特許第5963946号(P5963946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5963946-義歯の製造のためのミリング方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963946
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】義歯の製造のためのミリング方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 13/083 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   A61C13/083
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-509324(P2015-509324)
(86)(22)【出願日】2013年4月18日
(65)【公表番号】特表2015-519110(P2015-519110A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】EP2013001153
(87)【国際公開番号】WO2013164068
(87)【国際公開日】20131107
【審査請求日】2014年11月13日
(31)【優先権主張番号】102012009038.2
(32)【優先日】2012年5月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514277307
【氏名又は名称】ホフシュミット ツェルシュパヌングシステーメ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100121153
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 嘉高
(72)【発明者】
【氏名】ホフシュミット,ラルフ
【審査官】 川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−154981(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0009543(US,A1)
【文献】 特表2006−521842(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/014979(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 13/08
A61C 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
義歯の製造のためのミリング方法であって、
多軸CNCミリング加工機で、多軸CNCミリング加工機に置かれた予備焼結済のセラミックホワイトボディを機械加工するための歯科用ミリングツールを用いて、生成された移動経路に沿った三次元自由形式のミリングを行い、義歯ホワイトボディが予備焼結済のセラミックホワイトボディからミリング加工され、前記セラミックホワイトボディは円形、或いは板状のブランクの形態で準備され、
前記歯科用ミリングツールは上方から、前記セラミックホワイトボディの固体材料へと駆動され、それ以前に前記セラミックホワイトボディは固定され、続いて、前記移動経路にしたがった層ごとの材料の除去によって、前記義歯ホワイトボディは前記セラミックホワイトボディからミリング加工されるミリング方法において、
前記ミリング加工は、最大外径(Dk)が約1〜4mmで、外周がこの外径(Dk)で一定で、軸方向に伸びる軸状ミリング部(2)に繋がる半球状に湾曲した球状端部(1)を有する歯科用ミリングツールを用いて行われ、前記最大外径(Dk)より大きいか同じ大きさの軸径(Ds)の軸部(3)が、前記軸状ミリング部(2)に接合され、
前記歯科用ミリングツールは前記球状端部(1)から前記軸状ミリング部(2)に沿って、全部で3本、或いは2本の切削くず用の溝(4)と、対応する数の切削歯(5)をさらに備え、当該切削くず用の溝(4)と切削歯(5)は、固体材料からなり、円形の断面を有する溝底部(9)のまわりに巻きつき、
反時計回りの方向で前記溝(4)に面する各前記切削歯(5)の外端に、刃先(6)が与えられ、当該刃先(6)は前記球状端部(1)において軸方向で見ると弓型であり、前記軸状ミリング部(2)において、最大外径(Dk)の動径座標上にあり、
