特許第5963886号(P5963886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5963886合成ラップが設けられたケースを備えた振動式メーター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963886
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】合成ラップが設けられたケースを備えた振動式メーター
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/84 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   G01F1/84
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-555539(P2014-555539)
(86)(22)【出願日】2012年2月6日
(65)【公表番号】特表2015-508159(P2015-508159A)
(43)【公表日】2015年3月16日
(86)【国際出願番号】US2012023976
(87)【国際公開番号】WO2013119198
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2014年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パンクラッツ, アンソニー ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ワインスタイン, ジョエル
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/005734(WO,A1)
【文献】 特表2000−505896(JP,A)
【文献】 実開平6−75741(JP,U)
【文献】 特開2009−162606(JP,A)
【文献】 特開2010−38540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00− 9/02
G01F15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動式メーター(5)のセンサー組立体(10)であって、
1つ以上の流体導管(103A、103B)と、
前記1つ以上の流体導管(103A、103B)の少なくとも一部を取り囲むケース(200)と、
前記ケース(200)の少なくとも一部に設けられ、前記ケース(200)の破壊圧力を増加させ且つ当該ケース(200)の自然振動周波数の低下を避けるように形成された合成ラップ(300)と
を備えてなるセンサー組立体(10)。
【請求項2】
前記合成ラップ(300)が前記ケース(200)の実質的に外面全体に設けられてなる、請求項1に記載のセンサー組立体(10)。
【請求項3】
前記合成ラップ(300)が合成繊維から構成されてなる、請求項1に記載のセンサー組立体(10)。
【請求項4】
前記合成ラップ(300)の繊維の向きが、前記ケース(200)の1つ以上の振動周波数を調節するために合わせられてなる、請求項3に記載のセンサー組立体(10)。
【請求項5】
前記合成ラップ(300)が2つ以上の異なる合成繊維から構成されてなる、請求項3に記載のセンサー組立体(10)。
【請求項6】
前記合成ラップが前記ケースの第一の部分に第一の厚みで設けられ、前記ケースの少なくとも第二の部分に少なくとも第二の厚みで設けられてなる、請求項1に記載のセンサー組立体(10)。
【請求項7】
1つ以上の流体導管を有する振動式メーターのセンサー組立体を形成する方法であって、
前記1つ以上の流体導管の少なくとも一部をケースで取り囲むステップと、
前記ケースの少なくとも一部に、前記ケースの破壊圧力を増加させ且つ当該ケースの自然振動周波数の低下を避けるように形成された合成ラップを設けるステップと
を有する、方法。
【請求項8】
前記合成ラップを設けるステップが、前記合成ラップを前記ケースの実質的に外面全体に設けることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記合成ラップが繊維から構成される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記合成ラップを設けるステップが、前記ケースの1つ以上の振動周波数を調節するために前記合成ラップの繊維の向きを合わせることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記合成ラップが2つ以上の異なる合成繊維から構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記合成ラップを設けるステップが、前記合成ラップをプリテンショニングすることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記合成ラップを設けるステップが、1つを超える数の前記合成ラップの層を設けることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記合成ラップを設けるステップが、前記合成ラップを前記ケースの第一の部分に第一の厚みで設け、前記合成ラップを前記ケースの少なくとも第二の部分に少なくとも第二の厚みで設けることを含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
