特許第5963732号(P5963732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5963732チップ支持基板の配線部裏面に放熱器設置の面領域を設定する方法およびチップ支持基板並びにチップ実装構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963732
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】チップ支持基板の配線部裏面に放熱器設置の面領域を設定する方法およびチップ支持基板並びにチップ実装構造体
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20160721BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20160721BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20160721BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20160721BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   H01L23/36 C
   H01L23/36 D
   H01L23/12 J
   H05K1/02 F
   H05K3/00 D
   H05K7/20 D
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-226674(P2013-226674)
(22)【出願日】2013年10月31日
(65)【公開番号】特開2015-88649(P2015-88649A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2015年11月27日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 「立体構造新機能集積回路(ドリームチップ)技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108501
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 剛史
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】松本 圭司
【審査官】 豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−270743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34−23/473
H01L 23/12−23/15
H05K 1/02
H05K 3/00
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ支持基板の配線部の裏面において放熱器設置の面領域を設定する方法であって、
前記配線部の導電層に関する電圧降下の許容値から、当該電圧降下の許容値を満たす導電層の断面積と長さの組を求めることと、
前記配線部の導電層と絶縁層に関する熱抵抗の所望値から、前記電圧降下の許容値に関して求めた前記導電層の断面積と長さの組の断面積にしたときの導電層と絶縁層が当該熱抵抗の所望値を満たす導電層と絶縁層の長さの組を求めることと、
前記電圧降下の許容値に関して求めた前記導電層の断面積と長さの組から、用いる導電層の断面積に対応する導電層の長さを選んで、選んだ導電層の長さにより定まる面積を最大値とし、前記熱抵抗の所望値に関して求めた前記導電層と絶縁層の長さの組から、前記用いる導電層の断面積に対応する導電層と絶縁層の長さを選んで、選んだ導電層と絶縁層の長さにより定まる面積を最小値とする範囲の面積に、前記放熱器設置の面領域を設定することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記導電層の断面積と長さの組を求めることは、前記電圧降下の許容値および導電層を流れる電流値から導電層の抵抗値を求め、求めた抵抗値となる導電層の断面積と長さの組を求めることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導電層と絶縁層の長さの組を求めることは、導電層と絶縁層との構成比から前記配線部の実効熱伝導率値を求め、求めた実効熱伝導率値を用いて導電層と絶縁層に関する熱抵抗値を求め、求めた熱抵抗値が前記熱抵抗の所望値となる導電層と絶縁層の長さの組を求めることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
チップ支持基板の製造方法であって、
