(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963751
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】船舶、そのエネルギー供給システム並びにその制御方法
(51)【国際特許分類】
B63J 3/04 20060101AFI20160721BHJP
B63B 1/10 20060101ALI20160721BHJP
B63B 27/10 20060101ALI20160721BHJP
B63H 9/02 20060101ALI20160721BHJP
B63H 21/17 20060101ALI20160721BHJP
B63H 25/42 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
B63J3/04
B63B1/10
B63B27/10 A
B63H9/02
B63H21/17
B63H25/42 F
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-528605(P2013-528605)
(86)(22)【出願日】2011年9月8日
(65)【公表番号】特表2013-537142(P2013-537142A)
(43)【公表日】2013年9月30日
(86)【国際出願番号】EP2011065528
(87)【国際公開番号】WO2012034920
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2013年5月7日
【審判番号】不服2015-4685(P2015-4685/J1)
【審判請求日】2015年3月10日
(31)【優先権主張番号】102010040904.9
(32)【優先日】2010年9月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】ローデン、ロルフ
【合議体】
【審判長】
和田 雄二
【審判官】
氏原 康宏
【審判官】
島田 信一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−24187(JP,A)
【文献】
特開2005−354861(JP,A)
【文献】
特開平7−10071(JP,A)
【文献】
特開平7−10072(JP,A)
【文献】
特開昭63−15635(JP,A)
【文献】
特開平1−91624(JP,A)
【文献】
オ−ストリア国特許発明第758503(AT,B)
【文献】
特表2008−543641(JP,A)
【文献】
特開2007−325460(JP,A)
【文献】
特開2005−304263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63J 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー供給システム(6)を備えた船舶(1)であって、
船舶(1)の内部に配された、電気エネルギーを供給するための複数のデイーゼル電気システム(11)を有し、いくつかの該デイーゼル電気システム(11)毎に、それらのデイーゼル電気システム(11)を取出すためのそれぞれ1つの共通の開口(9)が割当てられたこと、
エネルギー供給システム(6)に所属された制御ユニット(43)を有し、該制御ユニットは、予設定されたエネルギー需要に依存して、1個又は複数のデイーゼル電気システム(11)をオンオフに操作するようにされたこと、
該制御ユニット(43)が各デイーゼル電気システム(11)の作動時間数を検知するように構成されたこと、及び
該制御ユニット(43)が、個別のデイーゼル電気システム(11)のオンオフ操作の選択を、各々の検知された作動時間数に依存して、前記デイーゼル電気システムの利用時間の分布の意図的な非一様性が保たれ、これにより所定の1つのデイーゼル電気システムがその保守時点に達するように行うこと、
を特徴とする船舶。
【請求項2】
該デイーゼル電気システム(11)が船舶(1)の内部の該共通の開口(9)の下方において作動位置と取付け―取外し位置(17)との間に走行自在とされたことを特徴とする請求項1に記載の船舶(1)。
【請求項3】
該デイーゼル電気システム(11)が移動手段により走行自在とされたことを特徴とする請求項2に記載の船舶(1)。
【請求項4】
移動手段の上方に配された取外し自在な床板(21)を備えていることを特徴とする請求項3に記載の船舶(1)。
【請求項5】
該デイーゼル電気システム(11)が作動位置(12)において拘束可能とされたことを特徴とする請求項1〜4の一に記載の船舶(1)。
【請求項6】
船舶クレーン(31)を有し、該船舶クレーンは、少なくとも1つのデイーゼル電気システム(11)を、該共通の開口(9)を経て船舶(1)内部から取出すこと、及び/又は船舶(1)内部に導くようにされたことを特徴とする請求項1〜5の一に記載の船舶(1)。
【請求項7】
船舶(1)が、エネルギー供給システム(6)により供給される電気エネルギーにより回転され得る少なくとも1個のマグヌスロータ(10)を有することを特徴とする請求項1〜6の一に記載の船舶(1)。
【請求項8】
前記エネルギー供給システム(6)は、船舶の1個以上のスクリュー(50)及び/又は1個以上のサイドスラスタを駆動するための1個以上の電動機に給電するようにされたことを特徴とする請求項1〜7の一に記載の船舶(1)。
【請求項9】
電気エネルギーを供給するための、船舶(1)の共通の開口(9)を経て取出すことができる複数のデイーゼル電気システム(11)を備え、
制御ユニット(43)を有し、
該制御ユニットは、
船舶(1)のデイーゼル電気システム(11)の作動時間数を検知するユニット(53)と、
