【実施例】
【0062】
方法
本発明のこの実施例では、以下のステップを利用する。
1. 腫瘍に特異的なゲノム再編成を、大規模並列シーケンシング法により同定するステップ。
2. 再編成のマッピングを、塩基対レベルの分解能で行うステップ。
3. 腫瘍の負荷量の、高感度かつ特異的な定量化のために、PCRに基づいたアッセイを設計するステップ。
4. 血清から遊離DNAを抽出し、腫瘍の負荷を適切な対照を用いて定量化するステップ。
【0063】
腫瘍に特異的な再編成を、大規模並列シーケンシング法により同定するステップ
ゲノムDNAを、腫瘍試料から、フェノール-クロロホルムによる抽出または他の標準的なプロトコールを使用して抽出する。ライブラリーを、腫瘍DNAから、使用しようとする大規模並列シーケンシングプラットフォームの製造元により推奨されているプロトコールに従って調製する。Solexaシーケンシングプラットフォーム(Genome Analyzer、lllumina、San Diego CA)のために、ゲノムDNA(5μg)を、Genome Analyzer計測器と共に供給されたネブライザーを製造元の指示に従って使用してランダムにせん断する。断片化したDNAに、T4 DNAポリメラーゼおよびクレノウポリメラーゼをT4ポリヌクレオチドキナーゼと共に使用して末端修復を行って、5'末端をリン酸化する。3'Aオーバーハングを、3'-5'エキソヌクレアーゼ欠損クレノウ断片を使用して生成させ、lllumina両末端アダプターオリゴヌクレオチドを、こうして生成させた粘着末端にライゲーションする。ライゲーション混合物を、アガロースゲル上で電気泳動し、400〜500塩基対の長さのDNA断片を切り出すことによってサイズ選択する。DNAをゲルから抽出し、断片を、Solexaプライマーを両方の末端に対して用いて、製造元の指示に従って限定的なサイクルのPCR反応により濃縮する。
【0064】
Genome Analyzerの両末端フローセルを、製造元のプロトコールに従って、供給されたクラスターステーション上に調製する。次いで、PCRコロニーのクラスターを、Genome Analyzerプラットフォーム上で、製造元から推奨されているプロトコールを使用してシーケンシングする。再編成は、より長い読取り長さの、単一の末端の読取りを用いて見出すことができるが、各末端から少なくとも35bpの、ペアエンドシーケンシングにより、再編成を同定するための最適な適用範囲が得られる。計測器から得られた画像を、製造元のソフトウエアを使用して処理して、FASTQ配列ファイルを生成する。
【0065】
SOLiDプラットフォーム(Applied Biosystems)および454 sequencer(Roche)を含めた、現世代の大規模並列シーケンシングのプラットフォームのうちのほとんどを、ゲノム再編成を同定するために使用することができる。より長い挿入部のサイズが、適用範囲を増加させ、再編成のクラスターの認識のより高い信頼性をもたらす。同じ患者由来の体質性(生殖系列)DNAから得られたシーケンシングのデータが入手可能である場合、これを使用して、生殖系列性再編成と体細胞性再編成とを区別することを援助することができる。
【0066】
配列データを、いくつかの無料で入手可能なパッケージのうちのいずれかを使用して、参照ヒトゲノムに対して整列させる。本発明者らは、MAQアルゴリズムv0.4.3(http://maq.sourceforge.net maq-man.shtmlにおいて利用可能である)を使用する。2つの末端をゲノムに対して正しい方向性および間隔距離で整列させることができなかった読取りは、SSAHAアルゴリズムを用いてさらにスクリーニングする。
【0067】
不自然な結果の除去
2つの末端を、相互に500bpの範囲に対してさらにマッピングするが、それら2つの末端のうちの1つが誤った方向性にある読取りは、解析から除外する。これは、それらの読取りが、PCRコロニーの内へのプライマーの誤った付加またはライブラリーの増幅の間に生成した分子内再編成のいずれかに起因する不自然な結果であると考えられるからである。(PCRによる濃縮ステップの間に生成された)相互に正確な二つ組である読取りは、配列の2つの末端が、同一のゲノムの場所にマッピングされるという事実により同定される。すなわち、より高いマッピングの質を有する断片のみが保持される。参照ゲノム中の配列ギャップに由来するDNAの偽のマッピングは、コピー数解析および再編成解析から、セントロメアまたはテロメアの配列ギャップから1Mbの範囲内の領域を除くことによって低下する(現在の配列ギャップのリストについては、例えば、http://genome.ucsc.edu/cgi-bin/hgTablesを参照されたい)。
