(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
第1の実施形態によれば、有機相は、好ましくは非極性炭化水素又はそれらの混合物から選択される非極性溶媒を含む。
【0022】
「非極性溶媒」とは、水に対する親和性が非常に低く、かつ、水への混和性が比較的低い溶媒を意味する。一般に、非極性溶媒は、得られる双極子モーメントがゼロである溶媒である。したがって、このものは、いかなる極性基も有しない分子(例えばシクロヘキサンなど)又は極性基を有するが、ただし、その配置が双極子モーメントを無効にするのを確実にする分子(例えば四塩化炭素など)であることができる。
【0023】
この目的のために、ほとんどの場合、有機相は、該有機相の総質量に基づいて、非極性溶媒又は非極性溶媒の混合物の少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%からなる。
【0024】
この実施形態によれば、有機相は、一般に、非極性炭化水素又は非極性炭化水素の混合物を少なくとも70質量%、好ましくは少なくとも80質量%、優先的には少なくとも90質量%、有利には少なくとも95質量%含む。
【0025】
典型的には、有機相は、非極性炭化水素又は非極性炭化水素の混合物のみからなる。
【0026】
非極性有機相の例としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタンなどの脂環式炭化水素が挙げられる。また、イソパラフィン系及びパラフィン系C11及びC12炭化水素を本質的に含有するIsopar型の石油留分も好適である。
【0027】
また、非極性有機相として非極性塩素化炭化水素を適用することも可能である。
【0028】
第2の実施形態によれば、有機相は、好ましくは極性炭化水素又はそれらの混合物から選択される極性溶媒を含む。
【0029】
「極性溶媒」とは、特に、非ゼロの双極子モーメントを有する溶媒を意味する。したがって、これは、1個以上の極性基を有する分子であることができる。
【0030】
この実施形態によれば、有機相は、一般人、少なくとも70質量%、好ましくは少なくとも80質量%、優先的には少なくとも90質量%、有利には95質量%未満の極性炭化水素又は極性炭化水素の混合物を含む。
【0031】
典型的には、有機相は、極性炭化水素の混合物の全ての極性炭化水素のみからなる。
【0032】
「極性溶媒」とは、一般的に、水に対する親和性があり、水への混和性が良好な溶媒を意味する。
【0033】
極性溶媒の例としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、液体ナフテンなどの芳香族炭化水素が挙げられる。また、Solvesso型(EXXON社の商標)の石油留分、特にメチルエチルベンゼンとトリメチルベンゼンとの混合物を本質的に含むSolvesso100及びアルキルベンゼン、特にジメチルベンゼンとテトラエチルベンゼンとの混合物を含有するSolvesso150も好適である。
【0034】
また、有機相に対して、クロルベンゼン又はジクロルベンゼン、クロルトルエンなどの極性塩素化炭化水素を適用することも可能である。エーテル並びに脂肪族及び脂環式ケトン、例えばジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、酸化メシチルが想定できる。
【0035】
また、2−エチルヘキサノールなどのアルコールを主成分とする極性溶媒を想定することも可能である。
【0036】
変形例によれば、有機相は、上記非極性溶媒と極性溶媒との混合物を含む。
【0037】
本発明の分散体は、少なくとも1種の両親媒性物質を含む。
【0038】
この両親媒性物質は、粒子の分散を安定化させる効果を有する。また、このものは、分散体の製造の際に相間移動剤としても使用される(水性相と有機相との間)。
【0039】
好ましくは、両親媒性物質は、一般に10〜50個の炭素原子、好ましくは10〜25個の炭素原子を含むカルボン酸である。
【0040】
この酸は、直鎖又は分岐であることができる。このものは、アリール、脂肪族又はアリール脂肪族酸から選択でき、随意に他の官能基を保持してよいが、ただし、これらの官能基は、本発明の分散体のために望ましく使用される媒体中において安定であるものとする。
【0041】
したがって、例えば、天然又は合成の脂肪族カルボン酸を適用することが可能である。もちろん、複数の酸を混合物で使用することが可能である。
【0042】
例として、トール油、大豆油、獣油、亜麻仁油、脂肪酸、オレイン酸、リノレン酸、ステアリン酸及びその異性体、ペラルゴン酸、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、エチル−2−ヘキサン酸、ナフテン酸、ヘキサン酸が挙げられる。
【0043】
好ましい両親媒性物質としては、例えばCroda社製のPrisorine3501のような鎖長分布を有する酸又は製品の混合物などのステアリン酸及びその異性体が挙げられる。
【0044】
