、受入部はこのような役割を果たすものであればよく、例えば従来公知の受入槽(タンク等)を用いることができる。
【0035】
<高分子凝集剤添加手段、高分子凝集剤添加工程>
装置10において高分子凝集剤添加手段14は、汚泥40に高分子凝集剤を添加する機能を有する。
本発明の装置が高分子凝集剤添加手段を有する場合、高分子凝集剤添加手段は、高分子凝集剤を所望量、汚泥へ添加できるものであれば特に限定されない。例えば、粉状または液状の高分子凝集剤を水へ添加して、高分子凝集剤の濃度を0.1〜0.3質量%(好ましくは0.2質量%程度)とした水溶液を得た後、薬注ポンプ(例えばダイヤフラムポンプやモーノポンプ)を用いて添加する手段が挙げられる。
【0036】
高分子凝集剤添加手段は、例えば、受入部と濃縮部との間に攪拌装置を備えた凝集槽を設置し、ここへ高分子凝集剤を添加できる態様であることが好ましい。また、高分子凝集剤添加手段は、受入部内へ高分子凝集剤を添加できる態様であってもよい。さらに、凝集槽または受入部の内部を攪拌できる装置が設置されていれば、これを用いて凝集槽または受入部の内部を攪拌することで高分子凝集剤添加手段によって添加した高分子凝集剤の反応速度を速めることができるので好ましい。
【0037】
高分子凝集剤は汚泥中のSS(浮遊物質)を凝集し、固液分離しやすくする役割を果たすものである。これによって、汚泥中に含まれるほとんどのリン酸態リンが、濃縮部から排出される分離液へ含まれることになる。
高分子凝集剤はこのような役割を果たすものであればよい。例えばカチオン系高分子凝集剤、両性高分子凝集剤等が挙げられ、汚泥の性状により最適な種類を選定する。
【0038】
高分子凝集剤の添加量は、汚泥の性状などによって異なり、また、用いる高分子凝集剤の種類によっても異なるが、汚泥中の固形物乾燥量(DS)に対して1.0〜3.0質量%であることが好ましく、2.0〜2.5質量%であることがより好ましい。
【0039】
本発明の製造方法は、このような高分子凝集剤添加手段によって行うことができる高分子凝集剤添加工程を備えることが好ましい。
【0040】
<濃縮部、濃縮工程>
装置10において濃縮部16は、前記高分子凝集剤を添加した後の汚泥40の少なくとも一部を固液分離し、汚泥40に含まれるSSが凝集した部分である凝集汚泥42および主として液体部分である分離液44を排出する。
濃縮部として、例えばウェッジワイヤースクリーン、ロータリースクリーンを用いることができる。ここで、これらの目開きは、0.5〜1.0mmであることが好ましい。
【0041】
本発明の製造方法は、このような濃縮部によって行うことができる濃縮工程を備えることが好ましい。
【0042】
<リン回収部、リン回収工程>
装置10においてリン回収部18は、分離液44に晶析法を適用して固形状のリンである固形リン46を回収し、残部である脱リン液48を排出する。
【0043】
リン回収部については、前述のとおりである。
【0044】
<無機凝集剤添加手段、無機凝集剤添加工程>
装置10において無機凝集剤添加手段20は、凝集汚泥42に無機凝集剤を添加する機能を有する。
【0045】
本発明の装置が無機凝集剤添加手段を有する場合、無機凝集剤添加手段は、無機凝集剤を所望量、凝集汚泥へ添加できるものであれば特に限定されない。
また、無機凝集剤添加手段は、例えば、濃縮部と脱水部との間に凝集槽を設置し、ここへ無機凝集剤を添加できる態様であることが好ましい。また、凝集槽の内部を攪拌できる装置がさらに設置されていれば、これを用いて凝集槽の内部を攪拌することで無機凝集剤添加手段によって添加した無機凝集剤の反応速度を速めることができるので好ましい。
【0046】
無機凝集剤は、高分子凝集剤と同様にSS分を凝集させるものであるが、高分子凝集剤によって凝集した後の凝集汚泥に添加することで、そのフロックをさらに強固にし、脱水しやすいものに変える役割を果たすものである。これによって、凝集汚泥中の水分とそれ以外の成分とを、次の脱水部22において分離し易くする。
【0047】