【0068】
コピー数アルゴリズム
特有性の変化するレベルについてゲノムにわたり補正するために、両末端の短い読取りのインシリコのシミュレーションを、500bp離れた35塩基の各末端の対をなす配列(または異なるライブラリーが使用されている場合には、同等物)を生み出すことによって実施する。シミュレートした対を、ゲノムに沿って35bp毎に位置させる。これらのシミュレートした読取りを、ゲノムに対して、MAQアルゴリズムを使用してマッピングする。これに基づいて、ゲノムを、非オーバーラップの、不均等な幅のウィンドウであって、一定の数の、高い特有性でマッピングされたインシリコの読取りを含有するウィンドウに分ける。ウィンドウの境界を設定して、各ウィンドウの内の、特有にマッピングされた両末端の読取りの数を数える。これは、当初はゲノムハイブリダイゼーションマイクロアレイのデータのために開発された二変数循環セグメンテーションアルゴリズム(binary circular segmentation algorithm)に対する生のインプットを形成する。Bioconductorプロジェクト(http://www.bioconductor.org/を参照されたい)のDNAcopyライブラリーとしてR中で実行される、このアルゴリズムは、コピー数の変化点を、反復二変数セグメンテーション(iterative binary segmentation)により同定する。本発明者らは、α=0.01を、2の平滑パラメータおよびセグメンテーション後の推定される擬陽性を刈り込むための2標準偏差と一緒に使用するが、モデル化は一般に、異なるパラメータを選択しても、類似の結果をもたらす。
【0069】
再編成のマッピングを、塩基対レベルの分解能で行うステップ
以下の基準を使用して、誤ってマッピングされた読取りを優先順位付けて、確認スクリーニングを行う。
--同じ再編成の範囲を2回以上読み取る、
--両方の末端について高信頼性マッピングを行う、
--同じ染色体上で、<100kb離してマッピングを読み取る、
--セグメンテーションアルゴリズムにより同定したコピー数の変化点から100kbの範囲に対して両方の末端のマッピングを行う。
【0070】
1kbの最大の産物サイズについては、両末端の読取りの1kb外側にプライマーを位置させることによって、プライマーは、存在するであろう切断点に及ぶように設計されている。PCR反応を、腫瘍および正常なゲノムDNAに対して、プライマーの各セットについて実施する。バンドをもたらす産物を、従来からあるSangerのキャピラリー法によりシーケンシングし、参照配列と比較して、切断点を同定する。後天的な体細胞性の、腫瘍に特異的な再編成は、正常なDNA中には一致するバンドがない、腫瘍DNA中の説得力のあるバンドをもたらすPCR反応物であって、このバンドは、少なくとも2つの別個の反応物中に見られ、再編成を示唆する、明確にマッピングされた配列データも一緒にもたらすPCR反応物と定義する。
【0071】
あるいは、再編成を、切断点にわたるde novoアセンブリによりマッピングすることもできる。これは、1つの末端が切断点の場所にマッピングされる両末端の読取りを抽出することによって達成される。これらの読取りを、より長いコンティグに集合させることができ、これらのコンティグを、参照ゲノムに対して整列させ、切断の正確な場所を同定することができる。
【0072】
腫瘍に特異的な再編成を定量化するために、PCRに基づいたアッセイを設計するステップ
本発明者らは、ネステッドPCRが、腫瘍に特異的なゲノム再編成を増幅するための、高感度かつ特異的な方法であることを見出すに至った。
【0073】
それぞれの確認された体細胞性の構造的な再編成を、DNAマーカーとしての適切性について評価する。
【0074】
コピー数変化
