(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
リブレット先端部が、ニッケル、クロミウム、金属合金、ガラス、セラミック、炭化ケイ素、又は窒化ケイ素のセットから選択される材料からできている、請求項1に記載のリブレットのアレイ。
【発明の概要】
【0005】
例示の実施形態により、空力表面に接着するための表面層と、表面層から延びる放物線状の断面を有する複数のリブレット先端部を有するリブレットのアレイが提供される。開示の実施形態については、各先端部の放物線状の断面は表面層に対してほぼ直角であるy軸に対して方程式y=px
2+hを有し、この式においてhは表面層からのリブレットの高さであり、pはリブレット先端部の製造材料に主に基づいて決定される。
【0006】
特定の場合において、表面層とリブレット先端部は例えばエポキシ、ウレタン、パーフルオロエーテル、又はフルオロシリコーン等の高伸長性弾性体からできており、実施形態は先端部の反対側の表面層に蒸着された接着層、例えばUV反射コーティング等のリブレット先端部上のクラッディング、又は先端部の反対側の表面層に蒸着されたポリマー支持層を含むことができる。その他の場合において、リブレット先端部はニッケル、クロミウム、金属合金、ガラス、セラミック、炭化ケイ素、又は窒化ケイ素のセットから選択される高弾性率材料からできている。先端部はまた、高弾性率及びポリマーの多層構造を含む多数の材料から構成することができる。金属層又は不連続金属層、及び弾性層と接着層の中間のポリマー支持層を、落雷又はその他の機能性応用形態のアップリケとして含むことができる。
【0007】
開示の実施形態は、リブレットアレイのベースとクラッディング用の材料を選択し、選択した材料の放物線形状係数pを決定することによって例示の方法において製造される。リブレットの高さh及び間隔に対する空力要件が決定され、方程式y=px
2+hを有するリブレットの放物線形状が計算される。所望のリブレットのアレイと一致する放物線形状を有するプロチュバランス又は陥没部/くぼみを有するマスターツールが形成され、マスターツールから補助ツールが形成される。ウェブ処理のさらなる代替方法においては、補助ツールはウェブツールである。
【0008】
説明した特徴、機能及び利点は、本発明の様々な実施形態において個別に達成することができる、または下記の説明及び図面を参照することによってさらに詳細を理解することができる更に別の実施形態と組み合わせることができる。
【0009】
1.リブレットのアレイであって:
空力表面に接着する表面層と;
表面層から延びる放物線状の断面を有する複数のリブレット先端部
を含むリブレットのアレイ。
2.各先端部の放物線状の断面が表面層に対してほぼ直角であるx軸に対して方程式y=px
2+hを有し、この式においてhは表面層からのリブレットの高さであり、pは主にリブレット先端部の製造材料と、メンテナンス及び環境因子によって表面に印加された負荷に基づいて決定される、請求項1に定義されるリブレットのアレイ。
【0010】
3.先端部の反対側の表面層に蒸着された接着層をさらに含む、請求項2に定義されるリブレットのアレイ。
4.リブレット先端部にクラッディングをさらに含む、請求項2に定義されるリブレットのアレイ。
【0011】
5.先端部の反対側の表面層に形成されたポリマー支持層をさらに含む、請求項1に定義されるリブレットのアレイ。
6.多層構造アップリケを形成するためにポリマー支持層に形成された接着層をさらに含み、前記接着層によりアップリケがビークル表面に接着される、請求項5に定義されるリブレットのアレイ。
【0012】
7.リブレット先端部と表面層が高伸長性弾性体を含み、高伸長性弾性体上のUV抵抗性クラッディングをさらに含む、請求項2に定義されるリブレットのアレイ。
8.リブレット先端部が、ニッケル、クロミウム、金属合金、ガラス、セラミック、炭化ケイ素、又は窒化ケイ素のセットから選択される材料でできている、請求項1に定義されるリブレットのアレイ。
【0013】
9.金属層と、弾性層及び接着層の中間のポリマー支持層をさらに含む、請求項8に定義されるリブレットのアレイ。
10.表面層及びリブレット先端部が300〜3000%の伸びに対して弾性的に回復可能な高伸長性弾性体でできている、請求項1に定義されるリブレットのアレイ。
【0014】
11.高伸長性弾性体は、エポキシ、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリオレフィン、エチレンプロピレン、シリコーン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、塩素化ポリエチレン、及びフルオロシリコーン、フッ素化ポリウレタン、パーフルオロポリエーテル、シリル化ポリウレタンのポリマー、共重合体及び形状記憶ポリマー、及びかご型シルセスキオキサン(POSS)を含むハイブリッドポリマーのセットから選択される、請求項10に定義されるリブレットのアレイ。
12.放物線状の断面を有する間隔を置いて配置された先端部を有する高伸長性弾性層
を含むリブレットのアレイ。
【0015】
13.高伸長性弾性体が300〜3000%の伸びに対して弾性的に回復可能である、請求項12に定義されるリブレットのアレイ。
14.高伸長性弾性層がウレタン、エポキシ、及びフルオロシリコーンのセットから選択される、請求項13に定義されるリブレットのアレイ。
【0016】
