(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963962
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】電気的なプラグインシステム
(51)【国際特許分類】
H01R 13/629 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
H01R13/629
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-526936(P2015-526936)
(86)(22)【出願日】2013年8月7日
(65)【公表番号】特表2015-529001(P2015-529001A)
(43)【公表日】2015年10月1日
(86)【国際出願番号】EP2013066587
(87)【国際公開番号】WO2014026899
(87)【国際公開日】20140220
【審査請求日】2015年2月13日
(31)【優先権主張番号】102012214433.1
(32)【優先日】2012年8月14日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013212914.9
(32)【優先日】2013年7月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング パーデ
【審査官】
高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−185872(JP,A)
【文献】
特開2006−147492(JP,A)
【文献】
特表2008−530763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/629
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ(12a,12b)とプラグインモジュール(14a,14b)とを備え、前記プラグ(12a,12b)は、前記プラグインモジュール(14a,14b)との電気的な接続を生ぜしめるように構成されているプラグインシステム(10)であって、前記プラグ(12a,12b)は、
プラグボディ(16)であって、該プラグボディ(16)内に複数の電気的なコンタクトが収容されていて、前記プラグインモジュール(14a,14b)のカラー(38)を収容するように形成されたプラグベース(18)を有しているプラグボディ(16)と、
開始位置から終端位置に動くことができるように構成され、かつ前記プラグ(12a,12b)を、前記プラグインモジュール(14a,14b)に係合するレバーアーム(24)を用いて、前記プラグインモジュール(14a,14b)に向かって引っ張ることができるように構成されているプラグレバー(22)と、を有している、プラグインシステム(10)において、
前記プラグレバー(22)は、2つの向きで前記プラグボディ(16)に取付け可能であり、前記レバーアーム(24)と前記プラグインモジュール(14a,14b)とは、前記2つの向きにおいて、前記プラグ(12a,12b)が前記プラグインモジュール(14a,14b)に向かって引張り可能に、互いに係合し、
前記レバーアーム(24)は軸(26)を有していて、前記プラグレバー(22)は、前記プラグボディ(16)に設けられた開口(28)において前記軸(26)を中心に動くことができ、前記軸(26)は前記プラグボディ(16)に向かって向けられており、
前記軸(26)は単一のレバー歯(42)と単一のストッパ歯(40)と有しており、該レバー歯(42)及びストッパ歯(40)は、前記軸(26)の長手方向に対して直交する方向で前記軸(26)から突出するように配置されており、
前記軸(26)の前記ストッパ歯(40)は、前記プラグレバー(22)の開始位置において、前記カラー(38)において1つの突出部(44)に支持されており、前記ストッパ歯(40)は、開始位置から終端位置へ前記プラグレバー(22)が動くときに前記突出部(44)を解放するように構成されている
ことを特徴とする、プラグインシステム(10)。
【請求項2】
前記レバー歯(42)は、前記ストッパ歯(40)よりも長く形成されていることにより、前記レバー歯(42)は、前記ストッパ歯(40)よりも大きく前記軸(26)から突出している、請求項1記載のプラグインシステム(10)。
【請求項3】
前記プラグインモジュール(14a,14b)の前記カラー(38)は、差込み通路(90)を有していて、該差込み通路(90)は、前記軸(26)を収容するように形成されており、前記カラー(38)の前記差込み通路(90)は、前記プラグレバー(22)の向きに関して対称的に形成されている、請求項1又は2記載のプラグインシステム(10)。
【請求項4】
前記差込み通路(90)は、前記差込み通路(90)内への差込み方向に沿って、2つの対称的な突出部(44)を提供する第1の部分(92)と、2つの対称的な切欠き(96)を提供する第2の部分(94)と、2つの別の対称的な突出部(46)を提供する第3の部分(98)とを有している、請求項3記載のプラグインシステム(10)。
【請求項5】
前記差込み通路(90)の第1の部分(92)の前記突出部(44)及び第3の部分(98)の前記突出部(46)は、前記差込み通路(90)内に等しい大きさで進入している、請求項4記載のプラグインシステム(10)。
【請求項6】
前記軸(26)の前記レバー歯(42)は、前記プラグレバー(22)の開始位置において、突出部(44)の周囲に係合していて、前記レバー歯(42)は、開始位置から終端位置へ前記プラグレバー(22)が動くときに1つの切欠き(96)内に押し込まれ、前記プラグ(12a,12b)と前記プラグインモジュール(14a,14b)とを互いに引き込むように構成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のプラグインシステム(10)。
