特許第5963948号(P5963948)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5963948原子層堆積カートリッジを用いた粉末粒子コーティング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963948
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】原子層堆積カートリッジを用いた粉末粒子コーティング
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20160721BHJP
   C23C 16/442 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   C23C16/455
   C23C16/442
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-512090(P2015-512090)
(86)(22)【出願日】2012年5月14日
(65)【公表番号】特表2015-520297(P2015-520297A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(86)【国際出願番号】FI2012050462
(87)【国際公開番号】WO2013171360
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2015年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】510275024
【氏名又は名称】ピコサン オーワイ
【氏名又は名称原語表記】PICOSUN OY
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】リンドフォース スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ソイニネン ペッカ ジェイ
【審査官】 國方 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0196418(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0011526(US,A1)
【文献】 特開昭62−160137(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0117729(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0035056(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クイックカップリング法によって原子層堆積(ALD)カートリッジをALD反応器の受け器に受け入れることであって、前記ALDカートリッジはALD反応室として役立つように構成されることと、
逐次自己飽和表面反応によって前記ALDカートリッジ内の粒状材料の表面を処理することと、
を含む方法であって、更に、上下に重なるように配された複数の区画内で粒状材料を処理することを含み、各区画はフィルター板によって隣接する区画から分離している、方法
【請求項2】
前記クイックカップリング法が、ロック部材が前記ALDカートリッジをその正しい位置にロックするまで前記ALDカートリッジはねじられるねじり方法、および前記ALDカートリッジをその正しい位置にロックするフォームロッキング方法から成る群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粒状材料内での凝集物の形成を妨げるために、振動ガスを前記ALDカートリッジの中に供給することを含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
振動不活性ガスを前記ALDカートリッジの中に供給するために、前駆体供給ラインから分離した流れチャネルを使用することを含む請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
反応残渣を少なくとも一つの出口導管を通して排出することを含み、前記少なくとも一つの出口導管は前記ALDカートリッジ本体内に配置される請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ALDカートリッジ本体内に配置した装填チャネルを通して前記粒状材料を装填することを含む請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ALD反応室として役立つように構成されて、クイックカップリング法によって、ALD反応器のALD反応器本体に取り付けるように構成したクイックカップリング機構を備えた着脱可能な原子層堆積(ALD)カートリッジであって、前記クイックカップリング法によって前記ALD反応器本体に取り付けられるならば、逐次自己飽和表面反応によって該ALDカートリッジ内で粒状材料の表面を処理するように構成されるALDカートリッジであって、更に、複数の粒状材料コーティング区画をその間に形成するように、互いに間隔を空けて上下に重なり合うように配置される複数のフィルター板を備える、ALDカートリッジ
【請求項8】
反応残渣を前記ALD反応器本体を通して排出するように構成した前記ALDカートリッジ本体内に出口導管を備える請求項に記載の着脱可能なALDカートリッジ。
【請求項9】
ガス拡散空間を入口フィルターの下に備える請求項7または8に記載の着脱可能なALDカートリッジ。
【請求項10】
クイックカップリング法によって原子層堆積(ALD)カートリッジをALD反応室の中に受け入れるように構成される受け器と、
逐次自己飽和表面反応によって前記ALDカートリッジ内で粒状材料の表面を処理するために、前駆体蒸気を前記ALDカートリッジの中に供給するように構成される供給ラインと、
を備えるALD反応器であって、ここで前記ALDカートリッジは、請求項7から9のいずれか一項に記載のALDカートリッジである、ALD反応器
【請求項11】
前記受け器が、ねじり方法によって前記ALDカートリッジを受け入れるように構成され、そこにおいて、ロック部材が前記ALDカートリッジをその正しい位置にロックするまで、前記ALDカートリッジはねじられる請求項10に記載のALD反応器。
【請求項12】
前記受け器が、前記ALDカートリッジをその正しい位置にロックするフォームロッキング方法によって前記ALDカートリッジを受け入れるように構成される請求項10に記載のALD反応器。
