特許第5963880号(P5963880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5963880自動車の可動部材用のスピンドルドライブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963880
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】自動車の可動部材用のスピンドルドライブ
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/20 20060101AFI20160721BHJP
   E05F 15/622 20150101ALI20160721BHJP
【FI】
   F16H25/20 B
   E05F15/622
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-547739(P2014-547739)
(86)(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公表番号】特表2015-505015(P2015-505015A)
(43)【公表日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】EP2012005011
(87)【国際公開番号】WO2013091779
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2014年7月18日
(31)【優先権主張番号】102011122316.2
(32)【優先日】2011年12月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508072408
【氏名又は名称】ブローゼ ファールツォイクタイレ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニ コマンディートゲゼルシャフト ハルシュタット
【氏名又は名称原語表記】Brose Fahrzeugteile GmbH & Co. KG, Hallstadt
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ フィッシャー
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−121892(JP,A)
【文献】 特開2007−010146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/20
E05F 15/622
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の可動部材(1)用のスピンドルドライブであって、
幾何学的なスピンドル軸線(4)に沿って駆動力を発生させるために、駆動モータ(2)であって、下流に接続されるスピンドル−スピンドルナット伝動機構(3)を有する駆動モータ(2)を備え、
前記駆動力を導出する2つの連結部(5,6)が設けられており、
前記連結部(5,6)の一方の連結部(5)に結合される内側ハウジング(7)と、他方の連結部(6)に結合される外側ハウジング(8)とが設けられており、
モータによる作動時、前記内側ハウジング(7)は、テレスコピックに前記外側ハウジング(8)内を移動する、
自動車の可動部材(1)用のスピンドルドライブにおいて、
前記両ハウジング(7,8)の少なくとも一方は、少なくともツーピースに形成されており、相応に第1の軸方向のハウジング区分(9)にわたって、第1の材料からなる第1のハウジング部分(10)により構成され、第2の軸方向のハウジング区分(11)にわたって、第2の材料からなる第2のハウジング部分(12)により構成され、かつ
前記第1の軸方向のハウジング区分(9)は、常に前記駆動力のための力伝達経路外に位置するように配置されている、
ことを特徴とする、自動車の可動部材用のスピンドルドライブ。
【請求項2】
前記内側ハウジング(7)が少なくともツーピースに形成されている、請求項1記載のスピンドルドライブ。
【請求項3】
前記第2の材料は、前記第1の材料より硬く、かつ/又は前記第2の材料は、前記第1の材料より撓みにくく、かつ/又は前記第2の材料は、前記第1の材料より高い靱性を有する、請求項1又は2記載のスピンドルドライブ。
【請求項4】
前記第1の材料は、プラスチック材料であり、前記第2の材料は、金属材料である、請求項1から3までのいずれか1項記載のスピンドルドライブ。
【請求項5】
前記第2の材料は、鋼材料である、請求項4記載のスピンドルドライブ。
【請求項6】