前記溝(4)と前記切削歯(5)は全てが左ひねりの螺旋で、ねじれ角(b)が1度〜45度であることを特徴とするミリング方法。
【請求項2】
その後完全焼結で完成した義歯にされる、前記義歯ホワイトボディがただ1つの歯科用ミリングツールを用いてミリング加工されることを特徴とする、請求項1に記載のミリング方法。
【請求項3】
ミリング加工された前記義歯ホワイトボディが、その後に完全焼結で完成した義歯にされることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のミリング方法。
【請求項4】
前記球状端部(1)、前記軸状ミリング部(2)、および前記軸部(3)が1つの材料、すなわち硬質金属から一体的に形成されることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載のミリング方法。
【請求項5】
前記歯科用ミリングツールの各前記刃先(6)のそれぞれに、クリアランス(7)が与えられることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のミリング方法。
【請求項6】
前記クリアランス(7)が、0.1mm幅以下で、12度から25度の逃げ角を有することを特徴とする、請求項5に記載のミリング方法。
【請求項7】
各前記刃先(6)では、少なくとも前記歯科用ミリングツールの前記軸状ミリング部(2)において、8度〜25度のすくい角が与えられることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載のミリング方法。
【請求項8】
前記歯科用ミリングツールのコア部は、前記ツールの前記軸状ミリング部での、そして前記球状端部への切り替わりにおける外周の直径の約40%〜65%の直径の外周を有することを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれかに記載のミリング方法。
【請求項9】
時計回り方向の回転に反する方向での、各前記刃先(6)の対応する溝(4)への切り替わりが、後方に直接に隣接するクリアランス表面、或いは前記クリアランス(7)の後方に隣接するクリアランス表面(8)を経由することを特徴とする、請求項5に記載のミリング方法。
【請求項10】
前記歯科用ミリングツールが2本溝のミルとして形成され、
前記軸状ミリング部(2)において、前記刃先(6)の前記外径(Dk)から前記溝(4)のコア直径(dk)への後向きの前記切り替わりが、切り替わり領域を経由し、
周方向に対して90度ずらされた外径(Dm)は前記刃先(6)における前記最大外径(Dk)に対して、前記最大外径(Dk)の65%〜85%であることを特徴とする、請求項8に記載のミリング方法。
【請求項11】
前記歯科用ミリングツールの各前記刃先(6)は、長さが(L)で、当該長さ(L)は軸方向で、前記最大外径(Dk)の少なくとも50%〜150%であることを特徴とする、請求項1〜請求項10のいずれかに記載のミリング方法。
【請求項12】
前記半球状に湾曲した球状端部(1)の前記最大外径(Dk)が約2〜3mmであることを特徴とする、請求項1〜請求項11のいずれかに記載のミリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の前段部に記載のミリング方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
既知の歯科用ミリングツール或いは歯科用ミリングカッターは、刃或いは刃先の湾曲部を含む球状端部と、刃或いは刃先の螺旋部を含む隣接軸状ミリング部と、を有し、そして、その直径において、予備焼結されたセラミック素体或いはホワイトボディ、特に酸化ジルコニウムのホワイトボディからなる歯の代替部品或いは義歯に適合される。すなわち、差歯または同種のものが製作されるのに用いられる前記球状端の直径は、三次元に湾曲した表面と窪みを伴って与えられ、簡易で基本的な外形をたどらない、歯の形状が、求められる表面の滑らかさを伴って生み出され得るように選択される。しかしながら、強度上の理由で、前記直径を小さすぎに選択できない。酸化ジルコニウム、酸化アルミナ等の高性能セラミック未焼成体の処理向けの歯科用ノーズエンドミルは、例えば、ディトロンAG社の2009年カタログの70ページに、“ディトロン‐VHM‐ジルコニア歯科用ミリングツール”の名称で開示されている。
【0003】
