特許第5963848号(P5963848)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ガス テクノロジー インスティテュートの特許一覧

<>
  • 特許5963848-非触媒性の復熱式改質装置 図000002
  • 特許5963848-非触媒性の復熱式改質装置 図000003
  • 特許5963848-非触媒性の復熱式改質装置 図000004
  • 特許5963848-非触媒性の復熱式改質装置 図000005
  • 特許5963848-非触媒性の復熱式改質装置 図000006
  • 特許5963848-非触媒性の復熱式改質装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963848
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】非触媒性の復熱式改質装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/34 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   C01B3/34
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-505265(P2014-505265)
(86)(22)【出願日】2012年4月12日
(65)【公表番号】特表2014-517799(P2014-517799A)
(43)【公表日】2014年7月24日
(86)【国際出願番号】US2012033212
(87)【国際公開番号】WO2012142216
(87)【国際公開日】20121018
【審査請求日】2015年4月9日
(31)【優先権主張番号】13/086,433
(32)【優先日】2011年4月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513257731
【氏名又は名称】ガス テクノロジー インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ヒンキス,マーク ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】コズロフ,アレクサンドル ピー.
(72)【発明者】
【氏名】クレク,エイチ. スタンリー
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0011290(US,A1)
【文献】 特表2009−536261(JP,A)
【文献】 特開2011−057869(JP,A)
【文献】 特開2010−100876(JP,A)
【文献】 特開2005−169213(JP,A)
【文献】 特開2009−150404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00 − 3/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)燃焼排ガス流路の第1の部分、および、(ii)燃焼排ガス流路の第1の部分内に少なくとも部分的に埋め込まれた改質用混合物流路の第1の部分であって、燃焼排ガス流路内の燃焼排ガスと、改質用混合物流路内の改質用混合物との間の伝熱を可能にする第1の部分、を含む予熱器部分、および、
(i)燃焼排ガス流路の第2の部分、および、(ii)燃焼排ガス流路の第2の部分内に少なくとも部分的に埋め込まれた改質用混合物流路の第2の部分であって、燃焼排ガス流路内の燃焼排ガスと、改質用混合物流路内の改質用混合物との間の伝熱を可能にする第2の部分、を含む反応器部分、
を含む復熱式改質装置であって、
燃焼排ガス流路は熱プロセスから熱い燃焼排ガスを受け取るように構成され、
改質用混合物流路の第1の部分は、体積流量を有するガス状の改質用混合物を受け取るように構成され、および、改質用混合物流路の第2の部分は、改質用混合物流路の第1の部分から改質用混合物を受け取るように構成され、
改質用混合物流路は触媒を含まず、
改質用混合物流路の第2の部分の少なくとも一部は、金属材料の拡大面を包含しており、および、
改質用混合物流路の第2の部分は、体積流量を有する改質用混合物のあらかじめ定義された閾値よりも大きな、または、該閾値と等しい滞留時間を提供するように構成される、ことを特徴とする復熱式改質装置。
【請求項2】
あらかじめ決められた閾値は、1秒乃至2分の範囲である、ことを特徴とする請求項1に記載の復熱式改質装置。
【請求項3】
改質用混合物流路の第2の部分の体積は、改質用混合物流路の第1の部分の体積よりも大きい、ことを特徴とする請求項2に記載の復熱式改質装置。
【請求項4】
改質用混合物流路の第2の部分における拡大した金属表面の表面積は、燃焼排ガスと改質用混合物の効率的な伝熱に必要とされる表面積よりも大きい、ことを特徴とする請求項2に記載の復熱式改質装置。