設けられる配線部の導電層に関する電圧降下の許容値から、当該電圧降下の許容値を満たす導電層の断面積と長さの組を求めることと
前記配線部の導電層と絶縁層に関する熱抵抗の所望値から、前記電圧降下の許容値に関して求めた前記導電層の断面積と長さの組の断面積にしたときの導電層と絶縁層が当該熱抵抗の所望値を満たす導電層と絶縁層の長さの組を求めることと
前記電圧降下の許容値に関して求めた前記導電層の断面積と長さの組から、用いる導電層の断面積に対応する導電層の長さを選んで、選んだ導電層の長さにより定まる面積を最大値とし、前記熱抵抗の所望値に関して求めた前記導電層と絶縁層の長さの組から、前記用いる導電層の断面積に対応する導電層と絶縁層の長さを選んで、選んだ導電層と絶縁層の長さにより定まる面積を最小値とする範囲の面積に、前記配線部の裏面において放熱器設置の面領域を設定することと
を含む、チップ支持基板の製造方法
【請求項5】
前記導電層の断面積と長さの組を求めることは、前記電圧降下の許容値および導電層を流れる電流値から導電層の抵抗値を求め、求めた抵抗値となる導電層の断面積と長さの組を求めることを含む、請求項4に記載のチップ支持基板の製造方法
【請求項6】
前記導電層と絶縁層の長さの組を求めることは、導電層と絶縁層との構成比から前記配線部の実効熱伝導率値を求め、求めた実効熱伝導率値を用いて導電層と絶縁層に関する熱抵抗値を求め、求めた熱抵抗値が前記熱抵抗の所望値となる導電層と絶縁層の長さの組を求めることを含む、請求項4又は5に記載のチップ支持基板の製造方法
【請求項7】
前記配線部の裏面には、凹所設けることを含み、当該凹所の底面が前記放熱器設置の面領域を成す、請求項4〜6のいずれか1項に記載のチップ支持基板の製造方法
【請求項8】
前記配線部の表面には、チップの平面の大きさの範囲内に導電貫通ビアを有しチップに接続されるインターポーザ設けることを含む、請求項4〜7のいずれか1項に記載のチップ支持基板の製造方法
【請求項9】
フリップチップを準備することと、
前記フリップチップチップ支持基板に搭載することであって、
設けられる配線部の導電層に関する電圧降下の許容値から、当該電圧降下の許容値を満たす導電層の断面積と長さの組を求めることと
前記配線部の導電層と絶縁層に関する熱抵抗の所望値から、前記電圧降下の許容値に関して求めた前記導電層の断面積と長さの組の断面積にしたときの導電層と絶縁層が当該熱抵抗の所望値を満たす導電層と絶縁層の長さの組を求めることと
前記電圧降下の許容値に関して求めた前記導電層の断面積と長さの組から、用いる導電層の断面積に対応する導電層の長さを選んで、選んだ導電層の長さにより定まる面積を最大値とし、前記熱抵抗の所望値に関して求めた前記導電層と絶縁層の長さの組から、前記用いる導電層の断面積に対応する導電層と絶縁層の長さを選んで、選んだ導電層と絶縁層の長さにより定まる面積を最小値とする範囲の面積に、前記配線部の裏面において放熱器設置の面領域を設定することとを含む前記フリップチップをチップ支持基板に搭載することと、
前記放熱器設置の面領域に放熱器を設けることと、
を含む、チップ実装構造体の製造方法
【請求項10】
前記導電層の断面積と長さの組を求めることは、前記電圧降下の許容値および導電層を流れる電流値から導電層の抵抗値を求め、求めた抵抗値となる導電層の断面積と長さの組を求めることを含む、請求項9に記載のチップ実装構造体の製造方法
【請求項11】
前記導電層と絶縁層の長さの組を求めることは、導電層と絶縁層との構成比から前記配線部の実効熱伝導率値を求め、求めた実効熱伝導率値を用いて導電層と絶縁層に関する熱抵抗値を求め、求めた熱抵抗値が前記熱抵抗の所望値となる導電層と絶縁層の長さの組を求めることを含む、請求項9又は10に記載のチップ実装構造体の製造方法
【請求項12】
前記フリップチップの上に別の放熱器設けることを含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載のチップ実装構造体の製造方法
【請求項13】
前記放熱器設置の面領域に対応する位置に開孔が設けられた配線基板、前記配線部の裏面に半田接続することを含む、請求項9〜12のいずれか1項に記載のチップ実装構造体の製造方法
【請求項14】
前記配線基板、前記配線部の裏面に熱伝導シートを介して半田接続することを含む、請求項13に記載のチップ実装構造体の製造方法
【請求項15】
前記配線部の裏面には、凹所設けることを含み、当該凹所の底面が前記放熱器設置の面領域を成す、請求項9〜14のいずれか1項に記載のチップ実装構造体の製造方法
【請求項16】
