特許第5963853号(P5963853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オーチス エレベータ カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許5963853-ブレーキ用の永久磁石調心システム 図000002
  • 特許5963853-ブレーキ用の永久磁石調心システム 図000003
  • 特許5963853-ブレーキ用の永久磁石調心システム 図000004
  • 特許5963853-ブレーキ用の永久磁石調心システム 図000005
  • 特許5963853-ブレーキ用の永久磁石調心システム 図000006
  • 特許5963853-ブレーキ用の永久磁石調心システム 図000007
  • 特許5963853-ブレーキ用の永久磁石調心システム 図000008
  • 特許5963853-ブレーキ用の永久磁石調心システム 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963853
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】ブレーキ用の永久磁石調心システム
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/00 20060101AFI20160721BHJP
   F16D 65/12 20060101ALI20160721BHJP
   B66B 11/08 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   F16D65/00 E
   F16D65/12 A
   F16D65/12 S
   B66B11/08 G
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-515795(P2014-515795)
(86)(22)【出願日】2011年6月16日
(65)【公表番号】特表2014-522468(P2014-522468A)
(43)【公表日】2014年9月4日
(86)【国際出願番号】US2011040632
(87)【国際公開番号】WO2012173625
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2014年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】OTIS ELEVATOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ピエヒ,ズビグニエフ
(72)【発明者】
【氏名】ホイーラー,ロバート
【審査官】 佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−039107(JP,A)
【文献】 特表2011−506225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00−71/04
B66B 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転要素(30)と、
回転要素(30)と作動的に関連するように取り付けられた固定要素(34)と、
固定要素(34)に接続された位置決め装置(36)と、
を備えるブレーキアッセンブリ(22)であって、
位置決め装置(36)は、2つの側部(38)と、永久磁石(40)とを備えており、永久磁石(40)は、2つの側部(38)の間に挟まれ、2つの側部(38)のそれぞれは、第1の連結面(42)を有し、第1の連結面(42)は、位置決め装置(36)を回転要素(30)と磁気的に連結するように、かつ、回転要素(30)に対する固定要素(34)の調心を容易にするように回転要素(30)の第2の連結面(44)結することを特徴とするブレーキアッセンブリ(22)。
【請求項2】
回転要素は、ロータ(30)であり、固定要素は、キャリパアッセンブリ(34)であることを特徴とする請求項1記載のブレーキアッセンブリ(22)。
【請求項3】
2つの側部(38)のそれぞれは、強磁性材料から作成されることを特徴とする請求項記載のブレーキアッセンブリ(22)。
【請求項4】
第1の連結面(42)は、第1の複数の先端部(52)を有する第1の複数の歯(48)を有し、第2の連結面(44)は、第2の複数の先端部(54)を有する第2の複数の歯(50)を有することを特徴とする請求項記載のブレーキアッセンブリ(22)。
【請求項5】