【請求項13】
前記ALDが、前記粒状材料内での凝集物の形成を妨げるために、振動ガスを前記ALDカートリッジの中に供給するように構成した流れチャネルに振動源を備える請求項10から12のいずれか一項に記載のALD反応器。
【請求項14】
前記ALDカートリッジ本体内に配置した出口導管から反応残渣を受け入れるように構成したALD反応器本体内に出口導管を備える請求項10から13のいずれか一項に記載のALD反応器。
【請求項15】
前記ALDカートリッジ本体内に配置した装填チャネルに粒状材料を送るように構成した前記ALD反応器本体内に装填チャネルを備える請求項10から14のいずれか一項に記載のALD反応器。
【請求項16】
前記ALDカートリッジの入口フィルターの前にガス拡散空間を形成するように構成される請求項10から15のいずれか一項に記載のALD反応器。
【請求項17】
請求項10から16のいずれか一項に記載のALD反応器および請求項からのいずれか一項に記載のALDカートリッジを備えた装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に堆積反応器に関する。より詳細には、しかし限定することなく、本発明は、材料が逐次自己飽和表面反応によって表面に堆積されるこの種の堆積反応器に関する。
【発明の背景】
【0002】
原子層エピタキシー(ALE)法は、1970年代初期にトゥオモ・サントーラ(Tuomo Suntola)博士により発明された。この方法の別の一般名は原子層堆積(ALD)であり、そしてそれが今日ではALEの代わりに用いられている。ALDは、少なくとも一つの基板への少なくとも2つの反応前駆種の逐次導入に基づく特別な化学堆積方法である。
【0003】
ALDによって成長した薄膜は高密度であり、ピンホールがなく、そして均一の厚みを有する。例えば、実験で、酸化アルミニウムは、トリメチル・アルミニウム(CHAl(TMAとも呼ばれる)、および250〜300℃の水から熱ALDによって成長して、基板ウエハにわたってわずか約1%の不均一性しか生じなかった。
【0004】
ALD技術の一つの興味深いアプリケーションは、小さい粒子のコーティングである。例えば、小さい粒子のバルク特性を維持しながら粒子の表面特性を変えるために、薄いコーティングを粒子に堆積することが望ましいことがある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の例示の態様によれば、クイックカップリング法によってALD反応器の受け器に原子層堆積(ALD)カートリッジを受け入れることであって、前記ALDカートリッジはALD反応室として役立つように構成されることと、逐次自己飽和表面反応によって前記ALDカートリッジ内の粒状材料の表面を処理することとを含む方法が提供される。
【0006】
特定の例示の実施形態において、下部から上部への流れによって粒状材料粒子は旋回して、ALDカートリッジ内に流動床を形成する。特定の他の実施形態において、流動床は、特定の要因、例えば流量および粒子の重量に応じて形成されない。粒状材料は、粉末またはより粗い材料、例えばダイヤモンドまたは類似物でありえる。
【0007】
ALDカートリッジがALD反応器本体に受け入れられるように、受け器はALD反応器本体に配置することができる。ALD本体は受け器を形成することができる。受け器はALD反応器本体の一部を形成できる(それはその一体化された部分でもよい)か、もしくは、それはALD反応器本体に、あるいはALD反応器または処理室構造に一体化された固定受け器でありえる。一体化された受け器の場合には、受け器はALD処理室蓋に一体化することができる。
【0008】
特定の例示の実施形態において、クイックカップリング法は、ロック部材がALDカートリッジをその正しい位置にロックするまでALDカートリッジをねじることを含む。特定の例示の実施形態において、クイックカップリング法は、ALDカートリッジをその正しい位置にロックするフォームロッキングを用いることを含む。特定の例示の実施形態において、クイックカップリング法はこれらの方法の組合せである。
【0009】
特定の例示の実施形態において、この方法は、前記粒状材料内での凝集物の形成を妨げるために、振動ガスをALDカートリッジの中に供給することを含む。
【0010】
振動ガスはALD処理の間に供給されることができる。振動ガスは前駆体露出期間およびパージ期間の両方の間に供給することができる。
【0011】
特定の例示の実施形態において、この方法は、振動不活性ガスをALDカートリッジの中に供給するために、前駆体供給ラインから分離した流れチャネルを使用することを含む。
【0012】
例示の実施形態の多くにおいて、衝撃を振動ガスに加えて、またはその代わりに用いることができる。
【0013】
特定の例示の実施形態において、この方法は、反応残渣を少なくとも一つの出口導管を通して排出することを含み、前記少なくとも一つの出口導管はALDカートリッジ本体内に配置される。
【0014】
一つの出口導管の代わりに、二つ以上の出口導管でもよい。
【0015】
特定の例示の実施形態において、この方法は、ALDカートリッジ本体内に配置した装填チャネルを通して前記粒状材料を装填することを含む。
【0016】
予め充填されたALDカートリッジの代わりに、コーティングされる粒状材料は、装填チャネルを通してALDカートリッジに装填することができる。装填チャネルはALDカートリッジの底部分に配置することができる。あるいは、ALDカートリッジは、ALDカートリッジの上部分に配置した装填チャネルを通して上部から装填することができる。あるいは、特定の例示の実施形態において、ALDカートリッジは、それらの実施形態において、ALDカートリッジの上部分を形成する着脱可能な蓋またはカバーを取り外すことにより装填される。
【0017】
特定の例示の実施形態において、この方法は、上下に重なるように配置した複数の区画内で粒状材料を処理することを含み、各区画はフィルター板によって隣接する区画から分離している。フィルター板は焼結フィルターでもよい。
【0018】
特定の例示の実施形態において、ガスはALDカートリッジの底部からALDカートリッジの中に供給される。
【0019】
本発明の第2の例示の態様によれば、クイックカップリング法によってALDカートリッジをALD反応室の中に受け入れるように構成される受け器であって、前記ALDカートリッジはALD反応室として役立つように構成される受け器と、逐次自己飽和表面反応によって前記ALDカートリッジ内で粒状材料の表面を処理するために、前駆体蒸気を前記ALDカートリッジの中に供給するように構成される供給ラインとを備える原子層堆積(ALD)反応器が提供される。
【0020】