前記配線部の表面には、チップの平面の大きさの範囲内に導電貫通ビアを有しチップに接続されるインターポーザ設けることを含む、請求項9〜15のいずれか1項に記載のチップ実装構造体の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC(Integrated Circuit:集積回路)チップ(以下、単に「チップ」と云う。)の実装技術に関し、特に、チップ支持基板の配線部裏面にチップの熱を除去する放熱器を設置するための面領域を設定する方法、および放熱器設置の面領域が設定されたチップ支持基板、並びに当該チップ支持基板にチップを搭載したチップ実装構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、チップを3次元に積層してフェースダウンボンディングで実装するような発熱密度の高いチップ実装構造体では、フリップチップの上面側からだけではなく、フリップチップの下面側であるチップ支持基板の側からも冷却することが望まれる。
【0003】
特許文献1には、コア層を備えるプリント配線基板の所定位置に、チップ、チップバンプ、インターポーザ、インターポーザのBGA(Ball Grid Array)バンプを備える半導体装置が搭載され、また、チップの放熱を行うためのヒートシンクがコア層内に設置され、さらに、プリント配線基板内には、チップの発した熱をヒートシンクに伝達させるための放熱用ビアがインターポーザのBGAバンプとヒートシンクとを熱的に結合するように設けられた実装構造が示されている。この実装構造では、放熱用ビアがチップ下のプリント配線基板内に設けられるので、配線層は、プリント配線基板内ではチップの下に設けられずにチップの外周にまで引き回されてヒートシンクを取り囲むように設けられる。
【0004】
非特許文献1には、図1に示すようなチップの下面側から冷却するチップ実装構造体100が示されている。チップ実装構造体100では、チップ105が、例えば半田バンプのような接合部材110により3次元に積層されて、シリコンインターボーザ115に搭載される。シリコンインターボーザ115は、チップ105の搭載位置に対応して、裏面に直接放熱器のフィンを形成したマイクロチャネル125および蓋130が設けられ、冷却液が矢印135で示す側から入って矢印140で示す側から出る。シリコンインターボーザ115は、表面にBEOL(Back-End-Of-the-Line)によって配線が形成される。配線は、シリコンインターボーザ115の内部では、チップ105の下にマイクロチャネル125を設けているため、チップ105の外周にまで引き回され、その外周でシリコンインターボーザ115内に設けられた導電貫通ビア120を経て、プリント配線基板145の電極150に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−270743号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Keiji Matsumoto et al., Investigations of Cooling Solutions for Three-Dimensional (3D) Chip Stacks, in SemiconductorThermal Measurement and Management Symposium, 2010. SEMI-THERM 2010. 26thAnnual IEEE, 23 February 2010, pp.25-32
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1のチップ実装構造体100は、特許文献1のプリント配線基板内にヒートシンクを設置するのに比べて、チップ105を搭載するシリコンインターボーザ115内に放熱器のマイクロチャネル125を設置しているので、放熱効果は優れている。しかし、チップ105からプリント配線基板145に至る配線層は、依然として、チップ105の周辺部にまで引き回して設けられていて長く伸ばされ、また、シリコンインターボーザ115の表面の配線であるためにプリント配線基板145と違いその断面積は小さく狭められ、その結果、配線層の電気抵抗は増大されて大きな電圧降下を生じることになり、チップ実装構造体としては改良の余地がある。電圧降下の電気特性は、配線層の断面積を大きくすれば配線層の電気抵抗は小さくなるので、配線層の断面積に比例して改善される。しかし、放熱の熱特性は、配線層の断面積を大きくすると配線層および絶縁層の厚さは厚くなって熱抵抗は大きくなるので、配線層および絶縁層の厚さに比例して劣化する。チップ実装構造体では、電圧降下の電気特性と放熱の熱特性の両方共を良くすることは難しい。
【0008】