1個のデイーゼル電気システム(11)が予設定された作動時間数に到達した時に保守状況になっていることを確認するユニット(55)と、を有し、
該制御ユニット(43)が
エネルギー需要を予設定するユニット(57)と、
該予設定されたエネルギー需要にとって必要なデイーゼル電気システム(11)の数を規定するユニット(59)と、
該予設定されたエネルギー需要に対して必要となるデイーゼル電気システム(11)の所定の数及び各々の検知された作動時間数に依存して、前記デイーゼル電気システムの利用時間の分布の意図的な非一様性が保たれ、これにより所定の1つのデイーゼル電気システムがその保守時点に達するように、1個以上のデイーゼル電気システム(11)のオンオフ操作を行うオンオフ操作ユニット(61)と、
を備えたこと、
を特徴とする船舶(1)のためのエネルギー供給システム(6)。
【請求項10】
下記の工程を含む、船舶(1)のエネルギー供給システム(6)の制御方法:
・船舶(1)のデイーゼル電気システム(11)の作動時間数を検知する工程、
・1個のデイーゼル電気システム(11)がある設定された作動時間数に到達した時に保守状況になっていることを確認する工程、
・エネルギー需要を検出及び/又は予設定する工程、
・該予設定されたエネルギー需要にとって必要なデイーゼル電気システム(11)の数を規定する工程、
・該予設定されたエネルギー需要に対して必要となるデイーゼル電気システム(11)の数及び各々の検知された作動時間数に依存して、前記デイーゼル電気システムの利用時間の分布の意図的な非一様性が保たれ、これにより所定の1つのデイーゼル電気システムがその保守時点に達するように、1個以上のデイーゼル電気システム(11)のオンオフ操作を行う工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー供給システムを備えた船舶、特に貨物船、に関する。本発明は、更に、船舶、特に貨物船、のためのエネルギー供給システムに関する。本発明は、更に、船舶のエネルギー供給システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この形式の船舶は、船上のエネルギー供給システムから電気エネルギーを通常得ている。既知の船舶の場合、エネルギー供給システムは、1個以上のデイーゼル電気システムを有し、このデイーゼル電気システムは、機械的に作り出された仕事出力(Arbeitsleistung)を電気エネルギーに変換する。デイーゼル電気システムとは、電気エネルギーを生成するようになされ、機械的な仕事出力を作り出すための(デイーゼル)内燃機関を有し、その(デイーゼル)内燃機関が、電気エネルギーを生成するための発電機に接続されているシステムであると理解されたい。
【0003】
前記の形式の船舶上において、船上ネットワーク、通信装置、補助駆動装置又は主駆動装置は、エネルギー供給システムから電気エネルギーの供給を通常受ける。
【0004】
本出願人の公報DE102005028447号には、電動機によって駆動されるスクリュー本体と電気的に駆動されるサイドスラスタ(Querstrahlrudern)とを備えた船舶が開示されている。前記公報によれば、複数のマグヌス(Magnus)ロータが船舶上に備えられ、これらは補助的に駆動力を供給し、やはり電動機によって駆動される。マグヌスロータは、フレットナー(Flettner)ロータ又は帆走(Segel)ロータとも呼ばれる。
【0005】
一般的な先行技術としては、公報DE3426333C2,JP04100799A, US3602730、WO00/06450A1,GB2311502A,DE102005028447A1,EP2243699A1,並びに、Handbuch der Werften(ドックハンドブック), Prof. Dr−Ing. H.Keil (H.カイル)著、1998年、279−280頁の論説“Wartungskonzpt fuer moderne Dieselmotoren”「近年のデイーゼルエンジンの保守コンセプト」を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE3426333C2
【特許文献2】JP04100799A
【特許文献3】US3602730
【特許文献4】WO00/06450A1
【特許文献5】GB2311502A
【特許文献6】DE102005028447A1
【特許文献7】EP2243699A1
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Handbuch der Werften(ドックハンドブック), Prof. Dr−Ing. H.Keil (H.カイル)著、1998年、279−280頁の論説“Wartungskonzpt fuer moderne Dieselmotoren”「近年のデイーゼルエンジンの保守コンセプト」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
確実に動作するエネルギー供給の実現は、前記の形式の船舶の操作にとっては、特に重要である。デイーゼル電気システムは、常時利用されることによって、不可避的な摩耗にさらされ、ある運転時間の後は、定期的な保守を受けねばならない。保守作業の間、船舶の操業は、大きく劣化するか、普通は全くできなくなる。それは、保守を受ける間、船舶は、ドックに置かれるか又は港に停泊しなければならないからである。小さな保守作業は船内ででき、事情によっては、船舶の走行中でも可能である。これらの場合、保守要員は勿論乗船していなければならないので、多くの費用が必要となる。
【0009】
既知の船舶において当面される保守のコストは、従来の技術では不利益と感じられていた。
