特許第5963945号(P5963945)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963945
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】自動変速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 3/66 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   F16H3/66 Z
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-508656(P2015-508656)
(86)(22)【出願日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】JP2014058743
(87)【国際公開番号】WO2014157453
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2015年8月26日
(31)【優先権主張番号】特願2013-70468(P2013-70468)
(32)【優先日】2013年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴義
(72)【発明者】
【氏名】青木 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 博
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 伸忠
(72)【発明者】
【氏名】森本 隆
(72)【発明者】
【氏名】池 宣和
(72)【発明者】
【氏名】糟谷 悟
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 光史
(72)【発明者】
【氏名】森瀬 勝
(72)【発明者】
【氏名】大板 慎司
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−210087(JP,A)
【文献】 特開2002−206601(JP,A)
【文献】 特表2004−529297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 3/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部材に入力された動力を変速して出力部材に出力する自動変速機であって、
速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第1回転要素と第2回転要素と第3回転要素とを有する第1遊星歯車機構と、
速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第4回転要素と第5回転要素と第6回転要素とを有する第3遊星歯車機構と、
第2遊星歯車機構と第4遊星歯車機構とにより構成され、速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第7回転要素と第8回転要素と第9回転要素と第10回転要素とを有する複合遊星歯車機構と、
前記第3回転要素と前記第10回転要素とを係合すると共に、該係合を解放可能な第1クラッチと、
前記第3回転要素と前記第6回転要素とを係合すると共に、該係合を解放可能な第2クラッチと、
前記第2回転要素と前記第6回転要素とを係合すると共に、該係合を解放可能な第3クラッチと、
前記第1回転要素及び前記第4回転要素と前記第7回転要素とを係合すると共に、該係合を解放可能な第4クラッチと、
前記第10回転要素を自動変速機ケースに固定可能に係合すると共に、該係合を解放する第1ブレーキと、
前記第7回転要素を前記自動変速機ケースに固定可能に係合すると共に、該係合を解放する第2ブレーキと、を備え、
前記第1回転要素と前記第4回転要素とを常時連結し、
前記第5回転要素と前記第9回転要素とを常時連結し、
前記入力部材を前記第8回転要素に連結し、
前記出力部材を前記第2回転要素に連結した、
ことを特徴とする自動変速機。
【請求項2】
前記第1遊星歯車機構は、第1サンギヤと、第1リングギヤと、それら第1サンギヤ及び第1リングギヤに噛合する複数の第1ピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持する第1キャリヤと、を有するシングルピニオン式の遊星歯車機構であり、
前記第2遊星歯車機構は、第2サンギヤと、第2リングギヤと、それら第2サンギヤ及び第2リングギヤに噛合する複数の第2ピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持する第2キャリヤと、を有するシングルピニオン式の遊星歯車機構であり、
前記第3遊星歯車機構は、第3サンギヤと、第3リングギヤと、それら第3サンギヤ及び第3リングギヤに噛合する複数の第3ピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持する第3キャリヤと、を有するシングルピニオン式の遊星歯車機構であり、
前記第4遊星歯車機構は、第4サンギヤと、第4リングギヤと、それら第4サンギヤ及び第4リングギヤに噛合する複数の第4ピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持する第4キャリヤと、を有するシングルピニオン式の遊星歯車機構であり、
前記第1回転要素は、前記第1サンギヤであり、
前記第2回転要素は、前記第1キャリヤであり、
前記第3回転要素は、前記第1リングギヤであり、
前記第4回転要素は、前記第3サンギヤであり、
