(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
粉末状物質を製団機にてブリケットに成形し、前記ブリケット成形品を移送手段で移送してブリケット移送用ボックスに装入する際に前記ブリケット成形品の崩壊を防止する装置であって、
前記移送手段の下流側であって前記ブリケット移送用ボックスの直上に、前記ブリケット成形品の落下による衝撃を吸収することが可能なスロープを備え、
前記スロープは、前記ブリケット移送用ボックス内へのブリケット成形品の充填された高さに合わせて昇降する機構を備えることを特徴とするブリケット成形品の崩壊防止装置。
前記らせん状スロープは、らせん軸部が回転および昇降することにより、スロープ下端であるブリケット落下部が水平面内を回転、および垂直方向を昇降することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のブリケット成形品の崩壊防止装置。
前記移送手段はベルトコンベアーであって、ベルト速度が30〜60m/分で前記ブリケット成形品を輸送し、上記ブリケット移送用ボックス直上1000〜2000mmの設置高さで上記ベルトコンベアーを運搬方向に可動できる範囲を300〜1000mmとすることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のブリケット成形品の崩壊防止装置。
【背景技術】
【0002】
製鉄所で発生する製鋼ダスト、スラグ、酸洗スラッジ、焼鈍時のスケールなどの鉄鋼副生物は、鉄、ニッケル、クロム、マンガンなどの有価金属を含有しており、従来から多くの回収方法が提案されてきた。その1つとして、これらの副生物を石炭やコークスなどの炭素源と混合してブリケット状に成型し、アーク式電気炉にて加熱して還元処理する方法が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0003】
また、これとは別に、副生物を石炭やコークスなどの炭素源と混合してブリケット状に成型し、一旦焙焼して水分などの揮発成分を除去した後に、アーク式電気炉にて加熱して還元処理する方法が提案されている(例えば、特許文献3〜6参照)。
【0004】
これらの方法では、原料の成分によっては、アーク式電気炉にて、棚吊りやそれに伴うと考えられる吹上げといった操業上の不具合を発生することがあった。また、スラグの溶融性や流動性が適正でなく、有価金属の回収率が低下してしまうという問題も抱えていた。
【0005】
上記の焙焼を行った後、アーク式電気炉で加熱して還元する方法において、有価金属を効果的に回収するために、アルミ灰を添加する方法が開示されているが(例えば、特許文献7参照)、電気炉での反応が激しすぎるため、炉のコントロールが困難であり、棚吊等の問題があった。
【0006】
棚吊の問題は、ブリケットが崩壊することで発生する粉体に起因して起きる。つまり、粉体が優先的に溶融するため、これが焼結を促進してしまい、一部ドーム状の棚を形成してしまうことがある。それが崩落すると、原料に含まれる水分が急激に膨張する、いわゆる水蒸気爆発が起こることもあり、防止しなければならない課題である。
【0007】
このような問題に対して、製鋼ダスト、スラグ、酸洗スラッジ、焼鈍時のスケールなどの鉄鋼副生物の各原料配合比率を規定することにより、操業を安定化させる技術が開示されている(例えば、特許文献8参照)。
【0008】
原料の粒度分布を好ましい範囲に規定して団鉱の強度を確保する技術が開示されている。あるいは、電力投入量を規定して、安定して操業する方法、および、団鉱が崩壊しないように、団鉱を落下させる技術も開示されている(例えば、特許文献9〜12参照)。
【0009】
上記のような技術開発により、操業は安定化したといえるが、粉体は13%以上の割合で発生していた。13%であっても、棚吊の問題は完全に解決したわけではなく、粉体発生のさらなる低減を目指して、新たな技術開発が望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
鉄鋼副生物を炭材と混合後、アーク式電気炉に装入して加熱し、還元して有価金属を回収する方法において、生産コストを上げることなく、安定かつ安全な操業を実現し、高い有価金属回収率を確保することが課題である。この課題に対して、本発明は、ブリケットから発生する粉体を低減させ、なおかつ水分等の揮発性物質を充分に除去することを可能とするブリケット成形品の崩壊防止装置を提供することを目的とする。さらに、この装置を配備した鉄鋼副生物の焙焼還元装置および、その焙焼還元装置を用いた鉄鋼副生物の焙焼還元方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明者らは、上記課題を解決するために、まずはアーク式電気炉(サブマージ型)における棚吊の発生機構を鋭意研究した。その結果、棚吊は、