また、この両親媒性物質は、ポリブテニル基で置換されたコハク酸などの1種又は数種のポリ酸からも構成できる。これらのポリ酸は、単独で使用してもよいし、平均して10〜20個の炭素原子を有する1種以上の脂肪族モノカルボン酸と併用してもよい。
【0045】
例として、オレイン酸と、ポリブテニル基で置換された1種以上のコハク酸であって、そのポリブテニル基が500〜1300、特に700〜1000g.mol
-1の平均分子量(ガスクロマトグラフィーにより測定)を有するものとの混合物が挙げられる。
【0046】
本発明の特徴によれば、本発明の分散体の粒子は、結晶化状態の鉄化合物を主成分とする。
【0047】
上記方法の工程を適用することによって得ることのできるこの結晶化状態は、特に、少なくとも一つの明確な鉄の結晶化構造の特徴的なピークを示すX線回折技術(XRD)により観察できる。
【0048】
本発明の分散体の固形物は、組成が結晶化状態の酸化鉄に本質的に相当する鉄化合物の粒子又は粒子凝集体の形態にある。
【0049】
本発明の粒子を構成する酸化鉄の結晶化状態は、典型的には、磁赤鉄鉱(γ−Fe
2O
3)型の酸化Fe(III)及び/又は磁鉄鉱(Fe
3O
4)型の酸化Fe(II)及び酸化Fe(III)である。
【0050】
上記方法は、一般に、磁赤鉄鉱型の酸化Fe(III)を主成分とする粒子及び/又は磁鉄鉱型の酸化Fe(II)及び酸化Fe(III)を得るという可能性を与え、この磁鉄鉱は、その後、例えば酸素との接触により磁赤鉄鉱型の酸化Fe(III)に酸化され得る。
【0051】
好ましくは、分散体中において4nm以上のサイズを有する粒子は、それらの少なくとも90%、有利には少なくとも95%、優先的には少なくとも99%が結晶化状態の鉄化合物の形態である。
【0052】
XRDによって測定されるときの分散体の粒子の平均サイズD
DRXは、7nm以下、好ましくは6nm以下、優先的には5nm以下である。
【0053】
一般に、このサイズは、少なくとも4nmである。
【0054】
本発明の粒子の結晶化の性質は、特にXRD分析により検出できる。XRD図は、これらの粒子の2つの特徴の定義を可能にする:
1.結晶相の性質:測定された回折ピークの位置並びにそれらの相対強度は磁鉄鉱又は磁赤鉄鉱相の特徴を示し、この場合、該結晶相は、シートICDD01−088−0315に相当する;
2.晶子又は(結晶化ドメイン)の平均サイズD
DRX:このサイズは、磁赤鉄鉱/磁鉄鉱の結晶面(440)の回折ピークの半分の高さでの幅から算出される:
【数1】
ここで、
λ:波長=1.54Å、
κ:0.89に等しい波形率、
H:関連する線の半分の高さでの全幅(度で表す)、
s:LaB
6分析によって決定される、角度θでの計測幅=0.072°、
θ:磁鉄鉱及び/又は磁赤鉄鉱の回折ピーク(440)の回折角(ラジアン)=0.547ラジアン。
【0055】
XRD分析は、例えば、θ−θゴニオメーターから構成され、液体試料のキャラクタリゼーションを可能にするX’Pert PRO MPD PANalytical型の市販の装置で実施できる。この試料は、取得中に水平のままであり、かつ、移動源及び検出器である。
【0056】
この設定は、供給業者が提供するX’Pert Datacollectorソフトウェアパッケージによって行われ、得られた回折図の利用は、X’Pert HighScore Plusソフトウェアパッケージ、バージョン2.0以上(供給業者:PANalytical)の手段によって実施できる。
【0057】
本発明の別の特徴によれば、粒子の主要部分、すなわち数を基準にして少なくとも80%が、7nm以下、特に6nm以下のサイズD
METを有することが好ましい。
【0058】
典型的には、粒子の少なくとも90%、特に少なくとも95%が上記値以下のサイズD
METを有する。
【0059】
このサイズD
METは、粒子を大きな倍率で見てそれらのサイズを測定することができる画像化モードで使用される透過電子顕微鏡(TEM)で分散体を分析することによって検出できる。
【0060】
好ましくは、粒子サイズ測定の良好な精度のため、次の手順に従って進めることが可能である。
【0061】
本発明の分散体を予めその溶媒で希釈して約0.035%の鉄質量含有量を得る。その後、それによって希釈された分散体を観察グリッド(銅グリッド上に保持された炭素高分子膜など)上に置き、そして溶媒を蒸発させる。
【0062】
例えば、800000までの範囲の倍率にアクセスする透過電子顕微鏡を使用することが可能であり、好ましくは120kVに等しい加速電圧が選択される。
【0063】
この方法の原理は、顕微鏡の様々な領域(約10)の下で試験し、そして250個の粒子の寸法を、これらの粒子を球状粒子とみなすことによって測定することからなる。粒子は、その周囲の少なくとも半分を決めることができる場合には、特定可能と推定される。このとき、サイズD
METは、その粒子の外周を適切に再現する円の直径に相当する。使用できる粒子の特定は、ImageJ、Adobe Photoshop又はAnalysisなどのソフトウェアパッケージによって達成できる。
【0064】