【請求項7】
プラグカバー(20)をさらに有し、該プラグカバー(20)は、電気的な導体を前記プラグボディ(16)から案内するケーブル路(100)を有しており、前記プラグカバー(20)は2つの向きで前記プラグボディ(16)に固定可能なことにより、前記ケーブル路(100)は前記2つの向きで、前記電気的な導体を異なった方向において前記プラグボディ(16)から案内する、請求項1から6までのいずれか1項記載のプラグインシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグとプラグインモジュールとを備えた電気的なプラグインシステムに関する。
【0002】
従来の技術
車両において、エンジンルーム及びボディ空間には、多数の電気及び電子式の制御装置が取り付けられていて、これらの制御装置は、互いにかつ車両のその他のコンポーネントに、例えばセンサ及びアクチュエータに電気的に接続されねばならない。
【0003】
そのために制御装置にはプラグインモジュールが設けられていてよく、このプラグインモジュールのマルチコネクタは数100の極を有することがある。ワイヤハーネスに接続されている相応のプラグは、電気接続を形成するためにプラグインモジュールに接続することができる。そのためにプラグはレバーを有していて、このレバーは、プラグインモジュールにおけるラックに係合していて、閉鎖運動時にプラグをプラグインモジュールに向かって引っ張る。
【0004】
差込みレバーを備えたこのようなプラグのために、ワイヤハーネスコネクタとマルチコネクタとの間における差込み接続部は、非シール性に設計されている。それというのは、プラグインモジュールのカラーにおいて内部に位置するように配置されたラックと、このラックに係合する、レバーに設けられた軸とは、カラーとプラグとの間にシール部材が配置され得ることを阻止するからである。
【0005】
シール部材が設けられていないことによって、プラグインモジュールとプラグとの電気的なコンタクトは、エンジンルーム又はボディ空間における部分的に攻撃的な媒体にさらされている。
【0006】
さらに差込みレバーは、通常、1つの向きでしかプラグに取り付けることができない。また差込み接続部は、通常、片側においてしか閉鎖することもしくは係止することができない。
【0007】
発明の開示
ゆえに本発明の課題は、車両のワイヤハーネスのための、フレキシブルに取付け可能なプラグインシステムを提供することである。
【0008】
この課題は、独立請求項に記載の構成によって解決される。本発明のその他の構成もしくは態様は、従属請求項及び以下の説明に記載されている。
【0009】
本発明の1つの観点は、プラグとプラグインモジュールとを備えたプラグインシステムに関しており、この場合プラグは、プラグインモジュールとの電気的な接続を生ぜしめるように構成されている。プラグインモジュールは例えば、エンジン制御装置のような車両の制御ユニットに取り付けられていて、プラグは、車両のワイヤハーネスに接続されていることができる。プラグ及びプラグインモジュールは、100を超える電気的な個別コンタクトを有することができ、これらの個別コンタクトは、小型化された電気コンタクトを介して形成することができ、これらの電気コンタクトは例えば、0.5mmに0.4mmの横断面を有し、1.8mmのラスタ寸法で配置されている。このようなプラグインシステムは、例えば車両(乗用車、商用車、バス)において使用することができる。プラグインモジュールは例えば制御装置に取り付けられている。プラグは、例えばエンジン制御装置である制御装置を、ワイヤハーネスに接続するために使用することができる。
【0010】
本発明の構成は好適な形態で、車両の制御ユニットのための可変のプラグインシステムを提供することができ、このプラグインシステムでは、プラグレバー及び、プラグにおける電気的な導体のガイド、つまりケーブル路を、複数の向きでプラグに取り付けることができる。
【0011】
本発明の構成では、プラグインシステムのプラグは、プラグボディであって、該プラグボディ内に複数の電気的なコンタクトが収容されていて、プラグインモジュールのカラーを収容するように形成されたプラグベースを有しているプラグボディを有している。プラグはさらに、プラグレバーであって、開始位置から終端位置に動くことができるように、かつプラグを、プラグインモジュールに係合するレバーアームを用いて、プラグインモジュールに向かって引っ張ることができるように構成されているプラグレバーを有している。このようにして、プラグは、プラグベースでカラーに位置決めすることができ、レバー運動によってレバーによってコントロールされてプラグインモジュールに接続することができる。例えば、複数の歯を備えた軸が設けられていて、これらの歯がカラーにおける対応する突出部と係合するようになっているプラグレバーの運動によって、並進運動を生ぜしめることができ、この並進運動時に、100を超えるコンタクトが互いに押し込まれ、この際にこれらのコンタクトがうっかりと損傷(曲折)することはない。さらにプラグレバーによって、極めて大きな機械的な伝達比を得ることができるので、多数の電気的なコンタクトを難なく互いに押し込むことが可能である。
【0012】
さらにプラグは、プラグインモジュールに差し込まれたプラグを該プラグの周囲に対してシールするように形成された、少なくとも1つのシールエレメントを有している。差込みレバーは特に、プラグの内部を例えばラジアルシール及び/又はマットシールのようなシールエレメントによってシールすることができるように構成されている。例えばプラグレバーは、外側からプラグインモジュールのカラーに係合することができ、これに対してシールエレメントは、カラーの内側に押し付けられる。
【0013】
