(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記属性情報には、前記登録作業地の撮影画像、前記登録作業地の住所、前記登録作業地への案内地図、前記登録作業地での作業内容、前記登録作業地での前回作業内容のうちのいずれかまたはすべてが含まれている請求項1に記載の対地作業機。
前記回線通信部を介して前記作業地決定部によって決定された実作業地での作業時の自機位置が前記管理センタに送信されるとともに、前記管理センタにおいて前記作業時の自機位置に基づいて前記実作業地が不適切であると判定された場合には、前記管理センタからの作業中止通知を受け取る請求項1または2に記載の対地作業機。
【背景技術】
【0002】
近年、個人または法人が所有する対地作業機が各地の作業地を移動しながら土木作業や農作業を行う委託業務が増加している。そして、これらの委託業務による作業計画や作業結果は、管理センタで管理される。そのような管理センタで管理されている農作業車として、GPSを用いたカーナビゲーションシステムを流用し、運転室内に設けられたモニタを通じて作業を行う必要のある農地を特定し、この特定された農地までの走行ルートなどの農地情報をモニタに表示することによって、農作業の効率化と労働負担の軽減化を意図する農作業車が知られている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載の農作業車では、このモニタに表示された農地一覧表から特定された特定農地までの走行ルートが表示されるので、少なくとも作業しようとする特定農地の近くまで間違いなく来ることができる。しかしながら、GPSによる位置測定では、数mから数十mの誤差があり、しかも農地領域の畦道は、道路ほど高い精度で作成されていないことから、車両が道路に位置することを利用して車両位置を訂正するマップマッチングが正しく機能しないことが少なくない。このため、農作業車が、ほぼ目的地の畦道に入ったとしても、その周囲に広がる圃場のどれが作業対象となる圃場であるかとうか、わからなくなってしまうおそれがある。
【0003】
GPSの精度が低くても、作業対象となる圃場の位置を正確に管理センタに伝達できるように構成された農業用管理システムも知られている(特許文献2参照)。このシステムでは、GPSによって検出された位置から割り出されて取得された、各圃場ごとに圃場番号を付与した地図情報上の農作業車の所在する位置をモニタ画面に表示できる電子制御機器が農作業車に設けられている。つまり、農作業車のモニタ画面には、GPSによって検出された位置に基づいて、当該農作業機が稼動する圃場を示す地図が表示されるとともに、当該農作業車が現在位置も表示される。その際、モニタ画面表示されている圃場番号が当該農作業車の運転者が認識している圃場番号とは異なっていると、運転者が正しい圃場番号を入力することで、当該農作業車位置は正しい圃場位置にマップマッチングされる。しかしながら、運転者による圃場番号入力によるマップマッチングは、運転者が圃場の特徴をよく知っていることが前提となる。
【0004】
さらに、特許文献3には、GPS衛星からの電波の受信により割り出した農作業車の所在する圃場識別情報である地図をモニタに表示させ、農作業車が当該特定の圃場に到着するまでは地図を用いた道案内を行い、特定の圃場に到着すると、当該特定の圃場の圃場内情報を表示させる技術が開示されている。圃場内情報には水稲作付け圃場の水管理位置情報(給水口位置や排水溝位置などの情報)や区画情報(圃場の形状)や勾配情報(凹凸等の地形)が含まれている。しかしながら、このようなGPSに基づく圃場内情報の提供では、GPSによる位置が間違っていると、間違った圃場の圃場内情報が表示されてしまう。このため、この技術は、GPSの精度が不十分な場合に正しい圃場を見つけ出すことにはあまり役立たない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記実情に鑑み、GPSによる位置が不正確であっても、運転者が正しい作業地を選択することできる技術が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による対地作業機は、自機位置を検出するGPSモジュールと、管理センタにおいて予め登録されている複数の登録作業地から、前記自機位置に適合する作業地を候補作業地として選択し、前記候補作業地の
特徴を表す個別情報である属性情報を表示する第1属性情報表示画面を生成する第1属性情報表示画面生成部と、前記候補作業地に近接する登録作業地を代替候補作業地として選択し、前記代替候補作業地の