特定の例示の実施形態において、受け器は、クイックカップリングによってALDカートリッジを受け入れるように大きさを設定されて成形されるALD反応器本体自体である。他の実施形態において、受け器は、ALDカートリッジを受け入れるように構成したALD反応器本体に配置される特定の形または特定の部分として実装される。
【0021】
クイックカップリングによって、ALD反応器およびカートリッジ本体の内部の(流れ)導管は互いと一直線になっている。例えば、ALDカートリッジおよびALD反応器本体に配置したそれぞれの導管が互いと一直線に設定されるように、ALD反応器本体内の前記形または部分は大きさを設定して成形することができる。
【0022】
特定の例示の実施形態において、前記受け器は、ねじり方法によって前記ALDカートリッジを受け入れるように構成され、そこにおいて、ロック部材がALDカートリッジをその正しい位置にロックするまで、ALDカートリッジはねじられる。
【0023】
特定の例示の実施形態において、前記受け器は、ALDカートリッジをその正しい位置にロックするフォームロッキング方法によって、前記ALDカートリッジを受け入れるように構成される。
【0024】
特定の例示の実施形態において、ALDは、前記粒状材料内での凝集物の形成を妨げるために、振動ガスをALDカートリッジの中に供給するように構成した流れチャネルに振動源を備える。振動ガスは不活性ガスでもよい。
【0025】
特定の例示の実施形態において、ALD反応器は、ALDカートリッジ本体内に配置した出口導管から反応残渣を受け入れるように構成したALD反応器本体内に出口導管を備える。
【0026】
特定の例示の実施形態において、ALD反応器は、ALDカートリッジ本体内に配置した装填チャネルに粒状材料を送るように構成したALD反応器本体内に装填チャネルを備える。
【0027】
特定の例示の実施形態において、ALD反応器は、ALDカートリッジの入口フィルターの前に(すなわち、上流に)ガス拡散空間(または容積)を備えるかまたは形成するように構成される。ガス拡散空間は入口フィルターの下にありうる。ガス拡散空間は入口フィルターの隣にありうる。
【0028】
特定の例示の実施形態において、ALD反応器は前駆体蒸気供給ラインの端にマイクロフィルター管を備える。特定の例示の実施形態において、ガス拡散空間はマイクロフィルター管周辺に配置される。
【0029】
本発明の第3の例示の態様によれば、ALD反応室として役立つように構成されて、クイックカップリング法によってALD反応器のALD反応器本体に取り付けるように構成したクイックカップリング機構を備えた着脱可能な原子層堆積(ALD)カートリッジが提供され、ALDカートリッジは、クイックカップリング法によってALD反応器本体に取り付けられるならば、逐次自己飽和表面反応によって前記ALDカートリッジ内で粒状材料の表面を処理するように構成される。
【0030】
特定の例示の実施形態において、着脱可能なALDカートリッジは、反応残渣をALD反応器本体を通して排出するように構成したALDカートリッジ本体内に出口導管を備える。
【0031】
特定の例示の実施形態において、着脱可能なALDカートリッジは円筒状カートリッジである。したがって、特定の例示の実施形態において、着脱可能なALDカートリッジの基本的な形状は円筒形である。特定の例示の実施形態において、着脱可能なALDカートリッジは円錐形カートリッジである。したがって、特定の例示の実施形態において、着脱可能なALDカートリッジの基本的な形状は円錐形である。特定の例示の実施形態において、着脱可能なALDカートリッジは円筒部分および円錐部分の両方を有する。円錐部分は底部にあってもよい。
【0032】
ALDカートリッジは下方へ先細であってもよい。あるいは、ALDカートリッジは一定の幅でもよい。
【0033】
特定の例示の実施形態において、着脱可能なALDカートリッジは、複数の粒状材料コーティング区画をその間に形成するために複数のフィルター板を備えるかまたは受け入れるように構成される。これら複数のフィルター板は、互いに間隔を空けて上下に重なり合うように配置される。特定の例示の実施形態において、区画の各々は、コーティングされる粒状材料収容するため空間を有する。
【0034】
本発明の第4の例示の態様によれば、第2の例示の態様のALD反応器および第3の態様のALDカートリッジを備える装置が提供される。装置はそれによってシステムを形成する。このシステムは、着脱可能なALD反応室カートリッジを有するALD反応器を備える。
【0035】
本発明のいろいろな拘束力のない例示の態様および実施形態は、前述に例示された。前記実施形態は、単に本発明の実施態様で利用できる選択された態様またはステップを説明するためにだけ用いられる。いくつかの実施形態は、本発明の特定の例示の態様を参照してだけ示すことができる。対応する実施形態が他の例示の態様に同様にあてはまることが理解されるべきである。実施形態のいかなる適当な組合せも形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
以下、例として添付図面を参照して本発明を説明する。
図1】例示の実施形態に従って粒子をコーティングするための堆積反応器および方法を示す。
図2】例示の実施形態に従った流動振動を示す。
図3】例示の実施形態に従って流動振動を引き起こす方法を示す。
図4】代替の実施形態に従って粒子をコーティングするための堆積反応器および方法を示す。
図5A-5D】ガスおよび粒子をカートリッジ反応室に供給するいろいろな例示の実施形態を示す。
図6】例示の実施形態に従って粒子をコーティングするための生産ラインを示す。
図7】さらに別の例示の実施形態に従って粒子をコーティングするための堆積反応器および方法を示す。
図8】例示の実施形態に従ったクイックカップリング法の概略の実施例を示す。
図9】例示の実施形態に従った別のクイックカップリング法の概略の実施例を示す。
図10】さらに別の例示の実施形態に従って粒子をコーティングするための堆積反応器および方法を示す。
図11】さらに別の例示の実施形態に従って粒子をコーティングするための堆積反応器および方法を示す。
図12】さらに別の例示の実施形態に従って粒子をコーティングするための堆積反応器および方法を示す。
【詳細説明】
【0037】
以下の説明では、原子層堆積(ALD)技術が実施例として用いられる。ALD成長機構の基本は当業者に知られている。本特許出願の冒頭の部分で述べたとおり、ALDは、少なくとも一つの基板への少なくとも二つの反応前駆種の逐次導入に基づく特別な化学堆積方法である。基板は反応空間の中に位置する。反応空間は通常は加熱される。ALDの基本的な成長機構は、化学的吸着(化学吸着)と物理的吸着(物理吸着)の接合強度の差に依存する。ALDは化学吸着を利用して、堆積プロセスの間に物理吸着を除去する。化学吸着の間に、強い化学結合は、固相面の原子と気相から生じている分子の間に形成される。ファンデルワールス力だけしか関係していないので、物理吸着による結合は非常に弱い。局部温度が分子の凝結温度を越えるときに、物理吸着結合は熱エネルギーによって容易に断たれる。
