(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963686
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】運搬装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20160721BHJP
G03G 15/02 20060101ALI20160721BHJP
F16C 13/00 20060101ALN20160721BHJP
【FI】
G03G21/00 310
G03G15/02 103
!F16C13/00 B
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-2330(P2013-2330)
(22)【出願日】2013年1月10日
(65)【公開番号】特開2013-148896(P2013-148896A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2016年1月8日
(31)【優先権主張番号】13/354,022
(32)【優先日】2012年1月19日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユー・リウ
(72)【発明者】
【氏名】サラ・ジェイ・ヴェラ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・エー・クレンクラー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・エム・マクガイア
(72)【発明者】
【氏名】ナン−シン・フー
(72)【発明者】
【氏名】ウラジスラフ・スコロード
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ジェイ・ジェロイア
【審査官】
三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−241106(JP,A)
【文献】
特開2008−099035(JP,A)
【文献】
特開2008−064852(JP,A)
【文献】
特開2008−225237(JP,A)
【文献】
特開2000−147945(JP,A)
【文献】
特開2012−022213(JP,A)
【文献】
特開2013−029833(JP,A)
【文献】
特開2013−125272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/02
F16C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に使用するための運搬装置であって、
円筒状の支持部材と、
外面を備え、前記支持部材上に配置された外層であって、前記外面が第1の表面部と第2の表面部とを含み、前記第1の表面部は、機能性材料が中に分散された弾性マトリックスを備え、前記第2の表面部は、クリーニング材料を備え、前記機能性材料がパラフィン油を含む外層と、を備える運搬装置。
【請求項2】
前記第1の表面部が前記外面の約10パーセントから約90パーセントを含む、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項3】
第2の表面部が、円形、棒状、卵形、正方形、三角形、多角形およびそれらの組合せからなる群から選択される形状を有する不連続の断片を備える、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項4】
第2の表面部が、外面の周囲の螺旋状条片を備える、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項5】
前記第2の表面部が少なくとも1つの前記クリーニング材料からなる条片を備える、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項6】
前記第2の表面部が前記第1の表面部に埋め込まれている、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項7】
前記第2の表面部が前記第1の表面部の周囲に貼付されている、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項8】
前記弾性マトリックスが、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリフルオロシロキサン、ポリオレフィン、フルオロエラストマー、合成ゴム、天然ゴムおよびそれらの混合物からなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項9】
前記機能性材料が、アルカン、フルオロアルカン、アルキルシラン、フルオロアルキルシランアルコキシ−シラン、シロキサン、グリコールまたはポリグリコール、鉱油、合成油、天然油、及びそれらの混合物からなる群から選択される材料をさらに含む、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項10】
前記クリーニング材料が、ポリウレタン、ポリアミド、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリエチレン、ポリアクリレート、天然ゴムおよび合成ゴムからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項11】