差歯等の義歯の前処理のために、焼結可能なセラミックが使用され、良好な衛生性と強度値によって、今日ではジルコニアオールセラミック材料が使用される。非焼結セラミックブランク、いわゆるグリーンボディは特定の硬度、すなわち、いわゆるホワイトボディ(或いは予備焼結済ボディ)に予備焼結され、当該ホワイトボディには、歯科用ミリングツール或いは歯科用ミリングカッターを用いた処理が容易に可能だが、前記ホワイトボディの硬度への焼結中に起きる収縮は最終成形よりも前に完了する。歯科用インプラントホワイトボディは次に最後まで焼結される。当該歯科用インプラントホワイトボディは完全に焼結されるか或いは初めから終わりまで焼結されなければならないが、当該歯科用インプラントホワイトボディは既に歯科用インプラントの完成形状となっている。歯科用インプラントに加えて、同様に、ブリッジおよび他の義歯、或いは歯科用修復物、特に酸化ジルコニウム、より具体的にはジルコニアオールセラミックからなるクラウン用の支持枠で、当該セラミックは現在の多結晶質酸化ジルコニウムに加えて、さらにイットリウム或いはマグネシウム等の安定した酸化物、例えば3Y‐TZP、YSZ或いはTZ‐3Yを含有する物が作成される。前記予備焼結済のホワイトボディのフリー形式ミリングによる成形の後、得られた予備焼結済の義歯の前処理品、或いは得られた義歯のホワイトボディは次に最終焼結或いは完全焼結される。焼結による収縮或いは体積の収縮(約50%)の発生を、成形前ミリング工程で考慮しなければならない。なぜなら、密集している前記焼結済の材料は、セラミックの構造物に損傷を与えることなしには、機械加工できないか狭い範囲でしか機械加工できないからである。
【0004】
前記義歯のホワイトボディのミリング加工用として、手動倣いミリング等の手動処理法が知られている。
【0005】
ここで、歯列のプラスチック或いは石膏模型が、例えば歯科医師に採得される歯型から、最初は歯科技工室で作成される。比較的柔らかく、しばしば粘着性の材料からなる模型の完了の間に余剰の材料を切り離すためには、携帯式空気タービングラインダが歯科技工士に利用可能である。たいていの場合、芽形で、クロスカットをしばしば有し、右回り或いは左回りでねじれているミリングツールと比較的大きい研削ヘッドが歯の順番で使用され、削りくず詰まりを防ぐための幅広で深い溝を有する。前記模型を周囲全体に亘って切削できるように、前記研削ヘッドは十分に細い心棒(shaft)或いは柄(shank)に蝋付けされる。そのようなツールは、ブラッセラーGmbH&Co.KG社の製品情報“ミリングツールSGFA 2007年”に開示されている。
【0006】
その後に、前記模型は走査されてもよい。そして、並行して、適切な義歯のホワイトボディが、予備焼結された酸化ジルコニウムの丸型或いは板状の素体からミリング加工されてもよい。その点で、歯科用ミリングツールとスキャナーは、倣いミリング加工機、例えばシュッツGmbH社製ティティアンミルにおいて、互いに平行に固定される。そこにおいては、前記義歯のホワイトボディのアンダーカットは作業表面の回転によって製造され得るが、粗加工と微細加工及び手動再加工のために、ツール交換と様々な作業表面の固定具が必要である。
【0007】
歯科分野においても、CAD或いはCAMのデータを使用して移動経路を生成するCNCミリングがますます優勢であり、多軸CNCミリング加工機は、当該移動経路に沿って三次元で移動する。アンダーカットを形成することができるように、現代のCNCミリング加工機は3つの動作軸に加えて、通常さらに2つのピボット軸を有する。前記CAD或いはCAMのデータは走査された前記模型、或いは例えば歯科医によって走査された総義歯から引き出され、それによってコンピュータ制御の倣いミリングのことを語ることができる。前記模型構成は保存でき、さらにミリング加工においてもまた、手作業でなされる。
【0008】
例えば、歯牙エナメル質層、保護層および裏打ち層等の異なる層を有する人工歯を形成するために、適切な基材から、CAD或いはCAMに生成される移動経路を用いて歯科模型を切り取り、それらの造形の各組の間に重合性アクリレートを挿入することは、ドイツ特許DE 696 25 012 T2に開示されている。前記形態の基材としては、例えばセラミックが推奨される。前記人工歯自身は前記基材からミル加工されるのではなく、歯の造形の間の重合性アクリレートで形成される。
【0009】
