(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガス分散ユニットは、前記第2供給領域に前記第1分散孔よりも大きい孔径で形成され、前記第1ガスを供給する第4分散孔を有する様に構成される請求項1に記載の基板処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
以下に本発明の第1実施形態を図面に即して説明する。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
まず、第1実施形態に係る基板処理装置について説明する。
【0011】
本実施形態に係る処理装置100について説明する。基板処理装置100は、高誘電率絶縁膜形成ユニットであり、
図1に示されているように、枚葉式基板処理装置として構成されている。基板処理装置では、上述のような半導体デバイスの製造の一工程が行われる。
【0012】
図1に示すとおり、基板処理装置100は処理容器202を備えている。処理容器202は、例えば横断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。また、処理容器202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料または、石英により構成されている。処理容器202内には、基板としてのシリコンウエハ等のウエハ200を処理する処理空間(処理室)201、搬送空間203が形成されている。処理容器202は、上部容器202aと下部容器202bで構成される。上部容器202aと下部容器202bの間には仕切り板204が設けられる。上部処理容器202aに囲まれた空間であって、仕切り板204よりも上方の空間を処理空間(処理室ともいう)201と呼び、下部容器202bに囲まれた空間であって、仕切り板よりも下方の空間を搬送空間203と呼ぶ。
【0013】
下部容器202bの側面には、ゲートバルブ205に隣接した基板搬入出口206が設けられており、ウエハ200は基板搬入出口206を介して図示しない搬送室との間を移動する。下部容器202bの底部には、リフトピン207が複数設けられている。更に、下部容器202bは接地されている。
【0014】
処理室201内には、ウエハ200を支持する基板支持部210が設けられている。基板支持部210は、ウエハ200を載置する載置面211と、載置面211と外周面215を表面に持つ基板載置台212とを有する。好ましくは、加熱部としてのヒータ213を設ける。加熱部を設けることにより、基板を加熱させ、基板上に形成される膜の品質を向上させることができる。基板載置台212には、リフトピン207が貫通する貫通孔214が、リフトピン207と対応する位置にそれぞれ設けられていても良い。なお、基板載置台212の表面に形成された載置面211の高さを外周面215よりもウエハ200の厚さに相当する長さ分低く形成しても良い。この様に構成することで、ウエハ200の上面の高さと基板載置台212の外周面215との高さの差が小さくなり、差によって発生するガスの乱流を抑制することができる。また、ガスの乱流がウエハ200への処理均一性に影響を与えない場合は、外周面215の高さを載置面211と同一平面上の高さ以上となるように構成しても良い。
【0015】
基板載置台212はシャフト217によって支持される。シャフト217は、処理容器202の底部を貫通しており、更には処理容器202の外部で昇降機構218に接続されている。昇降機構218を作動させてシャフト217及び基板載置台212を昇降させることにより、基板載置面211上に載置されるウエハ200を昇降させることが可能に構成される。なお、シャフト217下端部の周囲はベローズ219により覆われており、処理室201内は気密に保持されている。
【0016】
基板載置台212は、ウエハ200の搬送時には、基板載置面211が基板搬入出口206の位置(ウエハ搬送位置)となるように下降し、ウエハ200の処理時には
図1で示されるように、ウエハ200が処理室201内の処理位置(ウエハ処理位置)まで上昇する。
【0017】
具体的には、基板載置台212をウエハ搬送位置まで下降させた時には、リフトピン207の上端部が基板載置面211の上面から突出して、リフトピン207がウエハ200を下方から支持するようになっている。また、基板載置台212をウエハ処理位置まで上昇させたときには、リフトピン207は基板載置面211の上面から埋没して、基板載置面211がウエハ200を下方から支持するようになっている。なお、リフトピン207は、ウエハ200と直接触れるため、例えば、石英やアルミナなどの材質で形成することが望ましい。なお、リフトピン207に昇降機構を設けて、基板載置台212とリフトピン207が相対的に動くように構成してもよい。
【0018】
(排気系)
処理室201(上部容器202a)の内壁上面には、処理室201の雰囲気を排気する第1排気部としての排気口221が設けられている。排気口221には第1排気管としての排気管224が接続されており、排気管224には、処理室201内を所定の圧力に制御するAPC(Auto Pressure Controller)等の圧力調整器222、真空ポンプ223が順に直列に接続されている。主に、排気口221、排気管224、圧力調整器222により、第1の排気部(排気ライン)が構成される。なお、真空ポンプ223を第1の排気部に含めるように構成しても良い。
【0019】
第1バッファ空間232aの内壁上面には、第1バッファ空間232aの雰囲気を排気する第2排気部としてのシャワーヘッド排気口240aが設けられている。シャワーヘッド排気口240aには第2排気管としての排気管236が接続されており、排気管236には、バルブ237a、第1バッファ空間232a内を所定の圧力に制御するAPC(Auto Pressure Controller)等の圧力調整器238、真空ポンプ239が順に直列に接続されている。主に、シャワーヘッド排気口240a、バルブ237a、排気管236、圧力調整器238により、第2の排気部(排気ライン)が構成される。なお、真空ポンプ239を第2の排気部に含めるように構成しても良い。また、真空ポンプ239を設けずに、排気管236を真空ポンプ223に接続するように構成しても良い。
【0020】
第2バッファ空間232bの内壁上面には、第2バッファ空間232bの雰囲気を排気する第3排気部としてのシャワーヘッド排気口240bが設けられている。シャワーヘッド排気口240bには第3排気管としての排気管236が接続されており、排気管236には、バルブ237b、第2バッファ空間232b内を所定の圧力に制御するAPC(Auto Pressure Controller)等の圧力調整器238、真空ポンプ239が順に直列に接続されている。主に、シャワーヘッド排気口240b、バルブ237b、排気管236、圧力調整器238により、第3の排気部(排気ライン)が構成される。なお、真空ポンプ223を第3の排気部に含めるように構成しても良い。ここでは、排気管236、圧力調整器238、真空ポンプ239は第2の排気部と共用している場合を示している。また、真空ポンプ239を設けずに、排気管236を真空ポンプ223に接続するように構成しても良い。
