特許第5963872号(P5963872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5963872IP接続アクセス・ネットワークを介したIP接続のための、かつIP接続エンドポイントについて選定できるアプリケーションのための、トラフィックの最適化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963872
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】IP接続アクセス・ネットワークを介したIP接続のための、かつIP接続エンドポイントについて選定できるアプリケーションのための、トラフィックの最適化
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20160721BHJP
   H04W 48/18 20090101ALI20160721BHJP
   H04W 80/04 20090101ALI20160721BHJP
   H04W 88/18 20090101ALI20160721BHJP
   H04L 12/903 20130101ALI20160721BHJP
   H04M 3/00 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   H04W48/16 131
   H04W48/18 113
   H04W80/04
   H04W88/18
   H04L12/903
   H04M3/00 D
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-535070(P2014-535070)
(86)(22)【出願日】2012年10月11日
(65)【公表番号】特表2015-501571(P2015-501571A)
(43)【公表日】2015年1月15日
(86)【国際出願番号】EP2012070130
(87)【国際公開番号】WO2013053803
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2014年5月29日
(31)【優先権主張番号】11306328.3
(32)【優先日】2011年10月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100170601
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 孝
(72)【発明者】
【氏名】ランドリアマシー,サビネ
(72)【発明者】
【氏名】メリア,テレマコ
(72)【発明者】
【氏名】ビゾアーン,エリック
【審査官】 三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/054913(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/039719(WO,A1)
【文献】 InterDigital Communications,ALTO server in IMS P2P CDS,SA WG2 Meeting #86 S2-113325,2011年 7月 5日
【文献】 InterDigital Communications,P2P CDS procedures incorporating ALTO,SA WG2 Meeting #87 S2-114299,2011年10月 4日,p.1-2
【文献】 InterDigital Communications, China Mobile, Panasonic,Introducing requirements for optimized peer selection,3GPP TSG SA WG2 Meeting #84 TD S2-111889,2011年 4月14日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
H04L 12/903
H04M 3/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP接続アクセス・ネットワークIP−CANを介してIPネットワークにアクセスできるユーザ機器と、前記IPネットワーク内のIP接続エンドポイントとの間のIPトラフィックを、前記IP接続エンドポイントについて選定できるアプリケーション用に最適化するための方法であって、エンドツーエンドのIPトラフィック最適化基準による、IP接続エンドポイントの選択に基づく、少なくとも1つのステップを含む方法であって、
