(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の蓄圧システムを具体化した一実施形態について、
図1〜
図6を参照して説明する。本実施形態では、蓄圧システムが搭載された内燃機関を、低排気量化が図られた直列4気筒内燃機関に具体化して説明する。
【0019】
図1に示すように、内燃機関の第1気筒11〜第3気筒13は、可変動弁系によって駆動される2つの吸気バルブ15と2つの排気バルブ16と、図示しないピストンとをそれぞれ備えている。第4気筒14は、減筒運転の際に、燃料噴射が停止される休止気筒として機能し、蓄圧システム10の一部を構成する。この第4気筒14は、ピストンを備えるとともに、2つの吸気バルブ15及び1つの排気バルブ16の他に、ガス収集バルブ17をさらに備える。
【0020】
第4気筒14の燃焼室は、吸気バルブ15を介して、吸気通路を構成するインテークマニホールド19に連通するとともに、排気バルブ16を介してエキゾーストマニホールド18に連通する。
【0021】
また、第4気筒14の燃焼室は、ガス収集バルブ17を介して、蓄圧システム10を構成するガス収集タンク20に接続されている。ガス収集タンク20及びガス収集バルブ17は、内側にガス収集通路を有するガス収集管21によって連通されている。
【0022】
第4気筒14の燃料供給が停止された際に、ピストンが上昇し、且つガス収集バルブ17が開弁された場合には、ガス収集管21を通じて、燃焼室から送り出されたガスがガス収集タンク20に収集される。このガス収集管21の途中には、ガス収集タンク20側から燃焼室へのガスの逆流を防止する逆止弁22が配設されている。
【0023】
また、ガス収集タンク20とインテークマニホールド19との間には、ガス噴射通路を有するガス噴射管23が設けられている。ガス噴射管23は、ガス収集タンク20内に蓄積されたガスを、インテークマニホールド19に圧送する。ガス噴射管23の途中には、ガス噴射管23を閉路及び開路するガス噴射バルブ24が配設されている。ガス噴射バルブ24は、電子制御装置50によって開閉制御される。
【0024】
このガス収集タンク20には、内圧センサ25、酸素センサ26、温度センサ27が設けられている。内圧センサ25は、ガス収集タンク20内の圧力を測定し、タンク内圧Ptを電子制御装置50に出力する。酸素センサ26は、ガス収集タンク20内の酸素濃度を検出し、タンク内酸素濃度DOTを電子制御装置50に出力する。温度センサ27は、ガス収集タンク20内のガス温度を測定し、タンク内ガス温度Ttを電子制御装置50に出力する。
【0025】
また、内燃機関には、過給機30が備えられている。内燃機関の吸気通路31にはコンプレッサ32が接続され、エキゾーストマニホールド18よりも下流の排気通路33には、タービン34が設けられている。排気通路33を通過する排気によってタービン34が回転駆動され、タービン34に従動するコンプレッサ32によって、吸気通路31内の吸気が圧縮される。
【0026】
吸気通路31の上流側には、外部から取り入れた吸入空気量を計測するエアフローセンサ35が設けられている。エアフローセンサ35により計測された吸入空気量Gjaは、電子制御装置50に出力される。
【0027】
また、吸気通路31のうち、インテークマニホールド19よりも上流側にはインタークーラー36が設けられている。さらに、吸気通路31のうち、インタークーラー36よりも下流には、過給機30によるブースト圧を検出するブースト圧センサ37が設けられている。ブースト圧センサ37により計測されたブースト圧Pbは、電子制御装置50に出力される。
【0028】
