(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した水田作業機において、各繰出機構における粉粒体送出部に粉粒体搬送風を供給し、粉粒体送出部に繰り出された粉粒体を粉粒体搬送風によって供給部に搬送するよう構成すれば、粉粒体送出部から供給部までの搬送経路が長くても、搬送経路における詰まりが生じ難いなど有利に搬送することができる。
上記した従来の技術を適用することにより、複数の繰出機構における粉粒体送出部にブロワからの粉粒体搬送風を分配供給するよう構成した場合、供給される粉粒体搬送風の風圧が強い粉粒体送出部と弱い粉粒体送出部とができるとか、粉粒体送出部によっては、供給される粉粒体搬送風の風量不足が生じるなど、供給不良が生じ易いおそれがある。繰出機構の数が多くなるほど、供給不良が生じ易い。
つまり、従来の技術を適用した場合、複数の繰出機構における粉粒体送出部に粉粒体搬送風を分配供給する分配供給管を、複数の繰出機構のうちの左側の繰出機構の粉粒体送出部に接続される左側の分割分配供給管と、複数の繰出機構のうちの右側の繰出機構における粉粒体送出部に接続される右側の分割分配供給管とによって構成し、左側の分割分配供給管においても、右側の分割分配供給管においても、走行機体横内側端に位置する導入口にブロワからの粉粒体搬送風が送り込まれるよう構成することになる。従って、分割分配供給管の導入口側と終端側とにおける粉粒体搬送風の風力差及び風量差が大きくなりがちである。繰出機構の数が多くなるほど、分割分配供給管の長さが長くなり、風力差及び風量差がより大きくなる。
【0005】
本発明の目的は、複数の繰出機構における粉粒体送出部にブロワからの粉粒体搬送風を分配供給して、供給部に粉粒体を粉粒体搬送風によって搬送できるものでありながら、搬送不良を回避し易い水田作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明による水田作業機は、
走行機体に機体横方向に並べて設けられ、タンクから粉粒体を繰り出す複数の繰出機構と、
前記複数の繰出機構のうちの走行機体横中央寄りの繰出機構、前記複数の繰出機構のうちの前記走行機体横中央寄りの繰出機構よりも左側の繰出機構、前記複数の繰出機構のうちの前記走行機体横中央寄りの繰出機構よりも右側の繰出機構それぞれに設けられた粉粒体送出部に各別に接続され、前記複数の繰出機構からの粉粒体を圃場に各別に供給する複数の供給部と、
前記走行機体横中央寄りの繰出機構、前記左側の繰出機構、前記右側の繰出機構それぞれにおける前記粉粒体送出部に粉粒体搬送風を分配供給する走行機体横向きの分配供給管と、
前記分配供給管にブロワからの粉粒体搬送風を送り込む送風管とを備え、
前記送風管に、前記分配供給管の軸芯方向での2箇所に粉粒体搬送風を分配して送り込む左右一対の吐出口を備えた二股部を設け、
前記送風管の前記左の吐出口を、前記分配供給管のうち、前記走行機体横中央寄りの繰出機構の粉粒体送出部が接続している部位と、前記走行機体横中央寄りの繰出機構に隣り合う前記左側の繰出機構の粉粒体送出部が接続している部位との間の部位に接続し、
前記送風管の前記右の吐出口を、前記分配供給管のうち、前記走行機体横中央寄りの繰出機構の粉粒体送出部が接続している部位と、前記走行機体横中央寄りの繰出機構に隣り合う前記右側の繰出機構の粉粒体送出部が接続している部位との間の部位に接続してあ
り、
前記分配供給管のうち、前記左の吐出口と前記右の吐出口との間の部分に、前記走行機体横中央寄りの繰出機構の粉粒体送出部が接続していることを特徴とする。
【0007】
本第1発明の構成によると、ブロワから送風管に供給された粉粒体搬送風が送風管の左及び右の吐出口から分配供給管に送り込まれ、左の吐出口から分配供給管に送り込まれた粉粒体搬送風が分配供給管によって左右に分流されて走行機体横中央寄りの繰出機構の粉粒体送出部及び左側の繰出機構の粉粒体送出部に供給されるから、また、右の吐出口から分配供給管に送り込まれた粉粒体搬送風が分配供給管によって左右に分流されて走行機体横中央寄りの繰出機構の粉粒体送出部及び右側の繰出機構の粉粒体送出部に供給されるから、ブロワからの粉粒体搬送風を複数の繰出機構の粉粒体送出部に分配供給できる。