例えばプラグは次のように構成されており、すなわちこの場合プラグレバーは、2つの向きでプラグボディに取付け可能であり、レバーアームとプラグインモジュールとは前記2つの向きで、プラグがプラグインモジュールに向かって引張り可能であるように互いに係合するようになっている。プラグインシステムの本発明に係る構成によって、プラグレバーを互いに約180°回転させた2つの位置においてプラグに取り付けること、並びにプラグを2つの位置においてプラグレバーを用いて確実にプラグインモジュールに接続させることが可能になる。
【0014】
全体としてプラグインシステムを次のように、すなわち、ソケットの位置決めに関してフレキシブルでかつ可変の差込み接続部と、同時に、車両のワイヤハーネスの電気的な導体と制御装置との間における任意の長さの安定した電気的な接続部と、を提供するように、構成することができる。
【0015】
車両に取り付けられたセンサ及びアクチュエータ、並びに、センサの情報を処理しかつアクチュエータを制御することができる相応の制御ユニットの数は、常に多くなる。しかしながら車両においてセンサ、アクチュエータ及び制御ユニットのために利用できる空間は、強く制限されていることがある。従って車両におけるこれらのコンポーネントは、益々、小型化された構造形態で製造される。このことは、これらのコンポーネントの間における電気的な接続部を形成する所属のプラグ及びプラグインモジュールにも当て嵌まる。従って、プラグ及びプラグインモジュールをフレキシブルで可変の構造形態で製造し、これによってプラグ及びプラグインモジュールを、1つの車両型式において利用できる構造空間に相応して、種々異なった位置で制御ユニットに取り付けられるようにすることが必要なこともある。
【0016】
本発明の1つの態様では、プラグレバーは、それぞれ横ビームに結合されている2つのレバーアームを備えたプラグボディを有している。互いに平行に延びていてよく、かつレバーグリップとしての横ビームに対して直交するように延びていてよい両レバーアームには、それぞれの端部に軸を設けることができ、これらの軸は、プラグベースに収容されていて、該軸を中心にしてプラグレバーは動くことができる。軸は例えば、プラグベースにおける相応の開口に収容されていて、可動であってよい。この場合開口は、プラグベースにおいて対称的に形成されていて、プラグボディの互いに向かい合って位置する2つの側に対称的に配置されていてよく、その結果プラグレバーは、互いに約180°回転させられた2つの位置においてプラグに取付け可能である。
【0017】
本発明の1つの態様では、プラグレバーのレバーアームは軸を有していて、該軸を中心にしてプラグレバーは、動くことができ、軸はプラグボディに向けられている。軸は、例えばレバー歯及び/又はストッパ歯のような歯を有することができ、これらの歯は、プラグインモジュールに係合するように構成されている。例えば歯は、プラグインモジュールにおける相応のラックに係合することができる。プラグレバーは、ラックレバーであってよい。
【0018】
本発明の1つの態様では、軸は1つのストッパ歯を有していて、該ストッパ歯は、開始位置においてカラーにおける突出部に支持されるように構成されている。
【0019】
本発明の1つの態様では、軸は1つのレバー歯を有していて、該レバー歯は、突出部を取り囲むように構成されており、この場合レバー歯は、開始位置から終端位置へプラグレバーが動くときにプラグをプラグインモジュール内に引き込む。
【0020】
本発明の別の態様では、軸は単一のレバー歯と単一のストッパ歯と有しており、該レバー歯及びストッパ歯は、軸の長手方向に対して直交する方向で軸から突出するように配置されている。この場合軸の長手方向は、プラグボディにおける軸がそれを中心にして回転可能である回転軸線によって、確定することができる。それぞれただ1つのレバー歯及びストッパ歯を備えた軸の構成及びジオメトリは、さらに、比較的簡単に製造すること、及び安価に製造することができる。
【0021】
本発明の別の態様では、レバー歯は、ストッパ歯よりも長く形成されていることにより、レバー歯は、ストッパ歯よりも大きく軸から突出している。これによって比較的大きなレバー力を生ぜしめることができ、このようなレバー力は、プラグとプラグインモジュールとを互いに引き込むために必要なことがある。さらに比較的大きなレバー歯は、頑丈に構成されていてよく、これによって、プラグとプラグインモジュールとの相互の引込み時に発生する差込み力を、レバー力によって克服することができる。そしてこの場合にレバー歯が、例えば折損のように損傷するようなことはない。
【0022】
本発明の別の態様では、プラグインモジュールのカラーは、差込み通路を有していて、該差込み通路は、軸を収容するように構成されており、カラーの差込み通路は、プラグレバーの向きに関して対称的に形成されている。言い換えれば、軸は、プラグレバーがプラグボディに取付け可能である2つの向きにおいて、同じように、カラーの差込み通路によって収容されることができる。その結果両方の向きにおいて、開始位置から終端位置へのプラグレバーの動きによって、並進運動を生ぜしめることができる。この並進運動においてプラグ及びプラグインモジュールは、電気的な接続部を形成するために互いに押し込まれる。この場合差込み通路はラックとしてかつ軸はラックレバーとして理解することができる。
【0023】
この場合差込み通路は、カラーの外側に配置されていてよい。さらに2つの差込み通路が、カラーにおいて互いに向かい合って位置する2つの外側に形成されていてよく、両外側はそれぞれ、プラグレバーのレバーアームの軸を収容する。
【0024】
本発明の別の態様では、差込み通路は、差込み通路内への差込み方向に沿って、2つの対称的な突出部を提供する第1の部分と、2つの対称的な切欠きを提供する第2の部分と、2つの別の対称的な突出部を提供する第3の部分とを有している。この場合差込み通路の対称的な構成は、プラグレバーの2つの向きにおいて軸及びレバー歯の機能を保証することができる。
【0025】