【0021】
(ガス導入口)
上部容器202aの側壁には処理室201内に各種ガスを供給するための第1ガス導入口241aが設けられている。また、処理室201の上部に設けられるシャワーヘッド234の上面(天井壁)には、処理室201内に各種ガスを供給するための第2ガス導入口241bが設けられている。第1ガス供給部である第1ガス導入口241a及び第2ガス供給部である第2ガス導入口241bに接続される各ガス供給ユニットの構成については後述する。なお、第1ガスが供給される第1ガス導入口241aをシャワーヘッド234の上面(天井壁)に設けて、第1ガスを、第1バッファ空間232aの中央から供給する様に構成しても良い。中央から供給することで、第1バッファ空間232a内のガス流れが中心から外周に向かって流れ、空間内のガス流れを均一にし、ウエハ200へのガス供給量を均一化させることができる。
【0022】
(ガス分散ユニット)
シャワーヘッド234は、第1のバッファ室(空間)232a、第1の分散孔234a、第2のバッファ室(空間)232b及び第2の分散孔234bにより構成されている。シャワーヘッド234は、第2ガス導入口241bと処理室201との間に設けられている。第1ガス導入口241aから導入される第1ガスはシャワーヘッド234の第1バッファ空間232a(第1分散部)に供給される。更に、第2ガス導入口241bはシャワーヘッド234の蓋231に接続され、第2ガス導入口241bから導入される第2のガスは蓋231に設けられた孔231aを介してシャワーヘッド234の第2バッファ空間232b(第2分散部)に供給される。シャワーヘッド234は、例えば、石英、アルミナ、ステンレス、アルミなどの材料で構成される。
【0023】
なお、シャワーヘッド234の蓋231を導電性のある金属で形成して、第1バッファ空間232a、第2バッファ空間232b又は処理室201内に存在するガスを励起するための活性化部(励起部)としても良い。この際には、蓋231と上部容器202aとの間には絶縁ブロック233が設けられ、蓋231と上部容器202aの間を絶縁している。活性化部としての電極(蓋231)には、整合器251と高周波電源252を接続し、電磁波(高周波電力やマイクロ波)が供給可能に構成されても良い。
【0024】
シャワーヘッド234は、第1バッファ空間232a及び第2バッファ空間232bと処理室201の間で、第1ガス導入口241a、第2ガス導入口241bから導入されるガスを分散させるための機能を有している。シャワーヘッド234には、第1供給領域234eを構成する第1第1供給領域と第2第1供給領域と有する。第1第1供給領域は、複数の(第1の)分散孔234aで構成され、第2第1供給領域は、複数の(第2の)分散孔234bで構成される。また、第1供給領域の外周側には、第2供給領域234fが設けられる。第2供給領域は、複数の(第3の)分散孔234cで構成される。第1の分散孔234aからは、第1バッファ空間232aを介して第1ガスが処理空間201へ供給され、第2の分散孔234bからは、第2バッファ空間232bを介して第2ガスが処理空間201へ供給される。また、第3の分散孔234cからは、第2バッファ空間232bを介して、第2ガスが処理室空間201へ供給される。
第1の分散孔234a及び第2の分散孔234bは、載置面211と対向するように配置される。これにより、第1分散孔234aと第2分散孔234bから処理空間201へ供給されるガスは、主に、ウエハ200上に供給される。
第3の分散孔234cは、ウエハ200の外周よりも外側であって、基板載置台212の外周面215と対向するように配置される。これにより、第3分散孔234cから処理空間201へ供給されるガスは、主に、外周面215上に供給されて、排気部へ排気される様に構成される。
【0025】
第2バッファ空間232bに、供給された第2ガスの流れを形成するガスガイド235が設けられていても良い。ガスガイド235は、孔231aを中心としてウエハ200の径方向に向かうにつれ径が広がる円錐形状である。ガスガイド235の下端の水平方向の径は第1の分散孔234a及び第2の分散孔234bの端部よりも更に外周にまで延びて形成される。
【0026】
図2にシャワーヘッド234をウエハ200側から見た図を示す。本図においては、理解し易いように、ガス供給孔の数を省略している。図のように、第1ガス供給孔234aと第2ガス供給孔234bの同径の孔が規則的に並ぶように設けられている。なお、各孔の径,孔の形状,孔の位置等は基板処理の種類や用いられるガスの種類等に応じて変更しても良い。
【0027】
ガス分散ユニットは、少なくとも、第1供給領域234eと第2供給領域234fで構成される。
【0028】
(供給系)
上部容器202aに接続された第1ガス供給部であるガス導入孔241aには、第1ガス供給管150aが接続されている。シャワーヘッド234の蓋231に接続された第2ガス供給部であるガス導入孔241bには、第2ガス供給管150bが接続されている。第1ガス供給管150aからは、後述の原料ガス、パージガスが供給され、第2ガス供給管150bからは、後述の反応ガス、パージガスが供給される。
【0029】
図3に、第1ガス供給ユニット、第2ガス供給ユニット、パージガス供給ユニットの概略構成図を示す。
【0030】
図3に示す様に、第1ガス供給管150aには、第1ガス供給管集合部140aが接続されている。第2ガス供給管150bには、第2ガス供給管集合部140bが接続されている。
第1ガス供給管集合部140aには、第1ガス供給管150aと、パージガス供給部131aが接続される。第2ガス供給管集合部140bには、第2ガス供給管150bと、パージガス供給部131bが接続される。
【0031】
(第1ガス供給ユニット)
第1ガス供給システムには、第1ガス原料バルブ160、気化器180、第1ガス供給管150a、マスフロ―コントローラ(MFC)115、バルブ116、気化器残量測定部190が設けられている。なお、第1ガス源113を第1ガス供給ユニットに含めて構成しても良い。気化器180は、液体状態のガス原料中にキャリアガスを供給してバブリングさせることによって、ガスを気化させる様に構成される。
【0032】
キャリアガスは、パージガス供給源133に接続されたガス供給管112から供給される。キャリアガス流量は、ガス供給管112に設けられた、MFC145で調整され、ガスバルブ114を介して気化器180に供給される。気化器残量測定部190は、気化器180内のガス原料の重量、液面の高さなどでガス原料の量を測定するように構成される。気化器残量測定部190で、測定された結果に基づいて、気化器180内のガス原料が所定の量となるように、ガスバルブ114を開閉されるように制御される。
【0033】
(第2ガス供給ユニット)
第2ガス供給ユニットには、第2ガス供給管150b、MFC125、バルブ126が設けられている。なお、第2ガス源123、を第2ガス供給ユニットに含めて構成しても良い。