前記第2のハウジング部分(12)は、前記駆動モータ(2)及び場合によっては該駆動モータ(2)の下流に接続される中間伝動機構(2a)を収容し、かつ/又は前記第2のハウジング部分(12)に、前記駆動力を導出する前記両連結部(5,6)の一方が配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のスピンドルドライブ。
【請求項7】
前記内側ハウジング(7)は、内管として形成され、前記外側ハウジング(8)は、外管として形成されており、モータによる作動時、前記内管(7)は、テレスコピックに前記外管(8)内を移動する、請求項1から6までのいずれか1項記載のスピンドルドライブ。
【請求項8】
前記内管(7)及び前記外管(8)の横断面は、略円形に形成されている、請求項7記載のスピンドルドライブ。
【請求項9】
前記第1の軸方向のハウジング区分(9)は、ツーピースに形成される前記ハウジング(7)の軸方向の長さの少なくとも半分にわたって延在している、請求項1から8までのいずれか1項記載のスピンドルドライブ。
【請求項10】
ツーピースに形成される前記ハウジング(7)の前記第1のハウジング部分(10)と、前記第2のハウジング部分(12)とは、軸方向で差し合わされており、これにより軸方向のオーバラップ領域(16)を形成する、請求項1から9までのいずれか1項記載のスピンドルドライブ。
【請求項11】
ツーピースに形成される前記ハウジング(7)の両ハウジング部分(10,12)は、軸方向の力結合のみを介して互いに結合されている、請求項1から10までのいずれか1項記載のスピンドルドライブ。
【請求項12】
前記両ハウジング部分(10,12)は、前記軸方向の力結合のために対応する連結面(10a,12a)を有する、請求項11記載のスピンドルドライブ。
【請求項13】
ばね装置(17)が設けられており、該ばね装置(17)は、前記内側ハウジング(7)を前記外側ハウジング(8)に対して軸方向で付勢し、かつ
ツーピースに形成される前記ハウジング(7)の前記両ハウジング部分(10,12)間の結合のために必要な軸方向の力結合は、前記ばね装置(17)に由来する、
請求項11又は12記載のスピンドルドライブ。
【請求項14】
前記ばね装置(17)は、圧縮コイルばね(18)を有し、該圧縮コイルばね(18)内で前記スピンドル−スピンドルナット伝動機構(3)の前記スピンドル(13)は動作する、請求項13記載のスピンドルドライブ。
【請求項15】
ツーピースに形成される前記ハウジング(7)の前記両ハウジング部分(10,12)の一方の前記連結面(10a)は、内向きに張り出した環状面として形成されている、請求項12記載のスピンドルドライブ。
【請求項16】
密封装置(19)が設けられており、該密封装置(19)は、ツーピースに形成される前記ハウジング(7)の前記両ハウジング部分(10,12)の一方の内部に、少なくとも1つのシール(19a〜d)を有する、請求項1から15までのいずれか1項記載のスピンドルドライブ。
【請求項17】
前記密封装置(19)は、ツーピースに形成される前記ハウジング(7)の前記両ハウジング部分(10,12)を封止するために用いられ、前記両ハウジング部分(10,12)の一方の内部にかつ/又は軸方向の端部に、シール(19a〜d)を有する、請求項16記載のスピンドルドライブ。
【請求項18】
前記少なくとも1つのシール(19a〜d)は、軟弾性のシールである、請求項16又は17記載のスピンドルドライブ。
【請求項19】
前記可動部材(1)は、自動車のリアゲート、リアリッド、エンジンフード、サイドドア、トランクリッド、ポップアップルーフである、請求項1から18までのいずれか1項記載のスピンドルドライブ。
【請求項20】
請求項1から19までのいずれか1項記載の自動車の可動部材(1)用のスピンドルドライブを製造する方法であって、前記スピンドルドライブは、完成した状態で、
幾何学的なスピンドル軸線(4)に沿って駆動力を発生させるために、駆動モータ(2)であって、下流に接続されるスピンドル−スピンドルナット伝動機構(3)を有する駆動モータ(2)と、
前記駆動力を導出する2つの連結部(5,6)と、
前記連結部(5,6)の一方の連結部(5)に結合される内側ハウジング(7)と、他方の連結部(6)に結合される外側ハウジング(8)と、
を備え、モータによる作動時、前記内側ハウジング(7)は、テレスコピックに前記外側ハウジング(8)内を移動し、かつ密封装置(19)が設けられており、該密封装置(19)は、ハウジング(7)あるいはハウジング部分(10)の内部に、少なくとも1つのシール(19a〜d)を有する、
自動車の可動部材(1)用のスピンドルドライブを製造する方法において、