− 開始済みのアプリケーション向けの新しいIP−CANトラフィック経路を選択する際に、前記ユーザ機器が、ALTOサーバなどのネットワーク・トポロジ認識情報サーバTAISに対し、前記エンドツーエンドのIPトラフィック最適化基準による、IP接続エンドポイントの選択を可能にする情報を要求するステップを含み、
前記IP−CANが、3GPP EPSに対応し、IP−CANトラフィック経路の選択が、3GPPもしくは非3GPPアクセスの選択、および/またはIP接続もしくはIP接続に属するIPフローに対するアクセス・ポイント名の選択に対応する方法。
【請求項2】
− ALTOサーバなどのネットワーク・トポロジ認識情報サーバTAISが、前記ユーザ機器が、1つまたは複数のIP接続エンドポイントを、前記エンドツーエンドのIPトラフィック最適化基準に従って、選択できるようにする情報を提供するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
− 開始済みのアプリケーション向けの新しいIP−CANトラフィック経路を選択する際に、前記ユーザ機器が、ALTOサーバなどのネットワーク・トポロジ認識情報サーバTAISから受信された情報に基づく、前記エンドツーエンドのIPトラフィック最適化基準に従って、IP接続エンドポイントを選択するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
IP−CANが、3GPP EPSに対応し、IP−CANトラフィック経路の選択が、ANDSFサーバなどのポリシー・サーバによって提供される事業者のポリシーに従って、3GPPもしくは非3GPPアクセスの選択、および/またはIP接続もしくはIP接続に属するIPフローに対するアクセス・ポイント名の選択に対応する、請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法の関連ステップを実行するように構成されたユーザ機器。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法の関連ステップを実行するように構成された、ALTOサーバなどのネットワーク・トポロジ認識情報サーバTAIS。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、概して通信に関し、より詳細には、モバイル・ネットワークを介した通信に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル・ネットワークおよびシステムの詳細な記述は、文献中、具体的には、例えば3GPP(第3世代パートナーシップ・プロジェクト)などの標準化団体によって発行された技術仕様書などにおいて見ることができる。
【0003】
モバイル通信システムの一例は、発展型パケット・システムEPSであり、具体的には3GPP TS23.401および3GPP TS23.402に規定されている。例えばEPSなどのシステムでは、ユーザ機器(UE)とも呼ばれるモバイル端末は、IP接続アクセス・ネットワークIP−CANを介してIPネットワーク(パケット・データ・ネットワークPDNとも呼ばれる)にアクセスできる。例えばEPSなどのシステムでは、IP−CANは、3GPPアクセス(E−UTRANやGERAN/UTRANなど)および非3GPPアクセス(信頼性のあるWiFiや信頼性のないWiFiなど)を含む複数のアクセスによってアクセスできる発展型パケット・コアEPCを含む。例えばEPSなどのシステムはまた、各アクセス・ポイント名APNによって特定された複数のPDNにアクセスすることができる。例えばEPSネットワークなどのIP−CAN上のIPトラフィックのルーティングを、(特に、そうしたルーティングに対する事業者のポリシーまたは好みを考慮して)制御できるようにする機能が導入された。そうした機能の例には、具体的にはEPS向けに3GPP TS23.261および3GPP TS23.402に規定された、IPフロー・モビリティ(IFOM)、マルチアクセスPDN接続(MAPCON)、ならびにアクセス・ネットワーク発見および選択機能(Access Network Discovery and Selection Function:ANDSF)のほか、標準IEEE802.21によって規定されたメディア独立ハンドオーバ(Media Independent Handover:MIH)が含まれる。IEEE802.21についてはhttp://www.ieee802.org/21/を参照されたい。モバイル端末(ユーザ機器など)におけるIPトラフィックのそうしたルーティングを実現するために必要な機能は、接続マネージャ(CM)によって実装することができる。こうした接続マネージャ機能のより詳細については、例えば、http://tools.ietf.org/id/draft−seite−mif−connection−manager−02.txtで確認することができる。
