特許第5963889号(P5963889)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5963889アクティブ・アンテナ・アレイを使用した仮想セクタ化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963889
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】アクティブ・アンテナ・アレイを使用した仮想セクタ化
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/28 20090101AFI20160721BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20160721BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20160721BHJP
   H04J 99/00 20090101ALI20160721BHJP
   H04J 11/00 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   H04W16/28
   H04W72/04 136
   H04B7/06
   H04J15/00
   H04J11/00 Z
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-560993(P2014-560993)
(86)(22)【出願日】2013年3月4日
(65)【公表番号】特表2015-515182(P2015-515182A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】US2013028877
(87)【国際公開番号】WO2013134128
(87)【国際公開日】20130912
【審査請求日】2014年10月20日
(31)【優先権主張番号】13/415,142
(32)【優先日】2012年3月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100170601
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジュン,アー
(72)【発明者】
【氏名】セヒール,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】バレク,ジャン−ピエール
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ファン−チェン
【審査官】 松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−033717(JP,A)
【文献】 特開2010−219817(JP,A)
【文献】 特開2003−235072(JP,A)
【文献】 特開2011−142516(JP,A)
【文献】 特表2008−538487(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0170435(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
H04B 7/06
H04J 11/00
H04J 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブ・アンテナ・アレイに信号を提供するための送信機であって、前記信号が、セクタ識別子によって第1のセクタ内のユーザ機器に示された前記第1のセクタに対して第1の参照信号を送信することを、前記アクティブ・アンテナ・アレイに行わせ、前記信号が、前記第1のセクタと部分的に重複する、対応する複数の第2の仮想セクタ内に複数の第2の参照信号を送信することを、前記アクティブ・アンテナ・アレイに行わせ、前記第2の仮想セクタは、前記第1のセクタと部分的に重複し、かつ、部分的に重複する前記第1のセクタと前記セクタ識別子を共有する、地理的エリアである、アクティブ・アンテナ・アレイに信号を提供するための送信機と、
前記第1の参照信号または前記第2の参照信号のうちの少なくとも1つを使用して、ユーザ機器によって生成されたフィードバックに基づき、前記ユーザ機器への送信をスケジューリングするためのスケジューラと
を備える、装置。
【請求項2】
前記第1の参照信号が、共通参照信号(CRS)であり、前記第2の参照信号が、チャネル状態情報参照信号(CSI−RS)である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ユーザ機器の位置を推定するための位置推定器を備え、前記スケジューラが、前記ユーザ機器の、前記推定された位置に基づき、前記第1のセクタまたは前記複数の第2の仮想セクタのうちの少なくとも1つに対し、前記ユーザ機器を割り当てるように構成され、前記アクティブ・アンテナ・アレイが、複数の第2のビームを使用して、前記複数の第2の参照信号を送信し、前記スケジューラが、前記ユーザ機器の、前記推定された位置に基づき、前記複数の第2のビームのうちの1つにユーザ機器を割り当てるように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の第2のビームの放射パターンを変更するためのビームフォーマを備え、前記ビームフォーマが、前記ユーザ機器の、前記推定された位置、前記ユーザ機器によって生成された前記フィードバック、トラフィック負荷バランシング、またはトラフィック誘導のうちの少なくとも1つに基づき、前記複数の第2のビームの前記放射パターンを変更するように構成された、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記アクティブ・アンテナ・アレイを介して上りリンク信号を受信するための受信機を備え、前記スケジューラが、前記上りリンク信号の送信用に、少なくとも1つの第3のセクタにユーザ機器を割り当てるように構成可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
チャネル・フィードバックが前記第1の参照信号から推定される一方で、前記複数の第2の仮想セクタのうちの1つにおいてスケジューリングされたレガシー・ユーザ機器によって生成されたフィードバックに対して訂正を適用するように構成された品質制御ループを備え、前記訂正が、前記第1の参照信号と、前記複数の第2の信号のうちの少なくとも1つとの異なる特性に基づいて決定され、前記スケジューラが、前記訂正されたフィードバックを使用して、前記レガシー・ユーザ機器に向けた送信をスケジューリングするように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも送信機とトランスミッタとを備える装置により実行される方法であって、
アクティブ・アンテナ・アレイに信号を提供するステップであって、前記信号が、セクタ識別子によって第1のセクタ内のユーザ機器に示された前記第1のセクタに対して第1の参照信号を送信することを、前記アクティブ・アンテナ・アレイに行わせ、前記信号が、前記第1のセクタと部分的に重複する、対応する複数の第2の仮想セクタ内に複数の第2の参照信号を送信することを、前記アクティブ・アンテナ・アレイに行わせ、前記第2の仮想セクタは、前記第1のセクタと部分的に重複し、かつ、部分的に重複する前記第1のセクタと前記第1のセクタ識別子を共有する、地理的エリアである、アクティブ・アンテナ・アレイに信号を提供するステップと、
前記第1の参照信号または前記第2の参照信号のうちの少なくとも1つを使用して、ユーザ機器によって生成されたフィードバックに基づき、前記ユーザ機器への送信をスケジューリングするステップと
を含む、方法。