前記ハウジング(7)あるいは前記ハウジング部分(10)の内部に前記少なくとも1つのシール(19a〜d)を形成するために、少なくとも1つの開口(22)を前記ハウジング(7)あるいは前記ハウジング部分(10)に形成し、
前記ハウジング(7)あるいは前記ハウジング部分(10)の内部に、該ハウジング(7)あるいは該ハウジング部分(10)の内壁とともに、前記少なくとも1つの開口(22)と対応するキャビティを形成する射出成形用ダイを位置決めし、かつ
前記シール(19a〜d)をプラスチック射出成形法で前記少なくとも1つの開口(22)を通して射出成形する、
ことを特徴とする、自動車の可動部材用のスピンドルドライブを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の自動車の可動部材用のスピンドルドライブ及び請求項14の前提部に記載のスピンドルドライブを製造する方法に関する。
【0002】
「可動部材」なる概念は、ここでは広く解釈すべきであり、例えば自動車のリアゲート、リアリッド、エンジンフード、サイドドア、トランクリッド、ポップアップルーフ等を包含するものである。以下では、自動車のリアゲートをモータにより作動させる使用分野についての話が、中心となるが、これに使用分野を限定したものと解釈すべきではない。
【0003】
リアゲート等をモータ駆動して操作するという傾向がある中で、スピンドルドライブを使用する意義は、ますます大きなものとなっている。本発明が出発点としている公知のスピンドルドライブ(独国特許出願公開第102008062391号明細書)は、幾何学的なスピンドル軸線に沿って駆動力を発生させるために、駆動モータであって、下流に接続されるスピンドル−スピンドルナット伝動機構を有する駆動モータを装備している。この場合、駆動力は、2つの端部側の連結部を介して導出される。スピンドルドライブは、駆動モータを収容する内側ハウジングと、外側ハウジングとを有しており、両ハウジングは、モータによる作動時、テレスコピックに、つまり入れ子状に伸縮自在に進退する。その際、内側ハウジング又は外側ハウジングの少なくとも一部は、重量削減や、係止結合の簡単な実現性を保証するために、プラスチック材料から形成されている。
【0004】
別の公知のスピンドルドライブ(独国実用新案第202005000559号明細書)も、スピンドルドライブのハウジングのためにプラスチック材料を使用することを示している。プラスチック材料の使用により、この公知のスピンドルドライブでは、内側ハウジング又は外側ハウジングをプラスチック半シェルから製造することが必要である。
【0005】
上述のようにスピンドルドライブの内側ハウジングあるいは外側ハウジングを実現する際にプラスチック材料を使用することには、重量及び設計に関する利点だけでなく、結果として生じるコストに関する利点もある。しかし、スピンドルドライブの構造に関して、最適化の必要性が生じてしまう。構造の機械的な特性、特に結果として生じる剛性に関する特性が、金属製のハウジングを有するスピンドルドライブに対して劣っていることは、望ましいことではない。
【0006】
本発明の課題は、公知のスピンドルドライブを、その機械的な特性が改善されるように構成し、かつ改良することである。
【0007】
上記課題は、請求項1の前提部に記載のスピンドルドライブにおいて、請求項1の特徴部に記載の構成により解決される。
【0008】
重要であるのは、両ハウジングの少なくとも一方、特に内側ハウジングを少なくともツーピースに、すなわち少なくとも2つの部分から形成するという基本思想である。2つのハウジング部分を有する二分割性により、第1の材料からなる第1の軸方向のハウジング区分と、第2の材料からなる第2の軸方向のハウジング区分とが生じる。
【0009】
提案によれば、第1の軸方向のハウジング区分は、常に駆動力のための力伝達経路外に位置するように配置されている。このことは、特に安価に、例えばプラスチック材料から第1の軸方向のハウジング区分を設計することを可能にする。
【0010】
提案する解決手段、すなわち特に内側ハウジングを、複数の軸方向のハウジング区分において、それぞれ異なる材料から製造するという解決手段により、スピンドルドライブのハウジングの、実際の力の状態に合わせて適合された設計が可能となる。適当な材料を目的に合った形で使用することにより、機械的な特性は、僅かなコストで改善される。
【0011】
請求項2に記載の好ましい態様は、主な力伝達経路が、ツーピースに形成されるハウジングの第2の軸方向のハウジング区分を介して延びるという事実を考慮したものである。その結果、第2の材料は、選択的に、第1の材料と比較して硬質、高靱性かつ/又は低弾性である。
【0012】
実際の試験では、第1の材料がプラスチック材料であり、第2の材料が金属材料である、請求項3に記載の特に好ましい態様が、特に実証されている。
【0013】