後述の実施形態は、振動式メーターに関するものであり、とくに合成ラップが設けられているケースを備えた振動式メーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、デンシトメーター、体積流量メーターおよびコリオリフローメーターの如き振動式メーターは、例えば、密度、質量流量、体積流量、総合質量流量、温度、他の情報などの如き物質の1つ以上の特性を測定するために用いられる。振動式メーターは1つ以上の導管を備えている。1つ以上の導管は、例えば、直線形状、U字形状または異形形状の如きさまざまな形状を有することが可能である。1つ以上の導管は、測定流体の一次的な格納部を提供する。測定流体は、液体であってもよいし、気体であってもよいし、またはそれらを組み合わせたものであってもよい。液体は浮遊粒子を含んでいてもよい。
【0003】
1つ以上の導管は、例えば、単純曲げモード、ねじれモード、ラジアルモードおよび結合モードを含む一組の固有の振動モードを有している。1つ以上の導管は、物質の特性を求めるため、これらのモードのうちの1つのモードで少なくとも1つのドライバにより共振周波数で振動させられる。このモードのことを以下ドライブモードと呼ぶこととする。1つ以上のメーター電子機器は、正弦波ドライバ信号を少なくとも1つのドライバへ送信するようになっている。ドライバは、通常マグネット/コイルを組み合わせたものであり、マグネットは導管に固定され、コイルはマウント用構造体または他の導管に固定されている。ドライバは、上述のドライバ信号により、ドライブモードでかつドライブ周波数で1つ以上の導管を振動させる。例えば、ドライバ信号はコイルに送信される周期的な電流であってもよい。
【0004】
1つ以上のピックオフが、導管の振動を検出し、振動する導管の運動を表す正弦波ピックオフ信号を生成する。通常、ピックオフはマグネット/コイルを組み合わせたものである。通常、マグネットは導管に固定され、コイルはマウント用構造体または他の導管に固定されている。ピックオフ信号は1つ以上のメーター電子機器へ送信される。周知の原理によれば、ピックオフ信号は、必要ならば、物質の特性を求めるためまたはドライバ信号を調節するために1つ以上の電子機器により用いられるようになっていてもよい。
【0005】
一般的に、導管、ドライバおよびピックオフはケース内に収容されている。ケースは、内部部品の保護の如き複数の利点を提供することができることに加え、流体導管に例えば、クラックが生じた場合に、流体の二次格納部を提供することもできる。ケースが適切な二次格納部を提供するためには、ケースの破壊圧力(部品が機能しなくなる圧力)は、濡れ流路(流体導管、マニホルド、フランジなど)の動作圧力と少なくとも同じくらい高い圧力である必要がある。現在市場に出ている振動式メーターのほとんどは、約15,000psi(1,034bar)の破壊圧力を有する濡れ流路を備えている。しかしながら、この数値は、濡れ流路に用いられる材料、メーターのサイズなどに依存して変わりうる。規制機関または安全機関は、破壊圧力または他の解析的方程式に基づいて、濡れ流路の定格圧力を割り当てることができる。二次格納部定格圧力は、定格圧力が実際の破壊圧力未満となるような安全係数を含んでいるのが一般的である。例えば、米機械学会(ASME)は、現在、物性および用いられる溶着方法に応じて約6〜10の安全係数を導入している。したがって、約15,000psi(1,034bar)の破壊圧力を有する濡れ流路についていえば、10の安全係数を仮定した場合、ASME定格圧力はわずか1,500psi(103bar)に過ぎない。規制機関の控えめな定格圧力に部分的に起因して、認可される二次格納部を提供するためにはケースの破壊圧力を著しく増大させなければならない。このケースの破壊圧力の著しい増大は、とくにケースの直径が常に濡れ流路の部品の直径よりもはるかに大きいことを考慮すると問題である。
【0006】
ケースの定格圧力を増大させる方法を理解するため、ケースは、ケース内の圧力がケース壁に作用してフープ応力(hoop stress)を形成する、壁の薄いシリンダ形状の部品であると見なすことができる。フープ応力は式(1)で表される。
σ=P*ID/2t (1)
この式で、σはフープ応力であり、Pは内部圧力であり、IDはケースの内部直径であり、tはケースの厚みである。
