特許第5963753号(P5963753)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5963753成形接着剤を接着対象部品に取り付ける方法およびそのための接着工具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963753
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】成形接着剤を接着対象部品に取り付ける方法およびそのための接着工具
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/04 20060101AFI20160721BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   B23P19/04 Z
   C09J5/00
【請求項の数】22
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-528780(P2013-528780)
(86)(22)【出願日】2011年9月15日
(65)【公表番号】特表2013-544657(P2013-544657A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】IB2011002148
(87)【国際公開番号】WO2012035415
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2014年8月1日
(31)【優先権主張番号】12/885,448
(32)【優先日】2010年9月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507283816
【氏名又は名称】ア レイモン エ シー
【氏名又は名称原語表記】A. RAYMOND ET CIE
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100133008
【弁理士】
【氏名又は名称】谷光 正晴
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ヘンゼル
(72)【発明者】
【氏名】エルベール ル パビック
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック ロール
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ ダブリオ
【審査官】 谷治 和文
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−511059(JP,A)
【文献】 特開平06−286029(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0024976(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/04
C09J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤要素を、接着対象部品に取り付けるための接着工具であって、
未加熱接着対象部品を受け入れるためのローディングステーションモジュールであって、前記ローディングステーションモジュールは、前記未加熱接着対象部品を受け入れて且つ一時的に保持するための受入れ部と、前記受入れ部と連続しているフィンガーノッチと、前記受入れ部と連続している接着対象部品チャネルと、を含み、前記受入れ部は、前記未加熱接着対象部品を保持するための磁石を含む、ローディングステーションモジュールと、
前記未加熱接着対象部品を受け入れ、且つ加熱するためのオーブンモジュールと、
前記接着剤要素の前記加熱済み接着対象部品への取り付けのための接着剤ピックアップステーションモジュールと、
前記接着対象部品を、前記ローディングステーションモジュールから前記オーブンモジュール内に、そして前記オーブンモジュールを通過して、前記接着剤ピックアップステーションモジュールまで選択的、且つ連続的に進めるための部品スライドモジュールと、
ベースプレートであって、前記ローディングステーションモジュールと、前記オーブンモジュールと、前記接着剤ピックアップステーションモジュールと、前記部品スライドモジュールが装着されているベースプレートと、を備えることを特徴とする接着工具。
【請求項2】
前記オーブンモジュールは、内部に形成されている接着対象部品チャネルを有する加熱ブロックを含むことを特徴とする請求項1に記載の接着工具。
【請求項3】
前記加熱ブロックは、少なくとも1つの加熱要素を含むことを特徴とする請求項に記載の接着工具。
【請求項4】
前記オーブンモジュールは、オーブンモジュールカバーを含むことを特徴とする請求項に記載の接着工具。
【請求項5】
前記接着剤ピックアップステーションモジュールは、前記ベースプレートに取り付けられている固定ピックアップステーションベースを含むことを特徴とする請求項1に記載の接着工具。
【請求項6】
前記固定ピックアップステーションベースに可動に取り付けられている可動ピックアップステーションベースを更に含むことを特徴とする請求項に記載の接着工具。
【請求項7】
前記可動ピックアップステーションベースに外すことが可能なように取り付けられているタブレットマガジンを更に含むことを特徴とする請求項に記載の接着工具。
【請求項8】
前記タブレットマガジンは、取換え可能接着剤タブレットカートリッジを含むことを特徴とする請求項に記載の接着工具。
【請求項9】
前記取換え可能接着剤カートリッジは、往復動ピストンと、前記往復動ピストンに取り付けられている付勢要素と、を含むことを特徴とする請求項に記載の接着工具。
【請求項10】
内部に形成されているタブレット保持孔を有する可動接着剤タブレットスライドを更に含むことを特徴とする請求項に記載の接着工具。
【請求項11】
前記部品スライドモジュールは、前記ベースプレートに取り付けられているガイドベースと、前記ガイドベースに取り付けられているガイドレールと、前記ガイドレールに可動に取り付けられている往復動体と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の接着工具。
【請求項12】
フラップカム制御装置とフラップベースと、を更に含み、
前記フラップカム制御装置は、前記フラップベース上に回転可能に搭載されていることを特徴とする請求項11に記載の接着工具。
【請求項13】
前記未加熱で接着剤要素が付着されていない接着対象部品を、前記ローディングステーションから前記オーブンモジュール内に移動するための第1転送フィンガーアセンブリを更に含むことを特徴とする請求項12に記載の接着工具。
【請求項14】
前記加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品を、前記オーブンモジュールから前記接着剤ピックアップステーションモジュールへ移動するための第2転送フィンガーアセンブリを更に含むことを特徴とする請求項13に記載の接着工具。
【請求項15】