大半の腫瘍細胞中に存在するDNAマーカーを選択することが重要である。再編成のスクリーニングを、細胞集団に由来する腫瘍DNAに対して実施する。したがって、シーケンシングの実験のアウトプットは、腫瘍細胞集団の再編成の平均である。本発明者らは、i)シーケンシングのデータ中で優勢であり、ii)明確なコピー数変化を有する再編成を使用することを狙う。これは、これらの再編成が、大半(または全て)の腫瘍細胞中に存在するからである。
【0075】
周囲のDNAの特有性
各アッセイが、特定の再編成に特異的でなければならない。ゲノムの反復性とは、非特有性の反復配列がゲノムにわたり複数の位置に位置することを意味する。極めて特異的なアッセイを得るために、各切断点の周囲の反復配列を、repeat maskerソフトウエア(www.repeatmasker.org)を使用してマスクする。これにより、一部の後天的な体細胞性の切断点は、さらなる解析から、直近の周囲の反復があることを理由に除外される。いくつかの切断点の接合部については、ヌクレオチドの短いストレッチのみがマスクされ除かれるか、または何も除かれない。こうして、反復配列が回避されるならば、特異的なアッセイを、これらの再編成のために設計することが可能になる。
【0076】
アッセイの数
本発明者らは、患者1人当たり、腫瘍に特異的な再編成3〜4つに対してプローブを設計することを目指す。患者1人当たり複数のアッセイを有することにより、最終的な結果の信頼性が増加するが、こうした数の適切な再編成を、あらゆる患者において同定することは必ずしも可能ではない。腫瘍に特異的なアッセイを、ゲノムの野生型領域を認識するように設計した、4つの対照アッセイと平行して行う。
【0077】
アッセイ/オリゴの設計
本発明者らは、ネステッドPCRのアプローチを取って、正常細胞に由来する循環しているDNAの高いバックグラウンドから、癌に特異的な再編成を同定する。プライマーを、primer 3(http://frodo.wi.mit.edu/)を使用して、反復配列を回避し、再編成の切断点に及ぶように設計する。最初のPCR産物のサイズは、最小(<200bp)に保つべきである。これは、循環している腫瘍DNAは、このサイズ範囲において最も豊富である傾向があるからである。第1回のPCRにおいて増幅された配列を鋳型として使用して、二重標識DNAプローブ(「taqman」)スタイルの定量的PCRアッセイを、Beacon Designerソフトウエア(Premier Biosoft International)を使用して設計する。このプログラムにより、プライマーおよび二重標識した[5'FAM、3'BHQ1]DNAプローブが選択される。厳格なサイズの制約に起因して、リアルタイムのプライマーと第1回のプライマーとの間のオーバーラップが時には必要となる。
【0078】
血漿/血清からDNAを抽出し、腫瘍の負荷量を定量化するステップ
DNAの抽出
患者の血漿または血清から、デブリを、16,000gにおける10分間の遠心分離により除去する。DNAを、2〜20mLの得られた上清から、QIAamp MinElute Virus Vacuum Kit(Qiagen)を使用して抽出する。DNAを、20μlの供給された溶出用緩衝液中に溶出し、全体積を、以下のPCRにおいて鋳型として使用する。
【0079】
マルチプレックスPCR
2〜20mLの患者の血漿から抽出したDNAの全量(またはこれに由来する10倍段階希釈物)を、第1回のコントロール領域のプライマーと併せた、患者に特異的な第1回のPCRプライマー全てと組み合わせ、マルチプレックスPCRにおいて20サイクルに付す。全てのプライマーを組み合わせることによって確実に、最多の量のDNAが、各プライマーセットに対して利用可能となる。
【0080】
リアルタイムPCR
10倍希釈物を、ネステッドPCR産物から作製し、5μlを、再編成に特異的なプライマーおよびプローブを使用する個々のリアルタイムPCR反応において、鋳型として使用する。
【0081】
定量化
患者の腫瘍DNAの、正常なDNA(または水)中の段階希釈物を使用することによって、検量線の生成が可能になる。これは、1反応物当たりの腫瘍DNAの(pgで示す)量が既知であるからである。次いで、標準物質に適用させて最良に適合する曲線を使用することによって、既知の体積の血漿/血清中に存在する腫瘍DNAの量の内挿が可能になる。本発明者らの経験では、ネステッドリアルタイムPCRは、解析した血漿の全体積中に存在する標的の再編成を1コピーまで検出することが可能である。
【0082】