14.クラッディングがUV吸収又は反射コーティングを含む、請求項12に定義されるリブレットのアレイ。
15.クラッディングが、パリレン、PTFE、ポリアミド(ナイロン)、ポリイミド及びポリエチレンの薄膜を含む有機クラッディング、非晶質ダイアモンド様コーティング(DLC)を含む無機クラッディング、アルミニウム、クロミウム、金、プラチナ、ロジウム、又はニッケル等の金属、及び二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、インジウムスズ酸化物、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の酸化物、及び窒化ホウ素及び窒化ケイ素等の窒化物、有機−無機ゾルゲル又はペンダントPOSS又は有機金属単分子層、又は金属ポリマー又はセラミック-金属又はセラミック−ポリマーナノ層等のナノ層を含むハイブリッドクラッディングのセットから選択される、請求項14に定義されるリブレットのアレイ。
【0017】
18.航空機構造であって:
放物線状の断面を有する複数の先端部と、エポキシ、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリオレフィン、エチレンプロピレン、シリコーン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、塩素化ポリエチレン、及びフルオロシリコーン、フッ素化ポリウレタン、パーフルオロポリエーテル、シリル化ポリウレタンのポリマー、共重合体及び形状記憶ポリマーと、かご型シルセスキオキサン(POSS)を含むハイブリッドポリマー、ニッケル、クロミウム、その他の金属合金、ガラス、セラミック、炭化ケイ素、又は窒化ケイ素等の高弾性率材料、Vitreloey 105(Zr:52.5 Ti:5 Cu:17.9 Ni:14.6 Al:10)又はVitreloy 106a(Zr:58.5 Cu:15.6 Ni:12.8 Al:10.3 Nb:2.8)等の無晶質金属合金、銅−亜鉛−アルミニウム−ニッケル、銅−アルミニウム−ニッケル、ニッケル−チタン(NiTi)、疑似弾性ベータチタン合金等の形状記憶合金(SMA)のセットから選択される材料でできた表面層を有し、前記放物線状の断面の先端部はそれぞれ表面層にフィレット化されている、リブレットのアレイと;
ポリウレタン、シリコーン、エポキシ、ポリ硫化物、エチレンプロピレンジエン、フルオロシリコーン、及びフルオロ弾性体のセットから選択されるポリマー支持層と;
パリレン、PTFE、ポリアミド(ナイロン)、ポリイミド及びポリエチレンの薄膜を含む有機クラッディング、非晶質ダイアモンド様コーティング(DLC)を含む無機クラッディング、アルミニウム、クロミウム、金、プラチナ、ロジウム、又はニッケル等の金属、及び二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、インジウムスズ酸化物、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の酸化物、及び窒化ホウ素及び窒化ケイ素等の窒化物、有機−無機ゾルゲル又はペンダントPOSS又は有機金属単分子層、又は金属ポリマー又はセラミック-金属又はセラミック−ポリマーナノ層等のナノ層を含むハイブリッドクラッディングのセットから選択される先端部と表面層を覆うクラッディングと;
ポリマー支持層に蒸着されて多層構造アップリケを形成する接着層であって、アップリケを航空機の表面に接着させる接着層
を含む航空機構造。
【0018】
19.リブレットのアレイを製造する方法であって:
所望のリブレットアレイと一致する方程式y=px
2+hを有する放物線状のプロチュバランスを有するマスターツールを形成し;
マスターツールから補助ツールを形成し;
補助ツールにリブレット先端部及び表面層を蒸着させ;
接着層を蒸着させてアップリケを形成し;
高伸長性弾性アップリケを補助ツールから取り外して、
高伸長性弾性アップリケを空力表面に接着する
ことを含む方法。
【0019】
20.さらに、放物線形状係数を決定するステップが、選択されたリブレットの材料のクラッディングと一致する形状係数を選択することを含む、請求項19に記載の方法。
21.支持ポリマー層を接着層及び弾性先端部の中間に蒸着させることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【0020】
22.さらに、蒸着されたリブレット先端部及び表面層は高伸長性弾性体であり、高伸長性弾性層の上にUV抵抗性のクラッディングを蒸着させることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
23.補助ツールがウェブツールであり、蒸着されたリブレット先端部及び表面層が高伸長性弾性体であり、高伸長性弾性体を蒸着させる前にウェブツール上にUV抵抗性のコーティングをスパッタリングすることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【0021】
24.空力表面の抗力を低減する方法であって:
表面層から延びる放物線状の断面を有する複数のリブレット先端部のアレイを形成し;
リブレットのアレイを空力表面に接着させる
ことを含む方法。
25.空力表面のリブレットの耐久性を増進する方法であって:
表面層から延びる放物線状の断面を有する複数のリブレット先端部のアレイを形成し;
リブレットのアレイを空力表面に接着させる