【0010】
従って、本発明の目的は、保守のし易さを改善する、前記の形式の船舶、エネルギー供給システム並びにその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、この目的を、前記の形式のものにおいて、下記の第1の視点による船舶によって達成する。即ち、エネルギー供給システムを備えた船舶、特に貨物船、であって、船舶の内部に配された、電気エネルギーを供給するための複数のデイーゼル電気システムを有し、いくつかの該デイーゼル電気システム毎に、それらのデイーゼル電気システムを取出すためのそれぞれ1つの共通の開口が割当てられたこと、エネルギー供給システムに所属された制御ユニットを有し、該制御ユニットは、予設定されたエネルギー需要に依存して、1個又は複数のデイーゼル電気システムをオンオフに操作するようにされたこと、該制御ユニットが各デイーゼル電気システムの作動時間数を検知するように構成されたこと、及び該制御ユニットが、個別のデイーゼル電気システムのオンオフ操作の選択を、各々の検知された作動時間数に依存して、前記デイーゼル電気システムの利用時間の分布の意図的な非一様性が保たれ、これにより所定の1つのデイーゼル電気システムがその保守時点に達するように行うこと、を特徴とする船舶が提供される。
本発明の第2の視点において、下記のエネルギー供給システムが提供される。即ち、船舶、特に貨物船、のためのエネルギー供給システムは、電気エネルギーを供給するための、船舶の共通の開口を経て取出すことができる複数のデイーゼル電気システムを備え、制御ユニットを有し、該制御ユニットは、船舶のデイーゼル電気システムの作動時間数を検知するユニットと、1個のデイーゼル電気システムが予設定された作動時間数に到達した時に保守状況になっていることを確認するユニットと、を有し、該制御ユニットがエネルギー需要を予設定するユニットと、該予設定されたエネルギー需要にとって必要なデイーゼル電気システムの数を規定するユニットと、該予設定されたエネルギー需要に対して必要となるデイーゼル電気システムの所定の数及び
各々の検知された作動時間に依存して、前記デイーゼル電気システムの利用時間の分布の意図的な非一様性が保たれ、これにより所定の1つのデイーゼル電気システムがその保守時点に達するように、1個以上のデイーゼル電気システムのオンオフ操作を行
うオンオフ操作ユニットと、を備えたこと、を特徴とする。
本発明の第3の視点において、下記の工程を含む、船舶のエネルギー供給システムの制御方法が提供される:即ち、
・船舶の
デイーゼル電気システムの作動時間数を検知する工程、
・1個のデイーゼル電気システムがある設定された作動時間数に到達した時に保守状況になっていることを確認する工程、
・エネルギー需要を検出
及び/又は予設定する工程、
・該予設定されたエネルギー需要にとって必要なデイーゼル電気システムの数を規定する工程、
・該予設定されたエネルギー需要に対して必要となるデイーゼル電気システムの
数及び
各々の検知された作動時間
数に依存して、前記デイーゼル電気システムの利用時間の分布の意図的な非一様性が保たれ、これにより所定の1つのデイーゼル電気システムがその保守時点に達するように、1個以上のデイーゼル電気システムのオンオフ操作を
行う工程。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照番号は、専ら理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
本発明による船舶は、電気エネルギーを供与するための複数のデイーゼル電気システムを有し、いくつか(数個)の該デイーゼル電気システム毎に、それらのデイーゼル電気システムを取出すためのそれぞれ1つの共通の開口が割当てられている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、保守作業は、時間及びコストが最も節減されるように行うべきであり、その場合、港の停泊時間のみならず、保守を必要とする構造部分の交換に必要な作業時間もできるだけ短縮されるように行うべきである、という知見に基いている。これは、港においては、また船舶の走行中には、保守作業はしなくてよくし、また保守を必要とする構造部分は、港に着いた時、できるだけ速やかに、新しい構造部分又は保守の済んだ構造部分と交換可能とすることによって達せられる。本発明は、数個ずつの該デイーゼル電気システムに、それらのデイーゼル電気システムを取出すための1つ以上の共通の開口を所属させることにより、デイーゼル電気システムを短時間で交換することを可能とする。船舶の内部スペースにおいては、積荷のための容積を最良に利用するために、種々の機能要素を設置するための船上の場所は、著しく限られているため、船上での取付け―取外し操作の可能性は非常に限定されている。しかし、好ましくはデイーゼル電気システムの上方のデッキ部分に前記開口を形成したことによって、保守を必要とするデイーゼル電気システムは、この開口を介して、効率良く交換することができる。
【0013】
