特許第5963705号(P5963705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963705
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】直線作動機
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/02 20060101AFI20160721BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20160721BHJP
   F16H 25/24 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   F16C29/02
   F16H25/20 B
   F16H25/24 G
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-84199(P2013-84199)
(22)【出願日】2013年4月12日
(65)【公開番号】特開2014-206232(P2014-206232A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2015年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000150800
【氏名又は名称】株式会社ツバキE&M
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 輝典
(72)【発明者】
【氏名】江間 良和
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−182551(JP,A)
【文献】 実開昭61−170716(JP,U)
【文献】 特開2004−293631(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/052781(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 29/02
F16H 25/20
F16H 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒体と、該筒体の内側にて前記筒体の軸長方向に沿って配してある軸体と、該軸体に外嵌しており、軸長方向に移動する移動円筒と、該移動円筒及び前記筒体の間に配され、前記筒体の内側面に摺接する摺接部材とを備える直線作動機において、
前記摺接部材を複数備え、
各摺接部材は弧状をなし、前記移動円筒の外周に沿って設けてあり、
前記移動円筒の外側に周設してある環状部材と、
該環状部材の外周面に形成された環状の溝と、
前記溝に配してある弾性環と
前記移動円筒に軸長方向に沿って連結されており、前記軸体の外側に周設された第2の筒体と
を備え、
前記摺接部材は前記溝にて前記弾性環の外側に配してあり、前記弾性環の付勢力によって径方向外向きに付勢されており、
前記環状部材の端面に凹部が形成されており、
前記第2の筒体の端部が前記凹部に嵌合していることを特徴とする直線作動機。
【請求項2】
前記弾性環を複数備えることを特徴とする請求項に記載の直線作動機。
【請求項3】
記軸体は雄ねじであり、
前記移動円筒は、
前記雄ねじに螺合したナットと、
該ナット及び前記第2の筒体を連結し、軸長方向にて前記ナットに隣合う連結円筒と
を有し、
前記ナット又は連結円筒に前記摺接部材を設けてあること
を特徴とする請求項1又は2に記載の直線作動機。
【請求項4】
前記摺接部材は半円形状なし、
前記摺接部材を二つ備えること
を特徴とする請求項1からのいずれか一つに記載の直線作動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を進退させる直線作動機に関する。
【背景技術】
【0002】
扉の開閉及びテーブルの昇降など直線的な動作を実現するために、以前より直線作動機が使用されている。例えば特許文献1には、ボールねじ機構と、該ボールねじ機構に接続されたサーボモータと、ボールねじ機構のナットに連結したロッドとを備える直線作動機が開示してある。
【0003】
ボールねじ機構及びロッドは、シリンダの内側に設けてある。ボールねじ機構の雄ねじの両端部がベアリング又は滑りブッシュ等によって回転可能に支持されている。
【0004】
雄ねじの両端部は回転可能に支持されているものの、雄ねじの中途部を支持する部材が無いため、例えば高速で雄ねじが回転し、ナットが軸長方向に高速で移動した場合に、雄ねじは共振し易い。
【0005】