前記クリーニング材料がブラシを含む、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項12】
前記第2の表面部は、発泡材料からなる、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項13】
前記外層が約0.1μmから約50mmの厚さを有する、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項14】
前記支持部材と前記外層との間に配置された内層をさらに備える、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項15】
前記内層は、約0.01ミクロンから約50ミクロンの大きさの孔を備える、請求項14に記載の運搬装置。
【請求項16】
画像形成装置であって、
a)基材と、基材上に配置された光伝導性部材とを備え、静電潜像をその表面に現像するための電荷保持面を有する、画像化部材と、
b)静電荷を画像化部材上に所定の電位まで印加するための帯電ユニットと、
c)前記帯電ユニットの表面に接触して配置された運搬部材であって、
ii)円筒状の支持部材と、
iii)前記支持部材上に配置され、外面を含む外層であって、前記外面が第1の表面部と第2の表面部とを含み、該第1の表面部は、機能性材料が分散された弾性マトリックスを備え、該第2の表面部は、クリーニング材料を備える外層と、を備え、
前記運搬部材が前記帯電ユニットの前記表面に機能性材料を約0.1ng/cm2から約1μg/cm2の割合で提供し、
前記弾性マトリックスが架橋性ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含み、前記機能性材料がパラフィン油を含む、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般には、画像化部材、感光体および光伝導体等の表面への機能性材料または潤滑剤の運搬に関する。本開示は、また、帯電部材の表面のクリーニングに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真または電子写真印刷において、典型的には感光体として知られる電荷保持面を静電帯電させ、次いで原画像の光パターンに露光して、それに従って表面を選択的に放電させる。感光体上の得られた帯電部および放電部のパターンは、原画像に合致した潜像として知られる静電荷パターンを形成する。潜像は、それを、トナーとして知られる微細な静電誘引可能な粉末と接触させることによって現像される。トナーは、感光体表面の静電荷によって画像部上に保持される。このようにして、複写または印刷される原物の光画像に合致したトナー画像が生成される。次いで、トナー画像を基材または支持部材(例えば紙)に直接、または中間転写部材の使用を介して転写し、画像をそれに固定して、複写または印刷される画像の永久的な記録物を形成してもよい。現像に続いて、電荷保持面に残された過剰のトナーを表面から一掃する。この方法は、原物からの光レンズ複写、またはラスターアウトプットスキャナ(ROS)等による電子的に生成もしくは記憶された原物の印刷に有用であり、帯電した表面を様々な方法で画像様に放電させることができる。
【0003】
記載の電子写真複写方法は、周知であり、原稿の光レンズ複写に広く使用されている。例えば、電荷が、電子的に生成または記憶された画像に応答して電化保持面に堆積するデジタルレーザ印刷および複写などの他の電子写真印刷用途でも同様の方法が存在する。
【0004】
感光体の表面を帯電させるために、米国特許第4,387,980号明細書および米国特許第7,580,655号明細書に開示されているような接触式帯電デバイスが使用されてきた。「バイアス帯電ロール」(BCR)とも呼ばれる接触式帯電デバイスは、DC電圧に、DC電圧のレベルの2倍以上のAC電圧が重畳された電源からの電圧が供給される導電性部材を含む。帯電デバイスは、帯電される部材である画像担持部材(感光体)表面に接触する。接触式帯電デバイスは、画像担持部材を所定の電位に帯電させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子写真用感光体をいくつかの形で提供することができる。例えば、感光体は、単一材料(例えば、ガラス状セレン)の均一層であってもよく、または、光伝導層と別の材料とを含有するコンポジット層であってもよい。それに加え、感光体を層状にしてもよい。多層感光体または多層画像化部材には、少なくとも層が2つあり、基材と、導電層と、場合によりアンダーコート層(時に、「電荷遮断層」または「正孔遮断層」と呼ばれる)と、場合により接着層と、光発生層(時に、「電荷発生層」、「電荷を発生する層」または「電荷発生剤の層」と呼ばれる)と、電荷輸送層と、場合によりオーバーコーティング層とを、可とう性ベルト形態または硬いドラム構造のいずれかで備えていてもよい。この多層構造では、感光体の活性層は、電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)である。これらの層間の電荷輸送を高めると、感光体の性能が高まる。多層可とう性感光体部材は、感光体を望ましい平坦な状態にするために、基材の裏側かつ電気的に活性な層とは反対側にアンチカール層を備えていてもよい。