それから粒子の累積粒径分布が推測され、これらは、0〜20nmの範囲の40の粒径クラスに分類される(各クラスの幅は0.5nmである)。各クラスにおける粒子数又は各D
METについての粒子数は、数示差粒径分布を示すための基本データである。
【0065】
さらに、本発明の分散体の粒子は、TEMで観察したときに細かい粒径を有する。
【0066】
これらは、好ましくは2nm〜6nm、特に3nm〜5nmのメジアン直径Φ
50を有する。
【0067】
ナンバーメジアン粒径Φ
50とは、TEM顕微鏡写真上でカウントされた粒子の50%がこの値よりも小さな直径を有し、かつ、カウントされた粒子の50%がこの値よりも大きな直径を有するような直径のことである。
【0068】
本発明の粒子は、一般に、0.1〜0.5の多分散指数P
nを有する。
【0069】
この多分散指数P
nは、次式に従ってTEMにより決定される数粒径分布から算出される:
【数2】
Φ
16は、直径であって粒子の16%がこの値未満の直径を有するものであり、Φ
84は、直径であって粒子の84%がこの値未満の直径を有するものである。
【0070】
この測定値は、本発明の粒子が良好な単分散性を有するという事実を反映する。
【0071】
固形物の分散状態は、動的光散乱(DLS)、いわゆる準弾性光散乱(QELS)、又はさらに光子相関分光法によって特徴付けることができる。この技術は、値が粒子集合体の存在に強く影響を受ける固形物の流体力学直径D
hの測定を可能にする。
【0072】
好ましくは、本発明の固形物は、動的光散乱(DLS)によって測定されたときに、30nm以下、好ましくは20nm以下、優先的には16nm以下の流体力学直径D
hを有する。
【0073】
本発明の分散体の固形物の流体力学直径D
hは、本発明の分散体をその溶媒で希釈して1〜4g.L
-1の鉄濃度を得た後に、該分散体について測定できる。
【0074】
ALVシリーズ5000相関器及びALV相関器ソフトウェアパッケージV3.0以上を備えるALV CGS 3(Malvern)装置の光散乱装置を使用することが可能である。この装置は、流体力学直径D
hの値にアクセスすることのできる「コペルキュムラント」法と呼ばれるデータ処理方法を使用する。
【0075】
流体力学直径の計算の際に溶媒について使用される粘度及び屈折率の値に対応する温度(典型的には25℃)での測定を実行し、かつ、典型的には90°に設定された測定角を使用することが重要である。
【0076】
また、希釈物の調製を実施するのみならず、ちりによる試料の汚染及び測定の歪みを回避するために層流フード下で取扱作業を実施することが推奨される。
【0077】
散乱強度が安定で、かつ、自己相関関数にいかなる異常も無い場合には、その実験データは有効であるとみなされる。
【0078】
最後に、散乱強度は、各装置について明確な限度内で構成されるはずである。
【0079】
この分散体の対象物の特徴は、その安定性に寄与する。粒子の個別の性質は、接触表面積と煤煙との間で利用可能な全接触表面積も増加させるため、本発明の分散体の触媒活性の改善に寄与する。
【0080】
本発明の分散体は、有機相中において、非晶質状態の鉄化合物の粒子、特にサイズが4nm以上の粒子をさらに含むことができる。
【0081】
鉄化合物の非晶質の性質は、任意の結晶性鉄相の特徴的なピークが観察されない場合には、この化合物のXRD分析によって検出できる。
【0082】
好ましくは、非晶質状態の鉄化合物の粒子は、分散体の鉄粒子の総量の多くとも75%(数基準)を占める。
【0083】
4nm以上のサイズを有する粒子について、非晶質状態の鉄化合物の粒子は、4nm以上のサイズを有する鉄粒子の総量の多くとも50%(数基準)、好ましくは多くとも40%(数基準)を占める。
【0084】
本発明の分散体は、少なくとも2%、特に少なくとも5%であることができる鉄化合物の質量濃度を有し、この濃度は、分散体の総質量に対する鉄金属の質量で表される。
【0085】
この濃度は、一般に20%までを範囲とすることができる。
【0086】
鉄含有量は、当業者に知られている任意の技術、例えば本発明の分散体に直接適用されるX蛍光分光法による測定などにより決定できる。
【0087】
本発明の分散体は、次の工程:
(a)水性相中において、塩基と、Fe(II)塩及びFe(III)を0.45〜0.55、好ましくは約0.5、有利には0.5のモル比Fe(II)/Fe(III)に従って含む混合物とを、該水性相のpHを11.5を超えるpH値に維持することにより接触させ、それによって沈殿物を得;そして
(b)随意に該水性相から分離された、得られた沈殿物と、溶媒を主成分とする有機相とを両親媒性物質の存在下で接触させ、それによって分散体を有機相で得ること
を含む方法に従って製造できる。
【0088】
この方法の工程(a)において、塩基と、Fe(II)及びFe(III)塩を0.45〜0.55、好ましくは約0.5、有利には0.5に等しいモル比Fe(II)/Fe(III)に従って含む混合物とを、水性相、典型的には該塩基及び該鉄塩の水溶液中において接触させる。
【0089】
塩基として、特にヒドロキシド型の化合物を使用することが可能である。アルカリ又はアルカリ土類金属水酸化物及びアンモニアが挙げられる。また、第二級、第三級又は第四級アミンを使用することも可能である。