図1に示すような機構で発生することがわかった。すなわち、アーク式電気炉に装入された原料が、一部焼結が過度に進行することで棚吊り現象を起こす。それが崩落すると、原料に含まれる水分が急激に膨張する、いわゆる水蒸気爆発が起こることもある。さらに、原料に含まれる粉体の量との関係を調べた。その結果、棚吊りは、粉体が存在すると原料同士が焼結しやすくなり、過度な焼結を起こすことに起因することが明らかとなった。
【0013】
アーク式電気炉に原料を装入する前段においては、焙焼などの予備加熱工程を経る場合がある。しかし、粉体は焙焼工程でのブリケット加熱効率をも阻害する。
図2に示すように、粉体がなければ通気が良く、ブリケットの全体が良く加熱されて、水分は、80〜100%蒸発して除去される。しかし、粉体があると粉体は底部に滞留して、そこがバーナーに焙られると、溶融を開始し塊状のクリンカーを形成し、その上部に存在するブリケットの加熱、乾燥を阻害する。その結果、水分を持ったままアーク式電気炉に持ち込まれ、水蒸気爆発の元になる。さらには、クリンカーにならなかった粉体は、そのままアーク式電気炉内に持ち込まれて、上記に説明した焼結現象の原因となる。このように、粉体の抑制は重要な課題である。
【0014】
その発生箇所を鋭意調査したところ、
図3に示す機構で発生する粉体が主体であることが分かった。つまり、ベルトコンベアーからブリケット移送用ボックス内に、ブリケットを装入する際、その落下による衝撃で崩壊することが最大の原因であることが分かった。したがって、本発明は、鉄鋼副生物等の粉末状物質を製団機にてブリケットに成形し、ブリケット成形品をベルトコンベアー等の移送手段で移送してブリケット移送用ボックス内に装入する際にブリケット成形品の崩壊を防止する装置であって、移送手段の下流側であってブリケット移送用ボックスの直上に、ブリケット成形品の落下による衝撃を吸収することが可能なスロープを備え
、上記スロープは、ブリケット移送用ボックス内へのブリケットの充填された高さに合わせて昇降する機構を備えていることを特徴とするブリケット成形品の崩壊防止装置である。
【0016】
また、ブリケット成形品の崩壊防止装置のスロープは、らせん状であることを特徴とするブリケット成形品の崩壊防止装置である。
【0017】
上記らせん状スロープは、スロープ外縁部にブリケット成形品の落下防止ガイドを備えることを特徴とするブリケット成形品の崩壊防止装置である。
【0018】
上記らせん状スロープは、ブリケット成形品の滑り面が線材で構成されていることを特徴とするブリケット成形品の崩壊防止装置である。
【0019】
上記らせん状スロープの滑り面は、スロープ外縁部かららせん軸部に対して傾斜していることを特徴とするブリケット成形品の崩壊防止装置である。
【0020】
上記らせん状スロープは、らせん軸部が水平面内を回転、および垂直方向を昇降することにより、スロープ下端であるブリケット落下部が回転および昇降することを特徴とするブリケット成形品の崩壊防止装置である。
【0021】
上記らせん状スロープの水平面内での回転量と、垂直方向での昇降量は、らせん状スロープの斜度に一致するよう構成されていることを特徴とするブリケット成形品の崩壊防止装置である。
【0022】
上記らせん状スロープの滑り面は、水平面に対して30〜45度傾斜していることを特徴とするブリケット成形品の崩壊防止装置である。
【0023】
さらには、このブリケット成形品の崩壊防止装置のスロープは、ブリケットの落下位置に合わせて水平面内を移動できる機構を備えていることを特徴とするブリケット成形品の崩壊防止装置である。
【0024】
さらに、上記のブリケット移送用ボックスの長さが1100〜1300mm、幅が1100〜1300mm、高さ700〜900mmのサイズの鉄鋼製であることを特徴とするブリケット成形品の崩壊防止装置である。
【0025】
好ましくは、上記移送手段はベルトコンベアーであって、ベルト速度が30〜60m/分でブリケット成形品を輸送し、上記ブリケット移送用ボックス直上1000〜2000mmの設置高さで上記ベルトコンベアーを運搬方向に可動できる範囲を300〜1000mmとすることを特徴とするブリケット成形品の崩壊防止装置である。
【0026】
好ましくは、粉末状物質は、鉄鋼副生物であり、鉄鋼副生物は、製鋼ダスト、酸洗スラッジ、スケール材であることを特徴とするブリケット成形品の崩壊防止装置である。
【0027】
そして、鉄鋼副生物をブリケット成形する製団機、および、上記の通り説明したブリケット成形品の崩壊防止装置、および、ブリケットの焙焼装置、およびサブマージドアーク電気炉から構成されることを特徴とする鉄鋼副生物の焙焼還元装置である。
【0028】
