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特許5963664省エネ計画支援情報作成システム及び建物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963664
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】省エネ計画支援情報作成システム及び建物
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20160721BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20160721BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20160721BHJP
【FI】
   H02J3/14
   H02J13/00 301A
   H02J13/00 301J
   G06Q50/06
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-278555(P2012-278555)
(22)【出願日】2012年12月20日
(65)【公開番号】特開2014-124031(P2014-124031A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100128901
【弁理士】
【氏名又は名称】東 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】福井 浩二
【審査官】 田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−175172(JP,A)
【文献】 特開2012−016105(JP,A)
【文献】 特開2011−053803(JP,A)
【文献】 特開2011−134245(JP,A)
【文献】 特開2002−259508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/14
G06Q 50/06
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に設けられた電力消費機器及び電力供給状態を制御可能な電力供給中継器に対して、省エネ制御を実施するための省エネ計画の作成を支援する省エネ計画支援情報作成システムであって、
前記電力消費機器及び前記電力供給中継器の動作状況を時系列で1つにまとめたタイムチャート図を作成するタイムチャート作成手段と、
前記タイムチャート作成手段により作成されたタイムチャート図に記載される状態で、前記電力消費機器及び前記電力供給中継器が作動した場合の消費電力量を時系列でまとめた消費電力量グラフを作成するグラフ作成手段と、
前記タイムチャート作成手段により作成されたタイムチャート図と、前記グラフ作成手段により作成された消費電力量グラフを外部に表示する表示手段とを備え、
前記電力消費機器及び前記電力供給中継器の現在あるいは過去の動作状況を記憶する動作状況記憶手段を備え、
前記動作状況記憶手段に記憶された前記電力消費機器及び前記電力供給中継器の時系列で示された動作状況を、前記動作状況記憶手段から受付ける動作状況受付手段と、
前記動作状況受付手段で受付けた前記電力消費機器及び前記電力供給中継器の動作状況に対して、各電力消費機器及び電力供給中継器について、各機器における省エネ制御の実施を許容するか否かを時系列で示す省エネ制御許容情報を受付ける省エネ制御受付手段を備え、
前記動作状況受付手段で受付けた動作状況に於ける、前記タイムチャート図と前記消費電力量グラフを生成して表示手段で表示する動作状況表示と、
前記動作状況受付手段で受付けた動作状況に対して、前記省エネ制御許容情報に基づいて動作状況を変更した許容省エネ動作状況に於ける、前記タイムチャート図と前記消費電力量グラフを生成して表示手段で表示する省エネ動作状況表示とを実行可能に構成されている省エネ計画支援情報作成システム。
【請求項2】
前記建物における実消費電力量を時系列で計測して記憶する消費電力量記憶手段を備え、前記消費電力量記憶手段に記憶された時系列の実消費電力量も、前記表示手段が表示する請求項1に記載の省エネ計画支援情報作成システム。