本発明の別の態様では、差込み通路の第1の部分の突出部及び第3の部分の突出部は、差込み通路内に等しい大きさで進入している。これによって、通路の突出部に接触することなしに、軸の一部を差込み通路の第3の部分に押し込むことができ、これによっても、電気的な接続部を形成するために、プラグとプラグインモジュールとを互いに十分な大きさをもって互いに押し込めることを保証することができる。
【0026】
本発明の別の態様では、軸のレバー歯は、プラグレバーの開始位置において、差込み通路の突出部の周囲に係合していて、レバー歯は、開始位置から終端位置へプラグレバーが動くときに1つの切欠き内に押し込まれ、プラグとプラグインモジュールとを互いに引き込むように構成されている。このように構成されていると、プラグインモジュールのカラーには、ただ1つの突出部もしくは対応歯を設けるだけでよく、この突出部もしくは対応歯によって、レバー運動を並進運動に変換することができる。ただ1つの突出部の使用時には、この突出部は比較的大きく構成することができ、これによって大きな力を伝達することも可能である。
【0027】
本発明の別の態様では、軸のストッパ歯は、プラグレバーの開始位置において、カラーにおいて1つの突出部に支持されており、ストッパ歯は、開始位置から終端位置へプラグレバーが動くときに突出部を解放するように構成されている。この突出部は、プラグインモジュールのカラーの外側に設けられていてよい。
【0028】
本発明の別の態様では、プラグインシステムはさらにプラグカバーを有しており、該プラグカバーは、電気的な導体をプラグボディから案内するケーブル路を有している。この場合プラグカバーは2つの向きにおいてプラグボディに固定可能なことにより、ケーブル路は前記2つの向きにおいて、電気的な導体を異なった方向においてプラグボディから案内することができる。プラグカバーの向き、ひいては電気的な導体をプラグボディから案内する方向は、互いに約180°回転させられていてよい。車両における可能性を制限された構造空間を考慮しても、種々異なった向きにおいて構成可能なケーブル路は好適である。例えば電気的な導体を伴うプラグの装着過程後に、つまりプラグとワイヤハーネスとの接続後に、例えばケーブルメーカによって、ケーブル路を後から変更すること、又は構造空間に適合させることができる。また、ケーブル路に関するフレキシビリティは、製造におけるコスト節減を意味する。それというのは、ケーブル路の2つの向きのために、単一のプラグもしくはプラグインシステムを製造するだけでよいからである。さらにこれによって、プラグカバー及びケーブル路の種々異なった向きに対する交換作業の必要性を省くことができる。
【0029】
さらにプラグは少なくとも1つのシールエレメントを有しており、該シールエレメントは、プラグインモジュールに差し込まれたプラグを該プラグの周囲に対してシールするように構成されている。特にプラグレバーは、プラグの内部を、例えばラジアルシール及び/又はマットシールのようなシールエレメントによってシールすることができるように構成されている。例えばプラグレバーは、外側からプラグインモジュールのカラーに係合することができ、これに対してシールエレメントはカラーの内側に押し付けられる。
【0030】
本発明の別の態様では、プラグベースは、プラグインモジュール内に押し込まれるように構成された差込エレメントを有している。プラグベースは、例えば、プラグレバーの軸を案内するリングエレメントもしくは周壁エレメントを有することができ、このリングエレメントもしくは周壁エレメントの内部には、別のリング状の差込みエレメントが取り付けられている。リングエレメント及び差込みエレメントは、両エレメントの間にプラグインモジュールのカラーを収容することができる。差込みエレメントは、ラジアルシール(つまりシールリング)によって取り囲まれていてよく、このラジアルシールもしくはシールリングは、差込みエレメントとカラーとの間に収容されるように構成されている。つまりラジアルシールは、カラーを内側からシールすることができる。
【0031】
本発明の別の態様では、プラグは、プラグベースとプラグカバーとの間に配置されたマットシールを有している。マットシールは、電気的なコンタクトに通じる導体を収容するための通路を有することができる。ラジアルシールと一緒に、マットシールは、プラグとプラグインモジュールとによって形成された室を閉鎖することができる。
【0032】
本発明の別の態様では、プラグレバーは、レバーアームの一端に固定ピンを有しており、この固定ピンは、開始位置においてプラグベースにおけるストッパエレメントに接触しており、これによって、開始位置から終端位置へのプラグレバーの動きが阻止される。このようにして、プラグレバーは助けを借りることなしに、プラグが不所望の位置においてプラグインモジュールに位置決めされ、その結果、例えばレバーの歯が適正位置に配置されないこと、又はプラグが部分的にプラグインモジュールに押し込まれ得ることが阻止される。
【0033】
固定ピンは、プラグインモジュールにおけるランプの圧力によってプラグベースから離反方向に押圧されるように構成されていてよく、このように構成されていると、固定ピンはストッパエレメントを越えて滑動し、プラグレバーを解放する。このようにして固定ピンと共に、プレストップがプラグに組み込まれている。プラグレバーは、固定ピンが解除されるまで長く、開始位置に留まる。プラグレバーは、プラグがプラグインモジュールに載置され、ランプが固定ピンを解放すると初めて、操作することができる。
【0034】
本発明の別の態様では、プラグベースに別のストッパエレメントが設けられていて、該ストッパエレメントに固定ピンが終端位置において接触するようになっており、その結果、終端位置を越えるレバーの動きが阻止される。これによって、プラグとプラグインモジュールとが互いに過度に大きく引き離されることを、阻止することができる。
【0035】