本発明は、配線層および絶縁層を電圧降下の電気特性と放熱の熱特性の両方に対して最適となる構成にして、電圧降下の電気特性に優れると共に放熱の熱特性にも優れたチップ実装技術の実現を目的とする。本発明の目的には、チップ支持基板の配線部裏面に放熱器設置の面領域を設定する方法、および放熱器設置の面領域が設定されたチップ支持基板、並びに当該チップ支持基板にチップを搭載したチップ実装構造体を提供することが含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により提供される1実施態様の方法、即ち、チップ支持基板の配線部の裏面において放熱器設置の面領域を設定する方法は、配線部の導電層に関する電圧降下の許容値から、当該電圧降下の許容値を満たす導電層の断面積と長さの組を求めることと、配線部の導電層と絶縁層に関する熱抵抗の所望値から、電圧降下の許容値に関して求めた導電層の断面積と長さの組の断面積にしたときの導電層と絶縁層が当該熱抵抗の所望値を満たす導電層と絶縁層の長さの組を求めることと、電圧降下の許容値に関して求めた導電層の断面積と長さの組から、用いる導電層の断面積に対応する導電層の長さを選んで、選んだ導電層の長さにより定まる面積を最大値とし、熱抵抗の所望値に関して求めた導電層と絶縁層の長さの組から、用いる導電層の断面積に対応する導電層と絶縁層の長さを選んで、選んだ導電層と絶縁層の長さにより定まる面積を最小値とする範囲の面積に、放熱器設置の面領域を設定することとを含む。
【0010】
その方法において、好ましくは、導電層の断面積と長さの組を求めることは、電圧降下の許容値および導電層を流れる電流値から導電層の抵抗値を求め、求めた抵抗値となる導電層の断面積と長さの組を求めることを含むと良い。
【0011】
その方法において、好ましくは、導電層と絶縁層の長さの組を求めることは、導電層と絶縁層との構成比から配線部の実効熱伝導率値を求め、求めた実効熱伝導率値を用いて導電層と絶縁層に関する熱抵抗値を求め、求めた熱抵抗値が熱抵抗の所望値となる導電層と絶縁層の長さの組を求めることを含むと良い。
【0012】
本発明により提供される1実施態様のチップ支持基板は、設けられる配線部の導電層に関する電圧降下の許容値から、当該電圧降下の許容値を満たす導電層の断面積と長さの組を求め、配線部の導電層と絶縁層に関する熱抵抗の所望値から、電圧降下の許容値に関して求めた導電層の断面積と長さの組の断面積にしたときの導電層と絶縁層が当該熱抵抗の所望値を満たす導電層と絶縁層の長さの組を求め、電圧降下の許容値に関して求めた導電層の断面積と長さの組から、用いる導電層の断面積に対応する導電層の長さを選んで、選んだ導電層の長さにより定まる面積を最大値とし、熱抵抗の所望値に関して求めた導電層と絶縁層の長さの組から、用いる導電層の断面積に対応する導電層と絶縁層の長さを選んで、選んだ導電層と絶縁層の長さにより定まる面積を最小値とする範囲の面積に、配線部の裏面において放熱器設置の面領域を設定してある。
【0013】
そのチップ支持基板において、好ましくは、導電層の断面積と長さの組を求めることは、電圧降下の許容値および導電層を流れる電流値から導電層の抵抗値を求め、求めた抵抗値となる導電層の断面積と長さの組を求めることを含むと良い。
【0014】
そのチップ支持基板において、好ましくは、導電層と絶縁層の長さの組を求めることは、導電層と絶縁層との構成比から配線部の実効熱伝導率値を求め、求めた実効熱伝導率値を用いて導電層と絶縁層に関する熱抵抗値を求め、求めた熱抵抗値が熱抵抗の所望値となる導電層と絶縁層の長さの組を求めることを含むと良い。
【0015】
そのチップ支持基板において、好ましくは、配線部の裏面には、凹所が設けられ、当該凹所の底面が放熱器設置の面領域を成すと良い。
【0016】
そのチップ支持基板において、好ましくは、配線部の表面には、チップの平面の大きさの範囲内に導電貫通ビアを有しチップに接続されるインターポーザが設けられていると良い。
【0017】
本発明により提供される1実施態様のチップ実装構造体は、フリップチップと、フリップチップが搭載されたチップ支持基板であって、設けられる配線部の導電層に関する電圧降下の許容値から、当該電圧降下の許容値を満たす導電層の断面積と長さの組を求め、配線部の導電層と絶縁層に関する熱抵抗の所望値から、電圧降下の許容値に関して求めた導電層の断面積と長さの組の断面積にしたときの導電層と絶縁層が当該熱抵抗の所望値を満たす導電層と絶縁層の長さの組を求め、電圧降下の許容値に関して求めた導電層の断面積と長さの組から、用いる導電層の断面積に対応する導電層の長さを選んで、選んだ導電層の長さにより定まる面積を最大値とし、熱抵抗の所望値に関して求めた導電層と絶縁層の長さの組から、用いる導電層の断面積に対応する導電層と絶縁層の長さを選んで、選んだ導電層と絶縁層の長さにより定まる面積を最小値とする範囲の面積に、配線部の裏面において放熱器設置の面領域を設定したチップ支持基板と、放熱器設置の面領域に設けられた放熱器とを含む。
【0018】
そのチップ実装構造体において、好ましくは、導電層の断面積と長さの組を求めることは、電圧降下の許容値および導電層を流れる電流値から導電層の抵抗値を求め、求めた抵抗値となる導電層の断面積と長さの組を求めることを含むと良い。
【0019】