【0008】
本第1発明の構成によると、分配供給管を複数の繰出機構における粉粒体送出部に接続した一連の分配供給管に構成し、この分配供給管のうち、送風管の左及び右の吐出口が接続している2箇所の部位であって、走行機体横中央寄りの繰出機構の粉粒体送出部が接続している部位を挟んだ2箇所の部位において粉粒体搬送風を左右に分流させることにより、左の吐出口が接続している部位と左端とにおける粉粒体搬送風の風力差及び風量差をあまり発生させずに左側の繰出機構の粉粒体送出部に粉粒体搬送風を分配供給することができ、また、右の吐出口が接続している部位と右端とにおける粉粒体搬送風の風力差及び風量差をあまり発生させずに右側の繰出機構の粉粒体送出部に粉粒体搬送風を分配供給することができる。
【0009】
従って、本第1発明によると、ブロワからの粉粒体搬送風を複数の繰出機構における粉粒体送出部に風量差及び風力差があまりない状態で分配供給して、各供給部に対する粉粒体の供給を詰まりや供給不足が生じないようスムーズにできる。
【0010】
本第2発明では、前記走行機体横中央寄りの繰出機構として、走行機体左右中心に位置する一つの繰出機構を備えてある。
【0011】
本第2発明の構成によると、送風管の二股部における左の吐出口と右の吐出口との間の長さを短く済ませながら、複数の繰出機構の粉粒体送出部にブロワからの粉粒体搬送風を分配供給できる。
【0012】
従って、本第2発明によると、繰出機構の全量が比較少ない水田作業機において、二股部における左の吐出口と右の吐出口との間の長さが短い小型の送風管を採用して安価に、複数の粉粒体送出部に粉粒体搬送風を風量差や風力差があまりない状態で分配供給できる。
【0013】
本第3発明では、前記走行機体横中央寄りの繰出機構として、複数の繰出機構を備えてある。
【0014】
本第3発明の構成によると、繰出機構の数が多くても、分配供給管のうち、送風管の左の吐出口が接続する部位よりも左端側に位置する部位から粉粒体搬送風を供給することになる繰出機構の数、及び分配供給管のうち、送風管の右の吐出口が接続する部位よりも右端側に位置する部位から粉粒体搬送風を供給することになる繰出機構の数を繰出機構の総数量に比して少なくすることができ、分配供給管のうち、左側の繰出機構及び右側の繰出機構の粉粒体送出部に粉粒体搬送風を分配供給するための部位の長さを短く済ませられる。
【0015】
従って、本第3発明によると、繰出機構の総数量が多くても、分配供給管のうち、送風管の左の吐出口が接続する部位と左端とにおける粉粒体搬送風の風力差及び風量差をあまり発生させずに左側の繰出機構の粉粒体送出部に粉粒体搬送風を供給することができる。また、分配供給管のうち、右の吐出口が接続している部位と右端とにおける粉粒体搬送風の風力差及び風量差をあまり発生させずに右側の繰出機構の粉粒体送出部に粉粒体搬送風を分配供給することができる。
【0016】
本第4発明では、前記複数の走行機体横中央寄りの繰出機構における前記粉粒体送出部に、前記分配供給管の内部で粉粒体搬送風を受け入れる受入口を設け、前記複数の走行機体横中央寄りの繰出機構のうち、前記送風管の前記左の吐出口に最も近い繰出機構の前記受入口の開口向きを左向きに設定し、前記複数の走行機体横中央寄りの繰出機構のうち、前記送風管の前記右の吐出口に最も近い繰出機構の前記受入口の開口向きを右向きに設定してある。
【0017】
本第4発明の構成によると、走行機体横中央寄りの繰出機構のうちの左の吐出口に最も近い繰出機構の粉粒体送出部における受入口の左向きにより、分配供給管において送風管の左の吐出口から送り込まれて右側に分流された粉粒体搬送風を、左の吐出口に最も近い走行機体横中央寄りの繰出機構の粉粒体送出部にスムーズに受け入れさせることができる。また、走行機体横中央寄りの繰出機構のうちの右の吐出口に最も近い繰出機構の粉粒体送出部における受入口の右向きにより、分配供給管において送風管の右の吐出口から送り込まれて左側に分流された粉粒体搬送風を、右の吐出口に最も近い走行機体横中央寄りの繰出機構の粉粒体送出部にスムーズに受け入れさせることができる。