無機凝集剤はこのような役割を果たすものであればよい。例えば塩化第二鉄、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸第二鉄、ポリ硫酸鉄、ポリ硫酸第二鉄、ポリ塩化第二鉄が挙げられる。中でもポリ硫酸第二鉄が好ましい。
【0048】
無機凝集剤の添加量は、凝集汚泥の性状などによって異なり、また、用いる無機凝集剤の種類によっても異なるが、凝集汚泥中の固形物乾燥量(DS)に対して2.0〜7.0質量であることが好ましく、5質量%程度であることがより好ましい。
【0049】
本発明の製造方法は、このような無機凝集剤添加手段によって行うことができる無機凝集剤添加工程を備えることが好ましい。
【0050】
<脱水部、脱水工程>
装置10において脱水部22は、無機凝集剤を添加した後の凝集汚泥42を脱水処理し、脱水汚泥50および脱水排液52を排出する。
【0051】
本発明の装置が脱水部を有する場合、脱水部は、凝集汚泥を脱水処理することで脱水排水および低含水率の脱水汚泥を排出することができる装置等であればよく、例えば従来公知の脱水機を用いることができる。例えばベルトプレス脱水機、スクリュープレス脱水機、遠心脱水機を用いることができる。
【0052】
本発明の製造方法は、このような脱水部によって行うことができる脱水工程を備えることが好ましい。
【0053】
<混合部、混合工程>
装置10において混合部24は、脱リン液48および脱水排液52を受け入れて、これらが混合されてなる混合排液54を排出する。
【0054】
本発明の装置が混合部を有する場合、混合部は、脱リン液と脱水排液とを受け入れて、これらを混合できるものであればよく、例えば従来公知の反応槽を用いることができる。また、混合部は、脱リン液と脱水排液とがより混合されるように、攪拌機を備えていることが好ましい。
【0055】
本発明の製造方法は、このような混合部によって行うことができる混合工程を備えることが好ましい。
【0056】
<生物処理部、生物処理工程>
装置10において生物処理部26では、混合排液54を活性汚泥法によって処理する。活性汚泥法の中でも、生物学的硝化脱窒法が好ましい。
生物処理部26は、混合排液54に従来公知の活性汚泥法を適用して、さらに必要に応じて二次脱窒素処理、曝気処理、沈殿処理等を行った後、後述する殺菌部28にて処理することで河川等へ放流できる排液(生物処理排液55)を得られる態様のものであれば特に限定されず、例えば従来公知の設備を用いることができる。具体的には、脱窒素槽および硝化槽からなり、混合排液54を活性汚泥処理することができる設備が挙げられる。
【0057】
本発明の製造方法は、このような生物処理部によって行うことができる生物処理工程を備えることが好ましい。
【0058】
<殺菌部、殺菌工程>
装置10において殺菌部28では、生物処理部26から排出された生物処理排液55をアルカリ性に調整し、放流水56として排出する。
殺菌部28は、生物処理部28から排出された排液である生物処理排液55に含まれる微生物(大腸菌等)を死滅させて、河川等に放流できる状態にする。アルカリ性に調整することで、微生物は死滅する。
【0059】
アルカリ性にするために、生物処理部26にて処理された排液へ薬品を添加する。薬品は従来公知のものを用いることができる。例えば水酸化ナトリウムを用いることができる。
【0060】
放流水56のpHが好ましくは5.8〜8.6、より好ましくは7.0〜8.0となるように薬品を添加して、河川等へ排出(放流)する。
【0061】
本発明の装置は殺菌部を有することが好ましい。
本発明の製造方法は、このような殺菌部によって行うことができる殺菌工程を備えることが好ましい。
【0062】
<脱臭部、脱臭工程>
装置10において脱臭部30では、汚泥40から発生する臭気成分を回収してアルカリ廃液58を排出する。
装置10では、汚泥40に由来する臭気成分が大気中に拡散し難いように、送風機や排風機等を備えた換気装置が、各部(各槽)の上部やベルトコンベア上等に設置されている。そして、これによって集められた臭気成分(H