有利には、1個以上の前記共通の開口は、(1つの)蓋板を介して閉ざすことができ、かつデイーゼル電気システムの上方において、デッキに貫通形成されている。更に有利には、数個ずつのデイーゼル電気システム(の組)毎に、前記共通の開口が割当てられた1つの共通のスペース例えば機関室に配されている。さらに有利には、該共通のスペースは、好ましくは船倉の下方に配され、船倉の底板は、デイーゼル電気システムのスペースのデッキに対応している。好ましくは、複数の群のデイーゼル電気システムは、質量(重量)の分布を一様にするために、船舶全体にわたって複数のスペースに分布されている。これらのスペースは、好ましくは、船尾側に配された船舶のスクリューの駆動部に対するカウンターウエイトを与えるように、船舶の前方部分に配されている。本発明の特別の利点は、エネルギー供給システムに複数のデイーゼル電気システムを用いた点にもあるとみることができる。従来の船舶においては、ある所定量のエネルギーが船上において必要であるということを前提として、従来は、できるだけ少数の、そしてできるだけ高出力のデイーゼル電気システムを、大きなサイズの電動機と共に、予測された需要状況に従って配し、船舶に組込むことが最も経済的であると考えられていた。しかし、本発明による船舶の保守の可能性は、できるだけ少数の大型のユニットの代りに、より多数の小型のデイーゼル電気システムを使用し、それらのデイーゼル電気システムが、それに所属された開口を経てより少ないコストで外部の保守作業のために取出されるようにすることによって、特に有利な影響を受ける。これは、1個又は少数の大型システムの場合可能ではない。
【0014】
本発明のさらなる有利な構成によれば、該デイーゼル電気システムは、該共通の開口の下方において、船舶の内部の作動位置と取付け―取外し位置との間において移動自在とされている。デイーゼル電気システムが船舶の内部の作動位置と 取付け―取外し位置との間において移動自在とされていると、一方では、移動中又は1個以上のデイーゼル電気システムの交換時以外において該スペースが通行し易くなるという点で、デイーゼル電気システムが配されたスペースの内部の空間利用が改善される。他方では、1つの共通の開口を介した交換プロセスの開始より前に、デイーゼル電気システムを作動位置から 取付け―取外し位置に持ちきたすことができるので、1個以上のデイーゼル電気システムを交換するのに要する時間が更に短縮される。ここで、複数のデイーゼル電気システムを船舶に配し得ることは非常に有利となる。全てのデイーゼル電気システムが常時使用されるのではないので、1個のデイーゼル電気システムを作動停止として作動位置から取付け―取外し位置に持ちきたすことが残りのデイーゼル電気システムによって補償されるように、デイーゼル電気システムの数を好ましくは選定する。デイーゼル電気システムが作動位置から取付け―取外し位置に移動することによって、前記共通の開口を介した速やかな交換は、交換が行われる港に到着する以前に既に準備されている。好ましくは3個以上の、より好ましくは6個以上のデイーゼル電気システムが用いられる。
【0015】
本発明の特に好ましい実施態様によれば、デイーゼル電気システムは、移動手段好ましくはレールにより走行自在とされている。移動手段を用いたことによって、デイーゼル電気システムは、作動位置と取付け―取外し位置との間において自由な移動を行うことはなくなり、その移動は、規定された、好ましくはガイドされるコース上において行われる。そのため、作動位置又は取付け―取外し位置においてのデイーゼル電気システムの位置決めが容易になると共に、デイーゼル電気システムの移動の間において、周囲の構造部分の損傷又は作業員の怪我のおそれが減少する。
【0016】
移動手段は、レールに代り、ローラや他のスライド手段としてもよい。移動手段は、好ましくは、1つの位置から別の位置への移動を機械的に支持する手段、例えば油圧駆動手段、空圧駆動手段もしくは一連の滑車としてもよい。
【0017】
本発明の別の好ましい実施態様によれば、船舶は、移動手段の上方に配された取外し自在な床板(Bodenplatt)床板を備えている。この床板により、発電機の配されたスペースに入り得るようになる。床板はまた操作員が移動手段につまずいたり、移動手段が損傷したりしないようにする。床板は、それが除去された後にのみデイーゼル電気システムの走行又は移動が可能となるようにされているため、受動的な安全性が向上する。
【0018】
デイーゼル電気システムは、好ましくは、作動位置に拘束することができる。この拘束は、ねじ止め又は係止による。このような拘束手段は、デイーゼル電気システムを床板に拘束することに加えて、またデイーゼル電気システムが床板に対して意図しない移動をすることによることに加えて床板の損傷を限定又は防止するために用いられる。
【0019】
本発明の好ましい実施態様による船舶は、船舶クレーンを有し、該船舶クレーンは、少なくとも1つのデイーゼル電気システムを、該共通の開口を経て船舶内部から取出し、そして(又は)船舶内部に導くようにされている。船舶クレーンは、クレーンフックを下行させることによって、船倉を通って、また共通の開口を通って、デイーゼル電気システムの配されたスペース内に進入するように、好ましくは形成されている。船舶クレーンにより、岸壁側にクレーンが存在しているか否かに係りなく、いずれの港又は保留地においてデイーゼル電気システムの交換を行うことができる。また船舶クレーンは、好ましくは、必要により設けられる共通の開口の覆いを上下動させることができる。特に好ましくは、船舶クレーン及び共通の開口を有する船舶において、デイーゼル電気システムの取付け―取外し位置は、該共通の開口の直下にあるため、船舶クレーンは、クレーンフックを横方向に揺動させることなく、鉛直位置から、デイーゼル電気システム又は好ましくはデイーゼル電気システムの突起と係合させることができる。これは、交換作業の間、デイーゼル電気システムに純粋に垂直方向の運動を行わせればよいため、有利となる。
【0020】
本発明の別の好ましい実施態様による船舶は、エネルギー供給システムに所属された制御ユニットを有し、該制御ユニットは、予設定されたエネルギー需要に依存して、個別の又は複数のデイーゼル電気システムをオンオフに操作するように適合されている。船舶の船上でのエネルギー需要は、異なる時点において、その時々のエネルギー需要に依存して、時に大きく変動する。エネルギー需要を状況に適合して変動させることができなかったら、比較的大きな予備のエネルギーをいつも用意することが必要となり、その結果として、燃料の消費が増大する。この背景から、制御ユニットを設けると有利となる。この制御ユニットは、エネルギー需要を監視し、状況に適合して、他のデイーゼル電気システムをオンに、また余分なデイーゼル電気システムをオフに、それぞれ制御し、常に最適な(デイーゼル電気システムによる)エネルギー需要とエネルギー消費とが保障されるようにする。