前記第5回転要素は、前記第3キャリヤであり、
前記第6回転要素は、前記第3リングギヤであり、
前記第7回転要素は、前記第4サンギヤであり、
前記第8回転要素は、常時連結された前記第4キャリヤ及び前記第2サンギヤであり、
前記第9回転要素は、常時連結された前記第4リングギヤ及び前記第2キャリヤであり、
前記第10回転要素は、前記第2リングギヤである、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機。
【請求項3】
前記第1遊星歯車機構は、第1サンギヤと、第1リングギヤと、それら第1サンギヤ及び第1リングギヤに噛合する複数の第1ピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持する第1キャリヤと、を有するシングルピニオン式の遊星歯車機構であり、
前記第2遊星歯車機構は、第2サンギヤと、第2リングギヤと、それら第2サンギヤ及び第2リングギヤに噛合する複数の第2ピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持する第2キャリヤと、を有するシングルピニオン式の遊星歯車機構であり、
前記第3遊星歯車機構は、第3サンギヤと、第3リングギヤと、それら第3サンギヤ及び第3リングギヤに噛合する複数の第3ピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持する第3キャリヤと、を有するシングルピニオン式の遊星歯車機構であり、
前記第4遊星歯車機構は、第4サンギヤと、第4リングギヤと、それら第4サンギヤ及び第4リングギヤに噛合する複数の第4ピニオンギヤを自転かつ公転自在に保持する第4キャリヤと、を有するシングルピニオン式の遊星歯車機構であり、
前記第1回転要素は、前記第1サンギヤであり、
前記第2回転要素は、前記第1キャリヤであり、
前記第3回転要素は、前記第1リングギヤであり、
前記第4回転要素は、前記第3サンギヤであり、
前記第5回転要素は、前記第3キャリヤであり、
前記第6回転要素は、前記第3リングギヤであり、
前記第7回転要素は、常時連結された前記第4サンギヤ及び前記第2サンギヤであり、
前記第8回転要素は、常時連結された前記第4キャリヤ及び前記第2キャリヤであり、
前記第9回転要素は、前記第4リングギヤであり、
前記第10回転要素は、前記第2リングギヤである、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機。
【請求項4】
前進1速段は、前記第1クラッチと、前記第3クラッチと、前記第1ブレーキとを係合すると共に、前記第2クラッチと、前記第4クラッチと、前記第2ブレーキとを解放することにより形成し、
前進2速段は、前記第2クラッチと、前記第3クラッチと、前記第1ブレーキとを係合すると共に、前記第1クラッチと、前記第4クラッチと、前記第2ブレーキとを解放することにより形成し、
前進3速段は、前記第1クラッチと、前記第2クラッチと、前記第1ブレーキとを係合すると共に、前記第3クラッチと、前記第4クラッチと、前記第2ブレーキとを解放することにより形成し、
前進4速段は、前記第2クラッチと、前記第4クラッチと、前記第1ブレーキとを係合すると共に、前記第1クラッチと、前記第3クラッチと、前記第2ブレーキとを解放することにより形成し、
前進5速段は、前記第1クラッチと、前記第4クラッチと、前記第1ブレーキとを係合すると共に、前記第2クラッチと、前記第3クラッチと、前記第2ブレーキとを解放することにより形成し、
前進6速段は、前記第1クラッチと、前記第3クラッチと、前記第4クラッチとを係合すると共に、前記第2クラッチと、前記第1ブレーキと、前記第2ブレーキとを解放することにより形成し、
前進7速段は、前記第1クラッチと、前記第4クラッチと、前記第2ブレーキとを係合すると共に、前記第2クラッチと、前記第3クラッチと、前記第1ブレーキとを解放することにより形成し、
前進8速段は、前記第2クラッチと、前記第4クラッチと、前記第2ブレーキとを係合すると共に、前記第1クラッチと、前記第3クラッチと、前記第1ブレーキとを解放することにより形成し、
前進9速段は、前記第1クラッチと、前記第2クラッチと、前記第2ブレーキとを係合すると共に、前記第3クラッチと、前記第4クラッチと、前記第1ブレーキとを解放することにより形成し、
前進10速段は、前記第2クラッチと、前記第3クラッチと、前記第2ブレーキとを係合すると共に、前記第1クラッチと、前記第4クラッチと、前記第1ブレーキとを解放することにより形成し、
前進11速段は、前記第1クラッチと、前記第3クラッチと、前記第2ブレーキとを係合すると共に、前記第2クラッチと、前記第4クラッチと、前記第1ブレーキとを解放することにより形成し、
前進12速段は、前記第3クラッチと、前記第4クラッチと、前記第2ブレーキとを係合すると共に、前記第1クラッチと、前記第2クラッチと、前記第1ブレーキとを解放することにより形成し、
後進段は、前記第3クラッチと、前記第4クラッチと、前記第1ブレーキとを係合すると共に、前記第1クラッチと、前記第2クラッチと、前記第2ブレーキとを解放することにより形成した、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の自動変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この技術は、入力部材に入力された動力を変速して出力部材に出力する自動変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車輌の燃費や加速性能向上を図るために、車輌に搭載される有段式自動変速機の多段化が進められている。従来、このような有段式の自動変速機にあって、4つの遊星歯車機構と、3つのクラッチ及びブレーキからなる6つの係合要素とによって前進12速段と後進段とを形成したものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0144486号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般に、このような自動変速機は、変速段数が多くなるほど、レシオ・スプレッド(変速比幅、以下、単にスプレッドという)を広くすることができ、最適なギヤ段への変速が可能になる。
