特許第5963930号(P5963930)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5963930
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 27/00 20060101AFI20160721BHJP
   B65D 5/30 20060101ALI20160721BHJP
   B65D 5/66 20060101ALI20160721BHJP
   B65D 5/20 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   B65D27/00 L
   B65D5/30 C
   B65D5/66 311H
   B65D5/20 C
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-196620(P2015-196620)
(22)【出願日】2015年10月2日
【審査請求日】2015年10月20日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年4月17日に印刷のいろはフェスタにて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000122313
【氏名又は名称】株式会社ユポ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津留 礼子
(72)【発明者】
【氏名】津留 敬文
(72)【発明者】
【氏名】横田 桂子
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−057514(JP,U)
【文献】 実開昭58−049725(JP,U)
【文献】 米国特許第04930680(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 27/00
B65D 5/00 − 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを折ることで形成され、内部に物品を収納可能な包装体であって、
前記シートが、
折り目が設けられていない多角形状の基部と、
前記多角形状を構成する複数の辺のそれぞれに第1折目線を介して連設され、前記各第1折目線にて折り曲げ可能な複数の壁部と、
隣り合う2つの壁部のうちのいずれか一方の壁部から延設されていると共に他方の壁部の前記基部側に接するように折り込まれ、前記壁部が倒れないように固定する折込片と、
前記各壁部の前記基部と反対側に第2折目線を介して連設され、前記各第2折目線にて前記基部に向かって折返し可能な複数のフラップ部とを備え、
前記各フラップ部は、前記各壁部から離れた位置に2つの係合部を有し、
前記各第1折目線に沿って前記複数の壁部を折りかつ前記各第2折目線に沿って前記複数のフラップ部を折ると、前記基部と前記複数の壁部と前記複数のフラップ部との間に前記物品を収納する空間が形成されると共に、隣り合う2つのフラップ部の係合部どうしを係合することができ、前記係合部の係合により前記空間に前記物品を出入可能な開口が形成され、かつ前記複数のフラップ部が前記開口から略放射状に伸びるように配置されており、
前記複数の壁部のうちのいずれの壁部どうしも前記基部以外を介して相互に連設されておらず、かつ前記複数のフラップ部のうちのいずれのフラップ部どうしも前記基部以外を介して相互に連設されていないことを特徴とする包装体。
【請求項2】
係合部の少なくともいずれかが係合片であり、前記係合片の質量と前記係合片が属するフラップ部の質量との比が、1/100以上1/5以下である請求項1記載の包装体。
【請求項3】
JIS P8149:2000の規定に従って測定したシートの不透明度が15%以上80%以下である請求項1または請求項2に記載の包装体。
【請求項4】
シートが熱可塑性樹脂を含む材料により形成されている請求項1から請求項のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項5】