請求項4に記載の別の好ましい態様では、第2のハウジング部分が駆動モータを収容する。このことは、特に第2のハウジング部分を金属材料から形成した場合に有利である。このように構成すると、スピンドルドライブは、特に電磁両立性に関して最適に設計される。
【0014】
ツーピースに形成されるハウジングの両ハウジング部分の結合に関する特に好ましい態様は、請求項8及び請求項9に係る発明である。本発明において、両ハウジング部分は、軸方向の力結合のみを介して互いに結合されている(請求項8)。この軸方向の力結合は、特に好ましい態様では、いずれにしても存在するばね装置により提供される(請求項9)。これにより、当該ハウジングの二分割性が、結合に起因する追加コストを惹起しないことが保証されている。
【0015】
請求項11及び請求項12に記載のやはり好ましい態様は、ツーピースに形成されるハウジングの両ハウジング部分の少なくとも一方が密封装置を備え、密封装置が、少なくとも1つのシールを両ハウジング部分の一方の内部に有する構成に関する。該当するハウジング部分が、プラスチックからなる部分として形成されている場合、密封装置の少なくとも一部は、簡単に二成分プラスチック射出成形法で実現される。
【0016】
スピンドルドライブを製造する方法、特に複数あるハウジング部分のうちの1つの内部において上述の密封装置を実現する方法は、請求項14に記載の別の思想の対象である。
【0017】
この別の思想において重要であるのは、ハウジングあるいはハウジング部分の内部のシールの、プラスチック射出成形法での実現である。まず、少なくとも1つの開口をハウジングあるいはハウジング部分に形成し、ハウジングあるいはハウジング部分の内部に、ハウジングあるいはハウジング部分の内壁とともに、少なくとも1つの開口と対応するキャビティを形成する射出成形用ダイを位置決めすることを提案する。次に、プラスチック材料をプラスチック射出成形法で少なくとも1つの開口を通して射出する。その結果、冷却工程後、ハウジングあるいはハウジング部分の内部には、相応の軟弾性のシールが形成される。
【0018】
提案する方法を説明するのに好適な、提案するスピンドルドライブについてのすべての説明を参照されたい。
【0019】
以下に、唯一の実施の形態を示す図面を参照しながら、本発明について詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】提案するスピンドルドライブを有する自動車後部の概略側面図である。
図2図1に示したスピンドルドライブをそれぞれ側方から見た図であって、左図は外観図であり、右図は、断面図である。
図3図1に示したスピンドルドライブの内側ハウジングの分解立体図である。
【0021】
図示のスピンドルドライブは、自動車のリアゲートとして形成される可動部材1をモータにより作動させるために用いられる。提案するスピンドルドライブのその他の分野での使用も可能であり、その詳細については後述する。
【0022】
スピンドルドライブは、通常のように、幾何学的なスピンドル軸線4に沿って駆動力を発生させるために、下流に接続されるスピンドル−スピンドルナット伝動機構3を有する駆動モータ2を装備している。本実施の形態ではかつ好ましくは、駆動モータ2とスピンドル−スピンドルナット伝動機構3との間に、減速のために用いられる中間伝動機構2aが設けられている。
【0023】
スピンドルドライブは、駆動力を導出する2つの連結部5,6を有している。連結部5,6は、本実施の形態ではかつ好ましくは、ボールとボールソケットとを介した連結を提供する。
【0024】
図2は、一方の連結部5に結合される内側ハウジング7と、他方の連結部6に結合される外側ハウジング8とが設けられていることを示している。モータによる作動時、内側ハウジング7は、テレスコピックに、すなわち入れ子状に伸縮自在に外側ハウジング8内を移動する。
【0025】
ここで重要であるのは、両ハウジング7,8の少なくとも一方、特に内側ハウジング7が、少なくともツーピース(zweiteilig)に、すなわち少なくとも2つの部分から形成されていることである。このことは、図2及び図3を合わせて参酌すると、最良に看取可能である。内側ハウジング7の壁は、相応に、第1の軸方向のハウジング区分9にわたって、第1の材料からなる第1のハウジング部分10により提供され、第2の軸方向のハウジング区分11にわたって、第2の材料からなる第2のハウジング部分12により提供される。図3は、分解立体図で両ハウジング部分10,12を示している。両ハウジング部分10,12は、相応に、それぞれ異なる材料からなっている。
【0026】
提案によれば、第1の軸方向のハウジング区分9は、常に駆動力のための力伝達経路外に位置するように配置されている。このことから、内側ハウジング7の第1のハウジング部分10に例えば被覆機能あるいは封止機能を付与することが可能となる。このことは、駆動力の発生についての説明から明らかである。