特徴を表す個別情報である属性情報を表示する第2属性情報表示画面を生成する第2属性情報表示画面生成部と、前記第1属性情報表示画面または前記第2属性情報表示画面を通じて行われた選択入力に基づいて、実際に作業が行われる実作業地を決定する作業地決定部と、前記管理センタとの間で通信回線を用いたデータ交換が可能な回線通信部とが備えられている。
【0008】
この構成では、GPSモジュールによって検出された自機位置に適合する作業地が候補作業地とみなされ、その候補作業地の属性情報を示す第1属性情報表示画面が生成されるので、例えば、ディスプレイにその第1属性情報表示画面を表示することで運転者は、自機の目の前に広がっている作業地が目的の作業地であるかどうかをチェックすることができる。本発明では、さらに、この候補作業地に近接する登録作業地を代替候補作業地としてその属性情報を表示する第2属性情報表示画面を生成する機能を有する。したがって、運転者が、候補作業地が目的の作業地でないかもしれないと判断すれば、代替候補作業地の属性情報である第2属性情報表示画面を表示することができるので、この画面を通じて、運転者は目的の作業地を見つけ出す可能性が高くなる。つまり、本発明では、目的の作業地を見つけ出すために、2段階の確認が可能であり、最初の段階で、目的の作業地が確認できると、すぐに作業地に入って、作業を開始することができる。逆に最初の段階で、目的の作業地が確認できなければ、最初に提示された候補作業地に近接する他の作業地を代替候補作業地として、その属性情報を運転者に提示することができる。したがって、必ずしもGPSモジュールの位置検出能力だけに頼って作業地を選択するわけではないので、GPSモジュールの位置検出誤差による作業地選択の失敗は抑制される。
【0009】
第1属性情報表示画面及び第2属性情報表示画面の表示内容となる属性情報は、作業地を特定するために用いられるため、作業地の特徴を明確に表すものでなければならない。このため、本発明の好適な実施形態では、前記属性情報には、前記登録作業地の撮影画像、前記登録作業地の住所、前記登録作業地への案内地図、前記登録作業地での作業内容、前記登録作業地での前回作業内容のうちのいずれかまたはすべてが含まれている。特に、2段階目の作業地確認のために用いられる第2属性情報表示画面には、データ量が大きいとしても、撮影画像や案内地図など、運転者の目によって確認できるような情報が含まれると好都合である。
【0010】
目的の作業地の周辺に、類似する作業地が点在する場合、間違った作業地に入って作業を行ってしまう可能性がある。このような場合には、その作業は早い段階で中止する必要がある。このような間違いを検知するためには、作業中の対地作業機の自機位置を監視するとよい。継時的な自機位置に基づく、対地作業機の走行軌跡が、目的の作業地の範囲からかなり外れていれば、GPSモジュールの精度が低くても、間違った作業地での作業であると判定することができる。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記回線通信部を介して前記作業地決定部によって決定された実作業地での作業時の自機位置が前記管理センタに送信されるとともに、前記管理センタにおいて前記作業時の自機位置に基づいて前記実作業地が不適切であると判定された場合には、前記管理センタからの作業中止通知を受け取る。これにより、間違った作業地に入っての作業を早い段階で中止させることができる。
【0011】
管理センタは、対地作業機が目的の作業地つまり実作業地で行った作業内容を管理する必要があるが、これらの作業内容を含む作業履歴情報はできるだけ早く取得することが、作業管理の点から重要である。このため、本発明の好適な実施形態の1つでは、実作業地における作業履歴情報が、作業終了時に前記回線通信部を介して送信されるように構成されている。このような情報の転送の送り忘れを避けるためには、作業終了時には、自動的に作業履歴情報が管理センタに転送されることが望ましい。さらには、その作業終了の判定も自動的に行われるとさらに好都合である。具体的には、自機の走行速度が作業走行速度から道路走行速度に達することで、前記作業終了が判定されるとよい。
【0012】