ことを含む方法。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は流れ方向に延びた例示のリブレットを示す、翼又は機体外板等の空力表面の一部の等角投影図である。
【
図2A】
図2Aは放物線形状を有する例示の実施形態のあるリブレット先端部の詳細断面図である。
【
図2B】
図2Bは流れ方向に変動する放物線状の構造を有する例示の実施形態である。
【
図3】
図3は三角断面を構成する前の
図2に示す実施形態のリブレット先端部の設計の比較グラフである。
【
図4A】
図4Aは関連領域の重なりを明示するためにy軸スケールを拡大した、三角断面を構成する前の
図2に示す実施形態のリブレット先端部の設計の詳細比較グラフである。
【
図4B】
図4Bは関連領域の重なりを明示するためにy軸スケールを拡大した、三角断面を構成する前の
図2に示す実施形態のリブレット先端部の設計の詳細比較グラフである。
【
図5】
図5は様々なベースの幅において本明細書に開示された実施形態の先端部の撓みを比較するグラフである。
【
図6】
図6は様々なベースの幅において本明細書に開示された実施形態の先端部及びベースでのミーゼス応力を比較するグラフである。
【
図7A】
図7Aは例示のリブレット先端部の三角断面の先端部の撓みを拡大して明示する網目状断面図である。
【
図7B】
図7Bは本発明の実施形態のリブレット先端部の放物線状の断面の先端部の撓みを拡大して明示する網目状断面図である。
【
図8A】
図8Aは本発明の実施形態のリブレット先端部のミーゼス応力の断面応力表示図である。
【
図8B】
図8Bは
図8A及び8Bに示す本発明の実施形態の比較例として三角断面を有するリブレット先端部のミーゼス応力の断面応力表示図である。
【
図8C】
図8Cは高伸長性弾性体から形成され、表面層と接触するように湾曲したリブレット先端部の例示の放物線状の断面の応力表示図である。
【
図8D】
図8Dは最大主撓み分布を有する円形のフィレットリブレットの断面応力表示図である。
【
図8E】
図8Eは最大主撓みを有する円形のフィレットリブレットの断面応力表示図である。
【
図8F】
図8Fは
図8Eと比較するための、最大主撓みを有する楕円形のフィレットリブレットの断面応力表示図である。
【
図9A】
図9Aは構造設計された空力リブレットを用いることができる、第1実施形態の流れ方向に向いた横断面図である。
【
図9C】
図9Cはリブレットの基材の上にクラッディングを有する
図2Aの実施形態の変形例の横断面図である。
【
図9D】
図9Dは堅いリブレット先端部を有する代替実施形態の横断面図である。
【
図11】
図11は本発明の実施形態のリブレット先端部の成形方法のフロー図である。
【
図12A】
図12Aは航空機の製造及び就航方法の背景において本明細書に開示した堅い先端部を有するリブレットの実施形態の使用を説明するフロー図である。
【
図12B】
図12Bは本明細書に開示された実施形態の堅い先端部を有するリブレットを用いた航空機を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書に開示した実施形態により、リブレット表面に沿って均等に応力を与えることによって最大の耐久性を有するように構造設計されたリブレットが提供される。本明細書に開示した実施形態は放物線状の断面を提供し、永久的な変形/損傷を避けるために、地上支援機器又は雹等の環境災害によって衝撃を受ける可能性があるリブレットの高弾性率材料及び高伸長性弾性体に対して特に適用できる。これらの実施形態はまた、リブレットをより薄くし、空気力学的にさらに効率の良い最適な構造構成のリブレットを可能にする。通常回復不可能な状態で塑性的に変形しうる小さい弾性領域を有する材料は、本明細書に定義された放物線状の断面にさらに容易に用いることができる。次にさらに詳細に説明する、ある構造を有する弾性リブレットの例示の実施形態を、
図1に示す航空機の空気力学的表面の一部として示す。航空機110は、拡大して示す、矢印114で示される流れ方向に平行に配置された多数のほぼ平行のリブレット112を有する表面111を有する構造物を用いる。図示した例示の実施形態については、
図9Aに例えば示すように、表面111に対して直角の高さ寸法116は約0.002インチであり、リブレット間の間隔118は約0.003インチである。アレイにおけるリブレットの間隔又は分布は、リブレットの適用が用いられる空気、水又はその他の流体の流体力学特性に依存して変化しうる又はそれによって予め決定されうる。空力表面は通常非限定的に湾曲していてよく、翼、エンジンナセル、操縦翼面、機体、又はその他の好適な面の一部であってよい。したがって、リブレットの柔軟性及び一致性と、リブレットを支持し表面に取り付ける全ての構造物が必要とされうる。本明細書では航空機の空力表面について説明したが、本明細書に開示した実施形態は例えば非限定的に、ミサイル又はロケット等のその他の航空宇宙機、及びガス状流体、普通の空気の中を移動する車、トラック、バス、列車等のその他のビークルの表面、又はボート、潜水艦、水中翼船、流体流導管の表面又は液状流体流にさらされるその他の表面の抗力低減に同じく適用可能である。さらに、これらのリブレットを、高い耐久性と改善された空力性能が要求されるヘリコプターの回転翼又は風車等の回転部品に使用することができる。
【0024】