【0005】
また、遊星歯車機構としては、シングルピニオン式の遊星歯車機構と、ダブルピニオン式の遊星歯車機構とがあるが、シングルピニオン式の遊星歯車機構は、ピニオンギヤが径方向に2列配設されるダブルピニオン式の遊星歯車機構に比べて、ピニオンギヤ同士の噛合箇所がないため、構造がシンプルでありかつ、噛み合い損失が小さい。従って、自動変速機を構成する際には、出来るだけ多くのシングルピニオン式の遊星歯車機構を使用していることが望まれる。
【0006】
更に、上記係合要素は解放されていたとしても引き摺り損失が発生する。そのため、各変速段において出来るだけ解放される係合要素の数が少ないと共に、使用頻度の高い変速段において引き摺り損失の大きな係合要素が係合されていることが望ましい。
【0007】
上述した特許文献1は、4つの遊星歯車機構と6つの係合要素とによって、前進12速段の自動変速機を構成しているが、これら4つの遊星歯車機構と6つの係合要素とによって構成可能な自動変速機のパターンは無数に存在し、その中から上述したような自動変速機として望ましい機能を出来るだけ多く持った自動変速機を案出することは、非常に困難である。
【0008】
そこで、4つの遊星歯車機構と6つの係合要素とを用いて、前進12速段及び後進1速段を達成可能な新たな自動変速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本自動変速機(1,1)は(例えば図1乃至図5参照)、入力部材(12)に入力された動力を変速して出力部材(13)に出力する自動変速機(1,1)であって、
速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第1回転要素(S1)と第2回転要素(CR1)と第3回転要素(R1)とを有する第1遊星歯車機構(PM1)と、
速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第4回転要素(S3)と第5回転要素(CR3)と第6回転要素(R3)とを有する第3遊星歯車機構(PM3)と、
第2遊星歯車機構(PM2)と第4遊星歯車機構(PM4)とにより構成され、速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第7回転要素(S4)と第8回転要素(CR4,S2)と第9回転要素(R4,CR2)と第10回転要素(R2)とを有する複合遊星歯車機構(PS)と、
前記第3回転要素(R1)と前記第10回転要素(R2)とを係合すると共に、該係合を解放可能な第1クラッチ(C1)と、
前記第3回転要素(R1)と前記第6回転要素(R3)とを係合すると共に、該係合を解放可能な第2クラッチ(C2)と、
前記第2回転要素(CR1)と前記第6回転要素(R3)とを係合すると共に、該係合を解放可能な第3クラッチ(C3)と、
前記第1回転要素(S1)及び前記第4回転要素(S3)と前記第7回転要素(S4)とを係合すると共に、該係合を解放可能な第4クラッチ(C4)と、
前記第10回転要素(R2)を自動変速機ケース(17)に固定可能に係合すると共に、該係合を解放する第1ブレーキ(B1)と、
前記第7回転要素(S4)を前記自動変速機ケース(17)に固定可能に係合すると共に、該係合を解放する第2ブレーキ(B2)と、を備え、
前記第1回転要素(S1)と前記第4回転要素(S3)とを常時連結し、
前記第5回転要素(CR3)と前記第9回転要素(R4,CR2)とを常時連結し、
前記入力部材(12)を前記第8回転要素(CR4,S2)に連結し、
前記出力部材(13)を前記第2回転要素(CR1)に連結した、
ことを特徴とする。
【0010】
このように自動変速機を構成することによって、4つの遊星歯車機構と、4つのクラッチと、2つのブレーキとを用いて、前進12速段及び後進1速段を達成することが可能になる。これにより、最低変速段から最高変速段までのギヤのスプレッドが広くなり、車輌の加速性能及び燃費性能を向上させることができる。
【0011】
また、上記6つの係合要素の内、3要素を係合、残りの3要素を解放して、各変速段を形成することになるため、変速段を構成した際に解放される係合要素が比較的少なく、これら解放された係合要素による引き摺り損失を低減して自動変速機の伝達効率を向上することができる。
【0012】
更に、上記自動変速機は、例えば、4つの遊星歯車機構をシングルピニオン式の遊星歯車機構とすることが可能な構成となり、このシングルピニオン式の遊星歯車機構を採用することによって、ギヤの噛み合い損失を低減して自動変速機の伝達効率を向上させることができ、かつ、部品点数を少なくして自動変速機の組み立て工数及びコストを低減することができる。
【0013】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施の形態に係る自動変速機を示すスケルトン図。
図2】第1の実施の形態に係る自動変速機の係合表。
図3】第1の実施の形態に係る自動変速機の速度線図。
図4】第2の実施の形態に係る自動変速機を示すスケルトン図。
図5】第2の実施の形態に係る自動変速機の速度線図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施の形態>
