【文献】
Richard Williams,Amplification of complex gene libraries by emulsion PCR,NATURE METHODS,2006年,Vol.3, No.7,Pages 545-550
【文献】
C. Holtze,Biocompatible surfactants for water-in-fluorocarbon emulsions,Lab on a Chip,2008年,Vol.8,,Pages 1632-1639
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アッセイデータを収集する段階が、検出領域を通って直列的に移動するカプセルからアッセイデータを収集する段階を含む、請求項1から7の何れか1項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、被膜によってカプセル化された小滴を作製および使用するための、方法、装置、組成物、およびキットを含むシステムのためのエマルジョン化学を提供する。被膜によってカプセル化された小滴、またはカプセルは、広範な範囲の温度および機械的処理条件にわたって、合着、凝集、および破損に対して抵抗性である可能性がある。カプセルは、核酸、タンパク質、細胞などのサンプルまたは分析対象物のより安定なカプセル化を提供するのに使用することができ、アッセイ、薬物および/またはワクチンの送達、生体分子ライブラリーの収容、臨床造影の応用などの広範な範囲の生物医学的応用で使用することができる。
【0016】
安定化されたエマルジョンの生成方法が提供される。この方法では、有効濃度の1種または複数の被膜形成性タンパク質を含む水相を準備することができる。また、非水性連続相中に配置された水相の小滴を含むエマルジョンを形成することができる。代わりに、水性連続相中に配置された非水相の小滴を含むエマルジョンを形成することもできる。したがって、エマルジョンは、とりわけ、水中油型エマルジョン、または油中水型エマルジョンでよい。エマルジョンを加熱することにより、各小滴と連続相の間に界面被膜を創出して、小滴をカプセル変換することができる。
【0017】
準備された水相は、被膜形成性タンパク質および少なくとも1種の界面活性剤を含むことができる。タンパク質は、とりわけ、少なくとも約0.01重量%、0.03重量%、または0.1重量%の量で存在することができる。一部の事例で、被膜は、0.01%の濃度で形成することができるが、被膜は、被膜形成性タンパク質の少なくとも約0.03%などのより高い濃度で形成されないと、増幅に適合性でない可能性がある。増幅に適合性のある被膜(PCR適合性被膜とも呼ぶことできる)は、PCRなどによる標的核酸の増幅を可能にする。換言すれば、該被膜は、たとえどのようなことがあっても増幅反応が効率的に起こることを妨げるほど十分には増幅を抑制しない。とにかく、被膜形成性タンパク質は、とりわけ、約0.01重量%〜10重量%、0.01重量%〜3重量%、0.01重量%〜1重量%、0.03重量%〜10重量%、0.03重量%〜3重量%、0.03重量%〜1重量%、0.05重量%〜2重量%、または0.1重量%〜1重量%の濃度で存在することができる。タンパク質は、例えば、とりわけ、アルブミン(例えば、ウシ血清アルブミン(BSA))、ゼラチン、グロブリン(例えば、β−ラクトグロブリン)、およびカゼインからなる群から例えば選択することができる。被膜は、被膜形成性タンパク質から少なくとも実質的に構成されるタンパク質性(タンパク質を含む)被膜でよい。代わりに、または加えて、水相からタンパク質を削除すると(他のすべては同じである)、被膜を実質的に形成することができない。換言すれば、タンパク質は、被膜形成に必要である可能性がある。界面活性剤としては、例えば、ポリプロピレンオキシドとポリエチレンオキシドのブロックコポリマーを挙げることができる。
【0018】
非水相を準備することができ、エマルジョンを、連続相(または分散相)として非水相を用いて形成することができる。非水相は、少なくとも1種のフッ素化油およびフッ素化界面活性剤(例えば、とりわけ、フッ素化ポリエーテルおよび/またはフッ素化アルコール)を含む有機または油相でよい。
【0019】
エマルジョンの調製方法が提供される。この方法では、フッ素化油およびフッ素化界面活性剤を含む連続相中で水性小滴を生成させることができる。この小滴を、それぞれがタンパク質性界面被膜によってカプセル化された水相を含むカプセルに変換することができる。連続相に間隙液を添加することができ、間隙液は、連続相と混和性であり、連続相と異なる組成を有する。
【0020】
アッセイの実施方法が提供される。この方法では、サンプルおよび有効濃度の1種または複数の被膜形成性タンパク質を含む水相を準備することができる。また、非水性連続相中に配置された水相の小滴を含むエマルジョンを形成することができる。エマルジョンを加熱することにより(例えば、約50℃、55℃または90℃より高い温度まで)、各小滴と連続相の間に界面被膜を創出して、小滴をカプセルに変換することができる。一部の実施形態では、カプセル中の1種または複数の標的核酸の増幅を促進するために、エマルジョンを熱サイクリングにかけることができる。カプセルからサンプルに関係するアッセイデータを収集することができる。アッセイデータを処理して、サンプル中の分析対象物(例えば、1種または複数の標的核酸)の濃度など、サンプルの側面を測定することができる。
【0021】
アッセイの別の実施方法が提供される。有効濃度の1種または複数の被膜形成性タンパク質を含む水相を準備することができる。少なくとも1種のフッ素化油およびフッ素化界面活性剤を含む油相を準備することができる。油相中に配置された水相の小滴を含むエマルジョン、またはその逆のエマルジョンを形成することができる。各小滴と油相(または水相)の間に界面被膜を創出することにより、小滴をカプセルに変換することができる。カプセル中の標的核酸を増幅するために、カプセルを熱サイクリングにかけることができる。カプセルから増幅データを収集することができる。
【0022】
安定化されたエマルジョンを生成させるための組成物が提供される。この組成物は、フッ素化油および少なくとも1種のフッ素化界面活性剤を含む連続相を含むことができる。この組成物は、連続相中に配置され、有効濃度の被膜形成性タンパク質を含む複数の水性小滴をさらに含むことができる。エマルジョンを閾値よりも高い温度まで加熱することにより、各小滴と連続相の間に界面被膜を創出して、小滴をカプセルに変換することができる。
【0023】
安定化されたエマルジョンが提供される。このエマルジョンは、フッ素化油および少なくとも1種のフッ素化界面活性剤を含む連続相を含むことができる。このエマルジョンは、連続相中に配置された複数のカプセルをさらに含むことができ、それぞれのカプセルは、水相をカプセル化したタンパク質性界面被膜を含む。
【0024】
アッセイキットが提供される。このアッセイキットは、有効濃度の1種または複数の被膜形成性タンパク質を含む水相、ならびにフッ素化油および少なくとも1種のフッ素化界面活性剤を含む非水性連続相を含むことができる。アッセイキットはさらに、非水性連続相中に配置された水相の小滴を含むエマルジョンを形成する能力のある小滴生成装置を含むことができる。エマルジョンを閾値よりも高い温度まで加熱することにより、各小滴と連続相の間に界面被膜を創出して、小滴をカプセルに変換することができる。
【0025】
本開示は、サンプルの分析に適した水相を含む水相のカプセルを調製する方法、およびそれによって調製されるカプセルを提供する。これらのカプセルは、小体積でのPCR分析に特に有用である可能性がある。開示される方法は、臨床または環境サンプルなどのサンプルを、注目の分析対象物を含む多くの小さなカプセル中に分割することを含むことができる。例えば、各カプセルは、約1コピー未満の標的核酸(DNAまたはRNA)を含むことができる。これらのカプセル中の核酸またはその他の分析対象物を、任意の適切な技術を使用して、反応、検出、および/または分析することができる。開示されたカプセルの調製、反応、検出、および/または分析は、直列的におよび/または並行的に、あるいは単独でまたは他の処理と組み合わせて実施することができる。本開示は、カプセルをベースにした増殖アッセイを実施するのに適したカプセルを重要視するが、それに限定されるものではない。
【0026】
エマルジョン化学およびエマルジョン化学を利用する系のさらなる態様は、(I)定義、(II)系の全体像、(III)水相、(IV)非水相、(V)エマルジョンの形成、(VI)小滴の変換、(VII)カプセル、(VIII)間隙液、(IX)カプセルおよびデータ処理、および(X)実施例を含む以下の節中で説明される。
【0027】
I.定義
本開示中で使用される技術用語は、当業者によって一般的に認識されている意味を有する。しかし、次の用語は、以下で説明するような付加的意味を有することができる。
【0028】
アッセイ − 1つまたは複数の反応を組み込み、かつ注目のサンプルを特徴付けるに使用される処置。このような特徴付けは、処置および/または反応から得られる1種または複数のシグナル、値、データ、および/または結果によって得ることができる。アッセイは、組成物である少なくとも1種の「アッセイ混合物」を使用して実施することができ、もしあれば反応が起こることを可能にするための該組成物の処理の前、間、および/または後に、該組成物から1種または複数の試験シグナルを検出する。試験またはアッセイにより、とりわけ、サンプル中の1種または複数の分析対象物の存在(例えば、濃度)または活性を測定することができる。
【0029】
反応 − 化学反応、結合性相互作用、表現型の変化、またはこれらの組合せ。典型的な反応は、酵素で触媒される基質の生成物への転換、および/または基質もしくは生成物の結合パートナーへの結合である。
【0030】
試薬 − サンプルに関する特定の試験を実施するためにサンプルと組み合わされる化合物、化合物の組、および/または組成物。試薬は、試験において特定の標的または分析対象物の検出に関する特異性を付与する任意の試薬組成物である、標的に特異的な試薬でよい。試薬は、試験のための化学反応物および/または結合パートナーを任意選択で含むことができる。試薬としては、例えば、とりわけ、少なくとも1種の核酸、タンパク質(例えば、酵素)、細胞、ウイルス、細胞小器官、巨大分子集成体、潜在的薬物、脂質、炭水化物、無機物、またはこれらの組合せを挙げることができる。典型的な実施形態において、試薬は、標的を増殖させるための少なくとも1種のプライマーまたは1対のプライマー、および/または増殖シグナルを提供するための少なくとも1種のプローブなどの増殖試薬でよい。
【0031】
核酸 − ヌクレオチドモノマーからなる鎖を含む化合物。核酸は、とりわけ、1本鎖または2本鎖(すなわち、もう1つの核酸と塩基対を形成した)でよい。核酸からなる鎖は、とりわけ、少なくとも約10または100個などの任意の適切な数のモノマーから構成することができる。一般に、核酸の鎖長は、その供給源に対応し、典型的には合成核酸(例えば、プライマーおよびプローブなどの核酸試薬)はより短く、典型的には生物学的に生成された核酸(例えば、核酸分析対象物)はより長い。
【0032】
核酸は、天然または人工の構造、あるいはその組合せを有することができる。天然の構造を有する核酸、すなわち、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)は、交互に現れる五炭糖基とリン酸基からなる骨格を有する。各五炭糖基は、核酸塩基(例えば、プリン(アデニン(A)またはグアニン(G)など)またはピリミジン(シトシン(C)、チミン(T)、またはウラシル(U)など))に連結される。人工的構造を有する核酸は、天然核酸の類似体であり、例えば、天然骨格の五炭糖および/またはリン酸基を変えることによって創出することができる。典型的な人工的核酸としては、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロックド(locked)核酸(LNA)、トレオース核酸(TNA)などが挙げられる。
【0033】
核酸の配列は、核酸塩基が骨格に沿って配置される順序によって定義される。この配列は、一般に、核酸が水素結合によってパートナー鎖に特異的に結合する(または分子内2本鎖を形成する)能力を決定する。とりわけ、アデニンはチミン(またはウラシル)と対になり、グアニンはシトシンと対になる。もう1つの核酸に、他の核酸とアデニン−チミンおよびグアニン−シトシンの塩基対の連続ストリングを形成することによって逆平行方式で結合することのできる核酸は、「相補的」と呼ばれる。
【0034】
複製 − 核酸またはそのセグメントの相補的コピーを形成する過程。複製される核酸および/またはセグメントは、複製のための鋳型(および/または標的)である。
【0035】
増幅 − コピー数が増加する過程。増幅は、複製が時間と共に反復的に起こり、鋳型の多数のコピーを形成する過程である。増幅は、増幅が進行するにつれてコピー数の指数関数的または線形的増加をもたらすことができる。典型的な増幅戦略としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ループを介する等温増幅(LAMP)、ローリングサークル複製(RCA)、カスケード−RCA、核酸配列をベースにした増幅(NASBA)などが挙げられる。また、増幅は、線形または環状鋳型を利用することができる。増幅は、熱サイクリングまたは等温的などの任意の適切な温度条件下で実施することができる。さらに、増幅は、混合物中のもしあれば標的核酸を増幅する能力のある組成物である増幅混合物中で実施し、その発生について試験することができる。増幅混合物は、とりわけ、少なくとも1種のプライマー、少なくとも1種のプローブ、少なくとも1種の複製酵素(例えば、少なくとも1種のDNAおよび/またはRNAポリメラーゼなどの少なくとも1種のポリメラーゼ)、デオキシヌクレオチド(および/またはヌクレオチド)三リン酸(dNTPおよび/またはNTP)、マグネシウム塩、またはこれらの任意の組合せを含むことができる。増幅混合物は、少なくとも1種のマグネシウム依存性酵素を含むことができる。
【0036】
PCR − 加熱と冷却との反復サイクル(すなわち、熱サイクリング)に依拠して複製の連続的繰返しを達成する増幅。PCRは、より高い変性温度およびより低いアニーリング/伸長温度などの2つ以上の温度設定点の間の、あるいはとりわけ、より高い変性温度、より低いアニーリング温度、および中間の伸長温度などの3つ以上の温度設定点の間の熱サイクリングによって実施することができる。PCRは、Taq DNAポリメラーゼなどの耐熱性ポリメラーゼを用いて実施することができる。PCRは、一般に、連続サイクル中に、生成物であるアンプリコンの量の指数関数的増加をもたらす。