一般的な対地作業機には、携帯電話回線などの通信回線を通じて管理センタ(コンピュータシステム)との間でデータ通信できる回線通信部は備えられていない。このような場合、専用の回線通信部を新たに装備するよりは、対地作業機の運転者が持参する、スマートフォンやタブレットコンピュータなど携帯情報端末を回線通信部として利用すると好都合である。その際、対地作業機と携帯情報端末との間のデータ通信は、対地作業機の車載LANに設けられたデータ入出力部と携帯情報端末に設けられているデータ入出力部とをLAN中継部として行うことができる。そのようなデータ通信として、USB接続などの有線通信やWi−Fiなどの無線通信を用いることができる。このような目的を達成するため、本発明の好適な実施形態による対地作業機には、携帯情報端末とデータ交換可能に接続するデータ入出力部が備えられている。さらに、タブレットコンピュータやスマートフォンのような携帯情報端末では、プログラムアプリケーション(アプリ)をインストールすることにより種々の機能を実現することが可能である。従って、前記GPSモジュールと、前記第1属性情報表示画面生成部と、前記第2属性情報表示画面生成部と、前記作業地決定部と、前記回線通信部とが、前記携帯情報端末に備えられる構成を採用することも可能である。
【0013】
対地作業機の運転者によって持ち込まれた携帯情報端末の機能を、その制御系に組み込んだ対地作業機も本発明の主題の1つである。本発明にとって重要な機能を、携帯情報端末にインストールされる作業管理プログラムによって実現させることは可能であるので、対地作業機のデータ入出力部とデータ交換可能に接続される通信機能付き携帯情報端末にインストールされる作業管理プログラムも本発明の権利の対象である。そのような作業管理プログラムは、管理センタにおいて予め登録されている複数の登録作業地から、前記自機位置に適合する作業地を候補作業地として選択し、前記候補作業地の
特徴を表す個別情報である属性情報を表示する第1属性情報表示画面を生成する第1属性情報表示画面生成機能と、前記候補作業地に近接する登録作業地を代替候補作業地として選択し、前記代替候補作業地の
特徴を表す個別情報である属性情報を表示する第2属性情報表示画面を生成する第2属性情報表示画面生成機能と、前記第1属性情報表示画面または前記第2属性情報表示画面を通じて行われた選択入力に基づいて、実際に作業が行われる実作業地を決定する作業地決定機能とをコンピュータに実現させる。このように構成された作業管理プログラムにより、上述した関連する機能部によって得られる作用効果と同じ作用効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による対地作業機の具体的な実施形態を説明する前に、
図1を用いて本発明を特徴付けている基本的な構成を説明する。この対地作業機1は、管理センタ(実質的にはコンピュータシステムである)6において予め登録されている複数の登録作業地から指定された作業地に対して作業を行う。このため、この対地作業機1には、管理センタ6との間で、携帯電話回線などの通信回線を用いたデータ交換を行うための回線通信機能が、対地作業機1に内蔵された内部機能として、あるいは対地作業機1に持ち込まれた外部機能として構築されている。
【0016】
対地作業機1は、自機位置を検出するGPSモジュール52を備えている。さらに、実際に作業する作業地を正しく確定するために用いられる表示画面を生成するために、第1属性情報表示画面生成部53aと、第2属性情報表示画面生成部53bとが備えられている。第1属性情報表示画面生成部53aは、管理センタ6において予め登録されている複数の登録作業地から、GPSモジュール52によって検出された自機位置に適合する作業地を候補作業地として選択し、この候補作業地の属性情報を表示する第1属性情報表示画面を生成する。第2属性情報表示画面生成部53bは、先に選択された候補作業地に近接する登録作業地を代替候補作業地として選択し、この代替候補作業地の属性情報を表示する第2属性情報表示画面を生成する。つまり、運転者が、第1属性情報表示画面を通じて、これから作業を行うべき実作業地を決定できない場合には、第2属性情報表示画面を通じて、他の作業地が提示される。作業の開始の前には、第1属性情報表示画面または前記第2属性情報表示画面を通じて実作業地の選択入力が行われる。以上のことを順を追って詳しく説明する。
【0017】
まず、対地作業機1が、目的とする作業地の付近にくると、運転者による指令により、あるいは自動的に、GPSモジュール52によって検出された自機位置が管理センタ6の作業管理部62に送られる(#a)。作業管理部62は、受け取った自機位置に最も近い登録作業地を候補作業地として、当該候補作業地に関する属性情報をデータベースサーバ6Cから抽出して、対地作業機1に送る(#b)。この属性情報には、登録作業地の住所、登録作業地の面積、登録作業地の撮影画像、登録作業地への案内地図、登録作業地での作業内容、登録作業地での前回作業内容などが含まれている。