【0006】
近年、有機感光体が、電子写真の目的で広く使用されている。有機感光体が、低コストで作製することが容易であり、機械的可とう性、容易な廃棄性および環境的持続可能性の利点を有するためである。しかし、繰り返し帯電時に発生する微小コロナが有機光伝導体にダメージを与えるため、画像化表面が急速に摩耗する。
【0007】
また、感光体の耐用年数をさらに高めるために、感光体を保護し、性能(例えば、耐摩耗性)を高めるためにオーバーコート層が使用されていた。しかし、これらの低摩耗性オーバーコートは、摩耗速度が特定の速度まで低下するため、多湿環境では、Aゾーン欠損による画質の劣化を招く。加えて、Aゾーンにおける低摩耗性オーバーコートに伴う高トルクが、モーター故障、ブレードダメージ、ならびにBCRおよび感光体に対する汚染などの、BCR帯電システムの深刻な問題を引き起こす。そのため、BCR帯電システムに低摩耗性オーバーコートを使用するには、まだ課題があり、感光体の寿命を延ばすための方法を見いだす必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
画像形成装置に使用するための運搬部材を本明細書に開示する。運搬部材は、円筒状の支持部材と、外層とを備える。外層は、外面を備える。外面は、第1の表面部と第2の表面部とを備える。第1の表面部は、その中に機能性材料が分散された弾性マトリックスを備え、第2の表面部は、クリーニング材料を備える。
【0009】
静電潜像を現像するための電化保持面を有する画像化部材を備える画像形成装置を本明細書に開示する。画像化部材は、基材と、基材上に配置された光伝導性部材とを備える。画像化装置は、画像化部材上に静電電荷を所定の電位まで印加するための帯電ユニットを含む。画像化装置は、帯電ユニットの表面に接触する運搬部材を含む。運搬部材は、円筒状の支持部材と、支持部材上に配置された外層とを備える。外層は、第1の表面部と第2の表面部とを含む外面を備える。第1の表面部は、機能性材料が分散された弾性マトリックスを備え、第2の表面部は、クリーニング材料を備える。
【0010】
画像形成装置に使用するための運搬装置を本明細書に開示する。運搬装置は、円筒状の支持部材と、機能性材料が含浸された弾性マトリックスを備える、支持部材上に配置された内層とを含む。外層が内層上に配置され、外層は、第1の表面部と第2の表面部とを含む外面を備える。第1の表面部は、その中に機能性材料が分散された弾性マトリックスを備える。第2の表面部は、クリーニング材料を備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態にかかるドラム構造の画像化部材の断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態にかかるベルト構造の画像化部材の断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態にかかる運搬部材を実装したシステムの断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態にかかる運搬部材を実装したシステムの代替例の断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態にかかる運搬部材の側面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態にかかる運搬部材の側面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態にかかる運搬部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、ドラム構造を有する多層電子写真用画像化部材または感光体の例示的な実施形態である。さらに、画像化部材は、円筒形構造であってもよい。図からわかるであろうが、例示的な画像化部材は、硬い支持基材10と、導電性接地面12と、アンダーコート層14と、電荷発生層18と、電荷輸送層20とを備えている。場合により、電荷輸送層20の上に配置されたオーバーコート層32が含まれていてもよい。基材10は、金属、金属アロイ、アルミニウム、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、バナジウム、ハフニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、タングステン、モリブデン、およびこれらの混合物からなる群から選択される材料であってもよい。また、基材10は、金属、ポリマー、ガラス、セラミック、および木材からなる群から選択される材料を含んでいてもよい。
【0013】
電荷発生層18および電荷輸送層20は、本明細書に記載の画像化層を2つの別個層として形成する。この図に示されているものの代わりに、電荷発生層18が電荷輸送層20の上部に配置されていてもよい。あるいは、これらの層の機能的要素を単一の層に統合してもよいことが理解されるだろう。
【0014】
図2は、ある実施形態にかかる、ベルト構造を有する画像化部材または感光体を示す。示されているように、このベルト構造は、アンチカール裏側コーティング1と、支持基材10と、導電性接地面12と、アンダーコート層14と、接着層16と、電荷発生層18と電荷輸送層20とで提供されている。場合により、オーバーコート層32および接地片19も含まれていてもよい。ベルト構造を有する例示的な感光体が、米国特許第5,069,993号明細書に開示されている。