【0004】
具体的にはIP接続などのPDN接続を、IP接続アクセス・ネットワーク(例えばEPSなど)を介してIPネットワーク(例えばインターネットなど)にアクセスできるユーザ機器と、前記IPネットワーク内のIP接続エンドポイントとの間に確立することができ、様々なアプリケーションに関係するトラフィックをそうしたIP接続によって運ぶことができる。例えばピアツーピア(P2P)やコンテンツ・デリバリなどのアプリケーションの中には、接続エンドポイントについて選定できるものもある。その場合、例えばアプリケーション・レイヤ・トラフィック最適化(Application Layer Traffic Optimization:ALTO)サービスなどのサービスを、とりわけ、トラフィックの局所性を高め、ユーザ・エクスペリエンスを向上させることができるよう、接続エンドポイントを選択するために使用することができる。ALTOサービスおよびプロトコルのより詳細については、例えば、ALTOプロトコル、draft−ietf−alto−protocol−08.txt、2011年5月で確認することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TS23.401
【非特許文献2】3GPP TS23.402
【非特許文献3】3GPP TR23.261
【非特許文献4】IEEE802.21
【非特許文献5】http://tools.ietf.org/id/draft−seite−mif−connection−manager−02.txt
【非特許文献6】ALTOプロトコル、draft−ietf−alto−protocol−08.txt、2011年5月
【非特許文献7】RFC3484
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
後でより詳細に説明されるように、IP接続アクセス・ネットワークを介してIPネットワークにアクセスできるユーザ機器と、前記IPネットワーク内のIP接続エンドポイントとの間のIPトラフィックを、前記IP接続エンドポイントについて選定できるアプリケーション用にさらに最適化する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は特にこのようなニーズに対応する。
【0008】
これらおよび他の目的は、一態様では、IP接続アクセス・ネットワークを介してIPネットワークにアクセスできるユーザ機器と、前記IPネットワーク内のIP接続エンドポイントとの間のIPトラフィックを、前記IP接続エンドポイントについて選定できるアプリケーション用に最適化するための方法であって、エンドツーエンドのIPトラフィック最適化基準による、IP接続エンドポイントの選択に基づく、少なくとも1つのステップを含む方法によって達成される。
【0009】
これらおよび他の目的は、他の態様では、こうした方法の関連ステップを実行するための様々なエンティティによって達成される。こうしたエンティティは、具体的には、モバイル端末(具体的には、ユーザ機器など)、ネットワーク・トポロジ認識情報サーバ(Topology Aware Information Server)TAIS(具体的には、ALTOサーバなど)を含むことができる。モバイル端末(具体的には、ユーザ機器UEなど)はさらに、様々なエンティティ、具体的には、接続マネージャ、TAISまたはALTOクライアントなどを含むことができる。
【0010】
次に、本発明の実施形態による装置および/または方法のいくつかの実施形態を、単に例示を目的として、添付の図を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の第1の使用例を示す図である。
図2】本発明の実施形態の第2の使用例を示す図である。
図3図1で示された例において、本発明の実施形態による、ユーザ機器において実行される機能の例を示す図である。
図4図2で示された例において、本発明の実施形態による、ユーザ機器において実行される機能の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