【0090】
鉄塩として、任意の水溶性塩を使用すうことが可能である。Fe(II)としては、塩化第一鉄FeCl
2が挙げられる。Fe(III)としては、硝酸第二鉄Fe(NO
3)
3が挙げられる。
【0091】
工程(a)の間に、Fe(II)塩と、Fe(III)塩と、塩基との間で生じる反応は、一般に、形成された反応混合物のpHが反応媒体中において鉄塩と塩基とを接触させたときでも11.5以上を保持するような条件下で達成される。
【0092】
好ましくは、工程(a)の間に、反応混合物のpHを12以上の値に保持する。このpH値は、典型的には12〜13である。
【0093】
水性相中における鉄塩と塩基との接触は、鉄塩の溶液をpHが少なくとも11.5である塩基を含有する溶液に導入することによって達成できる。また、鉄塩及び塩基を、pHが予め11.5以上の値の値に調節された、例えば硝酸ナトリウムなどの塩を典型的には3モル L
-1以下の濃度で含有する溶液に導入することも可能である。この接触を連続的に達成することが可能であり、その際、該pH条件は、鉄塩の溶液及び塩基を含有する溶液のそれぞれの流量を調節することによって満たされる。
【0094】
本発明の好ましい実施形態に従って、鉄塩と塩基との反応の間に、水性相のpHを一定に保持するような条件下で操作することが可能である。pHを一定に保持するとは、設定された値に対してpHが±0.2pH単位変動することを意味する。このような条件は、鉄塩と塩基との反応中における添加によって、例えば鉄塩の溶液を塩基の溶液に導入し、そして追加量の塩基を水性相に導入するときに得られ得る。
【0095】
本発明の範囲内において、本発明者は、粒子のサイズを水性相が保持されるpHに応じて調節することができることを見出した。典型的には、特定の理論に結びつけられることを意図するものではないが、粒子サイズは、水性相のpHが高いため、全て小さい。
【0096】
工程(a)の反応は、一般に室温で実施される。この反応は、有利には、空気若しくは窒素雰囲気又は窒素/空気混合物下で実施できる。
【0097】
工程(a)の反応の終了時に沈殿物が得られる、適宜、沈殿物を所定時間、例えば数時間にわたって水性相中で保持することにより、該沈殿物を熟成させることが可能である。
【0098】
本発明に従う方法の第1の有利な選択肢によれば、沈殿物は、工程(a)の終了時には水性相からは分離されず、かつ工程(a)の反応の水性相中に懸濁されたままにされる。
【0099】
本発明に従う方法の別の選択肢によれば、この方法は、工程(a)の後でかつ工程(b)の前に、工程(a)の終了時に形成された沈殿物を水性相から分離するための工程(α)を含む。
【0100】
この分離工程(α)は、任意の既知の方法によって実施される。
【0101】
その後、分離された沈殿物を例えば水で洗浄することができる。好ましくは、沈殿物には、任意の乾燥若しくは凍結乾燥工程又はこのタイプの任意の操作は施されない。
【0102】
沈殿物は、随意に第2水性相に再懸濁できる。
【0103】
有機相への分散体を得るために、工程(b)中に、工程(a)の終了時に得られた沈殿物(水性相から分離されているかどうかを問わない)を有機相と接触させ、その際に分散体が望ましく得られる。
【0104】
この有機相は、上記したタイプのものである。
【0105】
工程(b)の接触は、上記両親媒性物質の存在下で、随意に工程(a)の終了時に得られた懸濁液を中和した後に達成される。
【0106】
好ましくは、両親媒性物質のモル数と鉄のモル数とのモル比は、0.2〜1、優先的には0.2〜0.8である。
【0107】
有機相の配合量は、上記のような酸化物濃度を得るように調節される。
【0108】
分散体の様々な成分を工程(b)の間に導入する順序は問題にならない。
【0109】
得られた沈殿物と、両親媒性物質と、有機相とを同時に接触させることが可能である。
【0110】
また、両親媒性物質と有機相とのプレミックスを製造することも可能である。
【0111】
沈殿物と有機相との接触は、空気、窒素又は空気−窒素混合物雰囲気下にある反応器内で達成できる。
【0112】
沈殿物と有機相との接触は、室温、すなわち約20℃で達成できるが、30℃〜150℃の内部範囲で選択される温度、有利には40℃〜100℃で操作することが可能である。
【0113】
所定の場合には、有機相の揮発度のため、その蒸気は、その沸点よりも低い温度に冷却することによって凝縮すべきである。
【0114】
沈殿物、有機相及び両親媒性物質から得られた反応混合物は、全加熱期間中、撹拌しながら保持される。
【0115】
沈殿物を工程(a)の終了時に水性相から分離しない第1の選択肢の場合には、加熱を停止したときに、2つの新たな相の存在が注目される:粒子の分散体を含有する非極性有機相、及び残りの水性相である。その後、例えばデカンテーション又は遠心分離などの従来の分離技術に従って、粒子の分散体を含有する有機相と残りの水性相とを分離する。
【0116】
この方法の選択肢にかかわらず、本発明によれば、上記特徴を有する有機分散体が工程(b)の終了時に得られる。