【0015】
上述のように、電子写真用画像化部材は、一般的に、少なくとも基材層と、基材の上に配置された画像化層と、場合により、画像化層の上に配置されたオーバーコート層とを備えている。さらなる実施形態では、画像化層は、基材の上に配置された電荷発生層と、電荷発生層の上に配置された電荷輸送層とを備えている。他の実施形態では、アンダーコート層が含まれていてもよく、アンダーコート層は、一般的に、基材と画像化層の間に置かれるが、これらの層の間にさらなる層が存在し、置かれていてもよい。画像化部材は、特定の実施形態では、アンチカール裏側コーティング層も含んでいてもよい。電子写真式画像化プロセスでこの画像化部材を使用することができ、まず、導電層の上に光伝導性絶縁層を含む電子写真用平板、ドラム、ベルトなど(画像化部材または感光体)の表面を均一に静電的に帯電させる。次いで、画像化部材に所定のパターンの活性化電磁放射線(例えば、光)をあてる。この放射線は、静電潜像を残しながら、光伝導性絶縁層の照射された領域にある電荷を選択的に消失させる。次いで、この静電潜像を現像し、光伝導性絶縁層の表面に、極性が同じまたは反対の帯電粒子を堆積させることによって可視化画像を作成してもよい。次いで、得られた可視化画像を画像化部材から直接的または間接的に(例えば、転写部材または他の部材によって)印刷基材(例えば、透明物または紙)に転写してもよい。再利用可能な画像化部材を用いると、画像化プロセスを多数回繰り返すことができる。
【0016】
一般的な印刷品質の問題は、これらの感光体層の品質および相互作用に強く依存する。例えば、感光体を接触帯電器および化学重合によって得られるトナー(重合トナー)と併用すると、接触帯電によって生じる放電生成物または洗浄工程後に残った重合トナーによって感光体表面が汚染されることによって画質が悪化する恐れがある。さらに、繰り返し何度も使用することによって、感光体の最外層が、各サイクル中の画像化のために感光体を洗浄および/または調製するために用いられる他の機械のサブシステム要素との間に高い摩擦を生じる。機械のサブシステム要素に対し、繰り返し周期的な機械同士の相互作用が生じると、感光体は、最外側の有機感光体層表面が摩擦によってひどく摩耗し、感光体の有用寿命がかなり短くなってしまうことがある。最終的に、生じた摩耗が感光体の性能を悪化させ、それにより画質も悪化する。別の種類の一般的な画像の欠陥は、感光体のどこかに電荷が蓄積することによって生じると考えられる。結果的に、連続的な画像が印刷されると、その蓄積された電荷が、その時点の印刷画像の画像密度を変えてしまい、すでに印刷された画像があらわれてしまう。ゼログラフィープロセスでは、転写ステーションからの空間的にばらつきのある量の正電荷が、感光体表面上に存在する。このばらつきがかなり大きくなると、それ自体が次のゼログラフィーサイクルで画像電位のばらつきとしてあらわれ、欠陥として出力されることになる。
【0017】
感光体の寿命を延ばすための従来からあるアプローチは、耐摩耗性のオーバーコート層を塗布することである。バイアス帯電ローラー(BCR)による帯電システムの場合、オーバーコート層は、Aゾーンでの欠損(すなわち、Aゾーン:28℃、85%RHで生じる画像の欠陥)と感光体の摩耗速度との二律背反を招く。例えば、ほとんどの有機光伝導体(OPC)材料の設定は、Aゾーンでの欠損を抑制するために、ある程度の摩耗速度を必要とするため、感光体の寿命が制限される。しかし、本発明の実施形態は、画像欠損の減少などの感光体の画質を維持しながら、感光体の摩耗速度を低下させることを実証した。本発明の実施形態は、BCR帯電システムの両方にとって、顕著に寿命の長い感光体技術を提供する。
【0018】
開示の実施形態は、一般には、運搬装置に向けられる。運搬ローラーは、2つの表面部を有する外面を有する外層を含む。機能性材料をBCRの表面に運搬するための第1の表面部と、BCRの表面をクリーニングするクリーニング材料を備える第2の表面部である。第1の表面部をBCRに断続的に接触させることにより、高トルクおよびAゾーン欠損の問題が解決され、第2の表面部をBCRに断続的に接触させることにより、BCR汚染を抑制する運搬ロールの機能、特にナノサイズの添加剤粒子のクリーニングが強化される。ある実施形態において、第1の表面部は、外面の約10パーセントから約90パーセント、または外面の30パーセントから約80パーセント、または外面の40パーセントから約75パーセントを構成する。
【0019】
本発明の実施形態は、機能性材料の層を感光体表面に直接、または帯電ローラーを介して運搬するための運搬装置およびシステムを採用する。機能性材料は、感光体表面に塗布され、潤滑剤、および/または水分および表面汚染物に対する障壁として作用し、例えばAゾーン環境などの高湿度条件でのゼログラフィー性能を向上させる。この極めて薄い層は、ナノスケールまたは分子レベルで提供されてもよい。
【0020】
図3〜
図7は、本発明の実施形態にかかる運搬部材を示す。