【0018】
従って、本第4発明によると、分配供給管に送風管の左の吐出口から送り込まれ、分配供給管によって右側に分流された粉粒体搬送風、及び分配供給管に送風管の右の吐出口から送り込まれ、分配供給管によって左側に分流された粉粒体搬送風を走行機体横中央寄りの複数の繰出機構の粉粒体送出部にスムーズに供給できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係る水田作業機の全体を示す側面図である。
図2は、本発明の実施例に係る水田作業機の全体を示す平面図である。
図1,2に示すように、本発明の実施例に係る水田作業機は、左右一対の操向操作自在な前車輪1,1及び左右一対の後車輪2,2が機体前部に設けたエンジン3からの動力によって駆動されて自走するよう構成した走行機体と、走行機体の機体フレームの後部に上下揺動自在なリンク機構4を介して連結され、昇降シリンダ5によるリンク機構4の揺動操作によって下降作業状態と上昇非作業状態とに昇降操作される苗植付装置6と、走行機体の後部に設けたタンク30を有した施肥装置7とを備えている。
【0021】
水田作業機は、苗植付装置6を下降作業状態にして走行機体を走行させることにより、苗植付装置6によって10条植えの苗植え付け作業を行い、施肥装置7によって各植付条における植付苗の横側近くに粉粒状の肥料を供給する施肥作業を行う。
【0022】
走行機体について説明する。
図1,2に示すように、走行機体は、機体後部に設けた運転座席10及び運転座席10の前方に設けたステアリングハンドル11が装備された運転部Aを備え、運転部Aに搭乗して操縦するように乗用型になっている。走行機体には、運転座席10の後方に苗及び肥料の供給作業に利用するよう設けた作業ステップ12を備えてある。
【0023】
図1,6,7に示すように、左右の後車輪2を駆動自在に支持する後輪駆動ケース13が上下一対の揺動リンク14a,14aを備えたリンク機構14を介して機体フレームに昇降自在に支持され、後輪駆動ケース13の前部に設けたばね支持部13aと、機体フレームに設けたばね支持部15aとにサスペンションばね15が連結されている。機体フレームを構成する左右一対の機体前後向きのメインフレーム16a,16bのうちの一方のメインフレーム16aの後端部に、メインフレーム16aから走行機体下方向きに延出したロッド支持部17を設け、ロッド支持部17と、後輪駆動ケース13の横一側部に設けた支持部13bとにラテラルロッド18を連結してある。
【0024】
左右一対のメインフレーム16a,16bのうちのロッド支持部17を備えない方のメインフレーム16bの後端部に、走行機体前後向きの回転軸19の後端部を支持する回転軸支持部20を設けてある。回転軸19の後端部に一体回転自在に設けたクランクアーム21から施肥駆動ロッド22を走行機体上方向きに延出してある。回転軸19は、エンジン3からの駆動力よって回転駆動され、施肥駆動ロッド22を走行機体上下方向に往復駆動する。
【0025】
ロッド支持部17を備えているメインフレーム16aの後端が回転軸支持部20を備えているメインフレーム16bの後端よりも走行機体後方側に位置するように、左右一対のメインフレーム16a,16bの長さを相違させてある。従って、走行機体後面視で施肥駆動ロッド22とメインフレーム16bとが重なり合う状態で、施肥駆動ロッド22とラテラルロッド18とが走行機体前後方向に寄り合う状態で、施肥駆動ロッド22及びラテラルロッド18が走行機体の後部に位置している。
【0026】
図8は、リンク機構4の基部を示す縦断後面図である。
図9(A)は、苗植付装置6の下降作業状態でのアッパーリンク4Aの基部を示す縦断側面図、
図9(B)は、苗植付装置6の上昇非作業状態でのアッパーリンク4Aの基部を示す縦断側面図である。