前記第2転送フィンガーアセンブリは、往復動フィンガー支持体に取り付けられている温部品転送フィンガーを含み、前記往復動フィンガー支持体は、前記支持体から延伸し、前記フラップカム制御装置に接触するためのガイドピンを有しており、
前記ガイドレールは長軸を有しており、
前記往復動フィンガー支持体は、前記ガイドレールの前記長軸を横切る方向に可動であることを特徴とする請求項14に記載の接着工具。
【請求項16】
複数の取外し可能な保護カバーを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の接着工具。
【請求項17】
前記固定ピックアップステーションベースに可動に装着されているタブレットスタンプと、前記タブレットスタンプの微調整のための調整ネジと、を更に含むことを特徴とする請求項に記載の接着工具。
【請求項18】
接着剤要素を接着対象部品に取り付ける方法であって、
未加熱接着対象部品を受け入れるためのローディングステーションモジュールと、前記未加熱接着対象部品を受け入れ、且つ加熱するためのオーブンモジュールと、前記接着剤要素の前記加熱済み接着対象部品への取付けのための接着剤ピックアップステーションモジュールと、前記接着対象部品を、連続的に前記ローディングステーションモジュールから、前記オーブンモジュール内へ、および前記オーブンモジュールを通して進め、同時に、前記接着剤ピックアップステーションモジュールへ進める、部品スライドモジュールと、前記ローディングステーションモジュール、前記オーブンモジュール、前記接着剤ピックアップステーションモジュール、接着剤要素カートリッジを有している前記ピックアップステーション、および前記部品スライドモジュールが装着されているベースプレートと、を有している接着工具を形成することと、
接着剤要素を、前記接着剤ピックアップステーションモジュールの前記接着剤要素カートリッジ上に置くことと、
未加熱で接着剤要素が付着されていない接着対象部品を、前記ローディングステーションモジュールの上に置くことと、
前記未加熱接着対象部品を、前記ローディングステーションモジュールから前記オーブンモジュール内に加熱のために移動することと、
前記加熱済み接着対象部品を、前記オーブンモジュールから前記接着剤ピックアップステーションモジュールに移動することと、
前記加熱済み接着対象部品と前記接着剤要素を取り付けるために取付け器を使用することと、を備えることを特徴とする方法。
【請求項19】
前記接着工具は更に往復動ピストンを含み、
前記接着剤ピックアップステーションモジュールは、接着剤タブレットカートリッジと透明窓を含み、前記往復動ピストンの少なくとも一部分は、前記接着剤タブレットカートリッジが空のときは、前記透明窓を通して見ることができることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記接着剤ピックアップステーションモジュールは更に可動接着剤タブレットスライドを含み、
前記可動接着剤タブレットスライドは、前記往復動ピストンが前記透明窓を通して見えるときは、動きに対してロックされることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記接着工具は更に、第1色から第2色へ変化して工具の状態の変化を示す少なくとも1つの表示灯を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの表示灯は、それぞれが第1色から第2色へ変化可能な3つの表示灯を備え、
前記可動接着剤タブレットスライドは、すべての表示灯が、予め選択された色になったときのみスライドが可能であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される発明は全体的に、接着剤を使用してガラス表面または他の基材に取付け可能な接着対象部品の準備に関する。より特別には、開示される発明は、構造ポリウレタン、エポキシ、または接着剤用の他の基本物質のような成形接着剤であって、粉末から接着剤タブレットに押圧された成形接着剤を、金属、ガラス、セラミック、プラスチック、木、および複合物を含むいくつかの材料のいずれか1つから製造された接着対象部品に取り付けて、金属、セラミック、プラスチック、木、および複合物のような材料から製造された他の基材への取付けを行うための、自動または手動操作される接着工具に関する。
【背景技術】
【0002】
多様な取付け施工の中のいずれかに対する、第1構成要素の第2構成要素への取付けは、機械的または化学的締結を含む、幾つかの知られている締結方法のいずれかにより行うことができる。機械的締結は、効果的で信頼性がある場合が多いが、すべての取付け施工に対して常に使用可能であるわけではない。例えば、第1構成要素を第2構成要素に取り付ける際に、機械的取付けのために第2構成要素に孔を開ける、または第2構成要素を変形させることが望ましくない、あるいは現実的でない場合は、化学的締結が唯一の他の選択肢である。これは、例えば、構成要素がガラス表面、または他の基材(第2構成要素)に取り付けられる場合である。構成要素のガラスへの接着の組合わせの例は、リヤミラーまたは金属蝶番をガラス表面に取り付ける必要がある自動車産業において見られる。構成要素のガラスへの接着の組合せの必要性のある他の例は、家庭やオフィスのような構成において存在する。
【0003】
接着課題に対するソリューションは、取り付けられる部分(接着対象部品)と、接着対象部品が取り付けられる基材の間に塗布される接着剤の形状で導入された。接着剤は、いろいろな方法で塗布されてきた。1つの知られているアプローチによれば、接着剤は、ノズルを使用して適量に分けられ、接着剤を接着対象部品上に噴霧することにより塗布される。この工程は容易で、しばしば安価であるが、実際のそれぞれの部品に対する噴霧において、所望のレベルの一貫性を維持するために頻繁にノズルを清掃する必要性があるという弊害がある。また、噴霧された接着剤はくっ付き易く、接着対象部品が、接着剤の噴霧と、接着対象部品の基材への実際の取付けの間に、他の物体と接触するという可能性が出てくる。
【0004】
他の知られているアプローチによれば、両面テープが接着対象部品に貼られる。このアプローチによれば、剥離層がテープの片側から取り除かれて、テープが接着対象部品に貼られる。剥離層は、接着剤が不用意に表面に付いてしまうことを防止するが、これはまた、剥離層を取付けの前に取り除かなければならないという不便な工程を、接着対象部品の基材への取付け工程に加えることにもなる。また、この剥離層が破れて、層の一部が接着表面上に残され、接着対象部品の基材への不完全な接着という可能性を生み出してしまうこともある。
【0005】
更に、熱溶融ガンを使用して接着剤(棒状接着剤の形状)を溶融し、接着対象部品への接着を行ったこともあった。熱溶融ガンの使用は相対的に容易であるが、非構造接着剤しか使用できず、そのため、このアプローチには限界がある。
【0006】
より魅力的な方法は、接着対象部品に、エンドユーザへの出荷の前に、定位置に予めタブレットのような成形接着剤要素を設けて置くことである。この組合せは、エンドユーザが接着剤タブレット接着対象部品に取り付ける必要がなく、すぐに接着できるということになるので魅力的である。しかし、よくあることであるが、エンドユーザがタブレットを自分の設備において、自分の予定と組合せに従って取り付けたいと所望することもある。そのような場合は、予め接着対象部品に装着されている接着剤タブレットのような、事前取付け接着剤の概念は、最適な選択でないこともあり得る。ユーザが、自分の設備において接着対象部品に接着剤を取り付けたいと所望する場合には、現場の接着機械を使用することができる。しかし、知られている接着機械は操作が複雑で、自身で所有して維持するには高価であり、そのような所有は、大量の部品を有するユーザにのみ可能であることがしばしばである。