結果
本発明者らは、2人の転移性乳癌を有する患者を検討した。両末端から読む大規模並列シーケンシング法を使用して、両方の原発性癌のゲノムから、後天的な体細胞性のゲノム再編成を同定し、PCRアッセイを、各ゲノム由来の複数の再編成にわたり増幅するように設計した(下記の
図1を参照されたい)。PCR産物をシーケンシングして、切断点を塩基対レベルの分解能で同定した。次いで、本発明者らは、ネステッドリアルタイムPCRアッセイを、腫瘍DNAの量を増幅および定量化するように設計した。次いで、本発明者らは、癌から得られたDNAに対するPCRの設計の成功を確認した後に、両方の症例における疾患の最初の提示の際に採取した血漿試料を調べた。DNAを、2mLの血漿から抽出し、本発明者らが設計した患者に特異的なリアルタイムアッセイにより解析した。
図1は、リアルタイムPCR反応から得られた結果を示す。曲線は、Y軸上に、リアルタイム(taqman)プローブにより発生した蛍光の量を示し、X軸上に、PCRサイクルの数を示す。
図1のグラフのそれぞれの中央付近の濃い水平線は、反応が陽性に達するとみなされる蛍光のレベルを印し、したがって、より早期に(より左方向で)曲線が閾値に交差するほど、標的DNAのより多くの量が反応物中にある。
図1中、正常な個体から得られた血漿DNA(反応についての陰性対照)に由来する曲線および水中の患者の血漿の10倍段階希釈物を示す曲線を、別個の矢印により特定する。各患者についての左手のグラフは、腫瘍に特異的な再編成についての結果を示す。明らかに、患者の血漿試料は陽性であり、一方、(正常な個体から得られた)陰性対照の血漿は、全体を通して陰性である。各患者についての右手のグラフは、ゲノムの正常な領域(陽性対照)についての結果を示し、これは、予想通り、患者および正常対照の両方において陽性である。
【0083】
図1:乳癌を有する患者の血漿DNA中のゲノム再編成の定量的検出:後天的な体細胞性のゲノム再編成が、2人の転移性疾患を有する患者の原発性乳癌中で大規模並列シーケンシング法により同定された。2mLの診断時に採取した血漿から抽出したDNAおよび10倍段階希釈物を、ネステッドPCRによりスクリーニングし、最終回のリアルタイムPCTでは、再編成のロバストな検出(各患者について、1つを示し、他の2つは示さない)が、両方の患者において可能であった。希釈系列における腫瘍に特異的な反応と対照の反応との比較から、各患者において、血漿中の腫瘍に特異的なDNA対全DNAの比は1:10であることが示唆され、抽出された血漿DNAの総量は、患者PD3722aについては、患者PD3770aよりも約100倍多かった。
【0084】
結果は、これらの体細胞性再編成を、血漿DNA中で定量的に検出することができることを示している。特に、アッセイの以下の主要な特徴を、解析から実証することができる。
--アッセイは、極めて感度が高い。これは、解析が、血漿を希釈した場合でさえ陽性であったことによる(第1の患者については、1:10の希釈度、および第2の患者については、1:1000の希釈度。後者は、2mLが開始体積であったので、わずか2μLの血漿から得られたDNA中にシグナルを検出することに相当する)。
--アッセイは、極めて特異的である。これは、正常な血漿DNAが、ネステッドPCRを用いた場合でさえ、シグナルを示さなかったことによる。
--アッセイは、定量的である。血漿の希釈物が、曲線間のロバストな分離を示す、C
tの直線的な増加を示したことによる。
【0085】
それに続いて、本発明者らは、癌を有する、化学療法を受けている第3の患者から得られた一連の試料を解析するに至った(下記の
図2)。本発明者らが、最初の2人の患者について行ったように、ゲノムワイドな再編成のスクリーニングに、大規模並列シーケンシング法を使用して着手して、後天的な体細胞性再編成を同定した。これらの再編成のうちの2つを、アッセイの設計のために選択した。腫瘍DNAの段階希釈物を、正常なDNA中で作製した。
【0086】
図2Aは、正常なDNA中への腫瘍DNAの希釈系列にわたる二つ組の反応における再編成1および2の解析を示す。Ct≦27の場合、腫瘍DNAの絶対的な量を、最良に適合する直線から推定することができる。Ct>27の場合、疾患を、検出可能または検出不能と分類することのみができる。しかし、アッセイは、反応物中に存在する再編成の単一のコピーを検出することができるように見える。