図3には、BCR帯電システムの中の画像形成装置が示されている。示されるように、運搬部材38は、BCR36と接しており、BCR36の表面に機能性材料の極めて薄い層を運ぶ。BCR36は、次に、機能性材料を感光体34の表面上に転写する。運搬部材38は、様々な構造および位置でゼログラフィー印刷システムに統合されてもよい。わかるであろうが、オーバーコートされた感光体ドラム34が回転するに従って、機能性材料が含浸された運搬部材38は、前記材料をBCR36の表面に運搬し、次いでそれが、機能性材料を感光体34の表面に転写する。加えて、運搬部材38は、BCR36の表面を連続的にクリーニングする。あるいは、運搬部材38は、機能性材料を直接運搬するために、感光体34と直接接触し得る(
図4)。電子写真の複写プロセスを始めるため、感光体34は、BCR36によって実質的に均一に帯電する。次いで、帯電した感光体34を光像にさらし、光受容性部材(示していない)の上に静電潜像が作られる。次に、この潜像をトナー現像器40によって可視化画像へと現像する。その後、現像したトナー画像を、感光体部材から記録媒体を介して複写紙またはある種の他の画像支持基材に転写し、元々の書類(示していない)の複製を製造するために、画像が永久的に固定されてもよい。次いで、連続的な画像化サイクルの準備段階として、感光体表面は、一般的に、クリーナー42で洗浄され、残った現像材料が取り除かれる。
【0021】
運搬部材38は、機能性材料をBCR36の表面に運搬することに加えて、BCR36の表面をクリーニングする。運搬部材38を以下により詳細に説明する。
【0022】
図5は、本発明の実施形態にかかる運搬部材38を示す。運搬部材38は、2つの表面部47および48を含む外層50を備える。表面部47は、機能性材料が含浸された弾性マトリックスを備える。表面部48は、クリーニング材料を備える。
図5には、外層50を支持する任意の内層51が示されている。支持部材46は、内層51を支持する。内層51が存在しなければ、外層50は、支持部材46によって支持される。
図5に示される実施形態において、表面部48は、運搬部材38に螺旋状に巻きつけられている。この螺旋状の巻体は、表面部47に貼付されているか、または埋め込まれている。
【0023】
表面部48を弾性層に巻きつける方法により、クリーニング表面部47とBCRとの接触が影響され得る。埋め込み設計では、接触の問題はない。
【0024】
図6は、本発明の実施形態にかかる運搬部材38の別の実施形態を示す。運搬部材38は、2つの表面部47および48を含む外面を備える。表面部47は、機能性材料が含浸された弾性マトリックスを備える。表面部48は、クリーニング材料を備え、不連続な断片として外面上に配置される。
図6には、外層50を支持する任意の内層51が示されている。支持部材46は、内層51を支持する。内層51が存在しなければ、外層50は、支持部材46によって支持される。
図6に示される実施形態において、表面部48は、表面部47に埋め込まれるか、または貼付される。表面部48の不連続な断片は、任意の形状であり得る。ある実施形態には、円形、棒状、卵形、正方形、三角形、多角形およびそれらの組合せなどの形状が含まれる。断片は、運搬部材38が回転すると、BCRの外面が少なくとも1つの断片に接触するように外面に沿って縦に配置される。
【0025】
図7は、本発明の実施形態にかかる運搬部材38の代替的な実施形態を示す。運搬部材38は、2つの表面部47および48を含む外面を備える。表面部47は、機能性材料が含浸された弾性マトリックスを備える。表面部48は、クリーニング材料を備え、少なくとも1つの条片として表面部47に貼付されるか、または埋め込まれる。
図7には、外層50を支持する任意の内層51が示されている。支持部材46は、内層51を支持する。内層51が存在しなければ、外層50は、支持部材46によって支持される。
【0026】
ある実施形態では、支持部材46は、ステンレス製の棒である。支持部材46は、さらに、金属、金属アロイ、プラスチック、セラミック、ガラス、およびこれらの混合物からなる群から選択される材料を含んでいてもよい。
【0027】
支持部材46の直径および内層51の厚みは、用途ニーズに応じて異なっていてもよい。特定の実施形態では、支持部材は、直径が約3mm〜約10mmである。
【0028】
本発明の実施形態において、表面部47に含まれる機能性材料を外面層の表面に運搬する。機能性材料を画像化部材の表面に、BCR表面への転写を介して間接的に転写する(
図3)。本発明の実施形態によって製造された運搬部材は、感光体の表面に機能性材料の極めて薄い層を連続的に供給するのに十分な量の機能性材料を含むことが示されている。
【0029】
長寿命の感光体(P/R)は、有意なコスト低減を可能にする。一般に、P/R寿命の拡張は、耐摩耗性オーバーコートで達成される。しかし、耐摩耗性オーバーコートは、Aゾーン欠損(高湿度で生じる印刷欠陥)を招く。たいていの有機感光体材料は、Aゾーン欠陥を抑制するために、2nm/Kサイクル(スコロトロン帯電システム)または約5nm/Kサイクルから約10nm/Kサイクル(BCR帯電システム)の最小摩耗速度を必要とする。加えて、耐摩耗性オーバーコートは、モーターの故障および(印刷物におけるストリーキングに至る)ブレード損傷などのBCR(バイアス帯電ローラー)帯電システムに伴う問題に至る高トルクをもたらす。表面部47は、機能性材料を運搬部材38の表面に運搬するための孔(約1μm未満、または約500nm未満、または約300nm未満)を有する弾性材料で構成される。