さらに、鉄鋼副生物を製団機にてコークスとともにブリケット成形し、その後、上記にて説明したブリケット成形品の崩壊防止装置を用いてブリケット移送用ボックス内にブリケットを装入し、その後ブリケットを焙焼ボックスに入れ替えて、ブリケットを加熱して焙焼し、焙焼したブリケットをコークスとともにアーク式電気炉に装入して有価金属を還元することを特徴とする鉄鋼副生物の焙焼還元方法である。上記の鉄鋼副生物は、製鋼ダスト、酸洗スラッジ、スケール材であることを特徴とする鉄鋼副生物の焙焼還元方法である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、製団機にてブリケット成形し、そのブリケットを移送手段からブリケット移送用ボックスへ装入する際、崩壊防止装置でブリケット成形品の崩壊を抑制することによって、粉体発生を低減することが可能となる。これにより、焙焼工程での原料加熱が充分行えて、なおかつ、水分除去が効果的に行える。最終的に、アーク式電気炉の還元過程での棚吊が軽減され、安定操業が実現されると共に、高い生産性を得ることができる。
【0030】
さらに、本発明によれば、高い有価金属回収率が得られ、従来、産廃として廃棄されていた製鋼ダスト、酸洗スラッジ、スケール材などから、安定してFe、Ni、Cr、Mnなどの有価金属を確保できるため、これらの原料の一部を補填できることとなり、製造原価低減、さらには、地球環境保全にも貢献することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明のブリケット成形品の崩壊防止装置は、基本的に、鉄鋼副生物から有価金属Fe、Ni、Cr及びMnを回収する方法を背景とするものであり、この有価金属回収方法は、後述するような特定の配合の鉄鋼副生物に水分、油脂分及び炭材(コークス)を混合し、これを製団機によりブリケットに製団し、このブリケットを焙焼ボックス内で焙焼し、次いで、炭材並びに石灰石及び/又は珪砂をさらに混合した後に、この混合物をアーク式電気炉(サブマージド型)に装入して加熱し、有価金属を還元し、メタル分とスラグ分に分離する方法である。
【0033】
ここで、本発明のブリケット成形品の崩壊防止装置は、ブリケットをベルトコンベアーで移送してブリケット移送用ボックス内にブリケットを装入する際に、ベルトコンベアーの下流側であって移送用ボックスの直上に、ブリケットを載せることが可能なスロープを設け、このスロープを経由してボックス内に充填することで、ブリケットの落下による衝撃が吸収され、ブリケットの崩壊が抑制され、結果として粉体の発生を低減するものである。
【0034】
第1実施形態
従来の製団機、移送手段およびブリケット移送ボックスの配置を示す模式図を
図3に、また、それに加えて本発明のブリケット成形品の崩壊防止装置を配置した模式図を
図4に示す。
図3に示すように、粉末状物質(鉄鋼副生物)は、所定の割合で炭材および水分等と混合され、製団機22によって圧縮成形されて、ブリケット21aとなる。ブリケット21aは、ベルトコンベアー等の移送手段23によって移送され、最下流においてブリケット移送用ボックス24に充填される。このとき、従来は、移送手段23から水平方向に投射される状態で移送用ボックス24に充填されていた。ブリケット成形品21aは、単に圧縮された状態であるため、投射の際の衝突の衝撃で一部が破壊され、粉体を形成するという問題があった。
【0035】
図4の本発明の第1実施形態においては、従来例の装置構成に加えて、移送手段23の最下流であってブリケット移送用ボックス24の直上に、ブリケット成形品の崩壊防止用のスロープ30が設けられている。スロープ30は、平板状部材からなる衝撃吸収部30bと、衝撃吸収部の上端に接続された軸部30aからなる。軸部30aは、その上端において図示しない保持手段に保持されている。
【0036】
本発明の第1実施形態によれば、移送手段23から投射されたブリケット成形品21aが、一旦衝撃吸収部30bに衝突した後、衝撃吸収部30bの斜面を滑って落ち、ブリケット移送用ボックス24内に充填される。この時、衝撃吸収部30bが緩衝材として機能し、かつ従来のように自由落下させるのではなく斜面を利用して落下させるので、ボックス24内に充填される際の衝撃および粉体発生を低減することができるという効果を奏する。
【0037】
本発明のブリケット成形品の崩壊防止装置のスロープ30は、ブリケット21aの落下による衝撃を抑えるものであるから、ブリケット移送用ボックス24内にブリケットを装入開始直後は、ブリケットがボックス底面の鉄板に直接当たるために、崩壊に対して最も警戒すべき時期である。したがって、最初はスロープの下端(ブリケット落下端部)を底面から100〜300mm高さの位置まで下げておくべきである。
【0038】
なお、スロープ30の衝撃吸収部30bの水平面に対する傾斜角度は、15〜50°が好ましく、衝撃吸収部30bの幅は200〜500mmの範囲が好ましい。
【0039】
第2実施形態
本発明の第2実施形態の模式図を
図5に示す。