【0037】
RT−PCR(逆転写−PCR) − RNAの逆転写によって生成された相補的DNA鋳型を利用するPCR。RT−PCRは、(1)逆転写酵素などを用いてRNAの相補的DNAコピーを形成すること、および(2)鋳型として相補的DNAを使用するPCR増幅によってRNAサンプルの分析を可能にする。
【0038】
アンプリコン − 増幅反応の生成物。アンプリコンは、1本鎖または2本鎖、またはそれらの組合せで存在することができる。アンプリコンは、標的核酸の任意の適切なセグメントまたは全長に相当する。
【0039】
プライマー − 核酸鋳型の複製の準備をする能力のある、および/または準備するのに使用される核酸。したがって、プライマーは、より長い鋳型に対して相補的であるより短い核酸である。複製中、プライマーは、鋳型配列に基づいて伸長して、鋳型の相補的コピーであるより長い核酸を産生する。プライマーは、DNA、RNA、またはそれらの類似体(すなわち、人工核酸)でよく、少なくとも約10、15、または20ヌクレオチドなどの任意の適切な長さを有することができる。典型的なプライマーは、化学的に合成される。プライマーは、標的核酸の増幅のための1対のプライマーとして供給され得る。プライマー対は、生じるアンプリコンの対向末端(したがって、大きさ)を一緒になって規定する、センスプライマーおよびアンチセンスプライマーでよい。一部の実施形態において、少なくとも1種のプライマーは、分子反転プローブ(MIP)として説明することができる。
【0040】
プローブ − 標識に連結される核酸。プローブは、標的核酸および/または複製産物のための配列特異的結合パートナーでよい。典型的なプローブとしては、互いに近接した場合に一緒になって蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を示す色素対に連結される1種または複数の核酸が挙げられる。色素対は、第1および第2放射体、あるいは放射体(レポーター)および消光体をそれぞれ提供する。色素対からの蛍光放射は、プライマーの伸長中のプローブ(例えば、Taqmanプローブ)の開裂などにより互いに引き離される場合に、あるいはプローブ(例えば、分子ビーコンプローブ)がアンプリコンに結合する場合に、変化する。「分子反転プローブ」は、標識に連結されていてもよいし、されていなくてもよい。
【0041】
標識 − 分子、分子複合体、化合物、生物学的粒子、または小滴などの任意の存在物に連結、または組み込まれた、同定および/または識別用マーカーまたは識別子。標識は、標識化された存在物を作り出すために特定の存在物を標識することして説明することができる。標識は、例えば、存在物を光学的に検出可能にする、または少なくともより光学的に検出可能にする色素でよい。標識化のために使用される典型的な色素は、蛍光色素(フルオロフォア)および蛍光消光体である。
【0042】
結合パートナー − 互いに結合するメンバー対の1つのメンバー。各メンバーは、とりわけ、原子、分子、分子複合体、化合物、および/または生物学的粒子(細胞、ウイルス、細胞小器官など)でよい。結合パートナーは、互いに特異的に結合することができる。特異的結合は、約10
−4、10
−6、10
−8、または10
−10M未満の解離定数によって特徴付けることができる。典型的な特異的結合パートナーとしては、ビオチンとアビジン/ストレプトアビジン、センス核酸と相補的アンチセンス核酸、プライマーと標的、抗体と対応する抗原、受容体とそのリガンド、核酸と核酸中に存在する配列モチーフを認識するタンパク質などが挙げられる。
【0043】
フッ素化 − 典型的には水素の代わりにフッ素を含めること。本明細書中で開示されるフッ素化化合物は、いずれもポリフッ素化されていてもよく、このような化合物は、それぞれ、とりわけ、5または10個を超えるような多くのフッ素を含むことを意味する。本明細書中で開示されフッ素化化合物は、いずれも、さらにまたは代わりに、過フッ化されていてもよく、水素のほとんどまたはすべてがフッ素で取り替えられていることを意味する。
【0044】
II.系の全体像
本開示の系は、エマルジョンの小滴をカプセル化し、かつ安定化するために、被膜の形成を可能にするエマルジョン化学を活用する。小滴を、とりわけ熱および機械的応力に対して安定させて、破損および合着を低減することができる。
【0045】
図1は、小滴を取り巻く被膜の典型的な形成を説明する概略図である。非水性連続相(26)中に配置された水性分散相(24)の小滴(22)を含むエマルジョン(20)が得られる。小滴は、任意の適切な充填密度をもたらすために、任意の適切な平均距離でお互いに間隙をあけることができる。例えば、高い充填密度を有する充填配列などを用いて、小滴を一緒に緊密に充填することができる。高い充填密度は、充填配列のひとまとめにした小滴体積(すなわち、分散相体積)が、充填配列の間隙体積(すなわち、充填配列内の小滴間に配置されている連続相(またはその部分)の体積)と少なくともほぼ同じ大きさである、小滴の充填配列である。換言すれば、高い充填密度において、分散相の体積は、分散相体積と間隙体積との総和の少なくとも約50%である。充填配列は、重力および/または求心力の印加に応答して連続相中で小滴の浮揚または沈降を引き起こす、分散相と連続相の間の密度差によってもたらすことができる。小滴が単分散性であるなら、小滴の実質上規則的な配列(格子配列)によって、高い充填密度を提供することができる。
【0046】
水相は、被膜形成性混合物でよく、少なくとも1種の被膜形成性タンパク質などの1種または複数の被膜形成性材料(30)を含むことができる。例えば、少なくとも1種の被膜形成性材料を、界面、すなわち、各小滴(22)と連続相(26)の間に創出された小滴境界の界面(32)または近傍に局在させることができる。
【0047】
小滴をカプセルに変換することができる。例えば、小滴、エマルジョン、および/または連続相を、(34)に示すように加熱して、カプセル(36)を形成することができる。各カプセルは、各小滴(22)の水相をカプセル化するために、界面(32)またはその近傍に形成された界面被膜(38)を含む。カプセルは、前駆体である小滴に比較して、種々の処理に対してより安定である可能性がある。例えば、カプセルは、小滴の完全性を実質的に失うことなしに、より長い貯蔵(約4℃〜40℃など)を可能にすることができる。また、カプセルは、反応および/または増幅を促進するために加熱および/または熱サイクリングにかけた場合に、合着および破損に対してより抵抗性である可能性がある。さらに、カプセルは、電界または機械的応力(流体工学的操作など)によってもたらされる破損および/または合着に対してより抵抗性である可能性がある。合着に対して抵抗性のあるカプセル(および/またはエマルジョン)は、約5%、2%、または1%未満のカプセル合着を示し、所定時間、所定温度、所定のカプセル充填密度で、より大きなカプセル/小滴を形成する。一部の事例において、カプセルは、70℃、80℃または90℃で、少なくとも1、2、5または10分間、高い充填密度のカプセルでインキュベートした場合に、合着に対して抵抗性である可能性がある。代わりに、または加えて、カプセルは、4℃、20℃または37℃で、少なくとも1週間または1ヶ月間、高い充填密度のカプセルで貯蔵した場合に、合着に対して抵抗性である可能性がある。さらに、カプセルは、電界(例えば、静電荷に由来する)にさらされた場合に合着に対してより抵抗性であり、かつ比較的高流速で、および/または流れの方向または圧力の変化を伴って、流体工学的に操作された場合に、合着および破損に対してより抵抗性である可能性がある。さらに、被膜は、分析対象物および/または試薬の小滴内から界面への吸着を低減する生体適合性界面(例えば、油−水の界面の代わりに)を形成することができる。
【0048】
図2は、被膜によってカプセル化された小滴を形成し、カプセル化された小滴を使用してアッセイを実施する典型的な方法(50)を説明する。ここに示す方法の段階は、本開示中または参照により本明細書に組み込まれる前に相互参照の中で列挙した文献、とりわけ、2010年3月2日に出願の米国特許仮出願第61/309845号、2010年3月25日に出願の米国特許仮出願第61/317635号、2010年9月8日に出願の米国特許仮出願第61/380981号、2010年11月1日に出願の米国特許仮出願第61/409106号、2010年11月2日に出願の米国特許仮出願第61/409473号、2010年11月5日に出願の米国特許仮出願第61/410769号、2010年11月25日に出願の米国特許仮出願第61/417241号、2010年7月8日に公開の米国特許出願公開第2010/0173394号中のどこかに記載の方法の段階または特徴と組み合わせることができる。
【0049】
エマルジョンのための相は、(52)に示すように準備することができる。相は、一般に、互いに非混和性である水相および非水相を含む。相は、エマルジョンを加熱した際に被膜形成を促進するように処方される。例えば、水相は、1種または複数の被膜形成性成分を含むことができる。被膜形成性成分は、被膜形成に必須である被膜形成性混合物中の任意の成分であり、該混合物から該被膜形成性成分のみを削除すると、他のすべては同一であっても被膜は形成されない。典型的な被膜形成性成分は、被膜形成性タンパク質である。被膜形成性タンパク質(またはタンパク質群)は、有効濃度で存在することができ、有効濃度とは、被膜形成を促進するために小滴を適切に加熱、または別の方法で処理した場合に検出可能な被膜を形成するのに十分な濃度である。水相は、また、サンプルを含むことができ、サンプルが関係する反応を遂行するように構成することができる。典型的な実施形態において、水相は、少なくとも1種の標的核酸を増幅するための反応混合物を提供する。
【0050】
サンプルは、核酸を含むことができる。核酸は、例えば、とりわけDNA(例えば、ゲノムDNA)、RNA(例えば、メッセンジャーRNAおよび/またはゲノムRNA)、および/またはcanal(RNAの逆転写によって生成するDNA)でよい。
【0051】
エマルジョンは、(54)に示すように形成することができる。エマルジョンは、非水相によって準備される連続相中に配置された水相の小滴を含むことができる。非水相は、油を含むことができ、かつ/または主に油によって形成することができ、結果的に、該エマルジョンは油中水型エマルジョンである。一部の実施形態では、各小滴を、実質的には1種または複数の被膜形成性成分から構成される界面層によって非水相から隔離することができる。
【0052】
エマルジョンを、(56)に示すように加熱して、小滴が被膜によってカプセル化されたカプセルを創出することができる。加熱は、被膜を形成する、例えば、1種または複数の被膜形成性成分から構成される界面層を界面被膜に転換するのに十分な温度および時間で実施することができる。エマルジョンは、加熱(および/または反応、後記参照)する間、容器(例えば、バイアル瓶、チャンバー、マルチウェルプレートのウェルなど)中に保持することができ、あるいはチャネル中に、および/またはチャネルに沿って配置することができる。
【0053】
一部の実施形態では、エマルジョンを、貫通可能な密閉部材(例えば、フォイル、フィルムなど)で密閉された容器(例えば、マルチウェルプレートのウェル)中に保持しながら加熱することができる。密閉部材は、順応性のあるものでよい。密閉部材を、ピペットチップ、ニードルなどの流体移送デバイスのチップで突き刺して、容器からのエマルジョンの取出し、および/または容器への流体(および/または試薬)の添加を可能にすることができる。容器からのエマルジョンの少なくとも一部の取出しは、とりわけ、被膜形成の後に、および/またはカプセルの反応(例えば、カプセル中での標的核酸の増幅)の後に実施することができる。
【0054】
カプセルは、直ちに使用することができ、あるいは使用前に任意の適切な期間(例えば、一部の事例では、とりわけ少なくとも1日間、1週間または1ヶ月間)貯蔵することができる。生じるカプセルは、一般に、小滴よりも安定である。例えば、カプセルは、剪断に対してより安定である可能性があり、かつ劣化なしに長期間貯蔵することができる。カプセルの安定性は、被膜によってカプセル化されていない小滴を実質的に損傷することのできる大量処理および操作を可能にする。
【0055】
一部の実施形態では、小滴を被膜によってカプセル化することができない。したがって、本節に、本開示の別の場所に、または参照により本明細書に組み込まれる相互参照で列挙した文献に記載の段階のいずれかは、カプセルに代わって、またはカプセルに加えて小滴を用いて実施することができる。
【0056】
エマルジョンの相比率は、カプセルを創出するための加熱(56)の前に、(58)に示すように変更することができる。相比率を変更することは、任意選択であり、エマルジョン中の水相の体積分率を実質的に増加および/または減少させる任意の処理を含む。例えば、水相の体積分率を、エマルジョンから連続相の一部を(水相と比較して)選択的に除去することによって増加させることができる。一部の事例では、過剰な連続相を除去して、エマルジョン中で、とりわけ少なくとも約50%などの、水相の高い体積分率をもたらすことができる。小滴または連続相の選択的な除去を可能にするには、エマルジョンを、異なる密度を有する水相および非水相を用いて製剤することができ、結果として、小滴は、エマルジョン中で沈降または浮遊して、それぞれ沈降またはクリーム化を促進する傾向がある。典型的な実施形態において、小滴は、連続相中で浮揚性(沈降性)であり、エマルジョンの頂部(または底部)から小滴を選択的に除去することによって、および/またはエマルジョンの底部(または頂部)から連続相を選択的に除去することによってエマルジョンを濃縮することを可能にする。エマルジョンの相比率を変更するさらなる態様は、後で節Xの実施例1中で説明される。
【0057】
一部の実施形態では、連続相の一部を除去することによって、カプセルに変換する前および/または後の小滴の安定性を改善することができる。油相中の少なくとも1種のイオン性界面活性剤の濃度がCMC(臨界ミセル濃度)以上である場合のような一部の事例では、ミセル中に過剰なイオン性界面活性剤が存在することができ、これらのミセルは、小滴またはカプセルから水を引き抜く熱力学的駆動力により小滴またはカプセルと競合し、それらの収縮または引裂き(被膜で支えられたカプセルの場合)さえ引き起こす。したがって、連続相中の過剰なイオン性ミセルの量を低減する任意の手法は、小滴またはカプセルの安定性を改善することができる。採用できる段階の一部の例には、(1)小滴のカプセルへの変換に先立つ過剰な連続相の少なくとも一部の除去(換言すれば、一部のミセルの除去)、および/または(2)(a)エマルジョンの形成時点で連続相中の(無傷の小滴を生成させかつ維持するために十分な量の界面活性剤が存在するとの条件で)、および/または(b)任意のカプセル間隙または輸送流体のための連続相中の(本開示中のほかの場所でより詳細に説明される)低減された界面活性剤濃度の使用が含まれる。