図4〜6に示される運搬部材38を、外面を支持するための弾性材料の内層51で構成することができる。当該実施形態において、内層51の孔は、約0.01ミクロンから約50ミクロン、または孔は、約8ミクロンから約20ミクロン、または孔は、約10ミクロンから約17ミクロンである。内層51の孔は、官能性材料が充填される。表面部47の外層の孔がより小さくなると、内層から外面への機能性材料の拡散が抑制される。二重層ローラーは、機能性材料の極めて薄い膜を、BCRの表面に塗布しながら、BCR表面のクリーニングも行う。
【0030】
ある実施形態では、機能性材料は、有機化合物もしくは無機化合物、オリゴマーもしくはポリマー、またはこれらの混合物であってもよい。機能性材料は、液体、ワックスまたはゲル、およびこれらの混合物の形態であってもよい。また、機能性材料は、潤滑性材料、疎水性材料、撥油性材料、両親媒性材料、およびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。機能性材料の実例としては、例えば、炭化水素、炭化フッ素、鉱油、合成油、天然油およびそれらの混合物からなる群から選択される液体材料を挙げることができる。機能性材料は、さらに、感光体表面への機能性材料の吸着を促進する官能基と、場合により、感光体表面を化学的に改質し得る反応性基とを含んでいてもよい。例えば、官能性材料は、パラフィン系化合物、アルカン、フルオロアルカン、アルキルシラン、フルオロアルキルシランアルコキシ−シラン、シロキサン、グリコールもしくはポリグリコール、鉱油、合成油、天然油またはそれらの混合物を含んでいてもよい。
【0031】
ある実施形態では、内層は、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリエステル、フルオロ−シリコーン、ポリオレフィン、フルオロエラストマー、合成ゴム、天然ゴムおよびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーで構成されていてもよい。
【0032】
ある実施形態では、表面部47は、ポリシロキサン、シリコーン、ポリウレタン、ポリエステル、フルオロ−シリコーン、ポリオレフィン、フルオロエラストマー、合成ゴム、天然ゴム、およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーである。
【0033】
ある実施形態において、表面部48は、発泡材料であってもよい。該材料は、ポリウレタンポリアミド、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリエチレン、ポリアクリレート、天然ゴムおよび合成ゴムからなる群から選択される。加えて、表面部48は、ブラシの形であってもよい。
【0034】
特定の実施形態では、表面部47は、支持部材46の周囲に成型されたパラフィン含浸シリコーンである。パラフィンを架橋性ポリジメチルシロキサン(PDMS)に混入し、次いで混合物を鋳型の使用によって支持部材46上に成型することによって、パラフィン含浸シリコーンの表面部47を作製することができる。その後、PDMSを硬化させる。表面部48は、表面部47に巻きつけられるか、または貼付される。
【0035】
表面層の厚さを変えてもよい。例えば、表面層は、約0.1μmから約50mm、または約100μmから約20mm、または約1mmから約5mmの厚みを有することができる。
【0036】
ある実施形態では、感光体表面に運ばれる機能性材料の量は、感光体の性能特性を保持するのに十分な量でなければならない。感光体表面がドラムである場合は、機能性材料を様々な量、例えば、分子レベル、または約0.1ng/cm
2から約1μg/cm
2、もしくは約0.5ng/cm
2から約0.1μg/cm
2、もしくは約1ng/cm
2から約50ng/cm
2の量でBCR表面に運搬し、次いで感光体表面に運搬することができる。本発明の実施形態は、運搬ロールを備えていないシステムと比較して、低い感光体摩耗速度、ならびに画像における少ないストリーキングおよびAゾーン欠損を示すシステム(運搬ロールを備えたシステム)を提供する。
【0037】
以下に、光伝導体の実施形態について記載する。
【0038】
オーバーコート層
例えば、場合により、オーバーコート層32の上に画像化部材の他の層が含まれていてもよい。任意要素のオーバーコート層32は、所望な場合、画像化部材表面を保護し、耐引っかき性を高めるために電荷輸送層20の上に配置されてもよい。ある実施形態では、オーバーコート層32は、約0.1マイクロメートルから約15マイクロメートル、または約1マイクロメートルから約10マイクロメートル、あるいは特定の実施形態では約3マイクロメートルから約10マイクロメートルの範囲の厚さを有していてもよい。これらのオーバーコート層は、典型的には、電荷輸送要素と、任意の有機ポリマーまたは無機ポリマーとを備える。これらのオーバーコート層は、熱可塑性有機ポリマー、または熱硬化性樹脂、および紫外線もしくは電子ビーム架橋樹脂等の架橋ポリマーを含んでいてもよい。オーバーコート層は、酸化アルミニウムおよびシリカを含む金属酸化物などの粒状添加剤、または低表面エネルギーポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびそれらの組合せをさらに含んでいてもよい。
【0039】
基材