【0117】
非晶質状態の鉄化合物の粒子をさらに含む分散体は、非晶質状態の鉄化合物の粒子の有機相への第1分散体と結晶化状態の鉄化合物の粒子の第2分散体(この第2分散体は本発明の第1の実施形態に従うタイプのものである)とを混合させることによって得ることができる。
【0118】
非晶質状態の鉄化合物の粒子の第1分散体としては、例えばWO2003/053560号に記載されたものを使用できる。
【0119】
好ましくは、有機相が同じ分散体を混合する。
【0120】
本発明の分散体は、内燃機関用の燃料添加剤、特に煤煙又は炭素質粒子を放出するディーゼルエンジン用の軽油添加剤又は所定のガソリンエンジン用のガソリン添加剤及び例えばバイオ燃料用の添加剤として使用できる。
【0121】
これらは、さらに一般的には、内燃機関(火花点火式エンジン)、発電装置、石油バーナー又はジェット推進エンジンなどのエネルギー発生器の液体可燃性物質又は燃料における燃焼添加剤として使用できる。
【0122】
また、本発明の目的は、燃料及び本発明の分散体を含む内燃機関用の添加剤入り燃料でもある。
【0123】
本発明の添加剤入り燃料は、いかなる触媒も含有しないPF又はCSFなどの触媒を含有するPFと併用できる。
【0124】
CSFを構成する触媒の性質は、任意のタイプのものであることができ、特に、アルミナなどの様々な担体材料又は結合材料と結合した白金又はパラジウムなどの貴金属を主成分とする。酸化セリウムなどのレアアースを主成分とする酸化物や、マンガンを主成分とする酸化物といった還元可能な材料も関連できる。
【0125】
本発明の有機分散体は、いったん燃料と共に添加されると、燃料が植物油のメチルエステルなどのバイオ燃料の留分などの非常に安定な留分を含有しない場合には特に該燃料の安定性を結果として低下させないという特徴を有する。燃料の安定性は、その酸化抵抗性により測定できる。
【0126】
このために、当該技術分野においていくつかのタイプの試験が知られている。加熱した燃料を空気を吹き込みながら酸化させることからなるNF EN15751規格に基づく試験(自動車用燃料−脂肪酸メチルエステル(FAME)及び軽油と混合−加速酸化方法による酸化安定性の決定)を挙げることが可能である。この酸化プロセス中に生じた蒸気で水が凝縮される。この水の電気伝導性の増加は、燃料の酸化プロセス中、すなわちその酸化により形成された揮発性酸化合物の溶解を示す。この場合、これを誘導時間、すなわち、電気伝導性の急速な増加が生じるのに必要な加熱期間を表す時間という。この誘導時間が長ければ長いほど、多くの燃料が酸化に抵抗する。この試験は、RANCIMAT試験とも呼ばれる。
【0127】
本発明の分散体は、安定であり、燃料、特にバイオ燃料と相溶性があり、低添加量及び低温でPFを再生させるのに効率的であり、しかも燃料の相溶性、特に(バイオ)燃料の酸化に対する良好な抵抗性を維持することと、PFを再生するための効率とのバランスが良好であることが分かった。
【0128】
本発明の分散体又は燃料添加触媒(FBC)は、車両内に搭載されたベクトル化装置によって当業者に知られている任意の手段に従って燃料に添加できるのみならず、燃料を車両に導入する前に燃料に直接添加できる。後者の場合は、有利には、PFを備えかつ燃料を補充するための自身のガソリンスタンドを有する車隊の場合に使用できる。
【0129】
車両内に搭載される装置は、特に、所定量の本発明の分散体を車両内で装填することができ、しかも所定の範囲をカバーすることのできるタンク、並びに分散体を燃料の方向にベクトル化するための手段、例えば所定量の分散体を車両の燃料タンクに注入する計量ポンプ及びこのベクトル化手段を駆動させるためのツールを備える装置であることができる。
【0130】
エンジンは、FBCを有する燃料添加剤が連続的に供給され、その濃度は安定又は経時的に変更できる。またその代わりに、エンジンは、添加剤入り又は添加剤なしの燃料も供給できる。FBCの添加量は、エンジン及びその装置、その汚染性放出物、特に放出される煤煙の量、排気及びデポルーションラインの構造、特に触媒を含有するPF又はCSFの使用及びエンジンのマニホールドへのその近さといった様々なパラメーターに応じて幅広く変更できるが、この手段は、再生をもたらす温度の上昇を可能にし、或いは車両が循環する地理的領域内において車両が使用する燃料の品質を決める。
【0131】
また、FBCは、好ましくは粒子を最終的に煤煙床に分散させる手段により、PFよりも上の排気ラインに注入できる。このケースは、PFの再生が、PFから上流の排気ラインに燃料を、この燃料をPFから上流の酸化触媒で燃料させるのか又は任意の他の手段で燃焼させるのかを問わず、直接注入することにより達成される場合に特に適している。
【0132】
本発明の添加剤入り燃料を製造するのに好適な燃料は、特に、市販の燃料、所定の実施形態では、全ての市販の軽油燃料及び/又はバイオ燃料を含む。
【0133】
好ましくは、添加剤入り燃料に含まれる燃料は、軽油及びバイオ燃料よりなる群から選択される。
【0134】
また、軽油燃料をディーゼル燃料と呼ぶこともできる。
【0135】