端末の市場レポートおよび広告は、その装置が、どこに位置していようとモビリティとシームレスに一体となっている大容量ダウンロードを指向していることを表している。同時に、通信事業者は、次第にコンテンツの提供および管理を自ら運用するようになっているので、人気のあるコンテンツへの簡単なアクセスを提供したいと考えている。こうしたアプリケーションは、ユーザが例えば待ち時間、スループット、パケットロスに関してアプリケーション・セッションの品質をどのように感じているかという体感品質(Quality of Experience:QoE)に高い要求を提示している。移動体通信事業者にとっての現在の課題は、ネットワーク運用において生じるコストを最小化しつつ、QoEを自らの顧客に提供することである。
【0013】
ブロードバンド追求型の、高バースト性のセッションが恣意的に開始され得るので、セッションは、十分に準備され、維持されていることが必要である。LTEネットワークとも呼ばれる発展型パケット・システム(EPS)は、フローの分散をその中で実施することができるいくつかのアクセス技術による、インターネットへの接続をサポートする。
【0014】
3GPPは、セルラ・ネットワークの次世代コア・ネットワークである発展型パケット・コア(EPC)を規定した。EPCは、以下の主要機能、すなわちサービング・ゲートウェイ(S−GW)、PDNゲートウェイ(P−GW)、およびモビリティ管理エンティティ(MME)を定義している。これら3つの機能は、コアおよびアクセス・ネットワークのトラフィック転送機能を制するために、セキュリティのためのホーム加入者サーバ(HSS)ならびにポリシーおよび課金制御(PCC)インフラストラクチャと連携する。
【0015】
具体的には、EPCは、複数のPDN接続の同時使用を可能にする。すなわち、モバイル・デバイスは、複数のアクセス・ポイント名(APN)を構成し、単一の3GPP無線インタフェース上で複数のIPアドレスを受信することができる。さらに、EPCは、WIFIなどの非3GPPネットワークへの無線アクセスも提供する。3GPPは既に、発展型パケット・データ・ゲートウェイ(ePDG)によって、すなわちそれぞれのUEが、保護された接続を介して接続しなければならないVPNコンセントレータによって、信頼性のない非3GPPWLANアクセスを規定した。現在、信頼性のある非3GPPネットワークのためのWIFIアクセス(信頼性のあるWIFIアクセスとも呼ばれる)についても定義するために類似の作業が開始されている。
【0016】
マルチモード・モバイル・デバイスの利用と組み合わされた異種混合の無線アクセスのサポートにより、新たな使用法につながる機会が生まれる。IPフロー・モビリティ(IFOM)およびマルチアクセスPDN接続(MAPCON)の機能は、3GPPによって思い描かれている今後の2つの使用法である。MAPCONは、同時に2つ以上のAPNを使用する機能を指す。IFOMは、同一APNを2つの無線アクセス・ネットワーク(例えば、LTEおよびWIFI)にわたって使用する機能を指す。LTEをQoS要求の厳しいアプリケーションに使用して、WIFIをベスト・エフォート型のトラフィックに使用するなどのユースケースが、MAPCONによって可能になる。LTE技術およびWIFI技術にわたる、アプリケーションのシームレスなローミングが、IFOMによって可能になる。
【0017】
現在、非3GPP技術上のIPトラフィックを制御する主要なツールは、アクセス・ネットワーク発見および選択機能(ANDSF)である。ANDSFは、WiFiやWiMAXなどの非3GPPアクセス技術を通じて接続するために、モバイル事業者ポリシーをUEに転送し、ひいては、制御されたLTEネットワークのQoSおよびトラフィックに適合するトラフィック・ステアリングを可能にする。
【0018】
別のツールは、メディア独立ハンドオーバ(MIH)クライアント/サーバ・プロトコルであり、WiFiやWiMAXなどの3GPPアクセス技術に情報およびハンドオーバ支援サービスを提供する。
【0019】
ANDSFおよびMIHはトラフィックのオフロードおよびネットワーク・リソースの最適化を可能にするが、その可視性および決定範囲はLTEネットワークに限定されている。エンドツーエンドの経路を確認すること、ひいてはUEで感じるQoEを考慮することができず、このことは、リソース、およびパフォーマンス追求型のアプリケーションが大量に使用されることによってますます課題となる。
【0020】
