特許第5963963号(P5963963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5963963
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】冷却棚アッセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/04 20060101AFI20160721BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   A47F3/04 H
   A47F3/04 Q
   F25D11/00 101C
【請求項の数】14
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-527839(P2015-527839)
(86)(22)【出願日】2013年8月6日
(65)【公表番号】特表2015-531627(P2015-531627A)
(43)【公表日】2015年11月5日
(86)【国際出願番号】EP2013066454
(87)【国際公開番号】WO2014029611
(87)【国際公開日】20140227
【審査請求日】2015年4月13日
(31)【優先権主張番号】102012107711.8
(32)【優先日】2012年8月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505070195
【氏名又は名称】アーハーテー クーリング システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】AHT Cooling Systems GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ラインホルト レッシュ
【審査官】 角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/025240(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0257548(US,A1)
【文献】 独国実用新案第202010008333(DE,U1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0126196(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/04
F25D 11/00−16/00
17/04−17/08
23/00
27/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却棚アッセンブリであって、
該冷却棚アッセンブリが、互いに並列可能な少なくとも2つの棚モジュール(1,2,3)と、冷却装置(5)とから成っており、棚モジュール(1,2,3)が、各ライニング部材を備えた底部群(11)と、後壁群(12)と、頂部群(13)とを同じ形式で有していて、冷却スペース(4)を形成しており、
棚モジュール(1,2,3)が、底部群(11)と、後壁群(12)と、頂部群(13)とを支持する、フレーム形材を備えた複数の同一のモジュールフレームを有しており、
各棚モジュール(1,2,3)の少なくとも後壁群(12)が、冷却装置(5)の複数の構成要素を備えている冷却棚アッセンブリにおいて、
フレーム形材を備えたモジュールフレームが、棚モジュール(1,2,3)のサイドフレーム(10)を形成しており、
該サイドフレーム(10)に、底部群(11)と、後壁群(12)と、頂部群(13)との各ライニング部材が取り付けられており、
冷却装置(5)が、少なくとも圧縮機(51)と、蒸発器(50,50’,50’’)と、凝縮器(52)と、接続管路(53.1)を含む接続手段(53)と、ファン(56,57)と、制御ユニット(55.1)を備えた制御装置とを有しており、
冷却棚アッセンブリが、複数のまたは全ての棚モジュール(1,2,3)に沿って延びる、後壁群(12)内に配置された1つの共通の蒸発器(50,50’,50’’)を備えており、
各棚モジュール(1,2,3)の後壁群(12)、底部群(11)および/または頂部群(13)が、冷却装置(5)の別の構成要素を解離可能に組み付けるために形成されていることを特徴とする、冷却棚アッセンブリ。
【請求項2】
棚モジュール(1,2,3)のうちの一部だけ、1つの圧縮機(51)および/または1つの制御ユニット(55.1)を備えている、請求項1記載の冷却棚アッセンブリ。
【請求項3】
冷却装置(5)が、接続管路(53.1)を介して交換器(54)に接続されている、請求項1または2記載の冷却棚アッセンブリ。
【請求項4】
後壁群(12)内で、断熱性を備えて形成された外側ライニング(12.3)と、冷却スペース(4)を後方で画定しかつ複数の空気通流開口を備えた内側カバー(12.1)との間に、鉛直な中間室が形成されており、
互いに隣り合った棚モジュール(1,2,3)の鉛直な中間室が互いに補完し合って、冷却棚アッセンブリの全幅にわたって一貫して延びる、側方の端部で密に閉鎖された総中間室を形成しており、
該総中間室内に蒸発器(50,50’,50’’)が延びている、請求項1から3までのいずれか1項記載の冷却棚アッセンブリ。
【請求項5】
蒸発器(50,50’,50’’)が、互いに隣り合った鉛直形材(10.1)にかつ/または該鉛直形材(10.1)に外側ライニング(12.3)を介して取り付けられた中間壁(12.2)の前面に固定されている、請求項4記載の冷却棚アッセンブリ。
【請求項6】
各棚モジュール(1,2,3)またはただ1つの棚モジュール(1,2,3)の、冷却装置(5)の冷却構成要素を解離可能に組み付けるために用いられる収容装置が、1つの圧縮機(51)のための、後壁群(12)の下側の領域に配置された収容室と、制御ユニット(55.1)および/または1つの凝縮器(52)のための、後壁群(12)内にまたは頂部群(13)内にもしくは頂部群(13)上に配置された収容区画とを備えている、請求項1から5までのいずれか1項記載の冷却棚アッセンブリ。
【請求項7】
圧縮機(51)および制御ユニット(55.1)が、同じ棚モジュール(1,2,3)内に配置されている、請求項6記載の冷却棚アッセンブリ。
【請求項8】
冷却棚アッセンブリ内に、一部の棚モジュール(1,2,3)または全ての棚モジュール(1,2,3)に対して、ただ1つの凝縮器(52)も配置されており、該凝縮器(52)が、圧縮機(51)および制御ユニット(55.1)と同じ棚モジュール(1,2,3)内に配置されている、請求項6または7記載の冷却棚アッセンブリ。
【請求項9】
サイドフレーム(10)が、それぞれ1つの後ろ側の鉛直形材(10.1)と、該鉛直形材(10.1)から前方に突出した底部側の1つの下側の水平形材(10.2)と、前方に突出した頂部側の1つの上側の水平形材(10.3)とを有しており、