第1の複数の歯(48)は、第2の複数の歯(50)と磁気的に連結することを特徴とする請求項記載のブレーキアッセンブリ(22)。
【請求項6】
第1の複数の先端部(52)は、固定要素(34)が回転要素(30)と調心されるときに、面する第2の複数の先端部(54)と整列されることを特徴とする請求項記載のブレーキアッセンブリ(22)。
【請求項7】
第1の複数の先端部(52)は、固定要素(34)が回転要素(30)から偏心されるときに、面する第2の複数の先端部(54)から偏ることを特徴とする請求項記載のブレーキアッセンブリ(22)。
【請求項8】
位置決め装置(36)は、第1および第2の複数の先端部(52、54)に集中される磁束(62)を生成することを特徴とする請求項記載のブレーキアッセンブリ(22)。
【請求項9】
第2の連結面(44)は、回転要素(30)の環状溝(46)内に機械加工されることを特徴とする請求項記載のブレーキアッセンブリ(22)。
【請求項10】
環状溝(46)はさらに、非磁性停止部材(66)を備えることを特徴とする請求項記載のブレーキアッセンブリ(22)。
【請求項11】
トラクションシーブ(10)と、
トラクションシーブ(10)を駆動するモータと、
トラクションシーブ(10)を制動するブレーキアッセンブリ(22)と、
を備える、エレベータシステム(2)用の機械(12)であって、
ブレーキアッセンブリ(22)は、キャリパアッセンブリ(34)と、永久磁石(40)を有する位置決め装置(36)とを有し、位置決め装置(36)は、キャリパアッセンブリ(34)に接続され、位置決め装置(36)は、トラクションシーブ(10)の第2の連結面(44)と磁気的に連結する第1の連結面(42)を有することを特徴とする、エレベータシステム(2)用の機械(12)。
【請求項12】
位置決め装置(36)は、キャリパアッセンブリ(34)とトラクションシーブ(10)のロータ(30)との間に配置されることを特徴とする請求項1記載の機械(12)。
【請求項13】
第1の連結面(42)は、第1の複数の先端部(52)を有する第1の複数の歯(48)を有し、ロータ(30)は、第2の複数の先端部(54)を有する第2の複数の歯(50)を有する第2の連結面(44)を有しており、第1および第2の複数の先端部(52、54)は、キャリパアッセンブリ(34)およびロータ(30)を調心するように、互いに整列されることを特徴とする請求項1記載の機械(12)。
【請求項14】
位置決め装置(36)は、第1および第2の複数の先端部(52、54)を整列させるように第1および第2の複数の先端部(52、54)に集中される磁束(62)を生成することを特徴とする請求項1記載の機械(12)。
【請求項15】
回転要素(30)と、回転要素(30)と作動的に関連するように接続された固定要素(34)と、固定要素(34)に接続され、回転要素(30)と磁気的に連結する位置決め装置(36)と、を有するブレーキアッセンブリ(22)を提供し、
位置決め装置(36)によって磁束(62)を生成し、固定要素(34)および回転要素(30)の調心位置を復元するように回転要素(30)を通して磁束(62)を伝達させ
ことを含むことを特徴とする、固定要素(34)および回転要素(30)を調心する方法。
【請求項16】
磁束(62)を生成することは、位置決め装置(36)から回転要素(30)へと行きそしてそこから戻る閉ループ磁束経路(56)を画成することを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項17】
磁束経路(56)を画成することはさらに、回転要素(30)の中への横方向の磁束(62)の移動を制限することを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、ブレーキシステムに関し、より詳細には、ディスクブレーキシステムにおけるロータに対するキャリパの調心に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクブレーキは、動いている物体の回転を減速または停止させるために広く使用されている。ディスクブレーキの用途の1つとして、エレベータシステムがあり、特に、トラクションによるエレベータシステムがある。このようなエレベータシステムは一般に、トラクションシーブの周りに引き回された巻上ロープによってつり合いおもりに接続されたエレベータかごを備える。トラクションシーブは、モータによって駆動されて、トラクションシーブの回転によって巻上ロープが移動し、それによって、エレベータかごの所望の移動が生じる。(例えば、ブレーキを作動させることによって)エレベータかごの移動を減速または停止させるために、トラクションシーブは、ディスクブレーキに接続される。
