(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定手段は、前記現像装置に現像剤が補給されてから前記検知手段によって予め定められた濃度閾値以上の濃度が検知されるまでの時間を測定する請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。
【0012】
<画像形成装置100の概略構成>
まず、本発明の実施形態の画像形成装置100の概略構成について説明する。
図1に示されるように、画像形成装置100は、画像読取部1、ADF(Automatic Document Feeder)2、画像形成部3、給紙部4、制御部5、及び操作表示部6等を備えている。操作表示部6は、制御部5からの制御指示に従って各種の情報を表示し、ユーザー操作に応じて制御部5に各種の情報を入力するタッチパネル等である。ここで、
図1(A)は、画像形成装置100の正面図であり、
図1(B)は、画像読取部1の平面図である。なお、説明の便宜上、画像形成装置100が使用可能に設置された状態の鉛直方向を上下方向7と定義し、操作表示部6が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8を定義し、画像形成装置100の正面を基準に左右方向9を定義する。また、画像形成装置100は、本発明の画像形成装置の一例に過ぎず、本発明の画像形成装置は、プリンター、FAX装置、複写機等であってもよい。
【0013】
画像読取部1は、用紙Pから画像データを取得する。画像読取部1は、用紙カバー2A、コンタクトガラス11、読取ユニット12、ミラー13、ミラー14、光学レンズ15、及びCCD(Charge Coupled Device)16等を備えた画像読取手段である。コンタクトガラス11は、画像読取部1の上面に設けられており、画像形成装置100の画像読取対象となる用紙Pが載置される透明な用紙台である。
【0014】
用紙カバー2Aは、必要に応じてコンタクトガラス11を覆うものである。そして、画像読取部1は、制御部5によって制御されることによって、コンタクトガラス11上に載置された用紙Pから画像を読み取る。
【0015】
読取ユニット12は、LED光源121及びミラー122を備えており、ステッピングモーター等の移動機構(不図示)によって副走査方向(
図1における左右方向9)へ移動可能に構成されている。そして、前記移動機構によって読取ユニット12が副走査方向に移動されると、LED光源121からコンタクトガラス11に向けて照射される光が副走査方向に走査される。
【0016】
LED光源121は、画像形成装置100の主走査方向(
図1における前後方向8)に沿って配列された多数の白色LEDを備えている。LED光源121は、コンタクトガラス11上の読取位置12Aにある用紙Pに向けて1ライン分の白色光を照射する。なお、読取位置12Aは、読取ユニット12の副走査方向への移動に伴って副走査方向へ移動する。
【0017】
ミラー122は、LED光源121から読取位置12Aにある用紙Pに光を照射したときの反射光をミラー13に向けて反射させる。そして、ミラー122で反射した光は、ミラー13及びミラー14によって光学レンズ15に導かれる。光学レンズ15は、入射した光を集光してCCD16に入射させる。
【0018】
CCD16は、受光した光をその光量に応じた電気信号(電圧)に変換して制御部5に出力する光電変換素子である。具体的には、CCD16は、LED光源121から光が照射されたときに用紙Pから反射した光に基づいて用紙Pの画像に対応する電気信号に基づいて画像データを生成する。
【0019】
ADF2は、用紙カバー2Aに設けられている。ADF2は、用紙トレイ21、給送機構22、複数の搬送ローラー23、用紙押さえ24、及び排紙部25等を備えた自動原稿送り装置である。ADF2は、給送機構22及び搬送ローラー23各々を不図示のステッピングモーターで駆動させることによって、用紙トレイ21にセットされた用紙Pをコンタクトガラス11上の読取位置12Aを通過させて排紙部25まで搬送させる。この際に、画像読取部1によって読取位置12Aを通過する用紙Pの画像が読み取られる。
【0020】
用紙押さえ24は、コンタクトガラス11上の読取位置12Aの上方に用紙Pが通過できる間隔を隔てた位置に設けられている。用紙押さえ24は、主走査方向に長尺状に形成されており、その下面(コンタクトガラス11側の面)には白色のシートが貼り付けられている。画像形成装置100では、前記白色のシートの画像データが白色基準データとして読み取られる。前記白色基準データは、周知のシェーディング補正等で用いられる。