【請求項8】
前記ユーザ機器の位置を推定するステップと、前記ユーザ機器の、前記推定された位置に基づき、前記第1のセクタまたは前記複数の第2の仮想セクタのうちの少なくとも1つに対し、前記ユーザ機器を割り当てるステップとを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザ機器の、前記推定された位置、前記ユーザ機器によって生成された前記フィードバック、トラフィック負荷バランシング、またはトラフィック誘導のうちの少なくとも1つに基づき、放射パターンを変更するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
上りリンク信号の受信用に、少なくとも1つの第3のセクタに前記ユーザ機器を割り当てるステップと、前記アクティブ・アンテナ・アレイを介して前記ユーザ機器から上りリンク信号を受信するステップとを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の参照信号と、前記複数の第2の信号のうちの少なくとも1つとの異なる特性に基づき、レガシー・ユーザ機器によって生成されたフィードバックに対して訂正を適用するステップと、前記訂正されたフィードバックを使用して、前記レガシー・ユーザ機器に向けた送信をスケジューリングするステップとを含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は一般に、通信システムに関し、より特定的には、ワイヤレス通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス通信システムは、典型的に、モバイル・ユニットまたは他のワイヤレス対応デバイスなどのユーザ機器にワイヤレス接続性を提供するために、多数の基地局(または、eNodeBなどの他のタイプのワイヤレス・アクセス・ポイント)を配備する。各基地局は、当該基地局によって応対される特定のセルまたはセクタ内に位置付けられたユーザ機器に、ワイヤレス接続性を提供する責任を負う。基地局とユーザ機器との間の無線インターフェイスは、基地局からユーザ機器に情報を搬送するための下りリンク(またはフォワード・リンク)チャネルと、ユーザ機器から基地局に情報を搬送するための上りリンク(またはリバース・リンク)チャネルとをサポートする。上りリンク・チャネルおよび/または下りリンク・チャネルは、典型的に、音声情報などのデータ・トラフィックを搬送するためのデータ・チャネルと、パイロット信号、同期信号、受領通知信号、およびその他などの制御信号を搬送するための制御チャネルとを含む。
【0003】
多重入力多重出力(MIMO)技法は、基地局、および任意に、ユーザ機器が、複数本のアンテナを含むときに利用され得る。たとえば、複数本のアンテナを含む基地局は、複数個のユーザ機器に対し、並行して、かつ、同じ周波数帯域上で、独立した別個の複数個の信号を送信し得る。MIMO技法は、基地局において利用可能なアンテナの数にほぼ比例して、ワイヤレス通信システムのスペクトル効率(たとえば、ビット/秒/ヘルツの数)を高めることが可能である。しかしながら、基地局は、並行送信用に、略直交する下りリンク・チャネルを有するユーザ機器を選択するために、ユーザ機器の各々への下りリンク・チャネル(複数可)の状態についての情報も必要とする。チャネル・フィードバックは、ユーザ機器によってリバース・リンク上で提供され得るが、このことは、MIMO送信に関連付けられたオーバーヘッドを増大させ、このことが、ワイヤレス通信システムのスペクトル効率を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開示された主題は、上に明記された問題のうちの1つまたは複数の作用に対処することを対象とする。以下の内容は、開示された主題のいくつかの実施態様の基本的理解をもたらすために、開示された主題の、簡略化された概要を提示する。この概要は、開示された主題の網羅的な概観ではない。この概要は、開示された主題の鍵となる要素もしくは肝要な要素を識別すること、または、開示された主題の範囲を描き出すことが意図されていない。その唯一の目的は、後に論じられる、より詳細な説明の序文として、いくつかの概念を簡略化された形で提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態において、アクティブ・アンテナ・アレイを使用した仮想セクタ化のための装置が提供される。この装置の実施形態は、アクティブ・アンテナ・アレイに信号を提供するための送信機を含む。この信号は、セクタ識別子によって第1のセクタ内のユーザ機器に示された当該第1のセクタに対して第1の参照信号を送信することを、アクティブ・アンテナ・アレイに行わせる。また、この信号は、第1のセクタと部分的に重複する、対応する複数の第2の仮想セクタ内に複数の第2の参照信号を送信することも、アクティブ・アンテナ・アレイに行わせる。また、この装置は、第1の参照信号または第2の参照信号を使用して、ユーザ機器によって生成されたフィードバックに基づき、ユーザ機器への送信をスケジューリングするためのスケジューラも含む。
【0006】
別の実施形態において、アクティブ・アンテナ・アレイを使用した仮想セクタ化のための基地局が提供される。この基地局の実施形態は、アクティブ・アンテナ・アレイと、当該アクティブ・アンテナ・アレイを介して、下りリンク信号を送信し、上りリンク信号を受信するための送受信装置とを含む。下りリンク信号は、セクタ識別子によって第1のセクタ内のユーザ機器に示された当該第1のセクタに対して送信される第1の参照信号と、第1のセクタと部分的に重複する、対応する複数の第2のセクタ内に送信される複数の第2の参照信号とを含む。また、この基地局の実施形態は、第1の参照信号または第2の参照信号を使用して、ユーザ機器によって生成されたフィードバックに基づき、第1のセクタまたは複数の第2のセクタにユーザ機器を割り当てるためのスケジューラも含む。
【0007】
さらに別の実施形態において、アクティブ・アンテナ・アレイを使用した仮想セクタ化のための方法が提供される。この方法の実施形態は、アクティブ・アンテナ・アレイに信号を提供するステップを含む。この信号は、セクタ識別子によって第1のセクタ内のユーザ機器に示された当該第1のセクタに対して第1の参照信号を送信すること、および、第1のセクタと部分的に重複する、対応する複数の第2のセクタ内に複数の第2の参照信号を送信することを、アクティブ・アンテナ・アレイに行わせる。また、この方法の実施形態は、第1の参照信号または第2の参照信号を使用して、ユーザ機器によって生成されたフィードバックに基づき、ユーザ機器への送信をスケジューリングするステップも含む。
【0008】
開示された主題は、同じ参照番号が同じ要素を識別し、かつ、以下の図を含む、添付の図面と併せて、以下の説明を参照することによって、理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ワイヤレス通信システムの第1の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
図2】アクティブ・アンテナ・アレイの3つの例示的実施形態を描写する図である。
図3】基地局に配備されたアクティブ・アンテナ・アレイの異なる実施形態の例示的能力を描写する図である。
図4】ワイヤレス通信システムの第2の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
図5】ワイヤレス通信システムの第3の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
図6】仮想セクタ化システム内のベース・セクタに関連付けられた共通参照信号を送信するために使用されるビームの、カバレージ・エリアの例示的実施形態を示す図である。