また、内燃機関には、吸気通路31に排気の一部であるEGRガスを還流するEGR機構38が設けられている。EGR機構38は、エキゾーストマニホールド18及び吸気通路31とを接続するEGR配管39と、EGR配管39の途中に配設されたEGRバルブ40と、EGRクーラー41とを備える。EGRバルブ40は、電子制御装置50によって開閉される。EGRバルブ40が開弁されると、EGR配管39を介して、排気の一部がEGRガスとして吸気通路31に還流される。
【0029】
次に、蓄圧システム10の動作について説明する。蓄圧システム10は、ガス収集タンク20にガスを収集するガス収集制御と、目標空気量と吸入新気量との差分に応じてガス収集タンク20からのガス噴射を行うガス噴射制御とを行う。
【0030】
まず、ガス収集制御について、
図2に示すフローチャートに従って説明する。電子制御装置50は、クランクポジションセンサ42(
図1参照)から、機関回転数Neを読み込む(ステップS1−1)。
【0031】
また、電子制御装置50は、自身が内蔵するメモリ等に格納された停止判定閾値N1を読み出す(ステップS1−2)。停止判定閾値N1は、エンジンが停止しているか否かを判断する基準である。
【0032】
そして電子制御装置50は、機関回転数Neが停止判定閾値N1以上であるか否かを判断する(ステップS1−3)。機関回転数Neが停止判定閾値N1以上であると判断すると(ステップS1−3においてYES)、ステップS1−5に進む。一方、機関回転数Neが停止判定閾値N1未満であると判断すると(ステップS1−3においてNO)、エンジンを通常の状態に戻し(ステップS1−4)、その後ステップS1−1に戻る。これは次回の始動に備えて、再始動を容易にするためである。
【0033】
ステップS1−5では、電子制御装置50は、機関回転数Neを再度読み込むとともに、燃料噴射量Qfinを読み込む。そして、読み込んだ機関回転数Ne及び燃料噴射量Qfinに基づき、減筒運転により燃費が向上する運転領域であるか否か等に応じて、減筒運転を実行するか否かを判断する(ステップS1−6)。例えば、減筒運転時は、トルクを残りの稼動気筒のみによって出力する必要があるため、機関回転数Neが予め設定された範囲内であって、且つ燃料噴射量Qfinが予め設定された上限値未満である場合に、減筒運転を実行すると判断する。
【0034】
減筒運転を実行しないと判断した場合には(ステップS1−6においてNO)、全気筒運転を行うとともに(ステップS1−4)、ステップS1−1に戻り、機関回転数Neと停止判定閾値N1との比較を繰り返す(ステップS1−1〜S1−3)。一方、電子制御装置50が、減筒運転を実行すると判断すると(ステップS1−6においてYES)、休止気筒として機能可能である第4気筒14の燃料噴射を停止する(ステップS1−7)。
【0035】
こうして減筒運転が実行されると、電子制御装置50は、内圧センサ25から、タンク内圧Ptを読み込む(ステップS1−8)。また、ガス収集タンク20の容量等に基づいた蓄圧上限値PTSを、自身が内蔵するメモリ等から読み出す(ステップS1−9)。そして、タンク内圧Ptが、蓄圧上限値PTS未満であるか否かを判断する(ステップS1−10)。
【0036】
ガス収集タンク20にガスが充填され、タンク内圧Ptが蓄圧上限値PTSに到達していると判断すると(ステップS1−10においてNO)、第4気筒14を休止気筒とした通常減筒運転モードを行う(ステップS1−11)。この際、ガス収集バルブ17は閉状態に維持される。また、第4気筒14の吸気バルブ15及び排気バルブ16は閉状態を維持してもよいし、開閉作動させてもよい。
【0037】
一方、タンク内圧Ptが蓄圧上限値PTS未満であると判断すると(ステップS1−10においてYES)、電子制御装置50は、ステップS1−12〜ステップS1−15においてエンジンが加速条件にあるか否かを判定する。
【0038】
この加速条件にあるか否かの判定について具体的に説明する。まず電子制御装置50は、機関回転数Neを再度読み込むとともに、アクセル開度センサ43(
