(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
癌または神経変性障害の処置または予防のための医薬の製造を目的とする、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
同時または連続投与のための、治療的有効量の請求項1ないし10のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および第2の薬物を含む、組合せ剤。
【発明の概要】
【0010】
発明の概要
第一の面において、本発明は、式(I)
【化1】
[式中、
Xは、NまたはCHであり、
R
1は、
【化2】
〔式中、
R
18およびR
22は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシまたはヒドロキシ−C
1−3アルキル−であり、
R
19およびR
21は、独立して、水素、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、C
1−3アルコキシ、アミノ−C
1−3アルキル−、C
1−3アルキル−C(=O)−NH−、C
1−3アルキル−S(=O)
m−NH−またはヒドロキシ−C
1−3アルキル−であり、
mは、0、1または2であり、
R
20は、水素、ハロゲンまたはC
1−3アルコキシである。〕
であるか、または
R
1は、
【化3】
〔式中、
R
23は、水素またはメチルであり、
R
24は、水素、オキソまたはC
1−3アルキルである。〕
で示される基からなる群から選択され、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16およびR
17は、独立して、水素またはメチルであるか、
または、R
2およびR
8は一体となって、エチレン架橋を形成するか、
または、R
2およびR
6は一体となって、メチレン架橋を形成するか、
または、R
12およびR
14は一体となって、エチレン架橋を形成し、
Yは、O、CHR
25またはCR
26R
27(R
25は、ヒドロキシまたはC
1−3アルコキシであり、R
26およびR
27は、独立して、水素またはハロゲンである)である]
で示される化合物(ただし、式(I)の化合物は、2,6−ジ−モルホリン−4−イル−8−フェニル−9H−プリン以外である)、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0011】
第二の面において、本発明は、式(I)
【化4】
[式中、
Xは、NまたはCHであり、
R
1は、
【化5】
〔式中、
R
18およびR
22は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシまたはヒドロキシ−C
1−3アルキル−であり、
R
19およびR
21は、独立して、水素、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、C
1−3アルコキシ、アミノ−C
1−3アルキル−、C
1−3アルキル−C(=O)−NH−、C
1−3アルキル−S(=O)
m−NH−またはヒドロキシ−C
1−3アルキル−であり、
mは、0、1または2であり、
R
20は、水素、ハロゲンまたはC
1−3アルコキシである。〕
であるか、または
R
1は、
【化6】
〔式中、
R
23は、水素またはメチルであり、
R
24は、水素、オキソまたはC
1−3アルキルである。〕
で示される基からなる群から選択され、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16およびR
17は、独立して、水素またはメチルであるか、
または、R
5およびR
6は、一体となって、エチレン架橋を形成し、
Yは、O、CHR
25またはCR
26R
27(R
25は、ヒドロキシまたはC
1−3アルコキシであり、R
26およびR
27は、独立して、水素またはハロゲンである)である]
で示される化合物(ただし、式(I)の化合物は、2,6−ジ−モルホリン−4−イル−8−フェニル−9H−プリン以外である)、またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0012】
定義
本明細書で用いる用語“ハロゲン”または“ハロ”は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを意味する。
【0013】
本明細書で用いる用語“C
1−3アルキル”は、3個までの炭素原子を有する完全飽和の分枝状または非分枝状炭化水素基を意味する。C
1−3アルキルの代表的な例としては、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソ−プロピルが挙げられる。
【0014】
本明細書で用いる用語“C
1−3アルコキシ”は、C
1−3アルキル−O−(ここで、C
1−3アルキルは、上記で定義の通りである)を意味する。C
1−3アルコキシの代表的な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよび2−プロポキシが挙げられる。
【0015】
本明細書で用いる用語“ヒドロキシ−C
1−3アルキル”は、上記で定義のC
1−3アルキル基を意味し、ここで、C
1−3アルキル基の水素原子の1つが、OHにより置換されている。ヒドロキシ−C
1−3アルキルの代表的な例としては、ヒドロキシル−メチル、2−ヒドロキシ−エチル、2−ヒドロキシ−プロピルおよび3−ヒドロキシ−プロピルが挙げられるが、これに限定されない。
【0016】
本明細書で用いる用語“アミノ−C
1−3アルキル”は、上記で定義のC
1−3アルキル基を意味し、ここで、C
1−3アルキル基の水素原子の1つが、1級アミノ基により置換されている。ヒドロキシ−C
1−3アルキルの代表的な例としては、アミノ−メチル、2−アミノ−エチル、2−アミノ−プロピルおよび3−アミノ−プロピルが挙げられるが、これに限定されない。
【0017】
発明の詳細な説明
本発明は、クラスI PI3Kおよび/またはmTORの阻害により仲介される疾患、病状および/または障害の処置または予防に有用であり得る、化合物およびその医薬製剤を提供する。
態様1:上記の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
態様2:上記の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
態様3:態様1または態様2に記載の化合物(XがNである)、またはその薬学的に許容される塩。
態様4:態様1または態様2に記載の化合物(XがCHである)、またはその薬学的に許容される塩。
【0018】
態様5:態様1ないし4のいずれかに記載の化合物(R
1が、
【化7】
〔式中、
R
18およびR
22が、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシまたはヒドロキシ−C
1−3アルキル−であり、
R
19およびR
21が、独立して、水素、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、C
1−3アルコキシ、アミノ−C
1−3アルキル−、C
1−3アルキル−C(=O)−NH−、C
1−3アルキル−S(=O)
m−NH−またはヒドロキシ−C
1−3アルキル−であり、
mが、0、1または2であり、
R
20が、水素、ハロゲンまたはC
1−3アルコキシである。〕
である)、またはその薬学的に許容される塩。
【0019】
態様6:態様5に記載の化合物(R
18、R
19、R
20、R
21およびR
22の少なくとも1つが水素ではない)、またはその薬学的に許容される塩。
態様7:態様1ないし4のいずれかに記載の化合物(R
1が、
【化8】
〔式中、
R
23は、水素またはメチルであり、
R
24は、水素、オキソまたはC
1−3アルキルである。〕
で示される基からなる群から選択される)、またはその薬学的に許容される塩。
【0020】
態様8:態様1ないし7のいずれかに記載の化合物(YがOである)、またはその薬学的に許容される塩。
態様9:態様1ないし7のいずれかに記載の化合物(YがCHR
26またはCR
27R
28である)、またはその薬学的に許容される塩。
【0021】
態様10:3−[2−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェノール;
3−(2,4−ジモルホリノ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェノール;
2,6−ビス−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−8−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−9H−プリン;
{2−フルオロ−5−[6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−メタノール;
2−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−8−(1H−インドール−4−イル)−6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
5−[2,6−ビス−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
{5−[2,6−ビス−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−2−メトキシ−フェニル}−メタノール;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−6−(8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−9H−プリン;
2−メトキシ−5−[6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−安息香酸;
{4−クロロ−3−[6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−メタノール;
3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−ベンジルアミン;
1−{3−[6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−エタノール;
2,6−ジ−モルホリン−4−イル−8−(1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−6−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2,6−ビス−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2,6−ビス−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
【0022】
1−[8−(1H−インドール−4−イル)−6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−2−イル]−ピペリジン−4−オール;
{3−[2,6−ビス−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−5−メトキシ−フェニル}−メタノール;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
{3−[2,6−ビス−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−4−フルオロ−フェニル}−メタノール;
8−(1H−インドール−4−イル)−6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2,6−ビス−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インダゾール−4−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニルアミン;
N−[3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−アセトアミド;
8−(2−メチル−1H−インドール−4−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
3−[2−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニルアミン;
N−[3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−メタンスルホンアミド;
{2−[2−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−メタノール;
[2−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−メタノール;
3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェノール;
[3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−メタノール;
【0023】
2−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェノール;
3−[2−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェノール;
3−(2,4−ジモルホリノ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェノール;
2,6−ビス−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−8−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−9H−プリン;
{2−フルオロ−5−[6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−メタノール;
2−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−8−(1H−インドール−4−イル)−6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
5−[2,6−ビス−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
{5−[2,6−ビス−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−2−メトキシ−フェニル}−メタノール;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−6−(8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−9H−プリン;
2−メトキシ−5−[6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−安息香酸;
{4−クロロ−3−[6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−メタノール;
3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−ベンジルアミン;
1−{3−[6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−エタノール;
2,6−ジ−モルホリン−4−イル−8−(1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−6−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2,6−ビス−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2,6−ビス−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
1−[8−(1H−インドール−4−イル)−6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−2−イル]−ピペリジン−4−オール;
{3−[2,6−ビス−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−5−メトキシ−フェニル}−メタノール;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
{3−[2,6−ビス−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−4−フルオロ−フェニル}−メタノール;
8−(1H−インドール−4−イル)−6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2,6−ビス−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
【0024】
8−(1H−インドール−4−イル)−6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インダゾール−4−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニルアミン;
N−[3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−アセトアミド;
8−(2−メチル−1H−インドール−4−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
3−[2−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニルアミン;
N−[3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−メタンスルホンアミド;
{2−[2−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−メタノール;
[2−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−メタノール;
3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェノール;
[3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−メタノール;
2−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェノール;
6−(3,3−ジメチル−モルホリン−4−イル)−8−(1H−インドール−6−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
6−(3,3−ジメチル−モルホリン−4−イル)−8−(1H−インドール−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−4−イル)−2−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−4−イル)−2,6−ビス−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2,6−ビス−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
【0025】