図7】ワイヤレス通信システムの第4の例示的実施形態を概念的に例示する図である。
図8】仮想セクタにトラフィック・ストリームをマッピングするために使用される機能性の、1つの例示的実施形態を概念的に例示する図である。
図9】仮想セクタ内のユーザ機器と通信する方法の、1つの例示的実施形態を概念的に例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
開示された主題には、様々な変更形態および代替的形式の余地があるが、その具体的な実施形態が、図面では例として示されており、本明細書では詳細に説明されている。しかしながら、具体的な実施形態の、本明細書における説明が、開示された主題を開示された特定の形式に限定することは意図されておらず、それとは対照的に、添付の特許請求の範囲の範囲内に入る全ての変更形態、等価形態、および代替形態を内包することが意図されている旨を理解されるべきである。
【0011】
例証的な実施形態について、以下に説明する。明瞭にするために、この明細書では、実際の実装例の全ての特徴について説明されているわけではない。このような実際の実施形態のいずれのものの開発においても、実装例毎に変動するであろうシステム関連およびビジネス関連の制約の遵守などの、開発者の具体的な目標を達成するためには、実装例に固有の多数の決断が行われるべきであることを、当然ながら認識されるであろう。さらに、このような開発努力が、複雑であって時間を要するものであり得るとはいえ、それでもなお、この開示の利益を享受する、当業者にとっては、日常的な業務であることが、認識されるであろう。
【0012】
開示された主題について、添付された図を参照してこれから説明する。様々な構造、システム、およびデバイスは、解説の目的のためだけに、および、当業者によく知られている詳細によって、この説明を曖昧にすることのないように、図面において概略的に描写されている。それでもなお、添付された図面は、開示された主題の例証的な例を記載および解説するために含まれている。本明細書で使用される語および語句は、当業者による当該語および語句の理解と、整合性を有する意味を有するものと理解され、かつ、解釈されるべきである。用語または語句の特別な定義、すなわち、当業者によって理解される通常の慣例的な意味とは異なっている定義が、本明細書における用語または語句の、整合性を有する用法によって示唆されることは、何ら意図されていない。用語または語句が特別な意味、すなわち、当業者によって理解されるもの以外の意味を有することが意図される限り、このような特別な定義は、その用語または語句についての特別な定義を、直接的に、かつ、明快に提供する定義的な態様で、明細書においてはっきりと明記される。加えて、本明細書で使用される用語「または(or)」は、他に示されない限り(たとえば、「さもなければ(or else)」あるいは「または代替的に(or in the alternative)」)、非排他的な「または」を指す。また、本明細書に記載される様々な実施形態は、必ずしも相互に排他的ではなく、その理由は、いくつかの実施形態が、新たな実施形態を形成するために、1つまたは複数の他の実施形態と組み合わされ得るためである。
【0013】
ワイヤレス通信システム用のアンテナ配備は、構成するのが一段と容易になっている。たとえば、フェーズド・アンテナ・アレイとも称され得るアクティブ・アンテナ・アレイにおいては、小さく安価なアンテナが配備され得る。一体化された無線周波送受信装置を含むモジュラー・アンテナは、あらゆる形状寸法、サイズ、またはパワー出力を有するアレイを形成するために、積み重ねられ得るか、または配列され得る。垂直アンテナ・アレイは、単一のアンテナ筐体内にモジュラー・アンテナ素子を垂直に積み重ねることによって作製され得る。方形または矩形のアレイは、建造物の正面上に、または、鉄道駅および空港などの公共の場所に、配備され得る。無指向性または指向性の素子を有する円形アレイは、柱、塔、または街灯柱などの上に設置され得る。従来のセルラー通信ネットワークにおいて、アンテナ・チルトまたはパイロット・パワーなどのアンテナ構成パラメータは、特定の無線カバレージ・パターンを提供するために、静的に決定され、それはドライブ・バイ試験を使用して検証され得る。従来の手法は、時間を要するものであり、たとえば、チャネル環境の変化、トラフィック負荷の変化、または他の変化を反映するために、アンテナ構成パラメータを動的に変動させるのには好適ではないことが考えられる。さらに、アクティブ・アンテナ・アレイのビーム形成能力が、特定のセクタにカバレージを提供するために使用され得るものの、異なるセクタに関連付けられたアンテナ・パラメータを変更することは、ユーザ機器が異なるセクタ間でハンドオフするという要件によって複雑化する恐れがある。
【0014】
無線機において一体化された複数個の送受信装置を含むアンテナ設計の最近の進歩は、垂直アンテナ・アレイを利用した、順応性を有するビーム形成を可能にする。垂直ビーム形成は、順応性を有する垂直チルト、ビーム成形能力をサポートすることによって、または、従来のセクタ内において複数個のビームを形成することによって、セルラー通信システムのスペクトル効率またはカバレージを高める。従来の実務における欠点に、少なくとも部分的に対処するために、本願は、ビーム形成を使用して、ベース・カバレージ・エリアの部分と部分的に重複する仮想セクタを提供するための技法の実施形態について説明する。たとえば、基地局は、一意のセクタ識別子によって識別される(ベース・セクタと称され得る)セクタの全体にわたってアクティブ・アンテナ・アレイが共通参照信号(または他の共通信号送信チャネル)を送信するように当該アレイを駆動する信号を提供するように構成され得る。ベース・セクタと部分的に重複する仮想セクタは、アクティブ・アンテナ・アレイによって形成された1つまたは複数のビームのカバレージ・エリアによって規定され得る。対応する仮想セクタ内への送信用に、各ビームには、一意のチャネル状態情報参照信号(CSI−RS)が割り振られる。異なるセクタ識別子によって識別されるセクタ間を移動するユーザ機器は、異なるセクタ間でハンドオフされるが、異なる仮想セクタ間を移動するユーザ機器は、ハンドオフされる必要がなく、その理由は、異なる仮想セクタが、同じセクタ識別子、すなわち、ベース・セクタのセクタ識別子を使用するためである。
【0015】
基地局内のスケジューラは、ベース・カバレージ・エリア内または仮想セクタのうちの1つ内における上りリンク/下りリンク送信用に、ユーザ機器をスケジューリングすることができる。たとえば、スケジューラは、ユーザ機器の位置の推定に基づき、特定のチャネル状態情報参照信号(CSI−RS)に関連付けられた仮想セクタにユーザ機器を割り当てることができる。CSI−RSなどの仮想セクタ参照信号は、ユーザ機器がビームを一意に識別することができるように、個々のビームにマッピングされ得る。ユーザ機器はまた、共通参照信号、あるいは、1つまたは複数のCSI−RS信号を使用して、チャネル品質測定も実施し得る。ユーザ機器は次いで、推定されたチャネル品質を、基地局に折り返し報告し得る。仮想セクタが同じセクタ識別子を共有しているため、スケジューラは、異なる仮想セクタ内における通信用に、ユーザ機器をスケジューリングすることが可能であり、ユーザ機器は、2つの異なるセクタ間でハンドオフすることなく、仮想セクタ間で移行し得る。さらに、仮想セクタの位置またはカバレージ・エリアは、変更された仮想セクタ内への再分配中に、ユーザ機器をハンドオフするオーバーヘッド・コストを招くことなく、環境、またはトラフィック負荷計画などの変化に応答して、ビーム形成を使用して動的に変化させることができる。
【0016】