【0007】
軸方向ストレスの如き他のストレスがさらに存在するが、フープ応力は、最も大きく、したがって最小厚みの選択に最も関連している。多くの状況において、規制機関または他の安全規格により最大許容フープ応力が管理されている。式(1)から明らかなように、許容可能なフープ応力を維持するとともに高圧力を可能とする1つのアプローチは、ケースの内部直径を減少させることである。しかしながら、このアプローチは、流体導管のサイズをさらに減少させることなくうまくいくことはほとんどない。他のアプローチはケース厚みを増大させることである。ケースは、ステンレス鋼または炭素鋼の如き金属から形成されることが多いが、プラスチックの如き他の材料が用いられてもよい。メーターサイズが比較的小さな場合、すなわち導管の内部直径が約1インチ(2.54cm)未満では、適切な流体用の二次格納部を提供するにあたって、標準的なケースであっても十分に強い場合が多いし、またはそれに代えて、スチール製のケースにさらなる厚みを加えることも合理的かつ比較安価である。明らかなように、導管の直径が増大すると、ケースのサイズも増大するのが一般的である。したがって、内部直径が約1インチ(2.54cm)を超える導管サイズを有している振動式メーターでは、導管が故障した場合に流体の圧力を封じ込めるためのケースの能力は減退してしまい、また、ケースの厚みを増大させることには重大な欠点がある。例えば、一部の大型の振動式流量メーターは、10インチ(25.4cm)以上の内部直径を有するケースを備えることができる。このサイズの振動式流量メーターは、二次格納部がより重要になってくる石油・ガス産業において見受けられることが多い。この寸法のケースは、濡れ流路の破壊圧力である15,000psi(1,034bar)を何倍も下回っている約860psi(59.3bar)の破壊圧力を有していることが多い。この範囲の大きさでは、ケースは、15,000psi(1,034bar)の破壊圧力を有するためには、ケースの厚みが約2インチ(5.08cm)必要となってしまうので、ケース重量が2,000ポンド(908kg)を超えることとなる。明らかなように、このようなアプローチは、振動式メーターのケースにとって過度のコストおよび重量となる。
【0008】
ケースの厚みを増大させることに付随する高コストおよび大重量に部分的に起因して、これらの大型のメーターの技術分野で用いられているケースは、振動式メーターの導管および電気部品の保護のためだけに設けられ、受け入れ可能な二次流体格納部を提供するものではなかった。このことにより、導管が故障すると、ほとんど直ちにケースが故障してしまうという状況が生じることとなった。最近の石油の流出、化学物質の流出および環境問題に加えて、現在進行中の安全問題に起因して、流体導管が故障した場合に振動式メーターのケースが二次格納部となることを確実なものとする必要性が増大している。
【0009】
後述の実施形態により、これらの問題および他の問題が克服され、技術進歩がもたらされる。後述の実施形態は、ケースの少なくとも一部のまわりに設けられる合成ラップを備えたケースを提供している。合成ラップは、ケースの破壊圧力を著しく増大させることができるとともに、追加重量およびケースの振動周波数に対する影響を最小限に抑えることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
ある実施形態にかかる振動式メーターのセンサー組立体が提供されている。かかるセンサー組立体は、1つ以上の流体導管と、1つ以上の流体導管の少なくとも一部を取り囲むケースとを備えている。ある実施形態によれば、かかるセンサー組立体は、ケースの少なくとも一部に設けられる合成ラップをさらに備えている。
【0011】
ある実施形態にかかる振動式メーターのセンサー組立体を形成する方法が提供されている。センサー組立体は1つ以上の流体導管を備えている。ある実施形態によれば、かかる方法は、1つ以上の流体導管の少なくとも一部をケースで取り囲むステップを有している。ある実施形態によれば、かかる方法は、ケースの少なくとも一部に合成ラップを設けるステップをさらに有している。
【0012】
態様
ある態様によれば、振動式メーターのセンサー組立体は、1つ以上の流動導管と、1つ以上の流体導管の少なくとも一部を取り囲むケースと、ケースの少なくとも一部に設けられる合成ラップとを備えている。
【0013】
好ましくは、合成ラップは、ケースの実質的に外面全体に設けられる。
【0014】
好ましくは、合成ラップは合成繊維から構成される。
【0015】
好ましくは、合成ラップの繊維の方向は、ケースの1つ以上の振動周波数を調節するために合わせられる。
【0016】
好ましくは、合成ラップは2つ以上の異なる合成繊維から構成される。
【0017】
好ましくは、合成ラップは、ケースの第一の部分に第一の厚みで設けられ、ケースの少なくとも第二の部分に少なくとも第二の厚みで設けられる。