係合部の少なくともいずれかが係合片であり、前記各係合片の少なくとも一部が着色されている請求項1から請求項のいずれか1項に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に物品を収納可能な包装体として、例えば基部の上下左右にそれぞれ内方向に折合せ自在なフラップを設け、上下のフラップ対と左右のフラップ対とを独立して係合させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような包装体は、上下および左右の二組のフラップ対を係合させることで内部に物品を収納可能な空間が形成され、この空間に手紙などの物品を収納することで封筒等として使用することができる。また、上記包装体は、構成する部材に人形等の絵模様が印刷されているので、上記使用後にフラップを展開することで壁掛け等としても引き続き楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭57―101783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来の包装体では、上下のフラップ対と左右のフラップ対とが異なっていることに起因して見る方向によっては非対称性が増すため、形態対称性由来の調和のとれた心地よさを向上させる点で、美観を改善する余地が残されている。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、調和のとれた優れた美観を呈することができる包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は
)シートを折ることで形成され、内部に物品を収納可能な包装体であって、
前記シートが、
折り目が設けられていない多角形状の基部と、
前記多角形状を構成する複数の辺のそれぞれに第1折目線を介して連設され、前記各第1折目線にて折り曲げ可能な複数の壁部と、
隣り合う2つの壁部のうちのいずれか一方の壁部から延設されていると共に他方の壁部の前記基部側に接するように折り込まれ、前記壁部が倒れないように固定する折込片と、
前記各壁部の前記基部と反対側に第2折目線を介して連設され、前記各第2折目線にて前記基部に向かって折返し可能な複数のフラップ部とを備え、
前記各フラップ部は、前記各壁部から離れた位置に2つの係合部を有し、
前記各第1折目線に沿って前記複数の壁部を折りかつ前記各第2折目線に沿って前記複数のフラップ部を折ると、前記基部と前記複数の壁部と前記複数のフラップ部との間に前記物品を収納する空間が形成されると共に、隣り合う2つのフラップ部の係合部どうしを係合することができ、前記係合部の係合により前記空間に前記物品を出入可能な開口が形成され、かつ前記複数のフラップ部が前記開口から略放射状に伸びるように配置されており、
前記複数の壁部のうちのいずれの壁部どうしも前記基部以外を介して相互に連設されておらず、かつ前記複数のフラップ部のうちのいずれのフラップ部どうしも前記基部以外を介して相互に連設されていないことを特徴とする包装体、
)係合部の少なくともいずれかが係合片であり、前記係合片の質量と前記係合片が属するフラップ部の質量との比が、1/100以上1/5以下である前記(1)記載の包装体、
)JIS P8149:2000の規定に従って測定したシートの不透明度が15%以上80%以下である前記(1)または(2)に記載の包装体、
)シートが熱可塑性樹脂を含む材料により形成されている前記(1)から()のいずれか1項に記載の包装体、および
)係合部の少なくともいずれかが係合片であり、前記各係合片の少なくとも一部が着色されている前記(1)から()のいずれか1項に記載の包装体
に関する。
【0008】
なお、「係合部」とは、他の1以上のフラップ部に接しかつ上記フラップ部が開かないように互いに係止し合う部位(以下、「係合部位」ともいう)を意味する。この係合部は、後述する係合片およびこの係合片を差し込み可能な切れ目を含む概念である。「係合片」とは、係合部位から先端側に延設されたフラップ部の部位を指す。但し、上記先端側とは、折目線、第1折目線または第2折目線から離間する側を意味する。ここで、上記係合部位としては、例えば図8に示すように係合部が鉤状部131aを有する係合片131である場合、符号kで表される部位(×印の交点)を例示することができる。
【0009】
また、「略同一領域」とは、全ての係合部位が包含される平面視の範囲(以下、「領域」ともいう)における最大寸法が、基部の外形における最大寸法に対して1/10以下であるときの領域を意味する。但し、上記最大寸法とは、対象とする範囲の外縁の任意の1点から別の任意の1点までの距離の最大値を指す。具体例として、例えば図9に示すような包装体100が基部110および係合部位kを有する場合、破線で囲まれた部位が領域Rであり、この領域Rの最大寸法L2が基部110の外形における最大寸法L1の1/10以下であるときは、領域Rが略同一領域R1となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、調和のとれた優れた美観を呈することができる包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係る包装体の概略平面図である。
図2図1の包装体の形成に用いられるシートの概略展開図である。
