(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963706
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】光ファイバの酸素検出ニードルを校正するための校正バイアル及び技術
(51)【国際特許分類】
G01N 21/77 20060101AFI20160721BHJP
A61B 5/1495 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
G01N21/77 A
A61B5/14 360
【請求項の数】20
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-85495(P2013-85495)
(22)【出願日】2013年4月16日
(65)【公開番号】特開2013-224935(P2013-224935A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2015年8月19日
(31)【優先権主張番号】13/452,226
(32)【優先日】2012年4月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592014182
【氏名又は名称】モコン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン イーストマン
【審査官】
伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−242391(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0223678(US,A1)
【文献】
特開平11−226978(JP,A)
【文献】
特表2008−506439(JP,A)
【文献】
特表2013−515265(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/084360(WO,A1)
【文献】
特表2010−536528(JP,A)
【文献】
特開2002−052655(JP,A)
【文献】
国際公開第92/019150(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0297566(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0228163(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0144811(US,A1)
【文献】
米国特許第06171368(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0072992(US,A1)
【文献】
米国特許第05230427(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0221477(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0235513(US,A1)
【文献】
特表2013−534467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/64−21/83
A61B 5/1495
A61J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバニードル型酸素センサにおけるゼロ校正値を得るのに使用するための校正具であり、
(a)酸素不透過性材料から構成され、空間を規定する、上部が開口したバイアル、
(b)該バイアルの開口した前記上部に密封状態で係合する、再閉し、ニードルが貫通可能な、酸素不透過性のセプタ、及び、
(c)密封された前記空間内に保持された所定量の微粒子の酸素ゲッタを含む、酸素透過性を示す小袋
を含む、校正具。
【請求項2】
前記密封された空間内に保持され、該密封された空間内との流体連結にある、所定量の酸素感受性を示すフォトルミネッセンス色素をさらに含む、請求項1の校正具。
【請求項3】
前記バイアルはガラスのバイアルである、請求項1の校正具。
【請求項4】
前記バイアルは小容器である、請求項1の校正具。
【請求項5】
前記セプタは再閉用エラストマの層にラミネートされた酸素バリア層を含む、請求項1の校正具。
【請求項6】
前記酸素バリア層はアルミ箔である、請求項5の校正具。
【請求項7】
前記エラストマは合成シリコンゴムである、請求項5の校正具。
【請求項8】
前記酸素ゲッタは鉄である、請求項1の校正具。
【請求項9】
前記鉄は平均粒径が25.4から127μm(1から5mil)の鉄粉である、請求項8の校正具。
【請求項10】
前記鉄と前記密閉された空間の、重量/体積の比は1:10から1:20mg/cm3である、請求項8の校正具。