なお、リモートプラズマユニット(RPU)124を設けて、第2ガスを活性化させるように構成しても良い。
また、ベントバルブ170とベント管171を設けて、第2ガス供給管150b内に溜まった不活性な反応ガスを排気可能に構成しても良い。
【0034】
(パージガス供給ユニット)
パージガス供給ユニットには、ガス供給管112、131a、131b、MFC145、135a、135b、バルブ114、136a、136bが設けられている。なお、パージガス源133をパージガス供給ユニットに含めても構成しても良い。
【0035】
(制御部)
図1に示すように基板処理装置100は、基板処理装置100の各部の動作を制御するコントローラ260を有している。
【0036】
コントローラ260の概略を
図4に示す。制御部(制御手段)であるコントローラ260は、CPU(Central Processing Unit)260a、RAM(Random Access Memory)260b、記憶装置260c、I/Oポート260dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM260b、記憶装置260c、I/Oポート260dは、内部バス260eを介して、CPU260aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ260には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置261や、外部記憶装置262が接続可能に構成されている。
【0037】
記憶装置260cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置260c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプログラムレシピ等が読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ260に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプログラムレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プログラムレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM260bは、CPU260aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0038】
I/Oポート260dは、ゲートバルブ205、昇降機構218、ヒータ213、圧力調整器222,238、真空ポンプ223,239、気化器180、気化器残量測定部190等に接続されている。また、後述の、MFC115,125,135(135a,135b),145、バルブ237(237a,237b)、ガスバルブ114,116,126,136(136a,136b)、第1ガス原料バルブ160,ベントバルブ170、リモートプラズマユニット(RPU)124、整合器251、高周波電源252、搬送ロボット105、大気搬送ユニット102、ロードロックユニット103等にも接続されていても良い。
【0039】
CPU260aは、記憶装置260cからの制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置261からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置260cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU260aは、読み出されたプロセスレシピの内容に沿うように、気化器残量測定部190の残量測定動作、ゲートバルブ205の開閉動作、昇降機構218の昇降動作、ヒータ213への電力供給動作、圧力調整器222,238の圧力調整動作、真空ポンプ223,239のオンオフ制御、リモートプラズマユニット124のガスの活性化動作、MFC115,125,135(135a,135b)の流量調整動作、バルブ237(237a,237b),ガスバルブ114,116,126,136(136a,136b),第1ガス原料バルブ160、ベントバルブ170の開閉制御、整合器251の電力の整合動作、高周波電源252のオンオフ制御等を制御可能に構成されている。
【0040】
なお、コントローラ260は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていても良い。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MOなどの光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)262を用意し、係る外部記憶装置262を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ260を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置262を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置262を介さずにプログラムを供給するようにしても良い。なお、記憶装置260cや外部記憶装置262は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置260c単体のみを含む場合、外部記憶装置262単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合が有る。
【0041】
(2)基板処理工程
次に、上述の基板処理装置の処理炉を用いて半導体装置(半導体デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に導電膜であって、例えば金属含有膜である遷移金属窒化膜としてのチタニウム窒化(TiN)膜を成膜するシーケンス例について
図5を参照して説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ260により制御される。
【0042】
なお、本明細書において、「ウエハ」という言葉を用いた場合には、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等とその積層体(集合体)」を意味する場合(すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合)がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハに形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。
【0043】