本明細書に開示した実施形態は、様々な衝撃及び/又はリブレットの耐久性を低下させうるその他の力に抵抗できるリブレットの能力を認識し提供する。さらに、特定の異なる有利な実施形態により、支持層と、支持層上に位置している又は支持層から延びた複数のリブレット先端部を有することができる多層構造が提供される。次に詳細に説明する例示の実施形態では、リブレットを形成する先端部を高伸長性弾性体から製造することができる。リブレットの先端部自体は多層構成であってよい。図示した実施形態はまた、追加の構造性能又は高温性能を得るために堅い先端部を有するリブレット又は形状記憶リブレットに適用することも可能である。
【0025】
選択されたリブレットの材料の利点を最大限に生かすために、リブレットの高さの上に均等に応力がかかるようにリブレット形状を成形する例を
図2Aに示し、明細書に開示された実施形態の個々のリブレット先端部202は、y軸2034に対して方程式y=px
2+hを有する放物線形状断面を組み込むことができ、この方程式において、hはリブレットの高さ116であり、yの高さにおいてリブレットの厚さはt=2xである。実際の形状のパラメータpの決定は、次にさらに詳細を説明するように、リブレット用に選択された材料、リブレットの所望の堅さ、及び要求される空力性能に依存しうる。好ましい形状パラメータ、p=−h/x
b(この式においてx
bは放物線のベースの幅の半分)により、空力性能のために、先端部近辺に傾斜のきつい面を有する狭い先端部が提供される。例示的な実施形態では、h=50ミクロン及びx
b=5ミクロン、したがって形状パラメータp=−2は、単一の設計及びマスターツールによって、ニッケルなどの剛性材料及び高伸張性ポリウレタンなどの高分子物質を含む多数の材料に幅広く適用できる。ベースフィレット205はリブレット202と表面層204の間の界面において画定され、これにより負荷を分散させてリブレットの最大撓みにおける塑性破壊又は表面層の破裂が回避される。例示の実施形態については、応力/撓みが均一に分配されるため、また平面であることで不連続性が除去されるのに十分であり、結合負荷下でのリブレットの破壊の原因となることが防止されるため、放物線形状の範囲が最大化されるように1ミクロンのフィレット半径が選択された。フィレットと放物線の間の遷移は滑らかであるべきで、これはフィレット形状を放物線(そしてまた平面)に対する接線とすることによって実施される。様々な実施形態において、フィレットは円形、楕円形、放物線状、又はリブレット及び平面に対して接線であるその他の滑らかに変動する形状であってよい。
【0026】
局所化された撓みは、
図2Bに示すようなリブレット先端部202の隆起線206に沿った高さの周期的変動によってさらに低減されうる。図示した実施形態についてリブレットの高さの±10%の高さの周期的変動が用いられる。
【0027】
図3に、例示の従来のリブレット形状と比較した、上述した現在の実施形態のリブレット202の断面の放物線形状を示す。最小形状302及び最大形状304に関しては、最大及び最小三角断面(50°及び20°)が、Bechert氏によって開示されたとおりに、1999年10月26日にBechert氏に対して発行された。最小三角形に対するBechert氏の最大半径フィレット306と、最大三角形308に対する最大半径フィレットも比較のために示す。本発明の実施形態の例示のフィレット半径310も示す。空気力学的視点からは望ましいBechert氏の最小形状は、リブレット表面に要求される高い耐久性に対して十分な構造強度を提供しない。Bechert氏の最大形状はベースにおいてより高い構造強度を提供するが、先端部での構造強度は高くなく、空気力学的抗力の削減は大幅に小さい。最も狭い三角設計により、就航前の抗力削減は良好であるが、特に三角形状とリブレット間の間隔に起因して先端部近辺に応力及び撓みが集中することが原因で先端部が大きく歪曲する可能性がある。現在の実施形態の放物線状の設計はより狭く、リブレットの隆起部の上部近くによりきつく傾斜した面が維持され、全ての20°〜50°の三角形状リブレットと比較して空力性能が向上すると同時に、断面領域上の応力分布を均等に保つことによって構造能力が大幅に改善される。リブレット先端部202は
図4Aに詳細に示し、Berchert氏の三角形状に対して放物線状設計の(隆起部近辺の傾斜がよりきつくなっている)形状上の利点を明示するためにx軸が拡大されている。
図4Bに示すように、Berchert氏の50°及び20°三角形状リブレット(302、304)及び中間の30°三角形状リブレット402の傾斜はそれぞれ2.1、5.7、及び3.7である一方、例示の放物線状リブレットの傾斜は、放物線形状内に含まれる三角形404と、放物線形状が含まれる三角形406の傾斜を考慮して、10〜13.4であると考えられうる。
【0028】
図5及び6に、夾角30°を有する三角形状リブレットと一連の放物線状リブレットの設計との間には構造挙動に大きな違いがあることを示す。ニッケル及びポリマー組成の両方のこの形状についての耐久性の問題を示す実験室での測定データ又は飛行データがあるために、0.001インチのベース、データ点502を有する30度三角形状リブレットが比較のために選択された。両方の表示において、放物線及び三角形状リブレットの先端部に1psiの負荷が印加されている。
図5の放物線状の設計502、504、506、508、510及び512のデータ点は、0.00058インチのベースを有する放物線状の設計が、0.001インチのベース、データ点502を有する30°三角形状リブレットと等しい先端撓みを有することを明示し、これは、先端部近辺の壁の傾斜がきついことからくる潜在的な重量の軽減と放物線状の設計の空気力学的利点を示す。