8−(1H−インドール−4−イル)−6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−(8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2−モルホリン−4−イル−6−(2−オキサ−5−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−6−(2−オキサ−5−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−(8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−6−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−(8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2−モルホリン−4−イル−6−(3−オキサ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−6−(3−オキサ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル)−9H−プリン;
6−(1H−インドール−4−イル)−4−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−(3−メチル−モルホリン−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;
6−(1H−インドール−4−イル)−2,4−ジ−モルホリン−4−イル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;
から選択される、態様1または態様2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0026】
態様11:3−[2−((2S,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェノール;
3−(2,4−ジモルホリノ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェノール;
2,6−ビス−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−8−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−9H−プリン;
{2−フルオロ−5−[6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−メタノール;
2−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−8−(1H−インドール−4−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
5−[2,6−ビス−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
{5−[2,6−ビス−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−2−メトキシ−フェニル}−メタノール;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−6−(8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−9H−プリン;
2−メトキシ−5−[6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−安息香酸;
{4−クロロ−3−[6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−メタノール;
3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−ベンジルアミン;
1−{3−[6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−エタノール;
2,6−ジ−モルホリン−4−イル−8−(1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−6−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2,6−ビス−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2,6−ビス−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
1−[8−(1H−インドール−4−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−2−イル]−ピペリジン−4−オール;
{3−[2,6−ビス−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−5−メトキシ−フェニル}−メタノール;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
{3−[2,6−ビス−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−4−フルオロ−フェニル}−メタノール;
【0027】
8−(1H−インドール−4−イル)−6−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−6−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2,6−ビス−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インダゾール−4−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニルアミン;
N−[3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−アセトアミド;
8−(2−メチル−1H−インドール−4−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
3−[2−((2S,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニルアミン;
N−[3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−メタンスルホンアミド;
{2−[2−((2S,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−メタノール;
[2−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−メタノール;
3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェノール;
[3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−メタノール;
2−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェノール;
3−[2−((2S,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェノール;
3−(2,4−ジモルホリノ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェノール;
2,6−ビス−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−8−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−9H−プリン;
{2−フルオロ−5−[6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−メタノール;
【0028】
2−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−8−(1H−インドール−4−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
5−[2,6−ビス−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
{5−[2,6−ビス−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−2−メトキシ−フェニル}−メタノール;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−6−(8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−9H−プリン;
2−メトキシ−5−[6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−安息香酸;
{4−クロロ−3−[6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−メタノール;
3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−ベンジルアミン;
1−{3−[6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−エタノール;
2,6−ジ−モルホリン−4−イル−8−(1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−6−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2,6−ビス−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2,6−ビス−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
1−[8−(1H−インドール−4−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−2−イル]−ピペリジン−4−オール;
{3−[2,6−ビス−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−5−メトキシ−フェニル}−メタノール;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
{3−[2,6−ビス−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−4−フルオロ−フェニル}−メタノール;
8−(1H−インドール−4−イル)−6−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−6−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2,6−ビス−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
【0029】
8−(1H−インドール−4−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インダゾール−4−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニルアミン;
N−[3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−アセトアミド;
8−(2−メチル−1H−インドール−4−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
3−[2−((2S,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニルアミン;
N−[3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−メタンスルホンアミド;
{2−[2−((2S,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−メタノール;
[2−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−メタノール;
3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェノール;
[3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−メタノール;
2−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェノール;
6−(3,3−ジメチル−モルホリン−4−イル)−8−(1H−インドール−6−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
6−(3,3−ジメチル−モルホリン−4−イル)−8−(1H−インドール−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−4−イル)−2−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−4−イル)−2,6−ビス−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2,6−ビス−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−6−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−(8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2−モルホリン−4−イル−6−(1S,4S)−2−オキサ−5−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
【0030】
8−(1H−インドール−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−6−(1S,4S)−2−オキサ−5−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−(8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−(8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2−モルホリン−4−イル−6−(3−オキサ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−6−(3−オキサ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル)−9H−プリン;
6−(1H−インドール−4−イル)−4−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;
6−(1H−インドール−4−イル)−2,4−ジ−モルホリン−4−イル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;
から選択される、態様1または態様2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0031】
1個または2個以上の不斉炭素原子が式(I)の化合物に存在し得るため、対応する式(I)の化合物は、純粋な光学活性形態または光学異性体混合物形態、例えばラセミ混合物形態で存在し得る。かかる純粋な光学異性体の全ておよびラセミ混合物を含むそれらの混合物の全ては、本発明の一部である。
【0032】
本明細書で用いる用語“異性体”は、同一分子式を有するが、原子の配列および配置が異なる、種々の化合物を意味する。また、本明細書で用いる用語“光学異性体”または“立体異性体”は、本発明の化合物に存在し得る立体異性体配置のいずれかを意味し、幾何異性体を含む。置換基は、炭素原子のキラル中心に結合し得ることが理解される。用語“キラル”は、それらの鏡像パートナーを重ね合わせることができない特性(property of non−superimposability)を有する分子を意味し、それに対して用語“アキラル”は、それらの鏡像パートナーに重ね合わせることができる分子を意味する。故に、本発明は、化合物のエナンチオマー、ジアステレオマーまたはラセミ体を含む。“エナンチオマー”は、互いに重ね合わせることができない鏡像である立体異性体対である。エナンチオマーの対の1:1混合物は、“ラセミ”混合物である。該用語は、ラセミ混合物を示すのに適当なとき、使用される。“ジアステレオ異性体”少なくとも2個の不斉原子を有するが、互いに鏡像ではない立体異性体である。絶対立体化学は、Cahn−lngold−Prelog R−Sシステムに従って特定される。化合物が純粋エナンチオマーの場合、各キラル炭素での立体化学は、RまたはSのいずれかによって特定され得る。絶対配置が未知の分解された化合物には、ナトリウムD線の波長で平面偏光を回転させる方向(右旋性−または左旋性)によって、(+)または(−)を指定することができる。本明細書に記載の任意の化合物は、1個またはそれ以上の不斉中心または軸を含み、絶対立体化学という観点からは、(R)−または(S)−と定義され得るエナンチオマー、ジアステレオマーおよび別の立体異性体形態を生じさせる場合がある。
【0033】
出発物質および方法の選択によっては、化合物は、可能性のある異性体の1つの形態またはその混合物、例えば純粋な光学異性体、または不斉炭素原子の数によってラセミ異性体混合物およびジアステレオ異性体混合物のような異性体混合物として存在し得る。本発明は、ラセミ混合物、ジアステレオ混合物および光学的に純粋な形態を含む、そのような可能性のある異性体全てを含むことを意図する。光学活性な(R)−および(S)−異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を用いて製造され得るか、または常套技術を用いて分解され得る。化合物が二重結合を含む場合、置換基は、EまたはZ配置であり得る。化合物が二置換されたシクロアルキルを含む場合、シクロアルキル置換基は、シス−またはトランス−配置を有し得る。
【0034】
本発明の中間体および化合物は、異なる互変異性体形態で存在し得ることも可能であり、全てのかかる形態は、本発明の範囲内に包含される。用語“互変異性体”または“互変異性体形態”は、低いエネルギー障壁を介して相互変換可能である、異なるエネルギーの構造異性体を意味する。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピックな互変異性体とも称する)にはプロトンの移動による相互変換、例えば、ケト−エノールおよびイミン−エナミン異性化が含まれる。プロトン互変異性体の特定の例は、プロトンが2個の環窒素間で移動し得るイミダゾール基である。原子価互変異性体には幾つかの結合電子の再編成による相互変換が含まれる。
【0035】
得られる異性体混合物は、例えばクロマトグラフィーおよび/または分別結晶により、構成要素の物理化学的相違に基づき、純粋な、または実質的に純粋な幾何または光学異性体、ジアステレオマー、ラセミ体へと分離され得る。
【0036】
最終生成物または中間体の得られるラセミ化合物は、例えは光学活性な酸または塩基により得られるそのジアステレオマー塩を分離し、その光学活性な酸性または塩基性化合物を遊離させることによる既知の方法により光学アンチポード(対掌体)へと分割され得る。特に塩基性部分は、それ故、例えば光学活性酸(例えば、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジ−O,O’−p−トルオイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸またはカンファー−10−スルホン酸)によって形成された塩の分別結晶により、本発明の化合物をその光学アンチポードへと分割するために使用され得る。ラセミ生成物はまた、キラル吸着剤を用いて、キラルクロマトグラフィー、例えば高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により分割され得る。
【0037】