図5(a)に示すように、第2実施形態のブリケット成形品の崩壊防止装置31は、スロープ(衝撃吸収部30b+軸部30a)30と、軸部30aの上端に接続されたワイヤー31cと、ワイヤー31cを掛ける滑車31bと、ワイヤー31cの他方の端部が接続された昇降手段31dと、これらを保持する筐体31aとから構成されている。
【0040】
ブリケット移送用ボックス24へのブリケット成形品21aの充填の初期においては、第1実施形態で述べたように、スロープ30のブリケット落下端部を底面から100〜300mm高さの位置まで下げておく。ブリケット21aの充填が進行して充填高さが上昇するので、
図5(b)に示すように、これに合わせて昇降手段31dを動作させ、スロープ30を上昇させる。
【0041】
このようにして、ブリケットの充填高さに合わせてスロープ30の高さを常に最適な位置に維持することが可能になる。本実施形態によれば、投射されたブリケット21a自体への衝撃を軽減することは勿論のこと、すでに充填されたブリケットが上部から新たに充填されるブリケットから衝撃を受けることも軽減することができて好ましい。
【0042】
この際、昇降手段31dを人力として崩壊防止装置のスロープ30を上昇させても良いが、人員を配置せねばならない。したがって、ブリケット移送用ボックス24内へのブリケット充填に合わせて上昇する機構を備えていることは、望ましい実施形態である。上昇させるための動力にはモーターを用いるのが良い。
【0043】
第3実施形態
本発明の第3実施形態の模式図を
図6に示す。
図6に示すように、第3実施形態のブリケット成形品の崩壊防止装置31は、スロープ30(衝撃吸収部30b+軸部30a)と、軸部30aの上端に接続されたワイヤー31cと、ワイヤー31cを掛ける滑車と、ワイヤー31cの他方の端部が接続された昇降手段31dと、これらを保持する筐体31aと、筐体31a下部に設けられた水平方向移動手段31eから構成されている。水平方向移動手段31eとしては、車輪および車軸をモーター等で動作させるなど、公知の手段を採用することができる。
【0044】
上述した第2実施形態によれば、上述のとおりブリケット21aの充填高さに合わせてスロープ30の高さを常に最適な位置に維持することが可能になるが、スロープ30を水平方向に移動することができないため、最初にスロープ30を設置した位置を中心とした山状にブリケット21aが充填される。そのため、ブリケット移送用ボックス24内の水平方向に充填高さが偏ってしまう場合があり、これを平らに均す必要が生じる場合がある。これに対し、第3実施形態によれば、ブリケット成形品の崩壊防止装置31の筐体31a下部に水平方向移動手段31eが設けられているので、ブリケット充填高さが足りない方向へ崩壊防止装置31を水平方向に移動させることができ、人手によってブリケットの山を均すことなく、ブリケット成形品21aをさらに均一に充填することができる。
【0045】
第4実施形態
本発明の第4実施形態の模式図を
図7に示す。
図7に示すように、第4実施形態のブリケット成形品の崩壊防止装置31は、スロープ30(衝撃吸収部31b+軸部31a)と、軸部31aの上端に接続された軸回転手段31fと、軸回転手段31fに接続されたワイヤー31cと、ワイヤー31cを掛ける滑車31bと、ワイヤー31cの他方の端部が接続された昇降手段31dと、これらを保持する筐体31aとから構成されている。軸回転手段31fは、例えばモーター等とすることができる。
【0046】
第4実施形態によれば、第3実施形態同様、上述のとおり第2実施形態においてブリケットの充填高さが水平方向に偏ってしまうことを解消することができる。具体的には、軸回転手段31fが動作することにより、スロープ30を360度任意の位置まで回転させることができる。これにより、スロープ30の衝撃吸収部310bの斜面を、ブリケット21aを充填するべき所望の方向に向けて充填を行うことができ、人手によってブリケットの山を均すことなく、ブリケット成形品21aをさらに均一に充填することができる。
【0047】
さらに、
図8に示すように、第3実施形態の水平方向移動手段31eと、第4実施形態の軸回転手段31fを両方備えた形態とすることもできる。この形態によれば、ブリケット移送用ボックス24内のあらゆる箇所にスロープ30を移動させ、落下方向を任意に選択して、ブリケット21aを充填することが可能になる。
【0048】
第5実施形態
本発明の第5実施形態の模式図を
図9に示す。
図9に示すように、第5実施形態のブリケット成形品の崩壊防止装置31は、らせん状スロープ32と、らせん状スロープ32の軸部32bの上端に接続された軸回転手段31fと、軸回転手段31fに接続されたワイヤー31cと、ワイヤー31cを掛ける滑車31bと、ワイヤー31cの他方の端部が接続された昇降手段31dと、これらを保持する筐体31aとから構成されている。第5実施形態のらせん状スロープ32は、軸部32bと、軸部32bの周囲にらせん状に形成されたブリケット滑り面32aとを有する。