【0003】
トラクションシーブはそれぞれの側で、ディスクブレーキの回転ディスクまたはロータとして作動するフランジと結合されることができる。トラクションシーブおよびロータは、一緒に回転して、エレベータかごの移動を容易にする。ロータの両側に摩擦が加えられると、ロータおよびトラクションシーブは、減速または停止され、それによって、エレベータかごの移動が減速または停止される。ロータに対する摩擦は、それぞれのキャリパ上に少なくとも1組のブレーキパッド、ブレーキコイル、およびばねを有するキャリパによって加えられる。ブレーキが作動されると、ブレーキコイルが解放され、ばねがブレーキバッドに力を加え、ブレーキバッドがロータに接触し、ロータおよびトラクションシーブの動きに対抗する接線方向の摩擦力が生じる。
【0004】
キャリパは、接線方向および径方向には固定されるが、ロータに対して軸方向にある程度の並進または浮上が可能となるように取り付けられる。この浮上の大きさは、サービス中に遭遇する荷重や軸方向移動の所定の範囲の下で正しいブレーキ作動を可能とするために必要であるとはいえ、このような浮上はそれでもやはりロータに対するキャリパの偏心にも責任がある。キャリパおよびロータの調心は、ブレーキが解放されるときにブレーキパッドがロータに接触するのを防止するのを助ける。理想的には、キャリパは、各ブレーキパッドとロータのロータブレーキ表面との間に均一な間隙を有するようにキャリパそれだけでいつでもロータに対して調心されるものである。しかしながら、これは一般的な例ではない。従って従来、特にキャリパを調心するとともに、ブレーキが解放されるときにブレーキパッドがロータに接触しないことを保証する、いくつかの技術が提案されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有効であるとはいえ、そのような従来の技術にはそれでもやはりいくつかの不利な点がある。例えば、最も通常の技術では、キャリパおよびロータを調心するためにセンサなどの機械的装置が使用される。これらのセンサは、ロータとのかなりの物理的接触を維持し、それによって、スティクションや摩擦による損失が生じる。そのような技術は通常、作動させるのに電源または他の閉ループシステムも必要となり、ディスクブレーキの全体の費用や保守が増大するばかりでなく、誤動作や寿命の短縮になりやすい。さらに、そのようなセンサは、ロータとセンサ用の取り付けユニットの間の熱膨張の差に適応することができない。
【0006】
従って、ロータに対するキャリパの調心を容易にする、信頼性が高く、強固であり、および/または安価であるシステムが開発されるならば、有益であろう。付加的にまたは代替として、そのようなシステムが、スティクションおよび摩擦による損失を最小限に抑え、どのような熱膨張にも適応し、および/または、別個の電源システムの必要を解消するならば、有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、ブレーキアッセンブリが開示される。ブレーキアッセンブリは、回転要素と、回転要素と作動的に関連するように取り付けられた固定要素と、固定要素に接続された位置決め装置と、を備えることができる。位置決め装置はさらに、回転要素に対する固定要素の調心を容易にするように回転要素と磁気的に連結する。
【0008】
いくつかの改善では、回転要素は、ロータとすることができ、固定要素は、キャリパアッセンブリとすることができ、位置決め装置は任意選択的に、2つの側部と、永久磁石とを備えることができる。永久磁石は任意選択的に、2つの側部の間に挟まれることもでき、そしてまた、強磁性材料から作成されることができる。
【0009】
他の改善では、2つの側部のそれぞれは任意選択的に、第1の連結面を有することができ、回転要素は、第2の連結面を有することができ、それによって、第1および第2の連結面は、位置決め装置を回転要素と磁気的に連結するように、互いに連結することができる。
【0010】
付加的な改善では、第1の連結面は任意選択的に、第1の複数の先端部を有する第1の複数の歯を有することができ、第2の連結面は、第2の複数の先端部を有する第2の複数の歯を有することができる。第1の複数の歯は任意選択的に、第2の複数の歯と磁気的に連結することができ、第1の複数の先端部は、固定要素が回転要素と調心されるときに、面する第2の複数の先端部と整列されることができ、第1の複数の先端部は任意選択的に、固定要素が回転要素から偏心されるときに、面する第2の複数の先端部から偏ることができる。
【0011】