本明細書で用いる用語“塩”または“塩類”は、本発明の化合物の酸付加塩または塩基付加塩を意味する。“塩類”は、特に“薬学的に許容される塩類”を含む。用語“薬学的に許容される塩類”とは、生物学的有効性を有し、本発明の化合物の特性を有する塩を意味し、典型的に、生物学的に、または他に望ましくない塩ではない。多くの場合、本発明の化合物は、アミノおよび/またはカルボキシル基、またはそれらと類似する基の存在により、酸および/または塩基性塩を形成し得る。
【0038】
一態様において、本発明は、本明細書に記載の遊離形の式(I)の化合物に関する。別の態様において、本発明は、本明細書に記載の塩形態の式(I)の化合物に関する。別の態様において、本発明は、本明細書に記載の酸付加塩形態の式(I)の化合物に関する。さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載の薬学的に許容される塩形態の式(I)の化合物に関する。別のさらなる態様において、本発明は、遊離形の実施例に記載の化合物のいずれか1つに関する。別のさらなる態様において、本発明は、塩形態の実施例に記載の化合物のいずれか1つに関する。別のさらなる態様において、本発明は、酸付加塩形態の実施例に記載の化合物のいずれか1つに関する。別のさらなる態様において、本発明は、薬学的に許容される塩形態の実施例に記載の化合物のいずれか1つに関する。
【0039】
薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸と共に形成され得て、例えば、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化物塩/臭化水素酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、カンファースルホン酸塩、塩化物/塩酸塩、クロロテオフィリン酸塩、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ポリガラクツロ酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩であり得る。
【0040】
塩を形成させ得る無機酸は、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸などを含む。塩を形成させ得る有機酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸およびスルホサリチル酸などを含む。薬学的に許容される塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基と共に形成され得る。
【0041】
塩を形成させ得る無機塩基は、例えばアンモニウム塩、および、周期表のI〜XIIの列の金属の塩を含む。ある態様において、塩は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛および銅から誘導される。特に適当な塩は、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩を含む。
【0042】
塩を形成させ得る有機塩基は、例えば第1級、第2級および第3級アミン、天然由来の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などを含む。ある有機アミン類は、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリン(cholinate)、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リジン、メグルミン、ピペラジンおよびトロメタミンを含む。
【0043】
本発明の薬学的に許容される塩は、塩基部分または酸部分から、慣用の化学的な方法によって合成され得る。一般的に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸形を化学量論的な量の適当な塩基(例えばNa、Ca、MgまたはKの水酸化物塩、炭酸塩、重炭酸塩など)と反応させることによって、または、これらの化合物の遊離塩基形を化学量論量の適当な酸と反応させることによって製造され得る。このような反応は、典型的に、水中また有機溶媒中または2種の混合物中で行われる。一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水性媒体の使用が、実用的な場合に望ましい。さらなる好適な塩のリストは、例えば“Remington's Pharmaceutical Sciences”, 20th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., (1985);および“Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use” by Stahl and Wermuth (Wiley−VCH, Weinheim, Germany, 2002)において見出され得る。
【0044】
さらに、本発明の化合物(それらの塩を含む)はまた、水和物の形態で得られ得るか、またはそれらの結晶化に使用される他の溶媒を含み得る。本発明の化合物は、本質的に、または計画的に、薬学的に許容される溶媒(水を含む)との溶媒和物を形成し得る。故に、本発明は、溶媒和物形態および非溶媒和物形態の両方を包含することを意図する。用語“溶媒和物”は、本発明の化合物(その薬学的に許容される塩を含む)と1種またはそれ以上の溶媒分子との分子複合体を意味する。かかる溶媒分子は、医薬分野で常用されるもの、例えば、水、エタノールなどであり、受容者に無害であることが公知である。用語“水和物”は、溶媒分子が水である場合の複合体を意味する。
【0045】
水素結合のドナーおよび/またはアクセプターとして作用可能な基を含む本発明の化合物、すなわち式(I)の化合物は、好適な共結晶形成剤(co−crystal former)と共結晶を形成することができる。これらの共結晶は、式(I)の化合物から、既知の共結晶形成法によって製造され得る。このような手順は、結晶化条件下で式(I)の化合物を共結晶形成剤と共に溶液中で、粉砕、加熱、共昇華、共融または接触させ、形成した共結晶を単離することを含む。好適な共結晶形成剤は、国際公開WO 2004/078163に記載されたものを含む。従って、本発明は、さらに、式(I)の化合物を含む共結晶を提供する。
【0046】
その塩、水和物および溶媒和物を含む本発明の化合物は、本質的に、または設計により、多形を形成し得る。
【0047】
本明細書に記載の式はまた、化合物の標識されていない形態または同位体標識された形態を示すことも意図される。同位体標識された化合物は、1個以上の原子が、選択された原子量または質量数を有する原子によって置き換えられていることを除き、本明細書に記載の式で示される構造を有する。本発明の化合物に挿入され得る同位体の例としては、
2H、
3H、
11C、
13C、
14C、
15N、
18F、
31P、
32P、
35S、
36Cl、
125Iのような水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体が挙げられる。本発明は、本明細書に記載の種々の同位体標識された化合物を含み、例えば、
3Hおよび
14Cのような放射性同位体が存在する化合物、または
2Hおよび
13Cのような非放射性同位体が存在する化合物を含む。かかる同位体標識された化合物は、薬物または基質組織分布アッセイを含む代謝試験(
14Cを用いる)、反応動態試験(例えば
2Hまたは
3Hを用いる)、検出または造影法、例えば陽電子放出断層撮影(PET)または単光子放射線コンピュータ断層撮影(SPECT)に、または患者の放射活性処置に有用である。特に、
18Fまたは標識化合物は、特にPETまたはSPECT試験に好ましいことがある。同位体標識された式(I)の化合物は、当業者に公知の慣用の方法または実施例に記載された方法と同様の方法によって、以前に用いた同位体標識していない反応材に代えて適当な同位体標識された反応材を用いて製造され得る。
【0048】
さらに、重い同位体、例えば重水素(すなわち、
2HまたはD)での置換は、大きな代謝安定性に基づくある種の治療利益、例えばインビボ半減期の延長または必要投与量の減少または治療指数の改善をもたらし得る。本明細書中、重水素は、式(I)の化合物の置換基とみなされることが理解される。重水素のようなより重い同位体の濃度は、同位体濃縮係数により定義され得る。本明細書で用いる用語“同位体濃縮係数”は、特定の同位体についての同位体量と天然での存在量の比率を意味する。本発明の化合物における置換基が重水素と記載されているとき、かかる化合物は各指定の重水素原子について少なくとも3500(各指定の重水素原子で52.5%重水素取り込み)、少なくとも4000(60%重水素取り込み)、少なくとも4500(67.5%重水素取り込み)、少なくとも5000(75%重水素取り込み)、少なくとも5500(82.5%重水素取り込み)、少なくとも6000(90%重水素取り込み)、少なくとも6333.3(95%重水素取り込み)、少なくとも6466.7(97%重水素取り込み)、少なくとも6600(99%重水素取り込み)、または少なくとも6633.3(99.5%重水素取り込み)の同位体濃縮係数を有する。
【0049】
本発明によると、薬学的に許容される溶媒和物は、結晶化の溶媒が、同位体置換されていてもよく、例えばD
2O、d
6−アセトン、d
6−DMSOである溶媒和物を含む。
【0050】
本発明の化合物は、化学分野で周知の方法と同様の方法を含む合成経路により、特に本明細書の記載に照らして合成され得る。出発物質は、一般的に、Aldrich Chemicals (Milwaukee, Wis.)のような商業的供給源から入手可能であるか、または当業者に周知の方法を用いて容易に製造され得る(例えば、Louis F. Fieser and Mary Fieser, Reagents for Organic Synthesis, v. 1−19, Wiley, New York (1967−1999 ed.)またはBeilsteins Handbuch der organischen Chemie, 4, Aufl. ed. Springer−Verlag, Berlin, 参考文献を含む(Beilstein online databaseにより利用可能)に一般的に記載の方法により製造される)。
【0051】
説明の目的のために、以下記載の反応スキームは、本発明の化合物ならびに重要な中間体を合成するための可能性のある経路を提供する。個々の反応工程のより詳細な記載については、以下の実施例部分を参照のこと。当業者は、本発明の化合物を合成するために他の合成経路が使用されてもよいことを認識し得る。特定の出発物質および反応材はスキームに記載され、以下に説明されるが、他の出発物質および反応材が、種々の誘導体および/または反応条件を提供するために容易に代用され得る。さらに、以下に記載の方法によって製造された化合物の多くは、当業者に周知の従来の化学を用いて、本明細書の記載に照らしてさらに修飾され得る。
【0052】
さらなる局面において、本発明は、遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物の製造方法に関し、
(a)式(I)の化合物において、XがNであるとき、式(IIa)
【化9】
[式中、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16およびR
17は、式(I)に定義の通りである]
で示される化合物を式(III)または(IV)
【化10】
[式中、R
1は式(I)に定義の通りである]
で示される化合物と反応させるか、または
【0053】
b)式(I)の化合物において、XがCHであるとき、式(IIb)
【化11】
[式中、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16およびR
17は、式(I)に定義の通りであり、PGは保護基である]
で示される化合物を式(III)または(IV)
【化12】
[式中、R
1は式(I)に定義の通りである]
で示される化合物と反応させ、その後、
i)得られた化合物を、要すれば、還元、酸化または他の官能基化を行い、
ii)存在する保護基を切断し、
iii)そのようにして得られた遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物を回収し、および/または
iv)要すれば、光学的に活性な異性体の混合物をそれらの個々の光学的に活性な異性体に分けることを含む方法に関する。
【0054】
該反応は、常套法に従って行われ得る。例えば、上記の工程(a)に記載の反応は、好適な金属触媒、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、好適な塩基、例えばフッ化セシウム、好適な溶媒、例えばアセトニトリル/水の存在下、かつ好適な温度、例えば50ないし150℃で、より好適には90ないし130℃で行われ得る。
【0055】
上記の工程(b)に記載の反応は、好適な触媒、例えば酢酸パラジウム(II)、好適な酸化剤、例えば酢酸銅(II)、好適な溶媒、例えば酢酸の存在下、かつ好適な温度、例えば0ないし50℃で、またはより好適な室温で行われ得る。
【0056】
他に特記されない限り、本明細書の範囲内で、本発明の化合物の特定の所望の最終生成物の構成要素ではない、容易に除去可能な基のみが、“保護基”と称される。かかる保護基によるかかる官能基の保護、保護基自体およびそれらの除去反応は、例えば標準参考書、例えばJ. F. W. McOmie, “Protective Groups in Organic Chemistry”, Plenum Press, London and New York 1973, in T. W. Greene, “Protective Groups in Organic Synthesis”, Third edition, Wiley, New York 1999, in “The Peptides”; Volume 3 (editors: E. Gross and J. Meienhofer), Academic Press, London and New York 1981, in “Methoden der organischen Chemie” (Methods of organic chemistry), Houben Weyl, 4th edition, Volume 15/I, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974, in H.−D. Jakubke and H. Jescheit, “Aminosaeuren, Peptide, Proteine” (Amino acids, peptides, proteins), Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, and Basel 1982, およびJochen Lehmann, “Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide und Derivate” (Chemistry of carbohydrates: monosaccharides and derivatives), Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974に記載されている。保護基の特性は、それらが、例えば、加溶媒分解、還元、光分解または生理的条件下での別の反応(例えば、酵素的切断)により(すなわち、望まれない二次的反応を生じることなく)容易に除去され得ることである。
【0057】
少なくとも1個の塩形成基を有する本発明の化合物の塩は、当業者に公知の方法により製造され得る。例えば、酸性基を有する本発明の化合物の塩は、該化合物を金属化合物、例えば好適な有機カルボン酸のアルカリ金属塩、例えば2−エチルヘキサン酸のナトリウム塩で、有機アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属化合物、例えば対応する水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩、例えば水酸化、炭酸もしくは炭酸水素ナトリウムもしくはカリウムで、対応するカルシウム化合物で、またはアンモニアもしくは好適な有機アミンで、または化学量論量もしくはほんの少し過剰量の好ましく使用される塩形成材で処理することにより形成され得る。本発明の化合物の酸付加塩は、慣習的な方法で、例えば、該化合物を酸または好適なアニオン交換材で処理することにより得られる。酸性および塩基性の塩形成基、例えば遊離カルボキシ基および遊離アミノ基を含む本発明の化合物の分子内塩は、例えば、酸付加塩のような塩類を、例えば、弱塩基を用いて等電点まで中和することによって、またはイオン交換体で処理することによって形成され得る。
【0058】
塩は、当業者に公知の方法に従って遊離化合物に変換され得る。金属塩およびアンモニウム塩は、例えば、好適な酸で処理することにより変換され、酸付加塩は、例えば、好適な塩基性物質で処理することにより変換され得る。
【0059】
不斉炭素原子を含む化合物に関して、該化合物は、個々の光学的に活性な異性体形またはそれらの混合物、例えばラセミ混合物またはジアステレオマー混合物として存在する。本発明は、個々の光学的に活性なRおよびS異性体の両方、ならびにその混合物、例えばラセミ混合物またはジアステレオマー混合物を包含する。さらに、本発明は、幾何異性体および位置異性体の全てを包含する。例えば、本発明の化合物が二重結合または縮合環を含むとき、シス形およびトランス形の両方、ならびにその混合物は、本発明の範囲内に包含される。
【0060】
ジアステレオマー混合物は、例えば、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶のような当業者に周知の方法により、その物理化学的相違に基づき、それらの個々のジアステレオマーに分離され得る。エナンチオマーは、適当な光学的に活性な化合物(例えば、キラルアルコールまたはモッシャーの酸塩化物のようなキラル補助基)と反応させてエナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオ異性体を分離し、個々のジアステレオ異性体を対応する純粋なエナンチオマーに変換すること(例えば、加水分解)により分離され得る。また、本発明の化合物のいくつかは、アトロプ異性体(例えば、置換されたビアリール)であり得て、それは本発明の一部とみなされる。エナンチオマーはまた、市販のキラルHPLCカラムの使用により分離され得る。
【0061】
本発明はさらに、本方法の全ての変形を含み、ここで、本発明の方法の何れかの段階で得られ得る中間産物は出発物質として使用され、残りの工程が行なわれるか、または出発物質が反応条件下でインサイチュウで形成されるか、または反応成分がそれらの塩類もしくは光学的に純粋な物質の形態で使用される。本発明の化合物および中間体はまた、当業者に一般に公知の方法によって互いに変換され得る。
【0062】
説明を目的として、以下に示す反応スキームは、本発明の化合物ならびに重要な中間体を合成するための可能性のある経路を提供する。個々の反応工程をより詳細に記載するために、以下の実施例部分を参照のこと。当業者は、他の合成経路が本発明の化合物を合成するために使用され得ることを認識し得る。特定の出発物質および反応材が以下のスキームおよび記載に示されるが、他の出発物質および反応材が、種々の誘導体および/または反応条件を供するために容易に代用され得る。さらに、以下に記載の方法により製造される化合物の多くが、当業者に周知の従来の化学を用いて、本明細書の記載に照らしてさらに修飾され得る。
【0063】
スキーム1. プリン化合物の合成のための一般的方法1
【化13】
【0064】
一般的に、式Iaの化合物は、市販の中間体Vから出発して、4工程のスキーム1に従い製造され得る。上記のスキームにおける個々の工程について、工程1は、官能基化されたモルホリノ中間体VIのような求核分子を用いる塩素置換による中間体VIIの製造を含む。中間体IXは、ジイソプロピルエチルアミンのような適当な塩基の存在下、ジメチルアセトアミドのような溶媒中、加熱しながら中間体VIIと中間体VIIIを反応させることにより製造され得る。工程3は、ジクロロメタンのような適当な溶媒中、臭素を用いることにより行われ得る、中間体IXから中間体IIaへの臭素化を含む。式Iaの標的化合物は、種々の市販のボロン酸または合成されたボロン酸、あるいは市販のパラジウム複合体によって例示されることが多い金属触媒を用いる、式IIIまたはIVのエステルを用いて、中間体IIaをカップリングすることにより製造され得る。