【0058】
小滴/カプセルから連続相への水の逸失を低減するのに有効である可能性のある別の事前変換段階は、過剰な連続相を除去してミセルの数を減少させることよりも、あるいはそれに加え、連続相を水で「事前飽和」または「事前水和」させることである。エマルジョンを形成する前に、連続相を水に暴露して、事前水和を達成することができる。例えば、連続相を、ある体積の水、またはその後に事前水和された連続相を用いて小滴を形成する場合に小滴中に配置される水性溶液により密接に類似する(イオン性、浸透性の平衡)水性の事前水和溶液で表面被覆するか、あるいはそうでなければそれらと接触させて配置することができる。事前水和溶液は、例えば、一般には、すべての核酸またはタンパク質/酵素を除く小滴内の反応混合物のための緩衝化された塩基でよい。また、一部の事例では、被膜形成性材料および任意の水相の界面活性剤を事前水和溶液から除外ことができる。
【0059】
任意選択で、(60)に示すように、エマルジョンを表面被覆することができる。小滴が、連続相に比較して浮揚性である一部の実施形態において、表面被覆は、空気および/またはその他の界面(例えば、カプセルを形成するための加熱中の空気−エマルジョンの界面)への暴露中の破損またはその他の劣化から小滴を保護するのに有用である可能性がある。小滴上の連続相は表面被覆を不要にすることができるが、表面被覆は、また、小滴が界面に比較して沈降する場合に有用である可能性がある。とにかく、カプセルを創出するためにエマルジョンを加熱する(56)前に(または後に)、エマルジョン上に表面被覆を配置して、エマルジョンの頂部表面を覆うことができる。表面被覆は、エマルジョンと接触し、一般にはエマルジョン上に留まる層を形成する。換言すれば、表面被覆は、空気に暴露されたエマルジョンの頂部表面を完全に覆い、エマルジョン−空気の界面をエマルジョン−表面被覆の界面に置き換え、それによって、エマルジョンの空気への暴露を低減することができる。表面被覆は、それぞれ連続相および水相からの油および水の蒸発などの、エマルジョンのどちらかの相または双方の相からの成分の蒸発を低減することができる。とにかく、表面被覆は、一部の製剤でエマルジョンを加熱するにつれてカプセル形成の前に起こることのある小滴の損傷(例えば、破損)、および/またはPCR増幅のための熱サイクリング中などの比較的より高い温度でエマルジョン−空気の界面近傍で起こることのあるカプセルの損傷(例えば、乾燥/収縮)を低減することができる。
【0060】
表面被覆は、適用時に流体または固体でよく、適用時に流体であるなら、流体のままであるか、あるいは固化してもよい。表面被覆(またはその連続相)は、下にあるエマルジョンの連続相よりも低い密度を有することができ、結果として、表面被覆は、一次エマルジョン上に浮遊する。流動性の表面被覆は、任意の適切な組成を有することができる。例えば、流動性の表面被覆は、表面被覆用エマルジョン(小滴および/またはカプセルを含む)または表面被覆相でよい。流動性表面被覆のさらなる態様は、節Xの実施例2で説明される。
【0061】
(62)に示すように、エマルジョンを反応させることができる。一般に、エマルジョンの反応は、エマルジョンのカプセル中で個々の反応を促進するようにエマルジョンを処理することを含む。例えば、エマルジョンを加熱および/または周期的に温度を変えて、カプセル中の標的核酸の増幅を促進することができる。したがって、加熱は、熱サイクリング過程の一部でよく、あるいは熱サイクリング過程に先立つプレインキュベーション(例えば、逆転写、ウラシル除去、エンド−もしくはエキソヌクレアーゼ消化など)であってよい。後に続くカプセルの操作における合着にさらに耐えるために、RT−PCRまたはPCRプロトコールにおけるプレインキュベーション段階または最初のインキュベーション段階を利用して小滴をカプセルに変換し、高い充填密度で、より低い充填密度で、さらには小滴を充填しないで(流動下の流体中で間隙をあけられるが加熱に暴露される)界面被膜を形成することができる。これは、後に続く操作が高い充填密度のカプセルを巻き込む場合にとりわけ有用である可能性がある。
【0062】
小滴を、容器中で実施されるバッチ反応などにおいて、並行して反応させることができる。バッチ反応で反応させるなら、カプセルは高い充填密度で存在できる。代わりに、とりわけ、小滴を、小滴が連続流動反応器のチャネルに沿って流れる際に、並行してまたは直列的に反応させることができ、かつ/または小滴を、バッチ中で(例えば高い充填密度で)加熱して被膜を形成し、次いで、連続流動反応器を通して流すことができる(参照により本明細書に組み込まれる、2010年7月8日に公開の米国特許出願公開第2010/0173394号を参照されたい)。
【0063】
(64)に示すように、エマルジョンのカプセルからのシグナルを検出することができる。換言すれば、水相中のサンプルに関係するアッセイデータをカプセルから収集することができる。データは、サンプル中の1種または複数の分析対象物を巻き込む少なくとも1種の反応に関係することができる。典型的な実施形態において、データは、カプセル中の標的核酸の増幅に関係する。
【0064】
エマルジョン中のカプセルは、(66)に示すように、任意選択で、互いに間隙をあけることができる。カプセルの間隙をあけることは、エマルジョンの反応の前および/または後に、ならびにカプセルからのシグナル検出の前に、1回または複数回実施することができる。カプセルの間隙をあけることには、一般に、エマルジョン中のカプセル間の平均または局所的間隙を増加させる任意の操作が含まれる。
【0065】
カプセルの間隙を増加させて、容器中での反応の後に高密度の充填配列の状態にあるカプセルの流体工学的操作を容易にすることができる。充填配列は、クリーム化/沈降の単独でのまたはエマルジョンから過剰な連続相を除去することなどにより相比率を変更すること(58)と組み合わせた結果である可能性がある。一部の実施形態において、充填配列は、カプセルが単分散性であるなら(任意選択で、水性分率が高いなら)、カプセルの堅固な格子を形成することができ、かつ/またはカプセルを堅固な結晶性状態に配置することができる。
【0066】
カプセルの互いの間隙をあけることを容易にするのに間隙液を使用することは、水相の体積分率に基づくことができる。エマルジョンは、水相の分率が連続相の分率とほぼ同等またはそれ未満のように低いと、より大きな流体粘稠度を有することができる。この場合、カプセルを、間隙液を添加することなしに、エマルジョンを撹拌することなどによって容易に分散させることができる(またはできない)(すなわち、互いの間隔をさらにあける)。代わりに、エマルジョンは、水相の分率が、より高い、例えば、連続相の分率よりも高いなら、流動性がより小さく、またはより大きな「ゲル様」粘稠度を有することができる。この場合(および/または流体様エマルジョンを用いて)、カプセルを、エマルジョンに添加された間隙液の助けを借りて分散させることができる。とにかく、カプセルの間隙をあけて、容器から、例えばエマルジョン中に配置されたデバイスのチップを介して小滴を拾い上げる流体輸送デバイスの導管中の流動などの流動を容易にすることができる。一部の事例で、カプセルを熱サイクリングにかけることは、それらのカプセルを「粘着性」にし、分散をより困難にする。間隙液を添加することは、粘着性カプセルの分散を容易にする。
【0067】
さらに、または代わりに、カプセルの互いの間隙をさらにあけて、個々の小滴の検出を可能にすることができる。したがって、間隙液を、検出器に関して適切に作用するように配置された検出領域に向かってチャネルを流れている小滴に添加することができる。間隙液は、収束用流体として説明することができ、小滴が検出領域に到達する前に、小滴を単一化することができる。単一化された小滴は、検出領域を通って直列的に通行することができる。検出領域の上流の小滴の間隙をあけるさらなる態様は、参照により本明細書に組み込まれる相互参照の項目で前に列挙した文献、とりわけ、2010年3月25日に出願の米国特許仮出願第61/317635号、2010年11月1日に出願の米国特許仮出願第61/409106号、2010年11月2日に出願の米国特許仮出願第61/409473号、2010年11月5日に出願の米国特許仮出願第61/410769号、2010年7月8日に公開の米国特許出願公開第2010/0173394号中に開示されている。
【0068】
エマルジョンを任意選択で、(68)に示すように流体工学的に操作することができる。相比率を小滴/カプセルまたは連続相の選択的除去などによって変更すると(66)、この変更の前、間、および/または後に流体工学的操作を実施することができる。
【0069】
流体工学的操作は、一般に、エマルジョンまたはその小滴/カプセルを流体流によって動かすことを含む。例えば、流体工学的操作は、容器内に配置された小滴/カプセルを分散させること、容器から小滴/カプセルを流動流中に導入すること、小滴/カプセルを流動流中に分散させること(すなわち、カプセルを単一化すること)、および/またはカプセルの流れを検出器がカプセルから直列的または並行的にデータを(例えば、画像形成によって)収集することができる検出領域に押し流すことを含む。
【0070】
収集されたデータを、(70)に示すように処理することができる。データの処理は、エマルジョンの水相中に含まれる1種または複数のサンプルの1種または複数の分析対象物の少なくとも1種の態様を決めることを含むことができる。データの処理は、とりわけ、バックグラウンドを控除すること、カプセルデータをカプセル大きさに基づいて正規化すること、アッセイのためのネガティブカプセルからポジティブカプセルを区別するためにカプセルシグナルに対して閾値を適用すること、サンプル中の分析対象物(例えば、標的核酸)の濃度を測定すること(例えば、ポアソン統計に基づいて)、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0071】
カプセルを使用して、任意の適切なアッセイを実施し、分析対象物の任意の適切な特性を測定することができる。一部の実施形態において、分析対象物は核酸であり、個々のカプセルからの増幅データをデジタル増幅アッセイで分析して、個々の小滴中で1種または複数の標的核酸の増幅が起こったかどうかを判定することができる。換言すれば、増幅データを処理して、分析された各小滴中での各標的の存在または不在のデジタル記述を提供することができる。とにかく、増幅データを処理して、少なくとも1種の単一ヌクレオチドの多形現象、標的部位のメチル化、標的のコピー数の変動、稀な突然変異/標的(例えば、がんに付随する突然変異)、胎児異数性、ハプロタイプなどの存在または不在などの、サンプルの任意の適切な態様についての情報を提供することができる。適切である可能性のあるアッセイのさらなる態様は、参照により本明細書に組み込まれる、相互参照の項目で前に列挙した文献、とりわけ、2010年7月8日に公開の米国特許出願公開第2010/0173394号、2010年9月8日に出願の米国特許仮出願第61/380981号、2010年11月1日に出願の米国特許仮出願第61/409106号、2010年11月5日に出願の米国特許仮出願第61/410769号、2010年11月25日に出願の米国特許仮出願第61/417241号中に記載されている。
【0072】
適切である可能性のある、とりわけ、エマルジョン、エマルジョンの相、相の成分、小滴の生成/エマルジョンの形成、エマルジョンの反応、シグナルの検出、流体工学的操作、およびデータ処理のさらなる態様は、参照により本明細書に組み込まれる、相互参照の項目で前に列挙した文献、とりわけ、2010年3月25日に出願の米国特許仮出願第61/341218号、2010年3月25日に出願の米国特許仮出願第61/317635号、2010年11月1日に出願の米国特許仮出願第61/409106号、2010年11月2日に出願の米国特許仮出願第61/409473号、2010年11月5日に出願の米国特許仮出願第61/410769号、2010年11月25日に出願の米国特許仮出願第61/417241号、および2010年7月8日に公開の米国特許出願公開第2010/0173394号中に記載されている。
【0073】
III.水相
水相は、実質的におよび/または主として水であるが、種々の付加的成分を組み込むことができる。該成分は、1種または複数の塩、緩衝剤、試薬、注目のサンプル、注目の分析対象物、および/または形成された小滴またはカプセル内で起こると考えることのできる所望の反応にとって必須である可能性のあるあらゆる付加的成分のように、水溶性および/または水混和性でよい。すべてのこのような付加的成分は、所望の反応または意図したアッセイと適合性があるように選択することができる。さらに、水相は、1種または複数の被膜形成性成分を含むことができる。
【0074】
一部の事例では、成分として、水相中に配置された小滴、例えば、1種のより単純なまたは複雑な小滴を挙げることができる。例えば、水相は、1種または複数の油性小滴を含むことができ、該油性小滴は、逆に、1種または複数の水性小滴、等々を含むことができる(含まなくてもよい)。したがって、被膜は、被膜形成の間および/後に被膜内で互いに融合する水性小滴をカプセル化することができる。多層エマルジョンを形成するおよび多層エマルジョン内で小滴の融合を誘導するさらなる態様は、参照により本明細書に組み込まれる2010年8月24日に出願の米国特許仮出願第12/862542号中に記載されている。
【0075】
塩および/または緩衝液
水相中には、任意の適切な塩または塩の組合せが存在できる。各塩は、生理学的に適合性のある塩でもよいし、そうでなくてもよい。水相のための典型的な塩としては、とりわけ、NaCl、KCl、CaCl
2、MgCl
2、およびMgSO
4の任意の1つまたは組合せが挙げられる。
【0076】
水相には、任意の適切な緩衝液または緩衝剤が存在できる。緩衝液または緩衝剤は、水相のpHを、所望の反応または反応の集合が効率的に起こるpHまたはその近傍(例えば、酵素活性にとって最適なpHの近傍)などの、任意の適切なpHまたはその近傍に維持するように構成することができる。一部の事例において、pHは、例えば、とりわけ約6.5〜8.5、7〜8、または約7.5などの生理学的pHの近傍でよい。とにかく、維持すべき所望のpHに比較的近接したpK