【請求項5】
改質用混合物流路は、パラジウム、レニウム、または、酸化ニッケルをまったく含まない、ことを特徴とする請求項2に記載の復熱式改質装置。
【請求項6】
改質用混合物流路の第1の部分は、(i)燃焼排ガス流路の第1の部分の一方の側に第1の部分を、燃焼排ガス流路の第1の部分の反対側に第2の部分を有する予熱器のプレナム、(ii)予熱器のプレナムの第1の部分と予熱器のプレナムの第2の部分とを接続する複数の導管、および、(iii)改質用混合物流路の第1の部分の導管へと改質用混合物をガイドするための、予熱器のプレナムの第1の部分と第2の部分内の1以上のバッフルを含み、
改質用混合物流路の第2の部分は、(i)燃焼排ガス流路の第2の部分の一方の側に第1の部分と、燃焼排ガス流路の第2の部分の反対側に第2の部分を有する反応器のプレナム、(ii)反応器のプレナムの第1の部分と反応器のプレナムの第2の部分とを接続する複数の導管、および、(iii)改質用混合物流路の第2の部分の導管へと改質用混合物をガイドするための、反応器のプレナムの第1の部分と第2の部分内の1以上のバッフルを含む、ことを特徴とする請求項5に記載の復熱式改質装置。
【請求項7】
反応器のプレナムの第1の部分と第2の部分を接続する導管はパイプである、ことを特徴とする請求項6に記載の復熱式改質装置。
【請求項8】
反応器のプレナムの第1の部分と第2の部分を接続する導管は、プレート形状の流路である、ことを特徴とする請求項6に記載の復熱式改質装置。
【請求項9】
燃焼排ガス流路は、熱い燃焼排ガスが燃焼排ガス流路の第2の部分を通り、その後、燃焼排ガス流路の第1の部分を通るように、構成される、ことを特徴とする請求項6に記載の復熱式改質装置。
【請求項10】
改質用混合物流路の第1の部分の体積は、改質用混合物流路の第2の部分の体積よりも小さい、ことを特徴とする請求項2に記載の復熱式改質装置。
【請求項11】
改質用混合物流路の第2の部分の少なくとも一部に含まれる金属材料の拡大面は、80重量%よりも大きなニッケル含量を有するステンレススチールまたは合金からできている、ことを特徴とする請求項2に記載の復熱式改質装置。
【請求項12】
改質用混合物流路の第2の部分の体積は、3600hr−1の最大空間速度を提供する、ことを特徴とする請求項1に記載の復熱式改質装置。
【請求項13】
炭化水素燃料を高発熱燃料へと改質する方法であって、
前記方法は、
熱プロセスからの熱い燃焼排ガスを改質装置の燃焼排ガス流路に導入する工程、
体積流量を有する改質用混合物を改質装置の改質用混合物流路に導入する工程であって、改質用混合物流路の少なくとも一部は、燃焼排ガス流路の燃焼排ガスから、改質用混合物流路の改質用混合物への伝熱を可能にするために、燃焼排ガス流路内に埋め込まれ、および、改質用混合物流路は実質的に触媒を含まず、改質用混合物流路は、体積流量を有する改質用混合物のあらかじめ定義された閾値よりも大きなまたは該閾値と等しい滞留時間を提供するように構成される、工程、および、
改質用混合物流路の出口から、改質された燃料を出力する工程を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項14】
改質用混合物は、少なくともその一部の中に金属材料の拡大面を含む改質用混合物流路へと導入される、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
あらかじめ定められた閾値は、1秒乃至2分の範囲である、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
改質用混合物は、少なくともその一部の中に金属パイプを含む改質用混合物流路へと導入される、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
改質用混合物は、少なくともその一部のためのプレート形状の金属流路を含む改質用混合物流路へと導入される、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府の関心の通知)
本発明は、米国エネルギー省によって与えられた許可番号DE−FG36−08GO18130の下で生み出され、米国政府は、その許可に準ずる本発明中の特定の権利を有してもよい。
【背景技術】
【0002】
本発明は、炭化水素燃料をより高発熱燃料へと改質する方法と装置に関し、とりわけ、炭化水素燃料を改質する際に一般に使用される触媒を要求しない、燃料を改質する方法と装置に関する。
【0003】
(関連技術の詳細)
とりわけ工業用途における多くのプロセスは、大量の余剰な熱−すなわち、プロセスで効率的に使用することができる以上の熱−を発生させる。廃熱回収方法は、さもなければ浪費される余分な熱からある程度のエネルギーの抽出し利用することを試みている。工業用途における熱を回収する典型的な方法は、プロセスそれ自体、復熱装置、熱交換器、および廃熱ボイラーへの直接的な熱回収を含んでいる。