【0049】
また、移送手段23の最下流部には、らせん状スロープ32にブリケット21aを供給するためのブリケット供給シュート25が設けられており、ブリケット供給シュート25の先端部がらせん状スロープのブリケット滑り面32aに接触あるいは近接するように配置されている。
【0050】
上述の第1〜4実施形態においては、従来よりはブリケットの崩壊・粉体発生が抑制されてはいるものの、ベルトコンベアー23により輸送されてきたブリケット21aは、運動量を持ってベルトコンベアー23から放出され、スロープ30に衝突する。これに対して、第5実施形態では、ブリケット供給シュート25を介して、投射されることなく直接らせん状スロープ32の斜面32aに供給されるので、ブリケット21aの運動量、つまり慣性に起因する勢いを抑制することができて、より好ましい。一旦ベルトコンベアー23から放出されたブリケット21aはらせんに沿って回転しながら、運動量を低減していくことが好ましく、そのため、らせん状スロープの傾斜角度は30〜45度が好ましく、また、らせん状スロープの幅は200〜500mmの範囲が好ましい。
【0051】
図10および11によって、第5実施形態のブリケット成形品の崩壊防止装置31の動作を説明する。
図10は、第5実施形態におけるブリケット充填の工程を段階的に示す斜視図であり、
図11は、その対応する平面図である。移送手段23の下流側には、ブリケット供給シュート25が設置されており、ブリケット供給シュート25の下流側の端部は、ブリケット成形品の崩壊防止装置31のらせん状スロープ32のブリケット滑り面32aに近接するように位置調整されている。
【0052】
図10(a)および
図11(a)に示すように、ブリケット装入の初期においては、ブリケット供給シュート25がらせん状スロープ32の上部近傍に接続されるように、昇降手段31dおよび軸回転手段31fを適宜動作させてらせん状スロープ32の上下方向の高さが設定されている。この時、らせん状スロープ32の下端部は、ブリケット移送用ボックス24底面からH
1で示す高さに位置している。
【0053】
ブリケット成形品21aの供給を開始すると、ブリケット成形品21aは、移送手段23からブリケット供給シュートを25経由して、矢印Aで示す方向に沿ってらせん状スロープ32に供給され、滑り面32aを滑ってブリケット移送用ボックス24に充填される。らせん状スロープ32の下端部の高さH
1はブリケット移送用ボックスの底面に近接した高さなので、ブリケット21aを崩壊させることなく、充填することができるという効果を奏する。
【0054】
ブリケットの充填高さが所定の高さになる頃を見計らって、昇降手段31dおよび軸回転手段31fを適宜動作させると、らせん状スロープ32が軸部を中心として矢印Bで示す方向へ回転しながら、矢印Cで示す方向に上昇する。このとき、らせん状スロープ32の水平面内での回転量B(軸回転手段31fによる)と、らせん状スロープ32の垂直方向の上昇量C(昇降手段31dによる)の比を、らせん状スロープの滑り面32aの斜度と一致するように設定すると、滑り面32aが見かけ上、変位しない。そのため、ブリケット供給シュート25が差し込まれその先端が接触あるいは近接している滑り面32a自体の位置は見かけ上、上昇しないので、ブリケット供給シュート25がらせん状スロープ32の上昇を阻害することはない。
【0055】
この状態を示すのが
図10(b)〜(c)および
図11(b)〜(c)である。
図10(b)〜(c)に示すように、らせん状スロープの回転および上昇により、スロープ下端部は高さが上昇し、底面からの高さはH
2、H
3、H
4と変化する(H
1<H
2<H
3<H
4)。
【0056】
このように、第1〜4実施形態同様に、ブリケット充填高さの上昇に追従して、スロープの下端部を上昇させることができる。また、同時に、
図11(a)〜(c)に示すように、スロープ下端部は、円周方向にも動いている。これにより、ブリケット移送用ボックス内の水平面内でも充填位置を変えることができるので、ブリケットの充填が一箇所に片寄らず、より均一に充填することができる。
【0057】
また、
図10および11に示すように、らせん状スロープ32は、水平面内での回転量と垂直方向の上昇量の比が滑り面32aの斜度と一致するように設定すると、見かけ上、らせん状スロープ32自体が変位せず、スロープの上端部と下端部のみが回転しながら上昇しているように見える。そのため、らせん状スロープ32上に挿入されたブリケット供給シュート25は、らせん状スロープ32の回転を阻害することもなく、(a)〜(c)の工程を通してその位置は不変であり、らせん状スロープ32の動作の度にブリケット供給シュート25の位置調整を行う必要がないという効果を奏する。
【0058】