【0007】
従って、締め具技術の多くの分野と同様に、接着剤を接着対象部品に接着するための、実用的で、使用が容易で、相対的に安価な工具用の部品接着の技術においても改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
開示される発明は、実用的で、相対的に簡単で、費用効果の高い方法で、成形接着剤要素を接着対象部品に取り付けるための接着工具を提供する。開示される発明の接着工具は、例えば、空気圧または電気的自動化により全体を自動化してもよく、また、完全に自動操作にしてもよく、または自動化と手動操作の組み合わせにしてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示される発明の接着工具は、接着剤要素が付着されていない接着対象部品がロードされるローディングモジュールと、接着剤要素が付着されていない接着対象部品が加熱されるオーブンモジュールと、接着剤が加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品に取り付けられる接着剤ピックアップステーションモジュールと、接着剤要素が付着されていない接着対象部品を、ローディングモジュールからオーブンモジュールを通して接着剤ピックアップステーションモジュールに連続的に進める部品転送モジュールと、を含む。接着対象部品は、手動で、または自動で、または両者の組み合わせによりシステムを通して進められ、または供給されてもよい。モジュールは、ベースプレート上に搭載されている。随意的に、しかし望ましくは、モジュールは、有利なように設置されたカバーセクションにより保護される。
【0010】
ローディングモジュールは、ベースブロックと支持ブロックを有する本体を含んでいる。支持ブロックは、その上部に形成されている、接着剤要素が付着されていない接着対象部品保持間隙と、隣接するフィンガーノッチを含んでいる。加熱シールドは、オーブンモジュールに隣接するローディングモジュールの側面に取り付けられている。接着剤要素が付着されていない接着対象部品は、最初は、接着剤要素が付着されていない接着対象部品保持間隙に位置している。
【0011】
オーブンモジュールは、ローディングモジュールの隣に位置している。オーブンモジュールは、未加熱で接着剤要素が付着されていない接着対象部品をローディングモジュールから受け入れる。オーブンモジュールは、細長い加熱ブロックと、加熱ブロックのほぼ上方に位置しているヒートカバーを含んでいる。接着対象部品ガイドは、細長い加熱ブロックの長さに沿って形成されている。複数の接着剤要素が付着されていない接着対象部品を、一度に接着対象部品ガイドに位置させることができ、それにより未加熱の、入ってくる、接着剤要素が付着されていない接着対象部品を、オーブンモジュールを出る前に適切な温度まで加熱することが可能になる。
【0012】
部品転送モジュールは、ベースプレート上のガイドレールに固定されているガイドレールに摺動可能に取り付けられている往復動体を含んでいる。転送フィンガーアセンブリは、往復動体に固定されている。ハンドルは往復動体の上面に固定されている。第1転送フィンガーアセンブリは、ローディングモジュールのフィンガーノッチをほぼ通して可動な、未加熱で接着剤要素が付着されていない接着対象部品をローディングモジュールからオーブンモジュール内へ進めるための転送フィンガーを含んでいる。部品転送モジュールは更に、可動に転送フィンガーアセンブリに取り付けられている第2転送フィンガーを含んでいる。ガイドベースに固定されているフラップベースに回転可能に取り付けられている可動フラップに沿う動きにより、第2転送フィンガーは、加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品の接触位置と、押圧位置と、非接触位置の間で選択的に移動される。
【0013】
接着剤ピックアップステーションモジュールは、オーブンモジュールの隣に位置している。接着剤ピックアップステーションモジュールは、オーブンモジュールから加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品を受け入れる。接着剤ピックアップステーションモジュールは、典型的には接着剤タブレットの形状の成形接着剤要素を受け入れ、保持し、そして供給するためのカートリッジを含んでいる。接着剤ピックアップステーションモジュールはまた、スライドとスタンプ要素も含んでいる。スライドは、単一の接着剤タブレットを、カートリッジから、スタンプ要素上方の位置へ進める。その後、加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品は、接着剤タブレットの上方に進められる。タブレットは、手動で、または自動で、または両者の組み合わせによりシステムを通して進められ、または供給されてもよい。
【0014】
携帯型取付け器は、接着剤要素が付着されていない接着対象部品の上方に位置して、接着剤タブレットに押接され、スタンプ要素が、接着剤タブレットと接着対象部品の組み合わされた前進運動を終了するまで移動される。接着対象部品(および現時点では取り付けられている接着剤要素)は、取付け器により、選択された基材への取付けのための位置に移動されるまで保持される。
【0015】
開示される発明は、より少数の接着対象部品を使用する、接着剤付き接着対象部品のユーザが直面している課題に対して、安価で効率的なソリューションを提供する。オーブンモジュールは、接着剤要素が付着されていない接着対象部品に対して一貫性のある加熱温度を与え、それにより、接着の一貫性がもたらされる。開示される方法によれば、連続接着サイクルが中断されても、接着剤要素が付着されていない接着対象部品が加熱されることはない。接着剤取付けに使用される接着剤要素が付着されていない接着対象部品(オーブンを出ていく部品)は常に、調整されたオーブン温度と同じ温度である。接着剤要素が付着されていない接着対象部品を加熱する先入れ先出し法もまた、部品温度の一貫性を提供する。
【0016】
本発明の他の利点および特徴は、付随する図面と、添付されている請求項と共に好適な実施の形態の詳細な記述を考慮して見れば明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明のより完璧な理解のため、付随する図面においてより詳細に例示され、本発明の例として下記に記載される実施の形態をここで参照する。
【0018】
図1】定位置にある全部の保護カバーと共に示されている、開示される本発明の接着工具の透視図である。
図2図1に類似しているが、取外し可能なローディングステーションモジュール保護カバーと、取外し可能な接着剤ピックアップステーションモジュール保護カバーがない接着工具を示している。
図3】第1側から見た、全部のカバーを取り外した状態の、開示される本発明の接着工具の透視図である。