感光体支持基材10は、不透明であってもよく、または実質的に透明であってもよく、必須の機械特性を有する任意の適切な有機材料または無機材料を含んでいてもよい。基材全体が導電性表面と同じ材料を含んでいてもよく、または、導電性表面は、単に基材のコーティングであってもよい。任意の適切な導電性材料、例えば、金属または金属アロイを使用してもよい。導電性材料としては、銅、真鍮、ニッケル、亜鉛、クロム、ステンレス鋼、導電性プラスチックおよびゴム、アルミニウム、半透明性アルミニウム、鋼、カドミウム、銀、金、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、バナジウム、ハフニウム、チタン、ニッケル、ニオブ、ステンレス鋼、クロム、タングステン、モリブデン、その中に好適な材料を含めることによって、または材料に導電性を付与するのに十分な水分を存在させるための多湿雰囲気中での調湿を介して導電性が付与された紙、インジウム、錫、ならびに酸化錫および酸化インジウム錫を含む金属酸化物等が挙げられる。基材は、単一の金属化合物、あるいは異なる金属および/または酸化物の二重層であり得る。
【0040】
接地面
導電性接地面12は、例えば、真空蒸着技術のような任意の適切なコーティング技術によって基材10の上に形成されてもよい導電性金属層であってもよい。金属としては、アルミニウム、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、バナジウム、ハフニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、タングステン、モリブデン、および他の導電性基質、およびこれらの混合物が挙げられる。導電層は、厚みが、電子写真用導電性部材にとって望ましい光学的透明性および可とう性に依存して、実質的に広い範囲にわたって変わってもよい。したがって、可とう性光応答性画像化デバイスの場合、導電層の厚みは、導電性、可とう性、光透過性の最適な組合わせのために、少なくとも約20オングストローム、または約750オングストローム以下、または少なくとも約50オングストローム、または約200オングストローム以下であってもよい。
【0041】
正孔遮断層
導電性接地面層を堆積させた後、正孔遮断層14をその上に塗布してもよい。正に帯電した感光体のための電子遮蔽層によって、正孔が感光体の画像化表面から導電層の方に移動することができる。負に帯電した感光体の場合、導電層から反対側の光伝導層に正孔が注入されるのを防ぐための障壁を作成することができる任意の適切な正孔遮断層を利用してもよい。正孔遮断層は、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリアミドおよびポリウレタンなどのポリマーを含んでいてもよく、またはトリメトキシシリルプロピレンジアミン、加水分解トリメトキシシリルプロピルエチレンジアミン、N−ベータ−(アミノエチル)ガンマ−アミノ−プロピルトリメトキシシラン、イソプロピル4−アミノベンゼンスルホニル、ジ(ドデシルベンゼンスルホニル)チタネート、イソプロピルジ(4−アミノベンゾイル)イソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−エチルアミノ−エチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリアントラニルチタネート、イソプロピルトリ(N,N−ジメチルエチルアミノ)チタネート、チタニウム−4−アミノベンゼンスルホネートオキシアセテート、チタニウム4−アミノベンゾエートイソステアレートオキシアセテート、[H
2N(CH
2)
4]CH
3Si(OCH
3)
2、(ガンマ−アミノブチル)メチルジエトキシシランおよび[H
2N(CH
2)
3]CH
3Si(OCH
3)
2(ガンマ−アミノプロピル)メチルジエトキシシランなどの窒素含有シロキサンもしくは窒素含有チタン化合物であってもよい。
【0042】
その後、電荷発生層18をアンダーコート層14に塗布してもよい。電荷を発生する/光伝導性材料を含む任意の適切な電荷発生バインダー(粒子の形態であり、膜形成バインダー中に分散していてもよい、例えば、不活性樹脂)を利用してもよい。電荷を発生する材料の例としては、例えば、無機光伝導性材料、例えば、非晶質セレニウム、三方晶セレニウム、ならびにセレニウム−テルル、セレニウム−テルル−ヒ素、ヒ化セレニウムおよびそれらの混合物から選択されるセレニウム合金、ならびに様々なフタロシアニン顔料、例えば、X型の無金属フタロシアニン、金属フタロシアニン、例えば、バナジルフタロシアニンおよび銅フタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、チタニルフタロシアニン、キナクリドン、ジブロモアンタントロン顔料、ベンズイミダゾールペリレン、置換2,4−ジアミノ−トリアジン、多核芳香族キノンおよびエンズイミダゾールペリレン等を含む有機光伝導性材料、ならびに膜形成ポリマーバインダーに分散されたそれらの混合物が挙げられる。セレニウム、セレニウム合金およびベンズイミダゾールペリレン等、ならびにそれらの混合物を連続的な均一の電荷発生層として形成してもよい。ベンズイミダゾールペリレン組成物は、周知であり、例えば米国特許第4,587,189号明細書に記載されている。光伝導層が電荷発生層の特性を増強または低下させる場合には、多電荷発生層組成物を使用してもよい。望まれる場合は、当該技術分野で既知の他の好適な電荷発生材料を利用してもよい。選択される電荷発生材料は、静電潜像を形成するための電子写真画像化法における画像状放射線露光工程を通じて、約400nm〜約900nmの波長を有する活性化放射線に感応性であるべきである。例えば、ヒドロキシガリウムフタロシアニンは、例えば米国特許第5,756,245号明細書に開示されているように、約370〜約950nmの波長の光を吸収する。