図3】重心と略同一領域との位置関係を説明するための概略図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る包装体の概略平面図であって、(a)は概略平面図、(b)は概略正面図をそれぞれ示す。
図5図4の包装体の形成に用いられるシートの概略展開図である。
図6】本発明の第3の実施形態に係る包装体の概略平面図であって、(a)は概略平面図、(b)は概略正面図をそれぞれ示す。
図7図6の包装体の形成に用いられるシートの概略展開図である。
図8】係合部位を説明するための概略図である。
図9】略同一領域を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の包装体は、シートを折ることで形成され、内部に物品を収納可能な包装体であって、上記シートが、基部と、上記基部に三以上の折目線を介して連設され、上記各折目線にて上記基部に向かって折り返し可能な三以上のフラップ部とを備え、上記各フラップ部は、上記各折目線から離れた位置に係合部を有し、上記各折目線に沿って上記三以上のフラップ部を折ると、上記基部と上記三以上のフラップ部との間に上記物品を収納する空間が形成されると共に、上記三以上のフラップ部の上記係合部が平面視で略同一領域内において相互に係合することができ、かつ上記三以上のフラップ部が上記略同一領域から略放射状または略扇状に伸びるように配置されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、シートを折ることで形成され、内部に物品を収納可能な包装体であって、上記シートが、基部と、上記基部に三以上の第1折目線を介して連設され、上記各第1折目線にて折り曲げ可能な三以上の壁部と、上記各壁部の上記基部と反対側に第2折目線を介して連設され、上記各第2折目線にて上記基部に向かって折返し可能な三以上のフラップ部とを備え、上記各フラップ部は、上記各壁部から離れた位置に係合部を有し、上記各第1折目線に沿って上記三以上の壁部を折りかつ上記各第2折目線に沿って上記三以上のフラップ部を折ると、上記基部と上記三以上の壁部と上記三以上のフラップ部との間に上記物品を収納する空間が形成されると共に、上記三以上のフラップ部の上記係合部が平面視で略同一領域内において相互に係合することができ、かつ上記三以上のフラップ部が上記略同一領域から略放射状に伸びるように配置されることを特徴とする包装体を含む。
【0014】
さらに、本発明は、シートを折ることで形成され、内部に物品を収納可能な包装体であって、上記シートが、上記多角形状の基部と、上記多角形状を構成する複数の辺のそれぞれに第1折目線を介して連設され、上記各第1折目線にて折り曲げ可能な複数の壁部と、上記各壁部の上記基部と反対側に第2折目線を介して連設され、上記各第2折目線にて上記基部に向かって折返し可能な複数のフラップ部とを備え、上記各フラップ部は、上記各壁部から離れた位置に2つの係合部を有し、上記各第1折目線に沿って上記複数の壁部を折りかつ上記各第2折目線に沿って上記複数のフラップ部を折ると、上記基部と上記複数の壁部と上記複数のフラップ部との間に上記物品を収納する空間が形成されると共に、隣り合う2つのフラップ部の係合部どうしを係合することができ、上記係合部の係合により上記空間に上記物品を出入可能な開口が形成され、かつ上記複数のフラップ部が上記開口から略放射状に伸びるように配置されることを特徴とする包装体を含む。
【0015】
以下、当該包装体の第1、第2および第3の実施形態について図1図7を参照して説明するが、本発明は、当該図面に記載の実施形態にのみ限定されるものではない。なお、第1、第2および第3の実施形態では、基部が五角形状である包装体について説明するが、基部は通常三角形状から十二角形状の多角形状であり、四角形状から八角形状の多角形状であることが好ましい。また、第1、第2および第3の実施形態では、係合部が係合片である包装体を例示して説明する。
【0016】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る包装体の概略平面図である。当該包装体100は、シートS1を折ることで形成され、内部に物品bを収納可能な包装体である。当該包装体100は、図1および図2に示すように、概略的に、基部110と、フラップ部130とにより構成されている。
【0017】
上記シートS1は通常1枚のシートで構成される。上記シートS1を形成する材料としては、当該シートS1を折り返して包装体100を形成することができる限り特に限定されないが、熱可塑性樹脂を含む材料により形成されていることが好ましい。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。