本発明の別の態様では、プラグはプラグ固定装置もしくはプラグ位置固定装置を有しており、該固定装置は、プラグレバーの横ビームにおけるスライドエレメントと、プラグカバーにおけるロック解除ピンとを有しており、スライドエレメントは、該スライドエレメントがロック解除ピンに押圧された場合に、ロック解除位置からロック位置に押し動かすことができる。プラグ固定装置によってプラグは、プラグレバーが確実に終端位置にある場合にしか、ロックされ得ない。プラグ固定装置はプラグに組み込まれていて、プラグレバーが実際に終端位置に、すなわちプラグとプラグインモジュールとの間におけるすべての電気的な接続部が形成されていて、すべてのシールエレメントがシール作用を発揮している終端位置に、あるか否かを検査する。プラグ固定装置によって次いで、プラグレバーの開放を防止することができる。プラグレバーを開放するためには、プラグ固定装置を解除することが必要である。
【0036】
次に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の1実施形態によるプラグインシステムを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示したプラグインシステムの側面図である。
【
図3】
図1に示したプラグインシステムの縦断面図である。
【
図4】
図1に示したプラグインシステムの別の縦断面図である。
【
図5】
図1に示したプラグインシステムの横断面図である。
【
図6】
図1に示したプラグインシステムのプラグレバーの部分横断面図である。
【
図7】
図1に示したプラグインシステムのプラグレバーの別の部分横断面図である。
【
図8】
図1に示したプラグインシステムのプラグレバーの別の部分横断面図である。
【
図9】
図1に示したプラグインシステムのプラグレバーの別の部分横断面図である。
【
図10】
図1に示したプラグインシステムのプラグレバーを示す斜視図である。
【
図11】
図1に示したプラグインシステムのプラグインモジュールを示す斜視図である。
【
図12】
図1に示したプラグインシステムの側面図である。
【
図13】本発明の1実施形態によるプラグインシステムの側面図である。
【
図14】本発明の別の実施形態によるプラグインシステムの側面図である。
【0038】
原則的に、同一の部材又は類似の部材には、同一参照符号が使用されている。
【0039】
本発明の実施の形態
図1には、2つのワイヤハーネスコネクタであるプラグ12a,12bと2つのプラグインモジュール(もしくはマルチコネクタ(Messerleiste))14a,14bとから成るプラグインシステム10が示されている。両方のプラグ12a,12bは終端位置にあり、この終端位置においては、プラグインシステム10の内室が外部の影響に対してシールされていて、すべての電気的なコンタクトが接続されている。
【0040】
プラグ12a,12bは、プラグインシステム10の中心平面に対して対称的であり、かつプラグインシステム10は、プラグ12a,12bが互いに非対称的にプラグインモジュール14a,14bに差し込まれ得るように構成されている。
【0041】
両プラグインモジュール14a,14bは、1つの共通で一体のハウジング16内に収容されている。
【0042】
各プラグ12a,12bは、プラグベース18及びプラグカバー20を備えたプラグボディ16を有している。プラグカバー20は、プラグインモジュール14a,14bに差し込まれるプラグベース18の側とは反対側に位置する側において、プラグベース18を閉鎖している。
【0043】
各プラグ12a,12bのプラグレバー22は、2つのアーム24でU字形にプラグボディ16を取り囲んでいる。アーム24の端部には、各1つの軸26が設けられている。1つのプラグレバー22の両方の軸26は、プラグベース18における向かい合って位置する開口28に収容されている。
【0044】
プラグベース18はガイド溝30を有しており、このガイド溝30には、軸26に設けられたレール32が収容されていて、このレール32は、所属のレバーアーム24の軸方向における動きを阻止している。
【0045】
プラグレバー22は、横ビーム34を有しており、この横ビーム34は、両方のアーム24を結合していて、横ビーム34にはプラグ固定装置36が取り付けられている(
図6以下参照)。
【0046】
各プラグ12a,12b及び所属のプラグインモジュール14a,14bは、小型化された1.8mmのラスタ寸法を有し、かつ6列に構成されている。プラグインモジュール14a,14bにおけるピンは、0.5mmに0.4mmの横断面を有している。これによって小さな空間においてより多くのコンタクトを設けることができる。
【0047】
図2には、プラグインシステム10が縦断面図で示されている。プラグ12aは、開始位置で、プラグ12bは終端位置で示されている。
【0048】
プラグ12aにおいて分かるように、プラグインモジュール14a(及びプラグインモジュール14bも)は、縁部もしくはカラー38を有しており、このカラー38に、プラグ12aは開始位置において載置されている。第1のプラグ12aのアーム24は、開始位置において、第2のプラグ12bのカバー20に下ろされている。
【0049】
図3には、プラグインシステム10が横断面図で示されている。この図では、両方のレバー22は、プラグインシステム10の一方の側にもたらされている。
図3は、開始位置から終端位置へのレバー22の動きが、プラグインモジュール14aをプラグ12a内に引き込むことを示す。この場合カバー38はプラグベース18内に位置している。
【0050】
図4には、プラグインシステム10が横断面図で示されている。この図では、両方の軸26は、プラグインシステム10の一方の側にもたらされている。各軸26には、ストッパ歯40及びレバー歯42が設けられている。両方の歯40,42は、軸26から突出している突出部である。
【0051】