【0021】
制御ユニットは、好ましくは、各デイーゼル電気システムの作動時間数を検知するようにされる。あるデイーゼル電気システムの作動時間数は、保守時間の間隔を定めたり、デイーゼル電気システムが保守を必要とするか否かを確かめたりする上の、重要な特徴量である。制御ユニットは、好ましくは、デイーゼル電気システムの作動時間数が保守の必要性を示す臨界値に到達した場合、そのデイーゼル電気システムをオンに操作しないようにされている。制御ユニットは、そうしたデイーゼル電気システムに代って、残りのデイーゼル電気システムの中から、どのデイーゼル電気システムをオンに操作すべきかを選定するようにされている。
【0022】
特に好ましくは、制御ユニットは、個別のデイーゼル電気システムのオンオフ操作の選択を、各々の検知された作動時間数に依存して、好ましくはそれぞれ一様な、作動時間数の差異が、各デイーゼル電気システムの間に保たれているように行う。デイーゼル電気システムは、できるだけ一様に利用するのでなく、デイーゼル電気システムの利用の意図的な「一様でない分布」が保たれるようにすると特に有利なことが判明している。これは次の理由による。船舶内の全てのデイーゼル電気システムが一様に負荷された場合、ある特定の等時間の後に、それらのデイーゼル電気システムは、臨界の作動時間数に到達し、等時間の後に、全て保守を必要とするようになろう。そのため、ある近似した期間の後、全てのデイーゼル電気システムは、保守を必要とするようになる。そのため、保守期間中は、エネルギー供給はなされず、船舶は使用できない。そうでなく、1個だけのデイーゼル電気システムが保守時点に到達し、他のデイーゼル電気システムは未だ到達していなければ、交換を必要とするのは、この1個のデイーゼル電気システムだけである。この1個のデイーゼル電気システム抜きの船舶の操作は他のデイーゼル電気システムのみによっても可能であり、更に、この1個のデイーゼル電気システムの交換は、最小の時間で行え、船舶の操作ができなくなることはない。各デイーゼル電気システムの作動時間数の差異をずらせることによって、デイーゼル電気システムの保守時間の間隔と行うべき交換プロセスの時間とを僅かなコストで予設定しかつ予想することができる。またそれにより、例えば(n+x)個(nは船舶において作動位置に配されたデイーゼル電気システムの数である)のデイーゼル電気システムを、船舶又はエネルギー供給システムに割当てて、n個のデイーゼル電気システムを運転させる。残りのx個のデイーゼル電気システムは、n個のデイーゼル電気システムが船舶上において使用されている間、外部で保守され、また交換のために取っておかれる。
【0023】
本発明の別の好ましい実施態様による船舶は、エネルギー供給システムにより供与される電気エネルギーにより回転可能な少なくとも1個のマグヌスロータを備えている。マグヌスロータは、マグヌス効果を利用するための、好ましくは、円筒状の回転体を備えている。マグヌス効果は、回転体に対して流れる流体の方向と直支する方向に駆動力を発生させる。
【0024】
また、エネルギー供給システムは、好ましくは、船舶のスクリュー及び(又は)1個以上のサイドスラスタを駆動するために、1個以上の電動機に給電するようにされている。これらの駆動システムのエネルギー需要は、船上ネットワークの他の電流需要よりも高いので、このように構成された船舶の場合、信頼性及び保守可能性が特に向上する。
【0025】
本発明の前記の目的を達成するための、前記の形式のエネルギー供給システムは、船舶の共通の(一つの)開口を経て取出すことの可能な、電気エネルギーを供与するための複数のデイーゼル電気システムを備えている。デイーゼル電気システムを取出すための共通の開口は、好ましくは蓋板により閉ざすことができ、デイーゼル電気システムの上方のデッキに貫通形成されている。このエネルギー供給システムにより、本発明による船舶に関連して前述した利点及び特徴がさらに改善される。エネルギー供給システムは、好ましくは、船舶のデイーゼル電気システムの作動時間数を検知するためのユニットと、あるデイーゼル電気システムが所定の作動時間数に到達した時に保守の状況であることを確認するためのユニットとを備えている。これらのユニットは、アナログ又はデジタルの機器を有していてよく、それに対応して、アナログ又はデジタルの表示手段を備えることができる。
【0026】
制御ユニットは、好ましくは、エネルギー需要を予設定(Vorgeben)する手段、及び(又は)該予設定されたエネルギー需要に依存して必要な船舶のデイーゼル電気システムの数を規定する手段、及び(又は)該予設定されたエネルギー需要にとって必要なデイーゼル電気システムの所定数、及び(もしくは)それぞれ検知される作動時間に依存して、好ましくはそれぞれ一様な作動時間数の差異が各デイーゼル電気システムの間に保たれるように、1個以上のデイーゼル電気システムのオンオフ操作を行わせるオンオフ操作手段、を備えている。オンオフ操作は、手動による選択に依存して行うようにしてもよい。エネルギー需要を予設定する手段は、好ましくは、船上ネットワークの実際のエネルギー需要を常時照会し、そのエネルギー需要を表す信号値を初期信号値として設定するようにされている。デイーゼル電気システムの数を規定するユニットは、好ましくは、予設定されたエネルギー需要に基いてデイーゼル電気システムの所要数を確認するようにされている。特に好ましくは、デイーゼル電気システムは、その時々で最適な過負荷にも負荷不足にもならない範囲の、仕事出力を供与するように選定される。オンオフ操作ユニットは、前記各ユニットに依存して、対応のデイーゼル電気システムをオンオフ操作するようにされている。既に保守の必要なことを示す作動時間数に到達するか又は超過したデイーゼル電気システムは、オンオフ操作ユニットによってオン操作されず、オフ操作される。オンオフ操作ユニットは、好ましくは、それぞれのデイーゼル電気システムの作動時間数のある予設定された差異を再構成すべき場合には、あるデイーゼル電気システムはオフに設定し、また別のデイーゼル電気システムはオンに設定するようにされている。これは、例えば、好ましくは、予設定されるエネルギー需要の入力量のような変動する入力量に依存せずに行う。