aを有し、かつ実施すべき反応と適合性のある特定の緩衝剤を選択することができる。例えば、緩衝剤は、生理学的に適合性があればよい。適切である可能性のある典型的な緩衝剤としては、TRIS(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール)、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)、MOPS(3−モルホリノプロパン−1−スルホン酸)、HEPES(2−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]エタンスルホン酸などが挙げられる。
【0077】
試薬
水相が1種または複数の試薬を含む場合、該試薬は、サンプルに関する特定の試験を実施するために注目のサンプルと組み合わされる化合物、化合物の集合、および/または組成物であると解される。試薬は、標的に特異的な試薬でよく、それは、試験において特定の標的または分析対象物との反応またはそれらの検出に対して特異性を付与する任意の試薬組成物である。試薬は、任意選択で、試験のための化学反応物および/または結合パートナーを含むことができる。試薬は、例えば、とりわけ、少なくとも1種の核酸、タンパク質(例えば、酵素)、細胞、ウイルス、細胞小器官、巨大分子集成体、潜在的薬物、脂質、炭水化物、無機物質、またはこれらの任意の組合せを含むことができる。典型的な実施形態において、試薬は、とりわけ、標的の増幅のためのポリメラーゼ(例えば、ポリメラーゼを活性化するのにホットスタートを必要としてもしなくてもよい熱に安定なポリメラーゼ)、逆転写酵素、リガーゼ、エキソヌクレアーゼ、標的の増幅のための少なくとも1種のプライマーもしくは少なくとも1種のプライマーの組、増幅された標的に関する増幅シグナルを提供するための少なくとも1種のプローブ、あるいはこれらの任意の組合せなどの増幅試薬でよい。一部の事例において、水相および小滴/カプセルは、分子反転プローブ(MIP)を含むことができる。分子反転プローブ、および小滴/カプセルをベースにしたアッセイでのそれらの使用のさらなる態様は、参照により本明細書に組み込まれる2010年9月8日に出願の米国特許仮出願第61/380981号、2010年11月25日に出願の米国特許仮出願第61/417241号中に記載されている。
【0078】
サンプル
水相がサンプルを含む場合、該サンプルは、任意の適切な供給源からの、注目の化合物、組成物、および/または混合物であると解される。サンプルは、サンプル中に存在する可能性のある少なくとも1種の分析対象物に関係する態様など、サンプルの態様を分析する試験にとって注目の一般的物質でよい。サンプルは、収集されたようなそれらの自然のままの状態で、および/またはとりわけ、貯蔵、保存、抽出、溶解、希釈、濃縮、精製、濾過、1種または複数の試薬との混合、分配、さらなる処理、またはこれらの任意の組合せの結果として変更された状態で分析することができる。臨床サンプルとしては、とりわけ、血液、唾液、尿、大便、痰、粘液、乳、体液吸引液、および/または組織を挙げることができる。環境サンプルとしては、とりわけ、水、土壌、および/または空気を挙げることができる。研究サンプルとしては、培養細胞、初代細胞、ウイルス、小型生物体、組織、体液などを挙げることができる。さらなるサンプルとしては食糧、兵器の成分、疑惑のある汚染物質、等々を挙げることができる。
【0079】
分析対象物
水相が注目の分析対象物を含む場合、該分析対象物は、試験において分析されるサンプル中の成分または潜在的成分であると解される。分析対象物は、試験におけるより具体的な注目対象であり、試験にとってサンプルはより包括的な注目対象である。分析対象物は、とりわけ、例えば、核酸、タンパク質、酵素、細胞、ウイルス、細胞小器官、巨大分子集成体、薬物候補(および/または潜在的薬物)、脂質、炭水化物、無機物質、またはこれらの任意の組合せでよい。分析対象物を、サンプル中のその濃度、活性、および/またはその他の特性について試験することができる。分析対象物の濃度は、サンプル中またはその1種または複数の分割部分中の分析対象物の絶対もしくは相対数、二値評価(存在または不在)などに関係する可能性がある。
【0080】
界面活性剤
界面活性剤は、それが存在する液体の表面張力を低下させる能力のある表面活性物質である。また、もしくは代わりに、洗浄剤および/または湿潤化剤と記述されることもある界面活性剤には、親水性部分および疏水性部分の双方を組み込み、一緒になって、界面活性剤に親水性−疏水性の二重の特性を付与することができる。界面活性剤は、一部の事例において、その疎水性に対するその親水性により特徴付けることができる。水相には、少なくとも1種の親水性界面活性剤を典型的には組み込むことができる。水相は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤および/またはイオン性界面活性剤を含むことができる。一部の実施形態において、水相は、ポリプロピレンオキシドとポリエチレンオキシドのブロックコポリマーである界面活性剤を含むことができる。より詳細には、界面活性剤は、PLURONICおよびTETRONICの商標名(BASF)で販売されているポリプロピレンオキシドとポリエチレンオキシドのブロックコポリマーでよい。一部の実施形態において、界面活性剤は、PLURONIC F−68の商標名で販売されているポリプロピレンオキシドとポリエチレンオキシドの非イオン性ブロックコポリマーでよい。一部の実施形態において、水相の界面活性剤は、水溶性および/または親水性フッ素系界面活性剤でよい。水相のための典型的なフッ素系界面活性剤は、ZONYL FSNフッ素系界面活性剤などのZONYLの商標名(DuPont)で販売されている。一部の事例において、界面活性剤は、ポリソルベート20(ICI Americas, inc.によってTWEEN−20の商標名で販売)を含むことができる。水相中に存在する特定の界面活性剤または全活性剤の濃度は、加熱に先立ってエマルジョンの小滴を安定化するように選択することができる。水相のための界面活性剤の典型的な濃度は、とりわけ、約0.01〜10重量%、0.05〜5重量%、0.1〜1重量%、または0.5重量%である。一部の事例において、被膜形成性タンパク質は、一般に、本開示の目的に関して界面活性剤とは分類されないが、界面活性剤として機能することができる。
【0081】
被膜形成性成分
水相は、1種または複数の被膜形成性成分を含むことができる。被膜形成性成分は、例えば、被膜の構造要素として役立つことによって、小滴の境界またはその近傍での被膜の形成を促進する任意の物質である。各被膜形成性成分は、被膜形成に先立って、各小滴に関して任意の適切な分布を有することができる。被膜形成性成分は、小滴の界面またはその近傍に選択的に局在して界面層を形成することができ、あるいは水相の全体により均一に分布することができる。より均一に分布すると、被膜形成性成分は、被膜形成中に界面に向かって補充される可能性がある。
【0082】
被膜形成性成分は、少なくとも1種の被膜形成性タンパク質を含むことができる。該タンパク質は、適切な条件(例えば加熱)下で検出可能な被膜を形成するのに十分な量である有効濃度で存在することができる。典型的な有効濃度としては、とりわけ、約0.01重量%または0.03重量%、0.03重量%〜3重量%、0.05重量%〜2重量%、0.1重量%〜1重量%、または約0.1重量%が挙げられる。該タンパク質は、「非特異的封鎖性」または「非特異的結合性」タンパク質と記述できる。本明細書中で使用される表現「非特異的封鎖性」または「非特異的結合性」は、一般に、表面、すなわち疎水性および/または親水性表面に時には加熱の助けを借りて非特異的に結合する能力を指す。非特異的封鎖/結合性タンパク質は、典型的には、水溶性タンパク質であり、比較的大きな(とりわけ)血清または乳タンパク質でよく、かつ/または水相中のその他の成分のいずれかと特異的結合様式で相互に作用することができない。被膜形成性タンパク質として適切である可能性のある典型的な非特異的封鎖/結合性タンパク質としては、とりわけ、アルブミン(血清アルブミン(例えば、とりわけウシ(BSA)、ヒト、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、またはウマからの)などの)、グロブリン(例えば、β−ラクトグロブリン)、カゼイン、およびゼラチン(例えば、ウシ皮膚ゼラチンB型)が挙げられる。
【0083】
付加的添加剤
水相は、任意選択で、任意の各種添加剤をさらに含むことができる。該添加剤は、例えば、保存剤、酵素活性増強剤、酵素阻害剤、補因子などとして作用すると解釈することができ、例えば、とりわけ、アジ化ナトリウム、ベタイン、トレハロース、およびRNアーゼ阻害剤が含まれる。その他の典型的な添加剤は、制限酵素、リガーゼ、逆転写酵素、ウラシル−DNA N−グリコシラーゼ(UNG)などの酵素である。
【0084】
小滴の形成に先立つ処理
小滴の生成に先立って、サンプルおよび/または水相を処理して、小滴の形成を容易にすることができる。水相中の比較的高い濃度および/または比較的長いフラグメントの核酸の処理が、とりわけ適切である。小滴を標準的な条件下で形成する場合には、水相を、断面積の急速な縮小、伸長、続いて小滴の分離および形成に供することができる。DNA、RNAまたは別の長鎖ポリマーが特定の濃度以上で存在すると、小滴を形成する能力が損なわれる。例えば、これらのポリマーは、小滴形成の急速な処理中に互いにもつれてしまう可能性があり、かつ拡散によって分離するのに十分な時間を有さず、小滴の効率的な形成をもたらさない紐を形成する可能性がある。その紐は、ジェッティング、マイクロサテライト、および合着、ならびに貧弱なエマルジョン形成のその他の特徴をもたらす可能性がある。代わりに、または加えて、該ポリマーは、小滴界面と相互作用し、表面張力を低下させ、かつ小滴形成を妨げている可能性がある。
【0085】
とにかく、小滴形成に対するこの効果を克服するための手法が必要とされる。1つの典型的な手法は、小滴が摘み取られて生じる時間を有するように、小滴の形成速度を減速することである。しかし、この手法は、小滴形成の処理能力を低下させる。別の機械的解決法は、小滴生成装置をこれらの高い濃度条件下で小滴の形成を強制するように再設計することでよい。別の典型的な手法は、ポリマーをより小さなサイズに断片化することである。エマルジョンを形成する前に、水相を加熱することによってポリマーを断片化することができる。例えば、水性サンプルを、とりわけ、少なくとも約80℃、90℃、または95℃まで、少なくとも約1、2、5、10、15または30分間加熱することができる。適切な加熱は、通常の条件下で高いDNA濃度の小滴を形成する能力をもたらすことができる。さらなる典型的な手法は、特定部位を標的とする(またはDNAを非特異的に切断する)制限酵素でDNAを消化することによって、水相中のDNAを断片化することである。特定部位が注目の標的の外側に存在する限り、測定される標的のコピー数はサンプル中で保存される、消化は、完了まで進行してもしなくてもよい。多くの事例において、DNAフラグメントの平均サイズを小滴形成に影響を与えないレベルまで縮小するのに必要なのは、単なる部分的消化でよい。
【0086】
選択される水相の実施形態
水相を製剤化して、逆転写、増幅、制限酵素での消化、リゲーション、繰越し増殖産物からのウラシル開裂(汚染性標的の増幅を防止するための)、これらの任意の組合せなどの1種または複数の酵素反応を実施することができる。例えば、水相を製剤化して、RT−PCRを実施することができ、該水相は、次の製剤中に挙げられた成分の任意の適切な組合せを含むことができる:
水相製剤1
・反応用緩衝液(ほぼ50〜70mM[塩]:ほぼ45〜55mM KCl、ほぼ10〜15mM Tris、ほぼpH7.5〜8.5)
・MgCl
2および/またはMgSO
4(ほぼ1.5〜5mM)
・BSAまたはウシゼラチン(ほぼ0.1〜1%w/v)
・ポリエチレンオキシド(PEO)/ポリプロピレンオキシド(PPO)の非イオン性ブロックコポリマー界面活性剤(ほぼ0.1〜1%w/v)
・熱に安定なポリメラーゼ(ほぼ0.04単位/μL)
・逆転写酵素(ほぼ0.04単位/μL)
・dNTP(それぞれほぼ200〜400μM(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)またはそれぞれほぼ300〜500μM(dTTPの代わりにdUTPを用いて)
・UNG(ウラシル−DNA N−グリコシラーゼ)(任意選択で;ほぼ0.025〜0.1単位/μL)
・全核酸(ほぼpg〜ngの範囲/nL、標的核酸は、ほぼ10コピー/nL未満、またはほぼ1コピー/nL未満で存在する)
・プライマー(ほぼ0.1〜1.0μM)
・蛍光検出のためのプローブ(ほぼ0.1〜0.25μM)
水相製剤2(選択される成分)
・KCl(ほぼ50mM)
・Tris(ほぼ15mM、pH8.0)
・MgCl
2(ほぼ3.2mM)
・BSAまたはウシゼラチン(ほぼ0.1%w/v)
・Prulonic F−68(界面活性剤、ほぼ0.5%w/v)
・dNTP(それぞれほぼ200μM(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)
・プライマー(それぞれほぼ0.5μM)
・蛍光検出のためのプローブ(ほぼ0.25μM)。
【0087】
IV.非水相
非水相は、水と非混和性である連続相を形成する担体液として役立つことができ、あるいは非水相は、分散相であってもよい。少なくとも1種の油を含む非水相は、油相と呼ぶことができるが、水と非混和性である任意の液状(または液化可能な)化合物または液状化合物の混合物を含むことができる。油は、合成または天然に存在するものでよい。油は、炭素および/またはケイ素を含んでも含まなくてもよく、水素および/またはフッ素を含んでも含まなくてもよい。油は、親油性または疎油性でよい。換言すれば、油は、有機溶媒と概して混和性または非混和性でよい。典型的な油としては、とりわけ、少なくとも1種のシリコーン油、鉱油、フルオロカーボン油、植物油、またはこれらの組合せを挙げることができる。
【0088】
典型的な実施形態において、油は、フルオロカーボン油などのフッ素化油であり、それらは、過フッ化有機溶媒であってもよい。フッ素化油は、とりわけ、基(一次)油または基油への添加物でよい。適切である可能性のある典型的なフッ素化油は、FLUORINERT(3M)の商標名で販売され、特にFLUORINERT Electronic Liquid FC−3283、FC−40、FC−43、およびFC−70などを含む。適切なフッ素化油のもう1つの例は、NOVEC(3M)の商標名で販売され、NOVEC HFE 7500 Engineered Fluidを含む。
【0089】
界面活性剤