2Sやメチルメルカプタン等)は、脱臭部30によって処理される。脱臭部30では、生物の作用によって臭気成分に含まれるH
2Sを硫酸(H
2SO
4)へ酸化したり、酸(塩酸や硫酸)やアルカリ(水酸化ナトリウムや次亜塩素酸ナトリウム)を用いて中和処理したりして、脱臭処理する。脱臭部30は、このような脱臭処理をすることができる従来公知の装置を利用することができる。
そして、脱臭部30からは、酸性の酸廃液およびアルカリ性のアルカリ廃液58が排出される。本発明ではこのうちのアルカリ廃液を使用することが望ましい。
【0063】
アルカリ廃液58のpHは概ね8.0〜12.0であるが、9.0〜10.0であることが好ましい。
【0064】
本発明の装置は脱臭部を有することが好ましい。
本発明の製造方法は、このような脱臭部によって行うことができる脱臭工程を備えることが好ましい。
【0065】
<洗浄部、洗浄工程>
装置10において洗浄部32では、固形リン46を、アルカリ廃液58および/または放流水56によって洗浄する。
【0066】
洗浄部については、前述のとおりである。
【0067】
次に、上記のような本発明の装置の好適態様である装置10によって汚泥40を処理した場合の処理の流れを説明する。
【0068】
初めに汚泥40は受入部12に受け入れられる。そして、汚泥40は所望の供給量で濃縮部16へ向かって送られる。ここで、受入部12から排出された後、濃縮部16に供給される前に、高分子凝集剤添加手段14によって汚泥40へ高分子凝集剤が添加される(高分子凝集剤添加工程)。高分子凝集剤が添加された汚泥40は濃縮部16において、その少なくとも一部が固液分離される。そして、濃縮部16から、汚泥40が凝集した部分である凝集汚泥42と、主として液体部分である分離液44とが排出される(濃縮工程)。
【0069】
分離液44はリン回収部18へ供給される。リン回収部18では晶析法によって分離液44中から固形リン46が回収される。そして、残部である脱リン液48が排出される(リン回収工程)。
【0070】
凝集汚泥42には、濃縮部16から排出された後、無機凝集剤添加手段20によって、無機凝集剤が添加される。そして、無機凝集剤が添加された凝集汚泥42は脱水部22へ供給される。そして脱水部22で脱水され、主として固形分は脱水汚泥50として排出され、主として水分は脱水排液52として、混合部24へ排出される。
【0071】
脱リン液48および脱水排液52は混合部24に受け入れられる。脱リン液48がアルカリ性であって、脱水排液52が酸性である場合は、ほぼ中性(例えばpH=6〜8程度、好ましくはpH=6.5〜7.5程度)となった混合排液54が排出される。この場合、中性にするための酸やアルカリを添加しなくてよいので好ましい。ただし、中性にするために酸やアルカリを添加してもよい。
混合排液54は、生物処理部26にて活性汚泥法によって処理される(生物処理工程)。処理後の排水(生物処理排液55)は、必要に応じてさらに二次脱窒素処理、曝気処理、沈殿処理等を行った後、殺菌部28にてアルカリ性に調整されることで殺菌処理され、放流水56として放流される。
【0072】
脱臭部30では、汚泥40に由来する臭気成分(主にH
2Sやメチルメルカプタン等)を回収して、これを脱臭処理して、アルカリ性のアルカリ廃液58を排出する(脱臭工程)。
【0073】
洗浄部32では、アルカリ廃液58および/または放流水56を用いて、固形リン46を洗浄する(洗浄工程)。
このようにして得られた固形リンは、衛生的であって、かつ短時間に乾燥するので好ましい。
【0074】
本発明の装置は、前記濃縮部の前段に、前記高分子凝集剤を添加する前または添加した後の前記汚泥を比重分離して、高比重部分と低比重部分に分離する比重分離部をさらに備え、前記比重分離部において得られた高比重部分を前記分離液へ加え、低比重部分を前記濃縮部において固液分離することが好ましい。
本発明の製造方法は、前記濃縮工程の前段に、前記高分子凝集剤を添加する前または添加した後の前記汚泥を比重分離して、高比重部分と低比重部分に分離する比重分離工程をさらに備え、前記比重分離工程において得られた高比重部分を前記分離液へ加え、低比重部分を前記濃縮工程において固液分離することが好ましい。