【0018】
対地作業機1側では、第1属性情報表示画面生成部53aが、受け取った候補作業地の属性情報から、対地作業機1の近くで広がっている作業地が目的の作業地であるかどうかを判定できるための候補作業地の情報を含む第1属性情報表示画面を生成する(#c)。生成された第1属性情報表示画面は、例えば対地作業機1に内蔵のディスプレイや外付けのディスプレイに表示されるので、これを判断材料として、運転者は、目の前の作業地が、目的の作業地であるかどうかを判定する(#d)。ここで、運転者が、候補作業地が目的の作業地でないと判断して、NOを入力すると、第2属性情報表示画面生成部53bが、受け取った候補作業地の属性情報から、候補作業地に隣接する登録作業地または近接する登録作業地を代替候補作業地とみなし、当該代替候補作業地の属性情報を表示する第2属性情報表示画面を生成する(#e)。その際、一般的には、代替候補作業地は複数存在するので、運転者がその情報の違いから目的の作業地を決定しやすいように、代替候補作業地を列挙する。特に、代替候補作業地の違いがよくわかるように、第2属性情報表示画面には、俯瞰的なイメージ(写真)や、目標となる目印からの案内図などを含めることが好ましい。第2属性情報表示画面を見ても判断がつかず、目的の作業地である実作業地を決定することができない場合、例外処理が実行される(#f)。この例外処理では、運転者が電話等で直接問い合わせることや、一旦作業を中止することなどが含まれる。
【0019】
第1属性情報表示画面または第2属性情報表示画面を通じて、目的の作業地である実作業地が決定されると(#g)、対地作業が開始されるとともに、実作業地が決定されたことが、管理センタ6の作業管理部62に通知される(#h)。その後、作業管理部62は、対地作業機1から送られてくる自機位置に基づいて、決定された実作業地が間違っていないかどうかチェックし、間違っている場合には作業中止通知を対地作業機1に送信する(#i)。対地作業が終了すると(#j)、作業ECU44が、この実作業地における作業内容を記録した作業履歴情報を生成し、管理センタ6の作業管理部62に送る(#k)。作業管理部62は受け取った作業履歴情報をデータベースサーバ6Cに格納する。
【0020】
次に、図面を用いて、本発明による対地作業機1の具体的な実施形態の1つを説明する。ここでは、対地作業機1は乗用田植機として構成されている。
図2は、乗用田植機1の側面図であり、
図3は平面図である。
【0021】
図2及び
図3に示すように、この乗用田植機1は、4輪駆動型に構成した走行車体10の後部に、単動型の油圧シリンダを採用した昇降シリンダ11aの作動で上下揺動する平行四連リンク式のリンク機構11を装備し、このリンク機構11の後端部に、6条用の苗植付装置12を前後向きの支軸P1などを介してローリング可能に連結してある。つまり、走行車体10の後部に苗植付装置12を昇降シリンダ11aの作動による昇降移動が可能な状態で、かつ、支軸P1を支点にしたローリングが可能な状態に連結してある。そして、走行車体10の後端部と苗植付装置12とにわたって6条用の施肥装置13を装備してある。これにより、最大6条の植え付け及び施肥が可能な6条植え用のミッドマウント施肥仕様に構成してある。
【0022】
走行車体10は、その前部に防振搭載した水冷式のエンジン14からの動力を主変速装置15にベルト伝動し、主変速装置15による変速後の動力を、トランスミッションケース(以下、T/Mケースと称する)16の内部において走行用と作業用とに分岐するように構成してある。そして、走行用の動力を、T/Mケース16に内蔵した副変速装置及び前輪用の差動装置に伝達した後、差動装置から左右の差動軸などを介して取り出した動力を前輪駆動用として左右の前輪10aに伝達し、かつ、差動ケースと一体回転する伝動ギアから取り出した動力を、T/Mケース16から後車軸ケース17にわたる中継伝動軸17a、並びに、後車軸ケース17に内蔵した後輪用伝動軸及び左右のサイドクラッチ、などを介して後輪駆動用として左右の後輪10bに伝達するように構成してある。又、作業用の動力を、T/Mケース16に内蔵したワンウェイクラッチ、株間変速装置、及び植付クラッチ、並びに、T/Mケース16から苗植付装置12にわたる作業用伝動軸17c、などを介して苗植付装置12に伝達してあり、苗植付装置12の逆転作動を阻止するように構成してある。
【0023】