別の自動三次元形式、或いは自由形式のミリング工程は、予備焼結済セラミックのホワイトボディからの義歯のミリング加工による、歯科用セラミック(白焼結体)の直接的な製造に役立つ。ここで、前記義歯はその後に完全に焼結される。この目的のために通常、半球状の丸い球状端部と1〜4つの右ひねりの溝を有するエンドミルが使用され、当該エンドミルは、同様に1〜4つの刃先を、前記溝の間に配置される刃の外縁に有する。前記義歯のホワイトボディの精巧さのために、前記切削部は、それぞれの予備焼結済セラミックの円形ブランクの前記固体、或いは全材料に対して上方から好都合にセットされる。それから、段階的に前記固体の中へ進んでいく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ特許公報DE 696 25 012 T2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、焼結が不十分で、ひいては比較的もろいセラミックにおいては、剥離、破砕、或いはチッピングは、比較的よく起きる。歯科技工士にとって、前記ホワイトボディのこれらのチッピングはツールの交換基準である。なぜなら、ツールがなまくらになっているかどうか、或いは、ミリングによるセラミックに与えられる力で、剥離が生じているかどうかを確実に測定することはできないからである。
【0012】
プラスチック、木、或いは石膏等の比較的柔らかい材料の加工用の左ねじりのミリングツールもまた知られており、当該ミリングツールは、上記の材料製のセラミックは、白焼結状態でさえ、比較的引張り強度が低いので、セラミックの機械加工において、特に引張力が剥離を引き起こすのに対して仕掛品に引張力は働かないというミリング加工時の利点を有する。プラスチック、アルミニウム、真鍮、或いは銅加工用の左ねじりのミリングツールの例は、ディトロンAG社の2009年カタログの14ページに、“ディトロン VHM‐シングル刃、左螺旋右刃”の名称で提供されている。前記ミリングツールは、幅広で深い溝を備えるために、シングル溝、或いはシングルエッジのツールとして具体化される。当該幅広で深い溝はこれらの材料の機械加工用には普通である。しかしながら、そのようなツールは、下向きの切削くずの排出が可能な場合のみに使用され得る。つまり、前記ミリングツールが前記固体材料の上部にセットされる、三次元フリー形式ミリング等の加工事例ではなく、仕掛品がその垂直な外側で機械加工され、切削くずを下向きに排出し得る加工事例においてのみである。実に、前記溝の左ねじりによって、機械加工は引張力なしで有利に実行される。それに関して、切削くずの排出、或いは除去が下向きには不可能であるならば、前記切削くずは下向きに押され、ツールの切削くず詰まりにつながるだろう。
【0013】
ここを出発点として、増加したツール寿命とミリング中のより大きな工程の安定に行き着くこのような方法での、一般的なタイプのミリング方法を発展させることが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、前記ミリング方法に関しては請求項の特徴で達成される。
【0015】
前記本発明の歯科用ミリングツールは、左ねじりの螺旋形状によって特徴づけられる。つまり、前記球状端部から、前記軸状ミリング部に沿って伸びる、3つ、或いは好適には2つの溝と切削歯が左ねじり、すなわち回転軸の回転方向の逆向きに、特に、ミリングツールの軸に対して1度から45度、或いは好適には5度から30度で周りに巻かれる。
【0016】
前記本発明のミリング方法は、ミリングがそのような左ねじりの歯科用ミリングツールを用いて行われ、板状セラミックホワイトボディが固定され、そしてそれから、前記歯科用ミリングツールが上方から、前記板状セラミックホワイトボディの前記固体材料へと駆動され、続いて、CAD或いはCAMに生成される移動経路にしたがった層ごとの材料の除去によって、義歯のホワイトボディの前記板状セラミックホワイトボディからのミリングが行われる。
【0017】
本発明に従って使用される歯科用ミリングツールは、左ねじりの螺旋形状を有する。つまり、前記球状端部から、前記軸状ミリング部に沿って伸びる、3つ、或いは好適には2つの溝と切削歯が左ねじり、すなわち回転軸の回転方向の逆向きに、特に、ミリングツールの軸に対して1度から45度、或いは好適には5度から30度で周りに巻かれる。
【0018】