該上側の水平形材(10.3)と下側の水平形材(10.2)との間に、鉛直形材(10.1)から前方に間隔を置いて1つの支持形材(10.4)が挿入されており、
内側カバー(12.1)が、両サイドフレーム(10)の支持形材(10.4)の前面にまたは支持形材(10.4)同士の間に取り付けられており、
断熱性の外側ライニング(12.3)が、鉛直形材(10.1)の前面、鉛直形材(10.1)の背面または鉛直形材(10.1)同士の間に取り付けられている、請求項4から8までのいずれか1項記載の冷却棚アッセンブリ。
【請求項10】
複数の冷却棚(1,2,3)の幅にわたって延びる蒸発器(50,50’,50’’)が、鉛直形材(10.1)と支持形材(10.4)との間を通って延びている、請求項9記載の冷却棚アッセンブリ。
【請求項11】
各棚モジュール(1,2,3)の内側カバー(12.1)と外側ライニング(12.3)との間に、蒸発器(50,50’,50’’)を通して冷風流を発生させる少なくとも1つのファン(56)、特にラジアルファンが配置されている、請求項4から10までのいずれか1項記載の冷却棚アッセンブリ。
【請求項12】
側方に相並んで配置された1つ以上のファン(56)が、蒸発器(50,50’,50’’)よりも上方に配置されている、請求項11記載の冷却棚アッセンブリ。
【請求項13】
底部群(11)が、冷却スペース(4)に向けられた上側の面に底部カバー(11.1)を備えていて、該底部カバー(11.1)から下方に間隔を置いて案内プレート(11.2)を備えており、これによって、下側の水平な中間室が形成されており
頂部群(13)が、冷却スペース(4)に向けられた下面に下側のカバー(13.1)を備えていて、該下側のカバー(13.1)から上方に間隔を置いて上側のカバー(13.3)および/または中間カバー(13.2)を備えており、これによって、上側の水平な中間室が形成されており、
冷風流の循環ために、下側の水平な中間室と、上側の水平な中間室とが、後壁群(12)内の内側カバー(12.1)と外側ライニング(12.3)との間に形成された、蒸発器(50,50’,50’’)を含んだ鉛直な中間室に流れ接続されており、
循環が、冷却棚アッセンブリの前側を介して完成するようになっている、請求項4から12までのいずれか1項記載の冷却棚アッセンブリ。
【請求項14】
底部群(11)内で、案内プレート(11.2)の下面に、該下面の下側に配置された底部プレート(11.3)を用いて、または案内プレート(11.2)の内部に、下側の外側の流路が形成されており、
頂部群(13)内で、上側のカバー(13.3)と中間カバー(13.2)との間に、上側の外側の流路が形成されており、
後壁群(12)内で、外側ライニング(12.3)の前面と中間壁(12.2)との間に、鉛直な外側の流路が形成されており、
温風流の循環を形成するために、下側の外側の流路と、上側の外側の流路とが、鉛直な外側の流路に流れ接続されており、
循環が、冷却棚アッセンブリの前側を介して完成するようになっている、請求項13記載の冷却棚アッセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却棚アッセンブリであって、該冷却棚アッセンブリが、互いに並列可能な少なくとも2つの棚モジュールと、冷却装置とから成っており、棚モジュールが、各ライニング部材を備えた底部群と、後壁群と、頂部群とを同じ形式で有していて、冷却スペースを形成しており、棚モジュールが、底部群と、後壁群と、頂部群とを支持する、フレーム形材を備えた複数の同一のモジュールフレームを有しており、各棚モジュールの少なくとも後壁群が、冷却装置の複数の構成要素を備えている冷却棚アッセンブリに関する。
【0002】
独国実用新案第202010008333号明細書には、1つの冷却棚が記載されている。同明細書では、複数のこのような冷却棚が相並んで起立させられてもよい。冷却棚は、特別な形式で扁平に形成された面状冷却エレメントを有している。この面状冷却エレメントは、冷却棚の後壁群内に配置されており、場合によっては、付加的に底部群内にまたは天頂構成群内に組み込まれてもよい。冷却棚は、互いに内外で差合せ可能な鉛直な調整レールと、この調整レールに底部側でかつ天頂壁側で接続された、前方に向けられた水平な調整レールとから成るアッセンブリも有している。鉛直な調整レールは、後壁と冷却スペース側の空気案内壁との間に配置されていて、両者の間隔と同じ幅を有している。後壁に対する空気案内壁の間隔は、熱交換器の厚さもしくは熱交換器に沿った空気流を発生させる送風機の厚さから明らかである。熱交換器は、かなり高い冷却出力が必要となる場合、中央の冷凍ユニットに接続されている。この場合には、接続が専門会社によって行われなければならない。多数のこのような冷却棚の場合には、かなりの設置手間が生じてしまう。
【0003】
米国特許第5440894号明細書には、デパートエリアにおいて必要となる冷却スペースを提供するために、種々異なる構成要素、たとえば蒸発器、凝縮器、圧縮機およびこれに類するものを有する冷却装置を備えた冷却棚アッセンブリが示されている。冷却装置を備えた全冷却棚アッセンブリは、種々異なる棚と、冷却装置の構成要素を収容するためのキャビネットユニットとを有している。冷却設備全体の設置には、著しい手間がかかってしまう。
【0004】
別の冷却棚アッセンブリが、国際公開第2012/025240号に示されている。この公知の構造では、モジュール式に形成された複数の冷却棚を1つのアッセンブリに組み立てることができる。各冷却棚は、蒸発器と、凝縮器と、圧縮機とを備えた冷却棚個別の冷却装置を有している。冷却棚個別の1つの冷却装置が、少なくとも2つの冷却棚に対応配置されていてもよい。冷却棚は、二次循環路を介して中央の熱交換器に並列にまたは直列に接続されていてよい。
【0005】
凝縮器と制御ユニットとが冷却棚の上側の領域に配置されているのに対して、圧縮機は冷却棚の下側の領域に配置されている。現場での使用の際には、手間のかかる組付け作業が必要となると共に設置が困難であるといった状況が頻繁に生じてしまう。
【0006】
国際公開第2005/075910号には、たとえば1250mmの構造長さのモジュール式の複数の冷却棚を備えた別の冷却棚アッセンブリが提案されている。冷却棚モジュールは、蒸発器と、送風機と、膨張弁と、制御装置とを備えたそれぞれ1つの固有の冷凍ユニットを有している。1つの冷却棚モジュールの冷凍ユニットは、いわゆる「プラグイン式の冷凍ユニット」として形成されていてもよいし、相応の配管を介して中央の冷凍設備に接続されていてもよい。冷却棚アッセンブリの構造によって、個々の冷却棚モジュールの内部に、それぞれ異なる温度もしくは温度グループまたは温度クラスが実現されるようになっている。この構造によって、たとえば独国特許出願公開第10219101号明細書に記載の構造において公知であるような複数の冷却ケースモジュールから成る冷却棚アッセンブリの場合の、3000mmよりも長い長さを有する長く延ばされた熱交換器もしくは蒸発器の欠点が排除されるようになっている。このように設定された棚モジュールも、現場での設置の際には、それぞれ異なる状況に基づき、効率のよいエネルギ利用を含む必要性への最適な適合の達成を困難にする問題が生じてしまう。