図8,9に示すように、リンク機構4を構成するアッパーリンク4Aは、天板部4aと、天板部4aの両横端部から下方向きに延出する縦板部4bとを備えて構成されており、アッパーリンク4Aの縦断面形状が下向き開口の溝形になっている。アッパーリンク4Aは、左右一対の縦板部4b,4bに一体回転自在に取り付けられた筒軸で成るボス部4cを備え、ボス部4cが回転自在に外嵌する状態で機体フレームの支持部8aに設けられた支軸8に上下揺動自在に支持されている。ボス部4cに、ボス部4cと支軸8との間にグリス供給するグリスニップル4dを設けてある。
図9(B)に示すように、グリスニップル4dは、苗植付装置6を最上昇位置である上昇非作業状態に上昇させた状態において、走行機体後方向きになる。
【0027】
従って、アッパーリンク4Aの縦断面形状が下向き開口の溝形であるが、苗植付装置6を最上昇位置に上昇操作すれば、アッパーリンク4Aが後方上方向きの連結姿勢になってグリスニップル4dの後方が開放され、グリス補給を走行機体後方からアッパーリンク4Aによる障害を受けずに容易に行うことができる。
【0028】
苗植付装置6について説明する。
図1,2に示すように、苗植付装置6は、リンク機構4の後部部材4Bに前端部が連結された植付フレームFと、植付フレームFの後端部に走行機体横方向に一列に並べて取り付けられた10個の苗植付機構23と、植付フレームFの前部の上方に設けられた苗載台24と、植付フレームFの下部に走行機体横方向に並べて取り付けられた5個の接地フロート25とを備えている。
【0029】
植付フレームFは、走行機体横方向に所定間隔を隔てて一列に並ぶ5つの植付駆動ケース26を備えて構成されている。10個の苗植付機構23は、各植付駆動ケース26の後端部の両横側に1個ずつ駆動自在に支持される状態で植付フレームFに支持されている。苗載台24は、走行機体横方向に一列に並べて設けられ、マット状苗を載置するよう構成された10個の苗載置部24aを備えている。苗載台24は、植付フレームFに設けられた支柱27などに走行機体横方向に往復移動自在に支持されている。苗載台24は、苗植付機構23の苗植え運動に連動させて往復移送され、各苗植付機構23に苗載置部24aから苗供給する。各接地フロート25は、苗植付装置6の下降作業状態において、圃場面に接地して、各苗植付機構23による苗植深さが所定深さになるように苗植付装置6を支持し、かつ苗植付機構23による苗植付箇所を整地する。
【0030】
施肥装置7について説明する。
図1,2,3に示すように、走行機体の後部に設けた走行機体横方向に長い一つのタンク30と、タンク30の下部に走行機体横方向に並べて設けた10個の繰出機構31と、走行機体のうちの運転座席10の下方に位置する箇所に設けた電動式のブロワ32と、苗植付装置6の下部の走行機体横方向に並ぶ10箇所に設けた供給部33とを備えている。
【0031】
図1,3に示すように、タンク30は、タンク30の下部が連結された走行機体横方向に長い施肥フレーム34、タンク30の走行機体後方側で施肥フレーム34の走行機体横方向での2個所に上端部が連結された左右一対の後支柱35,35、及び左右の後支柱35の下端部が連結された作業ステップ12のフレーム12aを介して機体フレームに支持されている。
図10に示すように、左右の後支柱35の下端部は、作業ステップ12のフレーム12aに設けた支持部12bに支軸12cを介して回転自在に支持されている。
従って、タンク30の走行機体前方側に配備された左右一対の前支柱35a(
図3参照)と施肥フレーム34とにわたって設けたバックル式の連結具による施肥フレーム34の前支柱35aに対する連結を解除し、かつ後述する分配供給管43のブロワ32に対する接続を解除することにより、タンク30及び繰出機構31を支軸12cの走行機体横向き軸芯まわりに走行機体後方側に揺動操作して倒伏させることができる。
【0032】
図4は、繰出機構31を示す縦断側面図である。