水相に関して前に考察したように、界面活性剤は、それが溶解された液体の表面張力を減少させる能力のある表面活性物質であり、それに、一緒になって界面活性剤に対して親水性−疎水性の二重の特性を付与することができる親水性部分および疎水性部分の双方を組み込むことができる。水相中に存在する界面活性剤とは対照的に、非水相には、典型的には、疎水性界面活性剤が組み込まれる。非水相は、そのそれぞれが、カプセル形成の前、間、および/または後に非水相中に配置/溶解され得る1種または複数の界面活性剤を含むことができる。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤(カチオン性(正に帯電した)またはアニオン性(負に帯電した)界面活性剤)、または双方の部類の界面活性剤を挙げることができる。適切である可能性のある典型的なアニオン性界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、等々が挙げられる。1種または複数の界面活性剤は、個々にまたは一緒になって、とりわけ、約0.001%もしくは0.01%を超える、または約0.001%〜10%、0.05%〜2%、もしくは0.05%〜0.5%などの任意の適切な濃度で存在することができる。
【0090】
イオン性界面活性剤(例えば、負に帯電した界面活性剤)は、カプセルを形成するのに好ましい可能性がある。イオン性界面活性剤は、加熱による被膜の形成につながることのある、界面での成分の集合のため、引力を増進させることができる。例えば、イオン性の対形成は、連続相中のイオン性界面活性剤と分散相中の被膜形成性タンパク質との間で(または連続相が水性であるなら逆に)起こる可能性がある。被膜形成性タンパク質はイオン性界面活性剤によって界面で拘束され、熱の印加は、タンパク質の立体配置を変え(変性によって)、かつ/または水相へのその溶解度を低下させることができ、このことが、被膜の形成につながる可能性がある。代わりに、または加えて、エマルジョンの形成に使用される油中にイオン性または非イオン性界面活性剤を含めると、疎水相互作用によって、被膜形成性タンパク質および/またはその他の被膜形成性材料を界面に補充することができる。
【0091】
非水相(または油相)中に存在する1種または複数の界面活性剤は、フッ素化界面活性剤(例えば、ポリフッ化および/または過フッ化された界面活性剤化合物)でよい。典型的なフッ素化界面活性剤は、カルボン酸で終結されたパーフルオロポリエーテル、パーフルオロポリエーテルのカルボン酸塩、および/またはカルボン酸で終結されたパールルオロポリエーテルのアミドまたはエステル誘導体などのフッ素化ポリエーテルである。典型的ではあるが唯一ではないパーフルオロポリエーテルは、とりわけ、KRYTOX−FSH、KRYTOX−FSHのアンモニウム塩(「KRYTOX−AS」)、またはKRYTOX−FSHのモルホリノ誘導体(「KRYTOX−M」)などの、KRYTOX(DuPont)の商標名で市販されている。適切である可能性のあるその他のフッ素化ポリエーテルは、少なくとも1つのポリエチレングリコール(PEG)部分を含む。
【0092】
フッ素化ポリエーテルなどの主たる界面活性剤は、約0.02重量%〜10重量%、または約1重量%〜4重量%などの任意の適切な濃度で存在することができる。主たる界面活性剤は、比較的より高い濃度(約1重量%以上)または比較的より低い濃度(約0.02〜0.5重量%などの、約1重量%未満)で存在することができる。一部の事例において、より低い濃度の使用は、表面被覆を使用することなしに、かつ小滴の実質的な破損なしに、小滴を加熱することによってカプセルを創出することを可能にすることができる。主たる界面活性剤は、少なくとも約1、2または5kDaの分子量を有することができる(または有さなくてもよい)。
【0093】
非水相は、さらに、選択された油の1種または複数の物理的特性を改変するように選択される1種または複数のさらなる界面活性剤を含むことができる。例えば、さらなる界面活性剤を使用して、選択された油の蒸発可能性を低下させることができる。蒸発の可能性を低下させることによって、さらなる界面活性剤は、エマルジョン−空気の界面での小滴に対する蒸発の影響を低減または最小化することができる。典型的な実施形態において、非水相は、とりわけ、主要成分でよいフッ素化油、主たる界面活性剤(例えば、フッ素化ポリエーテル)、および副次的/付加的界面活性剤を含むことができる。副次的/付加的界面活性剤は、とりわけ、パーフルオロデカノールまたはパーフルオロオクタノールなどの、たった1個(モノアルコール)または2個のヒドロキシル基を有するフッ素化アルコールでよい。付加的界面活性剤は、とりわけ、約1000または500Da未満の分子量を有することができ、約20、15または12個以下の炭素原子を有することができ、約0〜10重量%、0重量%〜5重量%、0〜2.5重量%、0.1重量%〜2.5重量%、または0.001重量%〜0.5重量%の濃度で存在することができる。
【0094】
選択される非水相の実施形態
非水相は、とりわけ、フッ素系界面活性剤、フッ素化油、蒸発可能性を低下させるための1種または複数のフッ素化添加物、および1種または複数のフッ素化補助界面活性剤の組合せを含むことができる。次の製剤は、本開示の非水相の典型的な実施形態に対応する。
油相製剤1(高界面活性剤)
・HFE7500フッ素化油
・KRYTOX−ASおよび/またはKRYTOX−M(ほぼ1〜4%w/w)
油相製剤2
・HFE7500フッ素化油
・KRYTOX−ASおよび/またはKRYTOX−M(ほぼ0.45〜2.85%w/w)
・パーフルオロデカノール(ほぼ0.009〜2.25%w/w、またはほぼ1.8%w/w)
油相製剤3
・HFE7500フッ素化油
・KRYTOX−ASおよび/またはKRYTOX−M(ほぼ1.8%w/w)
・パーフルオロデカノール(ほぼ0.18%w/w)
油相製剤4
・FC−40フッ素化油
・KRYTOX−ASおよび/またはKRYTOX−M(ほぼ0.45〜2.85%w/wまたはほぼ1.8%w/w)
・パーフルオロデカノール(ほぼ0.009〜2.25%w/w、またはほぼ0.18%w/w)
油相製剤5
・FC−43フッ素化油
・KRYTOX−ASおよび/またはKRYTOX−M(ほぼ0.45〜2.85%w/wまたはほぼ1.8%w/w)
・パーフルオロデカノール(ほぼ0.009〜2.25%w/w、またはほぼ0.18%w/w)
油相製剤6
・FC−70フッ素化油
・KRYTOX−ASおよび/またはKRYTOX−M(ほぼ0.45〜2.85%w/wまたはほぼ1.8%w/w)
・パーフルオロデカノール(ほぼ0〜2.25%w/w、またはほぼ0.18%w/w)
油相製剤7(低界面活性剤)
・HFE7500フッ素化油溶媒
・KRYTOX−ASおよび/またはKRYTOX−M(ほぼ0.01超〜0.5%w/w、ほぼ0.02〜0.5%w/w、またはほぼ0.18%w/w)。
【0095】
V.エマルジョンの形成
上で考察した成分を含む水相および非水相を準備し(例えば、得および/または調製し)、次いで、エマルジョンを形成するのに利用することができる。
【0096】
エマルジョンは、一般に、小滴のための担体液として役立つ非混和性連続相(例えば、油相などの非水相)中に配置された分散相(例えば、水相)の小滴を含む。分散相および連続相の双方とも、一般には、少なくとも主として液体である。エマルジョンは、油中水型(W/O)エマルジョン、水中油型(O/W)エマルジョン、または多層エマルジョン(例えば、とりわけW/O/WまたはW/O/W/Oエマルジョン)でよい。
【0097】
任意の適切な方法および構造を使用して、エマルジョンを形成することができる。一般に、エマルジョンを形成するには、振盪、撹拌、超音波処理、かき混ぜ、またはそうでなければエマルジョンをホモジナイズすることなどのエネルギーの入力が必要である。しかし、これらの手法は、実質的に制御されない小滴の生成により、小滴がある範囲の大きさを示す多分散性エマルジョンを一般にはもたらす。代わりに、単分散性エマルジョン(高度に均一な大きさの小滴)は、少なくとも1種の小滴生成装置を用いる制御された直列的な小滴生成によって創出することができる。典型的な実施形態において、小滴生成装置は、単分散性小滴からなるエマルジョンの生成に焦点を当てた微小チャネル流によって機能する。適切である可能性のある小滴生成へのその他の手法または小滴生成のための構造は、参照により本明細書に組み込まれる相互参照の項目で前に挙げた文献中、とりわけ、2010年3月25日に出願の米国特許仮出願第61/341218号、2010年11月1日に出願の米国特許仮出願第61/409106号、2010年11月2日に出願の米国特許仮出願第61/409473号、2010年11月5日に出願の米国特許仮出願第61/410769号、2010年8月24日に出願の米国特許仮出願第12/862542号、2010年7月8日に公開の米国特許出願公開第2010/0173394号中に記載されている。
【0098】
水相中に存在する界面活性剤は、非水相内での水性小滴の形成を助けることができる。該界面活性剤は、非水相および水相の双方と物理的に相互作用すること、相間の界面を安定化すること、および自己集合した界面層を形成することによって、そのように挙動することができる。界面活性剤は、一般に、小滴の動的安定性を有意に増大させ、小滴の合着を実質的に低減し、かつ凝集を低減する。小滴(カプセルに変換する前の)は、流体工学的操作中の流体流によって創出される剪断力に対して比較的安定であり得る。例えば、小滴は、非水相製剤と水相製剤との選択された組合せを使用する100μLまたは200μLチャネル中での少なくとも40μL/min、または50μL/minの流速に対して安定であり得る。
【0099】
生じる小滴は、任意の適切な形状および大きさを有することができる。小滴は、形状が束縛されないなら、球状であり得る。小滴の直径は、約1〜500μm、5〜500μm、または50〜500μmでよく、小滴の平均体積は、とりわけ、約50pL〜500nL、または100pL〜10nLでよい。
【0100】
小滴を形成し、次いで、バイアル瓶、試験管、プレートのウェル、チャンバーなどの貯蔵器中のエマルジョンとして収集することができる。一部の実施形態では、小滴を、PCR用のバイアル瓶またはプレート中のエマルジョンとして収集し、次いで、それを熱サイクリングにかけることができる。代わりに、または加えて、小滴を貯蔵器中に収集し、次いで、熱サイクリングのために別の容器に移送することができ、かつ/または微小流体工学などの流体工学により操作および/または輸送することができる。
【0101】
VI.小滴の変換
小滴を、該小滴が被膜によってカプセル化されているカプセルに変換することができる。一般に、小滴は、加熱によって変換される。小滴、連続相、および/またはエマルジョンを、被膜形成に十分な温度まで、被膜を作るのに十分な時間加熱することができる。このような転換が起こるのに十分な温度と時間の間には、逆の関係が存在することができる。すなわち、比較的低い温度で小滴を加熱すると、比較的より高い温度で小滴を加熱する場合よりも長い加熱時間を必要とする可能性がある。しかし、被膜形成は、閾値より高い温度では急速に、閾値より数度低い温度でははるかにより徐々に起こる可能性がある。例えば、被膜形成は、エマルジョンを閾値より高い温度で加熱すると、約5分未満、または約1分未満で起こるか、完結する可能性がある。とにかく、小滴のカプセルへの変換は、水相(すなわち、分散相または連続相)中の1種または複数の被膜形成性タンパク質(および/またはその他の被膜形成性材料)の溶解度を低下させる可能性があり、その結果、タンパク質/材料は、水相により低溶解性(例えば、実質的に不溶性)になる。したがって、被膜は、水相に実質上不溶性であることができる。
【0102】
一部の実施形態において、閾値温度は、水相中の被膜形成性タンパク質の変性温度に対応する可能性がある。したがって、被膜の形成は、閾値温度未満に比べて閾値より高い温度ではるかにより急速に起こるタンパク質変性の結果である可能性がある。例として、BSAは、約50〜55℃で変性することが報告されており、被膜形成性タンパク質としてBSAを組み込んでいる小滴は、ほぼ同一温度で被膜を急速に形成するように誘導される。したがって、異なる変性温度を有する別の被膜形成性タンパク質を使用すると、被膜を形成する前に、対応する異なる温度まで加熱することが必要とされる可能性がある。
【0103】
小滴を55℃より高い温度まで加熱することによって、自己集合した界面層を界面被膜に変換することができる。該被膜は、とりわけ、タンパク質、またはタンパク質と界面活性剤から構成することができる。一部の事例では、小滴を、PCR増幅中に実施されるように、熱サイクリングにより加熱することができる。熱サイクリングのプロファイルは、約4℃から約99℃までの温度の変更を含むことができる。小滴を、任意選択で、流れをベースにした熱サイクリング系を通した小滴の輸送の結果としての熱サイクリングにより加熱することができる。流れをベースにした典型的な熱サイクリング系のさらなる態様は、参照により本明細書に組み込まれる2010年7月8日に公開の米国特許出願公開第2010/0173394号中に開示されている。
【0104】
VII.カプセル
カプセルは小滴を被膜内に閉じ込め、しわができ、変形し、または損傷した場合には、被膜を顕微鏡によって見ることができる。被膜は、界面すなわち各小滴の境界と連続相の間の界面またはその近傍に配置された固体または半固体相である。したがって、標準的な小滴中に存在する流体界面とは対照的に、カプセル体積の減少は、一般に、被膜の外観の顕微鏡で認識できる変化をもたらす。被膜は、被膜に印加される張力が小さくなるにつれて、その滑らかな球状の幾何学的形態を失い、固さの実質的な程度を反映して、多少のしわができ、縮んで見える可能性がある。例えば、被膜の存在(または不在)は、カプセル/小滴を顕微鏡スライド上に拡げること、蒸発によりカプセル/小滴の収縮を促進すること、次いで、顕微鏡下でカプセル/小滴を観察することによって検出することができる。同様に、カプセルが、最適でない間隙液に暴露され、かつ/または過度な剪断力にさらされると、被膜は裂け、被膜自体中に端部がぼろぼろの明瞭な開口部を残す可能性がある(例えば、実施例3参照)。
【0105】
被膜は、曲げやすくかつ可撓性のままであることができ、結果として、カプセルは粘性と弾性を合わせもつ。しかし、視覚的に(例えば、顕微鏡で)容易に観察される変形および物理的損傷を受けることによって、被膜は、少なくとも実質的に半固体または固体であり、自由に変形可能な液体ではないことが明らかにされる。
【0106】
最初の小滴製剤と比較して増強されたカプセルの安定性は、物理的操作に対するカプセルの安定性に反映される。カプセルを、カプセル壁(すなわち、被膜)に対する損傷なしに、またはほとんどなしに、輸送し、選別し、流れを収束し、かつ分配することができる。前駆体である小滴とは対照的に、カプセルは、比較的高い剪断力を生じる流体工学的処理操作に対して安定であり得る。例えば、カプセルは、とりわけ、直径が約125μm以下、または約250μm以下のチャネル中の、少なくとも約200、300または400μL/minまでの流速の流体流中で安定であることができ、かつ/または90°の方向転換(バルブによって生じる可能性があるような)の間に安定な流れであり得る。