【請求項11】
前記ニードルの先端に隣接した酸素感受性を示すフォトルミネッセンスプローブを有する、前記光ファイバニードル型酸素センサを校正する方法であり、
(a)前記センサを校正モードに設定すること、
(b)(i)既知のゼロでない酸素分圧を有する流体との流体連結にある前記センサに、前記フォトルミネッセンスプローブを設置し、
(ii)前記既知のゼロでない酸素分圧を有する流体との流体連結にある前記フォトルミネッセンスプローブで酸素濃度を読取り、
(iii)前記酸素濃度の読取り値を、既知のゼロでない酸素分圧と相関させる
ことにより、スパン校正値を得ること、及び、
(c)(i)前記ニードルを前記校正具の前記セプタを通して挿入することで、請求項1の前記校正具の前記空間との流体連結にある前記センサに前記フォトルミネッセンスプローブを設置し、
(ii)前記校正具の前記空間との流体連結にある前記フォトルミネッセンスプローブで、酸素濃度を読取り、
(iii)前記酸素濃度の読取り値を、前記空間内の前記既知のほぼゼロの酸素分圧と相関させる
ことにより、前記ゼロ校正値を得ること
を含む方法。
【請求項12】
前記スパン校正値及び前記ゼロ校正値は所定の順序で読取られる、請求項11の方法。
【請求項13】
前記酸素センサに、最初の読取り値がスパン校正値又はゼロ校正値のどちらであったかを示すデータを与える段階をさらに含む、請求項11の方法。
【請求項14】
前記フォトルミネッセンスプローブを大気との流体連結に設置することで、前記スパン校正値が得られる、請求項11の方法。
【請求項15】
前記校正具は請求項2に従う校正具である、請求項11の方法。
【請求項16】
前記校正具は請求項5に従う校正具である、請求項11の方法。
【請求項17】
前記校正具は請求項6に従う校正具である、請求項11の方法。
【請求項18】
前記校正具は請求項7に従う校正具である、請求項11の方法。
【請求項19】
前記校正具は請求項8に従う校正具である、請求項11の方法。
【請求項20】
前記校正具は請求項10に従う校正具である、請求項11の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して光ファイバニードル型酸素センサを校正するための、校正具及び校正具を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトルミネセンスセンサ又はプローブは、包装、容器、又は生体組織などの密封空間内の、一般的に酸素である被分析物濃度を測定するために、広く採用される手法である。簡潔に述べると、包装又は容器内の被分析物濃度は、被分析物に感受性を示すフォトルミネセンスプローブを包装、容器、又は生体組織内に挿入し、プローブを包装、容器、又は生体組織内で平衡させ、プローブを放射エネルギで励起させ、そして励起したプローブによって放出される放射エネルギが対象分析物の存在によって消光される範囲を測定することによって、測定できる。典型的な光学センサは、特許文献1及び特許文献2に記載されている。このような光学センサは独レーゲンスブルグのプリゼンツプリシジョンセンシング社(Presens Precision Sensing, GmbH)、米国テキサス州ダラスのオキシセンス社(Oxysense)、及び、アイルランドコーク州のルクセルバイオサイエンス社(Luxcel Biosciences, Ltd)を含む、多くのメーカから入手可能である。
【0003】
このようなフォトルミネッセンスプローブを読取るのに使用される分析装置は、一般に校正モードでプログラムされており、この校正モードは既知の対象分析物濃度を有する媒質にさらされたプローブを装置に読取らせることで装置の校正を可能にする。(例えば、装置を校正モードに設定し、0%の被分析物を含む認証されたタンクガス(tankgas)で満たされた(flushed)容器内に設置されたプローブを読取り、そして100%の被分析物のような既知の被分析物濃度を含む保証されたタンクガスで満たされた容器に設置されたプローブを読取る。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第92/19150号
【特許文献2】加国特許第2600563号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の校正方法は光学センサを精確に校正するのに有効であるが、時間を消費し、高価である。
【0006】
従って、フォトルミネッセンスセンサ又はプローブを読取るのに使用される装置を精確かつ確実に校正するための、低費用のシステム及び方法に対する十分な需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一側面は、光ファイバニードル型酸素センサに対するゼロ校正値を得るのに使用するための校正具である。校正具はバイアルを含み、このバイアルはセプタによって密封状態で覆われ、バイアルの空間内に微粒子の酸素ゲッタの供給を含む。バイアルは開口上部を有し、酸素不透過性材料によって構成される。セプタは再閉し、光ファイバニードル型酸素センサによって貫通可能で、酸素不透過性を示す。微粒子の酸素ゲッタの供給は、酸素透過性小袋内で保持される。