高比重部分にはリン酸マグネシウムアンモニウムやヒドロキシアパタイトが固体として存在している場合があり、これが濃縮部における固液分離によって固体成分へ含まれることを抑制するためである。
【0075】
比重分離部は、前記高分子凝集剤を添加する前または添加した後の前記汚泥を比重分離して、高比重部分と低比重部分に分離することができるものであれば特に限定されず、例えば液体サイクロンを用いることができる。
【0076】
本発明の装置は、前記脱リン液および/または前記脱水排液を前記脱臭部へ供給して、前記脱臭部を洗浄する手段をさらに備えることが好ましい。
本発明の製造方法は、前記脱リン液および/または前記脱水排液を用いて、前記脱臭工程において用いる脱臭設備を洗浄する工程をさらに備えることが好ましい。
前記脱リン液および/または前記脱水排液を用いて前記脱臭部(脱臭設備)を洗浄すると、硫化水素の発生が抑制できるからである。
【実施例】
【0077】
本発明の実施例について説明する。
【0078】
<実施例1>
図2に示す汚泥処理装置60を用いて汚泥処理し、リンを回収した。
汚泥処理装置60について説明する。
汚泥処理装置60は、受入槽62、中継槽64、高分子凝集剤添加装置66、凝集槽68、濃縮機70、リン回収装置72、循環槽74、無機凝集剤添加装置75、脱水機76、分離液槽78、脱窒素槽80、硝化槽82、放流水槽83、生物脱臭塔84およびアルカリ洗浄塔86を備えている。また、リン回収装置72は、リン回収原水槽88および晶析反応槽90から構成されている。
また、汚泥処理装置60は、循環槽74から、その内部の液体(脱リン液106)を晶析反応槽90へ返送するためのパイプ状の返送手段92を備えており、そのパイプには、晶析反応槽90におけるpHおよびマグネシウム濃度を必要に応じて調整できるpH調整剤添加装置94およびマグネシウム源添加装置96が設置されている。
【0079】
高分子凝集剤添加装置66が、本発明の装置が有することが好ましい高分子凝集剤添加手段に相当する。
濃縮機70が、本発明の装置が有することが好ましい凝縮部に相当する。
リン回収装置72が、本発明の装置におけるリン回収部に相当する。
無機凝集剤添加装置75が、本発明の装置が有することが好ましい無機凝集剤添加手段に相当する。
脱水機76が、本発明の装置が有することが好ましい脱水部に相当する。
分離液槽78が、本発明の装置が有することが好ましい混合部に相当する。
脱窒素槽80および硝化槽82が、本発明の装置が有することが好ましい生物処理部に相当する。
放流水槽83が、本発明の装置が有することが好ましい殺菌部に相当する。
生物脱臭塔84およびアルカリ洗浄塔86が、本発明の装置が有することが好ましい脱臭部に相当する。
【0080】
このような汚泥処理装置60では、初めに、汚泥100は受入槽62に受け入れられ、その後、中継槽64へ移動される。中継槽64において、受入槽62から受け入れられた汚泥100は、必要に応じてpH等を調整される。
次に、汚泥100は中継槽64から凝集槽68へ移動され、凝集槽68において高分子凝集剤添加装置66から高分子凝集剤が添加される。凝集槽68は攪拌機を備えており、これによって高分子凝集剤の作用を高めることができる。その後、高分子凝集剤が添加された汚泥100は所定の供給量で濃縮機70へ向かって送られる。高分子凝集剤が添加された汚泥100は濃縮機70において、その少なくとも一部が固液分離する。そして、濃縮機70から、汚泥100中の固形成分等が凝集された部分である凝集汚泥102と、主として液体部分である分離液104とが排出される。
【0081】
分離液104は、リン回収原水槽88へ供給され、さらに所定の供給量で晶析反応槽90へ供給される。また、晶析反応槽90の内部の反応槽における各成分濃度等は監視されていて、各々が適正濃度となるように、適宜、pH調整剤添加装置94やマグネシウム源添加装置96からpH調整剤やマグネシム源を適量添加したり、パイプ状の返送手段92を通じて循環槽74内の脱リン液106を所望量添加したりする。そして、晶析反応槽90では晶析法によって分離液104から固形リン108が生成され、残部である脱リン液106が排出される。固形リン108は、晶析反応槽90における所定箇所(回収口)から回収することができる。