【0027】
本発明の前記の目的は、また、船舶のエネルギー供給システムの作動時間数を検知し、1個のデイーゼル電気システムがある設定された作動時間数に到達した時に保守状況になったことを確認する各工程から成る方法によって達成される。
【0028】
本発明による方法は、さらに下記の1個以上の工程によって再構成される。即ち、エネルギー需要を検出し、そして(又は)予設定し、該予設定されたエネルギー需要にとって必要なデイーゼル電気システムの数を規定し、該予設定されたエネルギー需要に対して必要となるデイーゼル電気システムの数、及び(もしくは)それぞれの検知された作動時間に依存して、好ましくはそれぞれ一様な作動時間数の差異が、各デイーゼル電気システムの間に保たれるように、1個以上のデイーゼル電気システムのオンオフ操作を行い、或いはまた、手動による選択に依存して、1個以上のデイーゼル電気システムのオンオフ操作を行う。
【図面の簡単な説明】
【0029】
次に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施態様について詳細に説明する。
【0030】
【
図2】
図2は、
図1に示した本発明による船舶の略上面図である。
【
図4】
図4は、
図1による船舶のエネルギー供給システムを示す説明図である。
【
図5】
図5は、本発明のエネルギー供給システムの制御ユニットを示す説明図である。
【実施例】
【0031】
図1は、第1の実施例による船舶1を示す略図である。船舶1は、水面下の部分16及び水面上の部分17から成る船体を備えている。また船舶1は、例えばマグヌス(Magnus)ロータないしフレットナー(Flettner)ロータ15を有し、これらは、船体の4隅の部分に配することができる。船舶1は、その前方部分にブリッジ30を備えている。船舶1は、水面下にスクリュー50を備えている。また船舶1は、操縦を容易にするためのサイドスラスタ(Querstrahlrudder)も備えていてよく、好ましくは、船尾側に1個、船首側に1ないし2個のサイドスラスタが設けられる。これらのサイドスラスタは、好ましくは電気的に駆動される。ブリッジ30及びウエザーデッキ14上の全ての上部構造物は、風の抵抗を少なくするための空気力学的形状を備えている。これは、特に、先のとがった角部又は上部構造物をできるだけ避けることによって達せられる。風の抵抗を最小にするために、上部構造物はできるだけ少数とする。
【0032】
第1の実施例による船舶1は、特に、風力エネルギー装置及びその構造部分を搬送するようにされた貨物船である。風力エネルギー装置及びその対応する構造部分の搬送は、商業的なコンテナ船では、非常に限定的にしか達成できない。それは、風力エネルギー装置の構造部分が、商業的なコンテナ船の大きさに対応しないスペース需要を対応して占有し、個別の構造部分の重さは、そのスペース需要に比べて小さいためである。その例は、風力エネルギー装置のロータブレード及びナセル(ないしゴンドラ Gondel)ケーシング被覆であり、これらは、数トンの重量で容積の嵩張るGFK(ガラスファイバ強化プラスチック GRP)上部構造物として形成される。
【0033】
ここで、例えば4個のマグヌスロータ10は、本発明による船舶1の、風力駆動される駆動装置を成している。船舶1は、基本的に、これらのマグヌスロータによって駆動され、プロペラーないしは主駆動装置は、単に、風力条件が十分でない場合の補完用に用いられる。
【0034】
船舶1の船体の形状は、船尾の部分が水面からできるだけ多く(高く)突出するように規定される。これは、水面上に浮上っている水面上の船尾部分の高さと船尾部分の断面の横幅とを意味する。この形状により、水が船体から早期に離されるため、船舶1の後方において発生する、船体に対する大きな抗力となる波を避けることができる。それはまた、船舶によって引起される波は、もはや推進には役立たない機械的な出力によっても作り出されるためである。
【0035】
船舶1の船首は、比較的大きな長さにわたってシャープなとがった形状とされている。水面下の船体部分は、構造上の喫水線13の上方約3mにわたって、水力学的見地から抵抗が最少となるような形状とされている。即ち、船舶1の船体は、最大の搬送能力ではなく(空気力学的並びに水力学的に)最少の抵抗を目途として設計されている。
【0036】
船舶1の各上部構造物は、流体力学的に最適に構成されている。これは特に、全ての面が平滑な面となるようにすることによって達せられる。特に、ブリッジ30及び船舶1の各上部構造物のこの形状により、後渦流(Nachlaufwirbel)の生成が避けられるため、マグヌスロータの制御ができるだけ乱されないようにすることができる。ブリッジ30は船舶1の船首に配することが好ましい。上部構造物を船舶1の中央部に配してもよいが、その場合、上部構造物が船倉の中央部から先に配されるため、積荷を積込したり荷卸したりする作業が不必要に妨げられる。
【0037】