図1は、ワイヤレス通信システム100の第1の例示的実施形態を概念的に例示する。例示された実施形態において、ワイヤレス通信システム100は、1つまたは複数のセクタ110(1〜3)においてワイヤレス接続性を提供するための基地局105を含む。本明細書で使用される用語「セクタ」は、基地局105内の1つまたは複数のアンテナによって応対される地理的エリアを指す。セクタの境界は、基地局の送信パワー、アンテナ構成によって規定された放射パターンのビーム幅または角度範囲、ならびに、地理、トポロジー、物理的障害、および他の環境要因などの他の要因によって規定され得る。用語「セクタ」は、用語「セル」と同義であり得、または、基地局に関連付けられた特定のセルのサブセットを指し得る。例示された実施形態において、各セクタ110は、通信システム100内のセクタを識別するセクタ識別子に割り振られる。
【0017】
基地局110は、セクタ110の各々内に異なる共通参照信号(CRS)を送信し得る。一実施形態において、共通参照信号は、直交系列および擬似乱数系列を使用して生成され得る。各参照信号は、次いで、セクタ110の異なる1つに割り振られ得、対応するセクタ110内で動作するユーザ機器115にとって、セルに固有の識別子として働き得る。例示された実施形態において、セクタ・カバレージ・エリアは、CRSカバレージ・エリアによって決定される。これらのチャネルの送信パワーは、セクタ策定とセクタ間トラフィック負荷計画とによって決定されるカバレージ要件を提供するように決定され得る。第三世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP)の異なるリリースによって規定された標準規格および/またはプロトコルに従って動作する実施形態において、Rel−8/9ユーザ機器についての復調、および、Rel−10ユーザ機器についての共通チャネルの受信は、本明細書で論じられるように、仮想セクタを用いたセル配備において、CRSチャネル推定に依拠し得る。Rel−8に従って動作するユーザ機器は、チャネル状態情報(channel state information、CSI)報告行為、たとえば、チャネル品質示度(channel quality indication、CQI)報告、プリコーディング・マトリクス情報(precoding matrix information、PMI)、または、ランク指標(rank indicator、RI)のために、CRSを使用し得る。制御チャネル(PCFICH、PHICH、PDCCH)、同期チャネル(PSSおよびSSS)、ならびに3GPP Rel−8/9チャネルなどの他の共通チャネルもまた、セクタ110のカバレージ・エリアの全体にわたって送信され得、たとえば、共通チャネルは、基地局105内のアンテナによるビーム形成を用いずに送信され得る。代替的に、3GPP Rel−8/9チャネルは、ビーム形成を用いて送信され得る。
【0018】
ユーザ機器115は、たとえば矢印120によって示されるように、異なるセクタ110間を移動し得る。セクタ110間の移動は、ユーザ機器115の実際の移動の帰結であり得、または、環境条件の変動性、障害の断続的な存在、もしくは他の時間可変要因によって生じ得る、チャネルもしくはカバレージ・エリアの変動を理由とする。ユーザ機器115は、異なるセクタ識別子を利用するセクタ110間を移動する度毎に、ハンドオフすることが必要とされ得る。ハンドオフは、ハード・ハンドオフ、ソフト・ハンドオフ、または、ソフター・ハンドオフであり得る。ハンドオフの手続きは、異なるセクタ110内の通信を取り扱うエンティティ間のセッションをハンドオフするために、信号送信および処理の著しいオーバーヘッドを生じる。たとえば、各セクタ110は、基地局105内における、アンテナの異なるセット、異なるスケジューラ、または、他のハードウェア、ファームウェア、もしくはソフトウェアを使用し得る。ユーザ機器115をハンドオフするための技法は、当該技術において知られており、明瞭にするために、請求項に係る主題に関連するハンドオフの実施態様のみが、本明細書において詳細に論じられる。
【0019】
仮想セクタ125は、セクタ110のうちの1つまたは複数と部分的に重複するようにも規定され得る。例示された実施形態において、仮想セクタ125は、基地局105によって提供された信号によって駆動されるアクティブ・アンテナ・アレイを使用して作製された異なるビームのカバレージ・エリアによって規定される。本明細書で使用される用語「仮想セクタ」は、セクタと部分的に重複し、かつ、部分的に重複するセクタとセクタ識別子を共有する、地理的エリアを指す。仮想セクタは、チャネル状態情報参照信号(CSI−RS)などの、関連付けられた参照信号を使用して識別された1つまたは複数のビームのカバレージ・エリアによって規定される。一実施形態において、CSI−RS信号は、対応するセクタ110のカバレージ・エリア内に基地局によって送信される共通参照信号に加えて、規定され得る。たとえば、3GPPによって規定されたロング・ターム・エボリューション・アドバンスト(LTE−A)の標準規格およびプロトコルは、ユーザ機器および対応する仮想セクタに割り振られた異なる周波数またはチャネルについてのチャネル品質を推定するために使用され得るCSI−RS信号をサポートする。これらの信号は、物理リソース・ブロック内のリソース要素の選択されたグリッド内、たとえば、LTE−A標準規格によって規定されたOFDMシンボルおよびサブキャリアのグリッド内における、選択されたアンテナによって送信され得る。
【0020】
セクタ110(1)の仮想セクタ125内のユーザ機器115との通信は、基地局105内のハードウェア、ファームウェア、またはソフトウェアを使用して実装されるスケジューラなどの共通スケジューリング・リソースによって、制御または調整され得る。したがって、ユーザ機器115は、仮想セクタ125(1)内に位置付けられたときにはリソースの1つのセットを使用して、そして、仮想セクタ125(2)内に位置付けられたときにはリソースの異なるセットを使用して、基地局105と通信し得る。仮想セクタ125間における移行は、ユーザ機器115をハンドオフすることを必要としないが、その理由は、仮想セクタ125がいずれも、同じセクタ識別子に、すなわち、セクタ110のセクタ識別子に、関連付けられているためである。結果的に、仮想セクタ125間のユーザ機器115の移行は、基地局105内の共通スケジューリング・リソースによって制御され得、それにより、ハンドオフを実施するためにもたらされるであろうオーバーヘッドを基準にすると、移行に必要とされるオーバーヘッドを著しく低減する。
【0021】
一実施形態において、基地局105は、アクティブ・アンテナ・アレイ(図1には図示せず)を含み、仮想セクタ125用に使用されるビームは、アクティブ・アンテナ・アレイの動的チルトまたはビーム形成能力を使用して、当該アレイの無線カバレージ・エリア内のいずれの場所においても作製され得る。ビームは、チルト、ビーム・パターン、またはパワー割り当てを調節することによって、動的に調節され得る。様々な代替的実施形態では、フットプリント内において複数個のビームが作製され得る。仮想セクタ125を実装するか、または動作させるプロセスは、「仮想セクタ化」と称され得る。仮想セクタに関連付けられる例示的な無線ネットワーク設計原理、MIMOスキーム、ならびに、スケジューリングおよびリンク適応アルゴリズムについて、本明細書において説明する。様々な代替的実施形態において、仮想セクタは、従来のアンテナ・カバレージ・エリア、たとえば、共通参照信号または他のパイロット信号によって規定されたカバレージ・エリアと、部分的に重複する任意の位置において、作製され得る。アクティブ・アンテナ・アレイ内のアンテナの、ビーム・チルト、ビーム形状、または送信パワーは、無線チャネル環境、トラフィック負荷計画、または他の要因に依存して仮想セクタ125を規定または変更するために、半静的または動的に調節され得る。少数のアクティブ・ユーザ機器115を有する仮想セクタ125内への送信パワーの削減などのパワー保存技法もまた、アクティブ・アンテナ・アレイのパラメータを調節することによって実装され得る。たとえば、アクティブ・アレイ内の異なるアンテナ素子の送信パワーは、削減され得、または、遮断すらされ得る。いくつかの実施形態において、セルラー通信システム100の運用効率は、自己最適化ネットワーク(SON)機能、カバレージおよび容量機能、またはトラフィック負荷計画管理を実装することによって改善され得る。