【0004】
廃熱回収の特定の1つの方法は、燃料の熱化学的回復(thermochemical recuperation)(TCR)に基づく。TCRシステムは、1つ以上の復熱式改質装置(recuperative reformers)、1つ以上の空気復熱装置、蒸気発生器、および、他の必要な要素を含むことができる。TCRは、熱処理(例えば、炉、エンジンなどにおける燃焼)からの燃焼排ガス(すなわち、排気ガス)中の顕熱を回収し、その熱を用いて、炭化水素燃料源(例えば、石油、天然ガス、または埋立地ガスなどの化石燃料)を、高発熱熱容量を含む改質された燃料へと吸熱的に転換する。特に、改質プロセスは、熱い燃焼排ガス成分(HOおよびCOなど)、蒸気、および/またはCO(埋立地ガス)を用いて、燃料を、水素(H)、一酸化炭素(CO)、および、改質されていない炭化水素(CnHm)の可燃混合気へと変換する。
【0005】
最も研究され広く普及したプロセスは、蒸気メタン改質(SMR)として知られている、蒸気を用いる天然ガス(メタン)改質である。SMRプロセスは、水素製造の最も一般的な方法である。このプロセスは2つの主要な反応:CH+HO→CO+3H、および、CO+HO→CO+Hによって実現される。最初の反応は強く吸熱性で、ニッケル触媒よりも高い温度(1380°F−1470°F)で通常は実現される。水性ガスシフト反応として知られている第2の反応は、穏やかな発熱を伴い、ニッケル触媒よりも低い温度(370°F−660°F)で通常は実現される。
【0006】
燃焼排ガスを用いる天然ガス改質は、同じ2つの反応と、二酸化炭素とメタンの1つのさらなる吸熱反応:CH+CO→2CO+2Hによって実現される。したがって、TCRプロセスでは、蒸気(HO)と二酸化炭素(CO)が燃料と反応することで、高い発熱量を伴う改質された燃料が生成される。SMRプロセスとは対照的に、水素製造はTCRプロセスの唯一の目的ではない。TCRプロセスでは、水素を製造するよりも、燃料の発熱量を増やすことのほうが通常は重要である。そのために、発熱を伴う水性ガスシフト反応はTCRプロセスには随意であり、取り除くことができる。
【0007】
TCRとSMRのプロセスの別の可能な反応は、炭化水素燃料の直接的な分解である。分解により、水素と固体炭素がもたらされる。改質プロセスが触媒にわたって行なわれると、繊維状炭素は最終的に触媒を非活性化する。触媒が水素製造のためのSMR工程で使用され、分解が望ましくない一方で、固体炭素を可燃物として改質された燃料とともに利用することができる場合、非触媒性の改質は、TCRプロセスでの使用に非常に魅力のあるものである。
【0008】
燃料の熱含有量は著しく増加することがある。例えば、元々の燃料源が天然ガス(メタンが主成分である)である場合、熱含有量はおよそ28%まで増加することがある。この改質された燃料が炉で燃焼すると、燃料経済性は改善され、システム効率は上がり、排出量は減る。改質プロセスでHOとCOの両方を利用することができるので、それは天然ガス燃焼システムでは有利である。というのも、これらのガスは両方とも燃焼の主産物で、したがって、事前に熱せられた状態で容易に利用可能だからである。該プロセスに蒸気を利用可能な場合、あるいは、改質装置とともに熱回収ボイラーを設置することができる場合、燃料を改質するために蒸気を使用することができる。
【0009】
プロセスとしてのTCRは、多くの用途(例えば、非特許文献1、非特許文献2、および、特許文献1を参照)のために調査されてきた。これらの調査の結果は、燃料を改質するために触媒が要求されることを示した。したがって、TCRシステムのための既存の復熱式改質装置は触媒性である。
【0010】
触媒改質装置で使用されるほとんどの触媒は、シリカ、アルミナ、またはシリカアルミナ担体ベース上の酸化ニッケル、プラチナ、またはレニウムを包含しており、なかにはプラチナとレニウムの両方を包含するものもある。他の白金族元素が使用されてもよい。触媒改質装置における触媒の活性(すなわち、有効性)は、炭素析出による操作中に徐々に低下していく。炭素のインサイツの高温酸化によって、触媒の活性を周期的に再生成するか回復させることができる。典型的には、触媒改質装置は6乃至24カ月毎に約一度再生成され、貴重な白金および/またはレニウム含量の再利用のためにメーカーに返却されなければならなくなる前に、触媒をおよそ3度または4度、再生させることができる。
【0011】
改質装置における高価な触媒の使用は、改質装置の資本コストを増加させる。さらに、触媒の必要とされる周期的な再生−および、それが数回再生された後に、触媒を交換する最終的な必要性−も、システムの費用を跳ねあがらせる。その結果、多くの用途−とりわけ、自動車用途などの低温廃熱流を含む用途−では、廃熱回収の経済的な利点は、回収システムのコストを正当化するものではない。
【0012】
[SMR?]