そのQoEを改善し、アプリケーションのニーズ(例えば、ビデオ・ダウンロード)に対処するために、UEは、IETFのALTOプロトコルを使用することができ、その設計目標は、ビデオの全体または一部をダウンロードする考え得る最善の場所の選定に役立つ情報をUEに提供することで、ユーザの体感品質(QoE)とネットワーク・リソースの使用の両方を最適化することである。
【0021】
UEのモビリティを考慮することは、ALTOプロトコルの責任ではない。しかし、UEのモビリティは、そのPDNへの経路、したがってコンテンツへの経路、ひいては関連するQoEに影響し得る。したがって、その経路で生じた変化を考慮しつつ、どれが適切な決定を実施できるかをUEに通知することが必要である。現在、移動中には、ハンドオーバが起きたとき、ネットワーク・レベルの情報とアプリケーション・レベルの情報との間に関連はない。
【0022】
ALTOに関して、IETFのALTO作業グループは、P2Pやコンテンツ・デリバリ・ネットワーク(CDN)などのネットワークにおいてコンテンツ・デリバリ・アプリケーションに対する指針を提供しており、コンテンツ・デリバリ・アプリケーションは、所望のデータ・リソースを提供できる1組の候補から、1つもしくは複数のホストまたはエンドポイントを選択する必要がある。この指針は、ホスト間のデータ転送のパフォーマンスおよび効率に影響するパラメータ、例えばトポロジ距離に基づくことになる。最終目標は、基礎となるネットワーク・インフラストラクチャにおいてリソース消費を削減しながら、アプリケーションのQoEを改善することである。このため、通信事業者(NO)によって展開されたALTOサーバは、要求中のALTOクライアントに対し、現在は例えば、ネットワーク・トポロジ上のNOを中心としたビュー、このトポロジにおける適用可能な対のエンドポイント・グループ(「PID」と呼ぶ)間のルーティング・コストなどの情報を提供し、また、ルーティング・コスト、または接続タイプ、または関連エンドポイント・グループへのルーティング・コストなどの個々のエンドポイントに関する情報を提供する。
【0023】
以下、ALTOサーバを使用する、本発明の実施形態を、例を使用してより具体的に考察する。しかし、本発明の実施形態は、そうした例に限定されるものではなく、またより一般に、任意のネットワーク・トポロジ認識情報サーバ(TAIS)を使用することができる。
【0024】
本発明の実施形態は、アプリケーション認識を、通信相手ノード(CN)への接続準備とその考え得るハンドオーバの両方と関連付けることにより、ANDSFなどのネットワーク・レベルのポリシー機能と決定に関する衝突を起こすことなく、QoEの継続性を保証することができる。
【0025】
本発明の実施形態は、コンテンツ・ダウンロードまたは分散アプリケーションなどの、QoE要求の厳しいセッションを実行し、複数の候補CNの中からいずれかを選定できるモバイルのユーザ機器(UE)の接続を管理する、クロスレイヤ共同ソリューションを提供する。また、所与の通信相手ノード(CN)の選定に関連付けられたコストに関する情報を提供し、その情報を、ある機能によってモバイル・デバイスまたはユーザ機器内に実装された接続マネージャ(CM)と共有する。
【0026】
これは、IETFのアプリケーション・レイヤ・トラフィック最適化(ALTO)などのプロトコルがかかわっていることを意味する。こうしたソリューションは、モバイル・コア・ネットワークに対するALTO機能の拡張からも利益を得るはずである。
【0027】
本発明の実施形態は、ALTOクライアントを接続マネージャ(CM)に接続し、具体的には以下を含む考え得る様々な方法でALTOプロトコルを使用して、サービス品質を保証することで、ブロードバンド・サービスの継続性を改善することができる。
− 積極的な方法で使用。UEが、MAPCON対応であり、またそのフローを、UEに関連付けられたインタフェースを介していくつかのP−GWに分散させる可能性があるとき。その場合、CMは、UEへの経路コストを参照しながら格付けするためにALTOサーバからの情報を要求するALTOクライアントに、1組の候補CNを渡す。UEは次いで、選択されたCNに適切に接続される。
− 適応的な方法で使用。あるフローで実行されたIPフロー・モビリティ(IFOM)が、サービング・ゲートウェイ(SGW)の変更につながったとき。IFOMは、ANDSFによって、またはMIHサービス(複数可)によって推進されてきたものであり、ネットワークの状態をEPSの範囲で考慮し、またUE上で動作するアプリケーション・セッションのQoEニーズに全くとらわれない。IFOMの後、UEとPGWとの間の経路は変化した可能性があり、したがってそのコストも変化した可能性がある。この変化は、UEとCNとの間の全体的なコストに影響する場合があり、したがってCMは、このCNが、ALTOプロトコルの支援の下であらかじめ選択されたという前提で、同じ場所に配置されたALTOクライアントに、候補CNに対するコスト値(cost value)を更新しなければならないことを通知する。