図4】第2側から見た、全部のカバーを取り外した状態の、開示される本発明の接着工具の透視図である。
図5】ローディングステーションモジュールの透視図である。
図6】複数の接着剤要素が付着されていない接着対象部品がロードされているオーブンモジュールの加熱ブロックと、部品スライドモジュールの第2転送フィンガーの透視図である。
図7】開示される本発明の部品スライドモジュールの透視図である。
図8】第2転送フィンガーアセンブリとフラップカム制御装置の透視図であって、原点位置における第2転送フィンガーアセンブリを例示している図である。
図9図8に示されている位置から進められた位置における第2転送フィンガーアセンブリの平面図である。
図10図9に示されている位置から進められた位置における第2転送フィンガーアセンブリの透視図であって、接着剤ピックアップステーションモジュールに向かう動きが終了に近づいている。
図11】最初に原点位置に戻っている第2転送フィンガーアセンブリの平面図である。
図12図11に示されている位置から進められた位置における第2転送フィンガーアセンブリの透視図である。
図13図12に示されている位置から進められた位置における第2転送フィンガーアセンブリの平面図である。
図14図13に示されている位置から進められた位置における第2転送フィンガーアセンブリの透視図である。
図15】第2転送フィンガーアセンブリがほぼその原点位置に戻ったときの透視図である。
図16図15の配列体の平面図である。
図17】接着剤ピックアップステーションモジュールの断面図である。
図18図17の接着剤ピックアップステーションモジュールを例示しており、スライド内にロードされている接着剤タブレットを示している。
図19図17の接着剤ピックアップステーションモジュールを例示しており、加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品への取付けのための定位置にある接着剤タブレットを示している。
図20図17の接着剤ピックアップステーションモジュールを例示しており、接着剤タブレットの上方の位置における加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品を示している。
図21】取付けが予定されている加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品の上方の定位置における取付け器を例示している。
図22】加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品に接続されている取付け器を例示している。
図23】可動ピックアップステーションベースを、固定ピックアップステーションベースに対して押し付けている取付け器と加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品を例示しており、加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品とスタンプの間に捕捉された接着剤タブレットを示している。
図24】固定ピックアップステーションベースから遠ざけられた可動ピックアップステーションベースを例示している。
図25】接着剤ピックアップステーションモジュールから取り外された、取付け器と接着剤付き接着対象部品を例示している。
図26】往復動ピストンを、ロックされた取外し位置へ押しこむために、空のタブレットマガジン内へのピンの挿入を例示している。
図27】ロッキングピンにより定位置にロックされた往復動ピストンを例示している。
図28】接着剤ピックアップステーションモジュールの残りの部分から分離された空のタブレットマガジンを例示している。
図29】置換タブレットカートリッジを含むタブレットマガジンを例示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の図においては、同一の参照番号が、同一の構成要素を指し示すために使用される。以下の記載においては、種々の動作パラメータと構成要素が、異なる構成の実施の形態に対して記載される。これらの特定のパラメータと構成要素は、例として含まれるのであって、それに制限されるものではない。
【0020】
図1から4は、開示される本発明の接着工具の全体を示しており、その全体を10として例示している。例示されている接着工具10の形状と全体の外観は、単に例として示しており、上記のような本発明の精神と範囲を逸脱することなく、接着工具10が他の形状およびサイズを採用することを制限するものではないことを理解されたい。
【0021】
接着工具10は、随意的に、しかし好適には、例えば、取外し可能なローディングステーションモジュール保護カバー12と取外し可能な接着剤ピックアップステーションモジュール保護カバー14を含む1つまたは2つ以上の取外し可能な保護カバーを含む。保護カバー12と14は、接着工具10のある部品を、出荷および格納の間、ホコリ、汚れ、および損傷を与える可能性のある他の物から保護するために設けられている。接着工具10はまた、電気構成要素と制御要素を収納するためのベースカバー16と、搬送ハンドル20を有している主接着工具カバー18も含んでいる。取外し可能なローディングステーションモジュール保護カバー12と、取外し可能な接着剤ピックアップステーションモジュール保護カバー14は、図1と2に例示されているように、操作中に取り付けられた位置に通常は留まっている主接着工具カバー18に対して二次的である。
【0022】
接着剤要素が付着されていない接着対象部品を把持し、接着のために接着剤タブレットに対して押し付け、接着剤タブレットが固定された接着対象部品を取り外し、接着対象部品を選択された基材に取り付けるための取付け器24が設けられており、取付け器24は接着工具10の固定部品であっても、そうでなくてもよい。図1と2に例示されているように、取付け器24は取り外し可能なように接着工具10に挿入されている。取付け器24とその機能は、図21から25に関して後に検討される。
【0023】
図2に示されているように、使用中は、取外し可能なローディングステーションモジュール保護カバー12と、取外し可能な接着剤ピックアップステーションモジュール保護カバー14は、操作のために取り外されている。
【0024】
図3と4は、全部のカバー12、14、16、および18が取り外されている接着工具10を例示している。通常の操作状況においては、接着工具10はこのようには使用されない。カバー12と14は、上記のように操作のために取り外される。しかし、カバー16と18は、通常は操作中も定位置に留まっている。しかし、ここでの記述のために、図3と4においては、カバーは取り外されており、図3は接着工具10の第1側からの透視図を例示し、図4は、接着工具10の第2側からの透視図を例示している。
【0025】
接着工具10は、4つの基本的な操作モジュールを含んでいる。これらには、ローディングステーションモジュール30と、オーブンモジュール32と、部品スライドモジュール34と、接着剤ピックアップステーションモジュール36がある。モジュール30、32、34、および36のそれぞれは、下記に個々に検討される。モジュール30、32、34、および36は、直接または間接的にベースプレート38に取り付けられている。脚部40、40’、40’’、および40’’’はベースプレート38の下面に装着されている。