そのチップ実装構造体において、好ましくは、導電層と絶縁層の長さの組を求めることは、導電層と絶縁層との構成比から配線部の実効熱伝導率値を求め、求めた実効熱伝導率値を用いて導電層と絶縁層に関する熱抵抗値を求め、求めた熱抵抗値が熱抵抗の所望値となる導電層と絶縁層の長さの組を求めることを含むと良い。
【0020】
そのチップ実装構造体において、好ましくは、フリップチップの上に別の放熱器が設けられていると良い。
【0021】
そのチップ実装構造体において、好ましくは、放熱器設置の面領域に対応する位置に開孔が設けられた配線基板が、配線部の裏面に半田接続されていると良い。
【0022】
そのチップ実装構造体において、好ましくは、配線基板は、配線部の裏面に熱伝導シートを介して半田接続されていると良い。
【0023】
そのチップ実装構造体において、好ましくは、配線部の裏面には、凹所が設けられ、当該凹所の底面が放熱器設置の面領域を成すと良い。
【0024】
そのチップ実装構造体において、好ましくは、配線部の表面には、チップの平面の大きさの範囲内に導電貫通ビアを有しチップに接続されるインターポーザが設けられていると良い。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、配線層および絶縁層が電圧降下の電気特性と放熱の熱特性の両方に対して最適となる構成にされ、電圧降下の電気特性に優れると共に放熱の熱特性にも優れたチップ実装技術が実現される。特に、そのようなチップ実装技術は、本発明により提供される、チップ支持基板の配線部裏面に放熱器設置の面領域を設定する方法、および放熱器設置の面領域が設定されたチップ支持基板、並びに当該チップ支持基板にチップを搭載したチップ実装構造体によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】インターボーザに放熱器を設けた従来のチップ実装構造体を概略的に示す断面図である。
図2】本発明の1実施形態に係る、配線部の裏面に放熱器設置の面領域を設定したチップ支持基板の構成を概略的に示す断面図である。
図3】本発明の1実施形態に係る、チップ支持基板の配線部の裏面に放熱器設置の面領域を設定する方法を概略的に示す処理の流れ図である。
図4図3の処理310についての例示的な処理の流れ図である。
図5図3の処理320についての例示的な処理の流れ図である。
図6】配線部のCu配線がそれぞれ3つの断面積で形成されたときの電気抵抗と長さの関係を示すグラフである。
図7】配線部のCu配線がそれぞれ3つの断面積で形成されたときの熱抵抗と長さの関係を示すグラフである。
図8】本発明の1実施形態に係る、配線部の裏面に凹所を設けて放熱器設置の面領域を設定したチップ支持基板の構成を概略的に示す断面図である。
図9】本発明の1実施形態に係る、配線部の裏面に放熱器設置の面領域を設定したチップ支持基板を用いるチップ実装構造体を概略的に示す断面図である。
図10】本発明の1実施形態に係る、配線部の裏面に凹所を設けて放熱器設置の面領域を設定したチップ支持基板を用いるチップ実装構造体を概略的に示す断面図である。
図11】本発明の1実施形態に係る、配線部の裏面に放熱器設置の面領域を設定したチップ支持基板を熱伝導シートと共に用いるチップ実装構造体を概略的に示す断面図である。
図12図2のチップ支持基板に3次元積層チップを搭載した構成を概略的に示す断面図である。
図13図8のチップ支持基板に3次元積層チップを搭載した構成を概略的に示す断面図である。
図14】本発明の1実施形態に係る、図12のチップ支持基板にインターポーザが設けられた構成を概略的に示す断面図である。
図15】本発明の1実施形態に係る、図13のチップ支持基板にインターポーザが設けられた構成を概略的に示す断面図である。
図16】本発明の1実施形態に係る、図14のチップ支持基板の構成を用いてチップの上に別の放熱器を設けたチップ実装構造体を概略的に示す断面図である。
図17】本発明の1実施形態に係る、図15のチップ支持基板の構成を用いてチップの上に別の放熱器を設けたチップ実装構造体を概略的に示す断面図である。
図18】本発明の1実施形態に係る、図16のチップ実装構造体に熱伝導シートを用いたチップ実装構造体を概略的に示す断面図である。
図19図15の構成のチップ支持基板を製造する工程を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、記載された実施形態の内容に限定して解釈されるべきではない。なお、実施形態の説明の全体を通じて同じ構成部分乃至構成要素には同じ番号を付している。
【0028】