第5実施形態においては、らせん状スロープのブリケット滑り面は、平板状部材で構成することもできるが、
図10に示すように、線材で構成すると、ブリケットと滑り面の摩擦が低減されて好ましい。また、ブリケットから僅かに生じた粉末が滑り面に残留することなく、下方に篩い落とせるため、好ましい。
【0059】
また、
図9に示すように、滑り面の外周部にガイド32cを設けたり、滑り面32aの外周部から軸部32bに向けて傾斜を設けると、ブリケット21aが遠心力でらせん状スロープ32外側に落下することを防止することができて、好ましい。滑り面の外周部から軸部に向けて傾斜を設ける場合、その傾斜は、1〜10度であると好ましい。
【0060】
ブリケット移送用ボックスの長さが1100〜1300mm、幅が1100〜1300mm、高さ700〜900mmのサイズの鉄鋼製である時に、本発明の装置は最も良い実施形態を得る。その理由は、ブリケット移送用ボックスのサイズは、長さ×幅×高さが1300mm×1300mm×900mmを上回るとフォークリフトによる運搬が困難となるからである。また長さ×幅×高さが1100mm×1100mm×700mmを下回ると、運搬効率が低下し、その結果、生産性が低下する。そのため、ブリケット移送用ボックスのサイズは、長さ×幅×高さが1100〜1300mm×1100〜1300mm×700〜900mmと規定した。好ましくは、長さ×幅×高さが1150〜1250mm×1150〜1250mm×750〜850mmである。
【0061】
ベルトコンベアーは、ベルト速度が30〜60m/分で輸送し、ベルトコンベアーのベルト速度は、30m/分未満では、ブリケットの輸送効率が低下し、その結果、生産性が低下する。また60m/分を上回ると、ブリケットの運動量が高くなりすぎてスロープに強く当たり崩壊し易くなる。そのため、30〜60m/分とした。好ましくは、40〜50m/分である。
【0062】
上記ブリケット移送用ボックス直上1000〜2000mmの設置高さとするのが良い。ベルトコンベアーの設置高さは、1000mm未満では、ブリケット移送用ボックスをフォークリフトで持ち上げて運搬する際、ベルトコンベアーと接触する危険があり、また2000mm以上では落下距離が大きくなり、ブリケットの運動量が大きくなり衝撃が大きくなってしまう。そのため、1000〜2000mmが好ましい。より好ましくは、1200〜1800mmであり、さらに好ましくは1400〜1600mmである。
【0063】
上記ベルトコンベアーを運搬方向に可動できる範囲を300〜1000mmとすることはより好ましい。このようにすべき理由は、ベルトコンベアーが運搬方向に可動できると、ブリケット移送用ボックスを設置してから、ブリケット成形品の崩壊防止装置のスロープとの位置関係を微調整できるからである。
【0064】
なお、上記の通り説明したブリケット成形品の崩壊防止装置を用いると、後述する実施例で示すように、粉体発生量は13%未満に抑えられる。
【0065】
本発明では、上記のブリケット成形品の崩壊防止装置を配備した鉄鋼副生物の焙焼還元装置も提供する。
具体的には、鉄鋼副生物をブリケット成形する製団機、および、上記の通り説明したブリケット成形品の崩壊防止装置、および、ブリケットの焙焼装置、およびサブマージドアーク電気炉から構成されることを特徴とする鉄鋼副生物の焙焼還元装置である。粉体を低減したことにより、ブリケットの焙焼が効率的かつ効果的となり、ブリケットが乾燥できて、焙焼ボックス内のブリケットの9割以上が800℃まで加熱できる。このブリケットをアーク式電気炉に装入し還元処理すると、棚吊現象を起こすことなく安定操業が可能となる。
【0066】
さらに、上記装置を用いた鉄鋼副生物の焙焼還元方法も提供する。
鉄鋼副生物を製団機にてコークスとともにブリケット成形し、その後、上記にて説明したブリケット成形品の崩壊防止装置を用いてブリケット移送用ボックス内にブリケットを装入する。このようにしてブリケットを装入したブリケット移送用ボックスをフォークリフトで運搬し、以下に記述する焙焼工程に移行する。
【0067】
まず、ブリケットを焙焼ボックスに入れ替えて、ブリケットを加熱して焙焼する。具体的なブリケットの焙焼工程としては、焙焼ボックス上部をダクトで密閉し、排風機を用いて吸引しながら下部をバーナーで着火し、いわゆる焙焼処理を行い、水分を揮発させる。その結果、焙焼ボックス内のブリケットの平均含水率が6重量%以下、好ましくは焙焼ボックス内の70重量%以上のブリケットの平均含水率が5重量%以下とすることができる。さらには、焙焼後のブリケット強度は、具体的には、50kgf/個以上になり、アーク式電気炉に装入する際の粉体発生を抑えられる。このように焙焼後のブリケットは、粉体発生を抑制するとともに、含水率も低減できているため、アーク電気炉による還元工程において棚吊現象を防ぐことができる。
【0068】