図2Bは、患者の臨床経過における画期的な時点において収集した6つの試料から推定した血清1mL当たりの腫瘍DNAの量を示す。
【0087】
図2のパネルAは、段階希釈物に対する反復実験におけるアッセイの試験を示す。結果は、アッセイが、ロバストであり、再現性があり、1反応物当たり約25pgのDNAまで直線的に定量化可能であることを実証している。二倍体のヒト細胞は約6.75pgのDNAを含有することを考えると、このことは、1反応物当たり約4つのゲノムに相当する。反応物中により低い量の腫瘍DNAがある場合(1反応物当たり5pgおよび10pg)、本発明者らは、反応が、陽性となる場合も陰性となる場合もあることを見出している(グラフのはるか右側にある点として示す)。このことは、陰性反応においては、再編成のコピーは存在せず、一方、陽性反応においては、1または2つのコピーが存在したことを暗示している。したがって、主要な知見は、ネステッドリアルタイムPCRアッセイは、数ミリリットルの血液中に存在する再編成の単一のコピーを検出することが可能であろうということである。
【0088】
次に、本発明者らは、患者から化学療法の間の時点において収集した一連の血清試料をスクリーニングした(
図2Bおよび2C)。残念なことに、療法を開始する前の試料は入手できなかった。しかし、第一選択の化学療法の中間点から、第二選択の化学療法の終点まで、残存疾患が、アッセイの検出限界で、血清中で検出可能であった。残念なことに、患者は、化学療法の完了から1または2ヵ月以内に臨床的進行を示し、このことは、血清中の検出可能な疾患のレベルの増加と関連があった。救援化学療法を予定した時期までに、疾患のレベルはさらに増加した。
【0089】
これらの一連の解析は、アッセイは、疾患を、臨床的に最低限の量で存在する場合でさえ検出することが可能であり、疾患の負荷量の定量化は、疾患の進行と相関することを実証している。
【0090】
今後の研究
目的
本発明者らは、血漿DNA中で定量化した腫瘍に特異的な再編成の予後診断における意義を、
1.非転移性の乳癌を有する、アジュバント療法の状況において治療を受けた患者100人、
2.段階IIIまたは進行段階IIの結腸直腸癌を有する患者100人
について測定することを意図する
【0091】
非転移性の乳癌
乳癌は、英国では、女性における癌による死亡の16%の原因である。診断時に遠位の転移が判明していない患者については、治療は一般に、治癒を意図して送達するが、再発率は、5年以内に、局所性の結節の関与、原発性腫瘍のサイズおよびエストロゲン受容体の状態に応じて、20〜40%の間に及ぶ。この臨床状況におけるアジュバント療法の最良の使用に関して、多くの疑問が未解決のままであり、疾患の負荷量を定量化するための正確な方法は、治療レジメンの個人化を確立し、治療の強度および持続期間を最適化するために非常に有益であろう。
【0092】
段階IIIおよび高リスクの段階IIの結腸直腸癌
結腸直腸癌は、英国では、癌による全死亡の10%の原因である。全患者のほとんど半分が、高リスクの段階IIまたは段階IIIの疾患を提示し、この群は、局所の腸および結節の関与の程度に応じて、33%〜75%の5年全生存率を示す。この理由により、患者を、手術後の持続性の疾患に基づいてリスクカテゴリーに正確に階層化するための方法は、臨床管理に特に有用であろう。
【0093】
調査計画
患者の動員および試料の収集
手術およびアジュバント療法により治療しようとする早期乳癌を有する患者を、治験に登録する。そのような女性は全て、手術前腫瘍外来で検討され、ここで、アプローチされ、同意し、研究に登録される。手術時に、乳癌試料は、研究看護師により採取されて病理学研究室に送られ、そこで、診断用のために必要でない腫瘍の一部は、続くDNAの抽出のために新鮮凍結する。一連の20mLの血漿試料を、患者の癌を治療看護する経過の間の重要な節目、すなわち、手術前、手術後(アジュバント療法計画外来)、化学療法の終点(ER陰性患者の場合)またはホルモン療法の間(ER陽性)、経過観察の間の6ヵ月毎、臨床的再発時において抽出し、凍結する。試料を、手術後および化学療法の終わりに、収集して、循環している腫瘍細胞を免疫学的方法により評価する。正常なDNAは、全血白血球から抽出する。
【0094】