開始位置においてストッパ歯40は、差込み方向に対して横方向を向き、レバー歯42は、差込み方向に沿って延びている。カラー38には外側に突出部44が設けられていて、この突出部44には、開始位置においてストッパ歯40が下ろされる。このときプラグベース18は、開始位置において既にカラー38を越えて突出しており、これによってストッパ歯40が相応に配置されるように、プラグ12a,12bを位置決めすることができる。
【0052】
レバー22が終端位置に移動させられると、軸26とレバー歯42とは突出部44の下に係合し、プラグ12a,12bもしくは該プラグ12a,12bのベース18とプラグインモジュール14a,14bもしくはカラー38を互いに引き寄せる。このときストッパ歯40は、突出部44を開放して該突出部44のそばを滑動できるように動く。
【0053】
終端位置においてストッパ歯40は、差込み方向とは逆方向を向き、レバー歯42は、差込み方向に対して横方向を向いている。
【0054】
突出部44の下には別の突出部46が設けられていてよく、この突出部46は、レバー歯42がさらに差込み方向に動くことを阻止し、これによってプラグ12a,12bを終端位置において固定することができる。
【0055】
両方の突出部44,46は、2つの歯44,46を備えたラックと解釈することができる。鏡面対称的に配置された歯もしくはラックは、プラグインモジュール14a,14bにおけるカラー38の等しい側に配置されていてよい。この態様では、両方のプラグインモジュール14a,14bに対して、等しいカラー38を使用することができる。間にプラグインモジュール14a,14bにおける軸26のための差込み通路を形成する歯44,46及び突出部44,46については、さらに後で
図10及び
図11を参照しながら詳しく述べる。
【0056】
図5は、プラグインモジュール14aにおける2つのランプ48の高さにおけるプラグ12aの横断面図である。プラグ12aは、ラジアルシール50とマットシール52とによってシールされる。
【0057】
プラグベース18は、リングエレメントもしくは周壁エレメント54を有しており、この周壁エレメント54は、終端位置においてカラー38を取り囲み、外側においてカラー38と面一である。周壁エレメント54は、カラー38と全く同じに方形の横断面を有していて、リング状に成形されていることができる。
【0058】
さらにプラグベース18は中央エレメントもしくは差込みエレメント56を有しており、この差込みエレメント56は、終端位置においてカラー38によって取り囲まれる。周壁エレメント54と差込みエレメント56との間には、カラー38を収容するためのリング状の凹部が存在する。
【0059】
ラジアルシール50は、差込みエレメント56の外壁を取り囲んでいる。ラジアルシール50のためのスペースを得るために、カラー38はその外端部における内側面において先細になっていてよい。
【0060】
差込みエレメント56は、差込み方向において周壁エレメント54よりも短く、ラジアルシール50によって取り囲まれていて、このラジアルシール50は終端位置において、カラー38の内壁と差込みエレメント56の外壁との間でシール作用をもって接触している。
【0061】
差込みエレメント56を貫いて、ワイヤハーネスの導体を収容するためのガイド通路58が延びている。中央エレメント56は、プラグインモジュール14aからのピンを押し込むことができるコンタクトエレメントを収容するための室60を有している。
【0062】
プラグベース18とプラグカバー20との間には、マットシール52が位置しており、このマットシール52は、導体を案内することができる通路62を有していて、かつプラグ12aの内室を周囲に対してシールしている。
【0063】
プラグレバー22においてアーム24の端部には、固定ピン64が設けられており、この固定ピン64は、プラグボディ16に向かって(内方に向かって)突出していて、プラグレバー22が開始位置にあり、固定ピン64に対して力を作用しない場合には、ハウジングエレメント66に接触しており、これによってプラグレバー22は終端位置に向かって移動することができない。
【0064】
固定ピン64が接触している、ハウジングエレメント66の縁部は、プラグ12aの下縁部に対してほぼ直交している。
【0065】
カラー38のそばにはランプ48が位置しており、このランプ48には、プラグ12aがプラグインモジュールに載置されると、固定ピン64が上に位置する。プラグ12aに対する押圧によって、固定ピン64はランプ48に押し付けられ、ランプ48によって外方に向かってプラグボディ16から離反方向に押圧され、これによって固定ピン64は、ハウジングエレメント66を越えて滑動し、プラグレバー22を解放する。この際に、レバー22の、固定ピン64に結合されている領域が、変形する。
【0066】
レバー22が開始位置から終端位置へ動くときに、固定ピン64は、プラグボディ16におけるランプ68を介して案内される。この案内は、固定ピン64が終端位置において別のハウジングエレメントもしくはストッパエレメント70(
図3参照)に接触するまで続き、このストッパエレメント70は、終端位置を越えるレバー22の動きを阻止する。
【0067】
プラグベース18及びカラー38は、長手方向及び横方向に対して対称的に形成されている。レバー22は長手方向に対して対称的に形成されている。固定ピン64は、レバー22の両側に位置している。ランプ38、ランプ68及びストッパエレメント66,70は、プラグベース18もしくはカラーの両側に位置しており、それぞれの側には、これらのコンポーネントの各2つが配置されている。
【0068】
図6には、プラグインシステム10の長手方向に対して平行な平面であって、対称平面の外側に位置している平面に沿った、プラグ12aの横断面図が示されている。
【0069】
プラグ固定装置36もしくはプラグ位置固定装置36は、スライドエレメント72を有しており、このスライドエレメント72は、レバー22の横ビーム34に滑動するように支持されている。しかしながらスライドエレメント72は、