【0018】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン等のα−オレフィンとのランダム共重合体またはブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などのポリエチレン系樹脂;プロピレン単独重合体、プロピレンと1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン等のα−オレフィンとのランダム共重合体またはブロック共重合体などのポリプロピレン系樹脂;ポリブテン等が挙げられる。
【0019】
上記ポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等が挙げられる。
【0020】
上記熱可塑性ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、乳酸共重合体、脂肪族ポリエステル等が挙げられる。
【0021】
上記ポリスチレン系樹脂としては、例えば、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン等が挙げられる。
【0022】
これらの中で、上記熱可塑性樹脂としては、強度向上および製造容易性の観点から、オレフィン系樹脂が好ましく、ポリエチレン系樹脂がより好ましく、高密度ポリエチレンがさらに好ましい。
【0023】
また、シートS1は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記熱可塑性樹脂以外の他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、例えば、充填剤、熱安定剤、光安定剤、分散剤、滑剤、帯電防止剤、可塑剤、染料、顔料、ブロッキング防止剤、難燃剤等が挙げられる。上記他の成分およびその含有量は、目的に応じて適宜選択することができる。
【0024】
このように、シートS1が上記熱可塑性樹脂を含む材料で形成されていることで、シートS1の物性を紙に比べて広範かつ容易に調整することができ、例えば、高い弾性率や剛度を付与することで包装体100を確実に封緘したり、シートS1の配合や成形条件を適宜変更することでシートS1の不透明度を容易に調整したりすることができる。
【0025】
ここで、シートS1の弾性率は、JIS P8143:2009(紙−こわさ試験方法−クラークこわさ試験機法)の規定に従って測定することができる。この規定に従い測定したとき、そのS値は10以上が好ましく、50以上がより好ましく、80以上がさらに好ましい。これにより、シートを折ることで形成された包装体の係合部同士がシートS1の弾性によって引っ張られるため、確実に係合することができる。一方、上記S値は600以下が好ましく、300以下がより好ましく、150以下がさらに好ましい。これにより、シートS1上に設けた折目線に沿って確実にシートS1を折ることができる。また、上記規定に従い測定したとき、包装体のゆがみを少なくする観点から、弾性率の異方性は小さいほうが好ましい。具体的には、シート流れに平行な方向のS値とシート流れに垂直な方向のS値との比は、0.5〜2.0の範囲が好ましく、0.75〜1.33の範囲がより好ましい。
【0026】
また、シートS1の不透明度は、JIS P8149:2000(紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照明法)の規定に従って測定したとき、15%以上80%以下であることが好ましい。これにより、物品bの存否を認知させつつ、当該物品bが露呈するのを防止することができ、安心して物品bを収納することができる。上記不透明度は、物品bの露呈防止能を向上させる観点から、25%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましく、物品bの存否の認知性を向上させる観点から、70%以下であることがより好ましく、65%以下であることがさらに好ましい。
【0027】
シートS1の厚さは、当該シートS1を折り返して包装体100を形成することができる限り特に限定されないが、通常均一な厚みであり、10μm以上500μm以下である。このシートS1の厚さは、破断強度を向上させる観点から、20μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、50μm以上がさらに好ましく、折り返し性を向上させる観点から、300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、150μm以下がさらに好ましい。
【0028】
シートS1は、内部に収容する物品に応じて、耐水性、撥水性、防汚性、抗菌性、透視性等の機能を有していることが好ましい。これらの性質は、好ましくは、混練、表面処理、鑽孔等の既知の方法により付与することができる。
【0029】