従って、本明細書において「ウエハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを直接供給する」ことを意味する場合や、「ウエハに形成されている層や膜等に対して、すなわち、積層体としてのウエハの最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合が有る。また、本明細書において「ウエハに形成されている層や膜等の上、すなわち、積層体としてのウエハ最表面の上に所定の層(又は膜)を形成する」ことを意味する場合が有る。
【0044】
なお、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も「ウエハ」という言葉を用いた場合と同様であり、その場合、上記説明において、「ウエハ」を「基板」に置き換えて考えればよい。
【0045】
以下に、基板処理工程について説明する。
【0046】
(基板搬入工程S201)
成膜処理に際しては、先ず、ウエハ200を処理室201に搬入させる。具体的には、基板支持部210を昇降機構218によって下降させ、リフトピン207が貫通孔214から基板支持部210の上面側に突出させた状態にする。また、処理室201内を所定の圧力に調圧した後、ゲートバルブ205を開放し、ゲートバルブ205からリフトピン207上にウエハ200を載置させる。ウエハ200をリフトピン207上に載置させた後、昇降218によって基板支持部210を所定の位置まで上昇させることによって、ウエハ200が、リフトピン207から基板支持部210へ載置されるようになる。
【0047】
(減圧・昇温工程S202)
続いて、処理室201内が所定の圧力(真空度)となるように、排気管224を介して処理室201内を排気する。この際、圧力センサが測定した圧力値に基づき、圧力調整器222としてのAPCバルブの弁の開度をフィードバック制御する。また、温度センサ(不図示)が検出した温度値に基づき、処理室201内が所定の温度となるようにヒータ213への通電量をフィードバック制御する。具体的には、基板支持部210をヒータ213により予め加熱しておき、ウエハ200又は基板支持部210の温度変化が無くなってから一定時間置く。この間、処理室201内に残留している水分あるいは部材からの脱ガス等が有る場合は、真空排気やN
2ガスの供給によるパージによって除去しても良い。これで成膜プロセス前の準備が完了することになる。なお、処理室201内を所定の圧力に排気する際に、一度、到達可能な真空度まで真空排気しても良い。
【0048】
(成膜工程S301)
続いて、ウエハ200にTiN膜を成膜する例について説明する。成膜工程S301の詳細について、
図5を用いて説明する。
【0049】
ウエハ200が基板支持部210に載置され、処理室201内の雰囲気が安定した後、
図5に示す、S203〜S207のステップが行われる。
【0050】
(第1ガス供給工程S203)
第1ガス供給工程S203では、第1ガス供給系から処理室201内に第1ガス(原料ガス)としての四塩化チタニウム(TiCl
4)ガスを供給する。具体的には、ガスバルブ160を開き、TiCl
4を気化器180に供給する。その際ガスバルブ114を開き、MFC145で所定流量に調整されたキャリアガスを気化器180に供給し、TiCl
4をバブリングさせることによって、TiCl
4をガス化する。なお、このガス化は、基板搬入工程S201前から始めておいても良い。ガス化したTiCl
4ガスは、MFC115で流量調整した後、基板処理装置100に供給する。流量調整されたTiCl
4ガスは、第1バッファ空間232aを通り、シャワーヘッド234のガス供給孔234aから、減圧状態の処理室201内に供給される。また、排気系による処理室201内の排気を継続し処理室201内の圧力を所定の圧力範囲(第1圧力)となるように制御する。このとき、ウエハ200に対してTiCl
4ガスが供給されることとなるTiCl
4ガスは、所定の圧力(第1圧力:例えば100Pa以上20000Pa以下)で処理室201内に供給する。このようにして、ウエハ200にTiCl
4を供給する。TiCl
4が供給されることにより、ウエハ200上に、Ti含有層が形成される。
【0051】
(パージ工程S204)
ウエハ200上にチタニウム含有層が形成された後、第1ガス供給管150aのガスバルブ116を閉じ、TiCl
4ガスの供給を停止する。原料ガスを停止することで、処理室201中に存在する原料ガスや、第1バッファ空間232aの中に存在する原料ガスを第1の排気部から排気されることによりパージ工程S204が行われる。
【0052】
また、パージ工程では、単にガスを排気(真空引き)してガスを排出すること以外に、不活性ガスを供給して、残留ガスを押し出すことによる排出処理を行うように構成しても良い。また、真空引きと不活性ガスの供給を組み合わせて行っても良い。また、真空引きと不活性ガスの供給を交互に行うように構成しても良い。
【0053】
なお、このとき、排気管236の、バルブ237aを開き、排気管236を介して、第1バッファ空間232a内に存在するガスを排気ポンプ239から排気しても良い。このとき、排気ポンプ239は事前に作動させておき、少なくとも基板処理工程の終了時まで作動させておく。なお、排気中に、APCバルブ238により、排気管236と第1バッファ空間232a内の圧力(排気コンダクタンス)を制御する。排気コンダクタンスは、第1バッファ空間232aにおける第1の排気系からの排気コンダクタンスが、処理室201を介した排気ポンプ224のコンダクタンスよりも高くなるように圧力調整器238及び真空ポンプ239を制御しても良い。このように調整することで、第1バッファ空間232aの端部である第1ガス導入口241aからもう一方の端部であるシャワーヘッド排気口240aに向けたガス流れが形成される。このようにすることで、第1バッファ空間232aの壁に付着したガスや、第1バッファ空間232a内に浮遊したガスが処理室201に進入することなく第1の排気系から排気できるようになる。なお、処理室201から、第1バッファ空間232a内へのガスの逆流を抑制するように第1バッファ空間232a内の圧力と処理室201の圧力(排気コンダクタンス)を調整しても良い。
【0054】
また、パージ工程では、真空ポンプ223の動作を継続し、処理空間201内に存在するガスを真空ポンプ223から排気する。なお、処理室201から真空ポンプ223への排気コンダクタンスが、第1バッファ空間232aへの排気コンダクタンスよりも高くなるように圧力調整器222を調整しても良い。このように調整することで、処理室201を経由した第2の排気系に向けたガス流れが形成され、処理室201内に残留するガスを排気することができる。また、ここで、ガスバルブ136aを開き、MFC135aを調整し、不活性ガスを供給することによって、不活性ガスを確実に基板上に供給することが可能となり、基板上の残留ガスの除去効率が高くなる。
【0055】
所定の時間経過後、バルブ136aを閉じて、不活性ガスの供給を停止すると共に、バルブ237aを閉じて第1バッファ空間232aと真空ポンプ239の間を遮断する。
【0056】