治癒を意図して原発性腫瘍の切除を受ける、段階IIIおよび高リスクの段階IIの結腸直腸癌を有する患者を、治験に登録する。そのような患者は全て、段階分け/診断の段階、手術、アジュバント療法および治療後の経過観察の全部について、外科医、癌専門医および専門看護師を包含する特定の多くの専門分野にわたるチームにより管理される。患者は、手術前の検討時に、同意し、研究に登録される。手術時に、結腸直腸癌試料は、研究看護師により採取されて病理学研究室に送られ、そこで、診断用のために必要でない腫瘍の一部は、続くDNAの抽出のために新鮮凍結する。一連の20mLの血漿試料を、患者の癌を治療看護する経過の間の重要な節目、すなわち、手術前、手術後(アジュバント療法計画外来)、化学療法の終点、経過観察の間の6ヵ月毎、臨床的再発時において抽出し、凍結する。正常なDNAは、全血白血球から抽出する。
【0095】
ペアエンドシーケンシング
手短に述べると、上記した標準的なプロトコールに従って、37bpの両末端の読取りを使用してショットガンシーケンシングを行うために、400〜500bpの断片のライブラリーを生成する。これらの断片を使用して、6千万個の断片から両末端からの読取りを生成するために、大規模並列シーケンシング法を行う。これは、本発明者らの経験では、試料中に存在する体細胞性のゲノム再編成の50%超を同定するのに十分である。本発明者らは、確立されたアルゴリズムを使用して、切断点の確認のためのPCRおよびキャピラリーシーケンシング法のために再編成を優先順位付けする。このステップは、再編成が後天的な体細胞性であることを証明するために、患者から得られた正常なDNA試料にわたるPCRを包含する。
【0096】
血漿DNA中の腫瘍に特異的な再編成の定量化
最初に、腫瘍当たり4つの後天的な体細胞性再編成を採取して、アッセイの設計を進める。これらは、
--大半の腫瘍細胞中に存在すること:このことは、(正常な細胞による汚染を許す)コピー数の内在性の変化の境界を定める再編成を取ることによって最良に推定される;
--切断点に存在する特有のDNA:PCRアンプリコン中に反復が存在しないと、アッセイの特異性が改善する;
--可能であれば、癌遺伝子を関与させること:例えば、CDKN2Aの欠失またはERBB2の増幅における最初の再編成は、最終的には再発する細胞を含めて、全ての細胞中に存在する可能性が高い;
に基づいて選ぶ。
【0097】
アッセイは、最初は、(循環している腫瘍DNA断片の小さなサイズに起因する)200bp以下の産物を増幅するように設計したプライマーを用いる第1回の20サイクルのPCRに基づき、これに、Taqmanプローブを用いる第2回のネステッドリアルタイムPCRが続く。腫瘍DNAおよび対照のアンプリコンの希釈系列を使用して、腫瘍細胞に由来する血漿DNAの相対的な割合および総量を推定する(例として、図を参照されたい)。本発明者らは、このアプローチが、正確な、再現性のある、直線的な定量化をもたらすことを見出している。
【0098】
DNAを、凍結血漿試料から、確立されたプロトコールを使用して、いくつかに分けて抽出し、上記の定量用標準物質を用いて、いくつかに分けて解析する。ゲノム由来の正常な対照領域の増幅を使用して、血漿中に存在する裸のDNAの総量を推定する。本発明者らは、腫瘍DNAの定量化を裸の血漿DNAの総量の割合として表現するが、循環している腫瘍DNAを絶対的な濃度として定量化することが可能な場合があると考えられる。
【0099】
臨床転帰と出力計算との相関性
統計学的解析は、3つ疑問、すなわち、画期的な時点(提示、手術後、療法の完了時)における個々の測定値の予後診断における意義;薬物誘発性の細胞死滅を、腫瘍に特異的な血漿DNAの一過性の増加およびそれに続く低下を評価することによって定量化する能力;ならびに差し迫った再発を、臨床的合併症が発症する前に上昇するレベルを同定することを通して予測することの実現可能性に重点を置く。出力計算は、ctDNAの推定に関して階層化した25人の患者の2つの群を比較した場合、(より不良の予後の群における30ヵ月の無病生存期間の中央値を有する60ヵ月の研究に基づくと)2.2のハザード比は、80%の出力で検出され得るであろうことを示している。データセットを用いれば、追加の予後診断の解析、例として、全体的なゲノムの不安定性のマーカーと転帰との相関性、およびゲノム再編成の特定のパターンと生存期間との関連性が可能となるであろう。