【0065】
スキーム2.ピロロピリミジン化合物の合成のための一般的方法
【化14】
【0066】
一般的に、式Ibの化合物は、市販の中間体Xから出発して、5工程のスキーム2に従い製造され得る。上記のスキーム2における個々の工程について、工程1は、官能基化されたモルホリノ中間体VIのような求核分子を用いる塩素置換による中間体XIの製造を含む。中間体XIIは、ジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下、ジメチルアセトアミドのような溶媒中、加熱しながら中間体XIと中間体VIIIを反応させることにより製造され得る。工程3は、水素化ナトリウムのような塩基およびテトラヒドロフランのような溶媒の存在下、ベンジルクロライドまたはSEM−クロライドのような適当な保護期を用いることにより行われる中間体XIIから中間体IIbへの保護を含む。工程4は、酢酸のような適当な溶媒、酢酸銅および市販のパラジウム触媒のような酸化剤の存在下、中間体IIbを適当なボロン酸とカップリングさせることを含む。構造Ibで例示される標的化合物への最後の工程は、酸塩基またはパラジウムのような適当な触媒を用いる保護基の除去を含む。
【0067】
スキーム3.ボロン酸エステルの合成のための一般的方法
【化15】
式IVのボロン酸エステル(式中、R
1は式(I)に記載の通りである)は、スキーム3に従い製造され得る。この工程は、市販のパラジウム触媒の存在下、ジオキサンのような溶媒中、80℃ないし120℃の範囲の温度で、式XIIIの置換アリールブロマイドまたはヘテロアリールブロマイドをビス(ピナコレート)ジボロンと反応させることを含む。
【0068】
以下、“本発明の薬物”と称される、遊離形または薬学的に許容される塩形の式(I)の化合物は、インビトロで試験したとき、有益な薬理学的特性を示し、故に、治療における医薬として有用であり得るか、または化合物研究の例えばツール化合物としての使用に有用であり得る。
【0069】
本発明の薬物は、クラスI PI3KおよびmTORの阻害剤である。クラスI PI3KおよびmTORに対する本発明の化合物の阻害特性は、以下に記載の試験において評価され得る。
【0070】
生物学的アッセイ
試験1:PI3キナーゼアッセイ
PI3KキナーゼGloアッセイ:50nLの化合物希釈物を、黒色384ウェル低体積Non Binding Styrene(NBS)プレート(Costar Cat. No. NBS#3676)に分配した。メタノール中の10mg/ml溶液として提供されたL−a−ホスファチジルイノシトール(PI)をガラス製試験管に移し、窒素ビーム下に乾燥させた。次いで、それを3%オクチルグルコシド(OG)にボルテックス処理により再懸濁させ、4℃で貯蔵した。KinaseGlo Luminescent キナーゼアッセイ(Promega, Madison/WI, USA)は、キナーゼ反応後に溶液に残るATP量を定量することにより、キナーゼ活性を測定する均一HTS法である。
【0071】
5μLのPI/OGとPI3Kサブタイプの混合物を添加した(表1)。キナーゼ反応を、最終体積10μL中に10mM TRIS−HCl pH7.5、3mM MgCl
2、50mM NaCl、0.05% CHAPS、1mM DTTおよび1μM ATPを含む5μlのATPミックスの添加により開始させ、室温で反応させた。10μlのKinase Gloで反応を停止させ、プレートを10分後、Synergy 2リーダーで、ウェルあたり0.1秒の積分時間を使用して読み出した。2.5μMのパン−クラス1 PI3キナーゼ阻害剤(標準)をアッセイプレートに添加して、キナーゼ反応の100%阻害とし、0%阻害を溶媒ビークル(90%DMSOの水溶液)で得た。標準を参照化合物として使用し、全アッセイプレートに16希釈点のデュプリケートの形態で包含させた。
【0072】
PI3Kのクローニング
PI3Kα構築物は、p85α iSH2ドメインおよび各p110アイソフォームの融合物である。p85αフラグメントおよびp110アイソフォーム遺伝子を、以下に記載する胎盤、精巣および脳由来の市販RNAからRT−PCRにより作製した一本鎖cDNAからPCRにより得た。
【0073】
PI3Kα構築物およびタンパク質
BV1075:バキュロウイルスBV1075のための構築を、p85フラグメントおよびベクターpBlueBac4.5にクローン化したp110αフラグメントから成る3者ライゲーション(three−part ligation)により作製した。p85フラグメントはNhe/Speで消化したプラスミドp1661−2であった。このクローン由来のp110αフラグメントを配列決定により確認し、LR410においてSpeI/HindIIIフラグメントとして使用した。バキュロウイルス発現ベクターLR410の作製のために、インサートをGateway適合pBlueBac4.5(Invitrogen)ベクターに移すためのゲイトウェイLR反応を使用した。クローニングベクターpBlueBac4.5(Invitrogen)をNhe/HindIIIで消化させた。これにより構築物PED 153.8が得られた。p85構成要素(iSH2)を、鋳型としてORF318および順方向プライマーKAC1028(5’−gctagcatgcgagaatatgatagat−tatatgaag−aatatacc)(配列番号1)および2種の逆方向プライマーKAC1029(5’−gcctccaccac−ctccgcctg−gtttaatgctgttcatacgtttgtc)(配列番号2)およびKAC1039(5’−tactagtc−cgcctccac−cacctccgcctccaccacctccgcc)(配列番号3)を使用するPCRにより作製した。2種の逆方向プライマーは重複し、12xGlyリンカーおよびp110α遺伝子のN末端配列をSpeI部位に取り込む。PCRフラグメントをpCR2.1 TOPO(Invitrogen)にクローニングした。得られたクローンのうち、p1661−2が配列決定により正しいと決定された。このプラスミドをNheおよびSpeIで消化し、得られたフラグメントをサブクローニングのためにゲル単離および精製した。
【0074】
p110αクローニングフラグメントを、クローンLR410(上記参照)のSpeIおよびHindIIIでの酵素消化により作製した。SpeI部位はp110α遺伝子のコーディング部位に存在する。得られたフラグメントをサブクローニングのためにゲル単離および精製した。クローニングベクターpBlueBac4.5(Invitrogen)をNheおよびHindIIIでの酵素消化により作製した。切断ベクターをQiagenカラムから精製し、その後ウシ腸アルカリホスファターゼ(CIP)(BioLabs)で脱リン酸化した。CIP反応の完了後、切断ベクターを再びカラム精製して、最終ベクターを作製した。Roche Rapidリガーゼをメーカー仕様で用いて3者ライゲーションを行った。最終プラスミドを配列決定により確認した。
【0075】
BV1075(配列番号:4)のタンパク質配列:
【表1】
【0076】
PI3Kα構築物の精製
PI3Kαを2回のクロマトグラフィー工程により精製した:Niセファロース樹脂(GE Healthcare)上の固定化金属親和性クロマトグラフィー(IMAC)およびSuperdex 200 26/60カラム(GE Healthcare)を使用するゲル濾過。全緩衝液を4℃に冷却し、溶解を氷上で冷やしながら行った。カラム分画を室温で行った。
【0077】
典型的に10LのTn5細胞培養からの凍結細胞を、“溶解緩衝液”(20mM Tris−Cl、pH7.5、500mM NaCl、5%グリセロール、5mM イミダゾール、1mM NaF、0.1ug/mL オカダ酸(OAA)、5mM BME、1xEDTA無添加コンプリートプロテアーゼ阻害剤カクテル(20錠/1L緩衝液、Roche Applied Sciences)、ベンゾナーゼ(25U/mL緩衝液、EMD Biosciences))に、1:6v/vペレット対溶解緩衝液比で再懸濁させ、密接に適合した杵を使用する20回のダウンシングにより機械的に溶解させた。溶解物を45,000gで30分間遠心分離し、上清を予め平衡化したIMACカラムに充填した(3mL樹脂/100mL溶解物)。カラムを3−5カラム体積の溶解緩衝液で洗浄し、続いて3−5カラム体積で、20mM Tris−Cl、pH7.5、500mM NaCl、5%グリセロール、45mM イミダゾール、1mM NaF、0.1μg/mL OAA、5mM BME、1×Completeプロテアーゼ阻害剤カクテル−EDTA不含有で2回目の洗浄をした。タンパク質を20mM Tris−Cl、pH7.5、0.5M NaCl、5%グリセロール、250mM イミダゾール、1mM NaF、0.1μg/mL OAA、5mM BME、1×EDTA無添加コンプリートプロテアーゼ阻害剤カクテルで溶出した。適切な画分をSDS−PAGEで分析し、それに従いプールした。タンパク質をさらに20mM Tris−Cl、pH7.5、0.5M NaCl、5%グリセロール、1mM NaF、5mM DTT、1×EDTA無添加コンプリートプロテアーゼ阻害剤カクテルで平衡化したSuperdex 200 26/60カラムでのゲル濾過により精製した。適切な画分をSDS−PAGEで分析し、それに従いプールした。当量の透析緩衝液(20mM Tris−Cl、pH7.5、500mM NaCl、50%グリセロール、5mM NaF、5mM DTT)をプールに添加し、2回変えて透析緩衝液に対して透析した(一晩1回交換)。タンパク質を−20℃で貯蔵した。
【0078】
試験2:mTOR生化学アッセイ
mTOR相互作用化合物のIC50値を、FRAP1/mTOR TR−FRETトレーサーアッセイ(Invitrogen by Life Technologies)を用いて評価した。FRAP1/mTOR(PV4753)およびLanthaScreen Eu−Anti−GST 抗体(PV5594)(全容量14μL)をProxiPlate−384プラス(Perkin−Elmer)384ウェルプレートの各ウェルに添加した。化合物をDMSOで連続希釈し(12点、4x希釈係数)、次いで、1μLの希釈した化合物を各ウェルに添加し、Biomek FX(Beckman Coulter)を用いてピペッティングすることにより混合した。5μLのmTORキナーゼ トレーサー314(PV6087)を各ウェルに添加し、混合し、プレートを室温にて1時間インキュベートした。成分の終濃度は、6nM FRAP1/3nM LanthaScreen Eu−Anti−GST 抗体/50nM mTOR キナーゼトレーサー314/非標識化合物、4.8*10
−6−20μMである。最終アッセイ緩衝液組成は、50mM HEPES(pH7.5)、50mM NaCl、5mM MgCl
2、1mM EGTA、0.01% Pluronic F−127である。プレートを、プレートリーダー(Perkin Elmer, EnVision)中、励起340nmおよび2種の波長の発光1 665nmおよび発光2 615nmを用いて測定した。各ウェルのTR−FRET比(発光1 665/発光2 615)を、GraphPad Prismソフトウェアを用いて化合物濃度に対してプロットし、IC50値を、異常値を除外して非線形回帰を用いて決定した。
【0079】
試験3:TSCアッセイ
以下は、構成的に活性なmTORの阻害のための化合物を試験するための、TSC1−/−マウス胚線維芽細胞(MEF)を利用するハイコンテストイメージングアッセイの記述である。該アッセイは、市販の抗体を用いるホスホ−S6(240/244)の染色および蛍光標識した二次抗体での検出に基づく。このアッセイにより、mTORを阻害する化合物についてのIC50値が得られる。pS6 240/244レベルの変化を視覚化し、測定するための、イメージングプロトコールおよび画像認識アルゴリズムを本明細書に記載する。
【0080】
ハイコンテントイメージングおよび分析を用いるpS6染色の定量
1. 0日目:細胞のプレーティング。サブコンフルエントのTSC1−/−MEFを、トリプシン処理により採取し、増殖培地に再懸濁し、計数した。166,666細胞/mLの細胞懸濁液を調整し、30μLを、マルチチャンネル電動ピペットを用いて384ウェルプレートの複数のウェルに添加した。その結果、5000細胞/ウェルがプレーティングされた。プレートを短時間スピンダウンし、37℃および5%CO
2でプレーティングした。
【0081】
2. 1日目:細胞プレートを、384ウェルプレートウォッシャーを用いてPBS不含有溶液(グルコース、重炭酸ナトリウム、HEPESおよびフェノールレッドを含む)中で洗浄した。洗浄プロトコールは30μL/ウェルまで吸引し、その後、60μL/ウェルのPBS不含有溶液を加える。吸引および添加工程を8回繰り返し、30μL/ウェルの終容量を残す。細胞プレートを37℃および5% CO
2で2時間置く。
化合物処理。化合物用量反応をDMSO中で調整する。その後、用量反応物を媒体で1:50に希釈する。希釈された化合物10μlを30ulの細胞に添加し、最終的に1:200希釈の元の化合物および最終0.5%のDMSOが得られる。化合物処理をトリプリケートで行う。プレートを37℃および5% CO
2で2時間置く。その後、細胞を、10μL/ウェルの5x濃縮 Mirsky’s fixativeを添加して固定する。これにより1ウェルあたり全量50μLおよび1xMirsky’s fixativeの濃度となる。細胞プレートを短時間スピンダウンし、室温で1時間インキュベートする。その後、細胞を、吸引により30μL/ウェルまで容量を下げ、次いで60μL/ウェル 1xTBSを添加するプロトコールを用いて、384ウェルプレートウォッシャーを用いて洗浄する。吸引および添加工程を8回繰り返し、次いで、さらなる吸引工程を行い、10μL/ウェルの最終容量を残す。その後、ブロック緩衝液(1xTBS+0.1%トライトンX−100+0.1%BSA)を25μL/ウェルで添加し、プレートを室温で30分間インキュベートする。その後、細胞プレートを吸引により10μL/ウェルまで容量を下げる。一次抗体(ホスホ−S6 リボソームタンパク質(Ser240/244)(61H9)ウサギ mAb 細胞シグナリング #4838)を、ブロック緩衝液で1:150に希釈し、次いで、10μL/ウェルを細胞プレートに添加する。プレートを4℃で一晩インキュベートする。
【0082】
3. 2日目:細胞プレートを、上記に詳述した1xTBS法を用いて洗浄し、次いで二次抗体溶液を10μL/ウェル(二次抗体溶液:ブロック緩衝液+Hoechst 10ug/ml+ヤギ抗ウサギ Cy5 二次抗体(希釈 1:150))(ヤギ抗ウサギ IgG Cy5: Chemicon International #AP187 / Hoechst 33342: Invitrogen #H3570)で添加する。プレートを室温で1時間インキュベートし、次いで、上記に詳述したプロトコールを用いて、最後の吸引工程はせず、1xTBSで洗浄して、終容量90μL TBS/ウェルとする。
イメージング。プレートの底を70%エタノールで拭き、次いでInCell 1000 自動化落射蛍光顕微鏡を用いて画像化する。倍率10xを用い、1領域(フィールド)を1ウェルあたり画像化し、これは典型的に1ウェルあたり、およそ計400個の細胞を捕らえる。Hoechst33342イメージは、360nmの励起(D360_40x フィルター)、460nMの放射(HQ460_40M フィルター)および200ミリ秒の暴露時間を用いて得られる。Cy5イメージは、620nmの励起(Chroma 620_60X フィルター)、700nMの放射(Chroma HQ700_75M フィルター)および200ミリ秒の暴露時間を用いて得られる。ダブルバンドパスミラーを全ての画像に用いる。
【0083】
4. 画像分析:InCell分析ソフトウェアを、デュアル オブジェクト アルゴリズムを用いて、画像を分析するために用いる。初めに、核をトップハット区画および10μm
2の最小核エリアを用いてHoechst33342 画像中で検出する。次に、細胞を核の円周囲0.7μmを用いて定義する。該周囲内部のCy5蛍光強度を測定し(細胞強度)、結果を“1細胞あたりの平均”に基づき報告する。
5. IC50計算:IC50値を、細胞強度値をy軸上に、用量応答値をx軸上にプロットして計算する。IC50値は、mTORに対する化合物の有効性を表す。
【0084】
試験4:自食作用アッセイ
自食作用は、アミノ酸および脂肪酸が再利用されるのを可能にする、リソソーム区画における大量の細胞質ゾルを分解する異化経路である。自食作用の重要な調節因子の1つは、保存されたセリン/スレオニンキナーゼであるラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)であり、それは、栄養、増殖因子およびエネルギーを利用可能なとき、自食プロセスの開始を阻止する。mTOR阻害剤による自食作用誘導を定量するために、本発明者らは、レトロウイルスから哺乳動物細胞への送達、安定な発現、蛍光顕微鏡による分析に適する、mCherry−GFP−LC3レポーターを用いる。
【0085】
mCherry−GFP−LC3レポーター
mCherry−GFP−LC3コンストラクトのアミノ酸配列を以下に示す(配列番号:5)。mCherry配列に下線を付し、GFP配列を太字とし、LC3A配列を囲む。
【表2】
視覚化し、自食経路の変化を測定するための、イメージングプロトコールおよび画像認識アルゴリズムを以下に記載する。
【0086】
ハイコンテストイメージングおよび分析を用いる自食作用の定量化
1. 0日目:細胞播種。サブコンフルエントなH4 mCherry−GFP−LC3細胞をトリプシン処理により集め、増殖培地中に再懸濁し、計数する(H4細胞:ヒト神経膠腫細胞株(ATCC))。66,000細胞/mLの細胞懸濁液を調整し、マルチチャンネル電動ピペットを用いて384ウェルプレートのウェルに30μLを添加する。これにより、2000細胞/ウェルが播種される。該細胞プレートを短時間スピンダウンし、37℃および5%CO
2に置く。
【0087】
2. 1日目:化合物処理。化合物用量反応をDMSO中で調整する。次いで、用量反応を媒体で1:50に希釈する。10ulの希釈した化合物を30ulの細胞に添加し、最終的に元の化合物の1:200希釈物、かつ0.5% DMSOを得る。化合物処理をトリプリケートで行う。384ウェルプレートを37℃および5%CO
2に置く。化合物処理を16−18時間行う(以下の特記1を参照のこと)。
【0088】
3. 2日目:細胞固定。25μg/mL Hoechst33342を添加した5x濃縮 Mirsky’s fixativeを10μL/ウェル添加することにより細胞を固定する。これにより、1ウェルあたり全量50μL、1xMirsky’s fixativeの濃度および5μg/mLのHoechst33342となる。384ウェルプレートを短時間スピンダウンし、室温で1時間インキュベートする。その後、細胞を、吸引により10μL/ウェルまで容量を下げ、次いで100μL/ウェル 1xTBSを添加するプロトコールを用いて、384ウェルプレートウォッシャーを用いて洗浄する。吸引および添加工程を4回繰り返し、100μL/ウェルの最終容量を残す。プレートをアドヒシブPCRホイルを用いて密封する。
【0089】
4. イメージング。プレートの底を70%エタノールで拭き、次いでInCell 1000 自動化落射蛍光顕微鏡を用いて画像化する。倍率20xを用い、4つの異なる領域(フィールド)を1ウェルあたり画像化し、これは典型的に1ウェルあたり、およそ計400個の細胞を捕らえる。Hoechst33342イメージは、360nmの励起(D360_40x フィルター)、460nMの放射(HQ460_40M フィルター)および150ミリ秒の暴露時間を用いて得られる。GFPイメージは、475nmの励起(S475_20x フィルター)、535nMの放射(HQ535_50M フィルター)および1秒の暴露時間を用いて得られる。mCherry画像は、535nmの励起(Q535_50x filter)、620nMの放射(HQ620_60M フィルター)および1秒の暴露時間を用いて得られる。4重のバンドパスミラーを全ての画像に用いる。
【0090】