より好ましくは、所定時間経過後、真空ポンプ223を引き続き作動させつつ、バルブ237aを閉じることが望ましい。このようにすると、処理室201を経由した第2の排気系に向けた流れが第1の排気系の影響を受けないので、より確実に不活性ガスを基板上に供給することが可能となり、基板上の残留ガスの除去効率を更に向上させることができる。
【0057】
なお、処理室のパージも単に真空引きしてガスを排出すること以外に、不活性ガスの供給によるガスの押し出し動作も意味する。よって、パージ工程で、バッファ空間232a内に、不活性ガスを供給して、残留ガスを押し出すことによる排出動作を行うように構成しても良い。また、真空引きと不活性ガスの供給を組み合わせて行っても良い。また、真空引きと不活性ガスの供給を交互に行うように構成しても良い。
【0058】
また、このとき処理室201内に供給するN
2ガスの流量も大流量とする必要は無く、例えば、処理室201の容積と同程度の量を供給することで、次の工程において悪影響が生じない程度のパージを行うことができる。このように、処理室201内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、製造スループットを向上させることができる。また、N
2ガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0059】
このときのヒータ213の温度は、ウエハ200への原料ガス供給時と同様に200〜750℃、好ましくは300〜600℃、より好ましくは300〜550℃の範囲内の一定の温度となるように設定する。各不活性ガス供給系から供給するパージガスとしてのN
2ガスの供給流量は、それぞれ例えば100〜20000sccmの範囲内の流量とする。パージガスとしては、N
2ガスの他、Ar,He,Ne,Xe等の希ガスを用いても良い。
【0060】
(第2ガス供給工程S205)
第1ガスパージ工程の後、バルブ126を開け、ガス導入孔241b、第2バッファ空間232b、複数の分散孔234bを介して、処理室201内に第2のガス(反応ガス)としての、アンモニアガス(NH
3)を供給する。第2バッファ空間232b、分散孔234bを介して処理室201に供給するので、基板上に均一にガスを供給することができる。そのため、膜厚を均一にすることができる。なお、第2のガスを供給する際に、活性化部(励起部)としてのリモートプラズマユニット(RPU)124を介して、活性化させた第2のガスを処理室201内に供給可能に構成しても良い。
【0061】
このとき、NH
3ガスの流量が所定の流量となるようにマスフローコントローラ125を調整する。なお、NH
3ガスの供給流量は、例えば、100sccm以上10000sccm以下である。また、圧力調整器238を適正に調整することにより、第2バッファ空間232b内の圧力を所定の圧力範囲内とする。また、NH
3ガスがRPU124内を流れているときは、RPU124をON状態(電源が入った状態)とし、NH
3ガスを活性化(励起)させるように制御する。
【0062】
NH
3ガスが、ウエハ200上に形成されているチタン含有層に供給されると、チタン含有層が改質される。例えば、チタン元素またはチタン元素を含有する改質層が形成される。なお、RPU124を設けて、活性化したNH
3ガスをウエハ200上に供給することによって、より多くの改質層を形成することができる。
【0063】
改質層は、例えば、処理室201内の圧力、NH
3ガスの流量、ウエハ200の温度、RPU124の電力供給具合に応じて、所定の厚さ、所定の分布、チタン含有層に対する所定の窒素成分等の侵入深さで形成される。
【0064】
所定の時間経過後、バルブ126を閉じ、NH
3ガスの供給を停止する。
【0065】
(パージ工程S206)
NH
3ガスの供給を停止することで、処理室201中に存在する原料ガスや、第1バッファ空間232bの中に存在する原料ガスを第1の排気部から排気されることによりパージ工程S206が行われる。
【0066】
また、パージ工程では、単にガスを排気(真空引き)してガスを排出すること以外に、不活性ガスを供給して、残留ガスを押し出すことによる排出処理を行うように構成しても良い。また、真空引きと不活性ガスの供給を組み合わせて行っても良い。また、真空引きと不活性ガスの供給を交互に行うように構成しても良い。
【0067】
なお、バルブ237bを開き、排気管236を介して、第2バッファ空間232b内に存在するガスを真空ポンプ239から排気しても良い。なお、排気中に、圧力調整器238により、排気管236と第2バッファ空間232b内の圧力(排気コンダクタンス)を制御する。排気コンダクタンスは、第2バッファ空間232bにおける第1の排気系からの排気コンダクタンスが、処理室201を介した真空ポンプ223のコンダクタンスよりも高くなるように圧力調整器238及び真空ポンプ239を制御しても良い。このように調整することで、第2バッファ空間232bの中央からシャワーヘッド排気口240bに向けたガス流れが形成される。また、第2バッファ空間232bの壁に付着したガスや、第2バッファ空間232b内に浮遊したガスが処理室201に進入することなく第3の排気系から排気できるようになる。なお、処理室201から、第2バッファ空間232b内へのガスの逆流を抑制するように第2バッファ空間232b内の圧力と処理室201の圧力(排気コンダクタンス)を調整しても良い。
【0068】
また、パージ工程では、真空ポンプ223の動作を継続し、処理空間201内に存在するガスを真空ポンプ223から排気する。なお、処理室201から真空ポンプ223への排気コンダクタンスが、第2バッファ空間232bへの排気コンダクタンスよりも高くなるように圧力調整器222を調整しても良い。このように調整することで、処理室201を経由した第3の排気系に向けたガス流れが形成され、処理室201内に残留するガスを排気することができる。また、ここで、ガスバルブ136bを開き、MFC135bを調整し、不活性ガスを供給することによって、不活性ガスを確実に基板上に供給することが可能となり、基板上の残留ガスの除去効率が高くなる。
【0069】
所定の時間経過後、バルブ136bを閉じて、不活性ガスの供給を停止すると共に、バルブ237bを閉じて第2バッファ空間232bと真空ポンプ239の間を遮断する。
【0070】
より好ましくは、所定時間経過後、真空ポンプ223を引き続き作動させつつ、バルブ237bを閉じることが望ましい。このように構成すると、処理室201を経由した第3の排気系に向けた流れが第1の排気系の影響を受けないので、より確実に不活性ガスを基板上に供給することが可能となり、基板上の残留ガスの除去効率を更に向上させることができる。
【0071】
なお、処理室のパージも単に真空引きしてガスを排出すること以外に、不活性ガスの供給によるガスの押し出し動作も意味する。よって、パージ工程で、第2バッファ空間232b内に、不活性ガスを供給して、残留ガスを押し出すことによる排出動作を行うように構成しても良い。また、真空引きと不活性ガスの供給を組み合わせて行っても良い。また、真空引きと不活性ガスの供給を交互に行うように構成しても良い。
