(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963888
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】タワー内に変圧器用の防火モジュールを備えた風力発電装置
(51)【国際特許分類】
F03D 13/40 20160101AFI20160721BHJP
F03D 80/80 20160101ALI20160721BHJP
【FI】
F03D13/40
F03D80/80
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-559145(P2014-559145)
(86)(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公表番号】特表2015-508862(P2015-508862A)
(43)【公表日】2015年3月23日
(86)【国際出願番号】EP2013053061
(87)【国際公開番号】WO2013127643
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2014年10月23日
(31)【優先権主張番号】102012202979.6
(32)【優先日】2012年2月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】ヘルシャ、ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ブレスケ、ミーシャ
【審査官】
後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−530185(JP,A)
【文献】
特開2008−245430(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0135792(US,A1)
【文献】
特開平05−091637(JP,A)
【文献】
特開平11−075319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00−80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電装置であって、
少なくとも1つの下部タワーセグメントを備えたタワーと、
変圧器を耐火収容する予め製造された防火モジュールとを有し、
前記防火モジュールは、前記下部タワーセグメント内に位置決め配置されており、
前記防火モジュールは、コンクリート完成品として構成されており、前記変圧器と共に搬送可能であり、
前記防火モジュールは、前記防火モジュールの搬送中に前記防火モジュール内の変圧器を保護するための搬送安全システムを有すること
を特徴とする風力発電装置。
【請求項2】
前記防火モジュールは、前記変圧器の交換のための第1開口部と、サービス作業員のための第2開口部とを有すること
を特徴とする、請求項1に記載の風力発電装置。
【請求項3】
前記防火モジュールは、電気的なケーブル及び/又は電気的な導電レールシステムのための少なくとも1つの防火閉鎖部を有すること
を特徴とする、請求項1又は2に記載の風力発電装置。
【請求項4】
前記防火モジュールは、変圧器搬送レールシステムを有すること
を特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の風力発電装置。
【請求項5】
前記電気的なケーブル及び/又は電気的な導電レールシステムは、前記防火閉鎖部を通って案内されており、前記防火閉鎖部は、少なくとも一時的な熱的分断のために、断熱材料から成る防火密閉材を有すること
を特徴とする、請求項3又は4に記載の風力発電装置。
【請求項6】
前記防火モジュールの内部と、前記タワーのタワー壁部における開口部との間において、前記防火モジュール内の大きな過剰圧力を逃がすための通路が設けられていること
を特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置(風力エネルギー設備)に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的に風力発電装置は、タワーの下部領域か又はタワーの周辺において、電力変換器並びに変圧器を備えたパワーキャビネットを有する。パワーキャビネット及び変圧器は、適切な防火(ないし火災保護)機能をもたなくてはならない。
【0003】
ドイツ特許商標庁は、優先権基礎出願において下記特許文献1を調査した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE 103 10 036 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の課題は、改善された防火(ないし火災保護)機能を有する風力発電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、請求項1に記載の風力発電装置により解決される。
即ち、本発明の一視点により、風力発電装置であって、少なくとも1つの下部タワーセグメントを備えたタワーと、変圧器を耐火収容する
予め製造された防火モジュールとを有し、前記防火モジュールは、前記下部タワーセグメント内に位置決め配置されて
おり、前記防火モジュールは、コンクリート完成品として構成されており、前記変圧器と共に搬送可能であり、前記防火モジュールは、前記防火モジュールの搬送中に前記防火モジュール内の変圧器を保護するための搬送安全システムを有することを特徴とする風力発電装置が提供される
。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)風力発電装置であって、少なくとも1つの下部タワーセグメントを備えたタワーと、変圧器を耐火収容するための予め製造された防火モジュールとを有し、前記防火モジュールは、前記下部タワーセグメント内に位置決め配置されていること。
(形態2)前記防火モジュールは、変圧器の交換のための第1開口部と、サービス作業員のための第2開口部とを有することが好ましい。