5. 画像分析。InCell分析ソフトウェアを、マルチターゲット分析アルゴリズムを用いて、画像を分析するために用いる。初めに、核をトップハット区画および50μm
2の最小核エリアを用いてHoechst33342 画像中で検出する。次に、斑点(オルガネラ)をマルチ−トップハットセグメンテーションを用いて細胞内部のmCherry画像中で同定する。第3に、mCherry斑点の遮蔽を、GFP画像上に移す。
第4に、mCherry斑点遮蔽部の内部のGFP蛍光強度を測定する(参照強度)。
【0091】
6. “オルガネラ”パラメーターは、mCherry−GFP−LC3レポーターのmCherry−陽性斑点を反映し、“LC3斑点/細胞”を計数するために使用される。この目的のために、1細胞あたりのオルガネラの数が計算され、所定のウェルにおける全ての細胞について平均化した(細胞当たりの平均)。mCherry−陽性 LC3 斑点数(y軸)を、化合物用量応答値(x軸)に対してプロットし、EC50値を各化合物について計算する。EC50値は、自食作用活性化(例えば、mCherry−陽性 LC3 斑点数の増加)の点から化合物の有効性をを表す。
【0092】
特記
1. 自食作用の調節およびmCherry−GFP−LC3の再分配は、化合物処理の3−4時間後には既に観察できる。しかしながら、よりロバストな効果が16−18時間の処理で観察される。
【0093】
実施例の化合物は、上記のアッセイで試験したとき、以下の表1に示される値を示した。
【表3】
【0094】
本明細書で用いる用語“薬学的に許容される担体”は、当業者に公知であり得る、何れかのおよび全ての溶媒、分散液媒体、コーティング剤、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤(例えば、抗細菌剤、抗真菌剤)、等張剤(isotonic agent)、吸収遅延剤、塩類、防腐剤、薬物、薬物安定化剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑剤、甘味料、香味剤、色素など、およびそれらの組み合わせを含む(例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. Mack Printing Company, 1990, pp. 1289−1329を参照のこと)。何れの慣用の担体も、有効成分と相溶性である限り、治療用組成物または医薬組成物におけるその使用が意図される
【0095】
用語“治療的有効量”の本発明の化合物は、対象の生物学的または医学的応答を生じさせ得る量、例えば酵素またはタンパク質の活性を減少させるまたは阻害する、症状を寛解させる、病状を緩和する、疾患の進行を遅らせる、または疾患を予防するなどの量の本発明の化合物を意味する。一つの非限定的な態様において、用語“治療的有効量”は、対象に投与されたとき、(1)(i)クラスI・PI3Kおよび/またはmTORが介在する、または(ii)クラスI・PI3Kおよび/またはmTOR活性に関連する、または(iii)クラスI・PI3Kおよび/またはmTORの(正常なまたは異常な)活性によって特徴付けられる、病状、障害または疾患を、少なくとも一部、緩和する、阻害する、予防する、および/または寛解させる;または(2)クラスI・PI3Kおよび/またはmTORの活性を低下させるまたは阻害するのに有効である、本発明の化合物の量を意味する。別の非限定的な態様において、用語“治療的有効量”は、細胞、組織、非細胞生物学的物質または培地に投与したとき、クラスI・PI3Kおよび/またはmTORの活性を少なくとも一部低下させるまたは阻害するのに有効である、本発明の化合物の量を意味する。上記のクラスI PI3Kおよび/またはmTORについての態様で記載された用語“治療的有効量”の意味はまた、他の何れかの関連するタンパク質/ペプチド/酵素、例えばクラスIIまたはIII・PI3Kについて同じ意味で適用する。
【0096】
本明細書で用いる用語“対象”は、動物を意味する。典型的には、動物は哺乳動物である。対象はまた、例えば霊長類(例えばヒト、男性または女性)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚類、鳥類などを意味する。ある態様において、対象は、霊長類である。さらに他の態様において、対象はヒトである。
【0097】
本明細書で用いる用語“阻害”は、所定の病状、症状、障害または疾患の軽減または抑制、あるいは、生物学的活性またはプロセスのベースライン活性の顕著な減少を意味する。
【0098】
本明細書で用いる、何らかの疾患または障害についての用語“処置”は、一つの態様において、疾患または障害を寛解させる(すなわち疾患またはその少なくとも1つの臨床症状の発症を遅らせる、阻止するまたは減少させる)ことを意味する。他の態様において、“処置”は、患者に認識されないものを含む身体的パラメーターの少なくとも一つを緩和するまたは寛解させることを意味する。さらに他の態様において、“処置”は、疾患または障害を、身体的に(例えば認識可能な症候の安定化)、生理学的に(例えば身体パラメーターの安定化)またはその両方を調節することを意味する。
【0099】
本明細書で用いる、何れかの特定の疾患または障害についての用語“予防”は、疾患または障害の何らかの症状が現れる前に、対象に本発明の化合物を投与することを意味する。
【0100】
本明細書で用いるとき、対象が、処置により、生物学的に、医学的にまたはクォリティー・オブ・ライフにおいて利益を得るならば、処置を“必要とする”。
【0101】
本明細書で用いる用語“a”、“an”、“the”および同様の用語は、本明細書の記載(特に特許請求の範囲の記載)で用いられるとき、他に特記しない限り、または、本明細書の記載に明らかに矛盾しない限り、単数および複数の双方を含むと解釈されるべきである。何れかの、および全ての例または例示的表現(例えば、“のような”)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、他に記載しない限り、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0102】
用語“本発明の化合物”(他に特に記載されない限り)は、式(I)の化合物、実施例に記載の化合物、かかる化合物の薬学的に許容される塩、および/またはかかる化合物の水和物もしくは溶媒和物、ならびに、全ての立体異性体(ジアステレオ異性体およびエナンチオマーを含む)、互変異性体および同位体標識された化合物(重水素化化合物を含む)を意味する。
【0103】
本発明の化合物は、クラスI PI3KおよびmTOR酵素の阻害により調節される疾患、病状および障害の処置に有用である;従って、本発明の化合物(そこで使用される組成物および製造方法を含む)は、本明細書に記載の治療適用のための医薬の製造において使用され得る。故に、本発明の別の態様は、治療的有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される賦形剤、希釈剤もしくは担体を含む医薬組成物である。本発明の別の態様において、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される賦形剤、希釈剤もしくは担体を含む医薬組成物が提供される。
【0104】
典型的な製剤は、本発明の化合物および担体、希釈剤または賦形剤を混合することにより製造される。好適な担体、希釈剤および賦形剤は、当業者に周知であり、炭水化物、ワックス、水溶性および/または膨潤性ポリマー、親水性または疎水性物質、ゼラチン、オイル、溶媒、水などのような物質が挙げられる。使用される特定の担体、希釈剤または賦形剤は、本発明の化合物が適用される手段および目的によって変わり得る。溶媒は、一般的に、哺乳動物への投与に安全である(GRAS)として当業者に認識される溶媒に基づいて選択される。一般的に、安全な溶媒は、水のような非毒性水性溶媒および水に可溶性または混和性の他の非毒性溶媒である。好適な水性溶媒としては、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール類(例えば、PEG400、PEG300)など、およびそれらの混合物が挙げられる。製剤はまた、1種またはそれ以上の緩衝液、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、滑剤、乳化剤、懸濁化剤、防腐剤、抗酸化剤、不透過剤(opaquing agents)、流動促進剤、処理助剤、着色剤、甘味剤、香料、風味剤および、薬物(すなわち、本発明の化合物またはその医薬組成物)の洗練された体裁を提供するか、または医薬品(すなわち、医薬)の製造の助けとなる他の既知の添加剤も含んでよい。
【0105】
製剤は、従来の溶解および混合手順を使用して製造され得る。例えば、バルク薬物(すなわち、本発明の化合物または該化合物の安定化形態(例えば、シクロデキストリン誘導体または他の既知の複合体形成物質との複合体))を、添加剤の1種または複数の存在下で好適な溶媒に溶解させる。本発明の化合物は、典型的に、容易に制御可能な薬物投与量を提供し、患者に洗練されかつ取り扱いやすい製品を供するために、医薬品剤形に製剤される。
【0106】
本発明の医薬組成物(または製剤)は、薬剤を投与するのに使用される方法に応じて種々の方法で包装され得る。一般的に、販売品は、その中に適当な形態の医薬製剤が配置された容器を包含する。好適な容器は当業者に周知であり、瓶(プラスチック製およびガラス製)、サシェ剤、アンプル、プラスチック製袋、金属製シリンダなどのような材料が挙げられる。容器はまた、パッケージ内容に無分別にアクセスることを防止するために、不正開封集合体も含み得る。加えて、容器は、その上に容器の内容物を記載するラベルが付されている。該ラベルはまた、適当な警告を含み得る。
【0107】
一態様において、本発明は、PI3Kおよび/またはmTORにより仲介される腫瘍および/または癌性細胞増殖のような細胞性増殖性疾患の処置に関する。疾患は、PI3Kα、Rhebの過剰発現もしくは増幅、PIK3CAの体細胞突然変異もしくは生殖細胞変異、またはPTEN、TSC1、TSC2の体細胞突然変異、またはp85−p110複合体を上方制御するように働くp85αの変異および転座を示すものを含み得る。特に、本化合物は、例えば、肉腫;肺;気管支;前立腺;乳房(孤発性乳癌およびカウデン病罹患者を含む);膵臓;消化器癌;結腸;直腸;結腸癌腫;結腸直腸腺腫;甲状腺;肝臓;肝内胆管;肝細胞;副腎;胃;胃の;神経膠腫;神経膠芽腫;子宮内膜;黒色腫;腎臓;腎盂;膀胱;子宮体;子宮頸;膣;卵巣;多発性骨髄腫;食道;白血病;急性骨髄性白血病;慢性骨髄性白血病;リンパ性白血病;骨髄性白血病;脳;脳の癌腫;口腔および咽頭;喉頭;小腸;非ホジキンリンパ腫;黒色腫;絨毛結腸腺腫;新生物;上皮特性の新生物;リンパ腫;乳癌腫;基底細胞癌腫;扁平上皮細胞癌腫;光線性角化症;固形腫瘍を含む腫瘍疾患;頭頚部の腫瘍;真性多血症;本態性血小板血症;骨髄異型を伴う骨髄線維症;およびワルデンシュトレーム疾患(身体の部位、臓器等のみを掲げている場合、そこに発生する上皮癌、腺癌、肉腫その他の腫瘍を含む)を含む、ヒトまたは動物(例えばマウス)癌の処置に有用であり得る。
【0108】
他の態様において、(例えばPI3Kにより仲介される)病状または障害は、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、骨髄化生を伴う骨髄線維症、喘息、COPD、ARDS、レフレル症候群、好酸球性肺炎、寄生虫(特に後生動物)感染(熱帯好酸球増加症を含む)、気管支肺アスペルギルス症、結節性多発性動脈炎(チャーグ・ストラウス症候群を含む)、好酸球性肉芽腫、薬剤応答により誘発される気道に影響する好酸球関連障害、乾癬、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、多形性紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑症、過敏性血管炎、蕁麻疹、類天疱瘡、エリテマトーデス、天疱瘡、後天性表皮水疱症、自己免疫性血液学的障害(例えば溶血性貧血、再生不良性貧血、赤芽球癆(pure red cell anaemia)および特発性血小板減少症)、全身性エリテマトーデス、多発性軟骨炎、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、スティーブン−ジョンソン症候群、特発性スプルー、自己免疫性炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎およびクローン病)、内分泌眼疾患、グレーブス病、サルコイドーシス、肺胞炎、慢性過敏性肺炎、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎(前部および後部)、間質性肺線維症、乾癬性関節炎、糸球体腎炎、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、高血圧、深部静脈血栓症、卒中、心筋梗塞、不安定狭心症、血栓塞栓症、肺塞栓症、血栓溶解疾患、急性動脈性虚血、末梢血栓性閉塞、および冠動脈疾患、再灌流傷害、網膜症、例えば糖尿病性網膜症または高圧酸素誘発網膜症、および眼内圧上昇または眼性水性体液の分泌の増加により特徴付けられる状態、例えば緑内障からなる群から選択される。
【0109】
mTORキナーゼ活性の調節異常への確立しているか、または潜在的な分子連鎖を伴うさらなる症候群は、例えば、“K. Inoki et al. ; Disregulation of the TSC−mTOR pathway in human disease, Nature Genetics, vol 37, 19−24”;“D. M. Sabatini; mTOR and cancer: insights into a complex relationship, Nature Reviews, vol. 6, 729−734”;および“B. T. Hennessy et al. ; Exploiting the PI3K/Akt pathway for cancer drug discovery, Nature Reviews, vol. 4, 988−1004”に記載されており、以下の通りである。
・例えば、心臓、肺、心−肺同時、肝臓、腎臓、膵臓、皮膚または角膜移植の移植受容者の処置、臓器または組織移植拒絶;例えば骨髄移植後の移植片対宿主疾患
・再狭窄
・結節硬化症
・リンパ脈管筋腫症
・網膜色素変性症および他の網膜変性障害
・脳脊髄炎、インスリン依存性真性糖尿病、狼瘡、皮膚筋炎、関節炎およびリウマチ性疾患を含む、自己免疫疾患
・ステロイド耐性急性リンパ芽球性白血病
・強皮症、肺線維症、腎臓線維症、嚢胞性線維症を含む、線維症
・肺高血圧
・免疫調節疾患剤
・多発性硬化症
・VHL症候群
【0110】
・カーニー複合疾患
・家族性腺腫性ポリポージス
・若年性ポリポージス症候群
・バート−ホッジ−デューブ症候群
・家族性肥大型心筋症
・ウォルフ−パーキンソン−ホワイト症候群
・パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病およびtau変異により引き起こされる認知症、脊髄小脳失調症3型、SOD1変異により引き起こされる運動神経疾患、ニューロンセロイド脂褐素症/バッテン病(小児神経変性疾患)のような神経変性障害
・滲出型および非滲出型黄斑変性症
・筋萎縮(萎縮、カヘキシー)およびダノン病のようなミオパシー
・結核菌、グループAストレプトコッカス、HSVタイプI、HIV感染を含む、細菌およびウイルス感染
・神経線維腫症1型を含む神経線維腫症、および
・ポイツ−ジェガーズ症候群、カウデン病。
【0111】
mTORC1の阻害活性を有する化合物は、免疫調節および進行した腎細胞癌腫または結節性硬化症(TSC)胚細胞変異関連障害のような増殖性疾患の処置において有益性が示されている。
【0112】
mTOR Ser/Thrキナーゼ活性またはクラスI PI3キナーゼ活性の触媒的阻害、特に二重クラスI PI3−キナーゼ類およびmTORキナーゼ阻害は、PI3K/Akt/mTOR経路依存性疾患の処置に有用であり得る。悪性神経膠腫における二重PI3キナーゼ/mTOR阻害剤の有効性は、最近示された(Cancer Cell 9,341−349)。
【0113】
上記使用のために、必要投与量は、当然、投与方法、処置すべき特定の状態および望む効果によって変わる。一般に、満足いく結果が、約0.03ないし約100.0mg/kg体重、例えば約0.03ないし約10.0mg/kg体重の1日投与量で全身的に得られることが示される。大型哺乳動物、例えばヒトに指示される1日投与量は約0.5mgないし約3g、例えば約5mgないし約1.5gの範囲であり、簡便には、例えば、1日4回までに分割して、または持続形態で投与される。経口投与のための好適な単位投与量形態は約1.0ないし約500mgの有効成分を含む。
【0114】
一般的に、本発明の化合物は、医薬組成物として以下の経路のいずれか一つにより投与され得る:経口投与、全身投与(例えば、経皮、鼻腔内または坐薬により)、または非経腸投与(例えば、筋肉内、静脈内または皮下)。好ましい投与方法は、疾患の程度により調節できる簡便な1日投与量レジメンを用いる経口投与である。組成物は錠剤、丸剤、カプセル、半固体、散剤、徐放性製剤、溶液、懸濁液、エリキシル、エアロゾルまたは任意の他の適当な組成物の形態をとり得る。本発明の化合物の別の好ましい投与方法は吸入である。これは呼吸管に直接治療剤を送達させる有効な方法である。
【0115】
本発明の化合物は、例えば上記の通り、遊離形または薬学的に許容される塩形で投与され得る。かかる塩は、慣用法により製造され得るか、または遊離化合物として同程度の活性を示し得る。
【0116】
結果として、本発明は以下に述べる、物、方法、使用等もまた提供する:
・例えば上記のような、PI3K(例えば、PI3キナーゼα)および/またはmTOR酵素の活性により仲介される病状、障害または疾患の予防または処置のための方法であって、かかる処置を必要とする対象において、該対象に有効量の本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法。一態様において、かかる処置を必要とする対象における、癌または神経変性障害の予防または処置のための方法であって、該対象に有効量の本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。別の態様において、神経変性障害は、パーキンソン病、ハンチントン病またはアルツハイマー病である。さらに別の態様において、神経変性障害はハンチントン病である。
・例えば本明細書に記載の方法の何れかにおける、医薬としての使用のための、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩。
・例えば本明細書に記載の方法の何れかにおける、医薬品としての使用のための、特に1種またはそれ以上のホスファチジルイノシトール 3−キナーゼ仲介疾患における使用のための、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩。一態様において、癌または神経変性障害の処置または予防における使用のための、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。別の態様において、神経変性障害は、パーキンソン病、ハンチントン病またはアルツハイマー病である。さらに別の態様において、神経変性障害はハンチントン病である。
・特に1種またはそれ以上のホスファチジルイノシトール 3−キナーゼ仲介疾患の処置または予防のための、本明細書に記載の方法の何れかにおける、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。一態様において、癌または神経変性障害の処置または予防のための本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。別の態様において、神経変性障害は、パーキンソン病、ハンチントン病またはアルツハイマー病である。さらに別の態様において、神経変性障害はハンチントン病である。