【請求項3】
前記建物が、前記電力消費機器及び前記電力供給中継器の動作制御を行うコントローラを備え、
前記コントローラが、請求項1または2に記載の省エネ計画支援情報作成システムにより作成される前記許容省エネ動作状況に於けるタイムチャート図に沿って前記電力消費機器及び前記電力供給中継器の動作制御を行う建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内に設けられた電力消費機器及び電力供給状態を制御可能な電力供給中継器に対して、省エネ制御を実施するための省エネ計画の作成を支援する省エネ計画支援情報作成システム及び当該システムを用いる建物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の省エネの流れを背景に、建物や施設における電力消費機器を制御し、消費電力量の低減や、ピークカット、ピークシフトの実現が行われている。このような制御によって、建物や施設における省エネを実現するためには、種類及び用途が多岐にわたる電力消費機器を統括的に制御する必要がある。統括的に機器を制御するためのスケジュール(省エネ計画)を効率的に作成するため、特許文献1に記載のように省エネ計画を入力することで、その省エネ計画を用いた場合の消費電力量を予測するシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2009/151078
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のシステムでは、省エネ計画を作成するにあたっては有用であるものの、例えば建物管理者等の省エネ計画を作成する側によって一方的に省エネ計画が決定されてしまい、建物や施設における利用者の快適性、利便性や生産性の低下に繋がる可能性があった。すなわち、省エネ計画を作成する側及び利用者の双方にとって最適なスケジュールの作成には適していなかった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、省エネ計画を作成する側及び利用者の双方にとって最適な省エネ計画の作成を支援することが可能なシステムを構築することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明に係る省エネ計画支援情報作成システムの特徴は、建物内に設けられた電力消費機器及び電力供給状態を制御可能な電力供給中継器に対して、省エネ制御を実施するための省エネ計画の作成を支援する省エネ計画支援情報作成システムであって、
前記電力消費機器及び前記電力供給中継器の動作状況を時系列で1つにまとめたタイムチャート図を作成するタイムチャート作成手段と、
前記タイムチャート作成手段により作成されたタイムチャート図に記載される状態で、前記電力消費機器及び前記電力供給中継器が作動した場合の消費電力量を時系列でまとめた消費電力量グラフを作成するグラフ作成手段と、
前記タイムチャート作成手段により作成されたタイムチャート図と、前記グラフ作成手段により作成された消費電力量グラフを外部に表示する表示手段とを備え、
前記電力消費機器及び前記電力供給中継器の現在あるいは過去の動作状況を記憶する動作状況記憶手段を備え、
前記動作状況記憶手段に記憶された前記電力消費機器及び前記電力供給中継器の時系列で示された動作状況を、前記動作状況記憶手段から受付ける動作状況受付手段と、
前記動作状況受付手段で受付けた前記電力消費機器及び前記電力供給中継器の動作状況に対して、各電力消費機器及び電力供給中継器について、各機器における省エネ制御の実施を許容するか否かを時系列で示す省エネ制御許容情報を受付ける省エネ制御受付手段を備え、
前記動作状況受付手段で受付けた動作状況に於ける、前記タイムチャート図と前記消費
電力量グラフを生成して表示手段で表示する動作状況表示と、