【0007】
本発明の課題は、冒頭で述べた冷却棚アッセンブリを改良して、種々異なる局所的な状況への適合と同時に簡単な設置が達成可能となるようにすることである。
【0008】
この課題は、請求項1の特徴によって解決される。本発明では、フレーム形材を備えたモジュールフレームが、棚モジュールのサイドフレームを形成しており、このサイドフレームに、底部群と、後壁群と、頂部群とが、各ライニング部材でもって取り付けられており、冷却装置が、少なくとも圧縮機と、蒸発器と、凝縮器と、接続管路を含む接続手段と、ファンと、制御ユニットを備えた制御装置とを有しており、冷却棚アッセンブリが、複数のまたは全ての棚モジュールに沿って延びる、後壁群内に配置された1つの共通の蒸発器を備えており、各棚モジュールの後壁群、底部群および/または頂部群が、冷却装置の別の構成要素を解離可能に組み付けるための収容装置を同じ形式で備えて形成されていることが提案されている。
【0009】
この手段によって、冷却装置の複数の構成要素に対する簡単な組付け可能性を有する棚モジュールの安定した基本構造と、複数の棚モジュールの組立てによる、1つ以上、たとえば2つまたは3つの棚モジュールから成る冷却棚アッセンブリ(いわゆる「2軸アッセンブリまたは3軸アッセンブリ」)の形成とが達成される。たとえば完成した冷却棚アッセンブリを予め設置し、その後、建物スペース内の該当箇所に位置決めすることができる。提案されている限り、棚モジュールもしくは冷却棚アッセンブリに組み込まれかつ建物内に設けられた接続管路を含む接続手段を介して、冷却設備の中央の熱交換器への簡単な接続が行われてもよい。機械的に、共通の蒸発器は一体型に形成されていてもよいし、個々の蒸発器ユニットから形成されていてもよい。これらの蒸発器ユニットは、冷媒を循環させるために、流れ技術的に互いに接続されていて、好ましくはコンパクトなユニットを形成している。
【0010】
冷却棚アッセンブリの有利な態様では、棚モジュールのうちの一部だけ、特にただ1つの棚モジュールが、1つの圧縮機および/または1つの制御ユニットを備えている。この手段によって、簡単な構造で建物側への簡単な設置が達成される。この態様では、複数の棚モジュールに対して、ただ1つの圧縮機および1つの制御ユニットならびに1つの凝縮器しか使用されず、場合によっては、流入・戻し管路を介しての冷却設備の中央の熱交換器への接続も相応に簡単となる。
【0011】
熱導出にとって有利な態様では、冷却装置が、接続管路を介して中央の熱交換器に接続されている。
【0012】
エネルギが効率よく利用される良好な機能および簡単な構造にとって有利な態様では、後壁群内で、断熱性を備えて形成された外側ライニングと、冷却スペースを後方で画定しかつ複数の空気通流開口を備えた内側カバーとの間に、鉛直な中間室が形成されており、互いに隣り合った棚モジュールの鉛直な中間室が互いに補完し合って、冷却棚アッセンブリの全幅にわたって一貫して延びる、側方の端部で密に閉鎖された総中間室を形成しており、この総中間室内に蒸発器が延びている。
【0013】
さらに、有利な構造では、蒸発器が、互いに隣り合った鉛直形材にかつ/または面状の中間分離体の前面に固定されている。
【0014】
構造、組付けおよび設置に対する別の有利な変化態様では、各棚モジュールまたはただ1つの棚モジュールの収容装置が、1つの圧縮機のための、後壁群の下側の領域に配置された収容室と、制御ユニットおよび/または1つの凝縮器のための、後壁群内にまたは頂部群内にもしくは頂部群上に配置された収容区画とを備えている。ただ1つの圧縮機と、ただ1つの制御ユニットとに加えて、冷却棚アッセンブリ内には、冷却装置のさらに別の構成要素が存在していてもよい。
【0015】
さらに、圧縮機および制御ユニットが、同じ棚モジュール内に配置されている手段が有利である。
【0016】
構造および設置に対して、更なる利点は、冷却棚アッセンブリ内に、部分量または全ての棚モジュールに対して、ただ1つの凝縮器も配置されており、この凝縮器が、圧縮機および制御ユニットと同じ棚モジュール内に配置されていることによって得られる。
【0017】
組付けおよび設置に対する利点を伴う安定した構造は、サイドフレームが、それぞれ1つの後ろ側の鉛直形材と、この鉛直形材から前方に突出した底部側の1つの下側の水平形材と、前方に突出した頂部側の1つの上側の水平形材とを有しており、この上側の水平形材と下側の水平形材との間に、鉛直形材から前方に間隔を置いて1つの支持形材が挿入されており、内側カバーが、両サイドフレームの支持形材の前面にまたは支持形材同士の間に取り付けられており、断熱性の外側ライニングが、鉛直形材の前面、鉛直形材の背面または鉛直形材同士の間に取り付けられていることによって得られる。この態様では、特に外側ライニングを前面に配置することによって、断熱および組付けに対する利点が得られる。
【0018】
構造、組付けおよび機能は、複数の冷却棚の幅にわたって延びる蒸発器が、鉛直形材と支持形材との間に配置されていることによっても促進される。蒸発器は、たとえば支持形材の簡単な組付けおよび取外しによって容易に挿入することができる。
【0019】
機能に対する更なる利点は、各棚モジュールの内側カバーと外側ライニングとの間に、蒸発器を通して冷風流を発生させる少なくとも1つのファン、特にラジアルファンが配置されていることによって得られる。
【0020】
空気案内のために、特に有利な態様では、側方に相並んで配置された1つ以上のファンが、蒸発器よりも上方に配置されている。これによって、(ファンが下方に配置されている場合に生じてしまうような)淀み圧ならびに下方に落下した液滴および湿分による電気的な障害または損害の危険なしに、蒸発器の、鉛直に延びる複数の金属薄板同士の間のギャップを通る、むらなく分配される空気案内が達成される。
【0021】
構造、組付けおよび機能に対する更なる利点は、底部群が、冷却スペースに向けられた上側の面に底部カバーを備えていて、この底部カバーから下方に間隔を置いて案内プレートを備えており、これによって、下側の水平な中間室が形成されており頂部群が、冷却スペースに向けられた下面に下側のカバーを備えていて、この下側のカバーから上方に間隔を置いて上側のカバーおよび/または中間カバーを備えており、これによって、上側の水平な中間室が形成されており、冷風流の循環ために、下側の水平な中間室と、上側の水平な中間室とが、内側カバーと外側ライニングとの間に形成された、蒸発器を含んだ鉛直な中間室に流れ接続されており、冷風流が、棚モジュールもしくは冷却棚アッセンブリの前側を介して完成させられるようになっていることによって得られる。