以下、第1の実施の形態に係る自動変速機1図1乃至図3に沿って説明する。まず、本自動変速機1の概略構成について図1に沿って説明する。図1に示すように、例えばFFタイプ(フロントエンジン・フロントドライブ)の車輌100に用いて好適な自動変速機1は、内燃エンジン(駆動源)2に接続し得る自動変速機1の入力軸11を有しており、該入力軸11の軸方向を中心としてトルクコンバータなどの発進装置4と、変速機構5とを備えている。
【0016】
変速機構5は、4つのシングルピニオン式の遊星歯車機構PM1〜PM4と、4つのクラッチC1,C2,C3,C4と、2つのブレーキB1,B2と、を備えており、内燃エンジン2からの動力が上記発進装置4に駆動連結される入力軸(入力部材)12を介して入力されると共に、この入力された動力を変速して第1遊星歯車機構PM1と第2ブレーキB2との間の出力部材としての出力軸13及びカウンタギヤ41から出力する有段式変速機構となっている。出力軸(出力部材)13から出力された動力は、カウンタギヤ41を介してカウンタ軸42へと出力され、このカウンタ軸42に出力された動力は、ディファレンシャル装置43を介して駆動車輪へと伝達される。
【0017】
図1に示すように、上述した遊星歯車機構PM1〜PM4は、車輌の前方側となる図中左側から車輌の後方側となる図中右側に向かって、上記入力軸12上において、第2遊星歯車機構PM2、第4遊星歯車機構PM4、第3遊星歯車機構PM3、第1遊星歯車機構PM1の順に並んで配置されており、このうちの第2遊星歯車機構PM2及び第4遊星歯車機構PM4は、それぞれの回転要素のうちの2つが互いに常時連結されて、4つの回転要素として構成された複合遊星歯車機構PSを構成している。
【0018】
第1遊星歯車機構PM1は、第1サンギヤS1(第1回転要素)、第1キャリヤCR1(第2回転要素)及び第1リングギヤR1(第3回転要素)を備えており、該第1キャリヤCR1が、第1サンギヤS1及び第1リングギヤR1に噛合する1つのピニオンギヤP1(第1ピニオンギヤ)を周方向に複数配設して、自転かつ公転自在に保持するように有しているシングルピニオン式の遊星歯車機構である。
【0019】
上記第1遊星歯車機構PM1は、シングルピニオン式であるため、3つの回転要素である第1サンギヤS1、第1リングギヤR1、第1キャリヤCR1は、速度線図(図3参照)におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に示すと、第1サンギヤS1、第1キャリヤCR1、第1リングギヤR1の順となる。第1遊星歯車機構PM1のギヤ比λ(第1サンギヤS1の歯数/第1リングギヤR1の歯数)は、例えば、0.45に設定されている。
【0020】
第3遊星歯車機構PM3も、第1遊星歯車機構PM1と同様に、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されており、3つの回転要素として、第3サンギヤS3(第4回転要素)と、第3リングギヤR3(第6回転要素)と、複数のピニオンギヤP3(第3ピニオンギヤ)を連結して自転かつ公転自在に保持する第3キャリヤCR3(第5回転要素)とを備えている。この第3遊星歯車機構PM3の3つの回転要素である第3サンギヤS3、第3リングギヤR3、第3キャリヤCR3は、速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に示すと、第3サンギヤS3、第3キャリヤCR3、第3リングギヤR3となる。第3遊星歯車機構PM3のギヤ比λ(第3サンギヤS3の歯数/第3リングギヤR3の歯数)は、例えば、0.3に設定されている。
【0021】
第2遊星歯車機構PM2も、第1及び第3遊星歯車機構PM1,PM3と同様に、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されており、3つの回転要素として、第2サンギヤS2(第8回転要素)と、第2リングギヤR2(第10回転要素)と、複数のピニオンギヤP2(第2ピニオンギヤ)を連結して自転かつ公転自在に保持する第2キャリヤCR2(第9回転要素)とを備えている。また、第4遊星歯車機構PM4も、第1乃至第3遊星歯車機構PM1〜PM3と同様に、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されており、3つの回転要素として、第4サンギヤS4(第7回転要素)と、第4リングギヤR4(第9回転要素)と、複数のピニオンギヤP4(第4ピニオンギヤ)を連結して自転かつ公転自在に保持する第4キャリヤCR4(第8回転要素)とを備えている。そして、第2遊星歯車機構PM2及び第4遊星歯車機構PM4においては、第2サンギヤS2と第4キャリヤCR4とが常時連結され、かつ第2キャリヤCR2と第4リングギヤR4とが常時連結され、第4サンギヤS4、第2サンギヤS2及び第4キャリヤCR4、第2キャリヤCR2及び第4リングギヤR4、第2リングギヤR2、の4つの回転要素で構成された複合遊星歯車機構PSを構成している。
【0022】
この第2遊星歯車機構PM2の3つの回転要素である第2サンギヤS2、第2リングギヤR2、第2キャリヤCR2は、速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に示すと、第2サンギヤS2、第2キャリヤCR2、第2リングギヤR2の順となり、第4遊星歯車機構PM4の3つの回転要素である第4サンギヤS4、第4リングギヤR4、第4キャリヤCR4は、速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に示すと、第4サンギヤS4、第4キャリヤCR4、第4リングギヤR4となる。第2遊星歯車機構PM2のギヤ比λ(第2サンギヤS2の歯数/第2リングギヤR2の歯数)は、例えば、0.5に設定されており、第4遊星歯車機構PM4のギヤ比λ(第4サンギヤS4の歯数/第4リングギヤR4の歯数)は、例えば、0.45に設定されている。なお、図3における速度線図では、第2遊星歯車機構PM2及び第4遊星歯車機構PM4のそれぞれ3つの回転要素のうちの、第2サンギヤS2及び第4キャリヤCR4と、第2キャリヤCR2及び第4リングギヤR4とが常時連結されて同回転となるので、4つの回転要素に対応して示している。