【0026】
ローディングステーションモジュール
ローディングステーションモジュール30は、図5に詳細に示されている。ローディングステーションモジュール30は、基本ブロック44に装着されている支持ブロック42を含んでいる。基本ブロック44はベースプレート38に取り付けられている。熱から保護するためのヒートシールド46は、オーブンモジュール32に面しているローディングステーションモジュール30の側面に装着されている。ヒートシールド46は、ローディングステーションモジュール30への熱の伝達を制限するために適切な任意の知られている材料から構成できる。
【0027】
支持ブロック42の上面には、接着剤要素が付着されていない接着対象部品のベース(図示されていない)を受け入れるための円形受入れ部48が形成されている。磁石49は、円形受入れ部48のベースに装着されている。フィンガーノッチ50もまた、接着剤要素が付着されていない接着対象部品チャネル52と同様に、支持ブロック42の上面に形成されている。接着剤要素が付着されていない接着対象部品チャネル52は、対向して間隔を空けて配置されている一対の上側フランジ54と54’を含んでいる。円形受入れ部48内で位置決めされた後、接着剤要素が付着されていない接着対象部品は、部品スライドモジュール34により、ローディングステーションモジュール30から押し出される。ローディングステーションモジュールから押し出されるときに、接着剤要素が付着されていない接着対象部品のベースは接着剤要素が付着されていない接着対象部品チャンネル52を通過して、オーブンモジュール32内に入る。上側フランジ54と54’は、接着剤要素が付着されていない接着対象部品のベースが、円形受入れ部48からオーブンモジュール32内へ移動するとき、チャンネル52から傾斜して外れることを防止する。
【0028】
オーブンモジュール
オーブンモジュール32は、図3と4に例示されている。これらの図には、オーブンモジュールカバー55が示されている。オーブンモジュール32の内部には、図6に例示されている加熱ブロック56がある。オーブンモジュールカバー55は、加熱ブロック56で生成された熱を保持する。
【0029】
図6を参照すると、加熱ブロック56は、基本ブロック60に装着されている支持ブロック58と58’を含んでいる。接着剤要素が付着されていない接着対象部品チャネル62は、支持ブロック58と基本ブロック60の間に形成されている。間隔を空けて配置されて対向している一対の上側部品ガイドフランジ64と64’は支持ブロック58である。加熱要素66と66’は、予め選択された一定量の熱を加熱ブロック56へ与える。
【0030】
接着剤要素が付着されていない接着対象部品チャネル62により、ローディングステーションモジュール30から受け入れた接着剤要素が付着されていない接着対象部品は、加熱ブロック56に沿って通過し、接着剤ピックアップステーションモジュール36まで移動する。この図に例示されているように、冷部品が左側から入り、温部品が右側から出て行く。複数の接着剤要素が付着されていない接着対象部品P1...P5が、接着剤要素が付着されていない接着対象部品チャネル62に沿ってそれぞれの場所に例示されている。上側部品ガイドフランジ64と64’は部品のチャネルを提供し、ローディングステーションモジュール30から接着剤ピックアップステーションモジュール36内への動きの間に接着剤要素が付着されていない接着対象部品P1...・・・P5のベースがチャネル62から傾いて外れることを防止する。操作を開始する前に、オーブンモジュール32を特定の量の部品で満たし、1つの冷部品がオーブンモジュール32内に入ると同時に、1つの温部品がオーブンモジュール32から出るようにする必要がある。
【0031】
接着剤要素が付着されていない接着対象部品P1...P5は、接着剤要素が付着されていない接着対象部品チャネル62に沿って移動され、加熱ブロック56に留まっている間に、予め選択された温度にまで加熱される。この例においては、加熱ブロック56のチャネル62内に押し込まれた接着剤要素が付着されていない第1接着対象部品(例示されている場合においては、接着剤要素が付着されていない接着対象部品P1)が最初にチャネル62から押し出されて、接着剤ピックアップステーションモジュール36内に入る。チャネル62の他端では、チャネル62内に押し込まれる最後の接着剤要素が付着されていない接着対象部品(例示されている場合においては、接着剤要素が付着されていない接着対象部品P5)が最後に、下記に部品スライドモジュールに関して記載される温部品転送フィンガー67により、チャネル62から押し出されて接着剤ピックアップステーションモジュール36内に入る。5つの接着剤要素が付着されていない接着対象部品が一列でチャネル62内に保持されるように例示されているが、より多い、または少ない数の接着剤要素が付着されていない接着対象部品をチャネル62に位置させてもよいということは理解されたい。
【0032】
部品スライドモジュール
ローディングステーションモジュール30からオーブンモジュール32を通って、接着剤ピックアップステーションモジュール36までの接着剤要素が付着されていない接着対象部品の動きは、部品スライドモジュール34の動作により達成される。部品スライドモジュール34は図7に例示されている。部品スライドモジュール34は、ベースプレート38に固定的に取り付けられているガイドベース68を含んでいる。ガイドベース68にはガイドレール70が固定されている。ガイドベース68の側面には、フラップカム制御装置72が、フラップベース74に回転可能に搭載されている。フラップベース74は、ガイドベース68に取り付けられている。
【0033】
往復動体76は、ガイドベース68のガイドレール70に摺動可能に取り付けられている。往復動体76は、第1転送フィンガーアセンブリ78と第2転送フィンガーアセンブリ80を含んでいる。第1転送フィンガーアセンブリ78は、1つの接着剤要素が付着されていない接着対象部品を隣接する接着剤要素が付着されていない接着対象部品に押し付けることにより、未加熱で接着剤要素が付着されていない接着対象部品をローディングステーションモジュール30からオーブンモジュール32内に移動し、そこを通過させる。第2転送フィンガーアセンブリ80は、加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品を、オーブンモジュール32から接着剤ピックアップステーションモジュール36へ移動する。
【0034】
第1転送フィンガーアセンブリ78は、冷部品転送フィンガー82を含んでいる。冷部品転送フィンガー82は、往復動的に、ローディングステーションモジュール30の支持ブロック42の上面のフィンガーノッチ50内に嵌入される。冷部品転送フィンガー82は、往復動体76から延伸しているアーム84の延長部である。
【0035】
第2転送フィンガーアセンブリ80は、往復動フィンガー支持体88に取り付けられている温部品転送フィンガー67を含んでいる。往復動フィンガー支持体88は、ガイドベース68のガイドレール70の長軸を横切る方向において往復動的に可動である。ガイドピン90が往復動フィンガー支持体88の下面から延伸し、下記に記載されるように、フラップカム制御装置72と相互作用する。