【0072】
また、このとき処理室201内に供給するN
2ガスの流量も大流量とする必要は無く、例えば、処理室201の容積と同程度の量を供給することで、次の工程において悪影響が生じない程度のパージを行うことができる。このように、処理室201内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、製造スループットを向上させることができる。また、N
2ガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0073】
このときのヒータ213の温度は、ウエハ200への原料ガス供給時と同様に200〜750℃、好ましくは300〜600℃、より好ましくは300〜550℃の範囲内の一定の温度となるように設定する。各不活性ガス供給系から供給するパージガスとしてのN
2ガスの供給流量は、それぞれ例えば100〜20000sccmの範囲内の流量とする。パージガスとしては、N
2ガスの他、Ar,He,Ne,Xe等の希ガスを用いても良い。
【0074】
(判定工程S207)
パージ工程S206の終了後、コントローラ260は、上記の成膜工程S301(S203〜S206)が所定のサイクル数nが実行されたか否かを判定する。即ち、ウエハ200上に所望の厚さの膜が形成されたか否かを判定する。上述したステップS203〜S206を1サイクルとして、このサイクルを少なくとも1回以上行う(ステップS207)ことにより、ウエハ200上に所定膜厚のチタニウムおよび窒素を含む導電膜、すなわち、TiN膜を成膜することができる。なお、上述のサイクルは、複数回繰返すことが好ましい。これにより、ウエハ200上に所定膜厚のTiN膜が形成される。
【0075】
所定回数実施されていないとき(No判定のとき)は、S203〜S206のサイクルを繰り返す。所定回数実施されたとき(Y判定のとき)は、成膜工程S301を終了し、基板搬出工程S208を実行する。
【0076】
(基板搬出工程S208)
成膜工程S301が終わった後、基板支持部210を昇降機構218によって下降させ、リフトピン207が貫通孔214から基板支持部210の上面側に突出させた状態にする。また、処理室201内を所定の圧力に調圧した後、ゲートバルブ205を解放し、ウエハ200をリフトピン207上からゲートバルブ205外へ搬送する。
【0077】
前記した第1ガス供給工程S203や第2ガス供給工程S205においては、第1ガスを供給する際には第2分散部である第2バッファ空間232bに不活性ガスを供給し、第2ガスを供給する際には第1分散部である第1バッファ空間232aに不活性ガスを供給するようにすれば、それぞれのガスが異なるバッファ空間に逆流することを防ぐことができる。
【0078】
続いて、第1ガス供給部である第1バッファ空間232aと第2ガス供給部である第2バッファ空間232bとの関係について説明する。
第1バッファ空間232aから処理空間201へ複数の分散孔234aが延びている。第2バッファ空間232bから処理空間201へ複数の分散孔234bが延びている。第1バッファ空間232aの上側に第2バッファ空間232bが設けられている。このため、
図1に示すように、第1バッファ空間232a内を第2バッファ空間232bからの分散孔234bが貫通するように処理空間201へ延びている。
【0079】
ここで、第1バッファ空間232a内を第2バッファ空間232bの分散孔234bが貫通しているため、第1バッファ空間232a内には、分散孔234bの外表面が露出している。この露出した表面の面積分、第1バッファ空間232a内の表面積は、第2バッファ空間232b内の表面積より広くなっている。すなわち、バッファ室232a内の表面積>バッファ室232b内の表面積という関係になっている。この第1バッファ空間232a内の分散孔234bの外表面は、ウエハ200に対して垂直方向の表面積であるとも言える。
【0080】
それぞれのバッファ空間の内壁には、それぞれのバッファ空間に供給されるガスの分子が吸着する。ガス分子は、パージ工程S204,S206で除去される。しかしながら、ガスの種類によっては、ガス分子がバッファ空間の内壁に残り(吸着した状態のまま残る)、他の工程で内壁から脱離し、意図しない反応が起きる課題を発明者は見出した。例えば、上述のTiCl
4とNH
3を交互に供給してTiNを成膜した場合、TiCl
4の供給時に、バッファ空間の内壁からNH
3分子が脱離し、処理空間201内に供給されることによって、処理空間201内でTiCl
4とNH
3とが気相反応し、意図しない膜が形成されることが有る。また、副生成物であるNH
4Clが生成され、所望の膜形成を阻害されることが有る。
【0081】
また、第1バッファ空間232a内の分散孔234bの外表面の右側のガス対向面234gは、供給されるガスと正対(対向)している面(ガス供給管150aから供給されるガスの流れ方向と対向する面)であるため、パージ工程の際に右側面234cにパージガスが当たり、吸着したガス分子が除去され易い。一方、第1バッファ空間232a内の分散孔234bの外表面の左側の順方向面234hは、供給されるガスの流れと順方向の面(ガス供給管150aから供給されるガスの流れ方向と順方向の面)であるため、パージの際にパージガスが供給され難く、吸着したガス分子が除去されず、ガス分子が残存する課題を見出した。なお、ガス対向面234gとガス順方向面234hは、バッファ空間に接続されるガス管の位置で変わる。例えば、中心から供給される際には、ガス対向面234gはバッファ空間の中心方向に形成され、ガス順方向面234hは、バッファ空間の外周方向に形成される。なお、分散孔234a及び分散孔234bは同じ直径の円形状の孔である。
【0082】
そこで、発明者らは、原料ガスと反応ガスの特性(吸着性、蒸気圧など)に応じて、供給位置を変更することにより、意図しない反応を低減できることを見出した。例えば、TiCl
4とNH
3を供給する場合、TiCl
4と比較して、バッファ空間内の壁に付着され易いNH
3を表面積の狭いバッファ空間へ供給し、TiCl
4を表面積の多いバッファ空間へ供給することにより、意図しない反応(意図しない膜形成やNH
4Clの発生)を低減できる。
【0083】
そこで、本実施形態では、第1ガスであるTiCl
4をバッファ室内の表面積の広い第1バッファ空間232aへ供給し、第2ガスであるNH
3をバッファ室内の表面積の狭い第2バッファ空間232bへ供給する。ここで、第1ガスであるTiCl
4は、第2ガスであるNH
3よりも単位面積当たりの吸着量が少ないガスである。
【0084】
なお、上述では、原料ガスを表面積の広い第1バッファ空間232aに供給し、反応ガスを表面積の狭い第2バッファ空間232bに供給するように構成したが、ガス特性(吸着性、蒸気圧など)に応じて供給場所を入れ替えても良い。
【0085】
次に、第1供給領域を構成する第1ガス供給部の第2分散孔234bと、外周供給部を構成する第3分散孔234cとの関係について
図2を用いて説明する。