上述したシートS1に求められる弾性率、不透明度、厚さを満たす材料としては、合成紙が挙げられる。そのため、当該包装体100に用いられるシートS1は、合成紙により形成されていることが好ましい。この合成紙は、フィルムの内部や表面にミクロなボイド(空隙)を持つものであり、例えば、ポリプロピレン樹脂に無機充填剤を添加し、延伸成形により製造された合成紙ユポ(登録商標)、ポリオレフィンにシリカおよび溶剤可溶性成分を配合して成形した後に溶剤によって前記可溶性成分を除去して製造された合成紙テスリン(登録商標)、ポリオレフィンに多量の無機充填剤を添加し、インフレーション成形により製造されたストーンペーパー(登録商標)等を挙げることができる。
【0030】
基部110は、包装体100の底部を構成する部位であり、後述するフラップ部130を連設する部位である。本実施形態の基部110は、五角形状(多角形状)であり、この五角形状を構成する5つの辺のそれぞれが折目線111となっている。これにより、単一のシートS1から基部110およびフラップ部130を形成することができ、当該包装体100を容易に形成することができる。なお、折目線111となる基部110の各辺の長さは、内部に収納可能な物品bの大きさによって異なるが、通常10〜100cmの範囲であることが好ましい。
【0031】
フラップ部130は、基部110に5つの折目線111を介して連設され、各折目線111にて基部110に向かって折り返し可能な部位である。上記折目線111は、所定形状の線であってもよく、仮想線であってもよい。上記所定形状の折目線としては、例えば、シートS1の肉厚よりも薄肉に形成した直線状の凹部若しくは溝部、またはミシン目などで形成されたもの等が挙げられる。このような折目線とすることで、シートS1を所定の形状に容易に折り曲げることができる。各折目線111に沿ってこれらのフラップ部130を折ると、基部110と5つのフラップ部130との間に物品bを収納する空間が形成される。また、フラップ部130を折った状態では、5つのフラップ部130が略同一領域R1から略放射状に伸びるように配置される。
【0032】
包装体100に収納される物品bとしては特に限定されないが、本実施形態のような基部110が五角形状である場合、物品bが絵馬であることが好ましい。このように、基部110の多角形状が五角形状であり、物品bが絵馬であることで、願掛けをする際に趣を出すことができる。ここで、絵馬の材質は特に限定されず、木材であってもよく、紙やフィルム等のシートであってもよい。
【0033】
各フラップ部130は、各折目線111から離れた位置に係合片131(係合部)を有している。係合片131の形状は、フラップ部130どうしが係合することができる限り特に限定されず、例えば、鉤状部を有する形状、切り欠き部を有する形状等を採用することができる。本実施形態では、図1および図8に示すように、上記形状のうちの鉤状部131aを有する形状が採用されており、異なるフラップ部130の係合片131における鉤状部131aが相互に絡み合うことで、フラップ部130どうしが係合される。
【0034】
また、5つの係合片131のうちの少なくとも一部の係合片131が着色されている(不図示)。着色されている係合片131は、図2に示す5つの係合片131のうちの一部の係合片131(例えば、5つの係合片131のうちの3つの係合片131など)のみであってもよく、5つ全ての係合片131であってもよい。なお、着色された係合片131の配置としては適宜選択することができる。このように、少なくとも一部の係合片131が着色されていることで、係合片131どうしが係合したときに着色部分が新たな美観を生み出すことができる。
【0035】
また、各係合片131の少なくとも一部が着色されている(不図示)。各係合片131における着色部位は、係合片131の一部であってもよく、係合片131全体であってもよい。このように、各係合片131の少なくとも一部が着色されていることで、係合片131どうしが係合したときに着色部分が新たな美観を生み出すことができる。たとえば、5つ全ての係合片131が花弁状の鉤状部を有し、かつ該鉤状部のみ着色されている場合、5つの係合片131全てが係合した時、5つの鉤状部が5弁の花の美観を生み出すことができる。
【0036】
係合片131の形状は、いずれも同一であることが好ましい。本実施形態では、各係合片131の形状はいずれも鉤状であり、全ての係合片131の形状が同一となるように形成されている。このように、係合片131の形状がいずれも同一であることで、均整のとれた優れた美観を呈することができると共に、フラップ部130どうしを安定して係合することができ、包装体100をより確実に封緘することができる。
【0037】