【0022】
図2(a)、図2(b)、および図2(c)は、アクティブ・アンテナ・アレイ200、205、210の3つの例示的実施形態を描写する。例示された実施形態は、個々のアンテナ素子215の異なる配列を示す。図2(a)は、16個の相互接続されたアンテナ素子215を含む垂直線形アレイ200を描写する。図2(b)は、8個の相互接続されたアンテナ素子215を含む水平線形アレイ200を描写する。図2(c)は、8個の相互接続されたアンテナ素子215を含む円形アレイ210を描写する。方形または矩形のアレイ200、205は、建造物の正面上、または、鉄道駅および空港などの公共の場所における配備に、特に好適であり得る。無指向性または指向性の素子を有する円形アレイ210は、柱、塔、または街灯柱などの上における設置に、特に好適であり得る。しかしながら、本開示の利益を享受する、当業者は、図2(a)〜図2(c)に示される、特定のアレイ構造、アンテナ素子215の数、および配備のシナリオが、例証的であるように意図されており、請求項に明示的に明記されたものを除き、限定することが意図されていない旨を認識すべきである。
【0023】
アクティブ・アンテナ・アレイ200、205、210の実施形態は、異なるビーム形成能力をサポートするように構成され得る。たとえば、アクティブ・アンテナ・アレイ200、205、210の実施形態は、デジタル・チルトか、キャリア/帯域毎に差異化されたチルトか、差異化された上りリンク/下りリンク(UL/DL)チルトか、順応性を有するビーム形成能力か、または、アレイからの複数個のビームを用い、当該ビーム間における、順応性を有するパワー共有を伴った、垂直ビーム形成などのビーム形成能力をサポートし得る。アクティブ・アンテナ・アレイ200、205、210によって作製された、異なるビームは、従来のセルラー・システムのレイアウト内に、内側カバレージ・エリアおよび外側カバレージ・エリアを形成し得る。仮想セクタ化において、複数個のビームは、本明細書で論じられるように、同じセクタ内のカバレージ・エリアにマッピングされる。アクティブ・アンテナ・アレイ200、205、210の様々な実施形態は、本明細書に記載されるビーム形成能力だけではなく、他のビーム形成能力の、異なる組み合わせもサポートし得る。
【0024】
図3(a)、図3(b)、図3(c)、および図3(d)は、基地局300に配備されたアクティブ・アンテナ・アレイの異なる実施形態の例示的能力を描写する。これらの図に描写された実施形態が基地局300に関連付けられているものの、本開示の利益を享受する、当業者は、基地局300の異なる実施形態が、これらの図に描写された能力のいくつかまたは全ての異なる組み合わせを実施することが可能であり得ることを認識すべきである。図3(a)は、矢印310によって示された角度にわたる、ビーム305のデジタル・チルトを示す。図3(b)は、それぞれ上りリンク送信および下りリンク送信用に使用されるビーム315とビーム320との間の、差異化されたチルトを描写する。図3(c)は、異なる周波数、キャリア、または帯域(F、F)用に使用されるビーム325とビーム330との間の、差異化されたチルトを描写する。図3(d)は、ビーム335がより高い垂直位置に向けて方向付けられており、ビーム340が比較的より低い垂直位置に向けて方向付けられている、垂直ビーム形成を描写する。
【0025】
図4は、ワイヤレス通信システム400の第2の例示的実施形態を概念的に例示する。例示された実施形態において、ワイヤレス通信システム400は、垂直ビーム形成を使用して、建造物420内の異なる位置に異なるビーム410、415を提供する基地局405を含む。たとえば、ビーム410、415は、(たとえば、受信機における、ビームの最高信号強度によって規定された)ビームの中心が、建造物420内の特定のフロアに焦点合わせされるように形成され得る。図4には2つのビーム410、415が描写されているが、本開示の利益を享受する、当業者は、異なる数のビームがサポートされ得ることを認識されるべきである。たとえば、基地局405は、建造物420の各フロアに1つのビームを提供するように、建造物420の、占有率の高いフロアに複数個のビームを提供するように、建造物420の、占有されていないフロアにビームを何ら提供しないように、構成されたか、または、他の構成の、アクティブ・アンテナ・アレイを含み得る。
【0026】
図5は、ワイヤレス通信システム500の第3の例示的実施形態を概念的に例示する。例示された実施形態において、ワイヤレス通信システム500は、アクティブ・アンテナ・アレイ510に信号を提供すること、および、アクティブ・アンテナ・アレイ510から信号を受信することの可能な基地局505を含む。アクティブ・アンテナ・アレイ510は、セクタ520および仮想セクタ525内におけるユーザ機器515とのワイヤレス通信をサポートする。
【0027】
例示された実施形態では、仮想セクタ525が作製され得、アクティブ・アンテナ・アレイ510によって作製された異なるビーム530にマッピングされ得る。たとえば、仮想セクタ525は、垂直ビーム形成が使用されるとき、内側セクタ525(1)および外側セクタ525(2)を含み得る。代替的に、水平および垂直ビーム形成をサポートするアクティブ・アンテナ・アレイ510の実施形態について、仮想セクタ525は、セクタ505などの水平セクタに関連する、垂直方向内または方位方向内のいずれの場所においても作製され得る。仮想セクタ525にはいずれも、セクタ505に関連付けられたセクタ識別子が割り振られ得る。仮想セクタ525は、一意のCSI−RS、または、CSI−RSと、ユーザ機器515にとって利用可能な他の情報とを使用して、仮想セクタ525が互いに区別されることを可能にする、少なくとも充分に一意のCSI−RSによって、識別され得る。
【0028】
ユーザ機器515は、当該ユーザ機器515が、受信されたCSI−RSを使用して測定を実施することができるように、当該ユーザ機器515を含む仮想セクタ525に対応するCSI−RSを用いて構成され得る。たとえば、ユーザ機器515は、参照信号を使用して、チャネル状態情報(CQI、RI、またはPMI)を測定し、当該測定の結果を示す報告を、基地局505に折り返し送信し得る。一実施形態において、CSI−RSへのユーザ機器515の割り当ては、ユーザ機器515の位置の推定に基づいて実施される。たとえば、仰角における仮想セクタ化をサポートするために、ユーザ機器515の位置は、サウンディング参照信号(SRS)測定、タイミング前進の測定、または下りリンク(DL)PL測定報告行為などの、基地局505において実施された1つまたは複数の上りリンク・チャネル測定を使用して、チャネル相反性に基づいて推定され得る。方位角および仰角における仮想セクタ化をサポートする実施形態において、基地局505は、ユーザ機器505からの、受信された上りリンク信号に基づき、垂直推定または到着角推定などのチャネル相反性技法を使用して、ユーザ機器515の位置を推定することができる。いくつかの実施形態において、ユーザ機器515は、異なる仮想セクタ525に関連付けられた異なるCSI−RSに基づいて特定された複数個のCSI(たとえば、CQI、RI、またはPMI)を当該ユーザ機器515が報告し得る、複数回のCSI−RS報告行為をサポートするように構成され得る。基地局505の実施形態は、次いで、複数個の報告を動的に使用して、動的ビーム切り替え、または、動的MU−MIMOスケジューリングを実施し得る。