前記動作状況受付手段で受付けた動作状況に対して、前記省エネ制御許容情報に基づいた動作状況を変更した許容省エネ動作状況に於ける、前記タイムチャート図と前記消費電力量グラフを生成して表示手段で表示する省エネ動作状況表示とを実行可能に構成されている点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、省エネ計画支援情報作成システムの利用者は、動作状況受付手段を反映させた許容省エネ動作状況がどのような省エネ効果をもたらし得るかを、タイムチャート図及び消費電力量グラフにより確認することができる。省エネ計画支援情報作成システムは、電力消費機器及び電力供給中継器の動作状況の入力を行うための動作状況受付手段と、動作受付手段により受付けた動作状況に対し入力を行うための省エネ制御受付手段との2つの受付手段を備えるため、例えば、省エネ計画を作成する側(建物管理者側)及び利用者(建物使用者側)の双方にとって最適な省エネ計画の作成を支援することができる。
【0009】
また、動作状況記憶手段に記憶されている現在あるいは過去の動作状況を、動作状況受付手段が動作状況として受付けるため、自動的に省エネ計画支援情報作成システムで、現在又は過去の動作状況をもとにしたタイムチャート図及び消費電力量グラフを表示することが可能となる。現在あるいは過去の動作状況を、そのまま省エネ動作状況として検討の対象とすることができる。また、許容省エネ動作状況をもとにしたタイムチャート図及び消費電力量グラフを、現在又は過去の動作状況をもとにしたタイムチャート図及び消費電力量グラフと比較することで、より最適な省エネ計画の作成を支援することができる。
【0010】
さらに、前記建物における実消費電力量を時系列で計測して記憶する消費電力量記憶手段を備え、前記消費電力量記憶手段に記憶された時系列の実消費電力量も、前記表示手段が表示する点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、許容省エネ動作状況をもとにした消費電力量グラフを、建物における実際の消費電力量と比較することができるため、より高精度に省エネ効果を把握することができ、より最適な省エネ計画の作成を支援することができる。
【0012】
また、前記建物が、前記電力消費機器及び前記電力供給中継器の動作制御を行うコントローラを備え、
前記コントローラが、請求項1〜3の何れか一項記載の省エネ計画支援情報作成システムにより作成される前記許容省エネ動作状況に於けるタイムチャート図に沿って前記電力消費機器及び前記電力供給中継器の動作制御を行う点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、省エネ計画支援情報作成システムで作成した省エネ計画に沿って、実際に建物において省エネを実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る省エネ計画支援情報作成システムを備えた建物の概略図
図2】本発明の実施形態に係る省エネ計画支援情報作成システムの構成図
図3】本発明の実施形態に係る省エネ計画支援情報作成システムのフローチャート
図4】本発明の実施形態に係るタイムチャート図
図5】本発明の実施形態に係るタイムチャート図
図6】本発明の実施形態に係る消費電力量グラフ
図7】本発明の実施形態に係るタイムチャート図
図8】本発明の実施形態に係る消費電力量グラフ
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔省エネ計画支援情報作成システムの構成〕
以下では、本願発明に係る省エネ計画支援情報作成システム1を、図を用いて説明する。図1に示すように、省エネ計画支援情報作成システム1は、建物2内に設けられた電力消費機器10及び電力供給中継器11に対して、省エネ制御を実施するための省エネ計画の作成を支援するためのシステムである。電力消費機器10としては、建物2内に設けられた冷暖房設備や照明などが相当する。省エネ計画の作成対象となる電力供給中継器11は、電力供給状態を制御可能なものであり、具体的には、リレー回路などにより電力供給のON/OFFを制御可能に構成された電力プラグが相当する。
【0016】
また、本実施形態においては、建物2が、電力消費機器10及び電力供給中継器11の動作制御を行うコントローラ3を備える。具体的には、コントローラ3は、電力消費機器10及び電力供給中継器11への電力供給のON/OFFを制御することで、省エネ制御を行う。省エネ計画支援情報作成システム1及びコントローラ3は、記憶装置及び演算装置からなるコンピュータを利用して構成される。
【0017】
図2に示すように、本願発明に係る省エネ計画支援情報作成システム1は、利用者からの入力を受付ける受付手段20と、利用者からの入力に基づき省エネ計画を作成し、可視化する可視化手段30と、可視化手段30により作成した省エネ計画を利用者に表示するための表示手段40を備える。ここで、利用者には、これまで説明してきた建物の管理者、建物の使用者の両方が含まれる。