(形態3)前記防火モジュールは、電気的なケーブル及び/又は電気的な導電レールシステムのための少なくとも1つの防火閉鎖部を有することが好ましい。
(形態4)前記防火モジュールは、変圧器搬送レールシステムを有することが好ましい。
(形態5)前記防火モジュールは、搬送中に変圧器を保護するための搬送安全システムを有することが好ましい。
(形態6)前記電気的なケーブル及び/又は電気的な導電レールシステムは、前記防火閉鎖部を通って案内されており、前記防火閉鎖部は、少なくとも一時的な熱的分断のために、断熱材料から成る防火密閉材を有することが好ましい。
(形態7)前記防火モジュールの内部と、前記タワーのタワー壁部における開口部との間において、前記防火モジュール内の大きな過剰圧力を逃がすための通路が設けられていることが好ましい。
【0008】
本発明により、少なくとも1つの下部タワーセグメントを備えたタワーと、変圧器を耐火収容するための予め製造された防火モジュールとを有する風力発電装置が提供される。防火モジュールは、下部タワーセグメント内に位置決め配置されている。
【0009】
防火モジュールは、該防火モジュール内で発生した火災を少なくとも一時的に該防火モジュール内に制限するために用いられる。従って防火モジュールが少なくとも一時的に風力発電装置のその他の部分から熱的に分断されていることを達成することができる。
【0010】
本発明の一視点により、防火モジュールは、サービス作業員のための第1開口部と、変圧器の交換のための第2開口部とを有する。
【0011】
本発明の更なる一視点により、防火モジュールは、電気的なケーブル及び/又は電気的な導電レールシステムのための少なくとも1つの防火閉鎖部(Brandschutzabschluss)を有する。
【0012】
本発明の更なる一視点により、防火モジュールは、変圧器の交換のための変圧器搬送レールシステムを有する。
【0013】
本発明の更なる一視点により、防火モジュールは、搬送中に変圧器を保護するための搬送安全システムを有する。
【0014】
防火モジュールは、好ましくはコンクリートから製造されており、好ましくはコンクリート完成品として製造される。
【0015】
従ってタワーを備えた風力発電装置が設けられ、この際、タワーの領域には、変圧器を収容するための予め製造された防火モジュールが設けられており、また該防火モジュールの開口部ないし扉は、必要な防火機能が保証され得るように閉鎖することができる。
【0016】
モジュールは、特に防火モジュールとして構成されており、変圧器を収容するために用いられる。変圧器(トランス)は、1000ボルトよりも大きな出力電圧、即ち中電圧を有する。防火モジュールは、任意選択的に2つの扉を有し、これらの扉は、耐火性である。更にこれらの扉は、任意選択的に耐圧性とすることもでき、従ってこれらの扉は、防火モジュールの内部に爆発がある場合にも持ちこたえられる。防火モジュールは、好ましくは変圧器と共に、工場で予め製造され、1つのユニットとして設置箇所へ搬送される。防火モジュールは、好ましくは、サービス作業員のための扉と、変圧器の交換のための扉とを有する。防火モジュール内には、変圧器を交換するためのレールシステムを設けることができる。このレールシステムは、変圧器搬送安全装置を有することができ、該変圧器搬送安全装置は、防火モジュールの搬送時に活動化される。任意選択的に防火モジュールは、変圧器の下側に油溜め(オイルパン)を有することができる。
【0017】
変圧器に対して追加的に又は選択的に、パワーエレクトロニクスユニットを防火モジュール内に設けることができる。
【0018】
本発明の更なる展開形態は、下位請求項の対象である。
【0019】
以下、本発明の利点及び実施例を、図面に関連して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による一風力発電装置の一斜視図を示す図である。
【
図3】本発明による防火モジュールの一概略断面図を示す図である。
【
図4】本発明による防火モジュールの一概略断面図を示す図である。
【
図5】本発明による防火モジュールの一断面図を示す図である。
【
図6】本発明による防火モジュールの一断面図を示す図である。
【実施例】
【0021】
図1は、タワー102(下部タワーセグメント102aを有する)とナセル104とを備えた風力発電装置(風力エネルギー設備)100を示している。ナセル104には、例えば3つのロータブレード108とスピナ110とを備えたロータ106が配設されている。ロータ106は、運転時には風力により回転運動され、それにより電気エネルギーを発生させるためにナセル104内の発電機を駆動する。下部タワーセグメント102aを有するタワー102は、基礎部200上に立設されている。
【実施例1】
【0022】
図2A〜
図2Dは、第1実施例による風力発電装置のタワーの下部分を様々な角度から見た概略図を示している。風力発電装置100のタワー102の下部タワーセグメント102aは(コンクリート製の)基礎部200上に設けられている。下部タワーセグメント102aは、第1扉102bと第2扉102c並びにケーブル10と梯子20を有することができる。下部タワーセグメント102aの内部には、防火モジュール300を設けることができる。防火モジュール300の屋根部には、様々なパワーキャビネット400を設けることができる。これらのパワーキャビネット400は、少なくとも1つの電力変換器と、複数のパワーエレクトロニクスユニットとを有することができる。
【0023】
図2Dには、風力発電装置の下部タワーセグメントの一斜視図が示されている。風力発電装置のタワーの下部タワーセグメント102aは、基礎部200上に設けられており、第1扉102bと第2扉102c(
図2A)を有する。下部タワーセグメント102aの内部には、防火モジュール300が設けられている。防火モジュール300の屋根部には、複数の電力変換器と複数のパワーエレクトロニクスユニットとを有する複数のパワーキャビネット400を設けることができる。
【実施例2】
【0024】