【0107】
カプセルは、任意の適切な方式で使用することができる。カプセルを、収集、操作、および/または選別することができる。それらを、アッセイまたはその他の生物学的応用で使用することができ、あるいは収集および選別することができる。本明細書に開示のカプセルは、貯蔵に関して典型的には安定であり、室温で1ヶ月以上貯蔵することができる。カプセルは、広範な範囲の温度で、しかし好ましくは、とりわけ約4℃〜約40℃で貯蔵することができる。
【0108】
カプセルを創出するために小滴を加熱するのに先立って、連続相の部分(例えば、大部分)を除去することができる。連続相の大部分を除去した場合には、生じるカプセルは、エマルジョンの中で高い分率を占め、一部の点でゲルに似ている組成物をもたらすことができる。カプセルは、このような事例では密に充填され、カプセルが単分散性小滴に由来するなら、高度に規則正しい配列中に納まることができる。
【0109】
加熱に先立って連続相を除去しない場合には、生じる組成物は、典型的には流体に似ている。カプセルは、密充填された配列中に納まることができるが、組成物を撹拌すると、典型的には、連続相中でのカプセルの分散が生じる。
【0110】
VIII.間隙液
エマルジョンに間隙液を添加することができる。間隙液は、一般に、エマルジョンの現行/最初の連続相と混和性であり、現行/最初の連続相と同一または異なる組成を有することができる。したがって、間隙液は、その液が添加されるエマルジョンの種類に基づいて、非水性または水性でよい。
【0111】
油中水型エマルジョンで使用する場合、間隙液は、連続相と同一の基油または異なる基油を含むことができる(基油は、油(連続)相中の有力なまたは主たる油である)。例えば、連続相は、基油としてフッ素化油を含むことができ、間隙液は、その基油と同一の(または異なる)フッ素化油を含むことができる。
【0112】
典型的な実施形態において、間隙液は、連続相とは異なる界面活性剤、および/または連続相よりも重量で実質的に少ない全界面活性剤(例えば、とりわけ、少なくとも2、5、10または100分の1である全界面活性剤)を含むことができる。代わりに、または加えて、間隙液は、界面活性剤の臨界ミセル濃度より高い濃度で存在する界面活性剤を含まなくてもよい(少なくとも実質的に界面活性剤をまったく含まないことを包含する)。その臨界ミセル濃度より低い界面活性剤濃度を使用することによって、流動系中での洗浄機能を提供しながら、望ましくない新たな小滴の形成を最小化することができる。また、一部のエマルジョン製剤で、間隙液中でエマルジョンの最初の連続相と同一の界面活性剤およびほぼ同一量の界面活性剤を使用することによって、カプセルを収縮させ、縮ませ、かつ/または破裂させることでき、それにより被膜の顕微鏡による可視化が可能となる。カプセルの完全性に対する明確な間隙液の典型的な効果は、後記の実施例3で説明される。
【0113】
一部の例において、連続相および間隙液は、双方ともイオン性(主として)フッ素系界面活性剤を含むことができ、あるいは連続相はイオン性(主として)フッ素系界面活性剤を、および間隙液は非イオン性(主として)フッ素系界面活性剤を含むことができる。双方ともイオン性フッ素系界面活性剤を含むなら、主たるフッ素系界面活性剤の濃度は、連続相中の場合よりも間隙液中で実質的に低いように選択することができる。さもなければ、間隙液中のイオン性フッ素系界面活性剤の濃度があまりに高いと、該イオン性フッ素系界面活性剤は、カプセルから水を引き出し、それらの収縮をもたらす可能性がある(被膜にしわを作り/被膜を引き裂く可能性がある)。間隙液中で非イオン性フッ素系界面活性剤を使用すると、カプセルの収縮は、一般に、低いまたは高い濃度の界面活性剤で起こらない。しかし、収縮は、非イオン性界面活性剤の純度に依存する可能性がある。非イオン性界面活性剤が100%純粋でないなら、イオン性不純物(反応性前駆体または反応副生物)が存在する可能性がある。不純な非イオン性界面活性剤のより高い濃度で、これらのイオン性不純物は、カプセルに損傷をもたらすのに十分な高い濃度に到達する可能性がある(例えば、収縮または破損をもたらす、カプセルからの水の引抜きによって)。とにかく、非イオン性フッ素系界面活性剤は、間隙液中に、連続相(および/またはエマルジョンを形成するのに使用される油相または油組成物)中の主たる(または全部の)界面活性剤よりも実質的に低い、それとほぼ同じ、または実質的に高い濃度で存在することができる。
【0114】
間隙液は、前にIV節中で示した非水性相に従って製剤することができる。間隙液のためのさらなる典型的な製剤は次の通りである:
間隙液製剤1
・HFE7500、FC−40、FC−43、および/またはFC−70フッ素化油
・過フッ化アルコール(ほぼ0〜10%w/w、またはほぼ0.18%w/w)
・KRYTOX−ASおよび/またはKRYTOX−M(0〜0.1%、0〜0.01%、または0〜0.001%w/w)
間隙液製剤2
・HFE7500、FC−40、FC−43、および/またはFC−70フッ素化油
・ペグ化フッ素系界面活性剤(0〜0.1%、0〜0.01%、0〜0.001%、または0.00001%w/w)
【0115】
IX.カプセルおよびデータの処理
本開示のカプセルは、いったん調製されたら、処理することができる。処理は、カプセルを、少なくとも1種の注目の反応が起こり得る(および/または停止され得る)任意の条件または条件の組に任意の適切な時間さらすことを含むことができる。したがって、処理は、とりわけ、カプセルの温度をあらかじめ定めた設定点またはその近傍に維持すること、カプセルの温度を2つ以上のあらかじめ定めた設定点の間で変更すること(カプセルを熱サイクリングにかけることなど)、カプセルを光に暴露すること、カプセルに印加される圧力を変えること、カプセルに電界を印加すること、またはこれらの任意の組合せを含むことができる。
【0116】
処理の前、間、および/または後に、カプセルからシグナルを検出することができる。シグナルは、とりわけ、光学的に、電気的に、化学的に、またはこれらの組合せで検出することができる。シグナルは、カプセル中で実施される少なくとも1種の注目の反応に対応することができる。典型的な実施形態において、シグナルは、2つ以上の種類の識別可能な蛍光シグナルを含むことができる蛍光シグナルとして検出することができる。
【0117】
検出されたシグナルに対応するデータを処理することができる。データ処理とは、分析されるそれぞれカプセル化されたアッセイ混合物に関する、アナログまたはデジタル値でよいアッセイ結果を確定することでよい。
【0118】
X.実施例
次の実施例では、エマルジョン、特に被膜によってカプセル化された小滴を含むエマルジョンを作製および使用するためのシステムに関して選択される本開示の態様および実施形態を説明する。これらの実施例は、例示のために意図され、本開示のすべての範囲を限定するものではない。
【0119】
(実施例1)
エマルジョンからの連続相の選択的除去
この実施例では、エマルジョン(84)から連続相(82)を(分散相(83)に対して)選択的に除去して、小滴(またはカプセル)(86)によって占められる体積分率を増加させるための典型的な手法(80)について説明する。
図3参照。
【0120】
エマルジョン(84)を、出入り口(90)を備えた貯蔵器(88)によって保管することができる。出入り口は、小滴(86)が連続相中で浮揚性であるなら(図に示すように)、貯蔵器の底部またはその近傍に形成することができ、あるいは小滴が連続相中で沈降するなら、貯蔵器のより高い位置に形成することができる。
【0121】
浮揚性小滴は、該小滴が、初めに連続相の全体積中でより均一な分布を有するなら、クリーミングと称される処理中に、連続相内で時間と共にエマルジョンの頂部に向かって移動することができる。結果として、小滴は、連続相の上部領域に時間と共に蓄積し、浮揚性小滴が層の底部に添加されるにつれて、下向きに成長する凝集小滴の小滴層(92)を形成する。エマルジョンの下部(94)は、小滴が層(92)に向かって上向きに移動するにつれて、小滴が次第に枯渇するようになる。水相と連続相の間の密度差、および連続相の粘度が、ほとんどの小滴が層(92)と一緒になるのにどれ程の時間(例えば、数秒、数分、数時間)を必要とするかを決定する。とにかく、エマルジョンの頂部と出入り口(90)の間に圧力降下を創出して、連続相(82)の下部(94)を貯蔵器から出入り口(90)を経由して(96)に示すように押し流すことができる。例えば、(98)で示す圧力を、エマルジョン上の空気圧を調節することなどによってエマルジョンの頂部に印加することができ、あるいは真空を出入り口(90)に印加して出入り口を通して連続相を引き出すことができる。とにかく、連続相(82)の選択的除去後にもたらされる濃縮エマルジョン(99)を
図3の右半分に示す。他の実施形態では、連続相中で沈降する小滴を、出入り口(90)を通して押し流して、連続相の上部から小滴を分離することができる。
【0122】
(実施例2)
エマルジョンの表面被覆
この実施例では、エマルジョンを液体で表面被覆するための典型的な手法について説明する。
図4および5参照。表面被覆の使用は、浮揚性小滴を含むエマルジョンに対して使用するのに適している可能性がある。この場合、浮揚性は、小滴を連続相によって保護することをより少なくし、かつ蒸発による損失に対してより無防備にする空気と共に、小滴をエマルジョンの界面近傍に収集することになる。また、空気との界面の存在は、エマルジョンを小滴に対する熱誘発性損傷(例えば、小滴の破損)をより受け易くする可能性がある。
【0123】
図4は、表面被覆用エマルジョン(114)を使用することによって、エマルジョン(112)を表面被覆するための手法(110)を例示する。表面被覆用エマルジョンは、下にあるまたは一次エマルジョン(112)と実質的に同一の連続相(116)を有しても有さなくてもよいが、一般には、一次エマルジョンの連続相と混和性である連続相を有する。表面被覆用エマルジョンは、大きさ、検出可能性の相違などに基づいて、下にあるエマルジョン中の小滴(120)と区別できる表面被膜用水性小滴(118)を含むことができる。例えば、表面被覆用小滴は、下にある(サンプル)小滴中に存在するプローブ、標識、および/またはマーカーを欠く「ブランク」または「ダミー」小滴でよい。これらの「ブランク」小滴は、アッセイシグナルの検出中に妨害シグナルを生じないように構成することができる。代わりに、または加えて、表面被覆用小滴は、アッセイ結果を妨害することなしに、表面被覆の存在、位置、および完全性を眼で見ることを可能にする可視性色素(122)を含むことができる。可視性色素は、とりわけブロモフェノールブルーまたはアルラレッドなどの少なくとも実質的に非蛍光性である化合物でよい。とにかく、表面被覆用小滴は、たとえ下にあるサンプル小滴と同じ密度であっても、サンプル小滴の上に留まり、図中に概略的に示したように明確な小滴層を形成する傾向がある。表面被覆用小滴は、空気との界面近傍に存在するので、一次エマルジョンおよび表面被覆用エマルジョンが加熱される場合(熱サイクリング中など)に、選択的に損傷される犠牲小滴として役立つことができる。
【0124】
表面被覆用小滴は、いずれかの小滴(表面被覆用またはサンプル)を加熱によってカプセルに変換する前に、サンプル小滴を覆って配置することができる。代わりに、表面被覆用小滴を熱インキュベーション段階で事前処理して小滴を表面被覆用カプセルに変換した後に、該表面被覆用カプセルを、サンプル小滴を覆って配置することができる。
【0125】
さらに、表面被覆用小滴/カプセルは、アッセイ系のための対照/較正サンプルとして使用することができる。例えば、これらの小滴/カプセルは、ブランクでよく、あるいは、装置、または、サンプル小滴/カプセルが暴露される熱サイクリング、流れ中のアッセイ分析対象物の検出、等々を含む過程についての情報を提供する対照/標準として使用される予定の指示薬(色素など)を有するように構成できる。典型的な実施形態では、色素を負荷した表面被覆用小滴/カプセルを、増幅陽性および/または増幅陰性の小滴/カプセルに対応するシグナルを提供するような、検出器または検出方法を較正するための対照/標準として使用することができる。小滴を対照/較正サンプルとして使用するさらなる態様は、参照により本明細書に組み込まれる2010年7月8日に公開の米国特許出願公開第2010/0173394号中に記載されている。
【0126】
ブランクカプセル(または小滴)は、また、サンプルカプセル(または小滴)が輸送される装置を洗浄および/または装置の清浄性を評価するための担体液中で使用することができる。例えば、ブランクカプセルを、サンプルカプセルの検出の実行後に導入して、装置の検出領域を通る流路に沿ってサンプルカプセルを追跡することができる。ブランクカプセルは、このような残留カプセルを機械的に剪断して除去することなどによって、残留サンプルカプセルを流路に沿って追い出すのを助けることができる。したがって、ブランクカプセルを使用することによって、望ましくないサンプルカプセルが装置中になお残存しているかどうか(このことは、サンプルカプセルの今後の実行に悪影響を及ぼす可能性がある)を判定するのを助けることができる。
【0127】
サンプルでないカプセル(または小滴)は、したがって、表面被覆の一部(サンプル小滴/カプセルを破損および/または劣化から保護するための)として、あるいはサンプル小滴/カプセルから分離して使用される場合に、有用である可能性がある。換言すれば、サンプルでないカプセルは、一部の事例において複合的な機能を提供することができる。
【0128】
図5は、表面被覆相(134)でエマルジョン(132)を覆うための手法(130)を示す。表面被覆相は、下にあるエマルジョンの連続相(136)と非混和性であり、エマルジョン(132)の小滴(140)を構成する水相(138)と場合によっては非混和性である。表面被覆相は、また、連続相(136)および場合によっては水相(138)よりも小さな密度を有することができる。例えば、下にある連続相は、少なくとも大部分はフッ素化油から形成することができ、表面被覆相は、少なくとも大部分は、炭化水素油(例えば、鉱油)などの疎フッ素性および/または親油性の油から形成することができる。一部の実施形態において、表面被覆相(134)は水性でよく、相(134)および(138)は、とりわけ、少なくとも実質的に同一の密度および/または組成の塩、緩衝液、および/または界面活性剤を含むことができる。換言すれば、表面被覆相は、水相に類似した組成を有することができ、かつ/または水相と浸透圧的に平衡していればよい。したがって、水性の表面被覆相は、とりわけ、前記のような塩、緩衝液、タンパク質、界面活性剤、可視性色素、これらの任意の組合せなどの、前記III節に記載した成分の任意の組合せを含むことができる。