【0018】
受付手段20は、動作状況受付手段21と省エネ制御受付手段22との2つからなる。動作状況受付手段21は、電力消費機器10及び電力供給中継器11の動作状況Sを時系列で受付ける。電力消費機器10及び電力供給中継器11の動作状況Sは、省エネ計画支援情報作成システム1の利用者が入力しても構わない。この場合の利用者は省エネ計画を提案する側の利用者となるため、通常、建物2の管理者となる場合が多い。
【0019】
ここで、「動作状況S」とは、各電力消費機器10及び電力供給中継器11の単位時間ごとの動作情報(電力供給状態)を示す。本実施形態においては、単位時間を1時間としている。
【0020】
本実施形態においては、省エネ計画支援情報作成システム1は、電力消費機器10及び電力供給中継器11の現在あるいは過去の動作状況Sを記憶する動作状況記憶手段51を備える。これにより、現在あるいは過去の動作状況Sと、新たに省エネ計画支援情報作成システム1で作成する動作状況Sとの比較を容易に行うことができる。
【0021】
省エネ制御受付手段22は、動作状況受付手段21で受付けた電力消費機器10及び電力供給中継器11の動作状況Sに対して、各電力消費機器10及び電力供給中継器11について、時系列で、各機器における省エネ制御の実施を許容するか否かを示す省エネ制御許容情報iを受付ける。すなわち、省エネ制御受付手段22は、動作状況受付手段21に入力された動作状況Sにおいて、省エネ制御が行われる時間帯に対して、省エネ制御受付手段22の利用者が省エネ制御を許容するか否かといった情報を付与する。この場合の利用者は提案された省エネ計画を許容するかどうかを判断する利用者となるため、通常、建物の使用者となる場合が多い。
【0022】
これにより、動作状況受付手段21と省エネ制御受付手段22とを用いて、異なる2者が、建物2内の電力消費機器10及び電力供給中継器11に対する省エネ制御の可否を入力することができる。具体的には、例えば、建物2の管理者側と、建物2の使用者との双方の省エネ制御への意見を省エネ計画の作成支援データの作成に反映させることができる。
【0023】
可視化手段30は、タイムチャート作成手段31とグラフ作成手段32との2つからなる。タイムチャート作成手段31は、電力消費機器10及び電力供給中継器11の動作状況を時系列で1つにまとめたタイムチャート図Tを作成する。これにより、建物2内において複数箇所にわたり設置された電力消費機器10及び電力供給中継器11を一覧可能なタイムチャート図Tが作成される。
【0024】
グラフ作成手段32は、タイムチャート作成手段31により作成されたタイムチャート図Tに記載される状態で、電力消費機器10及び電力供給中継器11が作動した場合の消費電力量を時系列でまとめた消費電力量グラフGを作成する。
【0025】
表示手段40は、タイムチャート作成手段31により作成されたタイムチャート図Tと、グラフ作成手段32により作成された消費電力量グラフGとを外部に表示する。具体的には、表示手段40としては、例えば、ディスプレイを用いることができる。これにより、省エネ計画支援情報作成システム1の利用者は、建物2内において複数箇所にわたり設置された電力消費機器10及び電力供給中継器11の動作状況と建物2全体での消費電力量との関係を容易に把握することができる。
【0026】
本実施形態においては、省エネ計画支援情報作成システム1は、建物2における実消費電力量を時系列で計測して記憶する消費電力量記憶手段52を備える。さらに、表示手段40が消費電力量記憶手段52に記憶された時系列の実消費電力量を表示するように構成されている。これにより、省エネ計画支援情報作成システム1の利用者は、実際の消費電力量に対して、省エネ計画支援情報作成システム1により作成された省エネ計画がどの程度の省エネ効果を発生させるかを容易に把握することができる。
【0027】
〔省エネ計画支援情報作成システムの動作〕
省エネ計画支援情報作成システム1は、動作状況受付手段21で受付けた動作状況に於ける、タイムチャート図と消費電力量グラフを生成して表示手段40で表示する動作状況表示を備える。また、動作状況受付手段21で受付けた動作状況に対して、省エネ制御許容情報に基づいた動作状況を変更した許容省エネ動作状況に於ける、タイムチャート図と消費電力量グラフを生成して表示手段40で表示する省エネ動作状況表示とを実行可能に構成されている。