【0021】
画像形成部3は、画像読取部1で読み取られた画像データ、又は外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力された画像データに基づいて画像形成処理(印刷処理)を実行する電子写真方式の画像形成手段である。画像形成部3は、感光体ドラム31、帯電装置32、LSU(Laser Scanner Unit)33、現像装置34(現像装置の一例)、転写ローラー35、除電装置36、定着ローラー37、加圧ローラー38、及びトナーコンテナ39等を備えている。また、画像形成部3は、ステッピングモーター77及びステッピングモーター87(
図5参照)を備えている。
【0022】
画像形成部3では、給紙部4から給送された用紙Sに以下の手順で画像が形成され、画像形成後の用紙Sは排紙トレイ40に排紙される。具体的には、まず、帯電装置32によって感光体ドラム31が所定の電位に一様に帯電される。次に、LSU33によって感光体ドラム31の表面に画像データに基づく光が照射される。これにより、感光体ドラム31の表面に静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム31上の静電潜像は現像装置34によってトナー像として現像(可視像化)される。続いて、感光体ドラム31に形成されたトナー像は転写ローラー35によって用紙Sに転写される。その後、用紙Sに転写されたトナー像は、その用紙Sが前記定着ローラー37及び前記加圧ローラー38の間を通過して排出される際に前記定着ローラー37で加熱されて用紙Sに溶融定着する。感光体ドラム31の電位は除電装置36で除電される。なお、現像装置34の詳細については後述する。
【0023】
給紙部4は、画像形成部3において画像が形成される用紙Sを給送する。給紙部4は、不図示のカセット装着部に装着された不図示の給紙カセットに載置された複数の用紙Sを一枚ずつ画像形成部3に給送する。
【0024】
次に、
図5を参照して、制御部5の概略機能について説明する。制御部5は、CPU51、ROM52、RAM53、EEPROM54、モータードライバー55等を有している。制御部5は、ROM52に記憶された所定の制御プログラムをCPU51で実行することによって、画像形成装置100を統括的に制御する。具体的に、ROM52には、画像を形成する画像形成処理プログラムや、ステッピングモーター77,87を駆動させる駆動制御プログラムなどが予め記憶されている。また、ROM52には、後述する補給制御(
図6参照)を実行するための補給制御プログラム、及び、後述する時間変更処理(
図7参照)を実行するための時間変更処理プログラムが予め記憶されている。
【0025】
RAM53は揮発性の記憶手段、EEPROM54は不揮発性の記憶手段であって、CPU51が実行する各種の処理の一時記憶メモリーとして使用される。EEPROM54には、後述する補給制御に用いられる駆動時間T1及び停止時間T2が記憶されている。なお、停止時間T2は、後述する時間変更処理によって変更される対象でもある。また、EEPROM54には、後述の補給制御に用いられる濃度閾値V1,V2,V3、設定枚数が記憶されている。ここで、前記濃度閾値V1は、補給制御において現像剤の補給を行うかどうかを判定するための閾値である。また、前記濃度閾値V2は、補給制御においてトナーコンテナ39の交換を行うかどうかを判定するための閾値である。また、前記濃度閾値V3は、時間変更処理において補給された現像剤がトナー濃度センサー67の検知位置まで到達したかどうかを判定するための閾値である。また、前記設定枚数は、補給制御においてトナー交換メッセージを出力するかどうかを判定するための閾値である。
【0026】
モータードライバー55は、CPU51の制御によってステッピングモーター77,87を駆動させる。制御部5には、ステッピングモーター77,87が接続されており、CPU51からの制御信号に基づいてモータードライバー55によって駆動制御される。また、制御部5には現像装置34が備える後述のトナー濃度センサー67が接続されており、トナー濃度センサー67で検知されて出力される出力信号(電圧信号)が制御部5に入力される。この出力信号はトナー濃度センサー67の検知対象であるトナーの濃度を示しており、制御部5は前記出力信号を受けると、出力信号に応じたトナー濃度を認識する。なお、制御部5は、集積回路(ASIC、DSP)等の電子回路により構成されてもよく、画像形成装置100を統括的に制御するメイン制御部と別に設けられた制御部であってもよい。