ブリッジ30は、船舶1の船尾に配してもよいが、その場合マグヌスロータの前方からの十分な視野が得られなくなるため、不具合となる。
【0038】
船舶1の駆動ないし推進は、風力駆動に対して最適化されているので、本発明による船舶1は帆船である。
【0039】
マグヌスロータは船倉の4隅部に配し得るため、4角形の面を形成し得る。しかしそれ以外の形状としてもよい。マグヌスロータの配置は、マグヌスロータによる所望の駆動出力を得るにはある定められたロータ面が必要となるというコンセプトに基いている。この必要な面を全部で4個のマグヌスロータに割当てることによって、個別のマグヌスロータの寸法が小さくなる。マグヌスロータをこのように配することによって、可能な最大の一連のフリーな表面が生じ、このフリーな表面によって特に船舶1の積荷の積込及び荷卸し並びに多くのコンテナ貨物のようなデッキ上の積荷の載置が可能となる。
【0040】
マグヌスロータおよび主駆動装置は、風力が十分でない場合に、マグヌスロータによって提供できない出力の差分のみを主駆動装置が供与するように構成されている。従って、マグヌスロータ10が最大の出力又はほぼ最大の出力を生成させるように、駆動装置が制御される。そのため、マグヌスロータ10の出力が増大すると、直接に、燃料の節減がもたらされる。それは、主駆動装置による電気的な駆動のために補助的なエネルギーを発生させずともよいからである。そのため、内燃機関によって駆動されるプロペラーないし主駆動装置とマグヌスロータの制御の間の適合ないし調整を必要とせずに、燃料が節減される。
【0041】
図1に示した船舶1は、前方船体部分3のところの、船倉7の下方に、複数の機関室5を備えている。
図1にはその内1つが、部分的な切欠きにより示されている。各機関室中には、それぞれ複数のデイーゼル電気システムが配され、これらのデイーゼル電気システムは全体として、1つのエネルギー供給システム6に所属されている。
【0042】
図2には、船舶1のエネルギー供給システム6がより詳細に図示されている。
図2は、船舶1の上方から見た略断面図であり、船倉7をよく見ることができる。船倉7の、前方船体部分3のところに、3個の開口9が形成されている。開口9の下方には複数のデイーゼル電気システム11があり、これらは
図2では破線で図示されている。3個のデイーゼル電気システム11が1個の開口9に所属(割当て)され、各開口9は、それぞれ1つの独自のスペース内に配されている。これらの全てのデイーゼル電気システム11は、エネルギー供給システム6の構成部分である。
【0043】
図3は、機関室として形成された、船倉7の下方のスペース5を示す略側断面図である。船倉7とその下方のスペース5とは、デッキ8によって隔てられている。デッキ8に開口9が形成されている。開口9は、デッキ8を貫通して形成され、覆い22により閉ざされている。
【0044】
スペース5中には、複数のデイーゼル電気システム11が配され、
図3には、その内1個のデイーゼル電気システムのみが図示されている。デイーゼル電気システムは、(図示しない)固定エレメントによって、作動位置12に拘束されている。デイーゼル電気システム11の下方には、移動手段として用いられる複数のレール23が配されている。デイーゼル電気システム11とレール23との間には、床板21が配され、これらの床板は、レール23による有害な影響なくスペース5にはいることを可能とする。デイーゼル電気システム11の上面には、ワイヤ、チェーン、フックなどの力伝達手段を取付けるための複数の突起27が設けられている。
【0045】
船舶は、ここでは、4個のマグヌスロータを備えているが、マグヌスロータの数又は構成は、上記のものと異ならせてもよく、また駆動装置の区分も、上記のものと異ならせてよい。
【0046】
デイーゼル電気システムの交換について、
図3を参照して以下に説明する。デイーゼル電気システム11が、保守の必要なことを示す作動時間数に到達したと判定された場合、デイーゼル電気システム11は、交換の準備のために、その作動位置12から、取付け―取外し位置17に移動される。そのために、発電機11の移動の邪魔になる床板21をまず取りのけるか、側方に寄せる。デイーゼル電気システム11を、走行部分25においてレール23と接触させる。これは例えば滑車(図示しない)を用いてデイーゼル電気システム11を上下させることによって行う。
【0047】
デイーゼル電気システム11が、何らかの固定手段から解放されレール23と接触したら、デイーゼル電気システム11は、作動位置12から取付け―取外し位置17に向って、矢印19の方向に移動される。これら全ては、船舶が港に到達する前に準備され実行される。港に到達した後は、クレーン31によって開口9から覆い22を取出すだけでよい。クレーン31は、固定手段29のところに配されたクレーンフック39を、この目的のために備えている。固定手段29は、引張りワイヤ、引上げワイヤ、チェーンなどでよい。クレーン31は、引索33を介して開口9を経て矢印35の方向に下行させる。取付け―取外し位置17にあるデイーゼル電気システム11は、次に、突起27を介して力伝達手段29と結合され、同様に矢印35の方向にクレーン31を介し上行される。デイーゼル電気システム11をクレーンによって船倉7の内部に運び、そこから公知の走行車によって移動させたり、デイーゼル電気システム11全体を直接クレーン31によって舷側から引上げたりしてもよい。必要ならば、次に、同一で方向が逆の経路に従って、保守の終わったデイーゼル電気システムを船舶1の内部に運び入れ、取付け―取外し位置から作動位置12に移動させてもよい。交換作業全体には、1時間より短い時間しか必要ではない。
【0048】
複数のデイーゼル電気システム11の交換が必要ならば、上記の操作を反復実施すればよい。
【0049】