【0038】
ALD反応器の反応空間は、薄膜またはコーティングの堆積のために使用するALD前駆体の各々に交替に、且つ順次さらされることができるすべての典型的に加熱された表面を含む。基本的なALD堆積サイクルは、4つの逐次ステップ、すなわちパルスA、パージA、パルスB、およびパージBから成る。パルスAは、通常は、金属前駆体蒸気から成り、そしてパルスBは非金属前駆体蒸気、特に窒素または酸素前駆体蒸気から成る。不活性ガス(例えば窒素またはアルゴン)および真空ポンプは、パージAおよびパージBの間に気体反応副産物および残留反応物分子を反応空間からパージするために用いる。堆積シーケンスは少なくとも一つの堆積サイクルから成る。堆積シーケンスが所望の厚みの薄膜またはコーティングを生じるまで、堆積サイクルは繰り返される。
【0039】
典型的ALDプロセスにおいて、前駆種は化学吸着によって加熱表面の反応部位に化学結合を形成する。固体材料の分子単層だけが1つの前駆体パルスの間に表面に形をなすというような方法で、条件は典型的に調整される。成長プロセスは、したがって自己終端または飽和である。例えば、第1の前駆体は、吸着された種に取り付けられたままで表面を飽和させる配位子を含むことができて、それはさらなる化学吸着を防止する。前駆分子種が基板に本質的にそのまま化学吸着するように、反応空間温度は、利用された前駆体の凝結温度より上に、且つ熱分解温度より下に維持される。本質的にそのままとは、前駆分子種が表面に化学吸着するときに、揮発性の配位子が前駆分子から離れることができることを意味する。表面は第1の型の反応場、すなわち第1の前駆分子の吸着された種で本質的に飽和する。この化学吸着ステップの後に、通常は、第1のパージステップ(パージA)が続き、過剰な第1の前駆体および可能な反応副産物が反応空間から除去される。第2の前駆体蒸気は、それから反応空間に導入される。第2の前駆体分子は、通常は、第1の前駆分子の吸着された種と反応し、それによって所望の薄膜材料またはコーティングを形成する。一旦吸着された第1の前駆体の全ての量が消費されて、表面が第2の型の反応場で本質的に飽和したならば、この成長は終わる。第2の前駆体蒸気および可能な反応副産物蒸気の過剰は、それから、第2のパージステップ(パージB)により除去される。膜またはコーティングが所望の厚みに成長するまで、サイクルはそれから繰り返される。堆積サイクルはより複雑でもありえる。例えば、サイクルは、パージステップによって分離する3つ以上の反応蒸気パルスを含むことができる。すべてのこれらの堆積サイクルは、論理ユニットまたはマイクロプロセッサにより制御される時限堆積シーケンスを形成する。
【0040】
以下に説明するように、特定の例示の実施形態において、薄い絶縁保護コーティングがさまざまな粒状材料の表面に施される。粒子のサイズは、特定の材料および特定のアプリケーションに依存する。適切な粒径は、通常は、ナノメートル範囲からマイクロメートル範囲に及ぶ。多種多様な粒状材料を用いることができる。粒子の表面特性が特定のアプリケーションにとって望ましい方法で変更されるように、ベース粒子の組成およびコーティングのそれは、通常は、一緒に選択される。ベース粒子は、好ましくは、コーティングを生成するALD反応シーケンスに関与する官能基を表面に有する。
【0041】
図1は、例示の実施形態に従って粒子をコーティングするための堆積反応器および方法を示す。堆積反応器は着脱可能なカートリッジ110を備える。カートリッジ110は反応器本体121に取り付けられる。ある実施形態において、カートリッジ110は、クイックカップリングによって、例えば、それをロック位置にねじ込むことによって、反応器本体121に取り付けられる。カートリッジ110と反応器本体121の間に形成されるインターフェースは、カートリッジシール116により封止される。しかしながら、他の実施形態において、シール116は省略することができる。
【0042】
図8および9は、カートリッジ(ここで、810、910)を反応器本体(ここで、821、921)に取り付ける際に適用できるクイックカップリング法の特定の原則を概略的に示す。
【0043】
図8に示す例示の実施形態はフォームロッキング方法を示す。反応器本体821は、カートリッジ810の取付け部分823を受け入れるように構成される受け器822を備える。そこに配置される凹部847bおよび848bが、カートリッジ810をその正しい位置にロックする取付け部分823(またはその逆)に配置される対応する突起847aおよび848aに嵌合するように、受け器822は形成されて、形づくられる。その正しい位置において、ALD処理において使用する対応する流れ導管(この実施形態における835aおよび835bならびに836aおよび836b)は、互いに一直線にセットされる。受け器822は、ガスを下部から取付け部分823を通してカートリッジに送り込む際に用いることができる。
【0044】
図9に示す例示の実施形態は、カートリッジ910を反応器本体921に取り付けるためのねじり方法を示す。反応器本体921は、カートリッジ910を受け入れるように構成される受け器922を備える。受け器922は円形であり、そしてカートリッジ910をねじ込むことができるネジ山924を備える。受け器922は、停止部分958aが、カートリッジ910に配置した対応する停止部分958aに接触する位置で(例えば、カートリッジ910の円形の流れチャネル926において)、カートリッジ910のねじれ運動を止める停止部分958aをさらに備える。この位置では、反応器およびカートリッジ本体の部分に機械加工した対応する流れ導管940aおよび940bは、互いに一直線にセットされる。本願明細書において、導管は、ガス流導管、または粒状材料をカートリッジに入れる際に使用する導管(例えば、以下の説明で図6に関連して示すように)である。
【0045】
特定の例示の実施形態において、他のクイックカップリング法、例えば、フォームロッキングおよびねじりの両方を含む方法を用いることができる。前の実施形態および他の実施形態において、反応器本体またはカートリッジに取り付けたレバーまたはバネ仕掛けのレバー(図示せず)を用いる押圧係止方法が、加えて、またはその代わりに用いることができる。
【0046】
図1に戻ると、カートリッジ110と反応器本体121の間のインターフェースは、点線152により示される。これは、カートリッジ110がALD処理の後に反応器本体121から分離できるラインでもある。