図6に示したロック解除位置において、プラグレバー22の係止エレメント74によって、ロック位置に滑動することを阻止される。スライドエレメント72は、その前縁部に溝76を有しており、この溝76は、係止エレメント74の縁部を収容することができる。
【0070】
プラグカバー20には固定解除ピン78が設けられており、この固定解除ピン78は、カバー20に対するレバー22の押圧時にスライドエレメント72を押圧して該スライドエレメント72を変形させ、その結果このスライドエレメント72は、もはや係止エレメント74には接触せず、係止エレメント74の上方へと移動することができる。そのためにスライドエレメント72は、溝76に接続して第1のランプ80を有している。
【0071】
カバー20及び横ビーム34は、プラグインシステム10の中心平面に対して対称的に形成されている。つまりスライドエレメント72は2つの溝76を有し、レバー22は2つの係止エレメント74を有し、かつカバー20は2つの固定解除ピン78を有している。
【0072】
図7には、プラグ12aが対称平面に沿った横断面図で示されている。
図6と同様に、スライドエレメント72は、レバー22とカバー20とが互いにロックされていないロック解除位置にある。
【0073】
スライドエレメント72は錠止体82を有しており、この錠止体82は、カバー20におけるU字形部材84内に移動して、レバー22がカバー20からそれ以上離反して移動できないように構成されている。
【0074】
図8は
図6と同様の横断面図であり、この場合スライドエレメント72はロック位置にある。スライドエレメント72はスイッチ86を有していて、このスイッチ86がロック位置に移動することができる。そのためにスライドエレメント72は係止エレメント74を越えて移動し、そこでスライドエレメント72は、レバー22における別のランプで、係止エレメント74に続くランプに接触している。この位置においてスライドエレメント72は、スイッチ86の操作によってロック解除位置に戻る動きをすることができる。このときスライドエレメント72は、両方のランプが互いに滑ることによって、係止エレメント74から離反する方向に屈曲する。
【0075】
図9は
図7と同様の横断面図である。ロック位置において錠止体82は、U字形部材84内に押し込まれている。錠止体82は、その前縁部に斜めに面取りされた部分を有しており、この部分は、U字形部材84への導入を容易にする。
【0076】
図10には、U字形に形成されかつ横ビーム34に結合された2つのレバーアーム24を備えたプラグレバー22が斜視図で示されている。この図から、レバーアーム24の端部にそれぞれ設けられている両方の軸26を、明瞭に認識することができる。
【0077】
軸26はそれぞれレール32を有しており、このレール32は、プラグベース18の開口28のガイド溝30内に収容されていて、レバーアーム24を、差込み方向によって定義付けることができる軸方向に対して固定する。さらに軸26はそれぞれ、単一のレバー歯42と単一のストッパ歯40とを有しており、このレバー歯42とストッパ歯40とは、軸26の長手方向に対して直交する方向で互いに90°ずらされて軸26から突出している。
【0078】
プラグベース18の開口28は、特に円形に形成されていてよく、この場合別の切欠きがプラグベース18に設けられていてよい。この別の切欠きは、レバー歯42に対して相補形状をもって形成されていて、開口28に隣接していることができ、これによって軸26のレバー歯42を、開口28を通して貫通案内することができる。さらに、開口28は、該開口28を通る中心平面に対して対称的に形成されていてよく、つまりレバー歯42に対して相補形状に形成された2つの切欠きが、開口28に設けられていてよく、これらの切欠きを通してレバー歯42を案内することができる。さらに2つの開口28が、プラグボディ16の互いに向かい合って位置する2つの側に対称的に配置されていてよい。
【0079】
さらにレバー歯42は、ストッパ歯40として軸26から突出しており、その結果、開始位置から終端位置へのプラグレバー22の運動時に、及びこれに関連した軸26の回転時に、レバー歯42を用いて十分に大きなレバー力を生ぜしめることができる。これによって例えば、プラグ12a,12bとプラグインモジュール14a,14bとを互いに差し込むために必要な差込み力をもたらすことができる。
【0080】
図11には、
図1に示したプラグインシステムのプラグインモジュール14a,14bが斜め上から見た斜視図で示されている。カラー38の互いに反対側に位置する2つの外側には、それぞれ1つの差込み通路90が位置している。プラグインモジュール14a,14bの両差込み通路90は、プラグレバー22の両レバーアーム24の各1つの軸26を収容するために構成されている。
【0081】
この場合カラー38は、差込み通路90の底部91を形成している。この底部91に向かい合っている側、つまりカラー38とは反対の側において、差込み通路90は、軸26を収容するために開放している。プラグ12a,12bがプラグインモジュール14a,14bに差し込まれると、プラグレバー22の両方の軸26は、プラグボディ16の互いに向かい合って位置する2つの側においてそれぞれプラグベース18の開口28内に収容され、この場合各軸26は、プラグインモジュール14a,14bの差込み通路90によって収容されている。
【0082】
各差込み通路90は、差込み方向に沿って、対称的な2つの突出部44を提供する第1の部分92と、対称的な2つの切欠き96を提供する第2の部分94と、対称的な別の2つの突出部46を提供する第3の部分98と、を有している。この場合第1の部分92の突出部44は、第3の部分98の突出部46と同じ大きさで、差込み通路90内に進入する。
【0083】