図3,4に示すように、各繰出機構31は、タンク30の下部に上端部が連結され、かつ内部がタンク30の内部に連通するよう構成された繰出ケース36と、繰出ケース36の内部に駆動回転自在に設けた繰出回転体37と、繰出ケース36の下部に設けた走行機体前後向きの筒状の粉粒体送出部38とを備えている。各繰出機構31における繰出回転体37の回転支軸37aは、前記施肥駆動ロッド22に連動されている。10個の繰出機構31のうちの隣り合う2個ずつの繰出機構31の繰出ケース36は、一体成形されており、一つの繰出ケースになっている。但し、隣り合う一対の繰出回転体37,37を各別に収容するケース内部分、及び隣り合う一対の粉粒体送出部38,38は、仕切り壁によって仕切られている。
【0033】
従って、各繰出機構31にあっては、施肥駆動ロッド22の駆動力が回転支軸37aに伝達されることによって繰出回転体37が回転方向K(
図4参照)に回転駆動され、回転駆動される繰出回転体37より、タンク30に貯留された肥料を繰出回転体37の周面に回転方向に並べて設けてある繰出凹部37bの容積によって決まる設定量ずつタンク30から粉粒体送出部38に繰り出す。
すなわち、タンク30に貯留された肥料は、繰出ケース36のうちの繰出回転体37より上方に位置する部位の内部に流下して、繰出回転体37の上側部に位置した繰出凹部37bに入り込む。肥料が入り込んだ繰出凹部37bは、繰出回転体37の回転によって繰出回転体37の下側部に移動して下向きに開口した状態になる。繰出凹部37bが下向き開口の状態になると、繰出凹部37bに入り込んでいた肥料が繰出凹部37bから落下して粉粒体送出部38に入り込む。粉粒体送出部38に入り込んだ肥料は、粉粒体送出部38の前端側に接続された分配供給管43から供給される粉粒体搬送風により、粉粒体送出部38の後端側の送出口38aから送出される。
【0034】
10個の供給部33は、10個の苗植付機構23それぞれの横側近くに1個ずつ位置する配置で5つの接地フロート25に分散させて支持された10個の作溝施肥器によって構成してある。10個の供給部33は、繰出機構31の粉粒体送出部38における送出口38aに施肥ホース39を介して各別に接続されている。
【0035】
ブロワ32の吐出口32aと各繰出機構31の粉粒体送出部38とをダクト装置40を介して接続してある。
図5は、ダクト装置40を示す概略図である。
図3,4,5に示すように、ダクト装置40は、ブロワ32の吐出口32aに前端側が接続され、後端側が作業ステップ12に設けたダクト孔を通って作業ステップ12の上方に位置する送風管42と、繰出機構31の下部の走行機体前方側に走行機体横向きに配置され、送風管42の後端側を各繰出機構31の粉粒体送出部38に接続している分配供給管43とを備えている。
【0036】
各繰出機構31の粉粒体送出部38と分配供給管43とは、粉粒体送出部38の前端部に取り付けたジョイント44を介して接続してある。
【0037】
送風管42と分配供給管43とは、送風管42の後部に設けた二股部42aで接続してある。すなわち、二股部42aには、分配供給管43の軸芯方向に所定間隔を隔て並ぶ左右一対の吐出口42b,42cを備えてある。左の吐出口42bを、分配供給管43のうち、10個の繰出機構31のうちの走行機体横中央寄りの2個の繰出機構31cの粉粒体送出部38が接続された部位と、走行機体横中央寄りの2個の繰出機構31cよりも左側の4個の繰出機構31aのうちの走行機体横中央寄りの繰出機構31cに隣り合う繰出機構31aにおける粉粒体送出部38が接続された部位との間の部位に接続してある。右の吐出口42cを、分配供給管43のうち、走行機体横中央寄りの2個の繰出機構31cの粉粒体送出部38が接続された部位と、走行機体横中央寄りの2個の繰出機構31cよりも右側の4個の繰出機構31bのうちの走行機体横中央寄りの繰出機構31cに隣り合う繰出機構31bにおける粉粒体送出部38が接続された部位との間の部位に接続してある。
【0038】
走行機体横中央寄りの2個の繰出機構31cは、この2個の繰出機構31cの粉粒体送出部38が平面視で走行機体左右中心CLの両横側に分かれて位置する状態で配備してある。
【0039】
従って、ダクト装置40は、ブロワ32からの粉粒体搬送風を10個の繰出機構31の粉粒体送出部38に次の如く供給する。