【0027】
<現像装置34の構成>
次に、
図2乃至
図5を参照して、現像装置34について詳細に説明する。ここで、
図3は、
図2におけるA−A断面図である。
図4(A)は、現像装置34の右側面図であり、
図4(B)は、
図4(A)におけるB−B断面図である。
【0028】
現像装置34は、磁性を有するトナーを主たる現像剤とする一成分からなる所謂一成分性の現像剤を用いて現像するものである。
図2に示されるように、現像装置34は、前後方向8に長い形状に形成されている。現像装置34の筐体60の上壁には、補給口70(現像剤補給口の一例)が形成されている。補給口70は、筐体60において後方側の端部の近傍に設けられている。現像装置34にトナーコンテナ39(現像剤容器の一例、
図4(A)参照)が装着されている。トナーコンテナ39は、補給口70を通じて現像装置34の内部に補給される現像剤を収容する容器である。このトナーコンテナ39は、画像形成部3に対して着脱可能に構成されている。トナーコンテナ39が画像形成部3に装着された状態で、トナーコンテナ39から補給口70へ現像剤を補給可能となる。画像形成部3は、トナーコンテナ39が装着されたときに、その装着を検知する検知機構を有する。前記検知機構としては、例えば、装着時にオン信号を出力するスイッチが考えられる。また、前記検知機構は、トナーコンテナ39にメモリーが設けられており、装着時に制御部5のCPU51によってメモリーの内容が読み取られるような機構であってもよい。
【0029】
図4(A)に示されるように、トナーコンテナ39には、スパイラル形状の補給ローラー86(補給手段の一例)が設けられている。補給ローラー86は、軸周りに螺旋形状の羽が設けられている。補給ローラー86は、トナーコンテナ39の内部に設けられており、より詳細には、トナーコンテナ39の長手方向(前後方向8)の両端の側壁に回転可能に支持されている。
図5に示されるように、補給ローラー86は、ギヤ78Bを介してステッピングモーター87に接続されている。ステッピングモーター87は、ギヤ88を介して回転駆動力を供給して、補給ローラー86を回転させる。つまり、ステッピングモーター87が回転駆動されることにより、補給ローラー86が回転駆動される。補給ローラー86が回転駆動されると、トナーコンテナ39内の現像剤が補給口70側へ撹拌されながら搬送される。これにより、現像剤が補給口70へ案内されて、補給口70から現像装置34の内部へ補給される。
【0030】
また、現像装置34には、補給口70を開閉するためのシャッター69が設けられている。シャッター69は、トナーコンテナ39が現像装置34に装着されたときに開けられる。シャッター69には、ソレノイド81が取り付けられている。ソレノイド81が通電されたときに突出するプランジャーが筐体60の垂直リブ82に当接して押しつける。これにより、その反動力によってシャッター69が補給口70を閉じる方向へ移動する。
【0031】
図3に示されるように、現像装置34は、現像剤貯留部63、スクリューフィーダー64A(搬送手段の一例)、スクリューフィーダー64B、トナー濃度センサー67(検知手段の一例)、現像ローラー61、磁気ローラー62、現像剤規制ブレード71などを備えている。これらは現像装置34の筐体60の内部に設けられている。現像剤貯留部63は、筐体60の底部分に形成されており、筐体60と一体に構成されている。現像剤貯留部63は、トナーコンテナ39から補給された現像剤が貯留(収容)される容器である。現像剤担持体である磁気ローラー62は、現像剤貯留部63の上方に配置される。トナー担持体である現像ローラー61は、磁気ローラー62の斜め上方位置で磁気ローラー62に対向配置される。現像剤規制ブレ−ド71は、磁気ローラー62に対向して配置される。
【0032】
図5に示されるように、現像ローラー61、磁気ローラー62、スクリューフィーダー64A、及びスクリューフィーダー64Bは、ギヤ78を介してステッピングモーター77に接続されている。ステッピングモーター77は、ギヤ78を介して回転力を供給してスクリューフィーダー64A、スクリューフィーダー64B、現像ローラー61、及び磁気ローラー62を連動して回転させる。
【0033】
ステッピングモーター77は、制御部5の制御によって、現像が行われる現像時に正回転方向(
図3の矢印91,92の方向)へ、現像ローラー61及び磁気ローラー62を回転させる。これに連動してスクリューフィーダー64A、及びスクリューフィーダー64Bもギヤ78によって定められた正回転方向(