【0028】
図1および図2はそれぞれ、フローの分散に対する、ALTO−COMEPSの適応的な使用法および積極的な使用法を示す。
【0029】
以下で説明する本発明の実施形態は、より具体的には、例として、インターネット上の格納場所からのビデオ・ダウンロードがアプリケーションである、LTEの文脈に対応する。
【0030】
ユーザ機器(UE)が、本明細書でエンドポイント(EP)と呼ぶソース・コンテンツ場所であるCNからコンテンツを受信するものとする。このソースEP(SEP)は、UEへのダウンロードおよびルーティングのコストを最適化することにより、所望のコンテンツをそこから使用可能である1組の候補EPの中からあらかじめ選択されている。SEPとUEとの間のIP経路は、P(SEP, UE)と記載され、UEとEPCにおけるPDNゲートウェイ(PGW)との間の経路、およびPGWとSEPとの間の経路が連結したものである。これらの2つの経路はそれぞれ、P(PGW, UE)およびP(SEP, PGW)と記載される。
【0031】
ここで、UEは、ALTOサーバから、EPへの経路コストを取得するALTOクライアントを有するか、ALTOクライアントに接続されていると仮定される。アプリケーションCNへの経路コストの評価に使用される任意の他の手段が適用可能であることに留意されたい。
【0032】
図1および図2はそれぞれ、フローの分散に対する、ALTO−COMEPSの適応的な使用法および積極的な使用法を示す。
【0033】
図3および図4はそれぞれ、UE内のALTO−COMEPSのメッセージ交換および運用の優先順位付けを、それぞれ適応的な/IFOMの文脈で、および積極的な/MAPCONの文脈で示す。
【0034】
1)第1の実施形態は、適応的なALTO−COMEPSに対応しており、図1および図3に関連して最初に記述される。
【0035】
UEとPGWとの間のIP経路上に、UEがアタッチされる先のサービング・ゲートウェイ(SGW)が置かれている。IFOMがSGWの変更をもたらすものとする。したがってSEPとUEとの間の経路が、最後のホップで、すなわちPGWとSGWとの間で変更される。このことは図1に示されている。
【0036】
IFOMの後、候補EPのリストは変わらないままであるが、関連するダウンロードおよびルーティングのコストは変化した可能性があり、更新が必要である。考え得る結果として、ダウンロード先として現在使用されているEPは、もはや最善ではなく、変更が必要である。
【0037】
関連EPのコストを再評価するために、UEは、CMによって、EPC経路の変更を通知される。
【0038】
図1は、EPSの文脈で、1つのIPアドレスを有するIFOM対応UEの例により、適応的なALTO−COMEPSを示す。
【0039】
以下のステップが図1で示されている。
(i)IFOMが、SGW1からSGW2への変更をもたらし、次に、ユーザ機器(UE)から、パケット・データ・ネットワークのエンドポイント(EP)への関連する経路コストの変更をもたらす。
(ii)いったんHOが実行されると、CMは、ALTOクライアントに現在のCN、つまりEPへの経路コストを更新するように要求する。エンドツーエンドの経路(UEからEPまで)のコストは、MAX[P(EP, PGW), P(PGW, UE)]として計算され、また最小化される予定であるものとする。この例では、UEからPGWまでの経路コストは、7.5から5へ展開する。SGW2の場合、最小コストのEPは、C=5であるEP2となり、そこでは、EP1のコストが7.5に等しいので、EP2は好ましい。
【0040】
例えば帯域の可用性に関してコストを評価するために、最悪の値がCi超で取得されなければならないとき、タイプC=MAX_i(Ci)のコストがしばしば発生することに留意されたい。
【0041】
図3は、このソリューションを稼働状態にするためにUEにおいて必要な機能ブロックの例を示す。接続マネージャは、UEにインストールされたANDSFクライアントとメッセージを交換する。CMはまた、UEによって送信または受信されたIPフローを認識する。EPSにおけるIPフロー・ルーティングの変化が検出されると、CMがALTOクライアントを起動して、ALTOクライアントは次に、適格のSEPへのコストの更新を要求することができる。新しいコスト値を受信すると、ALTOクライアントは、対応するSEPの変更を決定することができる。ANDSFクライアントの代わりに、MIHクライアントを使用することができる。