第2分散孔234bと第3分散孔234cは、第2バッファ空間232b内のガスを処理室201内へ通過させる孔として形成される。第2分散孔234bは、ウエハ200と対向する位置で、複数個設けられる。孔の形状や配置は、適宜変更しても良い。第3分散孔234cは、基板載置台210と対向し、ウエハ200の端よりも外側に設けられる。また、第3分散孔234cの孔径は、第2分散孔234bの孔径よりも大きく形成される。好ましくは、第3分散孔234cの孔径は、第2分散孔234bの孔径の1.5倍〜3倍程度とすることが好ましい。この様に構成することによって、第2バッファ空間232b内のガス流速を第2バッファ空間232bの中心から外周まで保つことができる。これにより、ウエハ200と対向する第2分散孔234bが設けられた第1供給領域234eからウエハ200に供給されるガス量,ガス濃度などをウエハ200の面内で均一にすることができる。また、第2分散孔よりも大きな孔径で構成された第3分散孔234cから前記基板載置台210にガスを供給するように構成することによって、前記第3分散孔234cと前記基板載置台210との間にガスカーテンが形成される。このガスカーテンによって、ウエハ200の中心から外周方向へのガスの流れ易さが低くなり、ウエハ200上のガスの滞在時間を長くすることができ、ウエハ200とガス分子との衝突確率を向上させ、処理均一性を向上させることができる。これにより、前記第2分散孔234bから前記ウエハ200への供給を基板面内で均一化させることができる。ここで、例えば、ウエハ200の外周に不活性ガスを供給する構造を設けてガスカーテンを形成する場合には、不活性ガスにより、第1ガス又は第2ガスが希釈され、ウエハ200の中心部と外周部でのガス濃度が変化してしまう課題が発生するが、上記の構造であれば希釈を抑制することができる。また、不活性ガスによるガスカーテンの代替として、物理的な構造を設けた場合には、ガスの流れ易さが大きく変化してしまい、所望のガス流れとならない課題が有る。本願では、これらの課題を生じることなく、ウエハ200の処理均一性を向上させることができる。
【0086】
<本実施形態に係る効果>
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0087】
(a)基板と対向し、第1分散孔と第2分散孔を有する第1供給領域と、基板載置台の基板が載置される面よりも外周側の面と対向し、前記第2分散孔よりも大きい孔径で形成された第3分散孔を有する第2供給領域と、をガス分散ユニットに設けることによって、第1供給領域に設けられた孔よりも第2供給領域に設けられた孔のガスコンダクタンスが大きくなり、ガス分散ユニット内の基板の径方向のガス流れ成分を増加させることができる。これにより、第1供給領域全域からのガス供給量を均等化させることができ、第2分散孔から基板へのガス供給を基板の面内で均一化させることができる。
【0088】
(b)また、第3分散孔の孔径を第2分散孔より大きく形成することによって、第2バッファ空間内の中心から外周方向へのガス流れ易さを高めることができ、第2バッファ空間内の中心から外周方向へのパージ効率を向上させることができる。パージ効率の向上により、第2バッファ空間内に吸着するガスを低減し、意図しない反応や副生成物の発生を抑制することができる。
【0089】
(c)また、第2分散孔よりも大きな孔径で構成された第3分散孔から前記基板載置台にガスを供給するように構成することによって、前記第3分散孔と前記基板載置台との間にガスカーテンが形成させることができる。このガスカーテンによってウエの中心から外周方向へのガスの流れ易さが低くなり、ウエハ上のガスの滞在時間を長くすることができ、ウエハとガス分子との衝突確率が向上し、処理の均一性を向上させることができる。
【0090】
(d)2種類以上のガスを供給して成膜する装置であって、吸着しやすいガスを表面積の狭いバッファ空間に供給し、吸着し難いガスを表面積の広いバッファ空間に供給することによって、意図しない反応を抑制することができる。
【0091】
(e)吸着しやすいガスを供給する第2バッファ空間の表面積を吸着し難いガスを供給する第1バッファ空間の表面積より小さくすることで、バッファ空間内でのガスの吸着を抑制することができる。
【0092】
(f)NH
3の残留量を低減することにより、NH
4Clの発生量を抑制または、意図しない反応を抑制することができる。
【0093】
<第2実施形態>
以上、第1実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものでは無く、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0094】
図7に本発明の第2実施形態に係る、シャワーヘッド234をウエハ200側から見た図を示す。本実施形態では、第2分散孔234bよりも外側に、第4分散孔234dを有するものである。第4分散孔234dは、基板載置台212の外周面215と対向するにように配置される。第4分散孔234dから処理空間201へ供給されるガスは、主に、外周面215上に供給された後、排気部へ排気される。
【0095】
第4分散孔234dを設けることによって、第1バッファ空間232a内のガス流れを、均一にすることができる。この結果、ウエハ200の面上に供給されるガス量,ガス濃度が、基板の中心側から外周側まで均一にすることができる。
【0096】
<第3実施形態>
以上、第2実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものでは無く、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0097】
図8に本発明の第3実施形態に係る、シャワーヘッド234をウエハ200側から見た図を示す。本実施形態では、基板載置台212の外周面215と対向する位置に、第3分散孔234cと第4分散孔234dを有するものである。
【0098】
第3分散孔234cと第4分散孔234dを設けることによって、第1バッファ空間232aと第2バッファ空間232bのそれぞれの空間内のガス流れを均一にすることができる。
【0099】
なお、上述では、原料ガスと反応ガスを交互に供給して成膜する方法について記したが、原料ガスと反応ガスの気相反応量や副生成物の発生量が許容範囲内であれば、他の方法にも適用可能である。例えば、原料ガスと反応ガスの供給タイミングが重なる様な方法である。
【0100】
また、上述では、成膜処理について記したが、他の処理にも適用可能である。例えば、拡散処理、酸化処理、窒化処理、酸窒化処理、還元処理、酸化還元処理、エッチング処理、加熱処理などが有る。例えば、反応ガスのみを用いて、基板表面や基板に形成された膜をプラズマ酸化処理や、プラズマ窒化処理する際にも本発明を適用することができる。また、反応ガスのみを用いたプラズマアニール処理にも適用することができる。
【0101】
また、上述では、半導体装置の製造工程について記したが、実施形態に係る発明は、半導体装置の製造工程以外にも適用可能である。例えば、液晶デバイスの製造工程や、セラミック基板へのプラズマ処理などが有る。