図2に、本発明の1実施形態に係る、配線部225の裏面に放熱器設置の面領域230を設定したチップ支持基板220の構成例200を概略的に断面図で示す。面領域230は、後で説明される配線部225における長さlと厚さtが関係する電気特性および熱特性に基づいて設定されている。面領域230の面積は長さlによりlxlと定まる。チップ205は、表面に形成された多層配線層210が接続部材215によりフェースダウンボンディングでチップ支持基板220に接続されるフリップチップである。チップ支持基板220の裏面では、面領域230を除いた部分に例えば半田バンプのような接続部材235が設けられている。
【0029】
図3に、本発明の1実施形態に係る、チップ支持基板220の配線部225の裏面に放熱器設置の面領域230を設定する方法の処理の流れ300を概略的に示す。まず、処理310において、配線部225の導電層に関する電圧降下の許容値から、当該電圧降下の許容値を満たす導電層の断面積と長さの組を求める。導電層の断面積が配線部225における厚さtと関係し、導電層の長さが配線部225における長さlと関係する。電圧降下の許容値を満たす導電層の断面積と長さの組は、例えば、図4に311および312として示す処理によって求めることができる。
【0030】
図4の処理311では、電圧降下の許容値および導電層を流れる電流値から導電層の抵抗値を求める。例えば、導電層を流れる電流が100mAのときに電圧降下(IRdrop)の許容値を100mVとすると、導電層の抵抗値として許容されるのは1Ωであり、導電層の抵抗値が1Ωとして求まる。
導電層の電流密度:100mA
許容される電圧降下:100mV
許容される電気抵抗:1Ω
【0031】
図4の処理312では、求めた抵抗値となる導電層の断面積と長さの組を求める。例えば、導電層がCu配線である場合には、Cu配線の断面積と長さを変化させたときの抵抗値は次の式で表される。
1.68e−8 x Cu配線長さ / Cu配線断面積
理解容易のため、例えば、配線部225を単純に1層で構成し、Cu配線の厚さは配線部225における厚さtの半分であり残り半分が絶縁層の厚さであるとして、上の式から、Cu配線の断面積が10μmx10μm、15μmx15μmおよび20μmx20μmそれぞれの場合の電気抵抗を計算して求めた。それらの電気抵抗と長さの関係を図6にグラフで示す。図6のグラフから、Cu配線の断面積が大きくなると電気抵抗は小さくなることが分かる。許容される求めた抵抗値は1Ωであるので、図6のグラフより、電気抵抗の値が1Ω以下となるようなCu配線の断面積と長さの組を求める。例えば、Cu配線の断面積を15μmx15μmとするときには、Cu配線の長さは15mmまで許容され、従って、配線部225における長さlも15mmまで許容され、断面積15μmx15μmと長さ15mmの組が求まる。
【0032】
図3の処理の流れ300では、次に、処理320において、配線部225の導電層と絶縁層に関する熱抵抗の所望値から、電圧降下の許容値に関して求めた導電層の断面積と長さの組の断面積にしたときの導電層と絶縁層が当該熱抵抗の所望値を満たす導電層と絶縁層の長さの組を求める。熱抵抗の所望値を満たす導電層と絶縁層の長さの組は、例えば、図5に321、322および323として示す処理によって求めることができる。
【0033】
図5の処理321では、導電層と絶縁層との構成比から配線部225の実効熱伝導率値を求める。例えば、先程と同様に、配線部225を単純に1層で構成し、Cu配線の厚さは配線部225における厚さtの半分であり残り半分が絶縁層の厚さであるとして、Cu配線と絶縁層の構成比をそれぞれ50%とし、熱は配線部225における長さlと等しい奥行きlを有する領域lxlを伝導するとして、配線部225の実効熱伝導率値を求めると、1.98W/mKと導出される。
【0034】
図5の処理322では、配線部225の求めた実効熱伝導率値を用いて導電層と絶縁層に関する熱抵抗値を求める。配線部225の導電層と絶縁層に関する熱抵抗の値は、実効熱伝導率値を用いて式で表され、式を使って計算できる。例えば、上記1.98W/mKの実効熱伝導率値を用いると、熱抵抗の値は、次の式で表される。
厚さt/(1.98x長さlx長さl)
この式から、Cu配線の断面積が10μmx10μm、15μmx15μmおよび20μmx20μmそれぞれの場合の熱抵抗を計算して求めた。それらの熱抵抗と長さの関係を図7にグラフで示す。図7のグラフから、Cu配線の断面積が大きくなると熱抵抗は大きくなることが分かる。
【0035】
図5の処理323では、求めた熱抵抗値が熱抵抗の所望値となる導電層と絶縁層の長さの組を求める。熱抵抗値としては、チップの実装技術で一般的な熱伝導グリースのような熱伝導物質(Thermal Interface Material)と同程度の熱抵抗値が望ましい。例えば、その熱抵抗値は0.1Kcm/Wであるので、それを熱抵抗の所望値としても良い。熱抵抗の所望値を0.1Kcm/Wとすると、図7のグラフより、熱抵抗の値が0.1Kcm/W以下となるようなCu配線と絶縁層の長さの組を求める。例えば、Cu配線の断面積を15μmx15μmとするときには、Cu配線と絶縁層の長さは11mm以上を要望され、従って、配線部225における長さlも11mm以上を要望され、断面積15μmx15μmのときのCu配線と絶縁層の長さの組が求まる。