【0018】
他の態様によれば、1つ以上の流体導管を備えている振動式メーターのセンサー組立体を形成する方法は、1つ以上の流体導管の少なくとも一部をケースで取り囲むステップと、ケースの少なくとも一部に合成ラップを設けるステップとを有している。
【0019】
好ましくは、合成ラップを設けるステップはケースの実質的に外面全体に合成ラップを設けることを含む。
【0020】
好ましくは、合成ラップは合成繊維から構成される。
【0021】
好ましくは、合成ラップを設けるステップは、ケースの1つ以上の振動周波数を調節するために合成ラップの繊維の方向を合わせることを含む。
【0022】
好ましくは、合成ラップは2つ以上の異なる合成繊維から構成される。
【0023】
好ましくは、合成ラップを設けるステップは合成ラップをプリテンショニングすることを含む。
【0024】
好ましくは、合成ラップを設けるステップは1つを超える数の合成ラップの層を設けることを含む。
【0025】
好ましくは、合成ラップを設けるステップが、合成ラップをケースの第一の部分に第一の厚みで設け、合成ラップをケースの少なくとも第二の部分に少なくとも第二の厚みで設けることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】ある実施形態にかかる振動式メーターを示す図である。
図2】ある実施形態に従ってケースを備えているセンサー組立体を示す図である。
図3】ある実施形態に従ってケースの一部が合成ラップで包まれているセンサー組立体を示す図である。
図4】ある実施形態に従ってケースの外面全体が合成ラップで包まれているセンサー組立体を示す図である。
図5】ある実施形態に従って繊維がさまざまな方向に向き、ケースの外面全体が合成ラップで包まれているセンサー組立体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1図5および下記記載には、ラップで包まれたケースを備えている振動式メーター〔vibrating meter〕を最良のモードで実施および利用する方法を当業者に教示するための具体的な実施形態の一例が示されている。本発明の原理を教示するために、従来技術の一部が単純化または省略されている場合もある。当業者にとって明らかなように、これらの実施形態の変形例も本発明の範囲に含まれる。また、当業者にとって明らかなように、後述の構成要素をさまざまな方法で組み合わせることにより振動式メーターの複数の変形例を形成することもできる。したがって、後述の実施形態は、後述の具体例に限定されるものではなく、特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されるものである。
【0028】
図1には、センサー組立体10と1つ以上のメーター電子機器20とを有しているメーターの形態をとる振動式メーター5が示されている。振動式メーター5は、コリオリフローメーター、超音波フローメーター、容積フローメーター、デンシトメーターなどであってもよい。メーター電子機器20は、リード線100を介してセンサー組立体10へ接続され、例えば、流体密度、質量流量、体積流量、総合質量流量、温度および他の情報の如き物質の特性を測定するようになっており、パス26にも接続されている。
【0029】
本実施形態にかかるセンサー組立体10は、1対のフランジ101、101’と、一対のマニホルド102、102’と、一対の取付板113、113’と、ドライバ104と、一対のピックオフ105、105’と、一対の導管103A、103Bとを備えている。ドライバ104およびピックオフ105、105’は流体導管103A、103Bと結合されている。ドライバ104は、当該ドライバ104が流体導管103A、103Bの1部をドライブモードで振動させることができる位置で流体導管103A、103Bに固定されている。ピックオフ105、105’は、流体導管103A、103Bの運動を検出するために流体導管103A、103Bに固定されている。
【0030】
当業者にとって明らかなように、コリオリフローメーターの測定機能を欠いている振動式メーターを含むいかなるタイプの振動式メーターと本明細書に記載の原理とを組み合わせることも、本発明の技術範囲内である。このようなデバイスには振動式デンシトメーター、容積流量計などが含まれる。
【0031】
本実施形態にかかるフランジ101、101’はマニホルド102、102’と結合されている。また、本実施形態にかかるマニホルド102、102’はスペーサ106の両側の端部に固定されている。スペーサ106は、導管103A、103B内の不必要な振動を防止するためにマニホルド102とマニホルド102’との間の間隔を維持するようになっている。物質を運ぶ配管システム(図示せず)の中にセンサー組立体10が挿入されると、物質がフランジ101を通ってセンサー組立体10の中に流入し、流入口側マニホルド102を通り、ここで物質の全量が流体導管103Aおよび103Bの中に流入し、流体導管103Aおよび103Bを流れ、流出口側マニホルド102’の中へ流れ込み、ここでフランジ101’からセンサー組立体10の外へと流出する。