なお他の改善では、位置決め装置は任意選択的に、第1および第2の複数の先端部に集中される磁束を生成することができる。
【0012】
さらなる改善では、第2の連結面は、回転要素の環状溝内に機械加工されることができ、環状溝は任意選択的に、非磁性停止部材を備えることができる。
【0013】
本開示の別の態様によれば、エレベータシステム用の機械が開示される。機械は、トラクションシーブと、トラクションシーブを駆動するモータと、を備えることができる。機械はさらに、トラクションシーブを制動するブレーキアッセンブリを備えることができ、ブレーキアッセンブリは、キャリパアッセンブリと、永久磁石を有する位置決め装置とを有し、位置決め装置は、キャリパアッセンブリに接続され、トラクションシーブと磁気的に連結する。
【0014】
いくつかの改善では、位置決め装置は任意選択的に、キャリパアッセンブリとトラクションシーブのロータとの間に配置されることができる。位置決め装置はさらに任意選択的に、第1の複数の先端部を有する第1の複数の歯を備えることができ、ロータは、第2の複数の先端部を有する第2の複数の歯を備えることができ、第1および第2の複数の先端部は、キャリパアッセンブリおよびロータを調心するように、互いに整列されることができる。
【0015】
他の改善では、位置決め装置は任意選択的に、第1および第2の複数の先端部を整列させるように第1および第2の複数の先端部に集中されることができる磁束を生成することができる。
【0016】
なお他の改善では、位置決め装置は任意選択的に、トラクションシーブの第2の連結面と連結する第1の連結面を有することができる。
【0017】
本開示のなお別の態様によれば、固定要素および回転要素を調心する方法が開示される。方法は、回転要素と、回転要素と作動的に関連するように接続された固定要素と、固定要素に接続され、回転要素と磁気的に連結する位置決め装置と、を有するブレーキアッセンブリを提供することを含むことができる。方法はさらに、位置決め装置によって磁束を生成し、固定要素および回転要素の調心位置を復元するように回転要素を通して磁束を伝達させることを含むことができる。方法はさらに、各ブレーキ作動後に生成ステップを繰り返すことを含むことができる。
【0018】
いくつかの改善では、磁束を生成することは任意選択的に、位置決め装置から回転要素へと行きそしてそこから戻る閉ループ磁束経路を画成することを含むことができる。
【0019】
他の改善では、磁束経路を画成することは任意選択的に、回転要素の中への横方向の磁束の移動を制限することを含むことができる。
【0020】
他の利点および特徴は、添付の図面と併せて読むことで以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0021】
開示の方法および装置のより完全な理解のためには、添付の図面においてより詳細に示される例示的な実施例を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示のディスクブレーキシステムを有する機械を使用するエレベータシステムの簡略概略図。
図2】より詳細な図1のディスクブレーキシステムを有する機械の斜視図。
図3】より詳細な図2のディスクブレーキシステムの一部の拡大斜視図。
図4】ディスクブレーキシステムのキャリパアッセンブリが除去された図3のディスクブレーキシステムの拡大斜視図。
図5図3の5−5線に沿って取ったディスクブレーキシステムの断面図。
図6図2図5のディスクブレーキシステム内で使用される磁気装置を通る磁束経路を示す図。
図7A図6の磁気装置の磁束密度ベクトル図。
図7B図6の磁気装置の磁束密度ベクトル図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の詳細な説明は、特定の具体的な例示的実施例に関して与えられており、提供されるであろうとはいえ、本開示の範囲をそのような実施例に限定すべきでないこと、そして、そのような実施例が単に実施可能性および最良の態様の目的で提供されていることは理解されたい。本開示の外延および趣旨は、最後に添付された特許請求の範囲およびそれらの均等物に含まれかつ具体的に開示された実施例より広い。
【0024】