また、バイオ添加剤を主成分とする燃料をバイオ燃料と呼ぶこともできる。
【0136】
本発明を適用するのに好適な燃料に制限はないが、ただし室温、例えば20〜30℃では液体のものが一般的である。
【0137】
液体燃料は、炭化水素型の燃料、炭化水素以外のタイプの燃料、又はそれらの混合物の1種であることができる。
【0138】
炭化水素型の燃料は、石油蒸留物、ASTM D4814規格によって与えられる定義に従うガソリン又はASTM D975規格又は欧州規格EN590+A1によって与えられた定義に従う軽油燃料であることができる。
【0139】
所定の実施形態では、液体燃料はガソリンであり、別の実施形態では、液体燃料は無鉛ガソリンである。
【0140】
別の実施形態では、液体燃料は軽油燃料である。
【0141】
炭化水素型の燃料は、フィッシャー・トロプシュ法などの方法によって製造された炭化水素を含めるために気体を液体に変換する方法によって製造された炭化水素であることができる。
【0142】
所定の実施形態では、本発明に適用される燃料は、軽油燃料、軽油バイオ燃料又はそれらの組み合わせである。
【0143】
炭化水素以外のタイプの燃料は、アルコール、エーテル、ケトン、カルボン酸のエステル、ニトロアルカン又はそれらの混合物の1種を含む、酸素化生成物と呼ばれることの多い、酸素原子を含有する組成物であることができる。炭化水素以外のタイプの燃料は、例えばメタノール、エタノール、メチル−t−ブチルエーテル、メチルエチルケトン、オイル及び/又は植物若しくは動物起源のトランスエステル化脂肪、例えば菜種油メチルエステル及び大豆油メチルエステル、並びにニトロメタンを含むことができる。
【0144】
炭化水素型と炭化水素以外のタイプとの混合物は、例えばガソリンとメタノール及び/又はエタノール、軽油燃料とエタノール、並びに軽油燃料と菜種油メチルエステル及び他の生体由来燃料などのトランスエステル化植物油を含むことができる。
【0145】
所定の実施形態では、液体燃料は、炭化水素型の燃料、炭化水素以外のタイプの燃料又はそれらの混合物の1種への水エマルジョンである。
【0146】
本発明のいくつかの実施形態では、液体燃料は、重量を基準にして、5,000ppm以下、1,000ppm以下、又は300ppm以下、200ppm以下、30ppm以下又は10ppm以下の硫黄含有量を有することができる。
【0147】
本発明の燃料は、本発明の添加剤入り燃料中において、主要量、すなわち一般には95重量%を超える量で存在し、また、他の実施形態では、これは、97重量%を超える、99.5重量%を超える又は99.9重量%を超える量で存在する。
【0148】
本発明を適用するのに適した燃料は、随意に、1種以上の追加の性能添加剤、溶媒又は希釈剤を含む。これらの性能添加剤は、任意のタイプのものであることができ、例えば、エンジン内における燃料分配の改善及び/又はエンジン動作性能の改善及び/又はエンジン動作の安定性の改善を可能にする。
【0149】
例として、限定されないが、立体障害フェノールのような酸化防止剤、洗剤及び/又は分散剤添加剤、例えば窒素含有洗剤又はスクシンイミド又はコールドフローを改善させる追加の薬剤、例えばマレイン酸無水物とスチレンとのエステル化共重合体を挙げることが可能である。
【0150】
本発明の添加剤入り燃料の有利な特徴によれば、燃料の総重量に対する金属鉄のppm(重量)として表される鉄含有量は、金属鉄の1〜30ppm、好ましくは2〜20ppmである。
【実施例】
【0152】
例1:結晶化状態の鉄粒子の分散体の製造(本発明に従う)。
鉄先駆物質の溶液の調製
1リットルの溶液を次のように調製する:576gのFe(NO
3)
3と99.4gのFeCl
2・4H
2Oとを混合する。1リットルの溶液得るために蒸留水で混合物の量を合わせた。この鉄先駆物質の最終濃度は、1.5mol.L
-1のFeである。
【0153】
ソーダ溶液の調製
6mol.L
-1のNaOH溶液を次のように調製する:240gのソーダ錠を蒸留水で希釈して1リットルの溶液を得る。
【0154】
撹拌システムを備えた1リットルの反応器に、400mLの硫酸ナトリウムNaNO
3溶液(3mol.L
-1)からなるタンク底部液を導入する。この溶液のpHを6mol/Lの数滴のソーダにより13に調整する。沈殿物の形成を、予め調製しておいた鉄先駆物質の溶液とソーダ溶液とを同時に添加することにより達成する。これらの試剤の両方を導入するための流量を、pHを室温で一定かつ13に等しく保持するように調節する。
【0155】
予め中和しておいた、沈殿により得られた溶液の823.8g(すなわち21.75gのFe
2O
3当量又はさらに0.27molのFe)を、24.1gのイソステアリン酸(Prisorine3501、Croda社が提供する留分)及び106.4gのIsopar Lを含有する溶液に再分散させる。この懸濁液を、サーモスタット制御浴及び撹拌器を備えるジャケット付き反応器に導入する。この反応装置を4時間にわたり90℃にする。
【0156】
冷却後、この混合物を試験管に移す。分離が観察され、その後500mLの水性相と100mLの有機相とを集める。この有機分散体は、集めた分散体の全質量に基づく鉄金属質量で表して10%の鉄質量含有量を有する。