【0102】
また、上述では、原料ガスとしてチタン含有ガス(TiCl
4)ガス、反応ガスとして窒素含有ガス(NH
3ガス)を用いて、窒化チタニウム膜を形成する例を示したが、他のガスを用いた成膜にも適用可能である。例えば、酸素含有膜、窒素含有膜、炭素含有膜、ホウ素含有膜、金属含有膜とこれらの元素が複数含有した膜等が有る。なお、これらの膜としては、例えば、SiO膜、SiN膜、AlO膜、ZrO膜、HfO膜、HfAlO膜、ZrAlO膜、SiC膜、SiCN膜、SiBN膜、TiC膜、TiAlC膜などが有る。これらの膜を成膜するために使われる原料ガスと反応ガスそれぞれのガス特性(吸着性、脱離性、蒸気圧など)を比較して、供給位置やシャワーヘッド234内の構造を適宜変更することにより、同様の効果を得ることができる。
【0103】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0104】
<付記1>
一態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記基板が載置される基板載置台と、
前記基板と対向し、第1ガスを供給する第1分散孔と第2ガスを供給する第2分散孔が設けられた第1供給領域と、
前記基板載置台の基板が載置される面より外周側の面と対向し、前記第2分散孔より大きい孔径で形成され、前記第2ガスを供給する第2供給領域と、を有するガス分散ユニットと、
を有する基板処理装置が提供される。
【0105】
<付記2>
付記1に記載の基板処理装置であって、好ましくは、
前記ガス分散ユニットは、前記第2供給領域に前記第1ガスの分散孔よりも大きい孔径で形成され、前記第1ガスを供給する第4分散孔を有する様に構成される。
【0106】
<付記3>
付記1又は付記2に記載の基板処理装置であって、好ましくは、
前記ガス分散ユニットは、前記第1分散孔に第1バッファ空間が接続され、前記第2分散孔と前記第3分散孔とが第2バッファ空間に接続されるように構成される。
【0107】
<付記4>
付記3に記載の基板処理装置であって、好ましくは、
前記ガス分散ユニットは、前記第3分散孔は、前記第2分散孔よりも外側に設けられる様に構成される。
【0108】
<付記5>
付記2に記載の基板処理装置であって、好ましくは、
前記ガス分散ユニットは、前記第1分散孔と前記第4分散孔とが第1バッファ空間に接続され、前記第3分散孔に第2バッファ空間が接続される様に構成される。
【0109】
<付記6>
付記3乃至付記5に記載の基板処理装置であって、好ましくは、
前記第2バッファ空間の中央に前記第2ガスを供給する第2ガス供給部を有する。
【0110】
<付記7>
付記3又乃至付記6に記載の基板処理装置であって、好ましくは、
前記第1バッファ空間に前記第1ガスを供給する第1ガス供給ユニットと、
前記第2バッファ空間に前記第2ガスを供給する第2ガス供給ユニットと、
前記第1ガスと前記第2ガスを交互に供給するように前記第1ガス供給ユニットと前記第2ガス供給ユニットとを制御する制御部と、を有する。
【0111】
<付記8>
付記1乃至付記7のいずれかに記載の基板処理装置であって、好ましくは、
前記第2ガスは、前記第1ガスよりも吸着しやすいガスで構成される。
【0112】
<付記9>
付記1乃至付8のいずれかに記載の基板処理装置であって、好ましくは、
前記第1ガスは原料ガスで、前記第2ガスは反応ガスで構成される。
【0113】
<付記10>
付記1乃至付記9のいずれかに記載の基板処理装置であって、好ましくは、
前記基板載置台の載置面の高さを前記外周面よりも前記基板の厚さに相当する長さ分低く構成される。
【0114】
<付記11>
他の形態によれば、
基板が載置される基板載置台の上に形成される処理室にガスを供給するガス分散ユニットであって、
前記基板と対向し、第1ガスを供給する第1分散孔と第2ガスを供給する第2分散孔が設けられた第1供給領域と、
前記基板載置台の基板が載置される面より外周側の面と対向し、前記第2分散孔より大きい孔径で形成され、前記第2ガスを供給する第2供給領域と、
を有するガス分散ユニットが提供される。
【0115】
<付記12>
付記11に記載のガス分散ユニットであって、好ましくは、
前記第2供給領域に前記第1ガスの分散孔よりも大きい孔径で形成され、前記第1ガスを供給する第4分散孔を有する様に構成される。
【0116】
<付記13>
付記11又は付記12に記載のガス分散ユニットであって、好ましくは、
前記第1分散孔に第1バッファ空間が接続され、前記第2分散孔と前記第3分散孔とが第2バッファ空間が接続されるように構成される。
【0117】
<付記14>
付記13に記載のガス分散ユニットであって、好ましくは、
前記第3分散孔は、前記第2バッファ空間の前記第2分散孔よりも外側に接続されるように構成される。
【0118】
<付記15>
付記13又は付記14に記載のガス分散ユニットであって、好ましくは、
前記第2バッファ空間の中央に前記第2ガスを供給する第2ガス供給部が接続される
【0119】
<付記16>
付記11乃至付記15のいずれかに記載のガス分散ユニットであって、好ましくは、
前記第2ガスは、前記第1ガスよりも吸着しやすいガスで構成される。
【0120】
<付記17>
付記11乃至付記15のいずれかに記載のガス分散ユニットであって、好ましくは、
前記第1ガスは原料ガスで、前記第2ガスは反応ガスで構成される。
【0121】
<付記18>
更に他の態様によれば、
基板載置台に基板を載置する基板載置工程と、
前記基板と対向して設けられ前記基板に第1ガスと第2ガスを供給する第1供給領域と前記基板載置台の外周面と対向し前記第1供給領域の外周に前記第2ガスを供給する第2供給領域とを有するガス分散ユニットから前記第1ガスを供給する工程と、
前記第2ガスを供給する工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0122】
<付記19>
更に他の態様によれば。
基板載置台に基板を載置させる基板載置手順と、
前記基板と対向して設けられ前記基板に第1ガスと第2ガスを供給する第1供給領域と前記基板載置台の外周面と対向し前記第1供給領域の外周に前記第2ガスを供給する第2供給領域とを有するガス分散ユニットから、前記第1ガスを供給させる手順と、
前記ガス分散ユニットから前記第2ガスを供給させる手順と、
をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0123】
<付記20>
更に他の態様によれば、
基板支持部に基板を載置させる基板載置手順と、
前記基板と対向して設けられ前記基板に第1ガスと第2ガスを供給する第1供給領域と前記基板載置台の外周面と対向し前記第1供給領域の外周に前記第2ガスを供給する第2供給領域とを有するガス分散ユニットから、前記第1ガスを供給させる手順と、
前記第2ガスを供給させる手順と、
をコンピュータに実行させるプログラムが記録された記録媒体が提供される。