【0029】
同様に、
図6に示すように、30°三角形状リブレット及び様々な放物線状リブレットの先端部に1psiの負荷が印加されたミーゼス応力の比較は、放物線状リブレットによって特に得られる大幅な応力の低減を示す。図面にはまた、30°三角断面リブレットの先端部のベース602と突端部604に広く異なる応力が存在することも示されており、この応力は三角形の先端部のベースにおいて約16psiであり、とがった先端部において130psiである一方で、放物面の0.001〜0.0004の多様なベース幅に対しては、ベース幅が0.001〜0.00058の突端部606、608及び610において応力は約29psiとほぼ一定であるが、このベース幅において先端部のベース614、616及び618の応力は35psi未満であり、ベース幅が0.0004インチまで縮小するとわずかに増加するのみである。点線はベース幅を有する放物線状リブレットの先端部とベースの応力を示し、ここでリブレット先端部は三角形状リブレットと同様に屈折している。
【0030】
リブレットの断面内のこの応力レベルの差は、撓みを明らかにするために0.05の倍率でそれぞれ拡大されている三角形状リブレット702と放物線状リブレット704に対し、
図7A及び7Bに示すようなリブレットの構造を通して撓み形状に大きな影響を与えるものである。三角形状のリブレット先端部における突端部近辺の弾力性の限界を超える可能性のある撓みが放物線状リブレット先端部の断面全体に分配されることにより、回復不可能な塑性変形が回避される。ニッケル製リブレット先端部を用いた実施形態が
図7A及び7Bに示す解析に使用されている。
【0031】
図8Aに示すのは、0.00058インチのベース幅802と0.002インチの高さを有する例示のニッケル製放物線状リブレットの先端部704のミーゼス応力の図式的な表示である。ニッケル製リブレットの先端部を用いた実施形態はまた、
図8Aに示す解析のために使用される。簡略化のために、例示モデルはベースがフィレットではなく、したがってこの不連続性に起因してベースのすぐ上に応力が集中している。本明細書の様々な実施形態において開示されたフィレットは、この領域において負荷を分配することによりこの場所における構造破壊が起きないようにするために用いられる。リブレット先端部704の放物線形状により、応力が先端部近辺に集中するとは反対に、リブレット全体の高さに沿って均一に分配されることが可能になる。
図8Aの放物線先端部の図面に表示された高い応力は、モデルの幾何学的忠実度が欠けていることが原因であることに留意すべきである。対照的に、
図8Bの30°三角形状リブレット702の図は、突端部領域での回復不可能な変形又は亀裂が生じうる高度に局在化した変形及び応力を示す。次に図示するように、リブレット先端部構造では、剛性又は弾性中心部の上にクラッディングを用いることができる。
図8Aに示すような放物線形状によってもたらされるリブレットの長さ全体の表面に沿った応力の均等化によって、表面層の応力が均等化されるためクラッディングの局所的な亀裂を防止することができる。あるいは、例えばクラッディングの亀裂が予測される30°三角形等のより壊れやすい設計に対しては、ストレスレベルを均等化することで先端部表面に沿って一定の亀裂が間隔を置いて生じうる。
【0032】
放物線状成形は、リブレット全体に沿って応力及び撓みを均等に分配するため、大幅なメリットをもたらすものである。特に先端部が0.1ミクロンでありうる三角形状の場合、リブレット先端部が非常に狭いため、物質の伸長性の回復度が高いほど良い。三角形状リブレット先端部において0.1ミクロンの厚さの弾性体を指の爪でえぐると、約90ミクロンの間隔を空けて配置された一つ及びおそらく多数のリブレット全体を、先端部だけを含めた場合に900%以上伸ばすことが可能である。例示の実施形態については、平面に平らに折り畳まれた放物線状リブレットの外縁に沿った最大撓みは、
図8Cに示すように37%のみである。
図8Dは、例示のリブレット形状の最大主撓みの分布を示す図である。
図8E及び8Fは、それぞれ最大主撓みにおける楕円形フィレット及び円形フィレットの比較を示す図である。
【0033】
高伸長性弾性体の剛性先端部を有するリブレット又は形状記憶合金を用いた例示のリブレットの実施形態を多層構造として、
図9Aに示す。前述したように放物面を有するリブレットの個々の先端部202は表面層204から突出している。突出しているリブレット及び連続的な表面層は、ニッケル、クロミウム、その他の金属合金、ガラス、セラミック、炭化ケイ素、又は窒化ケイ素、Vitreloey 105(Zr:52.5 Ti:5 Cu:17.9 Ni:14.6 Al:10)又はVitreloy 106a(Zr:58.5 Cu:15.6 Ni:12.8 Al:10.3 Nb:2.8)等の非晶質金属合金、銅−亜鉛−アルミニウム−ニッケル、銅−アルミニウム−ニッケル、ニッケル−チタン(NiTi)、疑似弾性ベータチタン合金等の形状記憶合金(SMA)、及びその他の好適な金属合金等の高弾性率材料を鋳造する又は蒸着させることによって形成され、可逆応力誘発マルテンサイト相変態、又は例えば非限定的に、ニッケル又は、クロミウム、その他の金属合金、ガラス、セラミック、炭化ケイ素、又は窒化ケイ素等の代替剛性材料等の剛性金属がコーティングされた、多面体オリゴセルセスキオキサン(POSS)−変性ポリウレタン、又はポリウレタン、シリコーン、エポキシ、ポリ硫化物、エチレンプロピレンジエン、フルオロシリコーン、及びフルオロ弾性体を含む、より典型的な弾性体等の形状記憶弾性体、又は例示の実施形態として、PRC PR 1664D類似のウレタン等の高伸長性弾性体から生じる超弾性挙動がもたらされる。