図3及び
図4の矢印93,94の方向)へ回転する。これにより、感光体ドラム31に現像剤が供給される。また、ステッピングモーター77は、制御部5の制御によって、現像が行われていない非現像時に前記正回転方向とは逆向きの逆回転方向(
図3の前記矢印91,92とは逆向きの方向)へ、現像ローラー61及び磁気ローラー62を回転させる。これに連動して、スクリューフィーダー64A、及びスクリューフィーダー64Bもギヤ78によって定められた逆回転方向(
図3及び
図4の矢印93,94とは逆向きの方向)へ回転する。これにより、前記正回転方向の回転では撹拌できないような場所で滞留している現像剤や沈殿している現像剤を撹拌させることができる。
【0034】
図4(B)に示されるように、現像剤貯留部63は、現像装置34の長手方向(前後方向8)に延びる2つの隣り合う現像剤貯留室63A,63Bを含む。現像剤貯留室63A,63Bそれぞれは、前後方向8に長い円筒状の形状に形成されている。現像剤貯留室63A,63Bは、筐体60に一体に形成されており、前後方向8に延びる仕切り板111によって互いに仕切られている。ただし、完全に仕切り分けられているのではなく、
図4(B)に示されるように、前後方向8における両端部には仕切り板111が設けられていない。具体的には、現像剤貯留室63A,63Bそれぞれの両端部は連通路112,113によって互いに連通されている。
【0035】
現像剤貯留室63A,63Bそれぞれには、スクリューフィーダー64A,64Bが収容されている。スクリューフィーダー64A,64Bは、合成樹脂によって構成されている。スクリューフィーダー64A,64Bには、軸周りに螺旋形状の羽が設けられている。スクリューフィーダー64Aは、現像剤貯留室63Aの長手方向の両端壁で回転可能に支持されている。また、スクリューフィーダー64Bは、現像剤貯留室63Bの長手方向の両端壁で回転可能に支持されている。これにより、スクリューフィーダー64A,64Bは、現像剤貯留室63A,63Bの内部で回転することができる。スクリューフィーダー64A,64Bは、ステッピングモーター77からギヤ77を経て供給された回転駆動力を受けて回転される。スクリューフィーダー64A,64Bが回転されることにより、補給口70から現像剤貯留室63Aに補給された現像剤を補給口69からトナー濃度センサー67側へ撹拌させながら搬送する。スクリューフィーダー64A,64Bそれぞれの回転方向は互いに逆方向に設定されている。これにより現像剤は、現像剤貯留室63A及び現像剤貯留室63B間を撹拌されつつ、
図4(B)の矢印96で示される方向へ循環搬送される。この撹拌により、現像剤に電荷を持たせることができる。
【0036】
磁気ローラー62は、現像装置34の長手方向(前後方向8)に沿って配設されている。磁気ローラー62は、現像時に
図3における時計回転方向(
図3の矢印92の方向)へ回転される。磁気ローラー62の内部には、固定式の所謂磁石ロール(不図示)が配置されている。磁石ロールは複数の磁極を有しており、本実施形態では汲上極73、規制極74、及び主極75を有する。汲上極73は現像剤貯留部63に対向し、規制極74は現像剤規制ブレード71に対向し、主極75は現像ローラー61に対向するように配置されている。
【0037】
磁気ローラー62は、汲上極73の磁力によって現像剤貯留部63から現像剤をその磁気ローラー周面62A上に磁気的に汲み上げる。汲み上げられた現像剤は、磁気ローラー周面62A上に磁気的に現像剤層(磁気ブラシ層)として保持され、磁気ローラー62の回転に伴って現像剤規制ブレード71へ向けて搬送される。
【0038】
現像剤規制ブレード71は、磁気ローラー62の回転方向から見て現像ローラー61よりも上流側に配置され、磁気ローラー周面62Aに磁気的に付着した現像剤層の層厚を規制する。現像剤規制ブレード71は、磁気ローラー62の前後方向8に沿って延びる磁性材料からなる板部材であり、筐体60に取り付けられている。また、現像剤規制ブレード71は、磁気ローラー周面62Aとの間で所定の寸法の規制ギャップ72を形成する規制面71A(つまり現像剤規制ブレード71の先端面)を有する。
【0039】
磁性材料から形成された現像剤規制ブレード71は、磁気ローラー62の規制極74によって磁化される。これにより、現像剤規制ブレード71の規制面71Aと規制極74との間、つまり規制ギャップ72に磁路が形成される。汲上極73によって磁気ローラー周面62A上に付着した現像剤層が、磁気ローラー62の回転に伴って規制ギャップ72内に搬送されると、現像剤層の層厚は規制ギャップ72において規制される。これにより、磁気ローラー周面62A上には所定厚さの均一な現像剤層が形成される。