【0023】
また、上記第1サンギヤS1と第3サンギヤS3とは第1連結要素31によって連結されており、第2キャリヤCR2と第3キャリヤCR3と第4リングギヤR4とは第2連結要素32によって連結されている。第2サンギヤS2と第4キャリヤCR4とは第3連結要素33によって連結されており、この第3連結要素33は入力軸12が連結されて、内燃エンジン2からの回転が入力されるようになっている。更に、第1キャリヤCR1は出力軸13と連結されている。
【0024】
加えて、第1クラッチC1は、上述した第1リングギヤR1と第2リングギヤR2とを係合すると共に、該係合を解放可能に構成されている。即ち、第1クラッチC1を係合することによって、第1リングギヤR1と第2リングギヤR2が連結され、第1クラッチC1を解放することにより、この連結が解除される。
【0025】
第2クラッチC2は、第1リングギヤR1と第3リングギヤR3とを係合すると共に、該係合を解放可能に構成されている。即ち、第2クラッチC2を係合することによって、第1リングギヤR1と第3リングギヤR3が連結され、第2クラッチC2を解放することにより、この連結が解除される。
【0026】
第3クラッチC3は、第1キャリヤCR1と第3リングギヤR3とを係合すると共に、該係合を解放可能に構成されている。即ち、第3クラッチC3を係合することによって、第1キャリヤCR1と第3リングギヤR3が連結され、第3クラッチC3を解放することにより、この連結が解除される。
【0027】
第4クラッチC4は、第1連結要素31(即ち、第1サンギヤS1及び第3サンギヤS3)と第4サンギヤS4とを係合すると共に、該係合を解放可能に構成されている。即ち、第4クラッチC4を係合することによって、第1連結要素31と第4サンギヤS4が連結され、第4クラッチC4を解放することにより、この連結が解除される。
【0028】
第1ブレーキB1は、第2リングギヤR2を自動変速機ケース17に固定可能に係合すると共に該係合を解放可能に構成されている。即ち、第1ブレーキB1が係合されることによって、第2リングギヤR2は自動変速機ケース17に固定され、第1ブレーキB1を解放することによって第2リングギヤR2は回転可能となる。
【0029】
第2ブレーキB2は、第4サンギヤS4を自動変速機ケース17に固定可能に係合すると共に該係合を解放可能に構成されている。即ち、第2ブレーキB2が係合されることによって、第4サンギヤS4は自動変速機ケース17に固定され、第2ブレーキB2を解放することによって第4サンギヤS4は回転可能となる。
【0030】
このように構成された変速機構5は、4つのクラッチC1〜C4及び2つのブレーキB1,B2の係合と解放の組み合わせにより前進1速段〜12速段と後進段とに切換えることができる。以下、この変速機構5の作用について、図1乃至図3に沿って説明をする。
【0031】
なお、図3に示す速度線図において、縦軸はそれぞれの回転要素(各ギヤ)の回転数を示し、横軸はそれら回転要素のギヤ比に対応して示している。この図3においては、左から順に第1遊星歯車機構PM1の速度線図、第3遊星歯車機構PM3の速度線図、第2遊星歯車機構PM2及び第4遊星歯車機構PM4(複合遊星歯車機構PS)の速度線図が示されており、いずれの遊星歯車機構の速度線図も左からサンギヤ、キャリヤ、リングギヤの順で並んでいる。
【0032】
例えばD(ドライブ)レンジであって、前進1速段(1st)では、図2に示すように、第1及び第3クラッチC1,C3、第1ブレーキB1が係合され、第2及び第4クラッチC2,C4、第2ブレーキB2が解放される。すると、図1及び図3に示すように、第1ブレーキB1により第2リングギヤR2が固定されるため、第2サンギヤS2に入力された入力回転は、減速されて第2キャリヤCR2に出力され、第2連結要素32を介して第3キャリヤCR3に入力される。また、この時、第1クラッチC1が係合されることにより、第1ブレーキB1によって第1リングギヤR1も固定され、かつ第3クラッチC3により第3リングギヤR3と第1キャリヤCR1が連結される。加えて、第3サンギヤS3と第1サンギヤS1とが第1連結要素31によって連結されているため、第3キャリヤCR3に入力された回転は、これら第3及び第1遊星歯車機構PM3,PM1により減速されて、第1キャリヤCR1から出力される。これにより、前進1速段としてギヤ比が4.538となるように出力軸13が回転する。
【0033】
前進2速段(2nd)では、第2及び第3クラッチC2,C3、第1ブレーキB1が係合され、第1,第4クラッチC1,C4、第2ブレーキB2が解放される。すると、前進1速段の際と同様にブレーキB1により第2リングギヤR2が固定されるため、第2サンギヤS2に入力された入力回転は、減速されて第2キャリヤCR2に出力され、第2連結要素32を介して第3キャリヤCR3に入力される。この時、第2及び第3クラッチC2,C3のいずれもが係合しているため、第1遊星歯車機構PM1は直結状態となっていると共に、第1サンギヤS1と第3サンギヤS3が連結されているため、第3キャリヤCR3に入力された回転は、第3リングギヤR3から減速して出力され、そのまま第1キャリヤCR1に出力されて、第1キャリヤCR1は前進1速段よりは高い回転数で回転する。これにより、前進2速段としてギヤ比が3.000となるように出力軸13が回転する。