全体として、差込み通路90の第1の部分92、第2の部分94及び第3の部分98は、カラー38の肉厚部として構成されていてよく、この場合これらの部分92,94,98は、差込み通路90の底部91を取り囲んでいて、カラー38から突出している。この場合カラー38及び差込み通路90は、一体に形成されていても又は複数部分から形成されていてもよい。これによって差込み通路90の第1の部分92、第2の部分94及び第3の部分98は、差込み通路90の通路壁を形成することができる。複数部分から成る構成において、差込み通路90の通路壁は例えば、プラスチック射出成形法、プラスチック溶接、超音波溶接、接着又はリベット結合によってカラー38に固定することができる。
【0084】
差込み通路90は第1の部分92、第2の部分94及び第3の部分98に関して対称的に形成されている。言い換えれば、差込み通路90もしくは通路壁は、差込み方向に沿って差込み通路90を通る中心平面に関して鏡像対称的に構成されている。
【0085】
突出部44,46及び切欠き96の対称的な構成、もしくは差込み通路90の通路壁の対称的な構成によって、プラグレバー22を2つの向きにおいてプラグボディ16に取り付けることが可能であり、この場合レバーアーム24とプラグインモジュール14a,14bとは2つの向きにおいて互いに係合し、プラグ12a,12bは、開始位置から終端位置へのプラグレバー22の動きによってプラグインモジュール14a,14bに引き込まれる。言い換えれば、差込み通路90はプラグレバー22の向きに関して対称的に構成されているので、差込み通路はプラグレバー22の2つの向きにおいて軸26を収容することができる。
【0086】
既に
図4を参照しながら詳説したように、ストッパ歯40は開始位置において、差込み方向に対して横方向に、差込み通路90の第1の部分92の突出部44に支持されており、かつレバー歯42は、差込み方向に沿って差込み通路90内に進入していて、突出部44を取り囲む、もしくは突出部44の周囲に係合している。
【0087】
終端位置へプラグレバー22が動くときに、軸26は回転し、ストッパ歯40は突出部44を解放して、該突出部44のそばを滑動する。同時にレバー歯42は突出部44に下から係合し、プラグ12a,12bをプラグインモジュール14a,14b内にもしくはカラー38内に引っ張る。このときレバー歯42は、差込み通路90の切欠き96内に押し込まれる。終端位置においてストッパ歯40は、差込み方向とは逆方向を向いていて、差込み通路90の第1の部分92に位置している。これに対してレバー歯42は、差込み方向に対して横方向を向いていて、差込み通路90の第2の部分94における切欠き96内に進入している(
図4も参照)。
【0088】
図12には、
図1に示したプラグインシステム10が側面図で示されており、この場合プラグ12a,12bのプラグレバー22は、終端位置で示されていて、
図12の図平面に対して直交して延びる、プラグインシステム10を通る中心平面に関して、鏡像対称的に配置されている。
【0089】
プラグ12a,12bは各1つのプラグカバー20を有している。プラグカバー20は、例えばプラグボディ16の縁部領域に対して相補形状をもって形成された縁取り部(Berandung)101を有しており、これによってプラグカバー20は、例えば形状結合(Formschluss)及び/又は摩擦力結合(Kraftschluss)によってプラグボディ16に固定することができる。
【0090】
プラグボディ16の縁部領域及び、該縁部領域に対して相補形状をもって形成された、プラグカバー20の縁取り部101は、さらに2つの向きに関して対称的であり、この2つの向きにおいてプラグカバー20は、プラグボディ16上に取り付けることができる。プラグカバー20の向きは、互いに約180°回転させられていてよい。
【0091】
プラグカバー20はさらに、プラグボディ16から電気的な導体を案内するためのケーブル路100を有している。プラグカバー20の向きに相応して、ケーブル路100は2つの向きにおいて、電気的な導体を異なった方向でプラグボディ16から導く。
【0092】
図12に示したプラグインシステム10では、プラグレバー22及びプラグカバー20はそれぞれ、互いに非対称的な向きにおいてプラグ12a,12bに取り付けられている。すなわちプラグカバー20及びプラグレバー22は、プラグインシステム10を通る中心平面に関して鏡像対称的に配置されており、その結果ケーブル路100は互いに逆方向を向いている。従って電気的な導体は、ケーブル路100を通って逆方向においてプラグ12a,12bから案内される。
【0093】
図13に示したプラグインシステム10では、プラグレバー22及びプラグカバー20はそれぞれ、互いに同じ向きにおいてプラグ12a,12bに取り付けられており、その結果ケーブル路100もまた同じ方向を向いている。従って
図13に示したプラグインシステム10では、電気的な導体はそれぞれプラグボディ16から右側において案内される。
【0094】
図14に示したプラグインシステム10では、プラグレバー22及びプラグカバー20は同様にそれぞれ、互いに同じ向きにおいてプラグ12a,12bに取り付けられており、その結果ケーブル路100もまた同じ方向を向いている。
図14に示したプラグインシステム10では、電気的な導体はそれぞれプラグボディ16から左側において案内される。
【0095】
上に述べたことから全体として分かるように、
図12〜
図14に示したプラグインシステム10は、等しいコンポーネント12a,12b,20,22から構成されており、しかしながらこれらのコンポーネント12a,12b,20,22はそれぞれ、互いに別の向きでまとめられている。
【0096】
補足的に付言すると、「有する」という表現は、他のエレメント又はステップを排除するものではなく、また「1つの」という表現は、複数を排除するものではない。さらに付言すると、上に述べた実施形態のうちの1つを参照して記載した特徴及びステップは、上に述べた実施形態のうちの他の実施形態における他の特徴及びステップと組み合わせても使用することができる。請求項における参照符号は、実施形態を制限するものと見なすべきではない。