引用文献2には、雄ねじに螺合したナットにピストンを周設し、該ピストンの外周面に装着凹部を設けた直線作動機が開示されている。該装着凹部には付勢部材としてのOリングが設けてあり、該装着凹部には、スリットを有するC形のウェアリング(摺接部材)が嵌合している。ウェアリングは、径方向における弾性力を有する。引用文献2に記載の直線作動機は、筒形のボディを有し、該ボディ内に、雄ねじ、ナット、ピストン及びウェアリング等が配してある。ウェアリングはボディの内周面に接触して、雄ねじの中途部を支持しており、雄ねじの共振を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3103715号公報
【特許文献2】特開2011−182551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
C形のウェアリングをピストンに取り付ける場合、ウェアリングを開いてピストンに取り付けることが考えられるが、開いたときにウェアリングが破損するおそれがある。またウェアリングは、ボディの内周面に当接するために、径方向における弾性力を有しており、無理に開けばウェアリングの弾性力に影響し、ボディの内周面に適切な圧力で当接することができなくなるおそれがある。そのためウェアリングをピストンに取り付ける場合、ピストンをウェアリングに嵌入せざるを得ない。
【0008】
ウェアリングはピストンに固定される必要があるため、ウェアリングの内径及びピストンの外径は略等しい。両者間に隙間がほとんどないため、ピストンをウェアリングに嵌入させる作業は長時間を要し、直線作動機の組立効率の低下を招来する。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ナット等の移動円筒に摺接部材を容易に取り付けることができる直線作動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る直線作動機は、筒体と、該筒体の内側にて前記筒体の軸長方向に沿って配してある軸体と、該軸体に外嵌しており、軸長方向に移動する移動円筒と、該移動円筒及び前記筒体の間に配され、前記筒体の内側面に摺接する摺接部材とを備える直線作動機において、前記摺接部材を複数備え、各摺接部材は弧状をなし、前記移動円筒の外周に沿って設けてあり、前記移動円筒の外側に周設してある環状部材と、該環状部材の外周面に形成された環状の溝と、前記溝に配してある弾性環と前記移動円筒に軸長方向に沿って連結されており、前記軸体の外側に周設された第2の筒体とを備え、前記摺接部材は前記溝にて前記弾性環の外側に配してあり、前記弾性環の付勢力によって径方向外向きに付勢されており、前記環状部材の端面に凹部が形成されており、前記第2の筒体の端部が前記凹部に嵌合していることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、摺接部材は弧状をなすので、移動円筒を摺接部材に嵌入させることはない。各摺接部材は移動円筒の外周面に沿って、前記外周面上に容易に取り付けられる。
【0013】
本発明においては、弾性環の付勢力によって摺接部材は筒体の内周面に向けて付勢され、該内周面に接触し易くなる。
【0014】
本発明に係る直線作動機は、前記弾性環を複数備えることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、複数の弾性環を使用することによって、線径の小さい弾性環であっても、充分な付勢力を摺接部材に付与することができる上、限られた空間内に弾性環を収めることができる。線径が大きい場合、単一の弾性環でも大きな付勢力を摺接部材に付与することができるが、線径の大きい弾性環を溝に配置した場合、溝内における弾性環の占有空間が大きくなりすぎて、弾性環と筒体との間に摺接部材を収める空間を確保することが難しい。
【0016】
本発明に係る直線作動機は、前記軸体は雄ねじであり、前記移動円筒は、前記雄ねじに螺合したナットと、該ナット及び前記第2の筒体を連結し、軸長方向にて前記ナットに隣合う連結円筒とを有し、前記ナット又は連結円筒に前記摺接部材を設けてあることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、ナット又はナットに隣合う連結円筒に摺接部材を設けることによって、ナット付近において、雄ねじが支持され、雄ねじの共振が防止される。特にナットに摺接部材を設けた場合、ナットの振動が抑制されるので、雄ねじの振動抑制効果は高い。
【0018】