【0040】
現像ローラー61は、現像装置34の長手方向(前後方向8)に沿って、且つ、磁気ローラー62に対して平行に延びるように配設されている。現像ローラー61は、現像時に
図3における時計回転方向(
図3の矢印91の方向)へ回転される。現像ローラー61は、磁気ローラー周面62A上に保持された現像剤層に接触した状態で回転しつつ、前記現像剤層から現像剤を受け取ってトナー層を現像ローラー周面61Aで担持する。現像が行なわれる現像時には、トナー層のトナーが感光体ドラム31の周面に供給される。
【0041】
現像ローラー61および磁気ローラー62は、ステッピングモーター77によって回転される。現像ローラー周面61Aと磁気ローラー周面62Aとの間には、所定の寸法の隙間76(
図3参照)が形成されている。隙間76は例えば約130μmに設定されている。現像ローラー61は、筐体60に形成された開口を通して感光体ドラム31に臨むように配置されている。現像ローラー周面61Aと前記感光体ドラム31の周面との間にも所定の寸法の隙間(例えば約110μm)が形成されている。
【0042】
図3及び
図4に示されるように、トナー濃度センサー67は、筐体60の右側面に設けられている。トナー濃度センサー67は、現像剤貯留室63Aにおける所定の検知位置における現像剤の濃度を検知する。トナー濃度センサー67は、筐体60において、補給口70から前方へ隔てられた位置に取り付けられている。具体的には、トナー濃度センサー67は、筐体60において前方側の端部の近傍に設けられている。トナー濃度センサー67は、現像剤貯留室63Aの内部の現像剤の透磁率を測定し、その透磁率に応じた電圧レベルの出力信号(電圧信号)を制御部5に出力する。現像処理によって現像剤が消費されると透磁率も変化する。例えば、現像剤が減少すると、現像剤の透磁率が低下し、出力信号の電圧レベルも低下する。一方、現像剤が増加すると、現像剤の透磁率が上がり、出力信号の電圧レベルも上がる。トナー濃度センサー67は、検知された透磁率に応じた出力信号(電圧信号)を制御部5に出力する。制御部5は、入力された出力信号に基づいて、現像剤のトナー濃度を判定する。このように、制御部5は、一成分性の現像剤の透磁率をトナー濃度センサー67によって検知することによって現送剤の濃度を検知する。なお、トナー濃度センサー67は、現像剤の濃度を判定する制御基板が組み込まれたものであってもよい。
【0043】
現像剤の濃度は、現像剤の残量に応じて異なる。そのため、制御部5は、現像剤の濃度を検知することによって現像剤貯留部63A内の現像剤の残量を検知することができる。つまり、制御部5は、現像剤の濃度をトナー濃度センサー67によって取得し、その現像剤の濃度に基づいて現像剤の残量を検知できる。また、制御部5は、検知された濃度が所定の濃度閾値V1(基準値)未満になると、補給口70を通じて、トナーコンテナ39から現像装置34へ現像剤を供給する。このようにして、制御部5は、現像装置34内の現像剤の濃度(現像剤の収容量)が一定範囲内に保つようにする。
【0044】
ところで、現像剤貯留室63に収容された現像剤の主たる成分であるトナーは樹脂で構成されている。そのため、湿度や温度が変化すると粘度が変化する。また、現像剤に添加されている酸化チタンの微粒子やシリカの微粒子が経年劣化すると現像剤の流動性が低下する。この場合、スクリューフィーダー64A,64Bによる現像剤の搬送速度が低下する。また、高温度又は高湿度の環境に置かれることによりトナーの粘度が高くなると、トナーがスクリューフィーダー64A,64Bの羽に付着し、或いは、現像剤貯留室63の内壁に付着して、更に搬送速度が低下することになる。このような搬送速度の低下は、後述する補給制御による現像剤の補給動作に影響する。具体的には、制御部5は、補給口70から補給された現像剤の濃度がトナー濃度センサー67によって検知されたタイミングで、更なる補給を行うかどうかを判定する。しかしながら、現像剤の搬送速度が低下すると、補給された現像剤の濃度がタイミング良くトナー濃度センサー67によって検知されなくなる。この場合、制御部5は、現像剤の補給が不足していると誤認して、更に現像剤を補給する指令を出すことになり、その結果、現像剤の過補給が生じる。そこで、本実施形態では、制御部5によって後述の時間変更処理が行われることによって、前記過補給の発生を防止している。以下、現像剤の補給制御、及び時間変更処理について詳細に説明する。