【0042】
2)次に、積極的なALTO−COMEPSに対応している第2の実施形態を、図2および図4に関連して説明する。
【0043】
積極的な事例の場合、UEは、MAPCON機能が有効化され、構成済みの複数のIPアドレスを有する。適応的なユースケースについて、UEは、CMおよびANDSFクライアントをはじめ、ALTOクライアントを実装する。ANDSFクライアントの代わりに、MIHクライアントを使用できることに留意されたい。
【0044】
図2は、2つのIPアドレスを有するMAPCON対応UEの例における積極的なALTO−COMEPSを示す。UEは、APN1とAPN2の両方に接続することができる。UEのCMは、1組の適格のCNが、APN1(PGW1)およびAPN2(PGW2)を介してアクセスできるように維持する。両方のAPN間の分散は、ANDSFの命令またはMIHサーバから受信される情報に基づく。CNを選択する前に、CMは、ALTOクライアントに適格のCN、つまりEPへの経路コストをALTOサーバから取得するように要求する。CMは、ALTOクライアントによって提供された情報に基づいてCNを選択し、適切な接続を設定する。
【0045】
UEで新たなアプリケーションが開始されると、データを送信および受信するためにIPアドレスおよびインタフェースを選択する必要がある。こうした選択プロセスは現在、例えば、標準RFC3484の手順などの各手順に従っている。本発明の一実施形態では、こうした選択プロセスは、ALTOクライアントを介して提供されるコスト評価指標を用いて強化されている。図4は、選択プロセスを実行するために必要な手順を説明する。第1に、CMはALTOクライアントを起動する。適格のSEPへのコストをALTOクライアントから受信すると、CMは、対応するSEPをAPNを介して選択することができる。CMは次いで、選択された対応するSEPに接続するために使用されるべきIPアドレスをアプリケーションに通知する。この意味で、IPアドレスの選択手順は、ANDSFまたはMIHの指針に基づくネットワーク認識型、およびエンドツーエンドの経路コストを参照しながら最善のSEP選択を提供するALTOの指針に基づくQoE認識型の両方となった。
【0046】
モバイルにおいて、QoEに敏感なアプリケーションおよび帯域要求の厳しいアプリケーションが急拡大している。LTEネットワークは、IFOMやMAPCONなどのinter−RATフロー・モビリティ機能への指針を提供するANDSFやMIHなどの決定機能を介して、いくつかのアクセス技術の中から接続のフローを分散することを可能にする。ALTOプロトコルは、UEの通信相手ノードをトポロジ認識のエンドツーエンドの接続経路知識に基づいて選定する指針を提供することにより、これらの機能を完全なものにする。
【0047】
本発明の実施形態は、接続マネージャにおいて、完全に補完的な方法で、ALTOプロトコルをANDSF機能に関連付けることにより、UEが、ネットワーク認識型の方法においてアプリケーションのQoEを改善することを可能にする。
【0048】
一方では、現在、ネットワーク・レイヤがアプリケーション・レイヤと連携するための標準方法はなく、他方では、ANDSFの決定範囲は現在、UEからPDNへの経路に限定されている。ALTOプロトコルは、アプリケーションのエンドポイントの選択に対するネットワーク・ベースの指針を、エンドツーエンドの経路の可視性とともに提供するが、そこでは、ANDSFおよびMIHの範囲が一般に、最後のホップを表す。本発明の実施形態は、上記2つの制約を、ALTOクライアントと接続マネージャを統合することによって克服し、したがって、衝突また矛盾を起こすことなく、ネットワーク・ベースの決定およびアプリケーション・ベースの決定を可能にする。
【0049】
一態様では、IP接続アクセス・ネットワークを介してIPネットワークにアクセスできるユーザ機器と、前記IPネットワーク内のIP接続エンドポイントとの間のIPトラフィックを、前記IP接続エンドポイントについて選定できるアプリケーション用に最適化するための方法が提供される。
【0050】
様々な組合せによる、様々な実施形態が、単独で、または組み合わせて利用することができる以下の実施形態を含めて、提供されてもよい。
【0051】