【0013】
効率が非常によく、腐食性の廃棄物または「汚染」廃棄物と共に使用するのに適した、革新的で手頃な方法は、既存の用途の性能を改善するだけでなく、廃熱回収の実行可能な用途の数を増やすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第7,207,323号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Maruoka N. et al., ”Feasibility Study for Recovering Waste Heat in the Steelmaking Industry Using a Chemical Recuperator,” IsIJ International, Vol.44, 2004, No.2, pp. 257−262
【非特許文献2】Yap D. et al., ”Natural gas HCCI engine operation with exhaust gas fuel reforming,” International Journal of Hydrogen Energy, 2006, Vol.31 , pp.587−595
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、炭化水素燃料が空気、酸素濃縮空気、または酸素による燃焼とともに使用される、例えば、熱処理炉、溶解装置、燃焼装置、エンジン、タービンなどの加熱用途で使用するための、廃熱回収システムおよび方法に適用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
1つの好ましい実施形態によれば、本発明は、(1)(i)燃焼排ガス流路の第1の部分、および、(ii)燃焼排ガス流路の第1の部分内に少なくとも部分的に埋め込まれた改質用混合物流路の第1の部分であって、燃焼排ガス流路内の燃焼排ガスと、改質用混合物流路内の改質用混合物との間の伝熱を可能にする第1の部分、を含む予熱器部分、および(2)(i)燃焼排ガス流路の第2の部分、および、(ii)燃焼排ガス流路の第2の部分内に少なくとも部分的に埋め込まれた改質用混合物流路の第2の部分であって、燃焼排ガス流路内の燃焼排ガスと、改質用混合物流路内の改質用混合物との間の伝熱を可能にする第2の部分、を含む反応器部分、を有する復熱式改質装置を提供する。
【0018】
燃焼排ガス流路は熱プロセスから熱い燃焼排ガスを受け取るように構成され、改質用混合物流路の第1の部分は、体積流量を有するガス状の改質用混合物を受け取るように構成され、および、改質用混合物流路の第2の部分は、改質用混合物流路の第1の部分から改質用混合物を受け取るように構成され、および、改質用混合物流路は実質的に触媒を含まない。さらに、改質用混合物流路の第2の部分の少なくとも一部は、金属材料の拡大面を包含しており、改質用混合物流路の第2の部分は、体積流量を有する改質用混合物のあらかじめ定義された閾値よりも大きな、または、該閾値と等しい滞留時間を提供するように構成される。
【0019】
第2の好ましい実施形態によれば、本発明は、非触媒性の復熱式改質装置を含む熱廃棄物回収システムを提供し、該改質装置は、(i)反応室の出口から燃焼排ガスを受け取るように構成された燃焼排ガス流路、および、(ii)体積流量を有する改質用混合物を受け取り、かつ、改質された燃料を産出するように構成された改質用混合物流路を有する。改質用混合物流路の少なくとも一部は、燃焼排ガス流路の燃焼排ガスと、改質用混合物流路の改質用混合物との間の伝熱を可能にするために燃焼排ガス流路内に埋め込まれ、改質用混合物流路は実質的に触媒を含まない。さらに、改質用混合物流路の少なくとも一部は、金属材料の拡大面を包含しており、改質用混合物流路は、体積流量を有する改質用混合物のあらかじめ定義された閾値よりも大きなまたは該閾値と等しい滞留時間を提供するように構成される。さらに別の好ましい実施形態によれば、本発明は、炭化水素燃料を高発熱燃料へと改質する方法を提供する。該方法は、(i)熱プロセスから熱い燃焼排ガスを改質装置の燃焼排ガス流路に導入する工程、(ii)体積流量を有する改質用混合物を改質装置の改質用混合物流路に導入する工程であって、改質用混合物流路の少なくとも一部は、燃焼排ガス流路の燃焼排ガスから、改質用混合物流路の改質用混合物への伝熱を可能にするために、燃焼排ガス流路内に埋め込まれ、および、改質用混合物流路は実質的に触媒を含まず、改質用混合物流路は、体積流量を有する改質用混合物のあらかじめ定義された閾値よりも大きなまたは該閾値と等しい滞留時間を提供するように構成される、工程、および、(iii)改質用混合物流路の出口から、改質された燃料を出力する工程を含む。
【0020】