ここで図1を参照すると、本開示の少なくともいくつかの実施例による、エレベータシステム2の簡略概略図が示される。ここではエレベータシステム2の構成要素の全てを詳細に図示および/または記載していないとはいえ、典型的なエレベータシステムは、巻上ロープ(図示せず)を介してつり合いおもり6に接続されたエレベータかご4を備えることができる。巻上ロープは、所望のようにエレベータかご4を移動または停止させるようにトラクションシーブ10内のモータによって駆動されるトラクションシーブ10(例えば、トラクションシーブ10は、モータのロータとすることができる)の周りに延在することができる。トラクションシーブ10上のディスクブレーキシステム(後述する)は、エレベータシステム2を減速または停止させるのを助ける。ここではモータ、トラクションシーブ10、およびディスクブレーキシステムを総称してエレベータトラクション機械12と呼ぶ。エレベータシステム2は、つり合いおもり6を用いて、既知の仕方で作動し、従って、表示を簡潔にするために詳細には説明しない。しかしながら、上述した構成要素以外の、エレベータかご枠、ガイドアッセンブリ、駆動アッセンブリ、その他などの構成要素が、本開示の範囲に含まれると予想および考慮されることは、理解されるであろう。
【0025】
ここで図2を参照すると、本開示によるエレベータトラクション機械12の例示的な実施例がより詳細に示される。図示のように、エレベータトラクション機械12は、例えば、昇降路(例えば、巻上ロープ)の上の機械室内にエレベータトラクション機械を位置決めしまたは取り付けるのを助けるさまざまな構造部材を備えることができる。構造部材は、例えば、複数のストラット(例えば、鋼製ストラットまたは溝形鋼)18を有する床板16を含むことができる。構造部材はさらに、床板16に取り付けられかつそこから延在する一対の機械台20を含むことができる。
【0026】
さらに、各機械台20は、形状、大きさおよび形態が互いに同一(または実質的に同一)とすることができる。エレベータトラクション機械12は、2つの機械台20の間でトラクションシーブ10を通って延在する軸(その上にモータのステータが取り付けられる)を備えることもできる。従って、機械台20は、ステータおよびあらゆる回転部品の重量を支持するように軸の端部を固定するために使用されることができる。このような機械台および/またはディスクブレーキシステムと組み合わせてまたは関連して一般に使用される、エンコーダなどの他の構成要素は、図示および/または記載されていないとはいえ、それでもやはり本開示の範囲に含まれると予想および考慮される。
【0027】
トラクションシーブ10のそれぞれの側に取り付けられたフランジが、ブレーキアッセンブリ22の回転要素またはロータ30として作動する。ブレーキアッセンブリ22は、1つまたは複数の固定要素またはキャリパアッセンブリ34を備えることができ、その1つまたは複数が、ピン24などの適切な留め具によりそれぞれの機械台20の1つに取り付けられることができ、さらにそれぞれのロータ30の1つに当接することができる。図2では見えていないとはいえ、ブレーキアッセンブリ22はさらに、各ロータ30のそれぞれに対してキャリパアッセンブリ34のそれぞれを調心するために位置決め装置36(図3参照)を備えることができる。位置決め装置36は、以下の図3図7においてより詳細に記載される。
【0028】
作動時に、ブレーキアッセンブリ22は、電気的に作動されることができる。エレベータシステム2のブレーキ(図示せず)が(既知の仕方で)付勢されると、キャリパアッセンブリ34内に配置されたブレーキコイル(見えていない)が、磁界を生成し、それによって、ブレーキパッド(同様に見えていないが、キャリパアッセンブリ内に配置されている)をロータ30から離れるように移動させ、(モータによって)トラクションシーブ10を移動させるロータ30の回転を可能とし、エレベータかご4を移動させる。消勢されると、キャリパアッセンブリ34内のブレーキコイルは、もはやブレーキバッドに作用せず、キャリパアッセンブリ内のばねが、ロータ30の回転を停止させ、エレベータかご4の移動を停止させるために、ブレーキパッドをロータ30の方へとそれに接触するように移動させる。
【0029】
さらに、ブレーキアッセンブリ22の作動中に、キャリパアッセンブリ34の一部または全部は、接線方向および径方向に機械台20に固定されることができるが、下記のように、軸方向にある程度の並進または浮上が可能となる。軸方向の浮上は、例えば、温度、その他に起因するエレベータトラクション機械12における寸法変化を吸収するのを助ける。一例として、エレベータトラクション機械12の一端上の全てのキャリパアッセンブリ34が、軸方向の浮上を可能とすることができるであろう。キャリパアッセンブリ34のこの軸方向の浮上は、図3の矢印37によって示される。浮上を説明するために、かつ、キャリパアッセンブリ34が、ブレーキ作動後にそれぞれのロータ30に対する調心位置に戻されるのを保証するために、位置決め装置36が、下記のように使用されることができる。
【0030】