図4には、本発明によるエネルギー供給システム6を船舶に組み込む手順が系統的に図示されている。エネルギー供給システム6は、デイーゼル電気システムのアセンブリ(ないし系装置 Anordnung)6’を備えている。エネルギー供給システム6は、3個ずつの発電機11を1群として、全部で9個の新しい発電機11を備えている。デイーゼル電気システムアセンブリ6’は、1つ以上のデータ接続線41を介して制御ユニット43に結合されている。制御ユニット43は、デイーゼル電気システムアセンブリ6’と、また必要ならば、デイーゼル電気システムアセンブリ6’の内部の個別の発電機11と通信する。また制御ユニット43は、船上ネットワーク45とも通信する。船上ネットワーク45は、船舶への電気エネルギーの供給の全体、特に、船舶への電気駆動47、複数のマグヌスロータ49の駆動、並びに、全般的な電子装置51へのエネルギーの需要を担当する。
【0050】
図5は、制御ユニット6の構成要素のブロック図である。制御ユニット6は、デイーゼル電気システムアセンブリ6’、駆動時間数検知ユニット53(BEE),保守確認ユニット55(WFE)、エネルギー予設定ユニット(EVE)57、システム規定ユニット59(SBE)及びオンオフ操作ユニット61(SE)を備えている。
【0051】
船舶ないしエネルギー供給システム6の操作時において、BEE53は、デイーゼル電気システムアセンブリ6’の各デイーゼル電気システムの作動時間数の状態を常時又は規則的間隔で監視している。デイーゼル電気システムアセンブリ6’の1つのデイーゼル電気システムにおいて作動時間数の臨界値に到達すると、BEE53は、対応の情報をWFE55に送信する。WFE55は、対応するデイーゼル電気システムの保守が必要なことを示すアラーム信号を生成するようにされている。WFE55は、その信号を光により、又は音響により、又はアナログもしくはデジタルのデータ伝送の形で送出するようにされている。別の方法として、BEE53は、作動時間数の状態をWFE55に送信してもよい。WFE55は、1つまたは複数のデイーゼル電気システムにおいて作動時間数の臨界値に到達すると、当該デイーゼル電気システムの保守の必要なことを確認し、アラーム信号を生成する。
【0052】
EVE57は、規則的な間隔で、好ましくは常時、船上ネットワーク45のエネルギー需要を監視している。EVE57は、船上ネットワーク45のエネルギー需要の値を直接に、又は、該エネルギー需要を表す信号に変換した後に、SBE59に転送する。SBE59は、各デイーゼル電気システムアセンブリ6’又はBEE53から、既に作動状態になっている各デイーゼル電気システムの状態を受信する。またSBE59は、各デイーゼル電気システムが臨界の作動時間数に到達したかどうか、到達した場合には、どのデイーゼル電気システムが臨界の作動時間数に到達したか、の情報を、BEE53から受信する。SBE59は、各作動状態にあるデイーゼル電気システムの数に対応する、使用に供されている出力と、EVE57から通報された船上ネットワーク45の必要なエネルギーとを比較し、その比較に基いて、より多くのエネルギー、より少ないエネルギー又はその時において十分なエネルギー、が船上ネットワークに供されるべきか、又は既に供されているか、を判定する。エネルギー供給システム6から船上ネットワーク45に過大なエネルギーが供給されていたら、SBE59は、デイーゼル電気システムアセンブリ6’の内いくつの、そしてどのデイーゼル電気システムをオフにするかを選択する。この場合SBE59は、作動状態に基いて、特にどのデイーゼル電気システムをオフにするのが好ましいかを特に勘案する。
【0053】
エネルギー供給システム6から船上ネットワーク45に供されるエネルギーが少な過ぎる場合には、SBE59は、不足している出力を供与するために、いくつの、そしてどのデイーゼル電気システムをオンにするかを選択する。またSBE59は、どのデイーゼル電気システムが、その現在の作動状態に基いて、好ましくはオンにされ、そして(又は)好ましくはオフのままにされるかを勘案する。この選択の結果は、SBE59からSE61に通報される。この選択に基いて、SE61は、対応のデイーゼル電気システムのオンオフを切換える。SE61は、所定のデイーゼル電気システムのオンオフを手動で操作してもよい。
【0054】
本発明に従ってなされる船舶の保守は、次の各工程によって行われる:
共通の開口の開放、
共通の開口からの1個以上のデイーゼル電気システムの取出し。
【0055】
次の各工程によって、保守がさらに行われる:
1個以上のデイーゼル電気システムの固定を解除する、
1個以上のデイーゼル電気システムを作動位置から取付け―取外し位置に移動させる、
共通の開口を経てクレーンフックを導入する、
1個以上のデイーゼル電気システムをクレーンフックに固定する、
その1個以上のデイーゼル電気システムを船舶の内部から取出す、
1個以上のデイーゼル電気システムを取付け―取外し位置において船舶の内部に導く、
クレーンフックを解放して船舶の内部から取出す、
その1個以上のデイーゼル電気システムを作動位置に移動させる、
その1個以上のデイーゼル電気システムを固定する、
共通の開口を閉ざす。
デイーゼル電気システムの固定の解除と移動並びにデイーゼル電気システムの固定と取付け位置から作動位置への移動は、船舶の航行中にできてしまうので、保守時間並びに停泊時間が最少になる。
【符号の説明】
【0056】
1 船舶
6 エネルギー供給システム
6’ デイーゼル電気システムアセンブリ(ないし系装置 Anordnung)
9 開口
10 マグヌス(Magnus)ロータ
11 デイーゼル電気システム
17 取付け―取外し位置
21 床板
23 レール
31 船舶クレーン
43 制御ユニット
50 スクリュー
53、55、57、59 ユニット
61 オンオフ操作ユニット