炭化水素燃料を改質する触媒として一般に使用される、一般的に非常に高価で、コークス沈殿による経時的な性能低下に悩まされている材料を実質的に用いることなく燃料の改質を行うことによって、改質装置の初期コストは削減され、媒を周期的に再生、最終的には交換する必要性がなくなることで、メンテナンス費用は削減される。
【0021】
本発明のさらなる態様は、添付の図と共に取り入れられる、以下の好ましい実施形態の詳細な記載から理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】管状の設計を使用する、本発明に従った非触媒性の復熱式改質装置の1つの好ましい実施形態のフローチャートを描く。
図2図1に描かれた改質装置の上部の断面図を描く。
図3】プレート設計を使用する、本発明に応じた非触媒性の復熱式改質装置の別の好ましい実施形態用のフローチャートを描く。
図4図3に描かれた改質装置の上部の断面図を描く。
図5】本発明の1つの好ましい実施形態に従う改質プロセスのためのフローチャートを描く。
図6】本発明の好ましい実施形態に従って燃焼室および非触媒性の復熱式改質装置を含む熱廃棄物回収システムを描く。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好ましい実施形態が、図1〜6に関して記載される。
【0024】
図1は、本発明の第1の好ましい実施形態による復熱式改質装置(100)のフローチャートを示す。図1に示されるように、この実施形態における改質装置(100)は、2つの部分:予熱器部分(110)と反応器部分(120)を有している。燃焼排ガス流路(130)は、反応器部分(120)と予熱器部分(110)の両方を通る。同様に、改質用混合物流路(140)は、予熱器部分(110)と反応器部分(120)の両方を通る。
【0025】
改質用混合物流路(140)は、1つ以上のプレナム(plenum)、燃焼排ガス流路を通る複数の導管部分、および、1つ以上のバッフルによって形成されるのが好ましい。とりわけ、図1に示された好ましい実施形態では、改質装置の予熱器部分(110)に包含される改質用混合物流路(140)の第1の部分は、(1)燃焼排ガス流路の一方の側に第1の部分(150a)と、燃焼排ガス流路の反対側に第2の部分(150b)を有するプレナム(150)、(2)導管部分(170)、(171)、(172)、および、(173)、および、(3)バッフル(またはパーティション)(180a)と(180b)を含む。同様に、改質装置の反応器部分(120)に包含されるとともに、改質用混合物流路の第1の部分から改質用混合物を受け取る改質用混合物流路(140)の第2の部分は、(1)燃焼排ガス流路の一方の側に第1の部分(160a)と、燃焼排ガス流路の反対側に第2の部分(160b)を有するプレナム(160)、(2)導管部分(174)、(175)、(176)、(176)、(177)、または、(178)、あるいは、(3)バッフル(またはパーティション)(180c)、(180d)、(180e)、および、(180f)と金属材料の拡張表面を含む(図1に示されるように、導管部分(173)は、予熱器部分(110)から反応器部分(120)まで転移点をマークするが、この転移は他の点でも起こり得る)。
【0026】
改質用混合物は、第1のプレナム部分(150a)でプレナム(150)に入り、バッフル(180a)によって、導管部分(170)を通って第2のプレナム部分(150b)に流れなければならない。バッフル(180b)は、改質用混合物を、導管部分(171)を通って第1のプレナム部分(150a)へと流れさせ、改質用混合物はその後、導管部分(172)と(173)を通って流れる。同様に、バッフル(180c)、(180d)、(180e)、および、(180f)は、プレナム部分(160a)、導管部分(174)、プレナム第2の部分(160b)、導管部分(175)、および 残りの導管部分(176)、(177)、および、(178)を通って、改質用混合物流路の出口へと至るように、改質用混合物をガイドする。
【0027】
改質用混合物流路の少なくとも一部、とりわけ改質用混合物流路の第2の部分の少なくとも一部は、(導管が金属で作られているとき、導管部分の壁に加えて)金属材料(190)の拡大面を包含している。図1に示される好ましい実施形態では、金属の拡大面(190)は、導管部分(173乃至178)とプレナム(160)に少なくとも位置する。金属の拡大面(190)は、改質用混合物流路の第1の部分にも含まれてもよい。金属材料の拡大面(190)は、高い伝熱率と改質反応率を提供する。
【0028】