・1種またはそれ以上のホスファチジルイノシトール 3−キナーゼ仲介疾患の処置または予防のための医薬の製造を目的とする、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。一態様において、癌または神経変性障害の処置または予防のための医薬の製造を目的とする、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。別の態様において、神経変性障害は、パーキンソン病、ハンチントン病またはアルツハイマー病である。さらに別の態様において、神経変性障害はハンチントン病である。
【0117】
PI3Kは、並列のシグナル伝達経路を統合するセカンドメッセンジャー結節として働き、PI3K阻害剤と他の経路の阻害剤の組合せがヒトの癌および増殖性疾患の処置に有益であり得るとの証拠が増えている。
【0118】
ヒト乳癌のおよそ20−30%がトラスツマブの標的であるHer−2/neu−ErbB2を過発現する。トラスツマブはHer2/neu−ErbB2を発現する患者の幾分かでの永続的な応答が証明されているが、これらの患者の下位集団のみが応答する。最近の研究は、この限界のある応答率はトラスツマブとPI3K阻害剤またはPI3K/AKT経路の阻害剤の組合せにより相当改善できることが示されている(Chan et al., Breast Can. Res. Treat. 91: 187 (2005), Woods Ignatoski et al., Brit. J. Cancer 82: 666 (2000), Nagata et al., Cancer Cell 6: 117 (2004))。
【0119】
多様なヒト悪性腫瘍が活性化変異体または増加したレベルのHer1/EGFRを発現し、そしてタルセバ、ゲフィチニブおよびアービタックスを含む、多くの抗体および小分子阻害剤が、この受容体チロシンキナーゼに対して開発されている。しかしながら、EGFR阻害剤はある種のヒト腫瘍(例えば、NSCLC)で抗腫瘍活性が証明されているものの、EGFR発現腫瘍を有する全患者の全体的患者生存を増加させない。これは、PI3K/Akt経路を含む、Her1/EGFRの多くの下流標的が、種々の悪性腫瘍で高頻度で変異または脱制御されているとの事実により説明され得る。例えば、ゲフィチニブはインビトロアッセイにおいて腺癌細胞株の増殖を阻害する。それにも係わらず、これらのゲフィチニブに対する耐性細胞株のサブクローンが選択でき、PI3/Akt経路の活性上昇を証明する。この経路の下方制御または阻害は、耐性サブクローンをゲフィチニブ感受性とする(Kokubo et al., Brit. J. Cancer 92: 1711 (2005))。さらに、PTEN変異を有し、EGFRを過発現する細胞株の乳癌のインビトロモデルにおいて、PI3K/Akt経路およびEGFR両方の阻害は相乗作用を生じる(She et al., Cancer Cell 8: 287−297(2005))。これらの結果は、ゲフィチニブとPI3K/Akt経路阻害剤の組合せが、癌における魅力的な治療標的であり得ることを示す。
【0120】
AEE778(Her−2/neu/ErbB2、VEGFRおよびEGFRの阻害剤)とRAD001(Aktの下流標的であるmTORの阻害剤)の組合せは、神経膠芽腫異種移植モデルにおいていずれかの薬剤単独よりも大きな併用効果を生じる(Goudar et al., Mol. Cancer. Ther. 4: 101−112 (2005))。
【0121】
抗エストロゲン類、例えばタモキシフェンは、細胞周期阻害剤p27Kipの作用を必要とする細胞周期停止の誘発を介して乳癌増殖を阻害する。最近、Ras−Raf−MAPキナーゼ経路活性化が、p27Kipのリン酸化状態を、その細胞周期を停止させる阻害活性が減弱され、それ故に抗エストロゲン耐性を付与するように変えることが示されている(Donovan, et al, J. Biol. Chem. 276: 40888, (2001))。Donovanらにより報告されている通り、MEK阻害剤での処置を介するMAPKシグナル伝達阻害は、ホルモン耐性乳癌細胞株におけるp27の異常なリン酸化状態を逆転させ、そうしてホルモン感受性を回復する。同様に、Aktによるp27Kipのリン酸化もその細胞周期停止における役割を無くす(Viglietto et al., Nat Med. 8: 1145 (2002))。
【0122】
従って、さらなる面において、式Iの化合物は、ホルモン依存性癌、例えば乳および前立腺癌の処置に有用であり得る。この使用により、慣用の抗癌剤で癌に一般に見られるホルモン抵抗性を回復することが目的である。
【0123】
血液癌、例えば慢性骨髄性白血病(CML)において、慢性的転座が構成的に活性化されたBCR−Ablチロシンキナーゼに関与する。罹患患者は、Ablキナーゼ活性の阻害の結果として、小分子チロシンキナーゼ阻害剤であるイマチニブに応答する。しかしながら、最初はイマチニブに応答した進行段階の疾患の患者でも、Ablキナーゼドメインにおける耐性付与変異のために、その後再発する。インビトロ試験は、BCR−Ab1がRas−Rafキナーゼ経路を使用してその作用を顕在化することを証明している。加えて、同経路中の2種以上のキナーゼの阻害は、耐性付与変異に対するさらなる保護を提供する。
【0124】
従って、別の面において、本発明の化合物は、血液学的癌、例えば慢性骨髄性白血病(CML)の処置において、キナーゼ阻害剤から選択される少なくとも1種のさらなる薬剤、例えばGleevec
(登録商標)と組み合わせて使用される。この使用により、少なくとも1種の該さらなる薬剤に対する抵抗性を回復または予防することが目的である。
【0125】
PI3K/Akt経路の活性化が細胞生存を駆動するため、放射線療法および化学療法を含む癌細胞のアポトーシスを誘導する治療と組み合わせた該経路の阻害は、応答の改善をもたらす(Ghobrial et al., CA Cancer J. Clin 55: 178−194 (2005))。一例として、PI3キナーゼ阻害剤とカルボプラチンの組合せが、インビトロ増殖およびアポトーシスアッセイならびに卵巣癌の異種移植モデルにおけるインビボ腫瘍効果の両方において相乗効果が証明されている(Westfall and Skinner, Mol. Cancer Ther. 4: 1764−1771 (2005))。
【0126】
癌および増殖性疾患に加えて、クラス1Aおよび1B PI3キナーゼ類の阻害剤が、他の疾患領域においても治療的に有用であるとの証拠が蓄積されつつある。PIK3CB遺伝子のPI3Kアイソフォーム産物であるp110βの阻害が、せん断誘発性血小板活性化(shear−induced platelet activation)に関与することが示されている(Jackson et al., Nature Medicine 11: 507−514 (2005))。それ故に、p110βを阻害するPI3K阻害剤は、単剤として、または抗血栓治療と組み合わせて有用であり得る。PIK3CD遺伝子の産物であるアイソフォームp110δは、B細胞機能および分化(Clayton et al., J. Exp. Med. 196: 753−763 (2002))、T細胞依存性および非依存性抗原応答(Jou et al., Mol. Cell. Biol. 22: 8580−8590 (2002)) および肥満細胞分化(Ali et al., Nature 431: 1007−1011 (2004))に重要である。それ故に、p110δ阻害剤がB細胞駆動自己免疫性疾患および喘息の処置に有用であり得ることが予測される。最後に、PI3KCG遺伝子のアイソフォーム産物であるp110γの阻害は、T細胞応答を減少させるが、B細胞応答を減少させず(Reif et al., J. Immunol. 173: 2236−2240 (2004))、その阻害は、動物モデルにおいて自己免疫性疾患に有用であることが証明されている(Camps et al., Nature Medicine 11: 936−943 (2005), Barber et al., Nature Medicine 11: 933−935 (2005))。
【0127】
本発明は、少なくとも1種の本発明の化合物を、ヒト対象または動物への投与に適する薬学的に許容される添加剤と共に、単独で、または他の治療剤、例えば他の抗癌剤と共に含む医薬組成物をさらに提供する。
【0128】
本発明は、細胞増殖性疾患、例えば癌を有するヒト対象または動物の処置方法をさらに提供する。それ故に、本発明は、処置を必要とするヒト対象または動物の処置方法であって、治療有効量の本発明の化合物を単独でまたは1種以上の他の抗癌剤と組み合わせて投与することを含む方法を提供する。特に、組成物は、組合せ治療剤と共に製剤しても、別々に投与してもよい。本発明の化合物と共に使用するのに好適な抗癌剤としては、以下に記載するキナーゼ阻害剤、抗エストロゲン類、抗アンドロゲン、他の阻害剤、癌化学療法剤、アルキル化剤、キレート化剤、生物学的応答修飾剤、癌ワクチン、アンチセンス治療のための薬剤が挙げられるが、これらに限定されない:
【0129】
A. キナーゼ阻害剤:本発明の化合物と共に抗癌剤として使用するキナーゼ阻害剤は、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)キナーゼ類の阻害剤、例えば小分子キナゾリン類、例えばゲフィチニブ(US5457105、US5616582、およびUS5770599)、ZD−6474(WO01/32651)、エルロチニブ(タルセバ
(登録商標)、US5,747,498およびWO96/30347)、およびラパチニブ(US6,727,256およびWO02/02552);SU−11248(WO01/60814)、SU5416(US5,883,113およびWO99/61422)、SU6668(US5,883,113およびWO99/61422)、CHIR−258(US6,605,617およびUS6,774,237)、バタラニブまたはPTK−787(US6,258,812)、VEGF−Trap(WO02/57423)、B43−ゲニステイン(WO−09606116)、フェンレチニド(レチノイン酸p−ヒドロキシフェニルアミン)(US4,323,581)、IM−862(WO02/62826)、ベバシズマブまたはAvastin
(登録商標)(WO94/10202)、KRN−951、3−[5−(メチルスルホニルピペラジンメチル)−インドリル]−キノロン、AG−13736およびAG−13925、ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン類、ZK−304709、Veglin
(登録商標)、VMDA−3601、EG−004、CEP−701(US5,621,100)、Cand5(WO04/09769)を含む血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)キナーゼ阻害剤;Erb2チロシンキナーゼ阻害剤、例えばペルツズマブ(WO01/00245)、トラスツマブ、およびリツキシマブ;Aktタンパク質キナーゼ阻害剤、例えばRX−0201;タンパク質キナーゼC(PKC)阻害剤、例えばLY−317615(WO95/17182)、およびペリホシン(US2003171303);ソラフェニブ(BAY 43−9006)、ARQ−350RP、LErafAON、BMS−354825 AMG−548、およびWO03/82272に開示されるその他のものを含むRaf/Map/MEK/Rasキナーゼ阻害剤;線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)キナーゼ阻害剤;CYC−202またはロスコビチン(WO97/20842およびWO99/02162)を含む細胞依存性キナーゼ(CDK)阻害剤;血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)キナーゼ阻害剤、例えばCHIR−258、3G3 Ab、AG−13736、SU−11248およびSU6668;およびBcr−Ablキナーゼ阻害剤および融合タンパク質、例えばSTI−571またはGleevec
(登録商標)(イマチニブ)を含む。
【0130】
B. 抗エストロゲン類:本発明の化合物と組み合わせて抗癌治療に使用するためのエストロゲン標的剤は、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェンを含む選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM);Arimidex
(登録商標)またはアナストロゾールを含むアロマターゼ阻害剤;Faslodex
(登録商標)またはフルベストラントを含むエストロゲン受容体下方制御剤(ERD)を含む。
【0131】
C. 抗アンドロゲン類:本発明の化合物と組み合わせて抗癌治療に使用するためのアンドロゲン標的剤は、フルタミド、ビカルタミド、フィナステリド、アミノグルテアミド、ケトコナゾール、およびコルチコステロイドを含む。
【0132】
D. 他の阻害剤:本発明の化合物と組み合わせて抗癌剤として使用するための他の阻害剤は、ティピファルニブまたはR−115777(US2003134846およびWO97/21701)、BMS−214662、AZD−3409およびFTI−277を含むタンパク質ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤;メルバロンおよびジフロモテカン(diflomotecan)( BN−80915)を含むトポイソメラーゼ阻害剤;SB−743921およびMKI−833を含む有糸分裂キネシン紡錘タンパク質(KSP)阻害剤;プロテアソームモジュレーター、例えばボルテゾミブまたはベルケイド
(登録商標)(US5,780,454)、XL−784;および非ステロイド性抗炎症剤I(NSAID)を含むシクロオキシゲナーゼ2(COX−2)阻害剤を含む。
【0133】
E. 癌化学療法剤:本発明の化合物と組み合わせて抗癌剤として使用する特定の癌化学療法剤は、アナストロゾール(Arimidex
(登録商標))、ビカルタミド(Casodex
(登録商標))、ブレオマイシンスルフェート(Blenoxane
(登録商標))、ブスルファン(Myleran
(登録商標))、ブスルファン注射(Busulfex
(登録商標))、カペシタビン(Xeloda
(登録商標))、N4−ペントキシカルボニル−5−デオキシ−5−フルオロシチジン、カルボプラチン(Paraplatin
(登録商標))、カルムスチン(BiCNU
(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran
(登録商標))、シスプラチン(Platinol
(登録商標))、クラドリビン(Leustatin
(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan
(登録商標)またはNeosar
(登録商標))、シタラビン、シトシンアラビノシド(Cytosar−U
(登録商標))、シタラビンリポソーム注射(DepoCyt
(登録商標))、ダカルバジン(DTIC−Dome
(登録商標))、ダクチノマイシン(Actinomycin D, Cosmegan)、ダウノルビシン塩酸塩(Cerubidine
(登録商標))、ダウノルビシンシトレートリポソーム注射(DaunoXome
(登録商標))、デキサメサゾン、ドセタキセル(タキソテール
(登録商標))、ドキソルビシン塩酸塩(アドリアマイシン
(登録商標)、Rubex
(登録商標))、エトポシド(Vepesid
(登録商標))、フルダラビンホスフェート(Fludara
(登録商標))、5−フルオロウラシル(Adrucil
(登録商標)、Efudex
(登録商標))、フルタミド(Eulexin
(登録商標))、テザシチビン、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、ヒドロキシウレア(Hydrea
(登録商標))、イダルビシン(Idamycin
(登録商標))、イホスファミド(IFEX
(登録商標))、イリノテカン(Camptosar
(登録商標))、L−アスパラギナーゼ(ELSPAR
(登録商標))、ロイコボリンカルシウム、メルファラン(Alkeran
(登録商標))、6−メルカプトプリン(Purinethol
(登録商標))、メトトレキサート(Folex
(登録商標))、ミトキサントロン(Novantrone
(登録商標))、ミロタルグ、パクリタキセル(タキソール
(登録商標))、フェニックス(Yttrium90/MX−DTPA)、ペントスタチン、カルムスチンインプラントを伴うポリフェプロサン20(Gliadel
(登録商標))、タモキシフェンシトレート(Nolvadex
(登録商標))、テニポシド(Vumon
(登録商標))、6−チオグアニン、チオテパ、チラパザミン(Tirazone
(登録商標))、注射用トポテカンヒドロクロライド(Hycamptin
(登録商標))、ビンブラスチン(Velban
(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin
(登録商標))、およびビノレルビン(Navelbine
(登録商標))を含む。
【0134】
F. アルキル化剤:本発明の化合物と組み合わせて使用するためのアルキル化剤は、VNP−40101Mまたはクロレチジン、オキサリプラチン(US4,169,846、WO03/24978およびWO03/04505)、グルフォスファミド、マフォスファミド、エトポフォス(US5,041,424)、プレドニムスチン;トレオスルファン;ブスルファン;イロフルベン(アシルフルベン);ペンクロメジン;ピラゾロアクリジン(PD−115934);O6−ベンジルグアニン;デシタビン(5−アザ−2−デオキシシチジン);ブロスタリシン;マイトマイシンC(MitoExtra);TLK−286(Telcyta
(登録商標));テモゾロミド;トラバクテジン(US5,478,932);AP−5280(シスプラチンのプラチネート製剤);ポルフィロマイシン;およびクレアラジド(メクロエタミン)を含む。
【0135】
G. キレート化剤:本発明の化合物と組み合わせて使用するためのキレート化剤は、テトラチオモリブデート(WO01/60814);RP−697;キメラT84.66(cT84.66);ガドフォスベセット(Vasovist
(登録商標));デフェロキサミン;および所望によりエレクトロポレーション(EPT)と組み合わせたブレオマイシンを含む。
【0136】
H. 生物学的応答修飾剤:本発明の化合物と組み合わせて使用するための生物学的応答修飾剤、例えば免疫調節剤は、スタウロスポリンおよびUCN−01、CEP−701およびミドスタウリン(WO02/30941、WO97/07081、WO89/07105、US5,621,100、WO93/07153、WO01/04125、WO02/30941、WO93/08809、WO94/06799、WO00/27422、WO96/13506およびWO88/07045参照)を含むその巨環アナログ;スクアラミン(WO01/79255);DA−9601(WO98/04541およびUS6,025,387);アレムツズマブ;インターフェロン類(例えばIFN−a、IFN−bなど);インターロイキン類、特にIL−2またはアラデスロイキンならびにIL−1、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、および天然ヒト配列の70%を超えるアミノ酸配列を有するその活性生物学的変異体;アルトレタミン(Hexalen
(登録商標));SU 101またはレフルノミド(WO04/06834およびUS6,331,555);イミダゾキノリン類、例えばレスキモドおよびイミキモド(US4,689,338、5,389,640、5,268,376、4,929,624、5,266,575、5,352,784、5,494,916、5,482,936、5,346,905、5,395,937、5,238,944、および5,525,612);およびベンズアゾール類、アントラキノン類、チオセミカルバゾン類、およびトリプタンスリン類(WO04/87153、WO04/64759、およびWO04/60308)を含むSMIPを含む。
【0137】
I. 癌ワクチン類:本発明の化合物と組み合わせて使用するための抗癌ワクチン類は、Avicine
(登録商標)(Tetrahedron Lett. 26: 2269−70 (1974));オレゴボマブ(OvaRex
(登録商標));Theratope
(登録商標)(STn−KLH);黒色腫ワクチン;Rasタンパク質の5種の変異を指向するGI−4000シリーズ(GI−4014、GI−4015およびGI−4016);GlioVax−1;MelaVax;Advexin