【0045】
<補給制御・時間変更処理>
以下、
図6及び
図7を参照して、制御部5によって実行される現像剤の補給制御の手順、及び時間変更処理の手順とともに、本発明の補給制御方法について説明する。
図6及び
図7のフローチャートにおいてステップS1、S2、・・・は処理手順(ステップ)番号を表している。なお、以下の補給制御では、スクリューフィーダー64A,64Bが回転されているものとする。また、以下の時間変更処理では、トナーコンテナ39の交換によりスクリューフィーダー64A,64Bの回転が停止されるものとする。
【0046】
<補給制御>
まず、
図6を参照して補給制御について説明する。ステップS1において、制御部5は、トナー濃度センサー67の出力信号が濃度閾値V1未満であるかどうかを判定する。ここで、濃度閾値V1は、トナーコンテナ39から現像剤を補給するかどうかを判定するための閾値である。一定の画質を維持するのに必要な最小限の量の現像剤の濃度値が前記濃度閾値V1に定められている。前記濃度閾値V1は、EEPROM54に記憶されており、制御部5は、トナー濃度センサー67の出力信号が示す濃度値(以下「センサー出力値」と称する。)と前記濃度閾値V1とを比較して判定する。ステップS1において、前記センサー出力値が濃度閾値V1未満であると判定された場合は、現像剤貯留室63に十分な量の現像剤があることを意味する。この場合は、前記センサー出力値が濃度閾値V1未満になるまでステップS1の判定処理が繰り返される。
【0047】
ステップS1において、前記センサー出力値が濃度閾値V1未満であると判定されると、制御部5は、ステップS2以降の処理を行うことにより、現像剤の補給動作を行う。具体的には、制御部5は、トナー濃度センサー67によって検知された濃度が濃度閾値V1以上になるまで、予め定められた駆動時間T1だけ補給ローラー86を回転駆動させ、駆動時間T1が経過してから予め定められた停止時間T2だけ補給ローラー86を停止させて、現像剤を現像装置34に補給する補給動作の制御を行う。このような処理を行う制御部5は、本発明の補給制御手段の一例である。ここで、前記駆動時間T1は、現像剤の補給が開始されてから補給が停止するまでの時間である。つまり、補給ローラー86を駆動させる時間である。また、前記停止時間T2は、制御部5による補給動作が継続されるときに、現像剤の補給を停止させる時間であり、つまり、補給が停止してから次の再補給が開始されるまでの時間である。この停止時間T2は、補給された現像剤がトナー濃度センサー67によって検知される位置まで到達するのに要する到達時間として設定されたものである。前記停止時間T2は、後述の時間変更処理によって、スクリューフィーダー64A,64による搬送速度が低下して実際の前記到達時間が変動した場合に変更される。
【0048】
以下、ステップS2以降の手順について説明する。次のステップS2では、制御部5は、現像装置34へ現像剤を補給する。つまり、制御部5は、ステッピングモーター87を回転駆動させて、補給ローラー86を回転させる。これにより、トナーコンテナ39内の現像剤が補給口70から現像剤貯留室63Aに補給される。つまり、制御部5は、補給ローラー86を回転させることにより、現像剤貯留室63Aへの現像剤の補給を開始する。本実施形態では、ステップS2では、ステッピングモーター87は、予め定められた駆動時間T1だけ回転駆動される。つまり、ステッピングモーター87の駆動後、前記駆動時間T1が経過すると、制御部5は、ステッピングモーター87を停止させて、補給ローラー86の回転を停止する。これは、現像剤の補給量を常に一定の量にするためである。前記駆動時間T1は、補給ローラー86による搬送量やステッピングモーター87の回転数などによって定められる要素である。
【0049】
次のステップS3では、制御部5は、ステッピングモーター87の駆動が停止してからの経過時間のカウント(計時)を開始する。つまり、制御部5は、現像剤の補給が終了してから(駆動時間T1が経過してから)の経過時間のカウントを開始する。カウントされた時間(カウント値)はRAM53に記憶される。
【0050】