【0028】
以下では、図3のフローチャートを用いて、本実施形態に係る省エネ計画支援情報作成システム1の利用例を説明する。以下の説明では、省エネ計画支援情報作成システム1の利用者として、建物2の管理者と利用者を想定している。また、建物2の管理者が動作状況受付手段21に動作状況Sを入力し、建物2の利用者が省エネ制御受付手段22に省エネ制御許容情報iを入力するものとしている。
【0029】
1.管理者による動作状況入力前処理
省エネ計画支援情報作成システム1の利用を開始すると、本実施形態においては、動作状況受付手段21が動作状況記憶手段51に記憶された現在あるいは過去の動作状況Sを受付ける(ステップ#1)。本実施形態においては、現在の動作状況S0が入力される。
【0030】
次に、動作状況受付手段21が受付けた動作状況S0に基づいて可視化手段30(タイムチャート作成手段31及びグラフ作成手段32)でタイムチャート図T0を作成するとともに、消費電力量記憶手段52に記憶された消費電力量グラフG0を、表示手段40に表示する(ステップ#2)。
【0031】
図4に、現在の動作状況S0に基づいてタイムチャート作成手段31により作成され、表示手段40に表示されるタイムチャート図T0を示す。タイムチャート図Tは、縦軸が建物2内の場所を、横軸が時刻を示し、単位時間ごとの各場所における電力消費機器10及び電力供給中継器11の動作状況(省エネ制御内容)を示している。
【0032】
図4(a)〜(c)は、建物2内の食堂、1F、2Fにおける電力消費機器10(照明及び空調)と電力供給中継器11(コンセント)の単位時間ごとの動作状況を示している。図4(a)に示す食堂の例では、1時間後ごと電力消費機器10及び電力供給中継器11の動作状況を示しており、電力消費機器10及び電力供給中継器11は、基本的に常時利用可能とされている。より詳しくは、照明は人感センサに連動してONになるように、空調は照明と連動して動作するような動作状況となっている。ここでは、コンセントは常時利用可能となっている。ステップ#1では、これらの情報が動作状況受付手段21に入力される。
【0033】
ここで、本実施形態においては、建物2内に照明と、当該照明が照らす範囲内に人が存在するか否かを検知する人感センサとが併設されている。また、空調と、当該空調により室内温度が調整される範囲内に人が存在するか否かを検知する人感センサとが併設されている。
【0034】
図4中、「人感有効」とは、照明または空調に対し、併設された人感センサが人を検知した場合に動作させ、人を検知しなかった場合に動作を停止するように制御することを意味する。「照明連動」とは、照明のON/OFFに合わせて、空調の動作をON/OFFすることを意味する。「タイムラグ」とは、照明または空調に対し、併設された人感センサが人を検知した場合に、所定時間の間をおいてから動作を開始する制御を行うことを意味する。
【0035】
図5に、現在の動作状況S0と合わせて表示手段40に表示される消費電力量グラフGを示す。消費電力量グラフGは、縦軸が建物2全体での消費電力量(kWh)、横軸が時刻を示し、単位時間ごとの消費電力量の推移を示している。なお、縦軸の消費電力量は、建物2内の各場所ごとの消費電力量の積算値として表される。本実施形態においては、場所によって、消費電力量グラフG中の表示パターン(色、模様)を変えている。
【0036】
2.管理者による動作状況入力
次に、表示手段40に表示されたタイムチャート図T0及び消費電力量グラフG0を参考に、管理者が、動作状況受付手段21に、当該管理者が望む動作状況S1を入力する(ステップ#3)。ここで、表示手段40が、例えばタッチパネル付ディスプレイで構成され、動作状況受付手段21への動作状況S1の入力の際に、ステップ#3で表示されたタイムチャート図T0(例えば、図4)上に示された動作状況Sを直接変更可能に構成され、変更後の動作状況Sを入力可能に構成されていると好適である。
【0037】
続いて、省エネ計画支援情報作成システム1は、動作状況受付手段21で受付けた動作状況S1に於ける、タイムチャート図T1と消費電力量グラフG1とを可視化手段30で生成して表示手段40で表示する動作状況表示を行う。より詳しくは動作状況受付手段21に入力された動作状況S1に基づいて可視化手段30(タイムチャート作成手段31及びグラフ作成手段32)でタイムチャート図T1及び消費電力量グラフG1を作成し、表示手段40に表示する(ステップ#4)。