【0027】
以下では、主に内側ハウジング7、好ましくは内側ハウジング7の両ハウジング部分10,12の構成について説明するが、内側ハウジング7に関するすべての説明は、外側ハウジング8についても相応に当てはまる。
【0028】
駆動モータ2及び中間伝動機構2aは、第2のハウジング部分12により収容されている。第2のハウジング部分12は、後述する方法で第1のハウジング部分10に結合されている。スピンドル−スピンドルナット伝動機構3のスピンドル13は、中間伝動機構2aから突出し、スピンドルナット14と係合している。スピンドルナット14は、本実施の形態ではガイド管15とも云う管15により、スピンドルドライブの上側の連結部6に結合されている。上側の連結部6は、他方において、上述のように外側ハウジング8に結合されている。
【0029】
モータによる作動時、駆動力のための力伝達経路は、連結部5と、内側ハウジング7の第2のハウジング部分12(第2の軸方向のハウジング区分11)と、駆動モータ2と、中間伝動機構2aと、スピンドル13と、スピンドルナット14と、ガイド管15と、上側の連結部6とを介して延びている。ここで注目すべきは、力伝達経路が内側ハウジング7の第1のハウジング部分10、特に第1の軸方向のハウジング区分9を介して延びていないという事実である。
【0030】
相応に第1のハウジング部分10は、第2のハウジング部分12より弱く設計可能である。好ましくは、第2の材料は、第1の材料より堅固であり、かつ/又は第2の材料は、第1の材料より高い靱性を有しており、かつ/又は第2の材料は、第1の材料より低弾性である。要するに、提案する解決手段は、内側ハウジング7及び外側ハウジング8の、実際の力の状況に合わせて分けられた設計を可能にする。
【0031】
特に好ましい態様において、第1の軸方向のハウジング区分9を構成する第1の材料は、プラスチック材料であり、第2の軸方向のハウジング区分11を構成する第2の材料は、金属材料、特に鋼材料である。第2の軸方向のハウジング区分11を金属材料から構成すると、図示のように、駆動モータ2が第2の軸方向のハウジング区分11、つまり第2のハウジング部分12内に配置されている場合、良好な電磁両立性の点で有利である。
【0032】
図2は、第2のハウジング部分12に、駆動力を導出する下側の連結部5が配置されていることを示している。ここで連結部5は、いわば内側ハウジング7のためのキャップを形成している。このキャップは、材料の塑性変形による締結、接着、螺止等により内側ハウジング7に結合可能である。
【0033】
図面は、本実施の形態ではかつ好ましくは、内側ハウジング7が内管として形成され、外側ハウジング8が外管として形成されていることを示している。この場合、モータによる作動時、内管7はテレスコピックに外管8内を移動する。内管7及び外管8の横断面に関して、様々な形態が可能である。好ましくは、内管7及び外管8の横断面は、略円形に形成されている。図2は、第1の軸方向のハウジング区分9が、ツーピースに形成される内側ハウジング7の軸方向の全長の半分より長く延在していることを示している。本実施の形態では、提案する解決手段により、内側ハウジング7の大部分がプラスチックからなる一方、それよりも小さな、しかし力を伝達する部分が金属材料から形成されていることが、特に明らかである。
【0034】
内管7の図示の構成は、その機械的な基本構造に関して特に有利である。このことは、特に両ハウジング部分10,12の機械的な結合に関する。
【0035】
図2及び図3を合わせて参酌すると、ツーピースに形成される内側ハウジング7の第1のハウジング部分10と第2のハウジング部分12とが、軸方向で差し合わされており、これにより軸方向のオーバラップ領域16を形成していることが判る。本実施の形態ではかつ好ましくは、第2のハウジング部分12が第1のハウジング部分10内に差し込まれている。
【0036】
内側ハウジング7の両ハウジング部分10,12の結合部において、特に注目すべきは、両ハウジング部分10,12が軸方向の力結合(Kraftschluss:力による束縛)のみを介して互いに結合されているという事実である。ここでの「結合」なる概念は、狭義に、両ハウジング部分10,12が外力により互いに分解不能となっていることと解すべきである。このことは、軸方向の力結合を解くと、両ハウジング部分10,12が互いに分解可能となることを意味している。軸方向の力結合のために、両ハウジング部分10,12は、対応する連結面10a,12aを有している。
【0037】