【0032】
明らかなように、流体導管103A、103Bの中の流体は、高温である場合が多く、環境に対して危険な場合もある。さらに、流体導管103A、103B内に生じうるクラックを手遅れになる前に検出することは困難な場合が多いので、センサー組立体10はしばしばケース200を備えている。
【0033】
図2は、センサー組立体10の図であって、ケース200が流体導管103A、103B、ドライバ104およびピックオフ105、105’を取り囲んでいる状態を示す図である。図示されている実施形態では、ケース200は流体導管103A、103Bを完全に取り囲んでいるが、他の実施形態では、ケース200は流体導管103A、103Bの一部だけを取り囲むようになっていてもよい。例えば、ケース200は、流体導管103A、103Bのうちのドライバ104およびピックオフ105、105’が配置されている部分だけを取り囲むようになっていてもよい。明らかなように、ケース200は、リード線100用の1つ以上の電気フィードスルーを有していてもよい。また、ケース200は、流体導管103A、103Bのうちセンサー組立体10の他の所望の部材が配置されている部分を取り囲むようになっていてもよい。ケース200はステンレス鋼の如き金属からなっていてもよいが、他の材料が用いられてもよい。ケース200は、通常プレート113、113’を介してマニホルド102、102’と結合されている。このことは、図1においてより分かり易く示されている。例えば、ケース200はプレート113、113’に溶接されてもよい。実施形態によっては、プレート113、113’は、ケース200の一部を構成しうるので、センサー組立体10の二次格納部の一部である。ほとんどの実施形態では、ケース200は2つの半ケース200a、200bから構成されている。これら2つの半ケースは、流体導管103A、103Bを取り囲むように合わせられ、溶接または他の方法で結合される。図2に示されている実施形態では、内側溶接線201および外側溶接線202を見ることができる。ある実施形態によれば、ケース200は屈曲領域203を有している。屈曲領域203は、図1に示されている流体導管103A、103Bの屈曲領域と一致する。しかしながら、明らかなように、流体導管103A、103Bが真っ直ぐな流体導管から構成されている場合、ケース200は、それと同様に屈曲領域203を必要とすることなく真っ直ぐなコンポーネントとして形成されてもよい。
【0034】
ある実施形態によれば、図2に示されているようなケース200は、濡れ流路の破壊圧力よりも低い破壊圧力を有している。換言すれば、濡れ流路にクラックが生じれば、同様に、圧力によりもたらされる潜在的に悲惨な状況により、ケース200も機能不能となる恐れがある。したがって、図2に示されているケース200は適切な二次格納部とはならない。ケースの破壊圧力を増大させるために単にケースの厚みを大きくするだけでは、ほとんどの場合上述のような実行可能なオプションとはならない。というのは、このアプローチには過剰な重量およびコストが伴うからである。
【0035】
図3には他の実施形態にかかるセンサー組立体10が示されている。図3に示されている実施形態では、センサー組立体10は、ケース200の一部のまわりに設けられる合成ラップ300を有している。合成ラップ300は、例えば、ガラス繊維、金属繊維または炭素繊維の如き合成繊維材料から構成されてもよい。図3に示されている実施形態では、合成ラップ300は、ケース200の頂部の屈曲領域203の近くにのみ設けられている。ケース200が屈曲領域203を有しているほとんどの場合、屈曲領域203はケース200の最も弱い部位であることが多い。したがって、屈曲領域203は圧力下で破壊されるケースの最初の部分であることが多い。したがって、図3に示されている実施形態では、この部分が、合成ラップ300により包まれるケース200の唯一の部分となっている。
【0036】
ある実施形態によれば、合成ラップ300は、1つ以上の層としてケース200のまわりに設けられうる1つ以上の合成材料のシートであってもよい。圧力を封じ込める目的のためさらなる補強を必要とする位置にはさらなる数の層を用いることができる。これらのシートは、ケース200のまわりに1回以上巻き付けられうる標準的なストリップであってもよいし、または個々のケース200のために特定のサイズおよび形状に形成された前もってフィットされたシートであってもよい。合成材料の個々の層の間には、合成ラップ300の層と層とを保持するために接着剤が用いられてもよい。実施形態によっては、当該接着剤はラップ300の一部であってもよい。例えば、ラップ300の1つの側面が、合成ラップ300の製造業者により提供される接着剤を有していてもよい。それに代えて、合成材料が、ケース200のまわりに連続的に1回以上巻き付けられ、その端部が接着剤で保持される単一のシートであってもよい。合成ラップ300を設けるためのさまざまな他の方法、例えば、機械的ファスナ、摩擦嵌めなどが当業者にとって明らかである。したがって、開示されている特定の方法により本実施形態の範囲が限定されるべきではない。