【0082】
凝集汚泥102は、濃縮機70から排出された後、無機凝集剤添加装置75によって無機凝集剤が添加される。無機凝集剤が添加された凝集汚泥102は脱水機76へ供給される。そして、脱水機76で脱水され、主として固形分は脱水汚泥110として排出され、主として水分は脱水排液112として、分離液槽78へ排出される。
【0083】
脱リン液106は循環槽74を経由した後、分離液槽78に受け入れられる。そして、脱リン液106と脱水排液112とが分離液槽78内で混合され、分離液槽78から混合排液114が排出される。脱リン液106がアルカリ性の液体であって脱水排液112が酸性の液体である場合、混合排液114をほぼ中性とすることができるので、さらにアルカリや酸を添加しないで生物処理部(脱窒素槽80および硝化槽82)にて処理することもできる。
【0084】
排出された混合排液114は脱窒素槽80に送られ、さらに硝化槽82にて処理され、必要に応じてさらに二次脱窒素処理、曝気処理、沈殿処理等が行われた後、放流水槽83に貯留される。そして、放流水槽83にて次亜塩素酸ナトリウムが添加された後、放流水116として放流される。ここで次亜塩素酸ナトリウムは、放流水116に含まれる次亜塩素酸ナトリウム濃度が約0.1〜0.2mg/Lとなるように添加される。
【0085】
生物脱臭塔84では、汚泥処理装置60において複数個所から発生する、汚泥100に由来する高濃度臭気成分(主としてH
2S)が集められ、生物処理される。そして発生した排気ガス118はアルカリ洗浄塔86に送られる。
アルカリ洗浄塔86では、汚泥処理装置60において複数個所から発生する、汚泥100に由来する中濃度臭気成分(メチルメルカプタン等)が集められる。加えて、生物脱臭塔84にて発生した排気ガス118も回収される。アルカリ洗浄塔86では、次亜塩素酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムを用いて、中濃度臭気成分および排気ガス118を洗浄処理する。アルカリ洗浄塔86から排出されるアルカリ廃液120には、次亜塩素酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムが含まれている。
【0086】
このような汚泥処理装置60における各部は、具体的には次のようなものである。
・受入槽62:鉄筋コンクリート製水槽
・中継槽64:鉄筋コンクリート製水槽
・高分子凝集剤添加装置66:撹拌機付き2.0m
3タンクおよび定量ポンプ
・凝集槽68:液滞留時間3〜5分、撹拌機付きのタンクで完全混合できるもの。
・濃縮機70:スリット型濃縮機(目開き0.5〜1.0mm)
・リン回収装置72
・リン回収原水槽88:撹拌機付きタンク
・晶析反応槽90:2塔式晶析反応槽(特許第4053273号に記載のもの)、水ing株式会社製
・循環槽74:タンク
・無機凝集剤添加装置75:3.0m
3タンクおよび定量ポンプ
・脱水機76:スクリュープレス機:軸摺動型スクリュ−プレス、水ing株式会社製
・分離液槽78:鉄筋コンクリート製水槽
・脱窒素槽80:鉄筋コンクリート製水槽
・硝化槽82:鉄筋コンクリート製水槽
・放流水槽83:鉄筋コンクリート製水槽
・生物脱臭塔84:充填式スクラバ塔
・アルカリ洗浄塔86:充填式スクラバ塔
・返送手段92:渦巻きポンプ
・pH調整剤添加装置94:20Lタンクおよびポンプ
・マグネシウム源添加装置96:50Lタンクおよびポンプ
【0087】
また、汚泥処理装置60では、次のような条件の下で汚泥100を処理した。
・汚泥100:し尿および浄化槽汚泥の混合物
・汚泥の処理量:10.8m
3/日
・流入PO
4−P負荷:約1.0kg−PO
4−P/日
・高分子凝集剤:両性ポリマー(CS−302)、水ing株式会社社製