【0157】
得られた生成物は、室温で少なくとも1ヶ月の保存期間にわたって安定であり、デカンテーションは全く観察されない。
【0158】
比較例2:結晶化状態の鉄粒子の分散体の製造(本発明によるものではない)
例1と同様の手順に従ったが、ただし、タンク底部に試剤を導入する前に、硝酸ナトリウム溶液のpHを11に調整し、そして沈殿物の形成中に、鉄先駆物質の溶液及びソーダ溶液を導入するための流量を、pHを室温で一定かつ11に等しく維持するように調節する。
【0159】
比較例3:非晶質状態の鉄粒子の分散体の製造
酢酸鉄溶液の調製
412.2gのFe(NO
3)
3・5H
2O(98%)をビーカーに導入し、そしてそれに蒸留水を2リットルの容量まで添加する。この溶液は、0.5MのFe溶液である。650mLの10%アンモニアを室温で撹拌しながら滴下で添加して7のpHを得る。
この混合物を10分間にわたり4500rpmで遠心分離し、続いて母液を除去する。固形物を蒸留水で2650mLの総容量まで再懸濁する。この混合物を10分間撹拌し、その後10分間にわたり4500rpmで遠心分離する。母液を除去し、そして固形物を蒸留水で2650mLの総容量まで再懸濁する。30分間撹拌したままにする。続いて、206mLの濃縮酢酸を添加する。一晩撹拌したままにする。得られた酢酸鉄は透明である。
その後、沈殿物の形成を次のものを含む連続集合物で達成する:
・ブレード付き撹拌器を備え、500mLの蒸留水からなる初期タンク底部を有する1リットル反応器(この反応容量は、オーバーフローにより一定に保持される);及び
・予め調製された一方の酢酸鉄溶液と、他方の10%アンモニア溶液とを含有する2個の供給フラスコ。
この酢酸鉄溶液と10%アンモニア溶液とを一緒に添加する。両方の溶液の流量を、pHを一定かつ8に維持するように設定する。
得られた沈殿物を母液から4500rpmで10分間遠心分離することにより分離する。95.5gの水和物を21.5%の乾燥抽出物で集め(すなわち20.0gの当量Fe
2O
3又は0.25molのFe)、その後、39.2gのイソステアリン酸を80.8gのIsopar Lに含有してなる溶液に再分散させる。この懸濁液を、サーモスタット浴及び撹拌器を備えるジャケット付き反応器に導入する。この反応装置を5時間30分にわたって90℃にする。
冷却後、これを試験管に移す。分離が観察され、そして50mLの水性相と220mLの有機相とを集める。集めた有機分散体は、集めた分散体の全質量に対する金属鉄の質量として表して10%の鉄質量含有量を有する。
【0160】
例4:鉄粒子分散体のキャラクタリゼーション
例4.1:X線回折(XRD)
XRD分析を本明細書に与えた指示に従って実施した。
例1の分散体及び例2の分散体の回折図のピークは、実際に、結晶化磁鉄鉱及び/又は磁赤鉄鉱相の回折ピークのXRD特性に相当することが分かる(シートICDD01−088−0315)。
例3の分散体の回折図は、いかなる有意のXRDピークも示さないが、これは、鉄相が非晶質の状態にあるとの結論を導き出すことが可能である。
この方法に従う微結晶サイズの算出から、本発明に従う例1については4nmの微結晶サイズが、本発明ではない例2については9nmの微結晶サイズがそれぞれ早期に得られることが示されている。
【0161】
例4.2:透過電子顕微鏡(TEM)
TEMによる分析を本明細書で与えた指示に従って実施した。
このTEMカウンティングからの特性:7nm以下の粒子のパーセンテージ、Φ
50、多分散度P
nを表1に報告する。
【0162】
【表1】
【0163】
例4.3:動的光散乱(DLS)
DLS分析を本明細書で与えた指示に従って実施した。
平均流体力学直径D
h(強度)を表2に報告する。
【0164】
【表2】
【0165】
例5:鉄粒子の分散体と軽油燃料との相溶性
添加剤入り燃料を、本発明の分散体と該燃料との相溶性を測定するために調製する。
このために、所定量の分散体を燃料に添加して該燃料中において7ppmの金属鉄質量濃度を得る。ここで使用した燃料は、約11質量%のバイオ燃料(脂肪酸メチルエステル又はFAME)を含有する燃料である(表3)。
【0166】
【表3】
【0167】
この試験は、NF EN15751規格に基づくものである(自動車用燃料−脂肪酸メチルエステル(FAME)及び軽油と混合−加速酸化方法による酸化安定性の決定)。
【0168】
この試験のために、乾燥気流(10L/時)を110度に加熱された燃料7.5gに吹き込む。この酸化プロセス中に生じた蒸気を、空気により、脱塩水及び水の伝導度を測定する電極を備えるセルに運ぶ。この電極を測定及び記録システムに連結する。このシステムは、水の伝導度が急速に上昇したときに誘導期間の終了を示す。この伝導度の急速な増加は、燃料の酸化プロセス中に形成された揮発性カルボン酸への水の溶解度に起因する。
【0169】
表4は、結晶化状態の鉄粒子を使用した場合には燃料の分解が非常に低く、33〜35時間に近い誘導時間が例1の分散体を有する燃料添加剤(結晶化状態の粒子、4nmのサイズ)及び例2の分散体を有する燃料添加剤(結晶化状態の粒子、9nmのサイズ)について測定されることを示している。