また、係合片131の質量と当該係合片131が属するフラップ部130の質量との比(以下、「質量比」ともいう)は、1/100以上1/5以下であることが好ましい。これにより、フラップ部130どうしをより安定して係合することができ、包装体100をさらに確実に封緘することができる。これは、上記質量比であることで、係合片131の定在性(一定の位置に留まろうとする性質)および耐屈曲性を両立できるためであると推察される。
【0038】
ここで、上記質量比としては、係合片131の定在性を向上させる観点から、1/70以上であることがより好ましく、1/50以上であることがさらに好ましく、1/30以上であることがさらに一層好ましく、係合片131の耐屈曲性を向上させる観点から、1/7以下であることがより好ましく、1/10以下であることがさらに好ましく、1/20以下であることがさらに一層好ましい。なお、物品bが絵馬である場合、基部110を構成する五角形の各辺の長さが異なるため、各フラップ部130のすべての上記質量比が同一である必要はない。
【0039】
上述した5つのフラップ部130の係合片131は、平面視で略同一領域R1内において相互に係合する。係合片131どうしの係合部位k(図8参照)は、略同一領域R1内に存する限り特に限定されない。すなわち、係合部位kは、全ての係合片131が同じ箇所で係合するような一箇所のみに存在(不図示)していてもよく、互いに異なる二箇所以上に存在(図9参照)していてもよい。
【0040】
また、フラップ部130は、略同一領域R1から略放射状に折り目140が形成されている。具体的には、折り目140は、フラップ部130の基部110と係合片131とを結ぶ両端部のうちの一端部において、略同一領域R1から多角形状の各頂点に向かうように形成されており、折り目140を境界として上記一端部が基部110から離間する方向に屈曲している。このように、折り目140が略同一領域R1から略放射状に形成されていることで、フラップ部130および折り目140の略放射状の形状が相俟って、より調和のとれた優れた美観を呈することができる。ここで、各フラップ部は全体が着色されていてもよく、一部が着色されていてもよい。また、各フラップ部は半透明であってもよい。例えば、各フラップ部が半透明である場合、折り目140を境界として上記一端部が隣り合うフラップ部と重なり合うことで、新たな美観を呈することができる。
【0041】
ここで、包装体100の重心Gの位置は特に限定されないが、図3に示すように、平面視で略同一領域R1内に存在していることが好ましい。このように、包装体100の重心Gの位置が略同一領域R1内に存在することで、係合片131どうしが係合したときの内部応力により包装体100の形状が歪むのを効果的に抑制することができる。また、包装体100の重心が略同一領域R1内に存在する場合において、略同一領域R1は基部110と相似形であるか、または略同一領域R1の面積が所定値以下であることがより好ましく、略同一領域R1が基部110と相似形であり、かつ略同一領域R1の面積が所定値以下であることがさらに好ましい。これにより、包装体100の形状が歪むのをより効果的に抑制することができる。なお、上記所定値は、基部110の面積の1/50であり、好ましくは1/100、より好ましくは1/200である。
【0042】
次に、当該包装体100の形成方法について説明する。包装体100を形成するに際し、例えば、図2に示すシートS1を用いる。このシートS1は、上述したように、五角形状の基部110と、5つのフラップ部130とを備えている。また、上記各フラップ部130は、鉤状の係合片131を有している。
【0043】
このようなシートS1を用い、まず、各折目線111に沿って5つのフラップ部130を基部110側に折り返して内部に物品b(例えば、絵馬など)を収納する空間を形成する。次いで、各フラップ部130の係合片131どうしを相互に係合して上記空間を閉塞する。これら一連の操作により、5つのフラップ部130が放射状に伸びるように配置された包装体100が形成される(図1参照)。
【0044】
以上のように、当該包装体100は、シートS1を折ることで形成され、シートS1が基部110とフラップ部130とを備え、係合片131が平面視で略同一領域R1内において相互に係合し、かつ5つのフラップ部130が略同一領域R1から略放射状に伸びるように配置されるので、調和のとれた優れた美観を呈することができる。
【0045】
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施形態に係る包装体の概略平面図である。当該包装体200は、図4および図5に示すように、概略的に、基部210と、壁部220と、フラップ部230とにより構成されている。第2の実施形態は、包装体200が壁部220を備え、基部210と壁部220との間に第1折目線211、壁部220とフラップ部230との間に第2折目線221がそれぞれ介在している点で第1の実施形態と異なっている。なお、当該包装体200における上記壁部220以外の構成は、上述した第1の実施形態のものと同様であるため、壁部220以外の構成ついては第1の実施形態の説明を援用して省略する。