すなわち、ブロワ32から送風管42に供給された粉粒体搬送風を送風管42の左及び右の吐出口42b,42cから分配供給管43に送り込む。左の吐出口42bから分配供給管43に送り込んだ粉粒体搬送風を分配供給管43によって左右に分流させて走行機体横中央寄りの繰出機構31cの粉粒体送出部38及び左側の4個の繰出機構31aの粉粒体送出部38に分配供給する。右の吐出口42cから分配供給管43に送り込んだ粉粒体搬送風を分配供給管43によって左右に分流させて走行機体横中央寄りの繰出機構31cの粉粒体送出部38及び右側の4個の繰出機構31bの粉粒体送出部38に分配供給する。
【0040】
送風管42の二股部42aについて詳述すると、二股部42aは、ブロワ32の吐出口32aに接続している走行機体前後向きの前部42dに対して中間部が接続している走行機体横向き部42eと、走行機体横向き部42eの両端部から走行機体後方向きに延出し、延出端部に吐出口42b,42cを走行機体後方向きに開口する状態で備えている走行機体前後向き部42fとを備えて構成してある。
【0041】
従って、施肥装置7は、タンク30に貯留された粉粒状の肥料を、10個の繰出機構31によってタンク30から粉粒体送出部38に繰り出し、各粉粒体送出部38に繰り出した肥料をブロワ32から粉粒体送出部38に供給された粉粒体搬送風によって供給部33に供給し、10個の供給部33によって圃場の泥土部のうちの10個の苗植付機構23による10条の植付苗それぞれの横側近くに供給する。
【0042】
図4,5に示すように、各粉粒体送出部38に取り付けたジョイント44は、分配供給管41から粉粒体搬送風を受け入れるための受入口45を分配供給管43の内部に入り込ませた状態で粉粒体送出部38に形成している。
【0043】
左側の4個の繰出機構31aにおける粉粒体送出部38の受入口45を形成するジョイント44の受入口45の周りの端面の形状を分配供給管43に軸芯に対して交差した形状にすることにより、左側の4個の繰出機構31aにおける粉粒体送出部38の受入口45の向きを、送風管42の左の吐出口42bから分配供給管43に送り込まれ、分配供給管43の内部を左向きに流動する粉粒体搬送風を受け入れ易いように右向きにしてある。
【0044】
右側の4個の繰出機構31bにおける粉粒体送出部38の受入口45を形成するジョイント44の受入口45の周りの端面の形状を分配供給管43に軸芯に対して交差した形状にすることにより、右側の4個の繰出機構31における粉粒体送出部38の受入口45の向きを、送風管42の右の吐出口42cから分配供給管43に送り込まれ、分配供給管43の内部を右向きに流動する粉粒体搬送風を受け入れ易いように左向きにしてある。
【0045】
走行機体横中央寄りの2個の繰出機構31cのうち、送風管42の左の吐出口42bに近い方の繰出機構31cにおける受入口45を形成するジョイント44の受入口45の周りの端面の形状を分配供給管43に軸芯に対して交差した形状にすることにより、送風管42の左の吐出口42bに近い方の繰出機構31cにおける受入口45の向きを、左の吐出口42bから分配供給管43に送り込まれ、分配供給管43の内部を右向きに流動する粉粒体搬送風を受け入れ易いように左向きにしてある。
【0046】
走行機体横中央寄りの2個の繰出機構31cのうち、送風管42の右の吐出口42cに近い方の繰出機構31cにおける受入口45を形成するジョイント44の受入口45の周りの端面の形状を分配供給管43に軸芯に対して交差した形状にすることにより、送風管42の右の吐出口42cに近い方の繰出機構31cにおける受入口45の向きを、右の吐出口42cから分配供給管43に送り込まれ、分配供給管43の内部を左向きに流動する粉粒体搬送風を受け入れ易いように右向きにしてある。
【0047】
図4に示すように、各繰出ケース36の後部に、排出弁47aによって開閉自在な排出口47を設け、各繰出ケース36の排出口47に各別に接続する接続部48aが軸芯方向に並べて備えられた走行機体横向きの排出管48を繰出機構31の後方側に配備してある。