【0029】
例示された実施形態におけるベース・セクタ520は、一意の共通参照信号(CRS)によって識別され、ベース・セクタ520のカバレージ・エリアは、CRSカバレージ・エリアによって決定される。基地局505は、アクティブ・アンテナ・アレイ510を使用したビーム形成を実施することなく、制御チャネル(PCFICH、PHICH、およびPCCH)、同期チャネル(PSSおよびSSS)、またはRel−8/9チャネルなどの共通チャネルを送信し得る。共通チャネルの送信パワーは、セル策定またはセル間トラフィック負荷計画によって決定されるカバレージを提供するように選択され得る。復調(Rel−8/9ユーザ機器について)、および、共通チャネルの受信(Rel−10ユーザ機器について)は、ワイヤレス通信システム500が仮想セクタ525をたとえサポートしていても、CRSチャネル推定を利用し得る。CSI−RS信号を受信するように構成された(Rel−10ユーザ機器などの)ユーザ機器515は、当該ユーザ機器515が仮想セクタ525に割り振られると、CSI報告行為用にCSI−RS信号を使用し得る。CSI−RS信号を受信するように構成されていないことが考えられる(Rel−8ユーザ機器などの)レガシー・ユーザ機器515は、代替的に、CSI報告行為用にCRSを使用し得る。
【0030】
基地局505の実施形態は、ビーム530のうちの1つまたは複数を使用して、あるいは、別個のビーム535を使用して、仮想セクタ化システム500内において共通チャネルを送信し得る。たとえば、共通チャネルのカバレージは、いくつかの配備において、地理的エリアの80%よりも多くをカバーし得る外側ビーム530(2)によって提供され得る。別の例について、共通チャネルは、内側および外側ビーム530の両方にマッピングされ得る。この場合、共通チャネルは、無線を通じて組み合わされ、ユーザ機器515において受信される。さらに別の例では、仮想セクタ・ビーム530によってカバーされない領域内に共通チャネルを送信するために、1つまたは複数の付加的なビーム535が使用され得る。最初の2つのオプションの実施形態は、有利にも、第3のオプションよりも小さな数までビームの数を制限し得る。
【0031】
図6(a)、図6(b)、図6(c)、および図6(d)は、仮想セクタ化システム内のベース・セクタに関連付けられた共通参照信号を送信するために使用されるビームの、カバレージ・エリアの例示的実施形態を示す。本開示の利益を享受する、当業者は、これらの例示的実施形態が例証的なものであり、相互に排他的であることが必ずしも意図されないだけでなく、ワイヤレス通信システム内で使用され得る構成の網羅的なリストであることも意図されない旨を、認識されるべきである。代替的実施形態は、これらの図に示されるカバレージ・エリアの実施形態の組み合わせを含み得、または、代替的カバレージ・エリアを含み得る。例示的実施形態の各々において、基地局600は、アクティブ・アンテナ・アレイを使用して、それぞれの仮想セクタ610、615に対し、ベース・セクタ605に関連付けられた共通参照信号と、CSI−RSなどの他の参照信号とを提供する。各場合において、共通参照信号のカバレージ・エリアは、網目によって示されている。
【0032】
図6(a)は、共通参照信号のカバレージ・エリアが、仮想セクタ610、615のカバレージ・エリアを含む、カバレージ・エリア605の実質的に全てをカバーする1つまたは複数の専用ビームによって提供される、1つの例示的実施形態を描写する。図6(b)は、共通参照信号のカバレージ・エリアが、仮想セクタ615と実質的に部分的に重複しないベース・セクタ605の部分にカバレージを提供する1つまたは複数の専用ビームによって提供される、1つの代替的実施形態を描写する。図6(c)は、共通参照信号が、仮想セクタ用の参照信号を送信するためにも使用されるビームによって送信される、代替的実施形態を描写する。この場合、ユーザ機器は、当該ユーザ機器が仮想セクタ610、615の、部分的に重複する領域内に存在するときに、2つのビームによって無線を通じて送信された共通参照信号を組み合わせ得る。図6(d)は、共通参照信号が、仮想セクタ610用の参照信号を送信するために使用されるビームによって送信される、別の代替的実施形態を描写する。
【0033】
図7は、ワイヤレス通信システム700の第4の例示的実施形態を概念的に例示する。例示された実施形態において、ワイヤレス通信システムは、1つまたは複数のユーザ機器710に上りリンク/下りリンクのワイヤレス接続性を提供するために、1つまたは複数の基地局705を有している。基地局705は、下りリンク信号をユーザ機器710に送信するため、および、上りリンク信号をユーザ機器710から受信するための複数本のアンテナ720を含むアクティブ・アンテナ・アレイ715に、電磁的に、および/または、通信可能に結合されている。基地局705内の送受信装置(RX/TX)725は、信号を生成し、その信号をアンテナ・アレイ715に提供して、下りリンク送信を駆動するために使用される。また、送受信装置725は、アンテナ・アレイ715から上りリンク信号を受信するようにも構成され得る。本明細書で論じられるように、基地局705は、仮想セクタ化を実施するように構成される。
【0034】
例示された実施形態において、基地局705は、各仮想セクタ用のビームを規定するために使用される異なるアンテナ720を通じた送信間における、チルト、パワー、または相対位相の差などのビーム形成パラメータを決定するために使用されるビームフォーマ730を含む。特定のビーム幅、仰角、送信パワー、周波数を有するビームについてのビーム形成パラメータまたは他のパラメータを規定するためのプリコーディングなどの技法は、当該技術において知られており、明瞭にするために、本明細書では詳細に論じない。一実施形態において、ビームフォーマ730は、仮想セクタを、ホット・スポットのエリアに向けて、トラフィック・オフロード用に建造物のフロアに向けて、または、任意の他の位置もしくはエリアに向けて、誘導するように構成され得る。ビームフォーマ730は、ユーザ機器710のトラフィック分配、または他の基準に依存して、1つまたは複数の仮想セクタを規定し得る。また、仮想セクタは、トラフィック負荷計画に基づいて誘導されることも考えられ、それにより、トラフィック負荷計画が或るエリアから別のエリアへと変化するときに、仮想セクタの位置を変化させることができる。さらに、仮想セクタのカバレージ・エリアは、トラフィック負荷計画または他の基準に依存して、小さくなるか、または大きくなる(および、増大されるか、または縮小される)ことが考えられる。一実施形態において、仮想セクタのうちの1つまたは複数の、カバレージ・エリアは、仮想セクタのCSI−RSパワーを調節することによって変化させることができる。仮想セクタをサポートするアンテナ720のビーム・パターンおよびアンテナ・チルトもまた、トラフィック負荷計画または他の基準に依存して最適化され得る。アクティブ・アンテナ・アレイ720を駆動する送受信装置715は、干渉管理用か、パワー保存用か、または他の目的のために、仮想セクタの位置とトラフィック負荷計画とに依存して、オンまたはオフに切り替えられ得る。
【0035】
一実施形態において、ビームフォーマ730は、上りリンクおよび下りリンクの送信用に、同じセットの仮想セクタを規定するために使用され得る。代替的に、上りリンク送信および下りリンク送信用に、異なるセットの仮想セクタが規定され得る。たとえば、ビームフォーマ730は、下りリンクの総容量を改善するために、下りリンク送信用に複数個の仮想セクタを規定すること、および、マルチユーザ多重入力多重出力(MU−MIMO)の利得を改善して、改善された上りリンクのカバレージを提供するために、上りリンク受信用に単一の仮想セクタを規定することが考えられる。上りリンク送信の受信用に単一の仮想セクタを使用することは、上りリンク信号が往々にして指向性ではないことを少なくとも部分的に理由として、有益であり得る。