【0046】
壁部220は、基部210に5つの第1折目線211を介して連設され、各第1折目線211にて折り曲げ可能な部位である。この壁部220は、基部210とフラップ部230との間に介在して物品bを収納する空間を拡張する。この壁部220は、折込片222を有している。なお、フラップ部230は、各壁部220の基部210と反対側に第2折目線221を介して連設されている。
【0047】
ここで、シートS2を折り曲げて第2の実施形態の包装体を組み立てたとき、包装体のゆがみを少なくする観点から、各々の壁部220における第1折目線211および第2折目線221とは平行であることが好ましい。ただし、立体感をより強調するための美観を呈するように、第1折目線211と第2折目線221とが平行にならないように形成されていてもよい。
【0048】
壁部220の高さ(第1折目線211と第2折目線221とが平行である場合、その間の距離)は、内部に収容する物品bの大きさによっても異なるが、通常0.1mm〜30cmの範囲である。この中で、壁部220の高さが0.1〜2mmの範囲であれば、物品bとしての紙やシートを1枚または複数枚収容するのに適した容器を与える。
【0049】
次に、当該包装体200の形成方法について説明する。包装体200を形成するに際し、例えば、図5に示すシートS2を用いる。このシートS2は、五角形状の基部210と、5つの壁部220と、5つのフラップ部230とを備えている。また、上記壁部220は折込片222を有し、上記各フラップ部230は係合片231を有している。
【0050】
このようなシートS2を用い、まず、各第1折目線211に沿って5つの壁部220を折った後、折込片222を内側に折り込みながら、各第2折目線221に沿って5つのフラップ部230を基部210側に折り返して内部に物品bを収納する空間を形成する。次いで、各フラップ部230の係合片231どうしを相互に係合して上記空間を閉塞する。これら一連の操作により、5つのフラップ部230が放射状に伸びるように配置された包装体200が形成される(図4(a)参照)。
【0051】
以上のように、当該包装体200は、シートS2を折ることで形成され、シートS2が基部210と壁部220とフラップ部230とを備え、係合片231が平面視で略同一領域R1内において相互に係合し、かつ5つのフラップ部230が略同一領域R1から略放射状に伸びるように配置されるので、調和のとれた優れた美観を呈することができる。また、折込片222の反発力によって壁部220が倒れることなく基部210に対し略垂直の角度で固定することができる。
【0052】
[第3の実施形態]
図6は、本発明の第3の実施形態に係る包装体の概略平面図である。当該包装体300は、図6および図7に示すように、概略的に、基部310と、壁部320と、フラップ部330とにより構成されている。第3の実施形態は、フラップ部330の構成が第2の実施形態とは異なっている。なお、当該包装体300におけるフラップ部330以外の構成は、上述した第2の実施形態のものと同様であるため、フラップ部330以外の構成ついては第2の実施形態の説明を援用して省略する。
【0053】
各フラップ部330は、各壁部320から離れた位置に2つの係合片331(係合部)を有している。具体的には、フラップ部330は、図7に示すような略台形状に形成され、この略台形状の第2折目線321と反対側の辺の端部それぞれに1つの係合片331(3311、3312)が設けられている。これらの係合片3311、3312は隣り合う2つのフラップ部330どうしを係合する際に用いられる。すなわち、隣り合う2つのフラップ部330の係合片3311、3312どうしを係合することができ、これら係合片3311、3312の係合により空間に物品bを出入可能な開口350が形成される。また、5つのフラップ部330は、開口350から略放射状に伸びるように配置されている。
【0054】
次に、当該包装体300の形成方法について説明する。包装体300を形成するに際し、例えば、図7に示すシートS3を用いる。このシートS3は、五角形状の基部310と、5つの壁部320と、5つのフラップ部330とを備えている。また、上記壁部320は折込片322を有し、上記各フラップ部330は、2つの係合片3311、3312を有している。
【0055】
このようなシートS3を用い、まず、各第1折目線311に沿って5つの壁部320を折った後、折込片322を内側に折り込みながら各第2折目線321に沿って5つのフラップ部330を基部310側に折り返して内部に物品bを収納する空間を形成する。次いで、隣り合う2つのフラップ部330の係合片3311、3312どうしを係合する。この係合片3311、3312の係合により上記空間に物品bを出入可能な開口350が形成される。