図1に描かれるように、この好ましい実施形態は、燃焼排ガスと改質用混合物の間の向流を用いる。すなわち、燃焼排ガスは、改質用混合物が改質装置を通って流れる方向とは実質的に逆の方向に、改質装置を通って流れる。より具体的には、熱い燃焼排ガスは、反応器部分(120)で改質装置に入り、予熱器部分(110)から冷却された燃焼排ガスとして出る一方で、改質用混合物は、反対側の端部で、すなわち、予熱器部分(110)から改質装置に入り、反応器部分(120)で、改質された燃料として改質装置から出る。しかしながら、改質装置における燃焼排ガスと改質用混合物の間の異なる流れの配置、例えば、並流、直交流、または、直交平行流などが可能である。
【0029】
改質装置(100)は、好ましくは金属で作られている。しかしながら、本発明は金属の使用には限定されず、改質装置(100)(とりわけ、燃焼排ガス流路(130)および改質用混合物流路(140))は適切な材料で作ることができ、該材料は、燃焼排ガスと改質用混合物の温度および圧力に耐えるのに最適なふさわしい材料から作ることができ、ガスの流れに望ましくないやり方では反応せず、および、所望の化学反応を促進すべく燃焼排ガスから改質用混合物へ十分な熱を伝えるために適切な伝熱特徴を提供する。しかしながら、改質装置は、レニウム、白金、または白金族他のメンバー(例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、および、オスミウム)などの炭化水素燃料を改質する際に一般に使用される触媒の材料を含まないことが著しく好ましい。金属材料の拡大面(190)は、ステンレススチールまたは合金などの一般に使用された金属板または金属箔で作ることができる。
【0030】
図2は、図1に描かれた改質装置(100)の長手方向の中心線に沿って得られた断面図を描いている。この好ましい実施形態では、1つのプレナム部分から別のプレナム部分まで燃焼排ガス流路を通る導管部分は管状である。具体的には、それらは金属パイプである。図2に示されるように、金属パイプは、燃焼排ガス流路(130)を通る燃焼排ガスの流れにほぼ垂直であるように配され、燃焼排ガスは、金属パイプを流れ過ぎ去る際、金属パイプを実質的に囲んでいる。図2にさらに示されるように、導管部分は、複数の並行なパイプを含むことができ、例えば、導管部分(170)は、パイプ(170a)、(170b)、および、(170c)を含む。
【0031】
さらに、この好ましい実施形態では、ステンレススチールまたは合金で作られる金属材料の拡大面(190)(例えば、挿入物)は、伝熱を強化するために、かつ、化学反応を促進するために、金属パイプの内部で使用される。金属材料の拡大面はプレナム(160)の内部に位置付けられてもよく、随意に、導管部分内に位置付けられることに加えて、プレナム(150)の内部に位置付けられてもよい。上に言及されるように、図2は、すべての導管部分に位置付けられたものとして金属材料の拡大面を描いているが、拡大面は、改質用混合物流路の第2の部分の導管部分にのみあってもよく、あるいは、改質用混合物流路の第2の部分の一部にのみあってもよい。同様に、図2の金属の拡大面の断面図は、垂直および水平な方向の両方に伸びるものとして拡大面を描いているが、拡大面はこの特定の断面を有するものに限定されない。
【0032】
図1および2に示される改質装置(100)は、以下の方法で作動する。熱プロセスからの熱い燃焼排ガスは、最初に反応器部分(120)を通って、その後予熱器部分(110)を通る。熱い燃焼排ガスは、改質装置内の化学反応を促進するために、かつ、改質用混合物を予熱するためにも、熱源として使用される。燃焼排ガスは主として、例えば、窒素(Nの約71体積%)、水蒸気(HOの約19体積%)、および、二酸化炭素(COの約10体積%)からなる。改質用混合物は、例えば、炭化水素燃料と燃焼排ガスの混合物、燃料および蒸気の混合物、燃料と二酸化炭素の混合物、または、燃料と燃焼排ガスおよび蒸気の混合物であり得る。改質された燃料は、メタン(燃料が天然ガスである場合)を含む、水素(H)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、窒素(N)、水蒸気(HO)、および、改質されていない炭化水素(CnHm)の可燃混合気を包含している。
【0033】
熱い燃焼排ガスの温度はほぼ3500°Fまであってもよく、したがって、改質装置(100)は、そのような温度に適応するように設計されなければならない。反応器部分(120)中の改質用混合物の温度は、化学反応を促進するために350°Fよりも高くなければならない。好ましくは、反応器部分(120)内の改質用混合物の温度は、燃料組成、用途、および経済学に依存して、800°F−2400°Fの範囲でなければならない。反応器部分(120)は、例えば、改質用混合物流路と燃焼排ガス流路との間の十分な表面積接触と、反応器部分(120)内での十分な滞留時間を保証することによって、所望の範囲の温度で改質用混合物を維持するように設計されなければならない。