これは、特に歯科医術で使用される焼結されたセラミックが、下向きの切削くずの排出が保証されない場合においてもまた、左ねじりのミリングを許容するという驚くべき知見に基づく。これらのセラミックは、例えば酸化ジルコニウムのホワイトボディの形で、ミリングによって粉末状に削られ、そしてそれ故に、予備焼結済のセラミックの円盤、或いは円形ブランクからの義歯のホワイトボディのミリング加工を伴うままで、左ねじりの歯科用ミリングツールを上方から固体材料へと駆動する場合においてさえ、穴あけされた、或いはミリングされた穴に詰まらない。前記各溝内での切削くずの密集、或いは切削くずのスタックは発生しない。代わりに、円形、或いは板状のブランクを持ち上げようとする引張力ではなく、押さえ付ける力が発生するので、前記ホワイトボディ円形ブランクの固定に従来よりもわずかな力のみが必要となるというプラスの副次効果がある。今まで多用された、しかし比較的高価な、円形、或いは板状のブランクの吸引による真空締め具を、より簡単な機構に置き換えることができる。
【0019】
左ねじりによって、引張力ではなく、圧縮力のみが前記刃先によって処理される前記ホワイトボディに加えられる。前記ホワイトボディにおける前記常習的な破砕、或いは摩耗限度に届く前の前記常習的なツール交換は、それによって、もはや許容する必要はない。酸化ジルコニウムの歯用セラミックのような焼結可能な歯科用セラミックは、低い引張強度とは対照的に、とても高い圧縮強度を有するので、細い外形の仕掛品においてさえ、破砕の発生が避けられる。したがって、今や、著しくより精密なフリー形式ミリング加工において、加工安定性を増して、義歯が製造され得るだけでなく、ツールの寿命がはっきりと増加する。なぜなら、現時点ではツールの摩耗が実際に現れた場合にのみ交換が必要となるからである。そして、前記仕掛品の前記破裂はツールの摩耗によるが、これらの破裂は本質的に、摩耗していないツールでもまた発生すると想定してはならない。同時に、粉末機械加工による切削くずの密集の発生の問題は、決して発生しない。ミリング後には、高いミリング精度がゆえに、前記義歯ホワイトボディは完成品の義歯へと直接に焼結されることができる。すなわち、再加工を必要としない。
【0020】
球状端形状によって、かみ合い点或いは領域は前記歯科用ミリングツールの自由端において半球全体を横切って移動することができ、前記歯科用ミリングツールの前記最大外径の0.1から0.8倍の前記球状端部のかみ合い幅で、ベストプラクティスが発見されている。したがって、フルカットではなく、挿入深さとして前記最大外径の0.1から0.8倍の部分のみを切削することが有利であり、当該挿入領域、すなわち、前記刃先が前記材料内にとどまる領域は、前記球状端部の半球全体を越え、そして、前記軸状ミリング部の隣接する円筒部を越えて、移動できる。
【0021】
前記鋭い刃先の長さとして、前記最大外径の0.5から1.5倍の値が十分であることがわかる。なぜなら、三次元ミリング工程における層ごとの除去においては、より深くまでの切削はめったに要求されないからである。
【0022】
一方で製造精度の、他方でセラミックホワイトボディのミリング加工中のツール強度の要求に応じるために、特に前記歯科用ミリングツール全体が硬質合金等の1つの材料、例えば半田接合の形態での破壊点候補を持たない硬質金属から一体的に形成されるならば、前記球状端部の前記最大外径として、そしてここで同時に前記球状端部に隣接する前記軸状ミリング部の一定な外径として、約1〜4mm、好適には2〜3mmの値が、適切であると証明されている。義歯のホワイトボディをミリングするときに、それ以上の追加の仕上げは必要としない。
【0023】
特に好適には各前記刃先のそれぞれにおいて、好適には0.1mm幅以下で、特に好適には12度から25度の逃げ角で、クリアランスが与えられる。前記酸化ジルコニウムのホワイトボディに細かいディテールを機械加工するために、最大切削長全体が使用され得ることを、このことが可能にし、最高の表面品質で、ひいては仕上げなしで、CAD或いはCAMデータの高精密コピーを前記義歯のホワイトボディで形成するために、前記最大切削長は前記最大外径の0.5〜1.5倍未満である。
【0024】
正しい方向と大きさの応用事例の概略における切削力を提供するためには、すくい角に適切な値は8度から25度である。前記白い予備焼結済のセラミック材料の粉末状機械加工に関して、それは前記各溝の深さに十分で、ツール強度に関して有利である。前記軸状ミリング部のコア直径は、最大外周の約40%〜65%、好適には50%〜65%もしくは55%〜65%である。すなわち、円形ツールのコア部分は、前記軸状ミリング部の、そして前記球状端部への切り替わりにおける前記ツールの外周の約40%〜65%、好適には50%〜65%もしくは55%〜65%の直径の外周を有する。これによって、前記歯科用ミリングツールは剛性を獲得し、同時に予備焼結済のセラミック材料の粉末切削くず、或いは粉末機械加工によって、充分な“切削くず除去”、或いは材料除去は、溝の深さの浅さにもかかわらず達成される。