ここで図3図4を参照すると、位置決め装置36が、より詳細に図示および記載される。具体的には、図3は、位置決め装置がキャリパアッセンブリ34の1つとロータ30の1つの間に配置されている、ブレーキアッセンブリ22の一部をより詳細に示しており、一方、図4は、キャリパアッセンブリの1つが除去されている、ブレーキアッセンブリの一部を示す。説明を簡単にするために、位置決め装置36は、以下では、キャリパアッセンブリ34の1つ(今後は単にキャリパアッセンブリ34とも呼ぶ)およびロータ30の1つ(今後は単にロータ30とも呼ぶ)に関してのみ記載される。しかしながら、同じ教示が、キャリパアッセンブリ34およびロータ30のそれぞれがそれらの間に配置された位置決め装置36を有している、エレベータトラクション機械12内の他のキャリパアッセンブリ34および他のロータ30に適用可能であることは理解されるであろう。
【0031】
位置決め装置36は特に、磁気位置決め装置とすることができ、より詳細には、キャリパアッセンブリ(固定要素)34に接続され、ロータ(回転要素)30と磁気的に連結する、受動永久磁気装置とすることができる。少なくともいくつかの実施例では、位置決め装置36は、ナット、ボルト、ねじ、その他などの留め具により機械的に、または粘着剤および接着剤によって、キャリパアッセンブリ34に接続(または取り付け)されることができる。他の実施例では、位置決め装置36は、磁気的に、または同様に他の種類の機構によってキャリパアッセンブリ34に取り付けられることができる。位置決め装置36とロータ30の間の接続(磁気的な連結)は、以下により詳細に説明する。位置決め装置36をキャリパアッセンブリ34とロータ30の間に接続し、位置決め装置をロータと磁気的に連結するおかげで、キャリパアッセンブリは、ブレーキが解放される(例えば、付勢される)ときにブレーキパッドがロータ(例えば、ロータブレーキ表面)に接触しないことを保証するために、各ブレーキパッドとロータのロータブレーキ表面の間に均一な間隙を有する(例えば、等距離に配置される)ように、ロータに対して調心されることができる。
【0032】
キャリパアッセンブリ34およびロータ30の調心を容易にするために、位置決め装置36は、永久磁石40(図4参照)を挟む側部38を備えることができる。少なくともいくつかの実施例では、各側部38は、鋼などの強磁性材料から作成されることができるとはいえ、他の実施例では、他の種類の強磁性材料が使用されることができる。関連して、永久磁石40と磁気的に連結するために、ロータ30は、鋳鉄(例えば、ねずみ鋳鉄)などの強磁性材料で構成されることができるとはいえ、ディスクブレーキロータを構成するために一般に使用される他の種類の強磁性材料も使用されることができる。
【0033】
側部38およびロータ30を強磁性材料で構成するおかげで、永久磁石40から側部38およびロータ30を通る磁束経路(図6で以下に記載される)が、ロータおよびキャリパアッセンブリ34を調心するために確立されることができる。さらに、磁束経路を確立するために、永久磁石40は、特定の向きまたは方向で配置されることができる。例えば、少なくともいくつかの実施例では、図示されるように、永久磁石40は、永久磁石のN極が矢印41で示される方向に向き、磁束が永久磁石のN極からS極へと流れるように、向けられることができる。他の実施例では、N極は、矢印41の方向とは反対の方向を向くことができ、磁束は今度は、図6で以下に記載される方向とは反対の方向に流れることができる。
【0034】
図3図4の実施例では、各側部38が、類似の(または実質的に類似の)形状および大きさで示されており、永久磁石40が、側部間の中央に(または実質的に中央に)配置されているという事実にもかかわらず、これが必ずしも一般的な例である必要はない。むしろ、他の実施例では、各側部38は、互いに異なる構成(例えば、形状および大きさ)をとることができ、および/または、永久磁石40は、2つの非対称の側部間で偏心して配置されることができる。さらに、永久磁石40が1つだけ示されているとはいえ、他の実施例では、複数のこのような永久磁石、および/または各位置決め装置が1つまたは複数の永久磁石を有する複数の位置決め装置が、キャリパアッセンブリ34およびロータ30の間に使用されることができることは理解されるであろう。
【0035】