【0034】
前進3速段(3rd)では、第1及び第2クラッチC1,C2、第1ブレーキB1が係合され、第3及び第4クラッチC3,C4、第2ブレーキB2が解放される。すると、第1ブレーキB1により第2リングギヤR2が固定されると共に、第1及び第2クラッチC1,C2が係合されることによって、第1ブレーキB1により第1リングギヤR1及び第3リングギヤR3も固定される。このため、第2サンギヤS2の入力回転は、減速されて第2キャリヤCR2から第3キャリヤCR3に出力される。そして、この第3キャリヤCR3の回転は、第3サンギヤS3から増速されて第1サンギヤS1に出力される。第1リングギヤR1は上述したように固定されているため、この第1サンギヤS1は減速されて第1キャリヤCR1から出力される。この第1キャリヤCR1は、前進2速段よりは高い回転数で減速回転し、これにより、前進3速段としてギヤ比が2.231となるように出力軸13が回転する。
【0035】
前進4速段(4th)では、第2及び第4クラッチC2,C4、第1ブレーキB1が係合され、第1及び第3クラッチC1,C3、第2ブレーキB2が解放される。すると、第1ブレーキB1によって第2リングギヤR2は固定されると共に、第4クラッチC4が係合されるため第4サンギヤS4と第1連結要素(即ち、第1及び第3サンギヤS1,S3)31とが連結される。このため、第2サンギヤS2に入力された入力回転は、減速されて第2キャリヤCR2を介して第2連結要素32に出力されると共に、第4キャリヤCR4に入力された入力回転も、減速されて同様に第4リングギヤR4から第2連結要素32に出力される。また、第1及び第3サンギヤS1,S3が増速される第4サンギヤS4と同回転する。このため、上記第2連結要素32を介して第3キャリヤCR3に出力された減速回転は、第3リングギヤR3から僅かに減速された逆回転として出力され、第2クラッチC2を介して第1リングギヤR1に出力される。すると、第1キャリヤCR1が前進3速段よりも僅かに高い回転数で回転し、前進4速段としてギヤ比が1.800となるように出力軸13が回転する。
【0036】
前進5速段(5th)では、第1及び第4クラッチC1,C4、第1ブレーキB1が係合され、第2及び第3クラッチC2,C3、第2ブレーキB2が解放される。すると、前進4速段の場合と同様に、第1ブレーキB1によって第2リングギヤR2は固定されると共に、第4クラッチC4が係合されるため第4サンギヤS4と第1連結要素(即ち、第1及び第3サンギヤS1,S3)31とが連結される。このため、第2サンギヤS2に入力された入力回転は、減速されて第2キャリヤCR2を介して第2連結要素32に出力されると共に、第4キャリヤCR4に入力された入力回転も、減速されて同様に第4リングギヤR4から第2連結要素32に出力される。また、第1及び第3サンギヤS1,S3が増速される第4サンギヤS4と同回転する。この時、第1クラッチC1を介して第1リングギヤR1が第1ブレーキB1により固定されているため、上記第1サンギヤS1に増速回転が入力されると、減速されて第1キャリヤCR1は前進4速段よりも僅かに高い回転数で回転し、前進5速段としてギヤ比が1.299となるように出力軸13が回転する。
【0037】
前進6速段(6th)では、第1、第3及び第4クラッチC1,C3,C4が係合され、第2クラッチC2、第1及び第2ブレーキB1,B2が解放される。すると、第1クラッチC1により第1リングギヤR1と第2リングギヤR2が、第3クラッチC3により第1キャリヤCR1と第3リングギヤR3が、第4クラッチC4により第1及び第3サンギヤS1,S3と第4サンギヤS4が連結される。これにより、第1乃至第4遊星歯車機構PM1〜PM4が直結状態となり、第2サンギヤS2及び第4キャリヤCR4から入力された入力回転は、第1キャリヤCR1からそのまま出力され、これにより、前進6速段としてギヤ比が1.000となるように出力軸13が回転する。
【0038】
前進7速段(7th)では、第1及び第4クラッチC1,C4、第2ブレーキB2が係合され、第2及び第3クラッチC2,C3、第1ブレーキB1が解放される。すると、第2ブレーキB2及び第4クラッチC4が係合しているため、第4サンギヤS4が固定されると共に第1サンギヤS1も固定される。このため、第4キャリヤCR4の入力回転は、第4リングギヤR4を介して増速されて第2キャリヤCR2に入力される。また、第2サンギヤS2にも入力回転が入力されているため、第2リングギヤR2は、これら第2サンギヤS2及び第2キャリヤCR2に対して増速して回転する。この時、第1クラッチC1が係合されているため、この第2リングギヤR2の増速回転は、第1リングギヤR1に出力される。第1サンギヤS1は第2ブレーキB2により固定されているため、第1キャリヤCR1の回転は、第2キャリヤCR2よりも少し減速された増速回転となる。これにより、前進7速段としてギヤ比が0.866となるように出力軸13が回転する。
【0039】
前進8速段(8th)では、第2及び第4クラッチC2,C4、第2ブレーキB2が係合され、第1及び第3クラッチC1,C3、第1ブレーキB1が解放される。すると、第2ブレーキB2及び第4クラッチC4が係合しているため、第4サンギヤS4が固定されると共に第1及び第3サンギヤS1,S3も固定される。このため、第4キャリヤCR4の入力回転は、第4リングギヤR4を介して増速されて第3キャリヤCR3に入力される。第3サンギヤS3は固定されているため、この第3キャリヤCR3に入力された回転は、第3リングギヤR3及び第2クラッチC2を介して第1リングギヤR1に出力される。すると、第1サンギヤS1が固定されているため、第1キャリヤCR1は前進7速段時より速い回転速度で回転し、これにより、前進8速段としてギヤ比が0.769となるように出力軸13が回転する。