【0036】
折りたたみ式ハンドル92は、往復動体76の移動について、ガイドレール70に沿って前進、後進を選択できるように、往復動本体76に取り付けられている。気体バネ94は、往復動の動きを支援するために設けられている。気体バネ94の一端は、ガイドベース68に取り付けられている。気体バネ94の他端は、往復動体76に取り付けられている。ガイドレール70上の往復動体76の前方への動きは、往復動体止め具96により制限される。
【0037】
未加熱で接着剤要素が付着されていない接着対象部品がローディングステーションモジュール30の円形受入れ部48に挿入されると、往復動体76と、結合されている第1転送フィンガーアセンブリ78と第2転送フィンガーアセンブ80の動きは、オペレータが折りたたみ式ハンドル92を把持することにより達成される。往復動体76が接着剤ピックアップステーションモジュール36に向けて移動されると、冷部品転送フィンガー82は、ローディングステーションモジュール30から出され、オーブンモジュール32内に移動される未加熱で接着剤要素が付着されていない接着対象部品に接触する。
【0038】
同時に、第2転送フィンガーアセンブリ80は、図8から16において段階ごとの過程で記載されるように、フラップカム制御装置72と協働して、温接着対象部品P1をオーブンモジュール32から出し、接着剤ピックアップステーションモジュール36内に移動する。
【0039】
図8を参照すると、第2転送フィンガーアセンブリ80とフラップカム制御装置72が詳細に例示されている。第2転送フィンガーアセンブリ80は、上側部分98と下側部分100を含んでいる。下側部分100は、往復動体76と固定的に結合されており、従って、ガイド70の長軸に沿って移動する。上側部分98は、往復動体76の動きと交差する方向において、下側部分100に沿って摺動可能に移動する。
【0040】
フラップカム制御装置72は延長部101を含んでいる。フラップカム制御装置72は、ピボット102によりフラップベース74に回転可能に取り付けられている。フラップカム制御装置72は、第1表面104と、第2表面106と、第3表面108と、端部表面110を有するカム103を含んでいる。バネ112は、延長部101とフラップベース74の間に配置されている。
【0041】
図8に例示されているように、第2転送フィンガーアセンブリ80は、その原点位置において、フラップカム制御装置72の端部表面110と同じ高さであるように示されているガイドピン90と共に示されている。この位置において、温部品転送フィンガー67は、図6に示されているように、次の加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品のすぐ背後にある。
【0042】
往復動体76の、接着剤ピックアップステーションモジュール36に向かう動きに伴って、第2転送フィンガーアセンブリ80のガイドピン90は、第3傾斜表面108に沿って移動する。この位置は、図9の平面図と、図10の透視図において例示されている。この時点において、加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品は、接着剤ピックアップステーションモジュール36におけるタブレット受入れ位置まで進められている。
【0043】
ガイドピン90が、第3表面108を空けるのに十分なほど進むと、バネ112は延長部101を、カム103の第3表面108がフラップベース74を押し付けるまでピボット102の周りで回転させる。
【0044】
温部品転送フィンガー67は、加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品をオーブンモジュール32から接着剤ピックアップステーションモジュール36へ押し出した後、原点位置に戻り、次の加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品をオーブンモジュール32に係合する。往復動体76は、気体バネ94による支援により原点位置に戻る。
【0045】
この処置を達成するためには、温部品転送フィンガー67を、オーブンモジュール32において加熱されている、接着剤要素が付着されていない接着対象部品の列からフラップベース74に向けて遠ざけなければならない。第1表面104に沿うガイドピン90の後方への動きは、温部品転送フィンガー67を接着剤要素が付着されていない接着対象部品との係合から開放するように作用する。この動きは、図11の平面図に示されており、図11では、ガイドピン90は最初は、第1表面104と係合している。
【0046】
往復動体76が、図12に示されているように、ローディングステーションモジュール30に向けて更に進むと、ガイドピン90はカム103の傾斜第1表面104に支えられるように沿って移動され、第2転送フィンガーアセンブリ80の上側部分98を移動し、従って、温部品転送フィンガー67を、オーブンモジュール32内の接着剤要素が付着されていない接着対象部品との接触から更に遠ざける。結果的には、このように往復動体76が進むと、図13の平面図に示されているように、ガイドピン90を第2表面106に到達させ、図14の透視図に示されているように、第2表面106に沿って前方に進める。この時点において、上側部分98と、それに結合されている温部品転送フィンガー67は、オーブンモジュール32の接着剤要素が付着されていない接着対象部品の列から可能な限り遠くまで移動している。
【0047】
結果的に、図15と16に例示されているように、往復動体76のローディングステーションモジュール30に向けての進行は、ガイドピン90を、第2転送フィンガーアセンブリ80の上側部分98が図8の原点位置、つまり、温部品転送フィンガー67が次の加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品の背後に位置している位置に素早く戻ろうとする地点まで運ぶ。第2転送フィンガーアセンブリ80の上側部分98のこの素早い動きは、一対の付勢部材114と114’によりもたらされる。往復動体76の原点位置へ向けての動きは、気体バネ94の延伸した位置により止められる。
【0048】
接着剤ピックアップステーションモジュール
接着剤ピックアップステーションモジュール36は、図17から29に詳細に例示されている。一般的に、接着剤ピックアップステーションモジュール36は接着剤タブレットを供給し、タブレットを一度に1つずつ、タブレットが加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品に接合されるステーションまで転送する方法を提供する。
【0049】
図17を参照すると、接着剤ピックアップステーションモジュール36の断面が示されている。接着剤ピックアップステーションモジュール36は、可動ピックアップステーションベース118に、外すことが可能なように取り付けられているタブレットマガジン116を含んでいる。可動ピックアップステーションベース118は、ベース38に取り付けられている固定ピックアップステーションベース120に摺動可能に取り付けられている。一対のガイドシャフト122と122’は、可動ピックアップステーションベース118を固定ピックアップステーションベース120に整列させて接続する。付勢部材124は、可動ピックアップステーションベース118を固定ピックアップステーションベース120から遠ざけようと作用する。タブレットスタンプ126は、固定ピックアップステーションベース120に装着されている。調整ネジ127は、タブレットスタンプ126の微調整のために設けられている。(調整ネジ127は、タブレットスタンプ126の高さの調整を可能にして、温接着対象部品P1と接着剤タブレットが、下記に検討される図23に示されているようにピックアップされるときに正確に接触するようにするために設けられている。)