【0025】
高いツール剛性と、予備焼結済のセラミック材料の粉末切削くずによる切削くずの量を制限する必要性の観点から、各前記溝の設計に関して、少なくとも前記軸状ミリング部において、前記刃先における前記外径から各前記溝の前記コア直径への後方への切り替わりが切り替わり領域としてあり、当該切り替わり領域が特にアークセグメント形状に形成されてもよいならば、殊に二枚刃、或いは2本溝のツールとして設計された歯科用ミリングツールにとっては、それは有利である。その場合、前記ツールがさらに固くされるように、周方向に対して90度ずらされた外径は前記刃先の前記最大外径に対して、切り替わり領域において、前記最大外径の65%〜85%、特に約75%である。そのようなツールを使用すると、酸化ジルコニウム歯科用セラミックの自由形式ミリングにおいて50,000r.p.m.に至る回転速度が可能である。
【0026】
また、前記歯科用ミリングツールが小さな斜めの刃先を有するならば、特定の応用例にはおそらく有利であることが知られている。それによって、材料への侵入は容易になり、侵入時の圧力は幾分低下する。これは、Z方向の移動が非常に小さい時に特に明白である。斜めの刃先がなければ、試験において、ジルコニウムの粉末は前記刃先の近くの中央に堆積し、表面の質の悪化を引き起こすだろう。しかしながら、適切なCAM戦略(例えば“円形侵入”)によって、前記歯科用ミリングツールに斜めの刃先を備えることと同様に、この問題を回避することができる。
【0027】
本発明のさらなる有利な発展が、本発明の有利な実施例を示す添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の好適な実施例に従って使用される歯科用ミリングツールの側面図を示す。
図2図1に示される前記歯科用ミリングツールの、拡大して切削軸を省略した端面図を示す。
【0029】
両図面に示される前記歯科用ミリングツールは球状端部1、軸状ミリング部2、および軸部3を有する。前記軸部3は、前記軸状ミリング部2の一定な外径Dk、すなわち、前記軸状ミリング部2の歯科用切削部の外周の直径Dkよりも大きな直径Dsである。前記歯科用ミルの前記球状端部1は半球状に丸まり、軸状ミリング部2の直径Dkにも相当する最大外形で、前記軸状ミリング部2に切り替わる。
【0030】
半球状に丸まっている前記球状端部1における前記歯科用ミルの自由端から始まって、前記歯科用ミリングツールはその軸状ミリング部2に沿って、螺旋状に伸びる、或いは螺旋形に巻かれている、或いはねじられている2つの溝4と、前記溝によって互いに分離している2つの切削歯5と、を備え、それらは図示した例においては25度のねじれ角bで、左ねじり、すなわち前記歯科用切削部に加えられる時計回りの回転の逆になっている。時計回りの回転で前記案内溝4に面する前記切削歯5の外端に沿って刃先6が伸びる。前記歯科用ミルの前記自由端において、2つの前記刃先6は短い横断する刃先或いは中心10によって接続される。
【0031】
もしも、本発明の請求の範囲に半球状に丸まっている球状端部が記載されているならば、それは前記歯科用ミリングツールの前記刃先6(図示した例においては2枚刃)に沿って丸まっていること、或いは言い換えれば、前記歯科用ミリングツールの側面は、2つの前記刃先の適切な半径方向の位置取りを含めて、前記球状端部においてほぼ半円形状を有することを意味する。その点で、前記歯科用ミリングツールの前記自由端において斜め方向に伸びる各前記刃先6は、前記軸方向の周囲で螺旋状にされ、前記軸状ミリング部20における前記歯科用ミルの前記外径Dkの約半分の半径を有する各前記刃先部へと導かれる。
【0032】
このことは、前記歯科用ミリングツールが仕掛品に対するどのような角度においても使用でき、作業領域が前記球状端部1を越えて移動することを保証する。その点で、各前記鋭い刃先6は、図1に描かれた長さLよりも短い前記軸状ミリング部の範囲に亘って伸び、当該長さLは、前記溝に前記軸部3への切り替わりにいたるまで伸びる逃げを加えた長さを表す。
【0033】
各前記鋭い刃先6は、示されている例においては、前記球状端部1の最大外径Dk、すなわち前記軸状ミリング部2の外周の直径Dkの3倍に等しい長さ以上に亘って伸び、そのため、前記チップ溝4の左ねじりと共に並んで伸びる各前記刃先6の各螺旋部の比較的長い長さに亘ってミリング加工ができる。図2に見られるように、実施例中に20度の逃げ角aで示されるクリアランス7が各前記刃先6の背面に設けられる。同様に各前記鋭い刃先6の比較的長い長さに亘る前記クリアランス7によって、高い表面品質が前記セラミックのホワイトボディ上で確保される。前記クリアランス7の後方に隣接するクリアランス表面8と、個々の前記溝への切り替わりを形作り、前記クリアランス表面8に順々に隣接する、アークセグメント形状に外側に膨らんだ切り替わり領域と、が前記ツールの低振動と高剛性に有利であることを示している。