(登録商標)またはINGN−201(WO95/12660);HPV−16 E7をコードするSig/E7/LAMP−1;MAGE−3ワクチンまたはM3TK(WO94/05304);HER−2VAX;腫瘍に特異的T細胞を刺激するACTIVE;GM−CSF癌ワクチン;およびリステリア・モノサイトゲネスベースのワクチン類を含む。
【0138】
J. アンチセンス治療:本発明の化合物と組み合わせて使用する抗癌剤はまた、アンチセンス組成物、例えばAEG−35156(GEM−640);AP−12009およびAP−11014(TGF−ベータ2−特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド類);AVI−4126;AVI−4557;AVI−4472;オブリメルセン(Genasense
(登録商標));JFS2;アプリノカルセン(WO97/29780);GTI−2040(R2リボヌクレオチドレダクターゼ mRNA アンチセンスオリゴ)(WO98/05769);GTI−2501(WO98/05769);リポソーム封入c−Rafアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(LErafAON)(WO98/43095);およびSirna−027(VEGFR−1 mRNAを標的とするRNAiベースの治療剤)を含む。
【0139】
本発明の化合物はまた、医薬組成物において気管支拡張剤または抗ヒスタミン剤と組み合わせてもよい。かかる気管支拡張剤としては、抗コリン剤または抗ムスカリン剤、特にイプラトロピウムブロマイド、オキシトロピウムブロマイド、およびチオトロピウムブロマイド、およびβ−2−アドレナリン受容体アゴニスト、例えばサルブタモール、テルブタリン、サルメテロール、カルモテロール、ミルベテロールおよび、とりわけフォルモテロールまたはインダカテロールが挙げられる。併用抗ヒスタミン剤としては、セチリジンヒドロクロライド、フマル酸クレマスチン、プロメタジン、ロラタジン、デスロラタジンジフェンヒドラミンおよびフェキソフェナジンヒドロクロライドが挙げられる。
【0140】
本発明は、さらなる面において、本発明の化合物および、血栓溶解疾患、心臓疾患、卒中などの処置に有用な1種以上の化合物を含む組合せを提供する。かかる化合物としては、アスピリン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、抗凝血剤、抗血小板剤(例えば、PLAVIX;硫酸クロピドグレル)、スタチン(例えば、LIPITORまたはアトルバスタチンカルシウム)、ZOCOR(シンバスタチン)、CRESTOR(ロスバスタチン)など)、ベータブロッカー(例えば、アテノロール)、NORVASC(アムロジピンベシレート)、およびACE阻害剤(例えば、リシノプリル)が挙げられる。
【0141】
本発明は、さらなる面において、本発明の化合物および、抗高血圧の処置に有用な1種以上の化合物を含む組合せを提供する。かかる化合物としては、ACE阻害剤、脂質低下剤、例えばスタチン、LIPITOR(アトルバスタチンカルシウム)、カルシウムチャネルブロッカー、例えばNORVASC(アムロジピンベシレート)が挙げられる。
【0142】
本発明は、さらなる面において、本発明の化合物および、フィブラート、ベータブロッカー、NEPI阻害剤、アンギオテンシン−2受容体アンタゴニストおよび血小板凝集阻害剤からなる群から選択される1種以上の化合物を含む組合せを提供する。
【0143】
本発明は、さらなる面において、本発明の化合物および、リウマチ性関節炎を含む炎症性疾患の処置に適当な化合物を含む組合せを提供する。かかる化合物はTNF−α阻害剤、例えば抗TNF−αモノクローナル抗体(例えばREMICADE、CDP−870)およびD2E7(HUMIRA)およびTNF受容体免疫グロブリン融合分子(例えばENBREL)、IL−1阻害剤、受容体アンタゴニストまたは可溶性IL−1Rα(例えばKINERETまたはICE阻害剤)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、ピロキシカム、ジクロフェナク、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェンイブプロフェン、フェナメート、メフェナム酸、インドメタシン、スリンダク、アパゾン、ピラゾロン類、フェニルブタゾン、アスピリン、COX−2阻害剤(例えばCELEBREX(セレコキシブ)、PREXIGE(ルミラコキシブ))、メタロプロテアーゼ阻害剤(好ましくはMMP−13選択的阻害剤)、p2x7阻害剤、α2α阻害剤、NEUROTIN、プレガバリン、低用量メトトレキサート、レフルノミド、ヒドロキシクロロキン、d−ペニシラミン、オーラノフィンまたは非経腸もしくは経口金製剤からなる群から選択され得る。
【0144】
本発明は、さらなる面において、本発明の化合物および、骨関節症の処置に適当な化合物を含む組合せを提供する。かかる化合物は、標準非ステロイド性抗炎症剤(以下、NSAID)、例えばピロキシカム、ジクロフェナク、プロピオン酸類、例えばナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェンおよびイブプロフェン、フェナメート、例えばメフェナム酸、インドメタシン、スリンダク、アパゾン、ピラゾロン類、例えばフェニルブタゾン、サリチレート類、例えばアスピリン、COX−2阻害剤、例えばセレコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブおよびエトリコキシブ、鎮痛剤および関節内治療、例えばコルチコステロイドおよびヒアルロン酸類、例えばヒアルガンおよびシンビスクからなる群から選択され得る。
【0145】
本発明は、さらなる面において、本発明の化合物ならびに抗ウイルス剤および/または抗敗血症化合物を含む組合せを提供する。かかる抗ウイルス剤は、Viracept、AZT、アシクロビルおよびファムシクロビルからなる群から選択され得る。かかる抗敗血症化合物は、Valantからなる群から選択され得る。
【0146】
本発明は、さらなる面において、本発明の化合物および、CNS剤、例えば抗鬱剤(セルトラリン)、抗パーキンソン剤(例えばデプレニル、L−dopa、Requip、Mirapex;MAOB阻害剤(例えばセレギリン(selegine)およびラサギリン);comP阻害剤(例えばタスマール);A−2阻害剤;ドーパミン再取り込み阻害剤;NMDAアンタゴニスト;ニコチンアゴニスト;ドーパミンアゴニスト;および神経型一酸化窒素合成酵素の阻害剤)から成る群から選択される1種またはそれ以上の薬剤を含む組合せを提供する。
【0147】
本発明は、さらなる面において、本発明の化合物および1種またはそれ以上の抗アルツハイマー剤を含む組合せを提供する。かかる抗アルツハイマー剤は、ドネペジル、タクリン、α2δ阻害剤、NEUROTIN、プレガバリン、COX−2阻害剤、プロペントフィリンまたはメトリホネート(metryfonate)からなる群から選択され得る。
【0148】
本発明は、さらなる面において、本発明の化合物ならびに骨粗鬆症剤および/または免疫抑制剤を含む組合せを提供する。かかる骨粗鬆症剤は、EVISTA(ラロキシフェンヒドロクロライド)、ドロロキシフェン、ラソフォキシフェンまたはフォサマックス(fosomax)からなる群から選択され得る。かかる免疫抑制剤は、FK−506およびラパマイシンからなる群から選択され得る。
【0149】
好ましい態様の別の面において、1種またはそれ以上の本発明の化合物および本明細書に記載の組合せパートナーを含むキットが提供される。代表的キットは、PI3K阻害剤化合物(例えば、本発明の化合物)と、PI3K阻害量の化合物(複数可)を投与することにより細胞増殖性疾患を処置するための指示書を含む添付文書または他のラベルとを含む。
【0150】
遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物を含み、さらに組合せパートナー(一つの投与量単位形態としてまたは複数部分のキットとして)を少なくとも1種の薬学的に許容される担体および/または希釈剤と共に含む組合せ医薬組成物を、薬学的に許容される担体および/または希釈剤とこれらの有効成分の混合による慣用法により製造し得る。
【0151】
結果として、本発明はさらに以下の態様を提供する:
・治療的有効量の本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、および同時のまたは逐次的投与のための他の治療剤を含む、例えば本明細書に記載の何れかの方法で使用するための、組合せ。
・本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、および他の治療剤を含む、製品。
・治療において使用するための、例えば本明細書に記載の何れかの治療法において使用するための、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、および他の治療剤を含む、組合せ製剤としての製品。一態様において、治療とは、癌または神経変性障害の処置または予防である。別の態様において、治療とは、パーキンソン病、ハンチントン病またはアルツハイマー病の処置または予防である。さらに別の態様において、治療とは、ハンチントン病の処置または予防である。
・本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩および他の治療剤を含む、組合せ医薬組成物。
・本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、他の治療剤、および所望により1種またはそれ以上の薬学的に許容される担体物質および/または希釈剤を含む、組合せ医薬組成物。かかる組合せ医薬組成物は、一つの投与量単位形態または複数部分のキットであり得る。
・治療的有効量の本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、および例えば上記の他の治療剤の、例えば同時または逐次的共投与を含む、上記の方法。
・a)本明細書に記載の遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物である第一剤、およびb)他の治療剤、例えば上記のものを含む、医薬組合せ、例えばキットであって、かかるキットはその投与のための指示書を含んでいてよい。
【0152】
本発明の化合物の以下の例は、発明の範囲を限定することなく本発明を説明する。かかる化合物の製造方法を以下に記載する。
【実施例】
【0153】
実施例
【表4】
【表5】
【表6】
【0154】
分析方法
NMR:
プロトンスペクトルを、他に特記されない限り、Bruker 400 MHz ultrashield 分光計で記録する。化学シフトを、メタノール(δ 3.31)、ジメチルスルホキシド(δ 2.50)、またはクロロホルム(δ 7.26)と比較してppmで記載する。少量の乾燥サンプル(2−5mg)を、適当な重水素化溶媒(1mL)に溶解する。シミングを自動化し、スペクトルを64またはそれ以上のスキャンで得る。
【0155】
LC/MS:
サンプルをMeCN、DMSOまたはMeOHのような好適な溶媒に溶解し、自動化されたサンプルハンドラーを用いてカラム中に直接入れる。分析を、以下の方法のうち1つを用いて行う:
方法1:化合物を、流速4mL/分で2分間、勾配溶出(20−80%アセトニトリル/H
2O/5mMギ酸アンモニウム)しながら、Inertsil ODS−3 カラム(C18、50x4.6mm、3μm)で分析する。
方法2:酸性移動相(0.1%ギ酸)および急勾配(fast gradient)を用いるGENERAL LC/MS法。エレクトロスプレー質量スペクトル(+)および(−)、DAD−UVクロマトグラム200−400nm、スキャン範囲120−1500Da。勾配:20−80% MeCN/H
2Oで2分(2mL/分)、2μL注入。カラム:Inertsil ODS3 C−18、3cmx33mmx3.0μm、40℃。
方法3:中性移動相(5mM NH
4+HCOO
−)および速い(20−80%)勾配を用いるGENERAL LC/MS法。エレクトロスプレー質量スペクトル(+)および(−)、DAD−UVクロマトグラム200−400nm、スキャン範囲120−1500Da。勾配:20−80% MeCN/H
2Oで2分(2mL/分)、2μL注入。カラム:Inertsil ODS3 C−18、3cmx33mmx3.0μm、40℃。
【0156】
方法4:酸性移動相(0.1%ギ酸)および急勾配(40−90%)を用いる、非極性(脂肪性)化合物のためのLC/MS法。エレクトロスプレー質量スペクトル(+)および(−)、DAD−UVクロマトグラム200−400nm、スキャン範囲120−1500Da。勾配:40−90% MeCN/H
2Oで2分(2mL/分)、2μL注入。カラム:Inertsil C8−3、3cmx33mmx3.0μm、40℃。
方法5:中性移動相(5mM NH
4+HCOO
−)および急勾配(40−90%)を用いる、非極性(脂肪性)化合物のためのLC/MS法。エレクトロスプレー質量スペクトル(+)および(−)、DAD−UVクロマトグラム200−400nm、スキャン範囲120−1500Da。勾配:40−90% MeCN/H
2Oで2分(2mL/分)、2μL注入。カラム:Inertsil C8−3、3.0cmx33mmx3.0μm、40℃。
方法6:広範な(5−95%)勾配および酸性移動相(0.1%ギ酸)を用いるLC/MS法。エレクトロスプレー質量スペクトル(+)および(−)、DAD−UVクロマトグラム200−400nm、スキャン範囲120−1500Da。勾配:5−95% MeCN/H
2Oで2分(2mL/分)、2μL注入。カラム:Inertsil C8−3、3.0cmx33mmx3.0μm、40℃。
【0157】
方法7:広範な(5−95%)勾配および中性移動相(5mM NH
4+HCOO
−)を用いるLC/MS法。エレクトロスプレー質量スペクトル(+)および(−)、DAD−UVクロマトグラム200−400nm、スキャン範囲120−1500Da。勾配:5−95% MeCN/H
2Oで2分(2mL/分)、2μL注入。カラム:Inertsil C8−3、3cmx33mmx3.0μm、40℃。
方法8:酸性移動相(0.1%ギ酸)および緩勾配(0−100%)を用いる、極性化合物のためのLC/MS法。エレクトロスプレー質量スペクトル(+)および(−)、DAD−UVクロマトグラム200−400nm、スキャン範囲120−1500Da。勾配:0−100% MeCN/H
2Oで2分(2mL /分)、2μL注入。カラム:Inertsil ODS3(C−18、3cmx33mmx3.0μm、40℃)。
方法9:中性移動相(5mM NH
4+HCOO
−)および緩勾配(0−100%)を用いる、極性化合物のためのLC/MS法。エレクトロスプレー質量スペクトル(+)および(−)、DAD−UVクロマトグラム200−400nm、スキャン範囲120−1500Da。勾配:0−100% MeCN/H
2Oで2分(2mL /分)、2μL注入。カラム:Inertsil ODS−3(C−18、3cmx33mmx3.0μm、40℃)。
【0158】
方法10:化合物を、流速2mL/分で2分間、勾配溶出(5−90%アセトニトリル/H
2O/5mMギ酸アンモニウム)しながら、Inertsil ODS−3カラム(C8、30mmx3.0mm、3.0um)で分析する。
方法11:化合物を、流速2mL/分で2分間、勾配溶出(5−90%アセトニトリル/H
2O/0.1%ギ酸)しながら、Inertsil ODS−3カラム(C8、30mmx3.0mm、3.0um)で分析する。
【0159】
HPLC精製は、C8またはC18カラム(30x100mm、5um、brand:Sunfire or XTerra)を用いる。サンプルをMeCN、DMSOまたはMeOH(最大5mL)のような好適な溶媒に溶解し、自動化されたサンプルハンドラーを用いてカラムに直接注入する。精製を、2種の方法を用いて適当な勾配を用いて行う(他に特記されない限り)。方法1は、5%−95%ACN水溶液中、0.1%TFAで構成される。方法2は、5%−95%ACN水溶液中、10mM NH
4OHで構成される。
【0160】
ボロン酸エステル中間体の合成
本発明の化合物の製造に用いるボロン酸エステル中間体は、市販されているか、または文献に記載の方法もしくは類似の方法で製造され得るか、または本明細書に記載の方法もしくは類似の方法で製造され得る。
【0161】
ボロン酸エステル1:4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
ジオキサン(12mL)中の4−ブロモ−7−アザインドール(0.48g、2.41mmol)の溶液に、ビス(ピナコラト)ジボロンを添加し、次いでビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.067g、0.12mmol)を添加した。混合物を20分間、窒素を用いて脱気し、次いで、PdCl
2(dppf)触媒(0.088g、0.12mmol)を添加した。懸濁液をさらに5分間脱気した。バイアルを密封し、油浴中に入れた。反応を、120℃で16時間、加熱した。完了後、反応混合物を環境温度まで冷却し、懸濁液を濾過し、溶媒を減圧下で除去した。粗物質を、EtOAC/ヘプタンの0−100%勾配を用いてBiotageで直接精製した。さらなる精製を、分取HPLC(3% n−プロパノール/アセトニトリルないし3% n−プロパノール/水を用いる5%−95%勾配)を用いて行い、白色固体を得た(0.054g、9.2%)。方法7を用いるLC/MS分析。質量(ES+) m/z 245.4。
1H NMR (CDCl
3) δ 9.03 (1H, brs), 8.24 (1H, d), 7.42 (1H, d), 7.30 (1H, d), 6.86 (1H,d), 1.31 (12H,s).
【0162】
ボロン酸エステル2:[2−メトキシ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−メタノール
ボロン酸エステルを、スキーム3に記載の一般的方法を用いて合成した。化合物を、黄色油状物として77%収率で単離した。
1H NMR (CD
3OD): δ 7.76 (1H, s), 7.67 (1H, d), 6.90 (1H, d), 4.62 (2H, s), 3.83 (3H, s), 1.32 (12H, s).
【0163】
ボロン酸エステル3:[3−メトキシ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−メタノール
ボロン酸エステルを、スキーム3に記載の一般的方法を用いて合成した。化合物を、褐色固体として27%収率で単離した。
1HNMR (DMSO−d
6): δ 7.24 (1H, s), 7.01 (1H, s), 6.99 (1H, s), 5.18 (1H, m), 4.47 (2H, d), 3.75 (3H, s), 1.29 (12H, s).
【0164】
ボロン酸エステル4:BOC−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ベンジルアミン
10mLのCH
2Cl
2中の、3−ブロモベンジルアミン(0.79g、4.24mmol)、二炭酸ジ−tertブチル(1.82g、8.5mmol、2.0当量)の溶液に、トリエチルアミン(1.29g、12.7mmol、3.0当量)を添加した。2時間撹拌後、反応を停止し、溶液を水で洗浄した。水層をCH
2Cl
2で抽出した。有機層を合わせ、MgSO
4で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去後、粗物質をフラッシュカラムクロマトグラフィー(Biotage、EtOAc/ヘプタンの0−60%勾配)を用いて精製した。次いで、所望のボロン酸エステルを、スキーム3に記載の一般的カップリング法を用いて合成した。化合物を褐色固体として59%収率で単離した。
1HNMR (CDCl
3): δ 7.61−7.62 (2H, m), 7.27−7.31 (1H, m), 7.24 (1H, t), 4.85 (1H,brs), 4.72 (2 H, brs), 1.37 (9H,s), 1.25 (12 H, s).