様々な実施形態では、高伸長性弾性体は、エポキシ、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリオレフィン、エチレンプロピレン、シリコーン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、塩素化ポリエチレン、及びフルオロシリコーン、フッ素化ポリウレタン、パーフルオロポリエーテル、シリル化ポリウレタンのポリマー及び共重合体(通常ブロック共重合体)及び形状記憶ポリマー、及び多面体オリゴセルセスキオキサン(POSS)を含むその他のハイブリッドポリマーのセットから選択することができる。弾性ポリマーは充填されていてもよく、されてなくてもよい。
図9Aに示す実施形態については、接着層206が表面層204の底部204aに蒸着されている。この接着剤は非限定的に感圧アクリル接着剤、感圧ポリウレタン接着剤、ポリ硫化物、エポキシ、熱可塑性、熱反応接着剤、シリコン接着剤、又はフルオロシリコーン接着剤を含む多数の可能な接着剤のうちの一つであってよい。
【0034】
代替実施形態において、支持ポリマー層208は、
図9Bに示すように表面層204と接着層206の中間の表面層204と係合する。支持ポリマー層208はポリマー膜又はその他の好適な材料であってよい。特定の実施形態においては、ポリエーテルエーテルキトン(PEEK)が用いられる。第2層の支持ポリマー、接着及び/又はその他の要素により、さらなる堅さ又は弾力性及び表面に接着する能力が得られ、表面層及び先端部の高伸長性弾性体を蒸着させる又は形成する既製のアップリケとして作製することができる。
【0035】
図9Cは、高伸長性弾性体が表面クラッディング209でコーティングされているさらなる代替実施形態である。図示した例示の実施形態について、クラッディング209は、例えば酸化亜鉛又はインジウムスズ酸化物等の透明であるが紫外線(UV)反射又は吸収コーティングである。次に弾性表面層204を
図2Dに関して説明したように、接着層206を使用して又は直接表面に接着することができる。クラッディングはまた例えばp静電荷(<500オーム/スクエア)を消散させる又は伝導するための導電率/電気抵抗率、形状記憶等の代替機能性を提供する、又は着色又はその他の装飾効果を提供することもできる。所望の機能性を得るための様々な代替実施形態では、クラッディングは有機質及び無機質部分又はハイブリッドのいずれかから選択される。様々な実施形態の例示のクラッディングは有機質又は無機質部分又はハイブリッドのいずれかから選択することができる。有機クラッディングはパリレン、PTFE、ポリアミド(ナイロン)、ポリイミド及びポリエチレンの薄膜のセットから選択される。無機クラッディングは、非晶質ダイアモンド様コーティング(DLC)、アルミニウム、クロミウム、金、プラチナ、ロジウム、又はニッケル等の金属、及び二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、インジウムスズ酸化物、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の酸化物、及び窒化ホウ素及び窒化ケイ素等の窒化物を含む薄膜又は多層膜であってよい。ハイブリッドクラッディングは有機−無機ゾルゲル又はペンダントPOSS又は有機金属単分子層、又は98103ワシントン州シアトル、ノースレイクウェイ1443N.のModumetal社によって生産される金属ポリマー等のナノ層又はセラミック-金属又はセラミック−ポリマーナノ層であってよい。
【0036】
保護クラッディング209が高伸長性弾性先端部202と同様の伸長特性を有しえないことが予想され、高伸長性弾性体の表面の撓みが予測され、負荷が取り除かれ弾性体がほとんど元の形に戻る際に、傷ついてはいるが弾性先端部及び表面層に接着されたままのクラッディングによる紫外線防護は実質的に維持される。クラッディング209は、複合構造のみでは提供しえない静的帯電等の電磁効果に対する抗力を提供することができ、これによりLSAフォイルアップリケおよび同様の材料の代わり、あるいはその補足となる。クラッディング209はまた、強化された紫外線防護、着色、及び装飾効果を提供しうる多層又は干渉膜であってもよい。クラッディングはまた、放物線の表面に、又は放物線の表面近くに配置される粒子又はロッド又はその他の構造のナノメートル規模のアレイであってもよい。上記ナノ構造は例えば酸化亜鉛又は酸化チタンからできていてよい。
【0037】
図9A、9B、又は9Cで示す形態では、実施形態は