【0056】
以上のように、当該包装体300は、5つのフラップ部330が開口350から略放射状に伸びるように配置されるので、調和のとれた優れた美観を呈することができると共に、上記係合片331の係合により空間に物品bを出入可能な開口350が形成される。また、折込片322の反発力によって壁部320が倒れることなく基部310に対し略垂直の角度で固定される。したがって、上記係合片331の係合を解かずに(係合しているフラップ部を外すことなく)開口350を介して物品bを簡便に出し入れすることができる。
【0057】
なお、本発明の包装体は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0058】
例えば、上述した実施形態では、基部110、210、310を構成する辺のそれぞれが折目線111または第1折目線211、311となる包装体100、200、300について説明したが、例えば、少なくとも一部のフラップ部が基部の面(端縁を除く)上に折目線を介して貼着等により連設されているものであってもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、基部110、210、310が五角形状である包装体100、200、300について説明したが、基部が五角形状以外の多角形状、円形状若しくは楕円形状、または線分と弧とを組み合わせた形状であってもよい。
【0060】
また、上述した実施形態では、フラップ部130、230が略同一領域R1から略放射状に伸びるように配置される包装体100、200、およびフラップ部330が開口350から略放射状に伸びるように配置される包装体300について説明したが、フラップ部が略扇状に伸びるように配置される包装体(不図示)であってもよい。
【0061】
また、上述した第1および第2の実施形態では、略同一領域R1から略放射状に折り目140、240が形成されているフラップ部130、230を備えている包装体100、200について説明したが、上述のような折り目140、240を有していない包装体であってもよい。
【0062】
また、上述した実施形態では、複数の係合片131、231、331のうちの少なくとも一部の係合片131、231、331が着色されている包装体100、200、300について説明したが、いずれの係合片も着色されていない包装体も本発明の意図する範囲内である。
【0063】
また、上述した実施形態では、各係合片131、231、331の少なくとも一部が着色されている包装体100、200、300について説明したが、各係合片が全体に亘って着色されていない包装体も本発明の意図する範囲内である。
【0064】
また、上述した第3の実施形態では、係合部が全て係合片である包装体について説明したが、係合部として係合片と切れ目とを併有する包装体であってもよい。このような包装体としては、例えば、1つのフラップ部に係合片と係合片を差し込んで係止可能な切れ目とを有する包装体、隣り合う2つのフラップ部の一方が2つの係合片を有し、他方が上記係合片に差し込み可能な2つの切れ目を有する包装体等が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の包装体は、上述したように構成されているので、食品、装飾品、ドライフラワー、玩具、プレゼント類等の物品を収容するのに適している。
【符号の説明】
【0066】
b 物品(絵馬)
100、200、300 包装体
S1、S2、S3 シート
110、210、310 基部
220、320 壁部
130、230、330 フラップ部
131、231、331、3311、3312 係合片
222、322 折込片
111 折目線
211、311 第1折目線
221、321 第2折目線
350 開口
k 係合部位
R1 略同一領域
【要約】      (修正有)
【課題】調和のとれた優れた美観を呈することができる包装体を提供する。
【解決手段】本発明の包装体100は、基部と、基部に三以上の折目線111を介して連設され、各折目線111にて基部に向かって折り返し可能な三以上のフラップ部130とを備え、各フラップ部130は、各折目線111から離れた位置に係合部131を有し、各折目線111に沿って三以上のフラップ部130を折ると、基部と三以上のフラップ部130との間に物品bを収納する空間が形成されると共に、三以上のフラップ部130の係合部131が平面視で略同一領域R1内において相互に係合することができ、かつ三以上のフラップ部130が略同一領域R1から略放射状または略扇状に伸びるように配置する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9