【0034】
予熱器部分(110)は、改質用混合物の温度を、化学反応を開始することができる強烈な値にまで上げるために使用される。改質用混合物が反応器部分(120)に入る際の予熱器部分の出口の改質用混合物の温度は、好ましくは(必ずしもそうである必要はないが)反応器部分の出口の改質用混合物温度と同じである。この場合、燃焼排ガスから反応器部分内の改質用混合物までの熱の流れは、吸熱化学反応による熱吸収を補うように消費されるだろう。
【0035】
滞留時間は、体積流量で割った改質用混合物流路の体積として計算され、それは空間速度あたり1に等しい(改質用混合物流路が、反応器部分や予熱器部分などの多くの部分を有している場合、計算は、反応器部分内での滞留時間に重点を置くために、改質用混合物流路(例えば、反応器部分)の適切な部分の体積を使用することができる)。プレナム(160)の体積は、化学反応に必要な滞留時間を与えなければならない。反応器部分(120)内のプレナム(160)と導管部分の所望の全体積(すなわち、改質用混合物流路の第2の部分の体積)は、金属材料の拡大面(190)の面積、材料の種類、および、改質燃料組成に依存し、反応器部分(120)内の改質燃料の滞留時間または空間速度に基づいて、それを推測することができる。
【0036】
好ましくは、空間速度の最大値は、標準条件(例えば、60°F、および、14.7psiの絶対圧)に基づいて、約3600hr−1であると推定され、より好ましくは、空間速度の最大値は、約30hr−1から3600hr−1までの範囲である。言いかえれば、滞留時間は、あらかじめ定義された閾値よりも大きいか、それと等しくなければならず、その閾値は好ましくは1秒−2分である。金属表面の表面積が極端に拡大され、金属が高いニッケル含有率を有し、および、改質用混合物の温度が高い(>1800°F)とき、最低の滞留時間(1秒)は適用可能となる。金属表面の表面積が拡大されず、または、わずかにしか拡大されず、および、改質用混合物の温度が低い(<1800°F)とき、最も高い滞留時間(2分)は適用可能となる。用語「拡大面領域」は、改質用混合物に接している表面積が効率的な伝熱に必要とされる伝熱面領域よりも高いことを意味する。伝熱面積とは、改質用混合物を暖めて、かつ、吸熱反応の間に改質用混合物の必要とされる温度を維持するために必要な表面積である。ニッケルは化学反応を促進するので、金属により多くのニッケル含有量が含まれていれば、必要とされる滞留時間は減少することになる。改質用混合物中により多くの窒素(より高い燃焼排ガス/天然ガス比で)が含まれていれば、必要とされる滞留時間および改質装置の大きさは増えることになる。
【0037】
例えば、仮説に基づく例として、改質用混合物は主として、3モルの燃焼排ガスと1モルの天然ガスを含むとともに100SCFHの流速を有し、プレナム(160)とともにパイプ(173〜178)が約0.3ft3の全容積を有する場合、空間速度は約333hr−1になり、および、高ニッケル合金材料(例えば、重量で約80重量%のニッケルよりも重い)が用いられる場合、金属材料の拡大面の全面積は約10ftになるのが好ましい。
【0038】
本発明に応じた復熱式改質装置の第2の好ましい実施形態が、図3および4に関して記載される。図3は第2の好ましい実施形態のフローチャートを描く。第1の好ましい実施形態中の対応する部分とほぼ同じままの部品は、同じ参照番号で標識化されている。
【0039】
第2の好ましい実施形態では、プレナム(150)とプレナム(160)の異なる部分間の燃焼排ガス流路を通る改質装置(200)の導管部分は、第1の好ましい実施形態のように管状のパイプよりもむしろ水平のプレート形状の流路である。したがって、この実施形態では、改質用混合物は、流路(270〜278)を通って流れ、プレナム(150)とプレナム(160)の異なる部分間を通過し、その結果、改質用混合物流路(140)は燃焼排ガス流路(130)を幾度も通る。
【0040】
図4は、図3に描かれた改質装置(200)の長手方向の中心線に沿って得られた断面図を描く。図4に示されるように、導管部分はそれぞれ複数の平行なプレート形状の流路を含んでいる。例えば、導管部分(270)は、流路(270a)、(270b)、(270c)、(270d)、および、(270e)を含む。燃焼排ガス流路は複数のプレート形状の流路(130a)、(130b)、(130c)、および、(130d)も含み、これらを通って、燃焼排ガスは、改質用混合物が導管部分(270〜278)を通って流れる方向にほぼ垂直な方向に流れる。この実施形態では、導管部分とプレナム(150)およびプレナム(160)は、ステンレススチールまたは合金などの金属材料の拡大面(190)も有してもよい。