本発明に係る直線作動機は、前記摺接部材は半円形状なし、前記摺接部材を二つ備えることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、摺接部材を半円形状とすることで、二つの摺接部材だけで移動円筒の略全周を覆うことができ、最小の数量で摺接部材は筒体の内周に全体的に接触することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る直線作動機は、摺接部材は弧状をなすので、移動円筒を摺接部材に嵌入させることはない。各摺接部材は移動円筒の外周面に沿って、前記外周面上に容易に、且つ短時間で取り付けられ、直線作動機の組立効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態1に係る直線作動機を略示する断面図である。
図2】ナット付近の構成を略示する拡大断面図である。
図3】軸長方向から見た摺接部材を略示する図である。
図4】軸長方向からみた摺接部材の変更例を示す図である。
図5】実施の形態2に係る直線作動機におけるナット付近の構成を略示する拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る直線作動機を示す図面に基づいて詳述する。図1は直線作動機を略示する断面図である。
直線作動機は筒体1を備え、該筒体1にボールねじ2(雄ねじ、軸体)が収容されている。ボールねじ2の軸長方向は筒体1の軸長方向と略同じである。ボールねじ2には、円筒形のナット20がボール(図示略)を介して螺合している。
【0023】
該ナット20には、円筒形をなすロッド3(第2の筒体)の一端部が軸長方向に連結している。ロッド3の内側にはボールねじ2の一端部側が挿入されている。ロッド3の他端部は、筒体1の一端部から突出している。筒体1の一端部には、筒形の先端ハウジング4が内嵌しており、該先端ハウジング4の内周面に弾性部材からなる環状のスクレーパ4aが設けてある。該スクレーパ4aはロッド3の外周面に接触する。なおボールねじ2、ナット20及びボールによってボールねじ機構が構成されている。
【0024】
筒体1の他端部に、ベアリング51、51を収容する筒形のベアハウジング50が内嵌しており、ボルトにて連結されている。ベアハウジング50の両端部内側それぞれに、ベアリング51、51が同軸的に嵌合している。両ベアリング51、51によって、前記ボールねじ2と後述するサーボモータ7の出力軸7aとを連結する連結軸52が回転可能に支持されている。
【0025】
筒体1の反対側において、ベアハウジング50には、カップリング61を収容した筒形のカップリングケース60が外嵌している。ベアハウジング50の反対側において、カップリングケース60の開口部分に取付フランジ62が設けてある。該取付フランジ62を介して、サーボモータ7がカップリングケース60にボルトで固定してある。
【0026】
サーボモータ7の出力軸7aがカップリングケース60に挿入してあり、カップリング61に連結している。カップリング61と前記ボールねじ2の他端部とは、前記連結軸52によって連結されている。なおサーボモータ7の出力軸7a、カップリング61、連結軸52、ボールねじ2は同軸上に配してある。
【0027】
サーボモータ7の正逆回転によって、ボールねじ2が正逆回転し、ナット20が軸長方向に沿って進退し、ロッド3が進退する。筒体1からのロッド3の突出長が長くなるか又は短くなり、ロッド3の突出端部に連結された物体を進退させることができる。
【0028】
図2はナット20付近の構成を略示する拡大断面図、図3は軸長方向から見た摺接部材24を略示する図である。軸長方向において、ナット20のロッド3側に連結円筒21が同軸的に設けてある。前記ボールねじ2は連結円筒21に挿入され、ナット20に螺合している。連結円筒21はナット20と一体化しており、連結円筒21の外周面にはねじ溝21aが形成してある。連結円筒21の外側に、後述する摺接部材24を支持する支持円環22(環状部材)が設けてある。支持円環22は内周面に雌ねじ22aを形成してあり、連結円筒21に螺合している。
【0029】
支持円環22の外周面に円環溝22b(溝)が形成してある。また支持円環22におけるロッド3側の内周縁部には、軸長方向に窪んだ凹部22cが形成してある。凹部22cは、軸長方向から見た場合に円環状をなす。
【0030】
円筒形をなすロッド3の一端部内周面には雌ねじ3aが形成してあり、ロッド3の一端部は連結円筒21の外周面に螺合している。螺合したロッド3の一端部は前記凹部22cに嵌合している。
【0031】
円環溝22bには、Oリング23(弾性環)が設けてある。該Oリング23の外側に半円形状をなす二つの摺接部材24、24が設けてある。摺接部材24は、その内周をOリング23に対向させて円環溝22bに取り付けてある。Oリング23の略全周が二つの摺接部材24、24によって覆われている。Oリング23は弾性部材からなり、摺接部材24は、Oリング23を押圧した状態でOリング23と筒体1の内周面との間に設けられている。そのため摺接部材24は、Oリング23によって径方向外向きに付勢され、筒体1の内周面に接触している。Oリング23は例えば、ばね、ゴム、樹脂部材等で構成されるが、弾性力を有する部材であればよく、これらに限定されない。