【0008】
本発明の第二側面は、ニードルの先端に隣接した酸素感受性を示すフォトルミネッセンスプローブを有する、光ファイバニードル型酸素センサを校正する方法である。校正方法は次の(a)から(c)の段階を含む。(a)センサを校正モードに設定する。(b)(i)既知のゼロでない酸素分圧を有する流体との流体連結にあるセンサに、フォトルミネッセンスプローブを設置し、(ii)既知のゼロでない酸素分圧を有する流体との流体連結にあるフォトルミネッセンスプローブで酸素濃度を読取り、(iii)酸素濃度の読取り値を、既知のゼロでない酸素分圧と相関させることにより、スパン校正値を得る。そして、(c)(i)ニードルを校正具のセプタを通して挿入することで、本発明の第一側面に従う校正具の空間との流体連結にあるセンサにフォトルミネッセンスプローブを設置し、(ii)校正具の空間との流体連結にあるフォトルミネッセンスプローブで、酸素濃度を読取り、(iii)酸素濃度の読取り値を、空間内の既知のほぼゼロの酸素分圧と相関させることにより、ゼロ校正値を得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】光ファイバニードル型酸素センサと共に示される、本発明の一実施形態の分解側面図である。
【
図2】
図1に示される本発明のキャップ部品の拡大断面側面図である。
【
図3】
図1に示される本発明の小袋部品の一部を大きく拡大した断面側面図で、小袋内に含まれる微粒子の酸素ゲッタを示す図である。
【
図4】
図1に示される光ファイバニードル型酸素センサの先端を大きく拡大した断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
請求の範囲を含む本明細書で使用される、“酸素不透過性”という表現は、25.4μm(1mil)のフィルムに形成され、ASTM F 1927に従って測定されたときに、10cm
3/m
2 dayより小さな酸素透過度を有する材料を意味する。
【0011】
請求の範囲を含む本明細書で使用される、“酸素透過性”という表現は、25.4μm (1mil)のフィルムに形成され、ASTM D 3985に従って測定されたときに、1,000cm
3/m
2 dayより大きな酸素透過度を有する材料を意味する。
【0012】
請求の範囲を含む本明細書で使用される、“酸素バリア”という表現は、コーティングされた、金属化された、及び多層のフィルムを含むフィルムで、酸素に不浸透性を示す(金属層のような)又は、ASTM F 1927に従って測定されたときに、0.1cm
3/m
2 dayより小さな酸素透過度を有するフィルムを意味する。
【0013】
請求の範囲を含む本明細書で使用される、“ほぼゼロ”という表現は、サンプル中の酸素濃度を説明するのに使用するときに0.01%より少ない酸素を意味する。
【0014】
請求の範囲を含む本明細書で使用される、“酸素感受性”又は“酸素に対する感受性”という表現は、発光の消光によって測定される感受性を意味する。
【0015】
請求の範囲を含む本明細書で使用される、“薄膜”という表現は、10μmより少ない厚さを有するフィルムを意味する。
【0016】
請求の範囲を含む本明細書で使用される、“小容器”という表現は、20mlより少ない充填可能な体積を有する容器を意味する。
【0017】
構造
図1は、本発明に従って構成された校正具10を示す。校正具10はバイアル20と、キャップ30と、微粒子の酸素ゲッタ41を含む小袋40とを含む。
【0018】
バイアル20又は他の適切な容器は、開口上部20a及び閉口底部20bを有する。バイアル20は50mlより少ない充填可能な体積を有するのが好ましく、2から20mlの間の充填可能な体積を有する小容器が好ましい。
【0019】
バイアル20は、必要な構造的完全性を有する、ほぼいかなる酸素不透過性材料からも構成可能である。バイアル20は、酸素がバイアル20の壁を通り、バイアル20によって規定される空間29内に透過する割合を減少させるために、酸素バリア材料から構成されるのが好ましい。適切な材料は、具体的には、ただし排他的ではないが、ガラス及び特定のプラスチックを含む。ガラスが好ましい。
【0020】
図1及び2を参照すると、バイアル20の開口上部20aはセプタ31を伴うキャップ30、又は他の適切な密封装置によって密封状態で覆われる。バイアル20の空間29を周囲の環境から密封するのに加え、キャップ30及び、具体的にはキャップ30のセプタ31が、少なくとも光ファイバニードル型酸素センサSの先端S
1によって貫通される前に酸素に不透過性を示し、そして光ファイバニードル型酸素センサSの先端S