【0165】
実施例1
3−[2−((2S,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェノールの合成
【化16】
a)2−クロロ−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン
2,6−ジクロロ−9H−プリン(1.2g、6.35mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(5mL)に、モルホリン(553mg、6.35mmol)をシリンジを介して滴下し、次いでジイソプロピルエチルアミン(1.2mL、6.87mmol)を添加した。溶液を、沈殿が形成するまで、室温で1時間撹拌した。その後、反応混合物を水に注ぎ、沈殿を濾過した。高真空下で乾燥させることにより、2−クロロ−6−モルホリン−4−イル−9H−プリンを、オフホワイト色の固体として単離した(1.5g、99%)。方法7を用いるLC/MS分析。質量(ES+) m/z 240.2。
1H NMR (DMSO−d
6): 13.21 (1H, brs), 8.15 (1H, s), 4.18 (4H, brs), 3.72 (4H, t).
【0166】
b)2−((2S,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン
2−クロロ−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン(1.5g、6.26mmol)のDMA溶液(5mL)に、シス−2,6−ジメチルモルホリン(1.42g、12.52mmol)を添加し、次いでDIPEA(2.1mL、12.02mmol)を添加した。混合物を130℃にて40時間撹拌した。反応の完了後、溶液を水に注いだ。水層をEtOAcで3回抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、2−((2S,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン(1.96g、98%)を黄色固体として得た。方法7を用いるLC/MS分析。質量(ES+) m/z 319.2。
1HNMR (DMSO−d
6): 12.37 (1H, s), 7.76 (1H, s), 4.38 (2H, d), 4.12 (4H, brs), 3.69 (4H, m), 3.54 (2H, m), 2.40 (2H, m), 1.14 (6H, d).
【0167】
c)8−ブロモ−2−((2S,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン
2−((2S,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン(860mg、2.70mmol)のCH
2Cl
2溶液(5mL)に、臭素(0.04mL、3.24mmol)を添加した。混合物を環境温度にて3時間撹拌した。飽和チオ硫酸ナトリウムを添加した。水層をジクロロメタンで2回抽出した。有機層を合わせ、Na
2SO
4で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗物質をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0−70% EtOAc/ヘプタン勾配)により精製して、生成物をオフホワイト色固体として得た(362.1mg、34%)。方法7を用いるLC/MS分析、質量(ES+) m/z 399.1。
1HNMR (CDCl
3): 4.31 (2H, d), 4.09 (4H, brs), 3.74 (4H, m), 3.59 (2H, m), 2.51 (2H, m), 1.18 (6H, d).
【0168】
d)3−[2−((2S,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェノール
丸底フラスコに、8−ブロモ−2−((2S,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン(38.2mg、0.096mmol)、フッ化セシウム(58.4mg、0.39mmol)、3−ヒドロキシフェニルボロン酸(39.8mg、0.29mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(8.9mg、7.69mmol)を添加し、次いで1mLのアセトニトリル/水 溶媒混合物(10/1比率)を添加した。懸濁液を115℃まで加熱し、一晩撹拌した。反応の完了後、懸濁液を冷却し、固体を濾取した。溶媒を減圧下で除去し、粗物質を分取HPLCにより直接精製して、3−[2−((2S,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェノール(18.5mg、47%)を黄色固体として得た。方法7を用いるLC/MS分析、質量(ES+) m/z 411.2、保持時間1.40分。
1HNMR (CDCl
3): 7.34 (1H, d), 7.24 (2H, m), 6.87 (1H, d), 4.35 (2H, d), 4.30 (4H, brs), 3.80 (4H, m), 3.57(2H, m), 2.53 (2H, t), 1.16 (6H, d).
【0169】
実施例2
3−(2,4−ジ−モルホリン−4−イル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−フェノール
【化17】
a)2,4−ジ−モルホリン−4−イル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
20mLのバイアル中、2,4−ジクロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(0.19g、1.011mmol、1.0当量)をNMP(2mL)に溶解した。次いで、ジ−イソプロピル−エチルアミン(0.392g、0.514mL、3.03mmol、3.0当量)およびモルホリン(0.264g、0.264mL、3.03mmol、3.0当量)を添加した。その後、反応混合物を5mLのマイクロ波管に移し、200℃にて30分間加熱した。次いで、反応物を室温まで冷却し、35mLの酢酸エチルで希釈した。その後、有機層を飽和塩化アンモニウム溶液(2x30mL)で洗浄した。その後、有機層をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で除去して、褐色油状物を得た。その後、該油状物を、EtOAc/ヘプタンの20%ないし100%勾配を用いてフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製した。化合物を白色固体として単離した(239.1mg、82%収率)。
1HNMR (CDCl
3): δ 9.67(1H, brs), 6.74(1H, m), 6.29(1H, d), 3.82(8H,dt), 3.72 (8 H, m).
【0170】
b)4−ジ−モルホリン−4−イル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
25mLのDMF中の2,4−ジ−モルホリン−4−イル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(180mg、0.622mmol、1.0当量)の溶液を、窒素雰囲気下で、氷浴を用いて0℃まで冷却した。その後、油中の水素化ナトリウムを添加し(60重量%、34.8mg、0.871mmol、1.4当量)、反応物を0℃で1時間撹拌した。反応混合物に、2−(クロロメトキシ)エチル)トリメチルシラン(154μL、145mg、0.871mmol、1.4当量)を添加し、反応物を一晩かけて室温まで温めた。5mLのH
2Oを添加して反応をクエンチし、次いで30mLのEtOAcに注いだ。次いで、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液で2回洗浄した(2x25mL)。その後、有機層をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で除去して、暗褐色の油状物として得た。該油状物を、0%ないし70%のEtOAc/ヘプタン勾配を用いてフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。生成物を白色固体として単離した(205mg、79%収率)。
1HNMR (CDCl
3): δ 6.91 (1H, d), 6.46(1H, d), 5.55 (2H, s), 3.94 (8H, dt), 3.82(8H, brs), 3.57 (2H, t), 0.95 (2H, t), 0.00 (9H, s).
【0171】
c)3−[2,4−ジ−モルホリン−4−イル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェノール
隔壁を備える20mLのバイアルに、4−ジ−モルホリン−4−イル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(40mg、0.095mmol、1当量)、酢酸パラジウム(II)(2.15mg、0.0095mmol、0.1当量)、酢酸銅(II)(3.5mg、0.019mmol、0.2当量)および3−ヒドロキシフェニルボロン酸(26.3mg、0.191mmol、2当量)を添加し、次いで酢酸(5mL)を添加した。その後、反応物を1気圧下で、室温にて15時間撹拌した。反応物を0℃まで冷却し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液をゆっくり添加して、酸をクエンチした。その後、反応物を酢酸エチル(40mL)で希釈し、飽和二炭酸水溶液で洗浄した(2x20mL)。その後、有機層を減圧下で除去した。粗生成物を、逆相分取HPLCシステム(修飾剤として水中の0.1%TFAを含む、5%ないし100% H
2O/MeCN勾配)を用いて直接精製した。所望の生成物を含む画分を凍結乾燥させ、全量34.6mgのC2およびC3アリール化生成物を得た。初期の画分は、所望のC2アリール化生成物を含んだ(8.1mg、16.9%収率)。
1HNMR (CDCl
3): δ 7.24 (1H, brs), 7.21 (1H, brs), 6.82 (1H, d), 6.44 (1H, s), 5.50 (2H, s), 3.87 (4H, m), 3.83 (4H, m), 3.79 (11H, m), 0.98 (2H, t), 0.00 (9H, s).
【0172】
d)3−(2,4−ジ−モルホリン−4−イル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−イル)−フェノール
丸底フラスコに、3−[2,4−ジ−モルホリン−4−イル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェノール(8.1mg、0.016mmol)およびフッ化セシウム(72.4mg、0.477mmol、30当量)を添加し、次いでアセトン(6mL)を添加した。反応物を40℃にて6時間加熱した。次いで、反応物を、飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)を添加することによりクエンチした。アセトンを減圧下で除去し、水層をDCMで抽出した(3x15mL)。合わせた有機層を減圧下で除去して、粗生成物を、逆相分取HPLC(修飾剤として水中のn−プロパノールを含む、5%ないし70%H
2O/MeCN)を用いて直接精製し、所望の生成物を白色固体として得た(4.1mg、67.8%収率)。方法7を用いるLC/MS分析、質量(ES+) m/z 382.4、保持時間1.05分。
1HNMR (CDCl
3): δ 10.15 (1H, brs), 7.15 (1H, t), 7.02 (1H, d), 6.67 (1H, brs), 6.65 (2H, m), 6.52 (1H, s), 3.82 ppm (8H, dt), 3.64 (8H, m).
【0173】
実施例3ないし38
以下の表2の実施例3ないし38の化合物は、適当なボロン酸またはボロン酸エステル中間体を用いて、実施例1および2に記載の方法と同様の方法により製造され得る。
【表7】
【0174】
【表8】
【表9】
【0175】
【表10】
【表11】
【0176】
【表12】
【表13】
【0177】
【表14】
【表15】
【0178】
【表16】
【表17】
【0179】
【表18】
【0180】
【表19】
【表20】
【0181】
【表21】
【表22】
【0182】
【表23】
【表24】
【0183】
【表25】
【表26】
【0184】
【表27】
【0185】
【表28】
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 式(I)
【化18】
[式中、
Xは、NまたはCHであり、
R1は、
【化19】
〔式中、
R18およびR22は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシまたはヒドロキシ−C1−3アルキル−であり、
R19およびR21は、独立して、水素、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−3アルコキシ、アミノ−C1−3アルキル−、C1−3アルキル−C(=O)−NH−、C1−3アルキル−S(=O)m−NH−またはヒドロキシ−C1−3アルキル−であり、
mは、0、1または2であり、
R20は、水素、ハロゲンまたはC1−3アルコキシである。〕
であるか、または
R1は、
【化20】
〔式中、
R23は、水素またはメチルであり、
R24は、水素、オキソまたはC1−3アルキルである。〕
で示される基からなる群から選択され、
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、
R14、R15、R16およびR17は、独立して、水素またはメチルであるか、
または、R2およびR8は一体となって、エチレン架橋を形成するか、
または、R2およびR6は一体となって、メチレン架橋を形成するか、
または、R12およびR14は一体となって、エチレン架橋を形成し、
Yは、O、CHR25またはCR26R27(ここで、R25は、ヒドロキシまたはC1−3アルコキシであり、R26およびR27は、独立して、水素またはハロゲンである)である。]
で示される化合物(ただし、式(I)の化合物は、2,6−ジ−モルホリン−4−イル−8−フェニル−9H−プリン以外である)、またはその薬学的に許容される塩。
[2] 式(I)
【化21】
[式中、
Xは、NまたはCHであり、
R1は、
【化22】
〔式中、
R18およびR22は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシまたはヒドロキシ−C1−3アルキル−であり、
R19およびR21は、独立して、水素、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−3アルコキシ、アミノ−C1−3アルキル−、C1−3アルキル−C(=O)−NH−、C1−3アルキル−S(=O)m−NH−またはヒドロキシ−C1−3アルキル−であり、
mは、0、1または2であり、
R20は、水素、ハロゲンまたはC1−3アルコキシである。〕
であるか、または
R1は、
【化23】
〔式中、
R23は、水素またはメチルであり、
R24は、水素、オキソまたはC1−3アルキルである。〕
で示される基からなる群から選択され、
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17は、独立して、水素またはメチルであるか、
または、R5およびR6は、一体となって、エチレン架橋を形成し、
Yは、O、CHR25またはCR26R27(ここで、R25は、ヒドロキシまたはC1−3アルコキシであり、R26およびR27は、独立して、水素またはハロゲンである)である。]
で示される化合物(ただし、式(I)の化合物は、2,6−ジ−モルホリン−4−イル−8−フェニル−9H−プリン以外である)、またはその薬学的に許容される塩。
[3] XがNである、[1]または[2]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[4] XがCHである、[1]または[2]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[5] R1が、
【化24】
〔式中、
R18およびR22が、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシまたはヒドロキシ−C1−3アルキル−であり、
R19およびR21が、独立して、水素、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、C1−3アルコキシ、アミノ−C1−3アルキル−、C1−3アルキル−C(=O)−NH−、C1−3アルキル−S(=O)m−NH−またはヒドロキシ−C1−3アルキル−であり、
mが、0、1または2であり、
R20が、水素、ハロゲンまたはC1−3アルコキシである。〕
である、[1]ないし[4]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[6] R18、R19、R20、R21およびR22の少なくとも1つが水素ではない、[5]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[7] R1が、
【化25】
〔式中、
R23は、水素またはメチルであり、
R24は、水素、オキソまたはC1−3アルキルである。〕
で示される基からなる群から選択される、[1]ないし[4]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[8] YがOである、[1]ないし[7]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[9] YがCHR26またはCR27R28である、[1]ないし[7]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[10] 3−[2−((2S,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェノール;
3−(2,4−ジモルホリノ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−イル)フェノール;
2,6−ビス−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−8−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル)−9H−プリン;
{2−フルオロ−5−[6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−メタノール;
2−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−8−(1H−インドール−4−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
5−[2,6−ビス−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン;
{5−[2,6−ビス−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−2−メトキシ−フェニル}−メタノール;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−6−(8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−9H−プリン;
2−メトキシ−5−[6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−安息香酸;
{4−クロロ−3−[6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−メタノール;
3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−ベンジルアミン;
1−{3−[6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−エタノール;
2,6−ジ−モルホリン−4−イル−8−(1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−6−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2,6−ビス−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2,6−ビス−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
1−[8−(1H−インドール−4−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−2−イル]−ピペリジン−4−オール;
{3−[2,6−ビス−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−5−メトキシ−フェニル}−メタノール;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
{3−[2,6−ビス−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン−8−イル]−4−フルオロ−フェニル}−メタノール;
8−(1H−インドール−4−イル)−6−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−6−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2,6−ビス−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インダゾール−4−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニルアミン;
N−[3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−アセトアミド;
8−(2−メチル−1H−インドール−4−イル)−2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
3−[2−((2S,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニルアミン;
N−[3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−メタンスルホンアミド;
{2−[2−((2S,6R)−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル]−フェニル}−メタノール;
[2−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−メタノール;
3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェノール;
[3−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェニル]−メタノール;
2−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−9H−プリン−8−イル)−フェノール;
6−(3,3−ジメチル−モルホリン−4−イル)−8−(1H−インドール−6−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
6−(3,3−ジメチル−モルホリン−4−イル)−8−(1H−インドール−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−4−イル)−2−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−4−イル)−2,6−ビス−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2,6−ビス−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−6−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−(8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2−モルホリン−4−イル−6−(1S,4S)−2−オキサ−5−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−6−モルホリン−4−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−6−(1S,4S)−2−オキサ−5−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−イル−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−(8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−6−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−(8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−6−イル)−2−モルホリン−4−イル−6−(3−オキサ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル)−9H−プリン;
8−(1H−インドール−4−イル)−2−モルホリン−4−イル−6−(3−オキサ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル)−9H−プリン;
6−(1H−インドール−4−イル)−4−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−2−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;
6−(1H−インドール−4−イル)−2,4−ジ−モルホリン−4−イル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;
から選択される、[1]または[2]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[11] 医薬としての使用のための、[1]ないし[10]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[12] 癌または神経変性障害の処置または予防における使用のための、[1]ないし[10]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[13] [1]ないし[10]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体を含む、医薬組成物。
[14] 癌または神経変性障害の処置または予防のための医薬の製造を目的とする、[1]ないし[10]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
[15] 同時または連続投与のための、治療的有効量の[1]ないし[10]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および第2の薬物を含む、組合せ剤。