【0038】
図6に、動作状況S1に基づいてタイムチャート作成手段31により作成され、表示手段40に表示されるタイムチャート図T1を示す。図6(a)〜(c)は、図4と同様の場所における電力消費機器10及び電力供給中継器11の動作状況を示している。図6(a)に示す食堂の例では、日中において窓側2列の照明をデマンド発生時にOFFとするとともに、夜間及び早朝においては空調をOFFとしている。また、一部の時間帯において自動販売機に繋がるコンセントの電力供給をOFFとしている。このほかに、1F、2Fでは、タイマーで電力供給をOFFとするなどの省エネ制御を盛り込んでいる。
【0039】
ここで、本実施形態においては、建物2内には、照明に合わせ、当該照明が照らす範囲内における日射状況を調べる日射センサが設けられている。また、建物2には、建物2全体の消費電力を定期的に計測するための電力計が備えられ、当該電力計で計測された消費電力が建物2の契約電力に対して高いか低いかを判定可能にコントローラ3が構成されている。
【0040】
図6中、「窓側2列OFF(日射時)」とは、窓側2列の照明に設けられた日射センサにより、日射量が所定値以上であると判断された場合に、窓側2列の照明をOFFにする制御を行うことを意味する。「(デマンド発生時)」とは、コントローラ3が、電力計で計測された消費電力が建物2の契約電力に対して高いと判定した場合に、電力消費機器10または電力供給中継器11をOFFにする制御を行うことを意味する。このような構成とすることで、建物2全体での平均消費電力を抑え、最大需要電力(平均消費電力の最大値)が、建物2の契約電力を上回ってしまうことを抑制することができる。
【0041】
「照明非連動」とは、空調を、照明のON/OFFとは連動させずに、独立してON/OFF可能とすることを意味する。「タイマーによるOFF」とは、建物2の管理者または利用者が、所定時間動作させた後、OFFとなるようにタイマー設定を行うことを意味する。
【0042】
3.利用者による省エネ制御許容情報入力
次に、表示手段40に表示されたタイムチャート図T1を参考に、建物2の利用者が、省エネ制御受付手段22に省エネ制御許容情報iを入力する(ステップ#5)。具体的には、利用者は、ステップ#3で入力されたタイムチャート図T1(例えば、図6)における各電力消費機器10及び電力供給中継器11の動作状況において、許容できる省エネ制御を入力する。具体的には、例えば、図6(a)の例において、食堂の照明(北)については午前中OFFにしても構わないといった情報や、食堂の空調(南)については、午前中OFFにはできなといった情報を入力する。
【0043】
そして、省エネ計画支援情報作成システム1は、#5で受付けた省エネ制御許容情報iに基づいて、ステップ#3で動作状況受付手段21が受付けた動作状況S1を変更し、許容省エネ動作状況Siを作成する。具体的には、動作状況S1において、省エネ制御許容情報iにより省エネ制御の可否が入力された部分を、当該省エネ制御の可否に合わせて置き換えたものを作成する。
【0044】
さらに、省エネ計画支援情報作成システム1は、許容省エネ動作状況Siに於ける、タイムチャート図Tiと消費電力量グラフGiを可視化手段30で生成して表示手段40で表示する省エネ動作状況表示を実行する。(ステップ#6)
【0045】
図7に、許容省エネ動作状況Siに基づいてタイムチャート作成手段31により作成され、表示手段40に表示されるタイムチャート図Tiを示す。図7(a)〜(c)は、図4及び図6と同様の場所における電力消費機器10及び電力供給中継器11の動作状況を示している。図7(a)に示す食堂の例では、日中及び夜間の照明の消灯箇所を増加させるとともに、自動販売機に繋がるコンセントを日中においてデマンド時のみONとするようにしている。また、1Fでは昼休み時間帯の照明、空調をOFFとする一方、夜間の照明のタイマーでOFFとする設定を取りやめている。また、2Fでは、日中の照明、空調をOFFとし、夜間の照明のタイマーでOFFとする設定を取りやめている。
【0046】
4.管理者及び利用者による許容省エネ動作状況Siの確認