尚、エンジン14にはガソリンエンジンが採用されている。主変速装置15には静油圧式の無段変速装置が採用されている。副変速装置15aには、作業走行用の低速状態と路上走行用の高速状態との高低2段に変速可能に構成したギア式の変速装置が採用されている。
【0024】
図1及び
図2に示すように、苗植付装置12は、走行車体10からの作業用の動力によって、最大6条のマット状苗を載置する苗載台12aが左右方向に一定ストロークで往復移動するように構成してある。又、苗載台12aの各マット状苗に対応して左右方向に一定間隔をあけて並ぶように配備したロータリ式の6つの植付機構12bが、苗載台12aの下端から植付苗を所定量ずつ取り出して、左右方向に並ぶ3つの整地フロート18で整地した圃場の泥土部に植え付け供給するように構成してある。そして、苗載台12aが左右のストローク端に到達するごとにベルト式の縦送り機構12cが作動して、苗載台12aに載置した各マット状苗を苗載台12aの下端に向けて所定ピッチで縦送りするように構成してある。
【0025】
各整地フロート18は、それらの後部側を、左右向きのフロート支点軸から後下向きに延設した3組の支持アーム18aのうちの対応する支持アーム18aの遊端部(後端部)に上下揺動可能に連結してある。
【0026】
施肥装置13には、中継伝動軸17aから動力分岐機構17bを介して分岐した動力を施肥作業用として伝達してある。施肥装置13は、動力分岐機構17bからの施肥作業用の動力によって、走行車体10の後端部に搭載した4基の繰出機構13bが作動して、それらの上部に連通装備したホッパ13aに貯留した粒状肥料をホッパ13aから所定量ずつ繰り出すように構成してある。又、走行車体10の後端部に配備した電動式のブロワが走行車体10からの電力で作動して搬送風を発生させることによって、各繰出機構13bが繰り出した粒状肥料を搬送風に乗せて、各繰出機構13bに連通接続した施肥ホース13cを介して、各整地フロート18の左右両側部にそれぞれ備えた作溝器13dのうちの対応するものに供給し、各作溝器13dによって圃場の泥土内に埋没させるように構成してある。
【0027】
各繰出機構13bは、最大2条の粒状肥料を繰り出すことが可能な2条用に構成してある。そして、左右両端の繰出機構13bが2条の粒状肥料の繰り出しを行い、左右中央側の2つの繰出機構13bが1条の粒状肥料の繰り出しを行うように設定することで、4基の繰出機構13bで6条の粒状肥料の繰り出しを行うように構成してある。
【0028】
図2と
図3に示すように、走行車体10の後部には搭乗運転部2を形成してある。搭乗運転部2には、前輪操舵用のステアリングホイール20、主変速装置15の変速操作を可能にする主変速レバー21、副変速装置15aの変速操作を可能にする副変速レバー22、ブレーキの制動操作を可能にするブレーキペダル23、苗植付装置12の昇降操作と作動状態の切り換えなどを可能にする第1作業レバー24と第2作業レバー25、及び、運転座席26などを配備してある。
【0029】
図示は省略するが、ブレーキペダル23は、踏み込み解除位置に自動復帰するように構成してある。第1作業レバー24は、植付、下降、中立、上昇、自動、の各操作位置への揺動操作が可能となるように構成してある。第2作業レバー25は、上下方向及び前後方向への揺動操作が可能な十字揺動式で中立復帰型に構成してある。なお、苗植付装置12の左右両側には、左側と右側の右回転マーカ12dが設けられており、これらの回転マーカ12dのいずれかが、苗植付装置12の昇降制御用レバーと兼用で用いられる第2作業レバー25の操作によって選択的に操作位置に切り替えられる。
【0030】
図3と
図4に示すように、搭乗運転部2におけるステアリングホイール20の前下方の位置にはメータパネル30が装着されている。メータパネル30には、液晶ディスプレイ31と、車両状態や作業状態を示すランプ表示部32が配置されている。液晶ディスプレイ31には、燃料の残量をグラフ表示する燃料残量表示部31a、エンジン冷却水の温度をグラフ表示する水温表示部31b、及び、オイル交換などのメンテナンスの指標となるエンジン14の総稼働時間などを文字表示する補助表示部31c、などが形成されている。燃料残量表示部31aでの表示は、燃料タンクに貯留した燃料の残量を検出する燃料センサの出力に基づいて行われる。水温表示部31bでの表示は、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサの出力に基づいて行われる。
【0031】
図5は、乗用田植機1の制御系の機能構成と、管理センタ6のコンピュータシステムの機能構成とを示す機能ブロック図である。