【0129】
(実施例3)
間隙液およびカプセルの損傷
この実施例では、カプセルの形状および完全性に対して明確な効果を与える典型的な間隙液について説明し、これらの効果を示す顕微鏡写真を提示する。
図6A、6Bおよび7A〜D参照。
【0130】
図6Aおよび6Bは、界面活性剤を含まない(
図6A)または界面活性剤を含む(
図6B)基油から構成された間隙液に暴露されたエマルジョンからのカプセルの1対の顕微鏡写真を示す。小滴は、界面活性剤として1.8%w/wのKRYTOX−ASを含むHFE7500フッ素化油中で生成させた。過剰な連続相を除去し、次いで、小滴を加熱してカプセルを形成した。連続相に間隙液を添加すると、エマルジョン中での連続相の体積分率が実質的に増加した。間隙液は、界面活性剤を含まない(
図6A)または小滴の生成用と同じ濃度の界面活性剤(1.8%w/wのKRYTOX−AS)を含むどちらかの基油(HFE7500)とした。換言すれば、間隙液は、最初の連続相と同一組成を有するか(
図6B)、あるいは界面活性剤を除外したことのほかは同一であった(
図6A)。
【0131】
間隙液中での界面活性剤の存在または不在は、カプセルの形状および完全性に対して劇的に異なる効果を有することができる。
図6Aは、間隙液中に界面活性剤が存在しないと、
図6A中でカプセル境界は滑らかで球状に見えることを示す。換言すれば、間隙液からの界面活性剤の排除は、連続相に間隙液を添加した場合に、カプセルの形状および完全性に対して否定的効果を有さない可能性がある。
図6Bは、間隙液および連続相中に同一の界面活性剤が同一濃度で存在すると、カプセルは、収縮し、縮んで見えることを示す。カプセルの境界は、より不規則的で、しわができ、球状性がより小さくなる。
【0132】
図7は、
図6Bのように処理されているが、より高倍率で眺めたカプセルの、1組の顕微鏡写真を示す。カプセルの多くは、損傷された被膜を示す。被膜は、しばしばしわができ、多くの場合、裂けてぼろぼろになった端部を認識できる。
【0133】
(実施例4)
選択される実施形態1
この実施例では、カプセルを含むエマルジョンの調製および使用に関連し、限定なしに一連の番号を付した項目として提示される、選択される態様および実施形態について説明する。
1.(A)緩衝剤、0.1〜1.0重量%の濃度の第1界面活性剤、および0.1〜1.0重量%の濃度の非特異的結合性タンパク質を含む水相を調製する段階、(B)フッ素化油およびフッ素化界面活性剤を含む有機相を調製する段階、(C)有機相内に配置された水相の小滴を形成する段階(ここで、各小滴は、明確な小滴境界を有する)、および(D)小滴を十分に加熱して、小滴境界を、水相をカプセル化する半固体または固体の被膜に転換する段階を含む、安定な水相のカプセルの調製方法。
2.第1界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、段落1の方法。
3.フッ素化界面活性剤が非イオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤である、段落1または2の方法。
4.フッ素化界面活性剤が、カルボン酸で終結するパーフルオロポリエーテル、カルボン酸で終結するパーフルオロポリエーテルのアンモニウム塩、またはカルボン酸で終結するパーフルオロポリエーテルのモルホリノ誘導体である、段落1から3のいずれかの方法。
5.形成される小滴が、非合着性で、凝集に対して安定で、かつ少なくとも40μL/minの流速に対して安定である、段落1から4のいずれかの方法。
6.(A)PCR反応用緩衝液、マグネシウム塩、ポリプロピレンオキシドとポリエチレンオキシドのブロックコポリマーである0.1〜1.0重量%の濃度の非イオン性界面活性剤、0.1〜1.0重量%の濃度の封鎖用タンパク質、熱に安定なポリメラーゼ、dNTP、および標的核酸を含む水相を調製する段階、(B)フッ素化油およびフッ素化界面活性剤を含む有機相を調製する段階、(C)有機相内に配置された水相の小滴を形成する段階(ここで、該小滴は、それぞれ明確な小滴境界を有する)、(D)小滴を十分に加熱して、小滴境界を、水相をカプセル化する半固体または固体の被膜に転換する段階、および(E)小滴内での標的核酸のPCR増幅を検出する段階を含む、カプセル化された個々の小滴内のサンプルの分析方法。
7.PCR増幅を検出することが、PCR増幅を光学的に検出する段階を含む、段落6の方法。
8.PCR増幅を光学的に検出することが、蛍光標識化プローブを検出する段階を含む、段落7の方法。
9.転換された小滴を輸送、選別、収束、希釈、濃縮、および分配することの1つまたは複数によって操作する段階をさらに含む、段落6から8のいずれかの方法。
10.転換された小滴を操作することが、ミクロ流体光学を使用して操作する段階を含む、段落9の方法。
【0134】
(実施例5)
選択される実施形態II
この実施例では、安定化されたエマルジョンの調製および使用に関連し、限定なしに一連の番号を付した項目として提示される、選択される態様および実施形態について説明する。
1.(A)有効濃度の1種または複数の被膜形成性タンパク質を含む水相を準備する段階、(B)連続相中に配置された分散相の小滴を含むエマルジョンを形成する段階であって、前記水相が前記連続相または前記分散相である、段階、および(C)各小滴と連続相の間に界面被膜を創出して、小滴をカプセルに変換するために、前記エマルジョンを加熱する段階を含む、安定化されたエマルジョンの生成方法。
2.前記加熱段階が、前記エマルジョンを少なくとも約55℃の温度まで加熱する段階を含む、段落62の方法。
3.前記カプセルを、加熱および前記加熱段階後の冷却からなる複数の繰返しを通して熱サイクリングにかける段階をさらに含む、段落1または2の方法。
4.前記加熱段階が、加熱および冷却の複数の繰返しを含む熱サイクリングプロセスの一部である、段落1または2の方法。
5.前記カプセルの1つまたは複数の中の標的核酸を増幅する段階をさらに含む、段落1から4のいずれかの方法。
6.前記エマルジョンを加熱する段階が、前記エマルジョンを少なくとも閾値温度まで加熱する段階を含む、段落1から5のいずれかの方法。
7.前記閾値温度が、前記被膜形成性タンパク質の変性温度である、段落6の方法。
8.前記準備された水相が、前記被膜形成性タンパク質を少なくとも約0.01重量%の濃度で含む、段落1から7のいずれかの方法。
9.前記準備された水相が、前記被膜形成性タンパク質を少なくとも約0.03重量%の濃度で含む、段落1から8のいずれかの方法。
10.前記準備された水相が、前記被膜形成性タンパク質を少なくとも約0.1重量%の濃度で含む、段落1から9のいずれかの方法。
11.前記準備された水相が、ポリプロピレンオキシドとポリエチレンオキシドのブロックコポリマーを含む界面活性剤を含む、段落1から10のいずれかの方法。
12.前記準備された水相が、前記界面活性剤を約0.01重量%〜10重量%の濃度で含む、段落11の方法。
13.前記水相が核酸を含む、段落1から12のいずれかの方法。
14.前記水相を準備する段階が、界面活性剤および前記被膜形成性タンパク質を含む水相を準備する段階を含み、前記界面活性剤は界面被膜の創出に必要ではない、段落1から13のいずれかの方法。
15.前記エマルジョンを形成する段階に連続相として使用される油相を準備する段階をさらに含み、前記油相が、負に帯電したフッ素化界面活性剤を含む、段落1から14のいずれかの方法。
16.前記フッ素化界面活性剤がカルボキシレートである、段落15の方法。
17.前記連続相がフッ素化アルコールをさらに含む、段落15の方法。
18.前記エマルジョンを形成する段階に連続相として使用される油相を準備する段階をさらに含み、前記油相が、少なくとも1種のフッ素化界面活性剤を約0.02重量%〜0.5重量%の濃度で含む、段落1から17のいずれかの方法。
19.前記被膜形成性タンパク質が、前記界面被膜の形成に必要である、段落1から18のいずれかの方法。
20.前記被膜形成性タンパク質が、アルブミン、カゼイン、ゼラチン、およびグロブリンからなる群から選択される、段落1から19のいずれかの方法。
21.前記エマルジョンを加熱する段階が、高い充填密度を有する三次元配列中に配置された前記小滴に対して実施される、段落1から20のいずれかの方法。
22.前記エマルジョンを形成する段階の後で、前記エマルジョンを加熱する段階の前に、前記連続相の一部を選択的に除去する段階をさらに含む、段落1から21のいずれかの方法。
23.前記エマルジョンを形成する段階が、小滴生成装置を使用して直列的に小滴を生成させる段階を含む、段落1から22のいずれかの方法。
24.前記エマルジョンを形成する段階が、前記水相の単分散性小滴を生成させる段階を含む、段落1から23のいずれかの方法。
25.前記単分散性小滴を生成させる段階が、約1μm〜500μmの直径を有する単分散性小滴を生成させる段階を含む、段落24の方法。
26.前記カプセルが、前記連続相中で浮揚性である、段落1から25のいずれかの方法。
27.前記エマルジョンを加熱する段階の前に、前記エマルジョン上に表面被覆を配置する段階をさらに含む、段落1から26のいずれかの方法。
28.前記加熱段階が、前記エマルジョンが空気と接触するように、前記エマルジョン上の表面被覆なしに実施される、段落1から26のいずれかの方法。
29.安定化されたエマルジョンを生成させるための組成物であって、(A)フッ素化油および少なくとも1種のフッ素化界面活性剤を含む、油組成物で形成された連続相、および(B)前記連続相中に配置され、有効濃度の1種または複数の被膜形成性タンパク質を含む複数の水性小滴を含み、前記連続相および前記水性小滴を閾値よりも高い温度で加熱することにより、各小滴と前記連続相の間に界面被膜を創出して、前記小滴をカプセルに変換する、組成物。
30.前記カプセルが、前記カプセル中で反応を実施するための個々の反応混合物を提供する、段落29の組成物。
31.前記カプセルが、標的核酸を増幅するための個々の反応混合物を提供する、段落30の組成物。
32.前記水性小滴が、前記1種または複数の被膜形成性タンパク質を約0.01重量%〜10重量%の濃度で含む、段落29から31のいずれかの組成物。
33.(A)フッ素化油および少なくとも1種のフッ素化界面活性剤を含む、油組成物で形成された連続相、および(B)前記連続相中に配置された複数のカプセルであって、それぞれが、水相をカプセル化したタンパク質性界面被膜を含むカプセルを含む、安定化されたエマルジョン。
34.前記水相が、個々のカプセル中で反応を実施するための反応混合物を提供する、段落33の安定化されたエマルジョン。
35.前記水相が、個々のカプセル中で標的核酸の増幅を実施するための反応混合物を提供する、段落34の安定化されたエマルジョン。
36.前記タンパク質性被膜が、アルブミン、カゼイン、ゼラチン、およびグロブリンからなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質を含む、段落33から35のいずれかの安定化されたエマルジョン。
37.前記少なくとも1種のフッ素化界面活性剤が、負に帯電した第1フッ素化界面活性剤、およびアルコールである第2フッ素化界面活性剤を含む、段落33から36のいずれかの安定化されたエマルジョン。
38.(A)フッ素化油および少なくとも1種のフッ素化界面活性剤を含む、油組成物で形成された連続相、ならびに(B)前記連続相中に配置され、それぞれが水相を含む複数のカプセルを含み、前記カプセルが、高い充填密度で配置され、90℃で少なくとも1分間インキュベートされても、合着に対して抵抗性である、安定化されたエマルジョン。
39.前記カプセルが、90℃で少なくとも10分間インキュベートされても、合着に対して抵抗性である、段落38の安定化されたエマルジョン。
40.(A)フッ素化油を含む連続相中で水性小滴を生成させる段階、(B)前記小滴を、それぞれがタンパク質性界面被膜によってカプセル化された水相を含むカプセルに変換する段階、および(C)連続相に、連続相と混和性であり、連続相と異なる組成を有する間隙液を添加する段階を含む、エマルジョンの調製方法。
41.前記変換段階が、高い充填密度を有する三次元配列中に配置された前記カプセルに対して実施される、段落40の方法。
42.前記変換段階が、前記連続相を加熱する段階を含む、段落40または41の方法。
43.前記連続相を加熱する段階が、前記連続相を少なくとも約55℃の温度まで加熱する段階を含む、段落42の方法。
44.前記水性小滴を生成させる段階の後で、前記小滴を変換する段階の前に、前記連続相の一部を選択的に除去する段階をさらに含む、段落40から43のいずれかの方法。
45.個々のカプセル中で標的核酸を増幅する段階をさらに含む、段落40から44のいずれかの方法。
46.前記標的核酸の増幅を促進するために、前記カプセルを熱サイクリングにかける段階をさらに含む、段落45の方法。
47.カプセルの流れを、検出領域を通して押し流す段階、およびこのようなカプセルが前記検出領域を通って移動する際にカプセルからアッセイデータを収集する段階をさらに含む、段落40から46のいずれかの方法。
48.カプセルからのアッセイデータを検出するためにカプセルを画像化する段階をさらに含む、段落40から46のいずれかの方法。
49.前記間隙液が、界面活性剤の臨界ミセル濃度よりも実質的に高い濃度で存在する界面活性剤を含まない、段落40から48のいずれかの方法。
50.前記生成段階が、水相および油相に対して実施され、前記油相および前記間隙液のそれぞれが、ある重量パーセントの界面活性剤を含み、前記油相中の界面活性剤の前記重量パーセントが、前記間隙液中の場合よりも実質的により高い、段落40から49のいずれかの方法。
51.前記油相中の界面活性剤の前記重量パーセントが、前記間隙液中の場合の少なくとも約10倍高い、段落50の方法。
52.前記生成段階が、水相および油相に対して実施され、前記油相および前記間隙液のそれぞれが、ある重量パーセントのイオン性界面活性剤を含み、前記油相中のイオン性界面活性剤の前記重量パーセントが、前記間隙液中の場合よりも実質的により高い、段落40から49のいずれかの方法。
53.前記生成段階が、水相および油相に対して実施され、前記油相がイオン性界面活性剤を含み、前記間隙液が非イオン性界面活性剤を含む、段落40から52のいずれかの方法。
54.前記イオン性界面活性剤および前記非イオン性界面活性剤のそれぞれが、フッ素化ポリエーテルである、段落53の方法。
55.前記間隙液中の前記非イオン性界面活性剤の濃度が、前記油相中の前記イオン性界面活性剤の濃度とほぼ同一であるか、またはそれを超える、段落53の方法。