【0041】
改質用混合物中での必要な反応を可能にするために燃焼排ガスと改質用混合物の間で十分な伝熱が生じる限り、燃焼排ガス流路と改質用混合物流路の他の構造は可能であることが当業者によって認識されよう。同様に、図1および3に描かれるように、第1と第2の好ましい実施形態では、予熱器部分(110)での改質用混合物流路の体積は、反応器部分(120)内の改質用混合物流路の体積よりも小さい。しかしながら、本発明はそのような構造には限定されず、当業者は、特定の状況下では、異なる流路体積比を有する他の実施形態が可能であり、さらに予熱器部分を取り除きさえしてもよいことを認識するだろう。
【0042】
復熱式改質装置の設計は、改質装置内での化学反応を考慮に入れて、空気復熱装置の設計と同様の方法で達成可能である。
【0043】
図5は、本発明の好ましい実施形態によって燃料を改質するプロセスを描いている。工程(500)では、熱い燃焼排ガスは改質装置の燃焼排ガス流路に導入される。工程(510)では、体積流量を有する改質用混合物が改質装置の改質用混合物流路に導入され、ここで、改質用混合物流路内の少なくとも一部は、燃焼排ガス流路内の燃焼排ガスから改質用混合物流路内の改質用混合物への伝熱を可能にするために、燃焼排ガス流路に埋め込まれており、ここで、改質用混合物流路は、酸化ニッケル、白金族元素、または、レニウムなどの炭化水素燃料を改質するための触媒として一般に使用される材料を実質的に包含しておらず、ここで、改質用混合物流路の少なくとも一部は、体積流量を有する改質用混合物のあらかじめ定義された閾値よりも大きな滞留時間を提供する金属材料の拡大面を包含している。工程(520)では、改質された燃料は、改質用混合物流路の出口から出力される。もちろん、所望の反応が起こるのに十分な温度まで改質用混合物が加熱される限り、工程(500)および(510)の相対的なタイミングと順序は重要ではない。
【0044】
図6は本発明の好ましい実施形態による熱廃棄物回収システムを描いている。熱廃棄物回収システムは、炉での燃焼などの熱プロセスが生じる少なくとも1つの反応室(600)を含んでいる。反応室(600)は、燃焼排ガス(すなわち、排気ガス)が、図1および2に描かれた改質装置(100)のような非触媒性の復熱式改質装置の反応室から出て、燃焼排ガス流路に入る際に通る出口(610)を備えている。
【0045】
上に記載された好ましい実施形態と、以下の請求項によって定義される本発明の範囲に含まれると当業者が理解するであろう他の実施形態は、燃料効率と補放出物の減少に関する利点を備えているが、特定の従来の改質技術よりもコストを削減しておよび/または温度を下げるという利点も備えている。とりわけ、再利用された排気ガスまたは蒸気で天然ガスを改質することで、燃料の消費、COおよびNOの排出量、およびコストを著しく削減することができ、同様に、プロセスの熱効率を増加させることができる。上に記載された改質装置および方法は、炭化水素燃料を改質するために一般に使用される高価な触媒を利用しない、非触媒性の復熱式改質装置に関連する。これにより、改質装置の資本コストが削減され、触媒を維持および交換する必要がなくなり、さらにコストが削減される。さらに、非触媒性の復熱式改質装置の効率は、触媒活性の減少によって時間が経っても下がらない。改質装置のコストおよび/または運転温度を下げることによって、そのような装置および/または方法は、現在の工業用途における燃料改質の効率を改善して、さらに多種多様な文脈(例えば、低温プロセス)で実用的な燃料の改質を行ってもよい。
【0046】
上に詳細に記載された好ましい実施形態でのように、本発明の最大の利点は、改質装置中でなんの触媒も用いないことによって得られる。しかしながら、ほとんど触媒材料を含んでいないが、少量の触媒(ニッケル、ロジウム、白金、または、レニウムなど)を包含する改質装置を作ることによって得られる利益もある。そのような改質装置は、依然として触媒の周期的な再生および交換を必要とするであろうが、比較的少量の触媒は資本コストを下げ、維持費用を減少させることもある。したがって、最も好ましい実施形態は、酸化ニッケル、レニウム、および、白金族元素の中からの触媒を包含していないが、本発明の利点のなかには、そのような触媒を実質的に包含しない(例えば、約10質量%未満のそのような触媒)を実施形態から得られるものがあってもよい。
【0047】
本発明は、特定の好ましい実施形態に関して上に記載されてきた。しかしながら、特定の典型的な実施形態の詳細は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。むしろ、本発明の範囲は以下の請求項によって定められなければならない。
図2
図4
図1
図3
図5
図6