【0037】
ある実施形態によれば、合成ラップ300は合成繊維から構成されている。明らかなように、ほとんどの合成繊維、例えば、炭素繊維は高強度重量比を有している。一般的に、合成繊維は例えば、ステンレス鋼よりも高い強度重量比を有している。したがって、合成ラップ300として合成繊維を用いると、多くの重量を加えることなくケース200のうちの合成ラップ300で包まれた部分の破壊圧力を大きくすることができる。ほとんどの場合、合成ラップ300により加えられる重量は、ケース200を形成に用いられている金属の厚みを破壊圧力を増大させるために増やす場合よりもはるかに少ない。当業者にとって明らかなように、重量を著しく増大させることなくケース200に強度を付与すると、ケース200の自然振動周波数を維持または増大させることができる。それに対して、金属製のケース200の厚みを増大する場合、追加される重量は自然振動周波数を減少させてしまう可能性が高い。このことは、実施形態によっては望ましくない場合もある。
【0038】
ケースの下側部のプレート113、113’の近くにさらなる追加のラップ、すなわち追加の剛性を故意に加えることによりケースの片持ち梁タイプ〔cantilever-type〕曲げモードの周波数を増大させることがさらに可能となる。この技術は、さらなる追加の剛性をケースに高モードストレインエネルギの位置で加え、最初のいくつかの片持ち梁タイプ曲げモードの周波数をかなり上昇させる。この技術はケースに質量をさらに加えうるが、その質量は高モード変位の位置に加えられるわけではないので、ケースの最初のいくつかの曲げモードの周波数を著しく減少させることはない。それに代えて、ケースの曲げモードの周波数を減少させることが望まれる場合、このことは、さらなるラップを追加することによりさらなる質量をケース203の頂部の近くにかつ質量がケース周波数を著しく降下させる効果がある高モード変位の位置で加えることにより達成することができる。
【0039】
図3に示されている実施形態には、ケース200の外面のまわりに設けられている合成ラップ300が示されているが、いうまでもなく他の実施形態では、合成ラップ300はケース200の内面に設けられてもよい。しかしながら、ケース200の内面に合成ラップ300を設けることは、通常より困難であり、合成ラップ300の厚みに基づいて与えられたサイズの流体導管を収容するためのより大きなケースを必要としうる。したがって、図示および説明されている実施形態では合成ラップ300がケース200の外面に設けられているが、特許請求の範囲はこの配置に限定されるべきではない。
【0040】
図4には他の実施形態にかかるセンサー組立体10が示されている。図4に示されている実施形態では、ケース200の外面は、合成ラップ300で実質的に完全に包み込まれている。実施形態によっては、合成ラップ300は、センサー組立体10の取付板113、113’または他の部分、例えば、マニホルド102、102’にさらに設けられ、十分な破壊圧力保護を担保するようになっていてもよい。合成ラップ300は、例えば、図3において上述されているのと実質的に同じ方法でケース200に設けられてもよい。ケース200の実質的に全外面に合成ラップ300を設けることにより明らかになるように、破壊圧力は、合成ラップ300によりケース200の一部のみが覆われている図3に示されている実施形態と比較して、さらに上げることができる。したがって、当業者にとって明らかなように、合成ラップ300の被覆量が増加すると、ケースの破壊圧力も同様に増大することになる。ケースの破壊圧力は、合成ラップ300の厚みを増大させることによりさらに増大させることができる。例えば、元の破壊圧力が約860psi(59.3bar)である上述のケースの破壊圧力は、実質的にケース200全体を合成ラップ300で約1/4インチ(0.64cm)の厚みまで包むことにより、約5,000psi(345bar)の破壊圧力を有するまで増大させることができる。合成ラップ300の厚みは、合成ラップ300の個々のシートの厚みを増大させることにより、または複数の層の合成ラップ300を設けることにより増大させることができる。また、破壊圧力は、より強い合成材料を用いることにより増大させることができる。例えば、一般的に、炭素繊維はガラス繊維よりも強い。
【0041】