図3は、第2実施例による防火モジュールの一概略図を示している。この防火モジュール300は、第1扉320と第2扉330を有する。第1扉320は、防火モジュール300内にある変圧器を交換するために使用することができる。第2扉330は、サービス作業員が防火モジュール300内の切替装置(Schaltanlage)に入るために使用することができる。防火モジュール300は、任意選択的にその床部において、変圧器ガイドレール350と、偏向ローラ370と、変圧器搬送安全装置360とを有する。更に複数の防火閉鎖部390を防火モジュール300の壁部に設けることができる。これらの防火閉鎖部390は、防火モジュール300の内部と外部との間の電気接続を確保するために用いられる。変圧器ガイドレール350は、変圧器をレールに沿って例えば交換のために移動可能とするために用いられる。変圧器搬送安全装置360は、防火モジュール300の搬送時にだけ変圧器500(
図4)に固定されるべきである。
【0025】
図4は、本発明の第2実施例による、変圧器500を備えた防火モジュール300の一概略図を示している。変圧器500は、変圧器ガイドレール350上に位置決め配置されている。変圧器500は、複数の電気接続部510を有し、これらの電気接続部510は、各々、導電レールシステム700の第1端部710と電気的に接続される。
【0026】
防火モジュール300内には、第1扉320と第2扉330が設けられており、この際、変圧器500は、第1扉320を通して取外し可能でありないし搬出される。
【実施例3】
【0027】
図5は、第3実施例による防火モジュールを備えた風力発電装置のタワーの下端部の断面図を示しており、該第3実施例は、第1実施例又は第2実施例に基づくことができる。下部タワーセグメント102aの下端部は、基礎部200上に位置決め配置されている。下部セグメント102aには、2つの開口部102e、102fが設けられている。第1開口部102fは、変圧器500を搬出可能とするために用いられ、第2開口部102eは、サービス作業員の出入りのために用いられる。防火モジュール300は、基礎部200の上端部210上に位置決め配置することができる。防火モジュール300は、第1扉320、第2扉330、変圧器ガイドレール350、偏向ローラ370、任意選択的に変圧器動き止め部375を有することができる。レールシステム350上に変圧器500が位置決め配置される。搬送中に変圧器500は、変圧器搬送安全装置360を介して保持することができる。
【0028】
任意選択的に変圧器動き止め部375は(搬送する以外では)固定で取り付けられている。偏向ローラ370と適切なケーブルとを用い、変圧器500を防火モジュール300の内部へ引き入れることができる。
【0029】
防火モジュール300内には、同様に切替装置600が設けられている。
【0030】
防火モジュール300は、任意選択的にファン800をもつことができ、該ファン800は、変圧器冷却のための吸入空気を吸い込み、暖かい空気を再び放出する。
【0031】
図6は、第3実施例による防火モジュール300の他の一断面図を示している。防火モジュール300の床部にはレールシステム350が設けられており、該レールシステム350は、変圧器500のローラ520を受容することができる。変圧器500の上面部には、複数の電気接続部510が設けられており、該電気接続部510は、導電レール700と電気的に接続するために用いられる。また導電レール700は、防火モジュール300から外部へと導かれている。
【0032】
防火閉鎖部340、390(
図3)は、電気的なケーブル及び/又は電気的な導電レールシステム700を防火モジュール300の内部から外方へ導くために用いられる。この際、防火閉鎖部340、390は、該防火閉鎖部が、少なくとも一時的に防火モジュール300の内部と外側領域との間で熱的な分断が行われるように構成されている。このことは、断熱材料から成る防火密閉材
が防火閉鎖部390の領域に設けられていることにより達成される。防火密閉材
の材料は、電気的なケーブル及び/又は電気的な導電レールシステム700
を包囲し、防火閉鎖部390を密閉する。従って防火密閉材
は、防火閉鎖部390を通って案内される導電レールシステムの一部分
を包囲する。防火モジュール300の上方ないし外側には、導電レール700の一部分
が突出する。互いに離間された導電レール
は、一部分
において一緒にされ、ないし互いに隣接する。
【0033】
防火密閉材の材料は、例えば Flammadur(登録商標)
としてよい。
【0034】
任意選択的に2つの開口部102e、102fの他に別の開口部をタワー壁部に設けることができる。該別の開口部と防火モジュール300との間には、換気通路を設けることができる。この通路並びに該別の開口部は、特に例えば爆発に基づき防火モジュール300内に発生した過剰圧力を外部へ放出するために用いられる。好ましくは、該別の開口部の高さは、例えば少なくとも床部の上方3メートルの高さにある。従って作業員が該別の開口部の近傍にいたとしても、この作業員が突然該別の開口部から流出するガスにより損傷されずに済むことを保証することができる。従って防火モジュール300の安全性を更に改善することができる。
【0035】
更に防火モジュール300内には、任意選択的に消火ユニットを設けることができる。この消火ユニットは、防火モジュール300内に発生した火災を消火するために用いられる。
【符号の説明】
【0036】
10 ケーブル
20 梯子
100 風力発電装置
102 タワー
102a 下部タワーセグメント
102b 第1扉
102c 第2扉
102e 第2開口部
102f 第1開口部
104 ナセル
106 ロータ
108 ロータブレード
110 スピナ
200 基礎部
210 上端部
300 防火モジュール
320 第1扉
330 第2扉
340 防火閉鎖部
350 変圧器ガイドレール(レールシステム)
360 変圧器搬送安全装置
370 偏向ローラ
375 変圧器動き止め部
390 防火閉鎖部
400 パワーキャビネット
500 変圧器(トランス)
510 電気接続部
520 ローラ
600 切替装置
700 導電レールシステム(導電レール)
710 第1端部
800 ファン