【0050】
可動接着剤タブレットスライド128は、可動ピックアップステーションベース118の上部に往復動が可能に固定されている。可動接着剤タブレットスライド128は、ハンドル129と、その中に形成されているタブレット保持孔130を有している。可動接着剤タブレットスライド128のほぼ上方には、加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品受入れ部132がある。
【0051】
タブレットマガジン116は可動ピックアップステーションベース118の下面に、好ましくは、従来技術で知られているように、差し込み式搭載により外すことが可能なように取り付けられている。タブレットマガジン116内には、接着剤タブレットカートリッジ134がある。接着剤タブレットカートリッジ134は、例えば50個のような任意の数の接着剤タブレット135を保持でき、空になったときは、満杯のカートリッジと交換できる。接着剤タブレットカートリッジ134が例示されているが、ボール供給器(不図示)のような他のタブレット供給器も使用できるということは理解されたい。
【0052】
往復動ピストン136は、付勢部材138によりタブレットマガジン116のベースに取り付けられている。往復動ピストン136は好ましくは、赤のような明るい色であり、それにより、下記に更に検討されるように、オペレータによる容易な目視を可能にする。付勢部材138は、往復動ピストン136を最下位の接着剤タブレット135に対して上向きに押す。ロッキングピンアセンブリ140は、往復動ピストン136を、降下されたロック位置において保持するためにタブレットマガジン116の最下位位置に装着されており、それにより、下記に詳細に説明するように、接着剤タブレットカートリッジ134の交換が可能になる。
【0053】
図18は、接着剤タブレットローディング位置にある接着剤ピックアップステーションモジュール36を例示している。図示されているように、可動接着剤タブレットスライド128は、タブレット保持孔130が、接着剤タブレット135の上方に位置しているタブレット受入れ位置まで移動されている。内部に形成されているピン通過間隙144を有している透明タブレット移動制限プレート142は、最上位のタブレット135の上方への移動を制限し、それにより、一度に1つだけのタブレットがタブレット保持孔130内に移動することができる。
【0054】
接着剤タブレット135がタブレット保持孔130に位置すると、オペレータがハンドル129を使用することにより、可動接着剤タブレットスライド128がタブレットスタンプ126の上方の位置へ移動される。この位置関係は図19に例示されている。その後、図20に示されているように、加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品P1が、部品スライドモジュール34の記載に関連して上述した手段により、加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品受入れ部132内の位置に移動される。
【0055】
加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品P1が、接着剤タブレット135の上方の位置に移動されると、図21に示されているように、オペレータは、取付け器24を加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品P1の上方に位置させる。取付け器24は、接着対象部品受入れおよび保持間隙146を含んでいる。位置が決まると、オペレータは、図22に例示されているように、加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品P1の胴体部が接着対象部品受入れおよび保持間隙146に嵌入されるまで、取付け器24を加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品P1に向けて移動する。そして、オペレータは取付け器24を下に押し、それにより、可動ピックアップステーションベース118が固定ピックアップステーションベース120に向けて下方に移動する。結果的に、取付け器24の固定ピックアップステーションベース120に向けての下方への動きにより、加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品P1の下面が接着剤タブレット135の上面と接触する。接着剤タブレット135の下側の面が、最終的にはスタンプ126に接触し、接着剤タブレット135は、図23に示されているようにその間に挟まれる。
【0056】
接着剤タブレット135が加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品P1に接着されると、オペレータは、図24に示されているように、取付け器24を上方に移動する。取付け器24に加えられていた下方に向けての圧力が解除されると、可動ピックアップステーションベース118は、付勢部材124により、ピックアップステーションベース120に対しての静止位置に動かされる。そして、取付け器24は、図25に例示されているように、選択された基材への接着のために、接着剤ピックアップステーションモジュール36から完全に取り外される。
【0057】
上述した操作が繰り返された後、接着剤タブレットカートリッジ134は図26に示されているように、やがては空になる。この場合は、接着剤タブレットカートリッジ134をタブレットマガジン116から取り外す必要である。接着剤タブレットカートリッジ134の取外しを可能にするために、往復動ピストン136をカートリッジ取外し位置にロックするためのロッキングピンアセンブリ140が設けられている。ロッキングピンアセンブリ140は、タブレットマガジン116の壁内を往復動が可能なように位置する、バネ付きピストンロッキングピン148を含んでいる。付勢部材が、ピストンロッキングピン148を内側に動かすために設けられている。往復動ピストン136は、ロッキングピン係合肩部150を含んでいる。
【0058】
タブレットマガジン116を、可動ピックアップステーションベース118から取外し可能とする前には、付勢部材138により往復動ピストン136上に加えられていた圧力を解除しなければならない。これを達成するために、図26に例示されているように、ピン152が、透明タブレット移動制限プレート142のピン通過間隙144に挿入される。ピストンロッキングピン148の内部端が、往復動ピストン136のロッキングピン係合肩部150に係合するまで、オペレータがピン152を使用することにより、下方に向けての圧力が往復動ピストン136上に加えられる。このようにして係合されると、往復動ピストン136は、タブレットマガジン116の下部端に向けて定位置にロックされる。これは図27に例示されている。