図5には、さらに他の実施形態にかかるセンサー組立体10が示されている。図5に示されている実施形態では、実質的にケース200全体が合成ラップ300により包まれている。しかしながら、合成ラップ300のうちの屈曲領域203の近傍の部分500は、合成ラップのその他の部分501とは異なる方向に向いている繊維を有している。明らかなように、合成ラップ300のうちのケース200の基部501の近傍の部分501は、センサー組立体10の長手方向の軸線X−Xに対して約45度の方向に向いている繊維を有している。しかしながら、合成ラップ300のうちの屈曲領域203の近傍の部分500は、長手方向の軸線X−Xに対して約90度の方向に向いている繊維を有している。
【0042】
ある実施形態によれば、繊維の向きは、ケース200の振動周波数をより良好に制御しかつ微調整するために選択することができる。当該技術分野において一般的に知られているように、合成繊維は、異方性であることが多いので、合成繊維の弾性係数は方向に依存する。したがって、繊維をある方向に向けることにより、ケース200の特定の振動周波数が上げられるようになっていてもよいしまたは下げられるようになっていてもよい。繊維の特定の向きは、用いられる特定のタイプの合成繊維、合成繊維の所望の厚み、ケース周波数の所望の変化量、繊維の層の数などに依存しうる。当業者にとって明らかなように、所望の繊維の向きが例えば、実験的に決められてもよいしまたは有限要素分析によって決められてもよい。ケース200に設ける前に合成材料を回転させることにより、繊維をさまざまな方向に向けるようにしてもよい。他の実施形態によれば、異なる繊維の向きを有する2つ以上の異なる合成材料が、ケースの異なる領域に設けられている異なる合成材料と共に用いられてもよい。
【0043】
他の実施形態によれば、合成ラップ300によりケース200に付与される剛性は、合成ラップ300のプリテンショニング〔pre-tensioning;予め(所定の力・位置に)緊張しておくこと〕により調節することができる。ある実施形態によれば、このことは、高温度、すなわち周囲温度または振動式メーター5が運転されていると予想される温度よりも高い温度でケース200をラップで包み込むことにより達成することができる。合成ラップ300を高温度で設けることによって、合成ラップ300は、それが冷えるにつれて収縮し、ケース200をさらに締め付ける。合成ラップ300の収縮により加えられた剛性は、ケース200の振動周波数を増大させることができる。他の実施形態によれば、合成ラップ300を伸ばした状態でケース200に設けることにより、プリテンショニングを達成することができる。プリテンショニングは、合成ラップ300がケース200を圧縮する力を増大させることができる。
【0044】
さらに他の実施形態によれば、合成ラップ300の厚みはケース200上のラップ300の位置に依存して変わりうる。例えば、上述のように、ケース200の曲げ領域203は、通常ケース200の最も弱い部位であるので、通常圧力限界点となる。したがって、実施形態によっては、合成ラップ300によりケース200のこの領域がケース200のその他の領域よりも厚めに巻き付けられる場合もある。他の実施形態では、合成ラップ300によりケース200の基部のうちのケース200がプレート113、113’と結合する部分の近くが厚めに巻き付けられる場合もある。ケース200のこの部分は運転時に最も大きく曲げられるところである。したがって、ケース200のこの領域の剛性を合成ラップで高めることによりケースの振動周波数を上げることができる。
【0045】
上述の実施形態は、合成ラップを用いて振動式メーターのケースの破壊圧力を増大させる方法を当業者に教示するさまざまな具体例を提供している。合成ラップは合成繊維から構成されてもよい。合成ラップはケースの一部またはケース全体に設けられてもよい。合成ラップは1つを超える数の層として設けられてもよい。合成材料が合成繊維から構成されている実施形態では、所望の方向の剛性を調節するために合成ラップの繊維の向きを合わせることにより、ケースの1つ以上の自然振動周波数が調節されるようになっていてもよい。
【0046】
上述の実施形態の詳細な記載は、本発明者らにより本発明が含まれると考えられている実施形態すべてを網羅するものではない。もっと正確にいえば、当業者にとって明らかなように、上述の実施形態のうちのいくつかの構成要素をさまざまに組み合わせてまたは除去してさらなる実施形態が作成されてもよく、また、このようなさらなる実施形態も本明細書の技術範囲内および教示範囲内に含まれる。さらに当業者にとって明らかなように、上述の実施形態を全体的にまたは部分的に組み合わせて本明細書の技術範囲および教示範囲に含まれるさらなる実施形態が作成されてもよい。
【0047】
以上のように、特定の実施形態が例示の目的で本明細書に記載されているが、当業者にとって明らかなように、本明細書の技術範囲内においてさまざまな変更が可能である。本明細書に記載の教示を上述のかつそれに対応する図に記載の実施形態のみでなく他の振動式メーターにも適用することができる。したがって、上述の実施形態の範囲は添付の特許請求の範囲により決定されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5