図3,4,5に示すように、排出管48の一端側を接続管49を介して分配供給管43の一端側に接続してあり、タンク30に残留した肥料をブロワ32からの粉粒体搬送風を利用して排出管48から取り出して回収することを可能にしてある。
【0048】
すなわち、繰出ケース36の排出口47を排出弁47aの開き操作によって開いてタンク30に残留している肥料を排出口47及び接続部48aを介して排出管48の内部に流出させる。接続管49に内装してある遮蔽弁49a(
図5参照)を開き操作して排出管48と分配供給管43とを連通させてブロワ32から分配供給管43に送り込まれた粉粒体搬送風を排出管48に流入させることにより、排出管48に流出した肥料が排出管48に流入した粉粒体搬送風によって排出管48の内部を分配供給管43に接続してある側と反対側の端部に向けて移送され、排出管48のこの端部に設けてある取出口50から排出される。
尚、施肥作業を行う場合、遮蔽弁49aを閉じておき、分配供給管43に送り込まれた粉粒体搬送風が排出管48に漏れ出ることを防止する。
【0049】
〔別実施形態〕
図11は、別の実施構造を備えた水田作業機における施肥装置7を示す概略図である。
図11に示すように、別の実施構造を備えた水田作業機は、走行機体横方向に並ぶ5個の苗植付機構の横側近くに一つずつ位置する5個の供給部33、及び走行機体横方向に並ぶ5個の繰出機構31を備えている。
【0050】
この別の実施構造を備えた水田作業機では、ブロワ32からの粉粒体搬送風を分配供給管43に送り込む送風管42に設けた二股部42aと分配供給管43とは、次の如く接続してある。
すなわち、二股部42aが備える左右一対の吐出口42b,42cのうちの左の吐出口42bを、分配供給管43のうち、5個の繰出機構31のうちの走行機体横中央寄りの1つの繰出機構31cの粉粒体送出部38が接続された部位と、走行機体横中央寄りの1つの繰出機構31cよりも左側の2個の繰出機構31aのうちの走行機体横中央寄りの繰出機構31cに隣り合う繰出機構31aにおける粉粒体送出部38が接続された部位との間の部位に接続してある。二股部42aが備える左右一対の吐出口42b,42cのうちの右の吐出口42cを、分配供給管43のうち、走行機体横中央寄りの1つの繰出機構31cの粉粒体送出部38が接続された部位と、走行機体横中央寄りの1つの繰出機構31cよりも右側の2個の繰出機構31bのうちの走行機体横中央寄りの繰出機構31cに隣り合う繰出機構31bにおける粉粒体送出部38が接続された部位との間の部位に接続してある。
【0051】
走行機体横中央寄りの繰出機構31cは、走行機体左右中心CLに位置している。具体的には、走行機体横中央寄りの繰出機構31cは、平面視で粉粒体送出部38と走行機体左右中心CLとが重なり合う状態で配備されている。
【0052】
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、分配供給管43のうち、送風管42の二股部42aが備える左右一対の吐出口42b,42cが接続する部位の間に接続する粉粒体送出部38を備える走行機体中央寄りの繰出機構31cとして、1個又は2個の繰出機構31cを採用した例を示したが、3個以上の繰出機構31cを採用して実施してもよい。
【0053】
(2)上記した実施例では、走行機体中央寄りの繰出機構31cより左側及び右側の繰出機構31a,31bとして、2個又は4個の繰出機構を採用した例を示したが、1個、あるいは3個、あるいは5個以上の繰出機構を採用して実施してもよい。
【0054】
(3)上記した実施例では、各繰出機構31及び供給部33によって肥料をタンク30から繰り出して圃場に供給するよう構成した例を示したが、種籾などの種子あるいは除草や殺虫用の薬剤をタンク30から繰り出して圃場に供給するよう構成して実施してもよい。
【0055】
(4)上記した実施例では、5個及び10個の繰出機構及び供給部を備えた例を示したが、4個以下、あるいは6〜9個、あるいは11個以上の繰出機構及び供給部を備えて実施してもよい。