【0022】
冷却棚アッセンブリの冷却機能に関連して、更なる利点は、底部群内で、案内プレートの下面に、この下面の下側に配置された底部プレートを用いて、下側の外側の流路が形成されており、頂部群内で、上側のカバーと中間カバーとの間に、上側の外側の流路が形成されており、後壁群内で、外側ライニングの前面と中間分離体との間に、鉛直な外側の流路が形成されており、温風流の循環を形成するために、下側の外側の流路と、上側の外側の流路とが、鉛直な外側の流路に流れ接続されており、温風通路が、棚モジュールもしくは冷却棚アッセンブリの前側を介して完成させられるようになっていることによって達成される。
【0023】
本発明を複数の実施の形態に基づき図面を参照しながら以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】(まだ完全には組み立てられていない状態における)互いに並列させられた3つの棚モジュールにより形成された冷却棚アッセンブリを前方かつ側方から見た斜視図である。
図2】中央の熱交換器に接続された冷却装置の概略的に図示した複数の構成要素を備えた1つの棚モジュール、2つの棚モジュールもしくは3つの棚モジュールから成る3種類の冷却棚アッセンブリの概略図である。
図3】側方で開いた1つの棚モジュールを斜め側方かつ前方から見た斜視図である。
図4】開いた1つの棚モジュールの側面図である。
図5】側方で開いた1つの棚モジュールの下側の区分を示す図である。
図6】冷却棚アッセンブリの下側の前側の角隅領域を斜め前方、側方かつ上方から見た斜視図である。
図7】(下側の)底部プレートを省いた冷却棚アッセンブリの下側の角隅領域を斜め下方、前方かつ上方から見た斜視図である。
図8】1つの棚モジュールの上側の区分を斜め側方、前方かつ上方から見た斜視図である。
図9A】側方で開いた1つの棚モジュール上側の区分を示す図である。
図9B】1つの棚モジュールの上側の後ろ側の角隅領域の斜視図である。
図9C】1つの棚モジュールの下側の後ろ側の角隅領域の斜視図である。
図10】1つの棚モジュールの横断面を片側から見た概略図である。
図11】1つの棚モジュールのそれぞれ異なる組立てステップを示す図であり、図11A図11Xには、それぞれ第1〜第24の組立てステップが示してある。
【0025】
図1には、3つの棚モジュール1,2,3から冷却棚アッセンブリに組み立てられたユニットが示してある。冷却棚アッセンブリは、前方から手を近づけることができる冷却スペース4を、後ろ側、上方および下方で取り囲んでおり、使用状態では、少なくとも側方でも取り囲んでいる。このためには、アッセンブリの両側に、相応の側壁が取り付けられる。前面は、手を近づけることができるように開いてもよいし、特殊な使用形態では、ドアエレメントを備えていてもよい。使用状態では、冷却スペース4内に棚板が取り付けられている。この棚板上には、売り場において、冷却商品、たとえば肉製品、乳製品またはこれに類するものが載せられている。ただ1つの棚モジュール1,2,3が冷却棚として使用されてもよい。この形態では、両側に側壁が取り付けられていて、前面が開いていてもよいし、少なくとも1つのドアエレメントで閉鎖されていてもよい。
【0026】
冷却スペース4を保冷するためには、冷却棚アッセンブリ内に冷却装置5(図2参照)の複数の構成要素、特に蒸発器50,50’,50’’と、圧縮機51と、凝縮器52と、膨張弁アッセンブリと、接続管路53.1を含む接続手段53と、制御装置55(図8参照)の制御ユニット55.1と、更には、必要となる空気流を発生させるかもしくは促進するためのファン56,57(図3参照)とが組み込まれている。凝縮器52は、相応の接続管路53.1と二次循環路とを介して、たとえば別のスペースに位置する熱交換器54に接続されていてよい。必要な場合には、たとえば、より大きな冷却棚アッセンブリが、冷却装置5の同様の複数の構成要素を含んでいてもよい。
【0027】
図示の実施の形態に係る好適な構成では、相応の接続手段53を備えた凝縮器52が、上側のカバー13.3の領域において、上方または後方から良好に手を近づけることができるように、頂部群13に形成された上側の冷却構成要素収容部13.30内にまたは上側の冷却構成要素収容部13.30上に配置されているのに対して、圧縮機51は、好適には後壁群12の下側の領域において、冷却スペース4を後方で画定する内側カバー12.1の背後で収容装置の収容室(図示せず)内に配置されている。後壁群12の中間の領域では、蒸発器50,50’,50’’が同じく内側カバー12.1の背後に配置されていて、収容装置の手段によって組み付けられている。図1から明らかであるように、蒸発器50’’が一貫して3つの全ての棚モジュール1,2,3にわたって延びているのに対して、圧縮機51と凝縮器52とは、棚アッセンブリの3つの全ての棚モジュール1,2,3に対して、図1に示した実施の形態では右側のただ1つの棚モジュール1にだけ共に配置されていて、相応の接続管路を介して、冷却装置5の前述の中間要素、たとえば膨張弁もしくは絞りを介在させて蒸発器50’’に接続されている。
【0028】
すでに述べた頂部群13および後壁群12のほかに、各棚モジュール1,2,3は底部群11も有している。この底部群11は、上側に位置する底部カバー11.1によって冷却スペース4を下方で画定していて、底部群11の前面に、複数の空気通流孔、特に空気通流スリットを備えた被覆格子体11.10と、下側の前側の縁領域に設けられたキックプレートまたは飾り縁を備えた前側カバー11.4とを支持している。
【0029】
各棚モジュール1,2,3の主要な構成要素は、棚モジュール1,2,3の各サイドに配置された、側面図で見てC字形の構造を備えたサイドフレーム10である。このサイドフレーム10は、裏面に沿った鉛直形材10.1と、この鉛直形材10.1に下側で接続されて前方に突出した下側の水平形材10.2と、鉛直形材10.1の上側の端区分に接続されて前方に突出した上側の水平形材10.3とを備えている。図示の形態では、下側の水平形材10.2が、上側の水平形材10.3よりも前方に突出している。しかしながら、さらに詳しく調べてみると、たとえばブラインドと照明装置とを備えた上側の張出し部分を撓みなく安定した状態に支持するために、下側の水平形材10.2と比較して同じ長さ以上の上側の水平形材10.3が有利であることが判った。鉛直形材10.1の前方では、この鉛直形材10.1から前方に間隔を置いて、下側の水平形材10.2と上側の水平形材10.3との間に支持形材10.4が組み付けられている。下側の水平形材10.2は、複数の足60,61で水平化可能性を伴って支持されている。各棚モジュール1,2,3の両サイドフレーム10は、その下側の水平形材10.2によって底部群11を支持していて、その鉛直形材10.1と支持形材10.4とによって後壁群12を支持していて、その上側の水平形材10.3によって頂部群13を支持しており、簡単な組立てステップで安定した構造を成している。さらに、両サイドフレーム10は、冷却棚アッセンブリを形成するための複数の棚モジュール1,2,3の安定した並列を保証している。冷却棚アッセンブリは、安定したユニットとして、持上げ機器または車両によって運搬可能である。