【0040】
前進9速段(9th)では、第1及び第2クラッチC1,C2、第2ブレーキB2が係合され、第3及び第4クラッチC3,C4、第1ブレーキB1が解放される。すると、第2ブレーキB2により第4サンギヤS4が固定されているため、第4キャリヤCR4の入力回転は、第4リングギヤR4を介して増速されて第2連結要素32(即ち、第2キャリヤCR2及び第3キャリヤCR3)に入力される。また、第2サンギヤS2にも第4キャリヤCR4と同様に入力回転が入力されているため、第2リングギヤR2は、第2サンギヤS2及び第2キャリヤCR2に対して増速され、その回転を、第1クラッチC1を介して第1リングギヤR1及び第1及び第2クラッチC1,C2を介して第3リングギヤR3に出力する。すると、第3キャリヤCR3及び第3リングギヤR3の入力回転により、第3サンギヤS3は逆転減速し、これにより第1サンギヤS1の回転が決定される。これら第1リングギヤR1及び第1サンギヤS1からの入力回転により、第1キャリヤCR1は、前進8速段時より速い回転速度で回転し、これにより、前進9速段としてギヤ比が0.729となるように出力軸13が回転する。
【0041】
前進10速段(10th)では、第2及び第3クラッチC2,C3、第2ブレーキB2が係合され、第1及び第4クラッチC1,C4、第1ブレーキB1が解放される。すると、第2ブレーキB2により第4サンギヤS4が固定されているため、第4キャリヤCR4からの入力回転は増速され、第4リングギヤR4を介して第3キャリヤCR3に出力される。この時、第2及び第3クラッチC2,C3が係合されているため、第1及び第3遊星歯車機構PM1,PM3は直結状態となり、第3キャリヤCR3の増速回転は、第1キャリヤCR1からそのまま出力され、これにより、前進10速段としてのギヤ比が0.690となるように出力軸13が回転する。
【0042】
前進11速段(11th)では、第1及び第3クラッチC1,C3、第2ブレーキB2が係合され、第2及び第4クラッチC2,C4、第1ブレーキB1が解放される。すると、第4キャリヤCR4の入力回転は、第4サンギヤS4が固定されているため、第4リングギヤR4から第2連結要素32を介して第2キャリヤCR2及び第3キャリヤCR3に出力される。また、第2サンギヤS2にも入力回転が入力されているため、第2リングギヤR2は、これら第2サンギヤS2及び第2キャリヤCR2に対して増速して回転する。この時、第1クラッチC1が係合されているため、この第2リングギヤR2の増速回転は、第1リングギヤR1に出力される。第3クラッチC3を介して第3リングギヤR3と第1キャリヤCR1が連結されていると共に、第1連結要素31により第1サンギヤS1と第3サンギヤS3とが連結しているため、上記第1リングギヤR1及び第3キャリヤCR3に増速回転が入力されると、各回転要素の回転が決まり、第1キャリヤCR1は、前進10速段の際よりも速い回転速度で回転する。これにより、前進11速段としてギヤ比が0.655となるように出力軸13が回転する。
【0043】
前進12速段(12th)では、第3及び第4クラッチC3,C4、第2ブレーキB2が係合され、第1及び第2クラッチC1,C2、第1ブレーキB1が解放される。すると、第2ブレーキB2及び第4クラッチC4が係合しているため、第4サンギヤS4が固定されると共に第3サンギヤS3も固定される。このため、第4キャリヤCR4の入力回転は、第4リングギヤR4を介して増速されて第3キャリヤCR3に入力される。第3サンギヤS3は固定されているため、この第3キャリヤCR3に入力された回転は、第3リングギヤR3及び第3クラッチC3を介して第1キャリヤCR1に出力される。すると、第1キャリヤCR1は前進11速段時より速い回転速度で回転し、これにより、前進12速段としてギヤ比が0.531となるように出力軸13が回転する。
【0044】
後進段(Rev)では、第3及び第4クラッチC3,C4、第1ブレーキB1が係合され、第1及び第2クラッチC1,C2、第2ブレーキB2が解放される。すると、第1ブレーキB1により第2リングギヤR2が固定されているため、第2サンギヤS2の入力回転は、減速されて第2キャリヤCR2から出力される。この第2キャリヤCR2の回転は、第2連結要素32を介して第4リングギヤR4に入力されると共に、第3キャリヤCR3に入力される。また、第4キャリヤCR4には、第2サンギヤS2と同様に入力回転が入力されているため、第4リングギヤR4に減速回転が入力されると、第4サンギヤS4は増速回転する。この第4サンギヤS4の回転は、第4クラッチC4を介して第3サンギヤS3に入力され、上記第3キャリヤCR3の減速回転と合わさって、第3リングギヤR3が逆転減速される。第3クラッチC3が係合しているため、この第3リングギヤR3の逆転回転は、そのまま第1キャリヤCR1に出力され、これにより、後進段としてギヤ比が―3.214となるように出力軸13が回転する。
【0045】
このように自動変速機1を構成することによって、4つの遊星歯車機構PM1〜PM4と、4つのクラッチC1〜C4と、2つのブレーキB1,B2とを用いて、前進12速段及び後進1速段を達成することができる。これにより、最低変速段から最高変速段までのギヤのスプレッドが本実施の形態においては、8.546と広くなり、車輌の加速性能及び燃費性能を向上させることができる。また、前進時の各変速段の間のステップ比も、ばらつきが少なく比較的に良好であり、最適な変速段に円滑に変速することができる。
【0046】