・pH調整剤:水酸化ナトリウム(循環槽に設置されたpH計が8.7〜9.5付近となるように添加した。)
・マグネシウム源:塩化マグネシウム(10質量%−MgClとなるように溶解して使用)
・無機凝集剤:ポリ塩化第二鉄、濃度11質量%−Fe(比重1.45)
【0088】
このような汚泥処理装置60を用いて汚泥100を処理したところ、リンをリン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)として、1.0kg−MAP/日で回収することができた。また、脱水汚泥を63〜70質量%の低含水率とすることができた。
【0089】
上記のようにして回収した固形リン108を、以下のような方法で洗浄した。
【0090】
アルカリ洗浄塔86から排出されたアルカリ廃液120をサンプリングした。また、晶析反応槽90から固形リン108を引き抜いてサンプリングした。
アルカリ廃液120のpHおよび成分を調べたところ、pH:10.2、次亜塩素酸ナトリウム濃度:440mg/L、M−アルカリ度:3140mg/L(as NaOH約0.25質量%)であった。
【0091】
次に、引き抜いた固形リン108を、200mlのビーカーに容積で1/5程度装入し、さらに、サンプリングしたアルカリ廃液120を装入して、合計容量を200mlとしたサンプルを得た。さらに200mlビーカーを2つ用意し、各々について同様に固形リン108およびアルカリ廃液120を装入して、サンプルを合計で3つ得た。そして得られた3つのサンプルについて、ヘラを用いて撹拌した。撹拌時間を各サンプル毎に、30秒、60秒、180秒と変更した。
【0092】
各サンプルについて撹拌洗浄が終わった後、ろ紙と漏斗を使用して粗く水を分離した。そして、実験室内にろ紙を広げ、24時間、自然乾燥させた。その後、各サンプルから得られたリンの表面大腸菌群数および含水率(質量%)を測定した。
結果を第1表に示す。
【0093】
なお、表面大腸菌群数および含水率は、下水道試験法に則り、測定した。
【0094】
【表1】
【0095】
<実施例2>
実施例1と同様の汚泥処理装置60を用いて汚泥処理し、リンを回収した。
そして、実施例1では、アルカリ洗浄塔86から排出されたアルカリ廃液120をサンプリングして、これを用いて固形リン108を洗浄したが、実施例2では、放流水116をサンプリングして、これを用いて固形リン108を洗浄した。そして、それ以外は全て実施例1と同様に操作を行って、各サンプルから得られたリンの表面大腸菌群数および含水率(質量%)を測定した。
結果を第2表に示す。
【0096】
なお、放流水116のpH、成分等は測定したところ、以下の通りであった。
pH:5.8〜8.6
BOD:10mg/L以下
COD:30mg/L以下
SS:10mg/L以下
T−N:20mg/L以下
T−P:1mg/L以下
大腸菌群数:1,000個/cm
3以下
【0097】
【表2】
【0098】
<比較例1>
実施例1と同様の汚泥処理装置60を用いて汚泥処理し、リンを回収した。
そして、得られたリンについて、ろ紙と漏斗を使用して粗く水を分離した後、実験室内にろ紙を広げ、24時間、自然乾燥させた。その後、実施例1と同様の方法で、得られたリンの表面大腸菌群数および含水率を測定した。
その結果、表面大腸菌群数は32895個/gであった。また、含水率は22.5質量%であった。
【0099】
<比較例2>
実施例1と同様の汚泥処理装置60を用いて汚泥処理し、リンを回収した。
そして、得られたリンについて、ろ紙と漏斗を使用して粗く水を分離した後、実験室内にろ紙を広げ、自然乾燥させた。そして、含水率が約2質量%となるまでの期間を測定した。その結果、リンの含水率が約2質量%となるには、約1か月間の自然乾燥が必要であることがわかった。
【0100】
実施例1、実施例2、比較例1および比較例2の結果を対比すると、実施例1および実施例2の場合は、短時間に表面大腸菌群数が激減しており、加えて、乾燥が早く、含水率が低レベル(約2質量%)となるまでの時間が格段に短いことがわかる。