【0030】
図2に示したように、冷却棚アッセンブリの有利な実施の形態では、媒体を行き来させる前述の接続管路53.1を備えた、場合により設けられている中央の熱交換器54を除いて、ただ1つの棚モジュール1が冷却装置の全ての構成要素を備えている(拡張タイプbによるモジュール)のに対して、冷却棚アッセンブリの残りの棚モジュール2,3は蒸発器50’,50’’しか備えていない。この蒸発器50’,50’’は、有利には(必ずしも必要というわけではないが)一貫して延びるユニットとして形成されている(拡張タイプaのモジュール)。拡張タイプaのモジュールの蒸発器50’,50’’は、接続管路53.1と、場合によっては信号伝送(センサ機構、制御装置)および電気的なエネルギ供給のための電気的な配線とを含む相応の接続手段53を介して、拡張タイプbの棚モジュール1に設けられた冷却装置5の残りの前述の構成要素に接続されている。しかしながら、全ての棚モジュール1,2,3は、接続管路53.1の、予め配管された区分と、棚モジュール1,2,3の冷却構成要素同士の間の簡単で急速な接続のための接続手段と、場合によっては中央の熱交換器54をも含めて、冷却装置5の全ての所要の構成要素を収容するために同じ形式で提供されており、これによって、ある1つの拡張タイプのモジュールを、冷却装置の別のまたは異なる構成要素を備えた別のまたは場合によってはさらに別の拡張タイプのモジュールに少ない組付け手間で組み換えることもできる。また、たとえば、より多くの個数の棚モジュールを備えた冷却棚アッセンブリには、拡張タイプbのただ1つの棚モジュールもしくは冷却装置の付加的な構成要素を備えた拡張タイプのただ1つの棚モジュールよりも多くの棚モジュールが存在していてもよい。
【0031】
さらに、複数の棚モジュール1,2,3にわたって一貫して延びる蒸発器50’,50’’は、前述の鉛直形材10.1と、この鉛直形材10.1の前方に間隔を置いて位置する支持形材10.4との間に比較的容易に追加的に挿入されて、鉛直形材10.1および/または中間分離体、特に中間壁12.2に取り付けられてもよい。追加的な組付けは、たとえば熱交換器、特に蒸発器50,50’,50’’を一方のサイドから後壁平面に対して平行に導入することによって行われるかまたは前述の支持形材10.4を取り外した後に前方から行われる。なお、この支持形材10.4は、次いで、再び組み付けられる。以下でさらに詳しく説明するように、支持形材10.4の特別な組付け形式によって、組付けおよび取外しが簡単になる。
【0032】
図2にさらに示したように、図示の構造では、ただ1つの棚モジュール1が、たとえば急速継手と制御可能な弁とを有する準備された接続手段53によって中央の熱交換器54に接続されなければならないのに対して、残りの棚モジュール2,3は、組み込まれた接続手段53を介して互いに簡単に接続されるだけである。中央の熱交換器54は、通常、前述の棚モジュール1(拡張タイプb)の凝縮器52に二次循環路を介して接続されている。この二次循環路には、冷却棚アッセンブリ内で案内される冷媒と異なる冷媒が使用される。凝縮器52には、たとえばコンパクトなプレート式熱交換器または管式熱交換器が使用されてよい。中央の熱交換器54内で発生した熱は、熱エネルギの更なる利用のために、右上に矢印で示したように導出されてよい。
【0033】
図3および図4から認めることができるように、底部群11と、後壁群12と、頂部群13とは、空気案内のための中間室を内部に備えて多層状に形成されている。空気案内は、複数のファン56,57によって行われるかもしくは促進される。これらのファン56,57は、たとえばラジアルファンまたはダイアゴナルファンとして形成されている。また、ファン56,57のうち、図示の実施の形態では、1つのファンが後壁群12の下側の領域に配置されていて、1つ以上のファンが後壁群12の上側の領域に配置されており、または択一的には、2つのファンが後壁群12の上側の領域に配置されている。1つのファン56または複数の上側のファン56は、図10に示したように、下方から上方に向かって蒸発器50,50’,50’’を通流する空気流れを発生させる。蒸発器50,50’,50’’により形成された冷却空気流の一部は、内側カバー12.1の後ろ側で再び下方に導かれ、この内側カバー12.1に設けられた通気スリットを通って冷却スペース4内に流れ込み、これによって、この冷却スペース4が所要の冷却温度に保たれる。最適な冷却を達成するためには、冷却スペース4内に導かれた冷却空気流が引き続き扇状に拡げられ、適切に、たとえば流れ抵抗を減らしながら下方へと適合されるようになっている。冷却空気流れの別の部分は1つのファン56または複数の上側のファン56によって、後壁群12の鉛直な内側の中間室12.4を通って、この中間室12.4に接続された、頂部群13に設けられた上側の中間室13.7内に案内され、冷却スペース4を上方で画定する下側のカバー13の上面に沿って前側の頂部区分13.4にまで案内され、その下面において、流出格子体13.5を備えたギャップ状の流出開口13.50を通って流出し、前側に冷風カーテン70を形成している(図10参照)。次いで、この冷風カーテン70の空気流れが、底部群11の前側の領域において、この領域に存在しかつ前側に沿って延ばされた、被覆格子体11.10で覆われた流入開口11.11を通って、底部カバー11.1の下側の中間室11.6内に再び流入し、これによって、再度、後壁群12の、中間室11.6に流れ接続された鉛直な内側の中間室12.4と、蒸発器50,50’,50’’と、上側のファン56とを通って循環して流れる。底部カバー11.1と、内側カバー12.1と、頂部群13の下側のカバー13.1とは、冷却スペース4への冷却出力の良好な伝達のために、特に金属またはプラスチックから成る肉薄のプレートから形成されている。このプレートは、さらに、良好に取扱い可能であると共に清浄化可能である。底部カバー11.1のプレートは、有利には幅方向でセグメント分割されていて、底部群11の前方の領域に設けられた流入開口11.11から、後壁群12の内側カバー12.1の下側の領域にまで延びている。後壁群12の内側カバー12.1のプレートは、有利には鉛直方向でセグメント分割されていて、1つの棚モジュール1,2,3の両サイドフレーム10の間の全幅にわたって延びている。鉛直方向で互いに上下に配置された複数のプレートは、たとえば冷却装置5の前述の構成要素を露出するか、清浄化するか、組み付けるか、または取り外すために、容易に取扱い可能に挿入することができるかもしくは取り出すことができる。