一実施形態では、前記方法が、エンドツーエンドのIPトラフィック最適化基準による、IP接続エンドポイントの選択に基づく、少なくとも1つのステップを含む。
【0052】
一実施形態では、前記方法が、
− ALTOサーバなどのネットワーク・トポロジ認識情報サーバTAISが、前記ユーザ機器が、1つまたは複数のIP接続エンドポイントを、前記エンドツーエンドのIPトラフィック最適化基準に従って、選択できるようにする情報を提供するステップを含む。
【0053】
一実施形態では、前記方法が、
− 開始済みのアプリケーション向けの新しいIP−CANトラフィック経路を選択する際に、前記ユーザ機器が、ALTOサーバなどのネットワーク・トポロジ認識情報サーバTAISから受信された情報に基づく、前記エンドツーエンドのIPトラフィック最適化基準に従って、IP接続エンドポイントを選択するステップを含む。
【0054】
一実施形態では、前記方法が、
− 開始済みのアプリケーション向けの新しいIP−CANトラフィック経路を選択する際に、前記ユーザ機器が、ALTOサーバなどのネットワーク・トポロジ認識情報サーバTAISに対し、前記エンドツーエンドのIPトラフィック最適化基準による、IP接続エンドポイントの選択を可能にする情報を要求するステップを含む。
【0055】
一実施形態では、前記方法が、
− アプリケーションを開始する際に、前記ユーザ機器が、ALTOサーバなどのネットワーク・トポロジ認識情報サーバTAISによって提供された情報に基づく、エンドツーエンドのIPトラフィック最適化基準に従って、IP接続エンドポイントを選択するステップを含む。
【0056】
一実施形態では、前記方法が、
− アプリケーションを開始する際に、前記ユーザ機器が自らを、トラフィック経路が、前記エンドツーエンドのIPトラフィック最適化基準に従って選択されたIP接続エンドポイントに関連付けられるように構成するステップを含む。
【0057】
一実施形態では、前記方法が、
− アプリケーションを開始する際に、前記ユーザ機器が、ALTOサーバなどのネットワーク・トポロジ認識情報サーバTAISに対し、エンドツーエンドのIPトラフィック最適化基準による、IP接続エンドポイントの選択を可能にする情報を要求するステップを含む。
【0058】
一実施形態では、IP−CANが、3GPP EPSに対応し、IP−CANトラフィック経路の選択が、3GPPもしくは非3GPPアクセスの選択、および/またはIP接続もしくはIP接続に属するIPフローに対するアクセス・ポイント名の選択に対応する。
【0059】
一実施形態では、IP−CANが、3GPP EPSに対応し、IP−CANトラフィック経路の選択が、ANDSFサーバなどのポリシー・サーバによって提供される事業者のポリシーに従って、3GPPもしくは非3GPPアクセスの選択、および/またはIP接続もしくはIP接続に属するIPフローに対するアクセス・ポイント名の選択に対応する。
【0060】
他の態様は、こうした方法の関連ステップを実行するように構成された様々なエンティティに関する。こうしたエンティティは、具体的には、モバイル端末(具体的には、ユーザ機器など)、ネットワーク・トポロジ認識情報サーバTAIS(具体的には、ALTOサーバなど)を含むことができる。モバイル端末(具体的には、ユーザ機器UEなど)はさらに、様々なエンティティ、具体的には、接続マネージャ、TAISまたはALTOクライアントなどを含むことができる。
【0061】
こうしたエンティティの詳細な実装形態は、何ら特別な問題を当業者にもたらさず、したがって、当業者にとって、前述した以上に十分に公開される必要はない。
【0062】
当業者であれば、様々な前述の方法のステップが、プログラムされたコンピュータによって実行され得ることを容易に認識するであろう。本明細書において、一部の実施形態は、例えばデジタル・データ記憶媒体などのプログラム記憶デバイスを包含することも意図されるが、このプログラム記憶デバイスとは、マシンまたはコンピュータにより読み取り可能であり、またマシンが実行可能なまたはコンピュータが実行可能な、命令のプログラムを符号化し、前記命令が前記前述の方法のステップの一部またはすべてを実行するものである。プログラム記憶デバイスは、例えば、デジタル・メモリ、磁気ディスクや磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハード・ドライブ、または光学的に読み取り可能なデジタル・データ記憶媒体などでもよい。各実施形態は、前述の方法の前記ステップを実施するためにプログラムされたコンピュータを包含することも意図される。
図3
図4
図1
図2