【0034】
確かに、削りくずの容量として利用できる各前記溝内の空間は少し小さい。加工される前記予備焼結済のセラミック材料、特に酸化ジルコニウムは粉末状に機械加工されるので、そのことは、上述のツールの剛性に有利なように許容される。ミリングツールの溝底部9の溝底の径dk(すなわち、前記歯科用ミリングツールの各前記溝の最下点における直径)を前記軸状ミリング部における外径Dkを比較すると、各前記溝4の最大深さもまた比較的小さい。本明細書において、図示されている例では、その比は約55%である。そのこともまた、前記歯科用ミリングツールの寿命を良好にする。前記内側の円は、前記溝底の径dkを図示するためにのみ図2に描かれていて、物理的に実在する特徴を表したものではないことに注意すべきである。
【0035】
歯科分野において酸化ジルコニウムのホワイトボディの機械加工の所望の用途のために、三枚刃の変形例もまた考えられるが、二枚刃設計の前記歯科用ミリングツールは、低振動の点で都合がよいことが証明されている。
【0036】
前記切削歯5の各前記溝4と各前記刃先6の左ねじりによって、前記機械加工されるセラミックのホワイトボディの引張応力は回避され、それによって、歯科分野で普通に見られる右ねじりのドリルと比べて、著しく良好な表面品質が成し遂げられ得るだけでなく、単位時間当たりの高い異物除去、或いは削りくず受容量もまた成し遂げられ得る。
【0037】
各図面は正確な縮尺ではない。そして、図示されたエンドミルは、前記軸状ミリング部2の、或いは前記球状端部1における外径Dkが2mmである。白く焼結された酸化ジルコニウムセラミックの三次元フリー形式ミリング加工用には、歯科用インプラント、ブリッジ或いは類似品等の義歯用に要求される表面品質と寸法精度、そして同時に単位時間当たりの削りくず受容量を成し遂げるために、1〜4mm、好適には2〜3mm、例えば2mmの値が前記外径Dkに有利であると証明された。
【0038】
図示の前記ツールを用いて、全ての作業ステップが実行され得る。すなわち、上方から前記セラミックホワイトボディ上に置かれる歯科用ミリングツールによる層ごとの異物除去の後には、さらなる表面処理はそれ以上必要とされない。つまり、前記義歯をツール交換無しで、ひいては短い製造時間で製造し得る。殊に、左ねじりとそれに関連する引張応力の解消は、低剥離傾向、ひいては高表面品質につながる。前記エンドミルが対応する、例えば5軸CNCミリングマシンにおいて使用され、当該ミリングマシンが機械加工動作中に加工物に対する前記歯科用ミリングツールの傾きを許容するならば、各前記刃先の弓型切削部を有する前記球状端部1を用いると、義歯を作る各アンダーカットの製造でさえ可能である。
【0039】
前記歯科用ミリングツールが適しているセラミックホワイトボディの粉末状機械加工によって、前記左ねじりにもかかわらず、各前記溝4はいっそう詰りを起こさない。上方から前記固体材料へと駆動するときには、そうすることなしで下向きの切削くずの排出が可能である。
【0040】
示された本実施例の変形例と改造例は、本発明の核心から離れることなく実施可能である。
【0041】
したがって、例えば、前記球状端部1の前記最大外径Dkに等しい前記軸部3の前記直径Dsを選択すること、ひいては、エンドミルをほぼ全長にわたって同一の外径に製造することは考えられるだろう。しかしながら、前記ツールの安定を危うくしないために、より小さな直径は選択されるべきではない。
酸化ジルコニウムの円形ブランクでの実験で、25度のねじれ角b、並びにこの値に近い5度から30度の範囲において、特に良好な結果が得られている一方で、前記歯科用ミリングツールの左ねじりと正しい切削方向、ひいては前記歯科用ミリングツールの固体材料への上方からの侵入の間の処理される予備焼結済セラミックの円形ブランクへの圧力荷重がそのままである限り、このねじり角を幅広く変化させることができる。
【符号の説明】
【0042】
1:球状端部
2:軸状ミリング部
3:軸部
4:案内溝、溝
5:切削歯
6:刃先
7:クリアランス
8:クリアランス表面
9:溝底部
b:ねじれ角
dk:コア直径
Dk:最大外径
Dm:周方向に対して90度ずらされた外径
Ds:軸径
L:長さ
図1
図2