【0034】
図5図6および図7から詳細に明らかであるように、底部カバー11.1は、前側の領域では、複数のブロック状の載置手段11.5、たとえば硬質プラスチックから成るプラスチックブロックに載置されていて、後ろ側の領域では、たとえば前方に突出した載置脚部を備えた載置折曲げ材、特に両サイドフレーム10の支持形材10.4の下側の区分に設けられた折曲げ条片として形成された別の載置手段に載置されている。
【0035】
底部カバー11.1の下側に形成された下側の中間室11.6の下側には、断熱・消音性のプラスチックから成る案内プレート11.2が配置されている。この案内プレート11.2はその上面において、生じた液体のための捕集槽を同時に成していて、流出管系統に接続された流出孔11.21を有している。案内プレート11.2は下面に成形通路アッセンブリ11.20を備えている。この成形通路アッセンブリ11.20によって、案内プレート11.2の下側に、下側の外側の空気流路11.7としての下側の外側の水平な中間室が形成される。この中間室は、底部群11の下側において底部プレート11.3または複数の分割底部プレートもしくはカバープレートによって下方に対して覆われている。
【0036】
図6および図7に示したように、下側の外側の水平な空気流路11.7を形成するためには、成形通路アッセンブリ11.20の、案内プレート11.2の前面の各入口開口11.70を起点として延びる複数の通路が、案内プレート11.2の下面の後ろ側の領域でまとめられて、案内プレート11.2の、比較的広幅の後ろ側の凹部もしくは凹状成形部を介して、後壁群12の、凹部もしくは凹状成形部に流れ接続された鉛直な外側の後方の中間室もしくは鉛直な外側の後方の流路12.5に移行している。この流路12.5は、図3からも、部分的には、図10からも明らかであるように、外側ライニング12.3と内側カバー12.1との間の中間壁12.2を含む中間分離体と、外側ライニング12.3の前面との間に形成されている。下側の外側の空気流路11.7と、鉛直な外側の流路12.5の下側の区分との間に移行部を形成するためには、比較的肉厚の絶縁性の外側ライニング12.3の下側の領域が切り欠かれていて、たとえば、外側ライニング12.3の絶縁層を裏側で覆う後ろ側の肉薄の被覆プレートのみが残されていてよい。絶縁性の外側ライニング12.3における切欠きは、たとえば、前側の肉薄の被覆プレートと絶縁層との追加的な切取り加工によって形成されてもよいし、すでに製造に際して、発泡成形時のこの領域の欠落と、前側の被覆プレートの切欠き加工とによって形成されてもよい。こうして、移行部と、鉛直な外側の流路12.5の下側の区分とを適切に配置することができ、たとえば下側のファン57の背後と、後壁群12内の下方で一方のサイド側に収納された圧縮機(図1参照)の側方とに延在させることができる。次いで、鉛直な外側の流路12.5は案内エレメントによって後壁群12の全幅にわたって上向きに実用的に拡張されている。
【0037】
後壁群12の下側の領域に配置されたファン57は、鉛直な外側の中間室内もしくはこれにより形成された鉛直な外側の流路12.5内に位置している。この流路12.5は、図10に関連した図8および図9Aから明らかであるように、蒸発器50,50’,50’’の後ろ側の中間壁12.2を含む中間分離体にわたって外側ライニング12.3の前側を通って上方に延びていて、上側の外側の中間室もしくは上側の外側の流路13.8に流れ接続部を形成しながら接続されている。頂部群13では、上側の外側の流路13.8が、上側の内側の流路13.7から中間カバー13.2によって分離されていて、この中間カバー13.2と上側のカバー13.3の下面との間で前側の頂部区分13.4にまで延びており、そこで、流出格子体13.5を備えた流出開口13.50の前方に間隔を置いて位置する、下側に形成された流出ギャップ13.80を通って媒体が流出し、これによって、前述の棚モジュール1,2,3もしくは冷却棚アッセンブリの前側に、冷風カーテン70の前方に位置する温風カーテン71(つまり、外気に直に触れるため、冷風カーテン70よりも温度がやや高いエアカーテン)が形成される。この温風カーテン71により形成された空気流れは、底部群11の前側の領域で、被覆格子体11.10の前側に位置するギャップ状の流入開口ひいては下側の外側の中間室もしくは下側の外側の流路11.7へと流入し、これによって、温風循環路が形成される。
【0038】
特に図9Aおよび図10から引き続き明らかであるように、頂部群13では、下側のカバー13.1と、中間カバー13.2と、上側のカバー13.3とが、共通して使用される複数の支持ピン13.6によって間隔を置いて保持されており、これによって、上側の内側の中間室13.7と、上側の外側の流路13.8とが形成されている。上側のカバー13.3は、たとえば外側ライニング12.3に相応して、断熱材から成る断熱プレートとして断熱性を備えて形成されている。断熱性のカバー13.3は、後壁群12の断熱性の外側ライニング12.3および底部群11の断熱性の案内プレート11.2と共にシェル状の断熱体を形成している。
【0039】
図示の実施の形態では、後壁群12の断熱性の外側ライニング12.3と、頂部群13の断熱性の上側のカバー13.3と、底部群11の断熱性の案内プレート11.2とが、それぞれ対応するサイドフレーム10の鉛直形材10.1、上側の水平形材10.3もしくは下側の水平形材10.2の、冷却スペース4に向けられた内面に取り付けられている。外側ライニング12.3は、少なくとも冷却スペース4に向けられた内面に安定性のコーティングを備えているかまたは全体的に支持性を有する安定したプレートとして形成されており、これによって、このプレートに、たとえばH字形の横断面を有する鉛直なスペーサ形材によって、鉛直な外側の中間室のための前述の間隔を置いて、中間分離体の中間壁12.2が安定した状態に取り付けられる。中間壁12.2それ自体は鉛直な縁部において、外向きに突出するフランジ状の端区分でもって、たとえばZ字形に縁曲げされていて、外側ライニング12.3の、冷却スペース4に向けられた面に、たとえばねじまたはリベットによって固定することができる。
【0040】