【0036】
図3の処理の流れ300では、さらに、処理330において、次のようにして放熱器設置の面領域を設定する。即ち、処理310で電圧降下の許容値に関して求めた導電層の断面積と長さの組から、用いる導電層の断面積に対応する導電層の長さを選んで、選んだ導電層の長さにより定まる面積を最大値とする。例えば、図6に示される電圧降下の許容値100mVに関して求めたCu配線の断面積と長さの組については、用いるCu配線の断面積が15μmx15μmであれば、Cu配線の長さ15mmを選んで、選んだCu配線の長さ15mmにより定まる面積15mmx15mmを最大値とする。また、処理320で熱抵抗の所望値に関して求めた導電層と絶縁層の長さの組から、用いる導電層の断面積に対応する導電層と絶縁層の長さを選んで、選んだ導電層と絶縁層の長さにより定まる面積を最小値とする。例えば、図7に示される熱抵抗の所望値0.1Kcm/Wに関して求めたCu配線と絶縁層の長さの組については、用いるCu配線の断面積が15μmx15μmであるので、Cu配線と絶縁層の長さ11mm以上を選んで、選んだCu配線と絶縁層の長さ11mm以上により定まる面積11mmx11mmを最小値とする。そして、それらの最大値と最小値による範囲の面積に、放熱器設置の面領域を設定する。図6および図7に示されるCu配線の断面積が15μmx15μmを用いる例では、チップ支持基板220の配線部225の裏面において放熱器設置の面領域230を11mmx11mm以上で15mmx15mm以下の範囲の面積に設定する。このようにして配線部225の裏面に放熱器設置の面領域230を設定したチップ支持基板220は、電圧降下の電気特性に優れると共に放熱の熱特性にも優れている。
【0037】
図2に示したチップ支持基板220の構成例200では、配線部225の裏面に放熱器設置の面領域230を設定したが、図8に、配線部225の裏面に凹所240を設けて、凹所240の底面に放熱器設置の面領域230を設定したチップ支持基板220の構成例400を概略的に断面図で示す。構成例200と同様に、構成例400でも、面領域230は、配線部225における長さlと厚さtが関係する電気特性および熱特性に基づいて設定されている。面領域230の面積は長さlによりlxlと定まる。配線部225の全体の厚さは厚くなっても、面領域230は配線部225における厚さtを維持しているので、構成例400の放熱の熱特性は優れている。配線部225の厚さが厚くなると、配線の多層化に対応できるだけでなく、配線層および絶縁層の厚さを厚くしたりもできる。
【0038】
図9に、図2に示したチップ支持基板220の構成例200を用いたチップ実装構造体500を概略的に断面図で示す。チップ実装構造体500では、構成例200のチップ支持基板220は、配線部225の裏面に設けられた接続部材235によって、多層配線層を備える配線基板410に接続されている。配線基板410は、例えばマザーボードとして使用されるものであっても良い。配線基板410は、配線部225の裏面に設定された放熱器設置の面領域に対応する位置に開孔が設けられている。放熱器415の突起部分が、その開孔に挿入され、放熱器設置の面領域に接触している。
【0039】
図10に、図8に示したチップ支持基板220の構成例400を用いたチップ実装構造体600を概略的に断面図で示す。チップ実装構造体600でも、構成例400のチップ支持基板220は、配線部225の裏面に設けられた接続部材235によって、多層配線層を備える配線基板410に接続されている。図9のチップ実装構造体500と同様に、放熱器415の突起部分が、配線基板410の開孔に挿入され、配線部225の裏面に設けられた凹所の底面を成す放熱器設置の面領域に接触している。
【0040】
図11にも、図2に示したチップ支持基板220の構成例200を用いたチップ実装構造体700を概略的に断面図で示す。チップ実装構造体700では、図9のチップ実装構造体500と違って、配線基板410は、チップ支持基板220の裏面に熱伝導シート420を介して半田接続されている。熱伝導シート420は、例えばグラファイトシートなどである。チップ支持基板220の裏面に熱伝導シート420を設けることにより、放熱の熱特性をさらに良くすることができる。
【0041】
図2に示したチップ支持基板220の構成例200では、1つのチップ205をチップ支持基板220の表面に搭載していたが、図12に示される構成例200‘のように、複数のチップを積層した3次元積層チップ245をチップ支持基板220の表面に搭載しても良い。同じく、図8に示したチップ支持基板220の構成例400では、1つのチップ205をチップ支持基板220の表面に搭載していたが、図13に示される構成例400‘のように、3次元積層チップ245をチップ支持基板220の表面に搭載しても良い。