56.前記生成段階が、水相および油相に対して実施され、前記油相および前記間隙液のそれぞれが、種々の主たるまたは唯一の界面活性剤を含む、段落40から55のいずれかの方法。
57.前記エマルジョンを形成する段階の後で、前記小滴の変換段階の前に、前記連続相の一部を選択的に除去する段階をさらに含む、段落40から56のいずれかの方法。
58.前記間隙液を添加する段階が、少数を超えるカプセルの被膜に実質的にしわを作らず、被膜を破壊しない、段落40から57のいずれかの方法。
59.エマルジョンを調製するためのキットであって、(A)有効濃度の1種または複数の被膜形成性タンパク質を含む水相、(B)フッ素化油および少なくとも1種のフッ素化界面活性剤を含む非水性連続相、ならびに(C)前記非水性連続相中に配置された前記水相の小滴を含むエマルジョンを形成することができる小滴生成装置を含み、前記エマルジョンを閾値よりも高い温度で加熱することにより、各小滴と前記連続相の間に界面被膜を創出して、前記小滴をカプセルに変換する、キット。
60.前記水相が、標的核酸を増幅するための1種または複数の反応成分を含む、段落59のキット。
61.前記エマルジョンを加熱する段階が、前記水相中での1種または複数の被膜形成性タンパク質の溶解度を低下させる、段落59または60のキット。
62.(A)フッ素化油、およびフッ素化され負に帯電した少なくとも1種のイオン性界面活性剤を含む油相を準備する段階、(B)前記油相中に配置された、標的核酸を増幅するための反応混合物を提供する水相の小滴を含むエマルジョンを形成する段階、および(C)前記エマルジョンを少なくとも約50℃の温度まで加熱する段階を含む、安定化されたエマルジョンの生成方法。
63.前記少なくとも1種のイオン性界面活性剤が、フッ素化ポリエーテルである、段落62の方法。
64.前記反応混合物が、少なくとも1種のマグネシウム依存性酵素を含む、段落62または63の方法。
65.(A)フッ素化油、フッ素化アルコール、およびフッ素化界面活性剤を含む油相を準備する段階、(B)前記油相中に配置された水相の小滴を含むエマルジョンを形成する段階、(C)前記エマルジョンを少なくとも約50℃の温度まで加熱する段階を含む、安定化されたエマルジョンの生成方法。
66.前記フッ素化アルコールが2個以下のヒドロキシル基を有する、段落65の方法。
67.前記フッ素化アルコールが20個以下の炭素を有する、段落65または66の方法。
68.前記フッ素化アルコールがパーフルオロデカノールである、段落65から67のいずれかの方法。
69.前記フッ素化界面活性剤がフッ素化ポリエーテルである、段落65から68のいずれかの方法。
70.前記フッ素化ポリエーテルが負に帯電している、段落69の方法。
【0135】
(実施例6)
選択される実施形態III
この実施例では、カプセルを含むエマルジョンを用いるアッセイに関連し、限定なしに一連の番号を付した項目として提示される、選択される態様および実施形態について説明する。
1.(A)サンプルおよび有効濃度の1種または複数の被膜形成性タンパク質を含む水相を準備する段階、(B)非水性連続相中に配置された前記水相の小滴を含むエマルジョンを形成する段階、(C)各小滴と前記連続相の間に界面被膜を創出して、前記小滴をカプセルに変換するために、前記エマルジョンを加熱する段階、および(D)前記カプセルから前記サンプルに関係するアッセイデータを収集する段階を含む、アッセイの実施方法。
2.前記加熱段階が、前記エマルジョンを少なくとも約55℃の温度まで加熱する段階を含む、段落1の方法。
3.前記加熱段階が、前記エマルジョンを少なくとも約90℃より高い温度まで加熱する段階を含む、段落1または2の方法。
4.個々のカプセル中の標的核酸を増幅する段階をさらに含む、段落1から3のいずれかの方法。
5.前記標的核酸の増幅を促進するために、前記エマルジョンを熱サイクリングにかける段階をさらに含む、段落4の方法。
6.前記準備された水相が、前記被膜形成性タンパク質を少なくとも約0.01重量%の濃度で含む、段落1から5のいずれかの方法。
7.前記準備された水相が、前記被膜形成性タンパク質を少なくとも約0.03重量%の濃度で含む、段落1から6のいずれかの方法。
8.前記エマルジョンを形成する段階に非水性連続相として使用される油相を準備する段階をさらに含み、前記油相が、前記連続相中に負に帯電したフッ素化界面活性剤を含む、段落1から7のいずれかの方法。
9.前記フッ素化界面活性剤が、約0.05重量%〜約0.5重量%の濃度で存在する、段落8の方法。
10.前記カプセルが、前記加熱段階の後に高い充填密度を有し、前記データを収集する段階が、検出領域を直列的に移動するカプセルからデータを収集する段階を含む、段落1から9のいずれかの方法。
11.前記データを収集する段階が、カプセルを画像化する段階を含む、段落1から9のいずれかの方法。
12.前記水相が、少なくとも1種の界面活性剤を含む、段落1から11のいずれかの方法。
13.前記少なくとも1種の界面活性剤が、約0.01重量%〜5重量%の濃度で存在する、段落12の方法。
14.前記少なくとも1種の界面活性剤が、約0.1重量%〜1重量%の濃度で存在する、段落12の方法。
15.前記少なくとも1種の界面活性剤が、約0.5重量%の濃度で存在する、段落12の方法。
16.前記少なくとも1種の界面活性剤が、ポリプロピレンオキシドとポリエチレンオキシドのブロックコポリマーを含む、段落12から15のいずれかの方法。
17.前記水相を準備する段階が、界面活性剤および被膜形成性タンパク質を含む水相を準備するステップを含み、前記界面活性剤が、界面被膜の創出に必要ではない、段落1から16のいずれかの方法。
18.前記準備された水相が、前記被膜形成性タンパク質を約0.01重量%〜10重量%の濃度で含む、段落1から17のいずれかの方法。
19.前記準備された水相が、前記被膜形成性タンパク質を約0.03重量%〜3重量%の濃度で含む、段落1から17のいずれかの方法。
20.前記準備された水相が、前記被膜形成性タンパク質を約0.1重量%〜1重量%の濃度で含む、段落1から17のいずれかの方法。
21.前記被膜形成性タンパク質が、前記界面被膜の形成に必要である、段落1から20のいずれかの方法。
22.前記被膜形成性タンパク質が、血清アルブミン、カゼイン、ゼラチン、およびグロブリンからなる群から選択される、段落1から21のいずれかの方法。
23.前記被膜形成性タンパク質がウシ血清アルブミン(BSA)を含む、段落1から22のいずれかの方法。
24.前記エマルジョンを形成する段階が、約1μm〜500μmの平均直径を有する小滴を生成させる段階を含む、段落1から23のいずれかの方法。
25.前記エマルジョンを形成する段階が、単分散性である小滴を直列的に生成させる段階を含む、段落1から24のいずれかの方法。
26.フッ素化油および少なくとも1種のフッ素化界面活性剤を含む油相を準備する段階をさらに含み、前記エマルジョンを形成する段階が、前記油相中に配置された前記水相の小滴を生成させる段階を含む、段落1から25のいずれかの方法。
27.前記少なくとも1種のフッ素化界面活性剤がフッ素化ポリエーテルを含む、段落26の方法。
28.前記準備された油相が、前記フッ素化界面活性剤を約0.001重量%〜10重量%の濃度で含む、段落26または27の方法。
29.前記準備された油相が、前記フッ素化界面活性剤を約0.05重量%〜2重量%の濃度で含む、段落26または27の方法。
30.前記準備された油相が、前記フッ素化界面活性剤を約0.05重量%〜0.5重量%の濃度で含む、段落26または27の方法。
31.前記サンプルが標的核酸を含み、前記アッセイデータを収集する段階が、前記エマルジョンのカプセル中での前記標的核酸の増幅に関係するアッセイデータを収集する段階を含む、段落1から30のいずれかの方法。
32.前記エマルジョンを加熱する段階が、密閉部材で密閉された容器中に配置された前記エマルジョンに対して実施され、前記加熱段階の後に密閉部材に穴をあける段階をさらに含む、段落1から31のいずれかの方法。
33.前記エマルジョンを加熱する段階が、容器中に配置された前記エマルジョンに対して実施され、前記エマルジョン中に流体輸送デバイスのチップを配置する段階、およびカプセルを前記容器から前記チップを経由して前記流体輸送デバイス中に移動させる段階をさらに含む、段落1から32のいずれかの方法。
34.カプセルの流れを検出領域を通して押し流す段階をさらに含み、前記アッセイデータを収集する段階が、前記カプセルが前記検出領域を通って移動する際に実施される、段落1から33のいずれかの方法。
35.前記アッセイデータを収集する段階が、前記検出領域を通って直列的に移動する個々のカプセルからアッセイデータを収集する段階を含む、段落34の方法。
36.前記アッセイデータを収集する段階が、カプセルを画像化する段階を含む、段落1から33のいずれかの方法。
37.連続相中のカプセルの流れを少なくとも約100μL/minの流速で押し流す段階をさらに含む、段落1から36のいずれかの方法。
38.前記エマルジョンを形成する段階の後で、前記エマルジョンを加熱する段階の前に、前記連続相の一部を選択的に除去する段階をさらに含む、段落1から37のいずれかの方法。
39.前記エマルジョンを加熱する段階の前に、前記エマルジョン上に表面被覆を配置する段階をさらに含む、段落1から38のいずれかの方法。
40.前記表面被覆が、連続相中に配置された小滴を含む、段落39の方法。
41.前記表面被覆の前記小滴が、前記アッセイデータを収集する段階を妨害しない、段落40の方法。
42.前記表面被覆が、前記連続相と非混和性である水相または油相である、段落40の方法。
43.前記エマルジョンを加熱する段階が、前記エマルジョンが空気と接触するように、前記エマルジョン上の表面被覆なしに実施される、段落1から38のいずれかの方法。
44.前記エマルジョンを加熱する段階の後に、前記エマルジョンに間隙液を添加する段階をさらに含み、前記間隙液が前記連続相と混和性である、段落1から43のいずれかの方法。
45.前記間隙液を添加する段階の後に、前記エマルジョンのカプセルを、流体輸送デバイスを用いて採集する段階をさらに含む、段落44の方法。
46.前記間隙液が、界面活性剤の臨界ミセル濃度よりも実質的に高い濃度で存在する界面活性剤を含まない、段落44または45の方法。
47.前記エマルジョンを形成する段階に連続相として使用される油相を準備する段階をさらに含み、前記油相および前記間隙液のそれぞれが、ある重量パーセントの界面活性剤を含み、前記油相中の界面活性剤の前記重量パーセントが、前記間隙液中の場合よりも実質的に高い、段落44から46のいずれかの方法。
48.前記油相中の界面活性剤の前記重量パーセントが、前記間隙液中の場合の少なくとも約10倍高い、段落47の方法。
49.前記エマルジョンを形成する段階に連続相として使用される油相を準備する段階をさらに含み、前記油相がイオン性界面活性剤を含み、前記間隙液が非イオン性界面活性剤を含む、段落44から48のいずれかの方法。
50.(1)担体液中のカプセルの流れを、検出領域を通って伸びる流路に沿って押し流す段階、および(2)このようなカプセルが前記検出領域に到達する前に、カプセルの間隔をあけるために前記流路中の前記担体液に間隙液を添加する段階をさらに含む、段落1から49のいずれかの方法。
51.前記間隙液が、界面活性剤の臨界ミセル濃度よりも実質的に高い濃度で存在する界面活性剤を含まない、段落50の方法。
52.前記エマルジョンを形成する段階に連続相として使用される油相を準備する段階をさらに含み、前記油相および前記間隙液のそれぞれが、ある重量パーセントの界面活性剤を含み、前記油相中の界面活性剤の前記重量パーセントが、前記間隙液中の場合よりも実質的に高い、段落50または51の方法。
53.前記油相中の界面活性剤の前記重量パーセントが、前記間隙液中の場合の少なくとも約100倍高い、段落52の方法。
54.前記エマルジョンを形成する段階に連続相として使用される油相を準備する段階をさらに含み、前記油相がイオン性界面活性剤を含み、前記間隙液が非イオン性界面活性剤を含む、段落50から53のいずれかの方法。
55.(A)有効濃度の1種または複数の被膜形成性タンパク質を含む水相を準備する段階、(B)フッ素化油および少なくとも1種のフッ素化界面活性剤を含む油相を準備する段階、(C)前記油相中に配置された前記水相の小滴を含むエマルジョンを形成する段階、(D)各小滴と前記油相の間に界面被膜を創出することにより、前記小滴をカプセルに変換する段階、(E)個々のカプセル中で標的核酸を増幅するために、前記カプセルを熱サイクリングにかける段階、および(F)前記カプセルから増幅データを収集する段階を含む、アッセイの実施方法。
56.前記準備された水相が、前記被膜形成性タンパク質を少なくとも約0.01重量%の濃度で含む、段落55の方法。
57.前記準備された水相が、前記被膜形成性タンパク質を少なくとも約0.03重量%の濃度で含む、段落55の方法。
58.前記準備された油相が、前記フッ素化界面活性剤を約0.05重量%〜0.5重量%の濃度で含む、段落55の方法。
59.前記カプセルが、前記変換段階の後に高い充填密度を有し、前記増幅データを収集する段階が、検出領域を通って直列的に移動するカプセルから増幅データを収集する段階を含む、段落55から58のいずれかの方法。
60.前記変換段階が、前記エマルジョンを少なくとも約50℃の温度まで加熱する段階を含む、段落55から59のいずれかの方法。
61.(A)フッ素化油、およびフッ素化され負に帯電した少なくとも1種のイオン性界面活性剤を含む油相を準備する段階、(B)前記油相中に配置された大量の水相を含むエマルジョンを形成する段階、(C)前記エマルジョンを少なくとも約50℃の温度まで加熱する段階、(D)標的核酸を大量に増幅する段階、および(E)個々の体積中での前記標的核酸の増幅に関係するアッセイデータを収集する段階を含む、アッセイの実施方法。
【0136】
上に示した開示は、独立の有用性を有する多様で独特な本発明を包含することができる。これらの発明のそれぞれを、その好ましい形態で開示してきたが、本明細書中で開示または例示されるようなその具体的実施形態は、多くの変形形態が可能であるので、限定的意味で考慮されるべきでない。本発明の主題は、本明細書中に開示の種々の要素、特徴、機能、および/または特性のすべての新規および非明白な組合せおよび下位組合せを包含する。以下の特許請求の範囲は、新規および非明白とみなされる特定の組合せおよび下位組合せを特に指摘する。特徴、機能、要素、および/または特性のその他の組合せおよび下位組合せ中に包埋される発明は、本出願または関連出願に基づく優先権を主張する出願中で特許を請求することができる。このような特許請求は、異なる発明または同一発明のどちらに向けられようとも、かつ最初の特許請求に対して範囲がより広い、より狭い、等しい、または異なろうとも、同じく本開示の発明の主題内に包含されるとみなされる。