具体的な有価金属の回収工程としては、焙焼されたブリケットをサブマージドアーク電気炉に装入して加熱することで、メタル分とスラグ分に分離させ、Fe、Ni、Cr、Mnなどの有価金属を回収する。また、電気炉への装入時、スラグ量と塩基度(CaO/SiO
2)調整の目的で、石灰石及び/又は珪砂を、また、原料の組成によっては、炭材を適宜追加することもできる。特に、スラグ側については、上記の化学成分を持つ還元リサイクル原料を用いることで、十分なスラグ量を確保できて、なおかつ、溶融性および流動性が好ましい領域に制御できる。最も望ましいスラグ組成は、特に限定はしないが、CaO、SiO
2、Al
2O
3、MgOを80質量%以上含み、CaO/SiO
2の比率が0.8〜1.4、好ましくは1.0〜1.2、Al
2O
3の含有率が0.6〜7.0質量%の範囲である。さらに、本還元工程での重要な点として、比較的還元が困難なCr
2O
3の濃度は、5%以下に制御することが望ましい。これは、上記のごとく粉体を抑制することで達成することが出来る。つまり、ブリケットの焙焼が効率的かつ効果的となり、ブリケットが乾燥できて、焙焼ボックス内のブリケットの9割以上が800℃まで加熱できるので、棚吊現象を起こすことなく安定操業が可能となり、還元効率が上がるためである。
【0069】
上記の鉄鋼副生物は、製鋼ダスト、酸洗スラッジ、スケール材が好ましい実施形態である。
1.製鋼ダスト:製鋼ダストはステンレス鋼の精錬工程で発生するものであり、有価金属Fe、Ni、Cr及びMnの含有量を確保するため、また、鉄鋼副生物におけるSiO
2、Al
2O
3、MgO濃度を好適な範囲に制御するために、配合率は10〜50重量%が良い。
【0070】
2.酸洗スラッジ:酸洗スラッジは焼鈍酸洗ラインで生じるものであり、有価金属Fe、Ni、Cr及びMnの含有量を確保するため、また、鉄鋼副生物におけるCaO、F、S濃度を好適な範囲に制御するために、配合率を5〜30重量%に規定した。また、酸洗スラッジには、Sが多く含まれるため、Sの含有率が多すぎると、脱硫が困難になるため、酸洗スラッジの配合率を30重量%以下に制限するのが良い。
【0071】
3.スケール材:スケール材は熱延、連続鋳造などで生成するものであり、有価金属Fe、Ni、Cr及びMnを含む原料である。この原料は比較的粒度が粗いので、ブリケット成形したときの骨材の働きをする。そのため、有価金属Fe、Ni、Cr及びMnの含有量を確保するという観点と、骨材としての効果を発揮するため、スケール材の配合率は30重量%以上が良い。
【0072】
その他、ブリケット成形に対しては、粒子間を繋ぐという目的で、水分、油分が必要である。水分は、成型後で焙焼前の初期のブリケット強度を20kgf/個以上確保するために必要である。水分の含有率は、低すぎても、高すぎてもブリケット強度が得られないために、10〜26重量%が好ましい。なお、この含有率は上記の固形原料の総重量に対する割合である。例えば、原料1tに対しては、150〜260kgである。
【0073】
油分は、成型後で焙焼前の初期のブリケット強度を補うのに添加することが望ましい。油分の含有量は、高すぎるとブリケット強度が得られないために、3重量%以下とした。なお、この含有率は上記の固形原料の総重量に対する割合である。例えば、原料1tに対しては、30kg以下である。
【0074】
また、ブリケット成形に対しては、炭材が熱源および還元剤として必要である。本発明における炭材は、還元反応に必要な分と焙焼工程での熱源として、10〜20重量%、すなわち、配合した原料1tに対して100〜200kgの重量で配合することが好ましい。
【0075】
本発明においては、上記材料組成を上記比率で配合することにより、原料中の化学成分を、FeO、MnO、NiO、Cr
2O
3のうちの少なくとも1種類:合計で27質量%以上、Al
2O
3:0.3〜3.5質量%、MgO:2〜7質量%、CaO及びSiO
2:合計で35質量%以下、F:1〜6質量%、S:0.1〜2質量%、ZnO:2質量%以下とすることができ、これにより、電気炉にて得られるスラグを、操業に適した特性とすることができる。
【0076】
なお、上記の各構成成分はS、F以外は酸化物として表記されているが、実際は水酸化物、フッ化物、硫化物、硫酸化物など複雑であるため、簡便のために酸化物表記としている。また、本発明おける有価金属とは、特に限定されるものではないが、少なくとも鉄、ニッケル、クロム、マンガンが含まれる。
【0077】
以上、本発明のブリケット成形品の崩壊防止装置は、鉄鋼副生物の粉末を製団して移送する技術を例示して説明したが、本発明は、鉄鋼副生物の分野に限定されず、例えば、粉末冶金における金属粉や合金粉の圧縮成形品や、樹脂粉末の成形品、さらには、製薬や食品の分野といった、粉末状物質の圧縮成形品の運搬に関する分野である限り、本発明に包含されるものである。
【実施例】
【0078】