次のステップS4では、制御部5は、前記停止時間T2を経過したかどうかを判定する。ここで、前記停止時間T2が経過したと判定された場合は、制御部5は、次のステップS5において、前記センサー出力値が前記濃度閾値V1以上になったかどうかを判定する。ここで、前記センサー出力値が前記濃度閾値V1以上である場合は、現像剤貯留室63に十分な量の現像剤が補給されたことあることを意味する。この場合、制御部5は補給動作を停止して、一連の補給制御を終了する。一方、ステップS4において、前記センサー出力値が前記濃度閾値V1未満であると判定された場合は、制御部5は、ステップS6に進む。
【0051】
次のステップS6では、制御部5は、前記センサー出力値が前記濃度閾値V2(<V1)未満であるかどうかを判定する。ここで、濃度閾値V2は、当該補給制御においてトナーコンテナ39の交換を行うかどうかを判定するための閾値である。トナーコンテナ39内の現像剤がなくなった場合は、ステップS2以降の処理を行っても現像剤は補給されない。そのため、前記濃度閾値V2は、前記濃度閾値V1よりも若干小さい値に設定されている。ここで、前記センサー出力値が前記濃度閾値V2以上である場合は、補給量が不足していることを意味するため、制御部5は、ステップS2に戻って再びステップS2以降の処理を繰り返す。つまり、制御部5は、ステップS2以降の現像剤の補給動作を継続する。一方、前記センサー出力値が前記濃度閾値V2未満である場合は、トナーコンテナ39の現像剤が無いことを意味する。この場合は、次のステップS7において、予め定められた設定枚数の画像形成が行われたことを条件に、制御部5は、トナーコンテナ39の交換メッセージを操作表示部6に出力する(S8)。なお、制御部5は、画像形成される度に印刷枚数をカウントすることにより、ステップS7以降に印刷された枚数が前記設定枚数に達したかどうかを判定可能である。
【0052】
<時間変更処理>
続いて、
図7を参照して時間変更処理について説明する。ステップS21において、制御部5は、トナーコンテナ39の交換時期であるかどうかを判定する。かかる判定は、ステップS7における判定結果に基づいて判定可能である。その後、制御部5は、トナーコンテナ39が新しいトナーコンテナ39(つまり現像剤が充満されたトナーコンテナ39)に交換されたかどうかを判定する(S22)。かかる判定は、新しいトナーコンテナ39が装着されたときに入力されるスイッチ信号、或いは、トナーコンテナ39に搭載されたメモリーから読み出された情報に基づいて判定可能である。ここで、トナーコンテナ39が交換されたと判定されると、制御部5は、現像装置34へ現像剤を補給する。つまり、制御部5は、ステッピングモーター87を回転駆動させて、補給ローラー86を駆動時間T1だけ回転させる(S23)。これにより、トナーコンテナ39内の現像剤が補給口70から現像剤貯留室63Aに補給される。また、制御部5は、ステッピングモーター77を回転駆動してスクリューフィーダー64A,64Bを回転させる(S24)。これにより、補給口70から現像剤貯留室63に収容された現像剤がトナー濃度センサー67へ向けて搬送される。このように、現像剤貯留室63Aに補給された現像剤を補給口70からトナー濃度センサー67へ向けて搬送するステップS23,S24は、本発明の補給制御方法の第1ステップに相当する。
【0053】
次のステップS25〜S27では、制御部5は、現像装置34の現像剤貯留室63Aに現像剤が補給されてから、補給された現像剤が補給ローラー86によってトナー濃度センサー67の検知位置に到達するまでの搬送時間を測定する。本実施形態では、前述したように、ステップS22において、トナーコンテナ39が新たなトナーコンテナ39に取り替えられたことを条件に、ステップS25〜S27の処理が行われることにより、前記搬送時間が測定される。
【0054】
具体的には、ステップS25において、制御部5は、ステップS23においてステッピングモーター87の駆動が開始されてからの経過時間のカウント(計時)を開始する。つまり、制御部5は、現像剤が補給されはじめてからの経過時間のカウントを開始する。カウントされた時間(カウント値)はRAM53に記憶される。次のステップS26では、制御部5は、前記センサー出力値が予め定められた濃度閾値V3以上であるかどうかを判定する。そして、ステップS27では、前記センサー出力値が前記濃度閾値V3以上であると判定された場合に、経過時間のカウントを停止して、これまでのカウント値から測定時間を算出する。つまり、制御部5は、ステップS25〜S27において、現像剤貯留室63Aに現像剤が補給されてからトナー濃度センサー67によって予め定められた濃度閾値V3以上の濃度が検知されるまでの時間(搬送時間)を測定する。このように、前記搬送時間を測定するステップS25〜S27は、本発明の補給制御方法の第2ステップに相当する。