【0032】
なお、より大きな付勢力を摺接部材24に付与させる場合、複数(例えば二つ)のOリング23を円環溝22bに設けてもよい。この場合、線径の小さい複数のOリング23を、円環溝22bにて軸長方向に並設させて、Oリング23の径方向寸法が規定の寸法を超過することを回避し、且つ充分な大きさの付勢力を摺接部材24に付与させることができる。Oリング23の径方向寸法が規定の寸法を超過した場合、例えば線径の大きな単一のOリング23を使用した場合、充分な大きさの付勢力を摺接部材24に付与することはできるが、Oリング23と筒体1との間に摺接部材24を収める空間を確保することが難しくなる。
【0033】
サーボモータ7の回転によって、ナット20及び連結円筒21が軸長方向に沿って移動し、摺接部材24が筒体1の内周面に接触して摺動する。ナット20の移動時において、摺接部材24が筒体1の内周面に接触しているので、ナット20の振動が抑制され、ボールねじ2の共振を防止することができる。
【0034】
なお摺接部材24の素材は特に限定されるものではないが、耐摩耗性があり、筒体1との摺動時に異音、発熱、焼き付きが発生せず、加工し易い素材が好ましい。例えば、高力黄銅その他の銅合金、所定の表面処理を施した金属部材、樹脂部材等が挙げられる。また摺接部材24は、筒体1とOリング23との間の寸法に応じて、筒体1の内周面への当接力を適切なものとすべく、切削加工される。そのため直線作動機の組立時に、必要に応じて摺接部材24の厚み等を調整することで、前記当接力を調整することができる。
【0035】
図4は、軸長方向からみた摺接部材24の変更例を示す図である。摺接部材24の形状は、半円形状に限定されない。例えば、図4Aに示すように、1/3円形状とし、三つの摺接部材24、24、24を円環溝22bに設けてもよい。また図4Bに示すように、1/4円形状とし、四つの摺接部材24、24、24、24を円環溝22bに設けてもよい。
【0036】
実施の形態1に係る直線作動機にあっては、摺接部材24は弧状をなすので、ナット20及び連結円筒21を摺接部材24に嵌入させることはない。各摺接部材24は、連結円筒21の外周面に沿って、前記外周面上に容易に且つ短時間で取り付けられ、直線作動機の組立効率を向上させることができる。
【0037】
またOリング23の付勢力によって、摺接部材24は筒体1の内周面に向けて付勢され、該内周面に接触し易くなる。また筒体1に接触した摺接部材24によって、ナット20の振動が抑制されるので、ボールねじ2の共振を防止することができる。また摺接部材24を半円形状とすることで、二つの摺接部材24だけで連結円筒21の略全周を覆うことができ、最小の数量で摺接部材24は筒体1の内周に全体的に接触することができる。
【0038】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る直線作動機を示す図面に基づいて詳述する。図5はナット20付近の構成を略示する拡大断面図である。支持環はナット20に外嵌しており、ナット20にて、摺動部材は筒体1の内周面に接触している。ロッド3とナット20との間において、連結円筒21の外周に固定ナット25が螺合している。ロッド3の一端部は、連結円筒21の外周に螺合し、固定ナット25に当接して締め付け固定されてる。
【0039】
実施の形態2に係る直線作動機にあっては、支持環をナット20に設けて、ナット20にて摺接部材24を筒体1の内周面に接触させているので、ナット20の振動を効率的に抑制し、ボールねじ2の振動抑制効果を高めることができる。
【0040】
実施の形態2に係る構成の内、実施の形態1と同様な構成について同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0041】
なお上述した実施の形態にあっては、軸回りに回転することを防止する回り止め部材をロッドに外嵌させてもよい。また筒体1は、軸長方向に長い筒状の部材によって構成され、その内側に収容されたナット20、連結円筒21、支持円環22等の部材が軸長方向に移動することができる構成であればよい。従ってその外形は特に限定されるものではなく、角筒形、円筒形等種々の外形を採用することができる。
【0042】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0043】
1 筒体
2 ボールねじ(雄ねじ、軸体)
3 ロッド(第2の筒体)
20 ナット(移動円筒)
21 連結円筒(移動円筒)
22 支持円環(環状部材)
22b 円環溝(溝)
23 Oリング(弾性環)
24 摺接部材
図1
図2
図3
図4
図5