この乗用田植機1の制御系は、LAN中継部40によってデータ交換可能に接続されている機体制御系4と情報制御系5に区分けされている。なお、この実施形態では、機体制御系4は、従来から乗用田植機1の制御を行うために備えられており、車載LANによって接続された複数のECUから構成されている。情報制御系5は、遠隔地の管理センタ6との間で通信回線を介してデータ交換する機能を有している。この情報制御系5は、この実施形態では、携帯情報端末の一種であるスマートフォン50によって構築されている。したがって、LAN中継部40は、機体制御系4に設けられた無線データ入出力部40aと、スマートフォン50の無線データ入出力部40bとから構成される。無線データ入出力部40aと40bは、Wi−Fiやブルートゥース(商標名)の規格で動作する。
【0032】
機体制御系4には、センサECU41、エンジンECU42、走行ECU43、作業ECU44、表示ECU45などが含まれている。センサECU41は、乗用田植機1に備えられた各種センサと接続されている。これらのECUは車載LANによって接続されている。エンジンECU42は、よく知られているようにエンジン14を稼働させるための種々の制御信号を取り扱う。走行ECU43は、この乗用田植機1の走行状態、例えば変速状態、走行距離、走行速度などのデータを管理する。作業ECU44は、この乗用田植機1が実施する種々の農作業(田植え作業や施肥作業)における各種作業モードを作る出すための作業用機器群の操作パラメータ、苗植付量、施肥量などを管理する。表示ECU45は、各種ECUから出力されたデータに基づいて、例えば、水温、走行速度、燃料量、ローリング角度などの情報をメータパネル30に表示する。
【0033】
この実施形態では、乗用田植機1の情報制御系5として機能するスマートフォン50には、本来的に備えられている機能部として、上述した無線データ入出力部40b、インターネットなどのデータ回線や通話回線に接続可能な回線通信部51、GPSモジュール52、内蔵のディスプレイ56に情報を表示するための表示データを生成する表示制御部53、ディスプレイ56に付設されているタッチパネル58や操作ボタンを通じての操作入力を処理する操作入力処理部54が含まれている。GPSモジュール52は、全地球方位システムの原理で絶対位置を経緯度で測定する機能を有するので、この測位データに基づいて、スマートフォン50、すなわち実質的には乗用田植機1の地図上の位置を得ることができる。
【0034】
スマートフォン50では、アプリと呼ばれるコンピュータプログラムをインストールして起動することで、新しい機能部を作り出すことができる。このことを利用して、この実施形態において用いられる機能部は、表示制御部53の拡張機能としての第1属性情報表示画面生成部53aと第2属性情報表示画面生成部53b、及び作業地決定部55である。第1属性情報表示画面生成部53aは、乗用田植機1が目的とする圃場区域に到着した際に、運転者の圃場確認を助けるために、GPSモジュール52による自機位置に最も対応する圃場に関する情報を第1属性情報表示画面として管理センタ6に登録された登録圃場に関する属性情報から生成する。生成された第1属性情報表示画面はディスプレイ56に表示される。第2属性情報表示画面生成部53bは、第1属性情報表示画面だけでは運転者が圃場確認できなかった場合、次の情報として、管理センタ6に登録された登録圃場に関する属性情報からディスプレイ56に表示される第2属性情報表示画面を生成する。作業地決定部55は、ディスプレイ56に表示された第1属性情報表示画面または第2属性情報表示画面を見ながらの、タッチパネル57への選択入力に基づいて、実際に作業が行われる実作業地を決定する。
【0035】
実質的にはコンピュータシステムである管理センタ6は、入出力サーバ6Aとアプリケーションサーバ6Bとデータベースサーバ6Cとを備えている。入出力サーバ6Aには、スマートフォン50から受け取ったデータをアプリケーションサーバ6Bやデータベースサーバ6Cに転送するデータ入力処理機能、及びアプリケーションサーバ6Bで生成されたデータやデータベースサーバ6Cから抽出されたデータをスマートフォン50に送信するデータ出力機能を備えており、この実施形態では、Webサーバとして構成されている。なお、入出力サーバ6Aとアプリケーションサーバ6Bとデータベースサーバ6Cは1つの統合されたコンピュータシステムに構築されるのではなく、クラウドシステムのような分散化ないしは仮想化されたコンピュータシステムであってもよい。
【0036】