永久磁石40の形状、大きさ、および材料、さらには、キャリパアッセンブリ34およびロータ30の間の位置決め装置36の位置は、他の実施例では同様に変わることができる。特に、位置決め装置36の形状、大きさ、および配置は、エレベータトラクション機械12の大きさ、キャリパアッセンブリ34の大きさおよび重量、キャリパアッセンブリおよびロータを調心するのに必要とされる軸方向の力(F)などのいくつかの要因に依存して変わることができる。キャリパアッセンブリ34およびロータの相対位置の変化が位置決め装置によって検出されるとともに磁気剪断力(例えば、軸方向復元力)がブレーキアッセンブリ22をその調心位置に復元するよう作用するように、永久磁石40が、位置決め装置36を通りロータ30を通る磁束を(後述するように)生成するように配置される限り、上述のパラメータもまた変わることができる。
【0036】
ここで図3図4と関連して図5図6を参照すると、位置決め装置36は、第1および第2の連結面42、44それぞれによりロータ30を磁気的に連結するように接続されることができる。第1の連結面42は、各側部38上に機械加工されることができ、一方、第2の連結面44は、ロータ30の環状溝46内に機械加工されることができる。さらに各第1および第2の連結面42、44のそれぞれには、先端部52、54をそれぞれ有する複数の各歯48、50が、これらの先端部間に小さな隙間が生じるように、機械加工されることができる。
【0037】
位置決め装置36をロータ30と磁気的に連結するために、側部38は、第1の連結面42上の歯48が、第2の連結面44上の歯50と連結するように、環状溝46内に差し込まれることができる。特に、第1および第2の連結面42、44それぞれの間の磁気的な連結は、歯48の先端部52が歯50の先端部54と整列(例えば、直接に接触または嵌合)するように、確立される。位置決め装置36をロータ30と磁気的に連結するおかげで、位置決め装置およびロータの間のいかなる実質的な直接の物理的接触も回避され、それによって、スティクションおよび摩擦による損失が最小限に抑えられる。さらに、本実施例では、環状溝46を通してロータ30を磁気的に連結する単一の位置決め装置36が開示されているとはいえ、少なくともいくつかの実施例では、各環状溝が位置決め装置を有する複数の環状溝が使用されることができる。
【0038】
先端部52、54の整列位置は、キャリパアッセンブリ34およびロータ30の調心位置を示す。先端部52、54の整列からの(矢印37の方向へのキャリパアッセンブリの軸方向の移動に起因する)逸脱は、キャリパアッセンブリ34およびロータ30の偏心位置を生じる。この偏心位置は、位置決め装置36、特に位置決め装置の永久磁石40によって補正されることができ、永久磁石40は、先端部52、54間の整列を復元するように磁束を生成し、それによって、以下に説明する仕方でキャリパアッセンブリ34およびロータ30を調心位置に戻す。
【0039】
特に歯48、50については、これらの対となった歯のそれぞれは、整合歯であり、これらの整合歯は、強磁性材料(鋼など)から製造されることができ、先端部52、54それぞれを有する台形または三角形の構成をとることができ、面取り端部を有することも、有しないことも可能である。好ましくは、第1の連結面42上の歯48の数は、第2の連結面44上の歯50の数に等しくすることができるとはいえ、これが必ずしも一般的な例である必要はない。さらに、少なくともいくつかの例示的な実施例では、各第1および第2の連結面42、44のそれぞれの上に15本の歯48、50が使用されることができる。他の実施例では、歯の数は変わることができる。同様に、いくつかの例示的な実施例では、歯48、50それぞれについて1.67mmの歯と歯のピッチ(例えば、間隔2つの連続した先端部)が使用されることができる。他の実施例では、歯48、50の歯と歯のピッチは変わることができる。
【0040】
ここで図6図7A図7Bを参照すると、図6には永久磁石40の磁束経路56が図示されており、一方、図7A図7Bにはそれぞれ磁束62の磁束密度ベクトル図58、60が示されている。上述したように、永久磁石40およびロータ30を有する位置決め装置36は、歯48、50それぞれの先端部52、54が、キャリパアッセンブリ34およびロータ30の調心位置に対応する整列位置にあるように、設定される。作動中に、図3において矢印37で示されてもいる軸方向の力(F)が、キャリパアッセンブリ34またはロータ30に作用し、これらの構成要素を偏心させるので、永久磁石40によって生成される磁束(例えば、磁界)62(図7A図7Bにおいて複数の矢印で示される)は、先端部52、54間の整列を復元し、キャリパアッセンブリおよびロータを安定した調心位置に戻すように、軸方向の復元力を(例えば軸方向の力Fとは反対の方向に)生成する。以下にさらに説明するように、磁束62は、最小の磁気抵抗となる位置を維持するように磁束経路56に従う傾向があり、磁気抵抗のどのような増加も、磁束を最小磁気抵抗位置に戻すように軸方向の復元力で対抗される。
【0041】