【0047】
カートリッジ110は、中空空間、すなわち、反応室111をカートリッジ110内に形成するカートリッジ本体112を備える。反応室111は、本願明細書において、粉末または粉末粒子と呼ばれる、コーティングされる粒子を含む。カートリッジ110は、粉末を装填したり、取り出すためのために、点線151でカートリッジ本体112から分離できる蓋113をさらに備える。したがって、例示の実施形態において、カートリッジ110は他の場所で粉末を装填され(予め充填したカートリッジ)、それから粉末粒子をコーティングするために反応器本体121の中に取り付けられて、それから反応器本体121から取り外されて離されて、そして必要なときに、どこか他の場所で使用されるかまたは取り除かれる。
【0048】
カートリッジ110は、カートリッジ110の入口側の第1の粒子フィルター114(入口フィルター114)およびカートリッジ110の出口側の第2の粒子フィルター115(出口フィルター115)を備える。入口フィルター114は出口フィルター115より粗くてもよい(出口フィルター115は入口フィルター114より細かい)。
【0049】
ALD技術に従って、供給ライン131を経由する前駆体Aおよび供給ライン132を経由する前駆体Bは、反応室111に交互に流れ込むために制御される。前駆体AおよびBの露出期間はパージステップによって区切られる。ガスはホールウェイ133および入口フィルター114を通って反応室111に流れ込む。流れによって、粉末粒子は旋回して反応室111の中に流動床105を形成して、所望のコーティングが粉末粒子上に成長することを可能にする。所望の厚みのコーティングは、必要な数のALDサイクルを繰り返すことによって得られる。残留する反応物分子および反応副産物(もしあれば)ならびにキャリア/パージガスは、カートリッジ上部113内のチャネル134を経由して出口フィルター115を通して出口導管135および136に流れ込むために制御される。出口導管135および136は、例えば適切な方法によって、それらを機械加工することによって、カートリッジ本体112の中に配置された。出口導管135および136は反応装置本体部分121に続いて、そこではガスはチャネル137を通して排出ラインに流れる。
【0050】
動作中に、図1に示す垂直反応室111の下および中央の部分は、コーティング反応が発生する流動化ゾーンを形成するために考慮することができる。出口フィルター115に近い反応室111の上部分は、粉末粒子がガスと分離して流動化ゾーンへ落ちて戻る離脱ゾーンを形成するために考慮することができる。
【0051】
流動床の粉末粒子が、各々に固着してより大きな粒子ブロック、凝集物を形成する傾向があると観察された。凝集物の形成を妨げるために、振動ガス流は特定の例示の実施形態において使われる。これらの実施形態において、振動するガス流は反応室に供給される。どのガス流が振動するために選ばれるかは実施に依存する。特定の変形例は、図5A〜5Dに関連してこの説明で後述される。
【0052】
図2は、例示の実施形態に従った流動振動を示す。流れ圧力はできるだけ速く変化して、振動流れを引き起こす。図3は、例示の実施形態に従って流動振動を引き起こす方法を示す。この方法では、入って来るガス流301は、空洞302をこえて、そしてその中に圧入されて、出て行くガス流303に振動を引き起こす。この現象はヘルムホルツ共鳴に基づいている。出て行く振動ガス流303は、凝集物の形成を妨げるために反応室の中に導かれる。
【0053】
図4は、代替の実施形態に従って粒子をコーティングするための堆積反応器および方法を示す。図4に示す堆積反応器は、図1に示す堆積反応器に基本的に一致する。しかしながら、以下で明らかになるいくつかの違いがある。堆積反応器は着脱可能なカートリッジ410を備える。カートリッジ410は反応器本体421に取り付けられる。ある実施形態において、カートリッジ410は、クイックカップリングによって、例えば、それをロック位置にねじ込むことによって、反応器本体421に取り付ける。図1に示す例示の実施形態と異なって、図4に示す実施形態において、特にカートリッジ410と反応器本体421の間のインターフェース152が、金属に対する金属またはセラミックに対するセラミックのインターフェースあるいは類似物である場合、カートリッジ410と反応器本体421間のカートリッジシール116は省略することができる。それから、別のシールを使用する必要がない非常に密接した接触面がある。また、ALD処理が低圧において作動するときに、別のシールを使用する必要は減少する。
【0054】
カートリッジ410は、中空空間、反応室111を形成するカートリッジ本体112をカートリッジ410内に備える。反応室111は、コーティングされる粉末粒子を含む。例示の実施形態において、粉末粒子は別の装填チャネル441を通って反応室111に装填される。粉末は、不活性ガス流によって装填チャネル441を通って反応室111に吹き込まれることができる。図4に示す実施形態において、その他端が反応室111の底の部分と流体連通する(または通じる)ように、装填チャネル441はカートリッジ本体112の中に配置された。装填チャネル441は、例えば適切な方法によって、それを機械加工することによって、カートリッジ本体112の中に配置された。図4に示す実施形態において、装填チャネル441は反応器本体部分421に続き、そして装填の間の粉末流の方向は、反応器本体部分421からカートリッジ本体112を通って反応室111に入る。装填チャネルの他端は、粉末供給源または装填カートリッジまたは類似物に連結することができる。窒素は、例えば、不活性ガスとして用いることができる。
【0055】
ALD処理の後、コーティングされた粉末粒子は、取り出しチャネル442を通して反応室111から取り出される。粉末は、不活性ガス流によって、取り出しチャネル442を通して遠隔カートリッジまたは容器に吹き込まれることができる。図4に示す実施形態において、その他端が反応室111の底の部分と流体連通するように、取り出しチャネル442はカートリッジ本体112の中に配置された。取り出しチャネル442は反応器本体部分421に続き、そして取り出しの間の粉末流の方向は、反応室111からカートリッジ本体112を通って反応室本体部分421に入る。取り出しチャネルの他端は、遠隔カートリッジまたは容器に連結することができる。コーティングされた粉末粒子に吹きつける不活性ガスが取り出しチャネル442を通って反応室を出て、それと共にコーティングされた粉末粒子を引き出すように、それは装填チャネル441を通して反応室111の中に導かれることができる。
【0056】