たとえば鋼板もしくは別種の適切な金属から成る中間壁12.2は、前述したように、有利には複数の棚モジュール1,2,3にわたって延びる蒸発器50,50’,50’’を取り付けるための安定した支持ベースを提供している。これによって、棚モジュール1,2,3に割り当てられた区分から形成されていてよい蒸発器50,50’,50’’が、温風通路の前側の冷風通路の領域に位置していて、その内部に収容装置の結合手段、たとえば固定ねじおよび固定舌片によって安定した状態に取り付けられている。複数の棚モジュール1,2,3にわたって延びる蒸発器50,50’,50’’の場合には、少なくとも一方のサイド側に十分なスペースが存在しており(たとえば図1参照)、これによって、この領域に、冷媒供給用の管路を接続するための接続手段と、蒸発の目的で冷媒を噴射するための、たとえば噴射装置の複数の噴射弁とを配置することができる。蒸発器50,50’,50’’はフレーム形材または支持形材10.4に固定されていないので、1つには、フレームを介した外方への熱伝達が生じず、もう1つには、支持形材10.4を妨害なしに組み付けることができ、また、取り外すことができる。
【0041】
択一的な実施の形態では、冷却のために、蒸発器の代わりに、後壁群12にまたは冷却棚の上側の領域に別の熱交換器が組み付けられていてもよい。冷媒は、有利には遠ざけられて位置決めされた中央の熱交換器内で(たとえばチリングユニットによって)冷却される。
【0042】
支持形材10.4は、サイドフレーム10の上側の水平形材10.3の下面に、前方から後方に延長された中間片と、上側の支持プレート10.50(図9B参照)とを介して安定した状態に支持されていて、ねじ締結されている。すでに図5に示し、図9Bおよび図9Cに明示したように、支持形材10.4はその下面で、前方から後方に延ばされた支持プレート10.40によって、前述のサイドフレーム10の下側の水平形材10.2の上面に支持されている。有利には、硬質プラスチックから成る中間片10.41が間挿されている。これによって、断熱と消音とが達成される。支持形材10.4は、この取付け形態に基づき簡単に組み付けることができ、また、取り外すことができる。水平形材10.2,10.3に中間片を固定するための固定エレメントと、中間片に支持形材10.4の支持プレート10.40,10.50を固定するための固定エレメントとは、支持形材10.4と水平なフレーム形材10.2,10.3との間に、金属による連続した熱伝導接触が生じないように、互いにずらされて配置されている。
【0043】
金属製の支持形材10.4は、設定された、好ましくは規格化されたパターン間隔を置いて設けられた孔列を備えている。この孔列には、後壁群12の内側カバー12.1のプレートが、簡単に掛込み可能にかつ取外し可能に取り付けられている。棚板のための支持アームも所望の高さで支持形材10.4に容易に掛け込むことができる。
【0044】
鉛直形材10.1の下側の端区分には、下向きに突出した傾倒防止部62が設けられている。この傾倒防止部62は、有利には、たとえばばね弾性的なもしくは弾性的な中間エレメントおよび/または調節エレメントによる床の凹凸への適合を可能にする。底部群11および/または頂部群13の前側の領域には、照明装置64が配置されていてよい。前側の上側の領域には、有利にはブラインド63が配置されており、これによって、たとえば営業時間外に冷却スペース4が前方で閉鎖され、冷却エネルギが節約される。
【0045】
棚モジュール1,2,3の底部群11、後壁群12および頂部群13に設けられた中間室を密封するために、側方にシール手段が挿入されている。
【0046】
このシール手段は、有利には、たとえば互いに隣り合った外側ライニング12.3同士の間、上側のカバー13.3同士の間および、特に案内プレート11.2同士の間に挿入されている。確かに、互いに隣り合って並列させられた棚モジュール1,2,3のサイドフレーム10同士の間にもまたは間にだけ付加的にシールエレメントが間挿され、これによって、棚モジュール1,2,3同士の間でも冷却スペース4の密封を行うことはできるが、しかしながら、サイドフレーム10は、好ましくは介在されたスペーサ、たとえばスペーサスリーブを介してしか、規定された位置決め状態でかつ安定した状態に互いに緊締されていない。シール手段として、種々異なる構成のシールエレメント、たとえば多数の薄片を備えた、横断面図で見てきのこ状のシールストリップが可能である。側壁もまた、適合されたシール手段によってサイドフレーム10、すなわち、特に外側ライニング12.3、上側のカバー13.3もしくは案内プレート11.2の狭幅の縁部に各閉鎖縁部において相応の形式で密に取り付けられていてよい。
【0047】
冷風流れのための内側の中間室11.6,12.4,13.7および温風流れのための外側の流路11.7,12.5,13.8の側方の密封のためには、種々異なる側方の隔壁が可能である。実証済みの実施の形態では、複数の並列させられた棚モジュール1,2,3の場合、後壁群12の内側の中間室12.4が、棚アッセンブリ全体にわたって一貫して互いに接続されていて、棚アッセンブリの両端側でのみ前述の隔壁によって、有利には密閉されている。このことは、一貫して延びる蒸発器50’,50’’を妨害なしに使用することができるという利点を有している。これに対して、有利な変化形態では、底部群11の内側の中間室11.6および頂部群13の内側の中間室13.7が、各棚モジュール1,2,3の両側で隔絶されていて、適切な空気案内金属薄板を介して鉛直な内側の中間室12.4に接続されており、これによって、不利な流れの漏れが回避される。互いに並列させられた棚モジュール1,2,3同士の間の移行領域における後壁群12の内側カバー12.1は、中間プレートによって補填されている。
【0048】
実証済みの実施の形態では、外側の流路11.7,12.5,13.8が、それぞれ棚モジュール1,2,3ごとに隔絶されている。このことは、後壁群12では、中間壁12.2の領域において、たとえば側方の縁曲げ部または挿入された条片によって行われており、相応して、頂部群13の領域でも行われており、底部群11の領域でも、たとえば案内プレート11.2の下面に設けられた凹状成形部を通じて行われている。
【0049】
図11A図11Xには、棚モジュール1,2,3もしくは冷却棚ならびに2つの棚モジュールから成るアッセンブリを形成する際の一連の組付けステップに対する実施の形態が示してある。必要な場合には、個々の組付けステップが省略されてもよいし、変更されてもよいし、入れ換えられてもよい。
【0050】
まず、図11Aによれば、それぞれ1つの鉛直形材10.1と、この鉛直形材10.1の下側の領域で前方に突出した1つの下側の水平形材10.2と、鉛直形材10.1の上側の領域で前方に突出した1つの上側の水平形材10.3とから成る2つのサイドフレーム10が用意される。下側の水平形材10.2はその下面に高さ調整可能な複数の足60,61を備えており、鉛直形材10.1の下側の端部では、傾倒防止部62が下方に突出している。図示の実施の形態では、上側の水平形材10.3が下側の水平形材10.2よりも短く形成されているが、有利な形態では、上側の水平形材10.3が下側の水平形材10.2と同じ長さ以上に形成されていてもよく、これによって、頂部群13を安定させた状態で設けることができる。両サイドフレーム10は、棚モジュール1,2,3の幅に相応して互いに間隔を置いて起立させられる。