永久磁石40によって生成される磁束62に対応する磁束経路56については、これは、矢印41(N極からS極)の方向に延在し、位置決め装置36の側部38を通り、ロータ30の中へ入り、他の側部を通って、永久磁石に戻る、閉ループに従う。さらに、磁束経路56は、位置決め装置36からロータ30へ入り、そこから戻る最短の経路をとろうとする。磁束62および磁束経路56の最短距離および最小磁気抵抗は、歯48の先端部52が、面する歯50の先端部54とまっすぐに整列されるときに、得られる。従って、磁束62は、図6の磁束経路56のループ部64によって示されるように、位置決め装置36の歯48の各先端部52からロータ30の歯50の対応する各先端部54へと流れる。従って、磁束62は、面するまたは対応する一対の歯48、50の先端部52、54間に集中される。
【0042】
先端部52、54のこのような整列(または調心)位置は、キャリパアッセンブリ34およびロータ30の調心位置に対応する。この位置は、図58に示されており、そこでは、対応する先端部52、54は、互いに整列され、ゼロ(0)mmの偏りを有する。ロータ30の歯50の先端部54が、位置決め装置36の歯48の先端部52から横方向に離れるように移動して(例えば、キャリパアッセンブリ34の軸方向の移動に起因して偏って)、キャリパアッセンブリ34およびロータ30の偏心位置が生じると、磁束62の磁気抵抗が増加する。先端部52、54の最小磁気抵抗位置を復元するために、磁束62は、反対方向の軸方向復元力を生成し、偏った先端部54を先端部52との整列位置へと押し戻す。図60は、歯48、50それぞれの先端部52、54について4分の1(0.25)mmの偏りと、永久磁石40によって生成された復元力とを示す。
【0043】
従って、磁束62は、いつでも最小の磁気抵抗となる位置を維持する傾向があり、(先端部52、54の偏りに起因する)磁気抵抗のどのような増加によっても、永久磁石40は、磁気抵抗に挑戦し、磁気抵抗を最小限に抑え、先端部52、54を整列状態に維持し、それによって、キャリパアッセンブリ34およびロータ30の調心位置を維持する。さらに、位置決め装置36およびロータ30の間の直接の接触を防止するために、非磁性停止部材66が、ロータの環状溝46内で、磁束経路56の経路内に配置される。停止部材66、および位置決め装置36の内部の半円形状によって、歯48、50を除外して磁束62がディスクへと流れるのを防止する非磁性障壁が生成される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
一般に、本開示は、トラクションシーブと作動的に関連するように接続されたブレーキアッセンブリを示す。ブレーキアッセンブリは、回転要素またはロータと、固定要素またはキャリパアッセンブリと、各キャリパアッセンブリおよびロータのそれぞれの間に配置された位置決め装置と、を備えることができる。各位置決め装置は、各キャリパアッセンブリのそれぞれを各ロータと調心するよう、各ロータを通る磁束を生成するように配置される永久磁石を備えることができる。
【0045】
永久磁石を(上述した位置決め装置の形態で)使用することでキャリパアッセンブリおよびロータを調心するおかげで、本開示は、従来の調心機構に対していくつかの利点を提供する。例えば、センサ(位置決め装置)および位置が検出される部品(ロータ)の間の実質的な物理的接触がなく、それによって、どのような摩擦損失も少なくとも実質的に解消される。さらに、位置決め装置は、受動制御を提供し、それによって、従来の構成の電源および閉ループ制御システムの必要が解消される。さらに、位置決め装置は、スティクション(静止摩擦)および摩擦を伴う機械的調心装置の典型的な問題を克服し、基準(センサ取り付け部)および検出部品(ロータ)の間の熱膨張の差を吸収する能力を提供する。従って、位置決め装置は、ブレーキアッセンブリ、従って、強固であり、保守および使用がより容易であり、最小の保守で長い寿命を享受し、据え付けおよび作動に費用のかからない、ディスクブレーキシステムを可能とする。
【0046】
さらに、上述の開示が、エレベータシステムに関して説明されたという事実にもかかわらず、ディスクブレーキシステムが、同様にディスクブレーキを使用する他の種類の機械およびシステムで使用可能であることは理解されるであろう。
【0047】
特定の実施例のみを説明してきたが、上述の説明から当業者には代替例および修正例が明らかであろう。これらと他の代替例は、均等物と見なされ、本開示の趣旨および範囲、および添付の特許請求の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B