1によって貫通された後に再閉する必要がある。酸素に不透過性を示さないキャップ30を使用することは、使用する以前に、空間29内に保持された酸素ゲッタを急速に利用することにより、校正具10の有用な寿命を著しく減少させる場合があり、顕著な場合においては、空間29内に保持された酸素ゲッタ41が酸素を捕捉できるより速い速度で酸素を透過させ、空間29内の酸素濃度をほぼ即座にゼロを優に上回るまで上昇させ得る。光ファイバニードル型酸素センサSの先端S
1によって貫通された後に再閉できないキャップ30を使用することは、校正具10を高価な単一使用の使い捨てのものにし、その理由は、単一の光ファイバニードル型酸素センサSが校正具10で校正された後に、周囲の環境からの酸素がキャップ30に残された孔を急速に通過するためである。
【0021】
図2を参照すると、所望の再閉及び酸素不透過性特性の両方をもたらすことが可能なキャップ30の1タイプは、セプタ31を伴うキャップ30で、このセプタ31は合成シリコンゴムなどの再閉するエラストマの層31
1を含み、その底面にラミネートされた、金属箔などの酸素不透過性材料の層31
2を伴う。このような二重機能のセプタ31を伴うキャップ30はシグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich)及びフィッシャーサイエンティフィック社(Fisher Scientific)を含む多数のメーカから入手可能である。キャップ30は、具体的には、ただし排他的ではないが、スクリュー及びクリンプ型のキャップを含み、クリンプ型キャップが概して好ましい。
【0022】
図1から3を参照すると、空間29内の酸素濃度をほぼゼロに維持する目的で、バイアル20及び/又はキャップ30を通って空間29に到達する酸素を消費するために、微粒子の酸素ゲッタ41がバイアル20の空間29内にもたらされる。
【0023】
酸素ゲッタ41は、具体的には、ただし排他的ではないが、活性炭と、シリカゲルと、活性アルミナと、分子篩と、鉄、マグネシウム、亜鉛、及びチタンなどの金属と、金属などの様々な無機塩とを含む、いかなる周知の酸素ゲッタからも選定され得る。
【0024】
当業者に周知なように、微粒子の吸湿性材料(図示なし)が微粒子の酸素ゲッタ41と共に頻繁に用いられ、その理由は、多くの酸素ゲッタ41が酸素と化学的に反応して酸素を捕捉する目的で水を要求し、吸湿性材料に吸収された水が必要な水の供給をもたらすことができるためである。
【0025】
酸素ゲッタ41は、周囲の空気から空間29に入る酸素の透過率を超過する酸素消費率を有さなければいけない。概して、酸素ゲッタ41は空間29への酸素の透過度よりわずかにだけ大きな速度で酸素を消費するのが好ましく、空間29への酸素透過度の2から10倍の範囲が概して許容される。酸素ゲッタ41が空間29内の酸素を捕捉できる速度に影響を与える要素の1つは、酸素ゲッタ41の表面積である。空間29に到達する酸素を、酸素が周囲の空気から空間29内に透過する速度と少なくとも同じ速さで捕捉するのに効果的な表面積をもたらすために、酸素ゲッタ41は、平均粒径が254μm(10mil)より小さい、好ましくは25.4−127μm(1−5mil)で、最も好ましくは25.4−76.2μm(1−3mil)の、微粒子又は粉末形態でもたらされるのが好ましい。しかし、この形態でもたらされるとき、微粒子が拡散してプローブPを覆い、空間29に挿入された光ファイバニードル型酸素センサSの光ファイバフィラメントFがこれらの微粒子を含み、汚染されたセンサSの正確さ及び感受性が付随して減少する傾向があることが分かった。
図1及び3を参照すると、酸素ゲッタ41を酸素透過性小袋40に保持することで、微粒子の酸素ゲッタ41の酸素捕捉性能に著しく影響を与えることなく、この欠点を除去できることが分かった。微粒子の酸素ゲッタ材料41で充填されたこのような小袋40は、一般的に袋詰された食品を保護する目的で販売され、マルチソーブ・テクノロジーズ社(Multisorb Technologies)のフレッシュパックス(FreshPax)(商標登録)を含む、多数のメーカから商業的に入手可能である。
【0026】
バイアル20の外側には、バイアル20をゼロ校正具10として識別する印(図示なし)(例えば、“0% O
2”、“ゼロO
2”など)を刻印できる。
【0027】
校正具10の寿命に影響を与える要素の1つは、酸素ゲッタ41と空間サイズ29の比である。空間29を密封してから少なくとも1年、又は100回の使用の、いずれか早い方の寿命が概して所望される。この所望の寿命に達するために、酸素ゲッタ41と密封された空間29は1:5から1:20mg/cm
3の重量/体積比が概して効果的で、1:10から1:20mg/cm
3の重量/体積比が概して好ましい。
【0028】
校正具10は、フォトルミネッセンス読取り器(図示なし)で確認用プローブ50を調べることで空間29内の酸素濃度を確認できるようにするために、任意で空間29内に確認用プローブ50を装備される場合がある。