【0051】
後続のステップ(図11B参照)では、底部群11の下側のカバーとして、鉛直形材10.1に向けるべき背面11.30と、流出孔11.21とを備えた底部プレート11.3が用意される。この底部プレート11.3は、図11Cによる後続の形成ステップで示したように、成形通路11.20を備えた案内プレート11.2の下面を覆っている。しかし、成形通路11.20は、底部プレート11.3の代わりに、1つ以上の分割プレートによって個別に覆われてもよく、有利には密封されてもよい。図11Cにさらに示したように、たとえば複数の分割通路から形成された成形通路11.20は、案内プレート11.2の後ろ側において比較的広幅の側方のギャップ状の出口開口11.22に開口している。この出口開口11.22は上向きに開放されていて、後ろ側で底部プレート11.3の縁曲げ部もしくは分割プレートによって画定されている。成形通路11.20の入口開口11.70も記入してある。
【0052】
このように用意された案内プレート11.2は、図11Dに示した後続のステップにおいて、下側の水平形材10.2上に配置され、固定される。
【0053】
その後、図11Eによれば、鉛直形材10.1の前面に断熱性の外側ライニング12.3が組み付けられる。この外側ライニング12.3は下側の領域に、のちに圧縮機を組み付けるための一貫して延びる圧縮機用開口12.30を備えている。この圧縮機用開口12.30は案内プレート11.2の出口開口11.22の傍らに配置されている。この出口開口11.22の上方では、外側ライニング12.3に下側のファン用開口12.10が加工されている。ただし、このファン用開口12.10は外側ライニング12.3の裏側で、たとえば外側ライニング12.3の肉薄の被覆層または別個のプレートによって覆われていて、出口開口11.22から、のちに組み付けるべき下側のファン57への空気流れのための通路を形成している。
【0054】
後続のステップでは、上側の水平形材10.3の下面に上側のカバー13.3が組み付けられる(図11F参照)。図示の実施の形態では、この上側のカバー13.3の上面の右後方に、上側の冷却構成要素収容部13.30が切り欠かれている。断熱性の上側のカバー13.3の下側の被覆層だけが残されている。
【0055】
図11Gに示した後続のステップでは、外側ライニング12.3の前面で鉛直な縁部の近くにスペーサ12.31が取り付けられる。
【0056】
次いで、上側の水平形材10.3と下側の水平形材10.2との間で両者の後方の領域に、鉛直形材10.1の前面から平行な間隔を置いて、支持形材10.4が組み付けられる。しかも、この支持形材10.4は、上側のカバー13.3の下面と案内プレート11.2の上面との間に、支持プレート10.40,10.50と絶縁性の中間片とを使用して組み付けられる(図11H参照)。
【0057】
次の方法ステップ(図11I参照)では、支持形材10.4と鉛直形材10.1との間に、必要な場合に、補強のためのもしくは保持部材としての位置固定部材10.10が固定される。この位置固定部材10.10は、支持力が十分である場合には省略されてもよい。
【0058】
これに続くステップ(図11J参照)では、下側のファン用開口12.10の前側に下側のファン57が組み付けられ、後続のステップでは、鉛直な外側の流路の下側の領域を形成するために、ファン57がファン用ハウジング12.11によって取り囲まれる(図11Kおよび図11L参照)。
【0059】
後続のステップ(図11M参照)では、外側ライニング12.3の前面に条片状の鉛直なスペーサ12.32が取り付けられる。このスペーサ12.32には、外側ライニング12.3に対して間隔を置いて、鉛直な流路の上側の領域を形成するための中間壁12.2が取り付けられる。その際、ファン用ハウジング12.11の上側の開口への接続部が形成される(図11N参照)。
【0060】
中間壁12.2には、間隔を置いて、プレート状の冷風案内金属薄板12.40が組み付けられる。この冷風案内金属薄板12.40の背後には、蒸発器50,50’,50’’(図示せず)または別の熱交換器が配置される。さらに、中間壁12.2から間隔を置いて配置された金属薄板12.40に1つの上側のファン56が組み付けられる(図11Oおよび図11P参照)。この上側のファン56または、その代わりに、相並んで配置された複数、たとえば2つの上側のファンが、上側のファン用カバー12.20によってハウジング状に覆われる。1つ以上の上側のファン56によって、蒸発器50,50’,50’’もしくは熱交換器から上向きに流れる冷風が、たとえば軸方向に吸い込まれ、半径方向に導出され、しかも、1つの部分流は、冷風案内金属薄板12.40の、冷却スペース4に向けられた内面で下方に案内され、もう1つの部分流は、相応に補填された頂部群13の、上方に位置する内側の中間室13.7内へと上方に案内される(図11Qおよび図11R参照)。ハウジング状の上側のファン用カバー12.20は、所望の方向および強さでの空気案内のために形成されていて、2つのファン56の間に中間分離体を備えていてもよく、これによって、相互の影響(たとえば短絡)が回避される。たとえば、ファン用カバー12.20には、上方、下方および、所望の場合には前方への流出開口が、調整されたサイズで加工されていてよい。
【0061】
頂部群13内に支持ピン13.6の使用下で上側の外側の流路13.8と下側の中間室13.7とが製造された後、頂部群13の前述の上側の外側の流路13.8には、鉛直な外側の流路12.5も接続される(図11Sおよび図11T参照)。頂部群13の前側の下側の領域には、冷風カーテン70のためのギャップ状の流出開口13.50も、温風カーテン71のためのギャップ状の流出開口13.80も形成される。
【0062】
後続のステップでは、図11U図11V図11Wおよび図11Xに示したように、たとえば2つの棚モジュール1,2から冷却棚アッセンブリが形成される。この場合には、サイドフレーム10同士が、鉛直形材10.1、下側の水平形材10.2および/または上側の水平形材10.3において、スペーサ、たとえばスペーサスリーブの間挿下で一義的に相対的に位置決めされて互いに緊締され、外側ライニング12.3と、案内プレート11.2と、上側のカバー13.3との、互いに向かい合った狭幅の縁部に沿って、シールエレメント、たとえば横断面図で見てきのこ状のシールストリップ11.8の間挿下で密封される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
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