【0059】
往復動ピストン136がその下部位置にロックされると、タブレットマガジン116を、ひねる動きによって、可動ピックアップステーションベース118の下面から外すことが可能になる。取り外されたタブレットマガジン116が、接着剤ピックアップステーションモジュール36に対して図28に示されている。その後、図29に示されているように、満杯にされた接着剤タブレットカートリッジ134がタブレットマガジン116に挿入され、その後は、タブレットマガジン116を、可動取り上げステーションベース118に再取り付けする準備ができる。オペレータは、バネ付きピストンロッキングピン148を外した後、接着剤タブレットスライド128によりタブレットのローディングを開始することができ、そうすると、付勢部材138は、往復動ピストン136を、最下位の接着剤タブレット135に向けて上向きに動かす。
【0060】
ツール操作
操作の前に、オペレータは、接着剤タブレットカートリッジ134に、必要な回数の操作を行うための十分な数の接着剤タブレット135があることを確認する。これは、いくつかある方法の何れによっても可能である。1つの方法は、オペレータが、透明タブレット移動制限プレート142を通して、上部のタブレットの存在を確認することである。カートリッジにタブレットがない場合は、明るい色が付けられた往復動ピストン136が見えるはずである。そのような場合は、オペレータは、可動接着剤タブレットスライド128がそのタブレット受入れ位置まで移動されときに、可動接着剤タブレットスライド128を機械的にロックし、明るい色を付けられた往復動ピストン136は、接着剤タブレットカートリッジ134の上方に位置するタブレット保持孔130内に素早く入り込む。このステップは、タブレットマガジン116と接着剤タブレットカートリッジ134が目視を可能にする窓を有している場合は、目視による確認により、または、例えば、ピン152上の赤い線、または線、またはレベルマークの形状の可視マークのようなインディケータによる接着剤タブレットカートリッジ134の取外しと検査を含む。
【0061】
接着剤タブレット135が十分な数だけ存在することが確認されると、接着工具10はまず、適切な電源に取り付けられ、メインスイッチ(不図示)が入れられる。すべての表示灯153、154、および155(同じ色でも、違った色でもよい)が点灯し、部品スライドモジュール34の往復動体76がガイドレール70上にロックされる。オーブンモジュール32が予め選択された内部温度に到達した後、表示灯153は第1色から第2色へ変化する(赤から緑へのように)。接着工具の操作中の任意の時点において、オーブンモジュール32の内部温度が予め選択された温度以下に低下すると、表示灯153は元の色に戻る(緑から赤へ戻るように)。接着工具10が起動されているときの任意の時点において、表示灯153、154、および155は第1色から第2色へ変わる(再び、赤から緑へのように)。3個の表示灯すべてが第2色(緑のような)のときのみ、部品スライドモジュール34の往復動体76のロックを解除でき、部品の転送を開始できる。
【0062】
そしてオペレータは、タブレット保持孔130が接着剤タブレットカートリッジ134の上方になり、それにより、単一の接着剤タブレット135がタブレット保持孔130に入るように可動接着剤タブレットスライド128を移動する。そして、オペレータは、単一の接着剤タブレット135が、タブレットスタンプ126の上方に位置するまで可動接着剤タブレットスライド128を内部に向けて移動する。この位置において、表示灯154は第1色から第2色へ変化する(赤から緑へのように)。
【0063】
そしてオペレータは、未加熱で接着剤要素が付着されていない接着対象部品のベースを、ローディングステーションモジュール30の支持ブロック42の円形受入れ部48内に置く。磁石49は、未加熱で接着剤要素が付着されていない接着対象部品を引き下げて適切な位置にし、表示灯155は第1色から第2色へ変化する(赤から緑へのように)。
【0064】
表示灯153、154、および155のすべてが第2色(例えば、緑)へ変化すると、部品スライドモジュール34の往復動体76はロックが解除され、オペレータは、往復動体76のハンドル92を移動して、未加熱で接着剤要素が付着されていない接着対象部品P5を、上記に検討したようにローディングステーションモジュール30からオーブンモジュール32内に移動する。同時に、加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品P1はオーブンモジュール32から出て、これもまた上述したように、接着剤ピックアップステーションモジュール36の加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品受入れ部132上に置かれる。往復動体76は、気体バネ94の支援により原点位置に戻る。
【0065】
加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品が接着剤ピックアップステーションモジュール36上の定位置に置かれた状態で、オペレータは、取付け器24を、上記したように、加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品の胴体部に向けて押し付ける。オペレータによる十分な圧力が取付け器24に加えられ、それにより、接着剤タブレット135は、加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品P1の下面と、タブレットスタンプ126の間に捕捉され、接着剤タブレット135が、加熱済みで接着剤要素が付着されていない接着対象部品P1の下面に接着される。接着剤が装着された接着対象部品と共に取付け器24が接着剤ピックアップステーションモジュール36からの取外しが可能なときに、および取付け器24が定位置にあまりにも長く保持されているときにオペレータに知らせるために、信号を設けることもできる。取付け器24のピックアップステーションからの取外しの後、表示灯153、154、および155は開始時の色で点灯し(例えば、赤)、部品スライドモジュール34の往復動体76はロックされる。そしてオペレータは、接着剤が装着された接着対象部品を選択された基材に位置付ける。
【0066】
取付けが確実になる前に、接着剤が十分に溶融するまで待つ時間(「待ち時間」)を示す色付きLEDや、オペレータに準備状態と、接着対象部品を基材上に取り付けるための時間範囲(「取付け時間範囲」)を知らせる4個の他の色のカウントダウンLEDのような追加的操作表示灯を取付け器24に設けてもよい。
【0067】
上記の検討は、本発明の例としての実施の形態を開示し記述している。この技術に精通した者は、そのような検討から、および付随する図面と請求項から、種々の変更、修正、および変形を、続く請求項により定義される本発明の真の精神と公正な範囲から逸脱することなく行えることは容易に認識されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
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