両ハウジング部分10,12の結合のために必要な軸方向の力結合の形成は、図示の、その点において好ましい態様において、容易に解決可能である。提案によれば、内側ハウジング7を外側ハウジング8に対して軸方向で付勢するばね装置17が設けられている。この軸方向の付勢による予圧は、好ましくは、両連結部5,6を互いに押し離すように設定されている。ばね装置17は、図2に例示されており、一連の公知のスピンドルドライブに見られるものである。このようなばね装置17は、モータによる作動時にリアゲート1等の重量に対して駆動モータ2を補助するために、決まって使用される。
【0038】
ここで重要であるのは、ツーピースに形成される内側ハウジング7の両ハウジング部分10,12間の結合のために必要な軸方向の力結合が、ばね装置17に由来することである。図示の、その点において好ましい実施の形態では、ばね装置17は、圧縮コイルばね18を有している。スピンドル−スピンドルナット伝動機構3のスピンドル13は、圧縮コイルばね18内で動作する。圧縮コイルばね18は、一方では、第1のハウジング部分10に設けられた連結面10aを介して、第2のハウジング部分12に設けられた連結面12aを押圧し、他方では、上側の連結部6あるいは外側ハウジング8を押圧する。ガイド管15を介して、相応の力がスピンドルナット14に加わるので、スピンドルナット14は、図2で見て上方に押圧される。
【0039】
ここで圧縮コイルばね18は、スピンドルドライブが完全に引き伸ばされた状態でも、かなりの予圧力が作用するように設計されている。予圧力は、上述のように、両連結面10a,12aの圧着、ひいては両ハウジング部分10,12の力結合につながる。
【0040】
連結面10a,12aの形態に関して、一連の好ましい形態が可能である。本実施の形態ではかつ好ましくは、内側ハウジング7の第1のハウジング部分10の連結面10aは、内向きに張り出した環状面である。環状面10aは、環状鍔を形成している。環状鍔は、幾何学的なスピンドル軸線4に関してこれを取り巻くように第1のハウジング部分10の内壁に配置されている。
【0041】
内側ハウジング7は、本実施の形態ではかつ好ましくは、密封装置19を有している。密封装置19は、多数のシール19a〜dを有している。その際、シール19a〜dは、第1のハウジング部分10を第2のハウジング部分12に対して封止するために用いられ、シール19eは、内側ハウジング7を外側ハウジング8に対して封止するために用いられる。シール19a〜cは、第2のハウジング部分12の外壁20に当接し、シール19cは、付加的に、第2のハウジング部分12により形成される円錐部21に当接する。相応にシール19cは、内側ハウジング7の第1のハウジング部分10の軸方向の端部に配置されている。
【0042】
図3は、シール19a〜cが略環状に形成されていることを示している。その際、軸方向でずらされた配置が特に有利であることが判っている。シール19dは、略軸方向に延びている。このことは、封止技術的に有利というだけではなく、振動も回避するように働く。
【0043】
内側ハウジング7の内部、本実施の形態では内側ハウジング7の第1のハウジング部分10の内部に存在するシール19a〜dの製造は、独立した意義のある別の思想の対象である。
【0044】
提案する方法では、内側ハウジング7あるいはハウジング部分10の内部に少なくとも1つの軟弾性(weichelastisch)のシール19a〜dを形成するために、少なくとも1つの開口22を内側ハウジング7あるいはハウジング部分10に形成する。次に、内側ハウジング7あるいはハウジング部分10の内部に、図示しない射出成形用ダイを位置決めする。射出成形用ダイは、内側ハウジング7あるいはハウジング部分10の内壁とともに、少なくとも1つの開口22に対応するキャビティを形成する。最終的に、軟弾性のシール19a〜dをプラスチック射出成形法で少なくとも1つの開口22を通して射出成形する。
【0045】
提案する方法は、単純な射出成形用工具、本実施の形態では内在する射出成形用ダイによる密封装置19の製造を可能にする。さらに、引き続き、開口22を覆う外側シール19eを射出成形することが可能である。
【0046】
提案する方法に関して、図3に示した密封装置19の具体的な態様は、特別な利点、すなわち計3つの環状のシール19a〜cを唯一の軸方向の射出部位により射出成形する可能性を示す。このことは、計3つの環状のシール19a〜cが、軸方向で延在するシール19dにより結合されていることで、可能である。これにより、内在するすべてのシール19a〜dは、好ましくは1回の射出成形工程で実現される。
【0047】
提案するスピンドルドライブは、自動車の考え得るすべての可動部材1のために使用可能である。可動部材の例として、自動車の上述のリアゲート、リアリッド、エンジンフード、サイドドア、トランクリッド、ポップアップルーフ等が挙げられる。
図1
図2
図3