次に、本発明の実施例を用いて、本発明の効果を説明する。
表1に示した材料組成の比率で、製鋼ダスト、酸洗スラッジ、スケール材を配合し、炭材、水分及び油分を混合した。なお、水分と油分は外配合であり配合した原料の重量を100とした時の配合割合としている。続けて双ロール式の製団機を用いブリケットに成型した。なお、炭材は、還元反応に必要な分と、焙焼工程での熱源として、配合した原料1tに対して100〜200kgの重量で配合した。A、B、Cの3種類の配合を用意して、効果の検証に用いた。
【0079】
【表1】
【0080】
次に、上記のようにして成型し、ベルトコンベアーで輸送したブリケットを、ブリケット移送用ボックスに装入し、その後、ブリケット移送用ボックスから焙焼ボックスに装入した。ブリケット移送用ボックスのサイズは、1200mm×1200mm×800mmとした。そして、焙焼ボックス上部をダクトで密閉し、排風機を用いて吸引しながら、下部をバーナーで20〜30分間加熱して着火し、焙焼処理を120〜180分間行った。これにより、水分を揮発させるとともに、各ブリケット内部の原料粒子を焼結させた。最終的にアーク式電気炉に、加熱、乾燥したブリケットを炭材とともに装入し、通電加熱して還元処理を行った。得られた金属はFe−Ni−Cr−Mn合金である。
【0081】
ここで説明する実施例では、表2において以下の項目を各操業の評価に用いた。
粉体発生量:網目20mmの篩に掛けて網下を粉体量として重量測定した。
棚吊の発生有無:アーク式電気炉を操業中、監視して棚吊有無を把握した。
スラグ中Cr
2O
3濃度:5%を超える場合は還元不足と判定した。分析は、蛍光X線分析装置を用いた。
【0082】
<従来例>
図3に示すとおり、ブリケット成形品の崩壊防止装置を用いずに、ブリケット移送用ボックスへブリケット(配合A)を装入した。評価結果を表2に示す。
【0083】
<発明例1>
図4に示すとおり、ブリケット成形品の崩壊防止装置を用いて、ブリケット移送用ボックスへブリケット(配合B)を装入した。なお、スロープの角度は地面に対して35°とした。また、人力でスロープを上昇させたと同時に、掻き棒を使いブリケットをならした。評価結果を表2に示す。
【0084】
<発明例2>
図5に示すとおり、ブリケット成形品の崩壊防止装置を用いて、ブリケット移送用ボックスへブリケット(配合C)を装入した。なお、スロープの角度は地面に対して25°とした。また、昇降用モーターを用いて、自動でスロープを昇降させたが、水平面内の装入位置が固定されていたため、人が掻き棒を使い、ブリケットをならした。評価結果を表2に示す。
【0085】
<発明例3>
図8に示すとおり、ブリケット成形品の崩壊防止装置を用いて、ブリケット移送用ボックスへブリケット(配合A)を装入した。なお、スロープの角度は地面に対して35°とした。また、昇降用モーターを用いて自動でスロープを昇降させ、さらに、水平面内の装入位置を満遍なくするために、軸回転モーターを用いて、装入位置を変えられるようにして、ブリケットをならした。評価結果を表2に示す。
【0086】
<発明例4>
図9に示す通り、らせん状スロープを有するブリケット成形品の崩壊防止装置を用いて、ブリケット移送用ボックスへブリケット(配合B)を装入した。なお、らせん状スロープの滑り面の角度は地面に対して40度とした。昇降手段を用いると共に、軸回転モーターを用いて、スロープ斜度に一致するような比でスロープ軸部を回転および上昇させ、垂直方向および円周方向で装入位置を変えられるようにして、ブリケットをならした。評価結果を表2に示す。
【0087】
<発明例5>
図8、
図2(a)、
図1(a)は、本願発明の鉄鋼副生物の焙焼還元装置および鉄鋼副生物の焙焼還元方法を示す例である。すなわち、製団機にて成型し、ベルトコンベアーで輸送したブリケット(配合A)を、ブリケット移送用ボックスに装入した。その際、ブリケット成形品の崩壊防止装置を用いて、ブリケット移送用ボックスへブリケットを装入した。なお、スロープの角度は地面に対して40°とした。また、昇降用モーターを用いて自動でスロープを昇降させ、さらに、装入位置を満遍なくするために、軸回転モーターを用いて、装入位置を変えられるようにして、ブリケットをならした。評価結果を表2に示す。
【0088】
また、発明例5において、ブリケット移送用ボックスから焙焼ボックスに装入した。ブリケット移送用ボックスのサイズは、1200mm×1200mm×800mmとした。そして、焙焼ボックス上部をダクトで密閉し、排風機を用いて吸引しながら、下部をバーナーで20〜30分間加熱して着火し、焙焼処理を120〜180分間行った。これにより、水分を揮発させるとともに、各ブリケット内部の原料粒子を焼結させた。最終的にアーク式電気炉に、加熱、乾燥したブリケットを炭材とともに装入し、通電加熱して還元処理を行った。得られた金属はFe−Ni−Cr−Mn合金である。
【0089】
【表2】