【実施例】
【0033】
セラミック繊維としてイソライト工業(株)製のイソウール(商品名)と、無機バインダー(結合材)として日産化学工業(株)製のコロイダルシリカ(SiO
2濃度:40重量%)、及び有機系高分子凝集剤として日澱化学工業(株)製の澱粉を使用して、以下の実施例1〜3及び比較例1〜2により耐火断熱材を製造した。尚、上記セラミック繊維は、Al
2O
3:45重量%以上、Al
2O
3+SiO
2:98重量%以上の組成を有し、平均繊維径が実施例1〜3では2.3μm及び比較例1〜2では2.5μmである。
【0034】
[実施例1]
まず、上記セラミック繊維を水に投入して分散させ、静置することによってセラミック繊維を浮上させると共に、非繊維状粒子を沈降させた。非繊維状粒子が十分に沈降した後、水面近くに浮上しているセラミック繊維を回収することによって、非繊維状粒子が取り除かれ、非繊維状粒子の含有量が10.7重量%のセラミック繊維を回収した。尚、セラミック繊維中の非繊維状粒子(ショット)の含有量は、ISO10635の10(Determination of shot)に準拠して測定した。
【0035】
次に、上記セラミック繊維(非繊維状粒子の含有量10.7重量%)と無機バインダーを水に添加して数分間撹拌することにより、セラミック繊維95重量%と無機バインダー5重量%を含むスラリーを形成した。このスラリーに有機系高分子凝集剤の水溶液を加えて凝集させ、型を用いて縦900mm×横600mm×厚み25mmの板状に吸引成形した。
【0036】
得られた板状の成形体を120℃で乾燥させ、実施例1の耐火断熱材を製造した。乾燥後の耐火断熱材のかさ密度は180kg/m
3であった。また、この乾燥後の耐火断熱材について、JIS R2216(耐火物製品の蛍光X線分析方法)により化学成分を分析すると共に、熱伝導率(600℃)、3点曲げ強度、加熱線収縮率(1200℃×24時間)及び灼熱減量を測定し、得られた結果を下記表1に示した。尚、熱伝導率はJIS A1412−1(熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法、第1部:保護熱板法(GHP法))、曲げ強度はJIS R2619(耐火断熱れんがの曲げ強さの試験方法)、加熱線収縮率はJIS R3311(セラミックファイバーブランケット)、灼熱減量はJIS R2522(耐火物用アルミナセメントの化学分析方法)に準拠して測定した。
【0037】
[実施例2]
上記実施例1と同様の方法により非繊維状粒子の含有量を19.3重量%としたセラミック繊維を使用した以外は上記実施例1と同様にして、縦900mm×横600mm×厚み25mmの実施例2の耐火断熱材を製造した。
【0038】
得られた乾燥後の耐火断熱材のかさ密度は190kg/m
3であった。また、この乾燥後の耐火断熱材について、上記実施例1と同様にして化学成分、熱伝導率(600℃)、3点曲げ強度、加熱線収縮率及び灼熱減量を測定し、得られた結果を下記表1に示した。
【0039】
[実施例3]
上記実施例1と同じセラミック繊維(非繊維状粒子の含有量10.7重量%)と無機バインダーを水に添加して数分間撹拌することにより、セラミック繊維75重量%と無機バインダー25重量%を含むスラリーを形成した。このスラリーを、型を用いて縦900mm×横600mm×厚み25mmの板状に吸引成形した。
【0040】
得られた乾燥後の耐火断熱材のかさ密度は300kg/m
3であった。また、この乾燥後の耐火断熱材について、上記実施例1と同様にして化学成分、熱伝導率(600℃)、3点曲げ強度、加熱線収縮率及び灼熱減量を測定し、得られた結果を下記表1に示した。
【0041】
[比較例1]
上記実施例1の方法により非繊維状粒子を取り除く処理を行っていないセラミック繊維(非繊維状粒子含有量53重量%)を使用した以外は上記実施例1と同様にして、縦900mm×横600mm×厚み25mmの比較例1の耐火断熱材を製造した。
【0042】
得られた乾燥後の耐火断熱材のかさ密度は270kg/m
3であった。また、この乾燥後の耐火断熱材について、上記実施例1と同様にして化学成分、熱伝導率(600℃)、3点曲げ強度、加熱線収縮率及び灼熱減量を測定し、得られた結果を下記表1に示した。
【0043】
[比較例2]
上記比較例1と同じく非繊維状粒子を取り除く処理を行っていないセラミック繊維(非繊維状粒子含有量53重量%)を使用した。このセラミック繊維(非繊維状粒子の含有量53重量%)75重量%と、熱輻射散乱材としての酸化チタン粉末20重量%と、無機バインダー5重量%を含むスラリーを形成した。こスラリーに有機系高分子凝集剤の水溶液を加えて凝集させ、型を用いて縦900mm×横600mm×厚み25mmの板状に吸引成形した。
【0044】
得られた乾燥後の耐火断熱材のかさ密度は290g/m
3であった。また、この乾燥後の耐火断熱材について、上記実施例1と同様にして化学成分、熱伝導率(600℃)、3点曲げ強度、加熱線収縮率及び灼熱減量を測定し、得られた結果を下記表1に示した。
【0045】
【表1】
【0046】
[表1の考察]
上記表1から分るように、非繊維状粒子含有量が20重量%以下のセラミック繊維を使用した実施例1〜3の耐火断熱材における熱伝導率の値は、従来例の非繊維状粒子を取り除いていないセラミック繊維を使用した比較例1の耐火断熱材の50%程度まで低下し、また、更に熱輻射散乱材(酸化チタン)を添加した比較例2の耐火断熱材に対しても20%を超える低下を示した。これらの結果は、非繊維状粒子含有量の減量が耐火断熱材の熱伝導率低下に非常に効果的であることを示している。
【0047】
尚、耐火断熱材の熱伝導率はかさ密度にも依存する。一般的に耐火断熱材では、かさ密度が350〜400kg/m
3程度までは、かさ密度が高くなると熱伝導率は低下する傾向にある。それらのことを踏まえると、実施例1〜2における耐火断熱材のかさ密度は比較例の耐火断熱材に比べて低いため、比較例と同程度までかさ密度を高くすると更なる熱伝導率の低下が見込まれ、実施例3はこれを証明している。
【0048】
非繊維状粒子含有量が10.7重量%のセラミック繊維を使用した実施例1の耐火断熱材の曲げ強度は、従来例の非繊維状粒子含有量が53重量%のセラミック繊維を使用した比較例1の耐火断熱材の2倍に達し、非繊維状粒子含有量が19.3重量%のセラミック繊維を使用した実施例2の耐火断熱材の曲げ強度は同じく30%程度の向上を示した。このことは、非繊維状粒子含有量の減量により、耐火断熱材中のセラミック繊維含有量が増加したため曲げ強度も向上した結果である。また、輻射散乱材の酸化チタン粉末を添加した比較例2の耐火断熱材の曲げ強度は、従来例である比較例1の耐火断熱材よりも低い値であるが、これは全体に占めるセラミック繊維の割合が低いためである。
【0049】
曲げ強度は、かさ密度が大きくなるにつれて高くなり、また有機高分子凝集剤を添加したり、その量を増加させたりすると高くなる。実施例3のかさ密度が実施例1〜2に比べ大きくても曲げ強度が小さいのは、有機高分子凝集剤を含まないためである。