【0042】
図2および12に示したチップ支持基板220の構成例200および200‘では、それぞれチップ205および245をチップ支持基板220の表面に直接搭載していたが、図14に示される構成例800のように、チップ支持基板220における配線部の表面にインターポーザ250を設けて、インターポーザ250の上にチップを搭載しても良い。インターポーザ250は、例えばシリコンなどの熱伝導に優れた材料で形成されるので、放熱の熱特性を悪くするようなことはない。インターポーザ250は、その表面にBEOLによって配線255が形成され、その中には導電貫通ビア260が設けられている。導電貫通ビア260は、チップの平面の大きさの範囲内においてインターポーザ250の中に設けられており、チップの外周にまで引き回されていないので、電圧降下の電気特性を悪くするようなことはない。同じく、図8および13に示したチップ支持基板220の構成例400および400‘では、それぞれチップ205および245をチップ支持基板220の表面に直接搭載していたが、図15に示される構成例900のように、チップ支持基板220における配線部の表面にインターポーザ250を設けて、インターポーザ250の上にチップを搭載しても良い。
【0043】
図16に、図14に示したチップ支持基板220の構成例800を用いたチップ実装構造体1000を概略的に断面図で示す。チップ実装構造体1000でも、構成例800のチップ支持基板220は、多層配線層を備える配線基板410に接続されている。放熱器415の突起部分は、配線基板410の開孔に挿入され、チップ支持基板220における配線部の裏面に設定された放熱器設置の面領域に接触している。チップ実装構造体1000では、放熱器415がチップ支持基板220の下面側に設けられるだけでなく、3次元積層チップ245の上にも別の放熱器425が設けられていて、放熱の熱特性を向上させている。
【0044】
図17に、図15に示したチップ支持基板220の構成例900を用いたチップ実装構造体1100を概略的に断面図で示す。チップ実装構造体1100でも、構成例900のチップ支持基板220は、多層配線層を備える配線基板410に接続されている。放熱器415の突起部分は、配線基板410の開孔に挿入され、チップ支持基板220における配線部の裏面に設けられた凹所の底面を成す放熱器設置の面領域に接触している。チップ実装構造体1100でも、放熱器415がチップ支持基板220の下面側に設けられるだけでなく、3次元積層チップ245の上にも別の放熱器425が設けられていて、放熱の熱特性を向上させている。
【0045】
図18にも、図14に示したチップ支持基板220の構成例800を用いたチップ実装構造体1200を概略的に断面図で示す。チップ実装構造体1200では、図16のチップ実装構造体1000と違って、配線基板410は、チップ支持基板220の裏面に熱伝導シート420を介して半田接続されている。チップ支持基板220の裏面に熱伝導シート420を設けることにより、放熱の熱特性をさらに良くすることができる。
【0046】
図19に、図15に示したチップ支持基板220の構成例900を実施するための製造工程を概略的に示す。(A)では、インターポーザ250を準備する。インターポーザ250は、その表面にBEOLによって配線255が形成され、その中にはチップの平面の大きさの範囲内において導電貫通ビア260が設けられて、その裏面が上になるように準備する。(B)では、インターポーザ250の裏面に、例えばビルドアップ層を積層して、放熱器設置の面領域230が設定される面領域230の配線部225における厚さtまで配線部225を形成する。(C)では、配線部225に放熱器設置の面領域230が設定される面領域230(長さlx長さl)以外で厚さtよりも厚く配線部225を形成する。従って、面領域230には凹所240が形成される。(D)では、所定の厚さまで配線部225を形成して完成する。完成したチップ支持基板220の構成例900の平面図を(E)に示す。チップ支持基板220では設定した面領域230に凹所240が形成されている。
【0047】
以上、実施態様を用いて本発明の説明をしたが、本発明の技術的範囲は実施態様について記載した範囲には限定されない。実施態様に種々の変更又は改良を加えることが可能であり、そのような変更又は改良を加えた態様も当然に本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
220 チップ支持基板
225 配線部
230 放熱器設置の面領域
240 凹所
250 インターポーザ
410 配線基板
415、425 放熱器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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