図4の実施形態のためのカートリッジ410は、単一部品カートリッジまたは2つの部品カートリッジでもよい。着脱可能なカートリッジ蓋113が装填および取り出しのために必要ではないが、部品113はカートリッジを清掃するために役立つことができる。単一部品カートリッジの実施形態において、カートリッジ410の蓋113および残りは、単一の分離できない部分を形成する。
【0057】
図4に示す実施形態の動作上および構造的な特徴の残りは、図1に示す実施形態のそれらに一致する。
【0058】
図5は、ガスおよび粉末粒子をカートリッジ反応室111の中に供給するためのいろいろな例示の実施形態を示す。図5Aに示す例示の実施形態は、図1に示すものと類似の実施形態を示す。したがって、搬送ガスによって通常は搬送される前駆体は、下部からホールウェイ133および入口フィルター114を通って反応室111に供給される。粉末粒子は、前もって上部から他の場所に供給される。振動ガス流が使われる実施形態において、ALD処理の間に振動を引き起こすガス流は、供給ライン131または132(図1)または両方ともに沿って伝わるガス流でありえる。または、振動不活性ガス流のための別のチャネルが、加えて、またはその代わりに使用することができる(以下の図5Bおよび5Dに示すように)。
【0059】
図5Cに示す例示の実施形態は、図4に示すものと類似の実施形態を示す。したがって、搬送ガスによって通常は搬送される前駆体は、下部からホールウェイ133および入口フィルター114を通って反応室111に供給される。粉末粒子は、下部から装填チャネル441に沿って供給されて、取り出しチャネル442に沿って取り出される。振動ガス流が使われる実施形態において、ALD処理の間に振動を引き起こすガス流は、供給ライン131または132(図1)または両方ともに沿って伝わるガス流でありえる。代わりに、または加えて、振動不活性ガス流は、ALD処理の間に装填チャネル441に沿って反応室111に流入するために制御される。ALD処理の間、問題のチャネルが振動ガス供給のために使われないときに、チャネル441および/または442において反応室111に向かう小さい不活性ガス流がありえる。
【0060】
図5Bに示す例示の実施形態において、下部からの振動不活性ガスのための別の入口575があるのに対して、搬送ガスによって通常は搬送される前駆体AおよびBは、それぞれ、入口531および532を通ってカートリッジ反応室111に供給される。
【0061】
図5Dに示す例示の実施形態において、下部からの振動不活性ガスのための別の入口575があるが、実施形態はまた、粉末粒子を装填したり、取り出すために、装填および取り出しチャネル441および442も備える。あるいは、または入口575を通って流れる振動ガスに加えて、振動不活性ガス流は、ALD処理の間に、装填チャネル441および/または取り出しチャネル442に沿って反応室111に流入するために制御されることができる。ALD処理の間、問題のチャネルが振動ガス供給のために使われないときに、チャネル441および/または442において反応室111に向かう小さい不活性ガス流がありえる。
【0062】
図6は、粉末コーティング生産ラインの例示のレイアウトを示す。生産ラインはトリプル・カートリッジ・システムを備える。第1のカートリッジ110aは、第1の本体621aに着脱可能に取り付けられる装填カートリッジである。コーティングされる粉末粒子は、不活性ガスによって装填チャネル640aを通してALD反応器本体621bの中に着脱可能に取り付けられたALD処理カートリッジ110bの中に吹き込まれる。コーティングされた粉末粒子は、不活性ガスによって取り出しチャネル640bを通して第3の本体621cの中に着脱可能に取り付けられた第3のカートリッジ110cの中に吹き込まれる。第3のカートリッジ110cは、したがって、最終製品用のカートリッジである。一旦本体621cから分離すると、第3のカートリッジ110cは使用の場所へ輸送されることができる。
【0063】
図7は、さらに別の例示の実施形態に従って粒子をコーティングするための堆積反応器および方法を示す。堆積反応器は、処理室760、および処理室の上部フランジ771に対して押圧されることができる蓋770を備える。処理室760は、コーティングされる粉末粒子を充填したカートリッジ反応室710をその反応空間765に収容する。
【0064】
カートリッジ反応室710は処理室蓋770に連結する。図7に示す実施形態において、カートリッジ反応室710は供給ライン781および782によって処理室蓋770に連結する。カートリッジ反応室710は、したがって、カートリッジ反応室710を担持する処理室蓋770を下げることによって、反応室760に入れることができる。蓋770は、蓋770を上下できる持上げ機構775を備える。蓋770が上がるときに、カートリッジ反応室710ならびにそれに連結するパイプライン781および782が同時に上がるように、それは点線750で上がる。
【0065】
カートリッジ反応室710は、嵌合部品791のクイックカップリングによって処理室構造に取り付けられる。例示の実施形態において、カートリッジ反応室710は、嵌合部品791にロックするためにねじるか、または開放するためにねじることができる。
【0066】
前述の実施形態と同様に、カートリッジ反応室710は、その底部側の入口フィルター714およびその上部側の出口フィルター715を備える。ALD処理の間、供給ライン131を通じた前駆体Aおよび供給ライン132を通じた前駆体Bは、カートリッジ反応室710内に交互に流入するために制御される。図7に示す実施形態において、供給ライン731および732は、処理室蓋770を通じて進んで、処理室760内部で参照符号781および782により示された。
【0067】
前駆体AおよびB露出期間はパージステップにより区分される。ガスは、供給ライン781および782から交互に下部からホールウェイ133および入口フィルター714を通ってカートリッジ反応室710内に流入する。流れによって、粉末粒子は旋回して、カートリッジ反応室710内に流動床705を形成して、所望のコーティングが粉末粒子上に成長することが可能になる。所望の厚みのコーティングは、必要な数のALDサイクルを繰り返すことによって得られる。カートリッジ反応室710から、ガスは、出口フィルター715を通って上部から周りの処理室760の反応空間765内に、そしてそこから排出ライン737内に流れる。
【0068】
カートリッジ反応室710は、粉末粒子の運動および衝突によって発生する静電気がカートリッジ反応室710に過度に蓄積することを防止するために、アース780に接続している。アースへの接続は前述の実施形態にも適用することができる。
【0069】