以上のように、管理者により動作状況S(s1)が、利用者により省エネ制御許容情報iが入力された後、省エネ計画支援情報作成システム1は、許容省エネ動作状況Siとした場合の省エネ効果を、管理者及び利用者に分かり易く表示する。(ステップ#7)
【0047】
本実施形態においては、省エネ計画支援情報作成システム1は、消費電力量記憶手段52に記憶された消費電力量グラフG0と、省エネ動作状況表示により表示される消費電力量グラフGiとを対比可能となるように、表示手段40に表示するように構成されている。具体的には、図8に示すように、消費電力量グラフG0及び消費電力量グラフGiにおける各時刻ごとの消費電力量を隣同士で並べて、時系列でどのように消費電力量が変化したかが分かる様に表示する。
【0048】
また、図8に示す消費電力量グラフGに加えて、図4に示すタイムチャート図T0及び図7に示すタイムチャート図Tiを並べて表示する。このような表示により、建物2の管理者及び利用者は、各時刻において行う省エネ制御の内容がどの程度、建物2全体の消費電力量に影響を与えるかを把握し易くなる。
【0049】
具体的には、図8の場合、許容省エネ動作状況Siを用いた場合に、昼間(10時〜19時)において大幅な電力消費量のカットが実現できることがわかる。また、昼間において電力消費量がピークを迎える時間帯が、10時、11時から13時に、16時から18時に移っており、ピークシフトを実現できることがわかる。
【0050】
なお、作成された許容省エネ動作状況Siでは省エネ効果が十分ではないと考えられた場合には、タイムチャート図Tiや消費電力量グラフGiを参考に、再度ステップ#3からやり直すと良い。以上のようにして、建物2の管理者と利用者の双方の意見を取り入れた最適な省エネ計画の作成を支援することができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、建物2は、コントローラ3により省エネ計画支援情報作成システム1により作成される許容省エネ動作状況Siに於けるタイムチャート図Tiに沿って電力消費機器10及び電力供給中継器11の動作制御を行うように構成されている。これにより、建物2全体での省エネを効率的に進めることが可能である。
【0052】
〔その他の実施形態〕
(1)上記実施形態においては、省エネ計画支援情報作成システム1が動作状況記憶手段51を備える構成の一例を示した
【0053】
(2)上記実施形態においては、省エネ計画支援情報作成システム1が消費電力量記憶手段52を備える構成の一例を示した。しかし、省エネ計画支援情報作成システム1が消費電力量記憶手段52を備えない構成としても構わない。
【0054】
(3)上記実施形態においては、建物2がコントローラ3を備える構成の一例を示した。しかし、建物2がコントローラ3を備えず、本願発明に係る省エネ計画支援情報作成システム1を、省エネ計画立案のための支援装置としてのみ利用しても構わない。
【0055】
(4)上記実施形態においては、動作状況記憶手段51に現在または過去の動作状況S0が記憶され、動作状況受付手段21及びタイムチャート作成手段31を介して、タイムチャート図T0を表示手段40に表示する構成の一例を示した。しかし、動作状況記憶手段51に記憶された動作状況Sから作成されるタイムチャート図T0を、直接省エネ計画支援情報作成システム1内に記憶し、表示する構成としてもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、建物内に設けられた電力消費機器及び電力供給状態を制御可能な電力供給中継器に対して、省エネ制御を実施するための省エネ計画の作成を支援する省エネ計画支援情報作成システムに適応可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 :省エネ計画支援情報作成システム
2 :建物
3 :コントローラ
10 :電力消費機器
11 :電力供給中継器
21 :動作状況受付手段
22 :省エネ制御受付手段
31 :タイムチャート作成手段
32 :グラフ作成手段
40 :表示手段
51 :動作状況記憶手段
52 :消費電力量記憶手段
図1
図2
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図4
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図8