【0029】
空間29内に確認用プローブ50を装備されたバイアル20は、少なくとも確認用プローブ50がエネルギを吸収し放出する特定の波長で、透明又は半透明である必要がある。
【0030】
酸素感受性を示す確認用プローブ50は、酸素感受性を示すフォトルミネッセンス色素(図示なし)を酸素透過性を示す担体マトリックス(図示なし)内に埋め込むことで、標準の慣例に従って構成できる。
【0031】
酸素感受性を示すフォトルミネッセンス色素(図示なし)は、酸素感受性を示すフォトルミネッセンスプローブの構成に使用される、いかなる周知の酸素感受性を示すフォトルミネッセンス色素からも選定され得る。このような酸素感受性を示すフォトルミネッセンス色素(図示なし)の非包括的なリストは、具体的には、ただし排他的ではないが、ルテニウム(II)ビピリジル及びルテニウム(II)ジフェニルフェナノトロリンの複合体、白金(II)オクタエチルポルフィンケトンのようなポルフィリンケトン、白金(II)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ポルフィンのような白金(II)ポルフィリン、パラジウム(II)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ポルフィンのようなパラジウム(II)ポルフィリン、テトラベンゾポルフィリンの燐光性金属複合体、塩素、アザポルフィリン、及びイリジウム(III)もしくはオスミウム(II)の長期減衰(long-decay)ルミネセンス複合体を含む。
【0032】
担体マトリックス(図示なし)として使用するのに適切な組成物は、酸素透過性を示す組成物、好ましくは酸素透過性が高い組成物である。当業者は、このような酸素透過性を示す担体組成物(図示なし)を選定することが可能である。担体マトリックス(図示なし)として使用するのに適切な重合体の非包括的なリストは、具体的には、ただし排他的ではないが、シリコン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、並びにいくつかの他の重合体及び共重合体を含む。
【0033】
使用
校正具10は、酸素感受性を示すフォトルミネッセンスプローブPを搭載し、校正モードでプログラムされた光ファイバニードル型酸素センサSを、迅速かつ容易に校正するために使用可能である。センサSの校正は簡単に次の(1)から(3)の段階を含む。(1)センサSを校正モードに設定する。(2)(i)既知のゼロでない酸素分圧を有する流体(一般に、20.95%O
2の一定濃度を有すると知られている大気)との流体連結内にあるセンサSに、フォトルミネッセンスプローブPを設置し、(ii)このような流体との流体連結にあるセンサSに搭載されたフォトルミネッセンスプローブPで、酸素濃度を読取り、(iii)酸素濃度の読取り値を、既知のゼロでない酸素分圧と相関させることにより、スパン校正値を得る。(3)(i)ニードルS
1の先端を、空間29を覆うセプタ31を通して挿入することで、校正具10の空間29との流体連結にあるセンサSにフォトルミネッセンスプローブPを設置し、(ii)空間29の内容物との流体連結にあるフォトルミネッセンスプローブPで、酸素濃度を読取り、(iii)酸素濃度読取り値を、空間29内の既知のほぼゼロの酸素分圧と相関させることにより、ゼロ校正値を得る。
【0034】
各酸素濃度の読取り値を適切な校正点(つまり、スパン校正読取り値又はゼロ校正読取り値)と相関させることは、様々な方法で実施できる。1つの技術は、前もって光学酸素センサSに入力された所定の順序で、酸素濃度を読取ることである。2つ目の技術は、読取り値が取られる度に、校正点が取られたか、又はこれから取られるかを示すのに有効な付加的なデータを光学酸素センサSに与えることである。3つ目の技術は、読取り値が取られる度に、読取り時にプローブPがさらされていた酸素濃度を示すのに効果的な付加的なデータを光学酸素センサSに与える(例えば、空気を読取った後に20.95%、校正具10の空間29を読取った後に0%O
2をユーザが入力する)ことである。
【0035】
本明細書の括弧書きの数値について、括弧の前に記載された数値は、括弧内の数値を換算した値である。
【符号の説明】
【0036】
10 校正具
20 バイアル
20a バイアルの開口上部
20b バイアルの底部
29 バイアルの保持空間
30 キャップ
31 セプタ
31
1 セプタの再閉可能な層(エラストマ)
31
2 セプタの酸素バリア層(金属箔)
40 小袋
41 微粒子の酸素ゲッタ
50 酸素確認用フォトルミネッセンスプローブ
S 光ファイバニードル型酸素センサ
S
1 光ファイバニードル型酸素センサの先端
S
2 光ファイバニードル型酸素センサの側面ポート
F 光ファイバフィラメント
P フォトルミネッセンス酸素プローブ