【0036】
基地局705においては、位置推定器735も実装され得る。一実施形態において、位置推定器735は、たとえばチャネル相反性の技法を使用して、ユーザ機器710の位置を特定または推定するように構成される。ユーザ機器710の推定された位置を、次いで使用して、当該推定された位置を仮想セクタのカバレージ・エリアと比較することによって、仮想セクタにユーザ機器710を割り振ることができる。一実施形態において、位置推定器735は、定期的に、何らかの事象に応答して、または、他の選択された間隔で、位置推定を実施し得る。たとえば、位置推定器735は、ビームフォーマ730によって実施された仮想セクタの変更に応答して、ユーザ機器710の位置を推定するために使用され得る。改訂された位置推定は、次いで、ビームフォーマ730によって規定された仮想セクタへのユーザ機器710の割り振りを、維持するため、または変化させるために使用され得る。
【0037】
スケジューラ740は、基地局705とユーザ機器710との間の上りリンク送信または下りリンク送信をスケジューリングするために使用される。一実施形態において、スケジューラ740は、ビームフォーマ730によって規定された仮想セクタに関連付けられたリンク適応アルゴリズムを実施または実装するためにも使用され得る。一実施形態において、スケジューラ740は、ユーザ機器710の推定された位置、または、ユーザ機器710からのCSIフィードバックなどの、基準またはパラメータに依存して、単一ユーザまたはマルチユーザのスケジューリングを実装するように構成される。たとえば、スケジューラ740は、1つのユーザ機器710が、異なる仮想セクタに関連付けられたビームによってカバーされる、部分的に重複するエリアに対応する領域内に存在しているときに、当該ユーザ機器710が所与の時間周波数リソースにおいてスケジューリングされるように、単一ユーザのスケジューリングを実装し得る。別の例について、スケジューラ740は、異なるユーザ機器710が空間的に分離されており、それによって異なるユーザ機器710間のチャネル状態情報(CSI)が直交するときに、異なるビームに関連付けられた仮想セクタ内の異なるユーザ機器710をスケジューリングするために、複数人のユーザのスケジューリングを使用し得る。仮想セクタ間の干渉は、たとえば、周波数分割多重(FDM)または時分割多重(TDM)のいずれかを使用して、スケジューラ740によって動的に管理され得る。
【0038】
例示された実施形態において、スケジューラ740は、仮想セクタ間にユーザ機器710を分配する責任も負う。たとえば、スケジューラ740は、ユーザ機器710がベース・セクタ内の異なる位置を経由して移動したとき、または、環境条件が仮想セクタのカバレージ・エリアを変化させたときに、或る仮想セクタから別の仮想セクタへと、ユーザ機器710の割り振りを変化させ得る。スケジューラは、ユーザ機器710のハンドオーバを実施する必要なく、ユーザ機器710の、仮想セクタへの割り振りを変化させることができるが、その理由は、仮想セクタが、同じセクタ識別子(すなわち、ベース・セクタのセクタ識別子)を共有しているためである。
【0039】
ユーザ機器710からのフィードバックは、ユーザ機器の位置を特定するか、ビーム形成パラメータを選ぶか、または、上りリンク送信もしくは下りリンク送信をスケジューリングするために使用され得る。例示された実施形態において、ユーザ機器710は、基地局705から下りリンク信号を受信するため、および、基地局705に上りリンク信号を送信するための、送受信装置(RX/TX)745を含む。ユーザ機器710は、基地局705によって送信された参照信号を使用して基地局705とユーザ機器710との間の無線インターフェイス通信チャネルのパラメータを推定することができる、チャネル推定器747を含む。たとえば、Rel−10ユーザ機器710における、推定器747の一実施形態は、それらの仮想セクタに関連付けられたCSI−RS信号を使用して、チャネル品質情報を特定することができ、当該チャネル品質情報は、基地局705にフィードバックされ得る。
【0040】
一実施形態において、CSI−RS信号を受信するように構成されていないレガシー・ユーザ機器710は、ベース・セクタ内に送信された共通参照信号を使用して、チャネル品質情報を推定することが考えられ、当該チャネル品質情報は、次いで、基地局705にフィードバックされ得る。たとえば、仮想セクタ内に送信されるCSI−RSをユーザ機器710がたとえ受信できない場合でも、ユーザ機器710は、仮想セクタに割り振られ得、トラフィック・チャネルは、仮想セクタ内にビーム形成され得る。したがって、ユーザ機器は、部分的に重複するベース・セクタに関連付けられた共通参照信号に基づき、チャネル品質フィードバックを生成する。しかしながら、ビーム形成されないことが考えられる共通参照信号に基づいて、レガシー・ユーザ機器710によって実施されたチャネル品質推定と、仮想セクタ内にビーム形成されたトラフィック・チャネルとの間には、利得の不整合が存在し得る。したがって、CRSベースのフィードバックを使用して、チャネルを推定し、ビーム形成されたトラフィック・チャネルに対する変調および符号化スキーム(MCS)を決定する場合、変調および符号化スキームの不整合が生じる恐れがある。
【0041】
したがって、基地局705は、利得の不整合を補償するために使用される品質制御ループ750を含み得る。一実施形態において、品質制御ループ750は、第2の仮想セクタのうちの1つにおいてスケジューリングされたレガシー・ユーザ機器710に対し、第1のMCSを決定し得る。レガシー・ユーザ機器710によって提供されたフィードバックが、当該レガシー・ユーザ機器に割り振られた仮想セクタに関連付けられた、ビーム形成されたCSI−RSに基づくのではなく、共通参照信号に基づいて推定されたと品質制御ループ750が判断したときに、当該品質制御ループ750は次いで、チャネル品質フィードバックに対して訂正を適用し得るか、または、第1のMCSを変更し得る。一実施形態において、チャネル品質フィードバックに対する訂正、または、MCSの変更は、共通参照信号とCSI−RSとの異なる特性に基づいて演算され得る。たとえば、品質制御ループ750は、基地局705の比較的付近に位置付けられた仮想セクタなどの、干渉の低減から利益を得ている仮想セクタに割り振られたレガシー・ユーザ機器710に対し、高次変調および符号化スキームを割り当てることが考えられる。スケジューラ740は次いで、訂正されたフィードバックか、または、変更されたMCSを使用して、レガシー・ユーザ機器710に向けての送信をスケジューリングし得る。
【0042】
自己最適化ネットワーク(SON)技法もまた、カバレージ、容量、またはエネルギー効率を改善するために、ワイヤレス通信システム700の実施形態において実装され得る。一実施形態において、ビームフォーマ730は、トラフィック負荷バランシングまたはトラフィック誘導のために、ダウンチルト、方位角、またはアンテナ放射パターンなどの、仮想セクタについてのアンテナ・パラメータを調節し得る。仮想セクタに割り当てられるパイロット信号の送信パワーもまた、容量とカバレージとの間における、選択されたトレード・オフに基づき、調節され得る。さらに、仮想セクタの送信パワーは、トラフィック負荷計画または他の基準に依存して調節され得る。
【0043】