図9Bに示すように、先端部202、表面層204、支持ポリマー層208及び接着層206を含む多層アップリケ207として製造することができ、この多層アップリケ207は接着層206を使用して空力表面に接着させることができる。代替実施形態はまた、金属網/誘導性グリッド、容量性グリッド、又はアルミニウム等のフォイルを用いることもできる。フォイル、ポリマー及び接着多層構造は、避雷方法及び装置という名称の2006年12月14日出願のRawlings氏の米国特許出願第11/611023号明細書に開示されたもの等の複合航空機の構造表面に用いられる現在の落雷アップリケ(LSA)と類似のものでありうる。代替実施形態の金属層は不連続であってよく、引用によって開示内容を本明細書に組み入れる広範囲電光ダイバータオーバレイという名称の2005年9月19日出願のRawlings氏等の米国特許出願第11/229911号明細書の広範囲電光ダイバータオーバレイ(WALDO)の構造物、又はアップリケを使用した広域回路網という名称の2006年12月19日出願のRawlings氏のコンパニオン出願第112/612576号明細書に開示された多層構造内の統合電子回路を提供することができる。
【0038】
代替実施形態では、表面層204を航空機の表面111に直接接着する又は蒸着させることができる。上記の代替実施形態では、支持ポリマー層208は、接着層なしで
図9Bに開示されるものと同様の構成の熱可塑性材料(又はエポキシ等の熱硬化性樹脂)を用いることができ、この熱可塑性材料により、熱、放射線の印加、又は磁気インダクタンスを介して航空機の表面111に直接接着することが可能になる。
【0039】
図9Dに示す実施形態については、例えばニッケル(本明細書に記載される実施形態で使用される)等の高弾性率金属、又はクロミウム等の代替剛性材料、その他の金属合金、ガラス、セラミック、炭化ケイ素、又は窒化ケイ素から製造される剛性先端部を有するリブレットが図示されている。複雑な又は多数の湾曲した表面に対しては、個々のリブレット先端部202’が流れ方向に対して直角に互いに離れている方が横方向の柔軟性がさらに高まるために望ましい。図示した実施形態については、個々の先端部202’が弾性層204’から突出している。先端部202’は
図2に関して説明したように放物線形状を有する。ベース210は各先端部から広がっている。特定の実施形態では、弾性層204’がベース210を囲むことにより、より高い構造的連続性が提供されている。代替実施形態ではベースの底面211は弾性層204’のむき出しの面204aに直接接着される。
【0040】
スクリーン、及び/又は例えばアルミニウム等のフォイル金属層212、例えばPEEK等のポリマー層214及び/又は接着層216を組み入れた多層構造は、弾性層204’を支持する。ポリマー層214及び接着層216は予成アップリケの一部として供給する、又は弾性層204’に直接蒸着させることができる。金属層212は、実施形態の航空機での使用例において避雷用導電性材料となる。金属層、ポリマー及び接着多層構造は、複合航空機の構造表面に用いられる現在の落雷アップリケ(LSA)と類似のものであってよい。
【0041】
リブレット先端部202’を支持する弾性層204’により、横方向の力が加わったときに先端部が横向きに弾性変形し元に戻ることが可能になり、これにより剛性リブレット先端部の耐久性がさらに増し加わる。さらに、弾性層の柔軟性により、複雑な輪郭形状により良く適合することが可能になりうる。
【0042】
図10A及び10Bは、開示の実施形態の結果得られるリブレットアレイの一例である
図9Bに開示された実施形態の上面図及び側面図である。先端部202によって形成されたリブレット112は流れ方向114に表面層204に沿って長手方向に広がっている。薄い表面層204は、矢印115で示すようにリブレット112に対してほぼ直角の接線を有する湾曲に接着する柔軟性を提供する。記載した実施形態において使用される高伸長性弾性体の特性により、アップリケがリブレットのアレイが適用される航空機又はその他の表面の表面形状と一致するように変形する柔軟性を持つことが可能になる。
【0043】
図11に示すように、記載された実施形態について、ステップ1102において高伸長性弾性体、剛性リブレット又は形状記憶合金等のリブレットの耐久性を高めるのに望ましい材料の選択が行われる。ステップ1104においてリブレットアレイの空力性能に対し高さhと間隔dが決定され、そしてステップ1106において、選択された材料の放物線形状の形状要素pが決定される。リブレットの放物線形状がステップ1108において計算され、この結果得られる空気力学的および構造的性能がステップ1110において決定される。材料、形状要素、高さ及び間隔のイテレーションを行ってこの結果得られるリブレットのアレイを最適化することができる。さらに、クラッディングが望ましい高伸長性弾性リブレット先端部又はその他の材料に対する放物線形状要素の決定には、選択されたリブレット材料上のクラッディングと一致する形状要素を選択することが含まれうる。酸化亜鉛又はインジウムスズ酸化物等の紫外線抵抗性材料は高伸長性弾性リブレットの例である。
【0044】
次にステップ1112において、所望のリブレットアレイの形状に対応する放物線状のプロチュバランスと、間隔を置いて配置するためのほぼ平坦な中間面を有するマスターツールが形成される。ステップ1114においては、マスターツールから補助ツールが形成され、これはマスターツールで型をつけてリブレット形状に対応する溝を形成することによって行うことができ、溝間の間隔によりほぼ平坦な中間面が得られる。図示した方法では単一セットのマスターツール及び補助ツールを示したが、代替実施形態ではウェブ処理又は代替工程において多数のセットのマスターツール及び補助ツールを用いることができる。ステップ1116において補助ツールにリブレット先端部と表面層が蒸着される。本方法の様々な実施形態において、先端部及び表面層は弾性表面層に組み込まれる高伸長性弾性材料又は剛性又は形状記憶合金先端部でできていてよい。高伸長弾性材料は、本明細書の実施形態について記載したように、ウレタン、エポキシ及びフルオロシリコーンのセットから選択することができる。弾性体は補助ツール上に成型する、又はウェブツールの応用においてはツール上に噴霧する又は浸漬成形することができる。剛性又は形状記憶合金の先端部の形成は、補助ツール上に金属クラッディングをスパッタリングしてクラッディングの上に先端部を電鋳法で形成する上記方法によって実施することができる。