アプリケーションサーバ6Bには、この実施形態では管理センタ6に登録されている登録圃場に関する情報を管理する作業地管理部61と、登録圃場における田植作業、施肥作業、収穫作業などを管理する作業管理部62とがソフトウエアで構築されている。データベースサーバ6Cには、作業地データベース65と、作業データベース66とが含まれている。作業データベース66には、田植機やコンバインなどの農作業機を運転する運転者が携帯しているスマートフォン50から送られてくる田植え、草取り、薬剤散布、施肥、刈取り収穫などの圃場別の農作業に関する情報である作業情報を作業管理部62の管理のもとで格納している。作業地データベース65は、この実施形態では、各登録圃場に関す個別情報である属性情報を作業地管理部61の管理のもとで格納している。
【0037】
作業地データベース65で格納されている属性情報のデータ構造の一例が
図6に示されている。この属性情報には、圃場ID,圃場名称、圃場住所、圃場の撮影画像、圃場の案内地図、圃場所有者、圃場面積、圃場形状、さらには田植え方法、植付深さ、作付け種なども含まれている。また、この作業地データベース65には、個別の圃場で収穫された農作物の収量や食味などの収穫物評価情報も格納されている。
【0038】
作業地データベース65や作業データベース66に格納されている情報のうち、日時によって更新されていく情報に関しては、経時的な評価が可能なように、経時的に抽出が可能に格納されている。また、作業地データベース65と作業データベース66とは連携しており、例えば、特定圃場に対して施された農作業において設定された田植機などの農作業機のパラメータなども抽出可能である。
【0039】
上述したように構成された、乗用田植機1、スマートフォン50、管理センタ6のコンピュータシステムにおける処理とそれらの間のデータの流れを、
図7と
図8のチャート図を用いて説明する。
【0040】
この乗用田植機1が作業予定とみなされる圃場に到着すると、スマートフォン50に対する運転者の操作入力に基づいて、スマートフォン50の関連アプリが起動する(#01)。GPSモジュール52によって、スマートフォン50の現在位置を示す測位データ(緯度・経度)が乗用田植機1の自機位置が生成され、圃場情報(自機位置に存在する圃場の属性情報)の要求に組み込まれて管理センタ6のコンピュータシステムに送られる(#02)。作業地管理部61は、圃場情報の要求に基づいて、自機位置近くの圃場(代替候補作業地)の属性情報を作業地データベース65から抽出する。さらに、作業管理部62は、抽出された圃場の作業情報を作業データベース66から抽出する(#03)。抽出された、自機位置近くの圃場の属性情報と作業情報とがスマートフォン50に送られる(#04)。
【0041】
スマートフォン50では、第1属性情報表示画面生成部53aが、受け取った属性情報から、最も自機位置に近い圃場を候補作業地として選択し、この圃場の属性情報から読み出した内容を含む第1属性情報表示画面を生成し(#11)、ディスプレイ56に表示する(#12)。ディスプレイ56に表示された第1属性情報表示画面の一例が、
図9の(a)に示されている。この図例では、第1属性情報表示画面として、候補作業地となった圃場の撮影画像が示されており、この圃場が運転者の前に広がっている圃場と一致するかどうかを、運転者に確認させる(#13)。
【0042】
もし、ディスプレイ56に表示された圃場の撮影画像と、運転者の前に広がっている圃場とが違うと判断されると、第2属性情報表示画面生成部53bが、候補作業地に近接する登録作業地を代替候補作業地として属性情報から読み出して、この代替候補作業地の属性情報を含む第2属性情報表示画面を生成し(#16)、ディスプレイ56に表示する(#17)。ディスプレイ56に表示された第2属性情報表示画面の一例が、
図9の(b)に示されている。この図例では、第2属性情報表示画面として、圃場名や圃場における作業状況、さらには撮影画像を呼び出すボタンなどが、代替候補作業地別に列挙されている。列挙されている代替候補作業地列から可能性の高い圃場を選択してボタンを押すと、その圃場の撮影画像、つまり
図9の(a)に示すような画面が表示され、そこで作業すべき圃場の確認を行う。最終的に作業すべき圃場が確定するまで、このような圃場選択プロセスが繰り返される。第1属性情報表示画面または第2属性情報表示画面を通じて選択された圃場に対する選択入力操作が行われると、作業地決定部55によって、実際に作業が行われる実作業地が制御的に決定される。作業すべき圃場が決定されると、受け取った作業情報から、この決定された圃場における作業情報がディスプレイ56に表示される(#14)。ディスプレイ56に表示される作業情報の一例が、