図8は、仮想セクタにトラフィック・ストリームをマッピングするために使用される機能性800の、1つの例示的実施形態を概念的に例示する。機能性800は、本願に記載された他の実施形態において描写された基地局などの基地局において、ハードウェア、ファームウェア、またはソフトウェアを使用して実装され得る。例示された実施形態において、機能性800は、複数人のユーザのトラフィック・ストリーム810を受信するように構成されたベースバンド805を含む。たとえば、第1のユーザ機器に向けられた下りリンク・トラフィック810(1)と、第2のユーザ機器に向けられた下りリンク・トラフィック810(2)とは、いずれも、ベースバンド805に対し、並行して提供され得る。マッピング要素815は、下りリンク・トラフィックを異なるチャネル・ストリーム820にマッピングするために使用され得る。たとえば、ベースバンド805は、マッピング要素815を使用して、異なる周波数(F、F)によって規定されたチャネル・ストリーム820に下りリンク・トラフィック810をマッピングすることが考えられる。しかしながら、本開示の利益を享受する、当業者は、マッピング要素815の異なる実施形態を使用して、チャネル符号化、周波数、時間、サブキャリアなどの特質か、または他の特質か、またはこれらの特質の組み合わせによって区別されるチャネルまたはストリームに、下りリンク・トラフィック810をマッピングし得ることを認識すべきである。
【0044】
例示された実施形態において、機能性800は、異なる仮想セクタに少なくとも2つの異なるビーム830を送信するように構成されたアクティブ・アンテナ・アレイ(AAA)825を含む。たとえば、ビーム830は、内側ビーム830(1)および外側ビーム830(2)に対応する、異なるダウンチルト値(θ、θ)を有するように構成され得る。ビーム830のダウンチルト値または他のパラメータは、ネットワーク配備、ユーザ機器の分配、または他の基準に基づいて決定され得る。しかしながら、本明細書で論じられるように、仮想セクタを規定するために、ビーム830の他のパラメータが使用されてよい。ユーザ機器は次いで、当該ユーザ機器の位置に基づき、ビーム830に割り当てられ得る。本明細書で論じられるように、たとえば、異なるユーザ機器に対応する仰角が推定され得る。ユーザ機器は次いで、当該ユーザ機器の、推定された仰角に対応する仰角を用いてビーム形成された周波数チャネルのうちの1つに、スケジューリングされ得る。ベースバンド805は、アクティブ・アンテナ・アレイ825内の異なるアンテナによって送信される信号間における適切な位相差も決定して、ビーム830を生成し、ストリーム815と併せてこの情報を提供することも考えられる。
【0045】
図9は、仮想セクタ内のユーザ機器と通信する方法900の、1つの例示的実施形態を概念的に例示する。例示された実施形態では、共通参照信号が、他のベース・セクタへのハンドオフ中に使用され得るセクタ識別子に関連付けられたベース・セクタ内に、アクティブ・アンテナ・アレイによって(905において)送信される。1つまたは複数の仮想セクタは、本明細書で論じられるように、ベース・セクタと部分的に重複するようにも規定され得る。対応する仮想セクタ内には、CSI−RSなどの参照信号が(910において)送信され得る。ベース・セクタ参照信号および仮想セクタ参照信号の(905、910における)送信は、同時であるか、または、並行していることが考えられる。ユーザ機器が、次いで、仮想セクタに(915において)割り当てられ得る。たとえば、ユーザ機器の位置の推定が、仮想セクタのカバレージ・エリアと比較され得、当該比較を用いて、ユーザ機器を、当該ユーザ機器の位置にカバレージを提供する仮想セクタに(915において)割り当てることができる。スケジューラを使用して、ユーザ機器との上りリンク通信または下りリンク通信を、(920において)スケジューリングすることができる。
【0046】
システムは、仮想セクタの数もしくは分配、または、仮想セクタへのユーザ機器の割り当てを変更すべきかどうかを(925において)判断し得る。一実施形態において、システムは、ユーザ機器の分配の変化か、トラフィック負荷計画基準か、トラフィック誘導基準か、または他の基準に基づき、仮想セクタの数または分配を変更することを(925において)決定し得る。以前の実施形態に加えて、または以前の実施形態とは別個に施行され得る別の実施形態において、システムは、ユーザ機器の、推定された位置の変化か、環境変化もしくは仮想セクタの再構成によって生じた、仮想セクタのカバレージ・エリアの変化か、または他の基準に応答して、仮想セクタへのユーザ機器の割り当てを変更することを(925において)決定し得る。システムが、仮想セクタか、または、ユーザ機器の割り当てを変更することを(925において)決断した場合、変更は、(930において)実施され得る。そうではない場合、ベース・セクタおよび仮想セクタに(905、910において)参照信号が引き続き送信され得る。
【0047】
開示された主題の部分と、対応する詳細な説明とは、ソフトウェアの見地から、または、コンピュータ・メモリ内のデータ・ビットに対する演算のアルゴリズムおよびシンボル表現の見地から、提示される。これらの説明および表現は、それによって、当業者が、他の当業者に対して自身の作業の趣旨を効果的に伝達する、説明および表現である。アルゴリズムは、この用語が本明細書で使用されるように、かつ、一般に使用されているように、所望の結果に至るステップの、自己整合性を有するシーケンスであるものと考えられる。これらのステップは、物理量の物理的操作を必要とするステップである。必ずしもというわけではないが、通常、これらの量は、格納されること、転送されること、組み合わされること、比較されること、および、さもなければ、操作されることの可能な、光学信号、電気信号、または磁気信号の形をとる。これらの信号を、ビット、値、要素、シンボル、文字、用語、または数字などとして称することが、専ら常例であるという理由のために、時として便利であることが判明している。
【0048】
しかしながら、これらの用語および類似する用語の全てが、適切な物理量に関連付けられ得、かつ、これらの量に適用された、単に便利な標識に過ぎないことに注意されるべきである。他に具体的に述べられていない限り、または、論考から自明であるように、「処理する」、または「計算する」、または「演算する」、または「決定する」、または「表示する」などの用語は、コンピュータ・システムのレジスタおよびメモリ内の物理量、電子量として表示されたデータを、コンピュータ・システムのメモリもしくはレジスタ、または他のこのような情報格納デバイス、情報送信デバイス、もしくは情報表示デバイス内の物理量として同様に表現される他のデータへと操作および変形する、コンピュータ・システム、または類似する電子計算デバイスの、アクションおよびプロセスを指す。
【0049】
開示された主題の、ソフトウェアによって実装される実施態様が、典型的に、何らかの形のプログラム記憶媒体上で符号化されるか、または、何らかのタイプの送信媒体を通じて実装されることにも留意されたい。プログラム記憶媒体は、磁気的(たとえば、フロッピー・ディスクもしくはハード・ドライブ)、または、光学的(たとえば、コンパクト・ディスク読出し専用メモリ、すなわち「CD ROM」)であり得、読出し専用またはランダム・アクセスであり得る。同様に、送信媒体は、撚線対、同軸ケーブル、光ファイバ、または、当該技術で知られている、何らかの他の好適な送信媒体であり得る。開示された主題は、どのような所与の実装例の、これらの実施態様によっても限定されない。
【0050】
上に開示した特定の実施形態は、単に例証的なものであるが、その理由は、開示された主題が、本明細書における教示の利益を享受する、当業者にとって自明の、異なるが等価な態様で、変更および施行され得るためである。さらに、以下の請求項に記載されたものを除き、本明細書で示された構築または設計の詳細に対し、限定は、何ら意図されていない。したがって、上に開示された特定の実施形態が改変または変更され得、このような変形体の全てが、開示された主題の範囲内にあるとみなされることは明白である。したがって、本明細書において求められる保護は、以下の請求項に明記される通りである。
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