カートリッジ反応室710内への振動ガス供給は、実施する場合、既存のパイプライン/供給ラインを通して実施することができる。
【0070】
図10は、さらに別の例示の実施形態に従って粒子をコーティングするための堆積反応器および方法を示す。堆積反応器は処理室1003内に受け器1011を備える。受け器1011は、クイックカップリング法、例えばフォームロッキング方法または類似物によって着脱可能なカートリッジ1020を処理室1003に受け入れるように構成される。
【0071】
堆積反応器は、動作中処理室上部フランジ1002の上にある処理室蓋1001を備える。処理室蓋1001がわきに上げられるとき、カートリッジ1020は処理室1003の上部から処理室1003に入れることができる。
【0072】
この実施形態に示すカートリッジ1020は複数のフィルター板1030をその中に備える円筒状反応室である。これら複数のフィルター板1030は、間に区画が形成されるように互いに間隔を空けて上下に重なり合うように配置される。区画は、コーティングされる粒状材料収容するために空間を有する。図10に示す実施形態において、3つのフィルター板およびその間の2つの区画がある(ただし他の実施形態では、区画の数はより少ない場合もあればより多い場合もあり、例えば単一の区画だけであるような場合や、3つ以上の区画がある場合もある)。フィルター板1030は、カートリッジ1020の側壁に配置されるフィルター支持体1032の上にある。フィルター板1030によって、前駆体蒸気および不活性ガスはそれを通って流れることができるが、粒状材料は通過することができない。実際には、フィルター板1030の一つ以上は焼結フィルターでもよい。
【0073】
フィルター板1030の最下のものは入口フィルターとして機能する。フィルター板1030の最上のものは出口フィルターとして機能する。図10に示す実施形態において、第1の区画は、最も下のフィルター板と次(すなわち、第2)のフィルター板の間に形成される。第2の区画は、その(すなわち、第2)フィルター板と一番上の(すなわち、第3)フィルター板の間に形成される。第1の区画は、コーティングされる粒状材料1041の第1の量を収容する。第2の区画は、コーティングされる粒状材料1042の第2の量を収容する。第1の区画の粒状材料は、第2の区画の粒状材料と比較して異なる粒状材料と同じでありえる。
【0074】
カートリッジ1020は、上部でカートリッジを閉じる蓋1021を備える。蓋1021がわきに移動するときに、フィルター板1030および粒状材料の一つ以上はカートリッジ1020の上部から装填することができる。
【0075】
図10に示す実施形態において、カートリッジ1020は、その最上部に排出チャネル1008に通じるカートリッジ側壁の開口1007をさらに含む。排出チャネル1008はカートリッジ1020の外に進んで、堆積反応器の排出ガイド1009内に至る。排出ガイド1009に続いて、堆積反応器は排出弁1010を備え、それを通してガスが真空ポンプ(図示せず)に送り出される。
【0076】
堆積反応器は、ALDプロセスによって必要とされるときに前駆体蒸気および/または不活性ガスを処理室に供給するために、供給ラインをさらに備える。図10において、第1の前駆体および/または不活性ガスの前駆体蒸気を供給するように構成される第1の供給ラインは、参照符号1005により表示され、そして第2の前駆体および/または不活性ガスの前駆体蒸気を供給するように構成される第2の供給ラインは、参照符号1015により表示される。前駆体蒸気および不活性ガスの供給は、第1の供給ライン1005の第1の供給弁1004によって、そして第2の供給ライン1015の第2の供給弁1014により制御される。
【0077】
入口フィルターの下に、カートリッジ1020はガス拡散空間1006を備える。特定の実施形態において、ガス拡散空間1006は、カートリッジ1020内で前駆体蒸気の一様な下から上への流れを引き起こすのを助ける。代替実施形態において、ガス拡散空間1006は適切な構造による堆積反応器により形成される。このような実施形態において、入口フィルターはカートリッジ1020の底部を形成することができる。
【0078】
図10の上の図面は、第2の前駆体の露出期間の間に動作中の堆積反応器を示す。不活性ガスだけが第1の供給ライン1005を通ってガス拡散空間1006に流入するのに対して、第2の前駆体の前駆体蒸気および不活性ガス(ここでは、窒素)の混合ガスは、第2の供給ライン1015を通ってガス拡散空間1006に流入する。流れはガス拡散空間1006から区画の中に続いて、粒状材料粒子を旋回させて、(粒子の流量および重量のような、特定の要因に応じて)区画内に流動床を形成する。ガス流はカートリッジ1020を出て、開口1007を通って排出チャネル1008に入る。振動ガス流は前に述べたと同様に使うことができる。
【0079】
図10の上の図面と共に図10の下の図面は、カートリッジ1020の外側の排出チャネル1008の経路が、排出チャネル1008が流れ対称を得るために最初にカートリッジ1020の側面に沿って、それからカートリッジ1020の下の(円筒状)カートリッジ1020の中心の軸に沿って進むようなものでもよいことを示す。
【0080】
図10の下の図面はまた、処理室1003内のカートリッジ1020周辺の処理室ヒーター1051および熱反射器1053を示す。さらにまた、図10の下の図面は、処理室フィードスルー1052を通って進むヒーター1051だけでなく供給ライン1005および1015も示す。フィードスルー1052を垂直方向に通過した後に、供給ライン1005および1015は曲がって、水平方向にとどまってガス拡散空間1006に入る。
【0081】
図11は、さらに別の例示の実施形態に従って粒子をコーティングするための堆積反応器および方法を示す。この実施形態には、図7および図10の説明でなされる参照に関して図7および図10に示す実施形態との特定の類似点がある。
【0082】
図11の左側の図面は組立図である。右側の図面は、第2の前駆体の露出期間の間に動作中の堆積反応器を示す。堆積反応器は処理室1110を備える。処理室1110は上部から処理室蓋1101によって閉じる。処理室蓋1101は、動作中、処理室の上部フランジ1102の上にある。
【0083】
堆積反応器は第1の前駆体源および第2の前駆体源を備える。堆積反応器は、ALDプロセスによる必要に応じて前駆体蒸気および/または不活性ガスを処理室に供給するために供給ラインをさらに備える。図11において、第1の前駆体の前駆体蒸気および/または不活性ガスを供給するように構成される第1の供給ラインは参照符号1105により表示され、そして第2の前駆体の前駆体蒸気および/または不活性ガスを供給するように構成される第2の供給ラインは参照符号1115により表示される。前駆体蒸気および不活性ガスの供給は、第1の供給ライン1105の第1の供給弁1104によって、そして第2の供給ライン1115の第2の供給弁1114により制御される。