更に、上記6つの係合要素の内、3要素を係合、残りの3要素を解放して、各変速段を形成することになるため、変速段を構成した際に解放される係合要素が比較的少なく、これら解放された係合要素による引き摺り損失を低減して自動変速機の伝達効率を向上することができる。特に第2及び第3クラッチC2,C3は、トルク容量(トルク分担率)が他の係合要素C1,C4,B2に比して大きくて摩擦板の数も多いため、引き摺り損失も大きいが、例えば、高速道路走行時などの長距離走行時に使用頻度の高い直結変速段(本実施の形態では前進6速段)以上の変速段(本実施の形態では第2クラッチC2は前進8〜10速段、第3クラッチC3は前進10〜12速段)にて係合するようになっているため、より、自動変速機の伝達効率を向上させることができる。更にこれに加えて、第4クラッチC4と、第2ブレーキB2のトルク容量を小さく構成することができるため、これらの摩擦係合要素の摩擦板の枚数を減らして、自動変速機の全長及びコストを低減することができる。
【0047】
また、上記自動変速機は、4つの遊星歯車機構PM1〜PM4全てをシングルピニオン式の遊星歯車機構により構成しており、ギヤの噛み合い損失を低減して自動変速機の伝達効率を向上させることができかつ、部品点数を少なくして自動変速機の組み立て工数及びコスト低減することができる。特に、本実施の形態においては、全ての前進段においてギヤ効率を95%以上にすることが可能であり、また、ピニオンギヤの回転数も比較的に低く構成することができる。
【0048】
<第2の実施の形態>
ついで、上記第1の実施の形態を一部変更した第2の実施の形態について、図4及び図5に沿って説明する。なお、本第2の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態に対して変更された部分だけを説明し、その他の部分については同符号を用いて、その説明を省略する。
【0049】
図4に示すように、本第2の実施の形態に係る自動変速機1は、第1の実施の形態に係る自動変速機1に比して、複合遊星歯車機構PSにおける第2遊星歯車機構PM2と第4遊星歯車機構PM4との連結関係を変更したものである。即ち、図4に示すように、第2の実施の形態における自動変速機1では、第2サンギヤS2と第4サンギヤS4とを第5連結要素35により常時連結し、第2キャリヤCR2と第4キャリヤCR4とを第4回転要素34により常時連結して構成し、つまり複合遊星歯車機構PSが、4つの回転要素として、第2サンギヤS2及び第4サンギヤS4(第7回転要素)と、第2キャリヤCR2及び第4キャリヤCR4(第8回転要素)と、第4リングギヤR4(第9回転要素)と、第2リングギヤR2(第10回転要素)と、を備えるように構成したものである。また、入力軸(入力部材)12は、第2キャリヤCR2及び第4キャリヤCR4に連結されている。
【0050】
従って、図5に示すように、この第2遊星歯車機構PM2の3つの回転要素である第2サンギヤS2、第2リングギヤR2、第2キャリヤCR2は、速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に示すと、第2サンギヤS2、第2キャリヤCR2、第2リングギヤR2の順となり、第4遊星歯車機構PM4の3つの回転要素である第4サンギヤS4、第4リングギヤR4、第4キャリヤCR4は、速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に示すと、第4サンギヤS4、第4キャリヤCR4、第4リングギヤR4となる。第2遊星歯車機構PM2のギヤ比λ(第2サンギヤS2の歯数/第2リングギヤR2の歯数)は、例えば、0.675に設定されており、第4遊星歯車機構PM4のギヤ比λ(第4サンギヤS4の歯数/第4リングギヤR4の歯数)は、例えば、0.45に設定されている。なお、図5における速度線図では、第2遊星歯車機構PM2及び第4遊星歯車機構PM4のそれぞれ3つの回転要素のうちの、第2サンギヤS2及び第4サンギヤS4と、第2キャリヤCR2及び第4キャリヤCR4とが常時連結されて同回転となるので、4つの回転要素に対応して示している。
【0051】
なお、これ以外の構成、作用、効果は、第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0052】
なお、上記実施の形態において、駆動源として内燃エンジンを用いたが、電気モータなどを用いてもよく、また、これら内燃エンジンと電気モータとを組み合わせて駆動源としても良い。また、上記実施の形態に係る自動変速機は、少なくとも前進12速段及び後進1速段を形成可能であるが、全ての変速段を必ずしも使用する必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本自動変速機は、乗用車、トラック等の車輌に用いることが可能であり、特にギヤのスプレッドが広く、かつ伝達効率の向上を図ることが求められるものに用いて好適である。
【符号の説明】
【0054】
1,:自動変速機
12:入力部材(入力軸)
13:出力部材(出力軸)
17:自動変速機ケース
PM1:第1遊星歯車機構
S1:第1回転要素、第1サンギヤ
CR1:第2回転要素、第1キャリヤ
R1:第3回転要素、第1リングギヤ
PM2:第2遊星歯車機構
図1のS2:第8回転要素、第2サンギヤ
図4のS2:第7回転要素、第2サンギヤ
図1のCR2:第9回転要素、第2キャリヤ
図4のCR2:第8回転要素、第2キャリヤ
R2:第10回転要素、第2リングギヤ
PM3:第3遊星歯車機構
S3:第4回転要素、第3サンギヤ
CR3:第5回転要素、第3キャリヤ
R3:第6回転要素、第3リングギヤ
PM4:第4遊星歯車機構
PS:複合遊星歯車機構
S4:第7回転要素、第4サンギヤ
CR4:第8回転要素、第4キャリヤ
R4:第9回転要素、第4リングギヤ
C1:第1クラッチ
C2:第2クラッチ
C3:第3クラッチ
C4:第4クラッチ
B1:第1ブレーキ
B2:第2ブレーキ
図1
図2
図3
図4
図5