【0170】
逆に、例3の分散体(非晶質状態の粒子)を有する燃料添加剤の誘導時間は、さらに大きな分解をもたらし、これらの条件下での誘導時間は19.8時間に減少する。
【0171】
【表4】
【0172】
例6:粒子フィルタを再生するためのエンジン試験
上記例で説明した分散体の、粒子フィルター(PF)を再生するための効率PFを再生するためのエンジン試験により測定した。このために、フォルクスワーゲングループにより提供されたディーゼルエンジン(4シリンダー、2リッター、空冷式ターボ圧縮機、81kW)をエンジン試験台上で使用した。
【0173】
下流に搭載した排気ラインは、白金及びアルミナを主成分とするウォッシュコートを含有する酸化触媒、その後炭化珪素のPFからなる市販のラインである(PF :全容量2.52L、直径5.66インチ、長さ5.87インチ)。
【0174】
使用した燃料は、EN590 DIN51628規格に合致し、10ppm未満の硫黄及び7容量%のFAMEを含有する市販の燃料である。
【0175】
これらの試験のために、燃料に例1、2及び3の様々な分散剤を添加する。添加量を、燃料に燃料の総質量に基づき金属鉄として表される鉄の5ppm(重量)(例1及び3)又は7ppm(重量)(例2)に相当する分散剤の量を添加するように調節する。比較として、第四の試験を同様の燃料であるがただし分散剤を添加していないものを用いて実施した。
【0176】
この試験を2つの連続工程で実施する:PFを装填する工程、その後PFを再生する工程。これらの工程の両方の条件は、使用した燃料を除いて完全に同じである(添加剤入り又はなし)。
【0177】
装填段階を、3000回転/分(rpm)の速度で、かつ、45Nmのトルクを約6時間にわたって使用することによってエンジンを作動させることにより実施する。この装填段階は、12gの粒状相がPFに装填されたときに停止する。この段階の間に、PFから上流のガスの温度は230〜235℃である。これらの条件下で、粒子の放出は約2g/時である。
【0178】
この装填段階後に、PFを分解し、そして秤量して、この段階の間に装填された粒子の質量をチェックする(表5の、装填後のPFにおける粒状相の量)。
【0179】
その後、PFをベンチ上で再度組み立て、そして装填の操作条件下(3000rpm/45Nm)に30分間にわたり戻されたエンジンで過熱する。
【0180】
その後エンジンの条件を変更し(トルク80Nm/2000rpm)、そして後噴射を、PFから下流で温度を450℃に上昇させ、そしてPFの再生を開始させることを可能にするエンジンの中央電子ユニット(ECU)に要求する。これらの条件を35分(2100秒)間維持し、ここで、この時間は、後噴射の開始からカウントする。
【0181】
PF再生効率を次の2つのパラメーターを通じて測定する:
・圧力降下ΔP(t)の減少に応じた各時点で算出される煤煙の燃焼速度に相当する燃焼した煤煙の%:
【0182】
【数3】
100%の燃焼煤煙は、いかなる煤煙も含有しないPFによりこれらの条件で観察された最も低いレベルへの圧力降下の安定化に相当する。添加剤入り燃料で実施された試験の場合には、圧力降下は、再生試験の終了前に安定化するが、これは、この基準を予測する可能性を与える。添加剤が添加されていない燃料による試験の場合には、圧力降下は高いままであり、かつ、安定化しないが、これは、この基準を推定することを可能にしない。
・再生の間における燃焼粒子の質量は、装填前、装填後及び再生の終了時におけるPFの秤量操作から算出される。
一般に、これらのパラメーターが高ければ高いほど、再生はより効率的である。
これらの結果を表5にまとめる。
【0183】
【表5】
【0184】
燃料中における添加剤の存在は、450℃でPFの再生を獲得するという可能性を与えることが分かる。というのは、煤煙の94〜97%が35分後に450℃で燃焼するのに対し、いかなる添加剤も存在しないと、煤煙の18%しか燃焼しないからである。圧力降下をPF上で観察する場合にも同じことが当てはまるが、これは、添加剤の存在下ではさらに大きく減少する:両方の場合において、約85mbarから約30mbarまで降下するのに対し、いかなる添加剤もない場合には、450℃で35分後の圧力降下は、不完全な再生を示す65mbarよりも大きいままである。
【0185】
分散体同士を比較すると、例1の分散体(4nm結晶化粒子の分散体)は、例3の分散体(非晶質粒子の分散体)の再生速度及び5ppm(重量)の鉄に相当する低添加量についての再生速度に近い再生速度をもたらすことがわかる。逆に、例2の分散体(9nm結晶化粒子の分散体)の再生速度を得るためには、添加剤の量は、増加しなければならず、かつ、燃料中において7ppm(重量)の金属鉄と同等の量に達しなければならないが、これは、大きなサイズの結晶化粒子を有する分散体の効率がより低いことを実証するものである。
【0186】
これらの例の全体は、小さなサイズ(ここでは4nm)の磁鉄鉱及び/又は磁赤鉄鉱の結晶化粒子の分散体が低添加量で非常に効率的であると共に、特に燃料を劣化させないことが可能であることを示す。