【0043】
電荷輸送層
ドラム感光体では、電荷輸送層は、同じ組成物の単一層を含む。この場合、電荷輸送層について、単一層20の観点で特定的に述べているが、この詳細を二重の電荷輸送層を有する実施形態に適用することも可能であろう。その後、電荷輸送層20を電荷発生層18の上に塗布し、電荷発生層18から光によって発生した正孔または電子の注入を助けることが可能で、電荷輸送層を介し、この正孔/電子を輸送し、画像化部材表面の表面電荷を選択的に放電させることが可能な任意の適切な透明有機ポリマーまたは非ポリマー材料を含んでいてもよい。一実施形態では、電荷輸送層20は、正孔を輸送するのに役立つだけではなく、電荷発生層18を引っかき傷または化学物質による攻撃から守るのにも役立ち、したがって、画像化部材の耐用年数を延ばすだろう。電荷輸送層20は、実質的に非光伝導性材料であってもよいが、電荷発生層18から光によって発生した正孔を注入するのにも役立つ材料であってもよい。
【化1】
【0044】
接着層
任意の個別の接着性界面層を、例えば可とう性ウェブ構造などの特定の構造で設けてもよい。
図1に示す実施形態では、界面層は、遮蔽層14と電荷発生層18との間に位置しているだろう。界面層は、コポリエステル樹脂を含んでいてもよい。界面層に利用してもよい例示的なポリエステル樹脂としては、Toyota Hsutsu Inc.から市販されているARDEL POLYARYLATE(U−100)、いずれもBostikからのVITEL PE−100、VITEL PE−200、VITEL PE−200DおよびVITEL PE−222などのポリアイレートポリビニルブチラール、Rohm Hassからの49000ポリエステルおよびポリビニルブチラールが挙げられる。接着層を正孔遮断層14に直接塗布することができる。したがって、ある実施形態における接着性界面層は、真下の正孔遮断層14および真上の電荷発生層18の双方と直接連続的に接触することで、接着接合を強化して結合を確保する。さらに他の実施形態では、接着性界面層が全面的に省略される。
【0045】
接地片
接地片は、膜形成ポリマーバインダーと、導電性粒子とを含んでいていてもよい。導電性接地片層19に任意の適切な導電性粒子を使用してもよい。接地片19は、米国特許第4,664,995号明細書に列挙されているものを含む材料を備えていてもよい。導電性粒子としては、カーボンブラック、グラファイト、銅、銀、金、ニッケル、タンタル、クロム、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、インジウムおよび酸化錫等が挙げられる。導電性粒子は、任意の好適な形状を有していてもよい。形状としては、不規則形状、粒状、球状、楕円状、立方体状、片状および糸状等を挙げることができる。導電性粒子は、過度に不規則な外表面を有する導電性接地片層を回避するために、導電性接地片層の厚さより小さい粒径を有するべきである。約10マイクロメートル未満の平均粒径であると、一般に、乾燥された接地片層の外表面における導電性粒子の過度の突出が回避され、乾燥された接地片層のマトリックス全体を通じて粒子が比較的均一に分散される。接地片に使用される導電性粒子の濃度は、利用される具体的な導電性粒子の導電性などの要因に依存する。
【0046】
アンチカール裏側コーティング層
アンチカール裏側コーティング1は、絶縁性またはわずかに半導体性の有機ポリマーまたは無機ポリマーを含んでいてもよい。アンチカール裏側コーティングは、平坦さおよび/または耐引っかき性を付与する。
【実施例】
【0047】
運搬ロールを有さない試験機(Xerox WorkCentre7345)に低摩耗性のオーバーコートされたP/Rを使用して印刷物を得た。得られた画像は、わずか数百サイクル後に、ブレードびびり、高トルクおよびBCRの汚染によって引き起こされた酷いAゾーン欠損および縞を示した。BCRに対する酷い汚染が認められた。市販の機械のクリーニングシステムは、オーバーコートされたP/Rを使用した場合に、汚染を除去するのに効果的でない。
【0048】
図5に記載の設計の実施形態を製造し、試験した。パラフィンが含浸されたポリジメチルシロキサン(PDMS)運搬ロールにポリウレタンの連続気泡発泡体材料を螺旋状に巻きつけた。半分の長さが上述のように運搬ロールであり、半分の長さがパラフィン含浸PDMSの運搬ロールである試験装置を作製し、同じ機械にて使用した。
【0049】
図5に示される運搬ロールは、サイクル数が15000を超えても、BCRに対する汚染を効果的に防止した。加えて、運搬ロールは、Aゾーンにおける欠損および高トルクを最小限に抑えるのに効果的であった。それに比べて、PDMSおよびパラフィン油のみの運搬ロールは、BCRのクリーニングについてはそれほど効果的でなかった。BCRクリーニング発泡体は、例えば、低摩耗性P/Rを使用した場合に3000サイクル後もBCRのクリーニングに効果的でなかった。運搬ロール/クリーニング発泡体との接触の設計による印刷物の部分は、良好な画質を有し、15000サイクル後もBCRが汚染されていなかった。これに対して、運搬またはクリーニングシステムを有さない印刷物の部分は、劣った画質(縞および欠損)をもたらした。