【0084】
受け器1131は、フォームロッキング方法または類似物のような、クイックカップリング法によって着脱可能なカートリッジ1120を処理室1110に受け入れるように構成される。
【0085】
受け器1131は処理室蓋1101と一体化される。第1の供給ライン1105は、処理室上部フランジ1102を通過し、処理室蓋1101で曲がって、処理室蓋1101の中を進む(なお、いくつかの他の実施形態において、第1の供給ラインは処理室蓋の中を進むだけである)。同様に、第2の供給ライン1115は、反対側で処理室上部フランジ1102を通過し、処理室蓋1101で曲がって、処理室蓋1101の中を進む(なお、いくつかの他の実施形態において、第2の供給ラインは処理室蓋の中を進むだけである)。第1および第2の供給ライン1105および1115は下に曲がって、受け器1131内へ進んで受け器1131に付着し、それによって処理室蓋1101に入る。換言すれば、供給ライン1105および1115は受け器1131を担持する。
【0086】
受け器1131は、受け器1131の側壁に配置される支持体1132を備える。カートリッジ1120は、受け器1131のその位置に装填されるときに支持体1132で支えられる。
【0087】
この実施形態に示すカートリッジ1120は、円筒形本体(または円筒形壁)、下部の入口フィルター1121、および上部の出口フィルター1122を備える円筒形反応室である。入口フィルター1121および/または出口フィルター1122は焼結フィルターでありえる。あるいは、カートリッジ1120は、図10の実施形態のようにカートリッジ1120内に区画を形成するために、間に一つ以上のフィルター板を備えることができる。少なくとも、出口フィルター1122は、コーティングされる粒状材料1140のカートリッジ1120への装填を可能にするために着脱可能でありえる。
【0088】
堆積反応器は排出ガイド1107を備える。排出ガイド1107に続いて、堆積反応器は排出弁1108を備え、それを通してガスが真空ポンプ1109に送り出される。
【0089】
第1の供給ライン1105は、受け器1131に配置されるか、またはそれに連結するマイクロフィルター管1161で終わる。同様に、第2の供給ライン1115は、同じマイクロフィルター管1161でありえるマイクロフィルター管、または別のマイクロフィルター管、例えばマイクロフィルター管1161と平行なマイクロフィルターで終わる。カートリッジ1120を受け器1131のその位置に装填すると、マイクロフィルター管1161のまわりの限られた容積1151が形成される。この限られた容積はカートリッジ1120の真下に(またはその入口フィルター1121の下に)位置し、そしてそれは動作の間にガス拡散空間1151として機能する。特定の実施形態において、ガス拡散空間1151は、カートリッジ1120内で前駆体蒸気の一様な下から上への流れを引き起こすのを助ける。
【0090】
述べたように、図11の右側の図面は、第2の前駆体の露出期間の間に動作中の堆積反応器を示す。不活性ガスだけが第1の供給ライン1105を通ってガス拡散空間1151に流入するのに対して、第2の前駆体の前駆体蒸気および不活性ガス(ここでは、窒素)の混合ガスは、第2の供給ライン1115に沿ってマイクロフィルター管1161を通ってガス拡散空間1151に流入する。流れはガス拡散空間1151からカートリッジ反応室の中に続いて、粒状材料粒子を旋回させて、(粒子の流量および重量のような、特定の要因に応じて)区画内に流動床を形成する。ガス流は出口フィルター1122を経由してカートリッジ1120の上部を通ってカートリッジ1120を出て、処理室容積1110に入る。処理室1110から、ガスは下部で排出ガイド1107に流入して、排出弁1108を通って真空ポンプ1109に流入する。
【0091】
振動ガス流は、粒状材料1140内の凝集物の形成を妨げるために前に示したと同様に使用することができる。
【0092】
図12は、さらに別の例示の実施形態に従って粒子をコーティングするための堆積反応器および方法を示す。第1および第2の供給ライン1205および1215が処理室蓋1201内を進まず、処理室上部フランジ1202内だけ進み、そして受け器1231が処理室蓋1101にではなくて処理室上部フランジ1202に一体化されることを除いて、図12の実施形態は基本的に図11に示されるものと一致する。
【0093】
第1の供給ライン1205は処理室上部フランジ1202に入り込み、曲がって、処理室上部フランジ1202の中を進む。同様に、第2の供給ライン1215は処理室上部フランジ1202に入り込み、曲がって、処理室上部フランジ1202の中を進む。第1および第2の供給ライン1205および1215は下に曲がって、受け器1231内へ進んで受け器1231に付着し、それによって処理室上部フランジ1202に入る。換言すれば、供給ライン1205および1215は受け器1231を担持する。
【0094】
ガス拡散空間1251は、図11の実施形態のガス拡散空間1151と同様に形をなす。振動ガス流は、粒状材料1140内の凝集物の形成を妨げるために前に示したと同様に使用することができる。
【0095】
受け器1231は、この実施形態において、さらに特定の他の実施形態において、処理室構造に一体化した固定受け器であるのに対して、図11の実施形態において、受け器1131は、固定受け器でもあって、処理室構造に一体化もされたにもかかわらず、処理室蓋1101と共に動く可動受け器であった。
【0096】
前述の説明は、本発明の特定の実施態様および実施形態の非限定的な実施例として提供された。最良の形態の完全で有益な説明は、やがて、本発明を実施するために発明者により考察される。しかしながら、本発明が上で示された実施形態の詳細に制限されないことが、しかしそれは本発明の特性から逸脱することなしに等価手段を使用して他の実施形態において、実施できることが当業者に明らかである。
【0097】
さらにまた、本発明の上に開示された実施形態の特徴のいくつかは、他の特徴の対応する使用なしに利益を得るために使うことができる。このように、前述の説明は単に本発明の原理の例示に過ぎず、その限定でないと考えられるべきである。それ故、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってだけ制限される。
図1
図2
図3
図4
図5A-5D】
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12