【0055】
ここで、前記濃度閾値V3は、当該時間変更処理において補給された現像剤がトナー濃度センサー67の検知位置まで到達したかどうかを判定するための閾値である。この濃度閾値V3は、例えば、トナーコンテナ39の交換直前におけるトナー濃度センサー67の出力値とすることができる。交換直前の現像剤貯留室63A内の現像剤量は極めて少ない状態であり、このときの前記センサー出力値を前記濃度閾値V3とすることにより、現像剤の補給後の出力値との差が明確になる。これにより、現像剤が補給されて、前記センサー出力値が増加したことを確実に判定することができる。つまり、補給された現像剤がトナー濃度センサー67の検知位置まで到達したことを確実に判定できる。また、交換直前の現像剤量にばらつきがある場合に鑑みて、例えば、前記濃度閾値V3として、トナーコンテナ39が交換される直前の所定期間内にトナー濃度センサー67によって得られた複数の前記センサー出力値の平均値を採用することも可能である。また、前記濃度閾値V3として、トナーコンテナ39が交換される直前の所定枚数の印刷時にトナー濃度センサー67によって得られた前記センサー出力値の平均値を採用することも可能である。
【0056】
そして、ステップS28では、制御部5は、前記停止時間T2を、ステップS27において算出された前記搬送時間、つまり、実際に現像剤の搬送に要した搬送時間に基づいて変更する。具体的には、制御部5は、前記搬送時間から前記駆動時間T1を減算した値に前記停止時間T2を変更する。このような変更処理を行う制御部5が本発明の変更手段の一例である。また、停止時間T2を前記搬送時間に変更するステップ
S28が、本発明の補給制御方法の第3ステップに相当する。
【0057】
<実施形態の効果>
上述の実施形態においては、トナーコンテナ39が交換されたタイミングで、補給後の現像剤の実際の搬送時間が測定され、測定された前記搬送速度が前記設定時間T1に変更される。そのため、環境の変化などによってスクリューフィーダー64A,64Bによる現像剤の搬送速度が低下した場合でも、現像剤がトナー濃度センサー67の検知位置に到達するまでに要する時間が設定時間T1に設定される。したがって、補給された現像剤がトナー濃度センサー67によって検知されないまま現像剤の再補給が行われるという無駄な動作がなくなり、その結果、この無駄な動作による現像剤の過補給が防止される。また、上述の実施形態のように、スクリューフィーダー64A、スクリューフィーダー64B、現像ローラー61、及び磁気ローラー62が連動して回転する構成では、スクリューフィーダー64Aだけの回転速度を変更することができないので、このような構成に本発明は好ましく適用される。つまり、スクリューフィーダー64Aの回転速度を変更しなくても、現像剤の過補給を防止できる。
【0058】
<実施形態の変形例>
なお、上述の実施形態の説明では、現像装置34が有するトナー濃度センサー67の出力波形の周期に基づいて現像装置34を識別する例について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、既存のトナー濃度センサー67を利用せずに、トナー濃度センサー67と同じ構成の別のセンサーであって、現像剤の透磁率を検知可能なセンサーを設け、このセンサーを用いて現像剤の濃度を検知してもよい。また、現像剤の濃度を検知する検知手段としてトナー濃度センサー67を例示したが、例えば、光学的に現像剤の濃度を検知するセンサーや、電気抵抗などによって現像剤を検知するセンサー、或いは圧電方式によって現像剤を検知するセンサーなどを適用することも可能である。また、上述の実施形態では、一成分性の現像剤を用いて現像処理する現像装置34を例示したが、現像装置34は、二成分性の現像剤を用いるものであってもよい。
【0059】
また、上述の実施形態では、トナーコンテナ39が交換されたタイミングで補給後の現像剤の実際の搬送時間を測定する例を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、スクリューフィーダー64Aによる現像剤の搬送速度に影響を与える環境変化(例えば、温度変化や湿度変化など)が生じたことを条件に、前記搬送時間を測定するようにしてもよい。
【0060】
本発明の範囲は、請求項の記載に先行する詳細な説明ではなく、添付の請求項の記載により定義されるので、本明細書に記載の実施形態は、例示に過ぎず、かつ非限定的であると理解されたい。従って、特許請求の範囲から逸脱しない変更の全て、または均等物が、特許請求の範囲に含まれる。