図9(c)に示されている。ここでは、施肥設定量や植付深さなどが表示されており、これに基づいて、この乗用田植機1の作業パラメータが、自動的にまたは手動で設定される(#15)。
【0043】
作業パラメータが設定されると、
図10に示すような、ディスプレイ56に作業を開始するかどうかの運転者に問い合わせる画面が表示される。この画面で、「いいえ」ボタンが押されると、再度、乗用田植機1の作業パラメータの設定が行われる。「はい」ボタンが押されると(#21)、スマートフォン50から、乗用田植機1には作用開始指令が送信され、管理センタ6には作業確定通知が送信され、作業が開始される(#22)。また、管理センタ6では、圃場確定と作業設定確定の確定処理が行われる(#23)。
【0044】
作業が開始されると、乗用田植機1から作業開始通知がスマートフォン50に送られ(#31)、さらにスマートフォン50において自機位置を付加されて、管理センタ6に転送される(#32)。それ以後、少なくともしばらくの間は、自機位置は所定のタイミングでスマートフォン50から管理センタ6に送られる。管理センタ6では、スマートフォン50から送られてくる自機位置から、乗用田植機1が登録された圃場(登録作業地)に対して作業がおこなわれているかどうかをチェックする判定処理を行う(#33)。この判定処理で、乗用田植機1が間違った圃場を作業していると判定されると、作業中止通知がスマートフォン50に送られ、スマートフォン50で作業中止処理が実行される(#34)。この作業中止指令では、運転者に作業中止の警告が行われる。また、作業中止通知とともにあるいはこの作業中止通知に代えて、電話による、つまり音声で作業中止を報知してもよい。正しい圃場での作業が予定通りに行われると、スマートフォン50はスリープ状態におかれる。このスリープ状態では、画面の消灯、GPS機能の停止、乗用田植機1との無線交信の停止が実行され、スマートフォン50は省電力モードとなる。
【0045】
例えば、乗用田植機1の走行速度が作業走行速度から道路走行速度に達したことが走行ECU43で検知されることで、作業が終了したと判断されると(#41)、乗用田植機1から車載LAN及び無線通信を経て作業終了通知がスマートフォン50に送られるか(#42)、あるいは運転者によってウェイクアップの操作が行われると、スマートフォン50は、
図11に示すような作業終了を確認するための作業終了確認画面を表示する。運転者が「はい」ボタンを押すことで、作業終了が制御的に確認され、スマートフォン50から作業履歴情報要求が乗用田植機1に送られる(#43)。この作業履歴情報要求に応答して、乗用田植機1は、作業ECU44で作成された、今回の作業に関する作業履歴情報を管理センタ6にスマートフォン50を介して送信する(#44)。管理センタ6側では、受信した作業履歴情報は作業管理部62によって作業データベース66に格納される(#45)。
【0046】
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、対地作業機として乗用田植機1が、携帯情報端末としてスマートフォン50が取り扱われた。それ以外の本発明を適用することができる対地作業機としては、バックホウ、トラクタ、コンバイン、草刈機などが挙げられる。その他の携帯情報端末としては、タブレット型パソコン、ノート型パソコン、ナビゲータ機器などが挙げられる。
(2)上述した実施形態では、スマートフォン50のアプリインストール機能を利用して、本発明における重要な機能である第1属性情報表示画面生成部53aや第1属性情報表示画面生成部53aや作業地決定部55はスマートフォン50に構築されたが、スマートフォン50が本来から備えているデータ表示機能、操作入力機能、通信機能だけを用い、その他のコンピュータ処理機能を、乗用田植機1のECUあるいは管理センタのコンピュータシステム6に構築してもよい。つまり、本発明の実現のために必要なコンピュータ処理機能を、対地作業機1、携帯情報端末50、コンピュータシステム6に種々分散することも、本発明の枠内で可能である。
(3)上述した実施形態では、対地作業機における情報制御系5を対地作業機とデータ交換可能な携帯情報端末、特にスマートフォン50で構築していたが、これに代えて、対地作業機に固定された通信情報機器を用いてもよい。
(4)上述した実施形態では、対地作業機と携帯情報端末と管理センタとの間で情報交換がなされていたが、それ以外に、インターネットなどを通じてデータ交換可能な個人のパソコンもこの情報交換システムに参加させてもよい。