【0045】
ステップ1118においてリブレット先端部及び表面層のアップリケが次に作製される。様々な実施形態において、アップリケはリブレット先端部の反対側の表面層に蒸着された接着層であってよい。アップリケの取扱いの便宜上接着ライナーを追加し、後に表面に適用する前に取り除くことができる。代替実施形態は、表面層及び接着層の中間に支持ポリマー層を、そして任意に避雷アップリケを作製するために金属フォイル又はメッシュ層を含む。アップリケを次にステップ1120において補助ツールから取りはずして、ステップ1122において空力表面に接着する。特定の代替実施形態において、補助ツールは保護マスクとして機能することができ、この保護マスクはアップリケが表面に接着されるまで保持される。その他の実施形態では、リブレットの取扱い保護のためにマスキング層を加えて、次にアップリケが表面に接着された後で取り除くことができる。
【0046】
リブレット先端部と表面層の高伸長性弾性体を用いる実施形態については、補助ツールから取りはずした後で前述した紫外線抵抗性クラッディングを高伸長性弾性層の上に蒸着することができる、あるいは、補助ツールがウェブツールである場合、高伸長性弾性層を蒸着する前にウェブツール上に紫外線抵抗性コーティングをスパッタリングすることができる。
【0047】
図12A及び12Bをさらに具体的に参照すると、本明細書に開示される高伸長性弾性リブレットの実施形態とこれらの製造方法は、
図12Aに示す航空機の製造及び運航方法1200と、
図12Bに示す航空機1202において説明することができる。試作段階においては、例示の方法1200は航空機の規格及び設計1204と材料調達1206を含むことができる。製造段階においては、航空機の部品及びサブアセンブリの製造1208と、システム統合1210が行われる。本明細書に記載されるリブレットアップリケとこれらの製造工程は、生産、部品及びサブアセンブリの製造ステップ1208の一部として、及び/又はシステム統合1210の一部として実施することができる。その後に、航空機は認可及び納品1212を経て、就航1214する。顧客によって使用されている間、航空機1202には定期的な整備及び保守1216(修正、再構成、改修等を含むことができる)が予定される。本明細書に記載されるリブレットアップリケはまた定期的な整備及び保守1216の一部として製造し適用することもできる。
【0048】
方法1200の各プロセスは、システム・インテグレーター、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)によって行われる又は実施することが可能である。この説明の目的のために、システム・インテグレーターは、非限定的に、任意の数の航空機メーカー及び主要なシステム下請業者を含むことができ、第三者は、非限定的に、任意の数の供給メーカー、下請業者及びサプライヤを含むことができ、オペレータは、航空機、リース会社、軍部、サービス組織等であってよい。
【0049】
図12Bに示すように、例示の方法1200によって製造される航空機1202は、
図1に関連して説明した表面111と、複数のシステム1220と内装1222を有する機体1218を含むことができる。高レベルシステム1220の例は、一以上の推進システム1224、電気およびアビオニクスシステム1226、油圧システム1228、及び環境システム1230を含む。任意の数のその他のシステムを含むことができる。本明細書に記載した実施形態によって支持される高伸長性弾性リブレットは機体1218の一部、特に外板と外表面の仕上げ工程の一部であってよい。航空宇宙における実施例を示したが、本明細書の実施形態に開示された原理は自動車産業および海洋/船舶業界等のその他の業界にも応用することができる。
【0050】
本明細書で具体化した装置及び方法を、製造及び運航方法1200の任意の一以上の段階において活用することができる。例えば、製造工程1208に対応する部品又はサブアセンブリは、航空機1202が運航されている間に製造される部品又はサブアセンブリと同様の方法で製作又は製造することができる。また、一以上の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組合せを、例えば航空機1202の組立を実質的に早めることによってまたは航空機1202にかかる費用を削減することによって、製造段階1208及び1210において利用することができる。同様に、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組合せを、航空機1202が運航している間に、例えば非限定的に、整備及び保守1216に利用することができる。
【0051】
ここで特許法の定めるところにより様々な実施形態を詳しく説明してきたが、当業者は本明細書に記載された特定の実施形態の変形および代替例を認識するだろう。上記修正例は次の請求項に定義される本開示内容の範囲と目的に含まれるものである。