図1参照)からアクセル開度Acを読み込む(ステップS1−12)。そして、機関回転数Ne及びアクセル開度Acと、機関回転数及び燃料噴射量をパラメータとするマップ(図示略)とに基づき、目標空気量Gmaを計算する(ステップS1−13)。次に、目標空気量Gmaをパラメータとするマップ(図示略)に基づき、加速判定閾値ΔG1を計算する。加速判定閾値ΔG1は、正の値であって、吸気通路31を介した吸気量だけでは目標空気量Gmaに到達し難く、応答性が低下するような場合の目標空気量Gmaと総吸入新気量Gsaとの差分を、予め実験等で求めた値としている。また、加速判定閾値ΔG1は目標空気量Gmaによって変化するため、目標空気量Gmaをパラメータとするマップによって、逐次算出する必要がある。該マップによれば、目標空気量Gmaが増大すると、加速判定閾値ΔG1も増大する。
【0039】
また、電子制御装置50は、内蔵メモリ等に格納された総吸入新気量Gsaを取得する(ステップS1−14)。総吸入新気量Gsaは、インテークマニホールド19に供給される新気量の総和を示し、外部から吸気通路31を介して取り込まれた新気量と、ガス収集タンク20から供給される新気量とを加算した量である。ガス噴射前の時点では、総吸入新気量Gsaには、エアフローセンサ35が計測した吸入空気量Gjaが格納されている。
【0040】
総吸入新気量Gsaを取得すると、電子制御装置50は、その目標空気量Gmaと総吸入新気量Gsaとの差分が、加速判定閾値ΔG1未満であるか否かを判断する(ステップS1−15)。
【0041】
目標空気量Gmaと総吸入新気量Gsaとの差分が、加速判定閾値ΔG1未満と判断すると(ステップS1−15においてYES)、即ち加速条件でない場合は、休止気筒である第4気筒14を利用したガス収集モードに遷移する(ステップS1−16)
一方、目標空気量Gmaと総吸入新気量Gsaとの差分が、加速判定閾値ΔG1以上であると判断した場合(ステップS1−15においてNO)、即ち加速条件である場合は、第4気筒14を休止気筒とした通常減筒運転モードを行う(ステップS1−11)。
【0042】
また、電子制御装置50は、可変動弁系を介して第4気筒14の吸気バルブ15、排気バルブ16及びガス収集バルブ17を開閉する。
このガス収集モードにおける吸気バルブ15及びガス収集バルブ17の開閉タイミングについて説明する。電子制御装置50は、機関回転数Neに応じて、吸気バルブ15及びガス収集バルブ17の開閉時期を変更する。具体的には、電子制御装置50は、機関回転数Neが所定回転数以上であるか否かを判断し、所定回転数以上、即ち高回転域である場合には、クランク角が0°〜720°の間に、吸気バルブ15及びガス収集バルブ17を1回だけ開弁する。
【0043】
詳述すると、
図3に示すように、第4気筒14の排気バルブ16は、常に閉弁される。そして、クランク角が0°付近、即ち第4気筒14のピストンが上死点TDCから下死点BDCへ向かって下降するとき、ガス収集バルブ17は閉じたまま、吸気バルブ15が開き始める。そして、クランク角がおよそ0°〜180°の間では、吸気バルブ15は開状態に維持される。さらにクランク角が180°付近、即ちピストンが下死点BDC付近に到達すると、吸気バルブ15が閉じる。これにより、第4気筒14の燃焼室に、インテークマニホールド19から送り出されたEGRガス及び新気からなる混合吸気が、混合ガスとして吸入される。
【0044】
さらにクランク角180°付近では、ガス収集バルブ17が開き始める。そして、クランク角がおよそ180°〜360°であって、ピストンが下死点BDCから上死点TDCに上昇する工程で、ガス収集バルブ17は開状態を維持する。これにより、第4気筒14の燃焼室に蓄積された混合ガスが、ガス収集バルブ17及びガス収集管21を介して、ガス収集タンク20に送り出される。さらに、クランク角がおよそ360°〜540°、及び540°〜720°(0°)では、吸気バルブ15、排気バルブ16及びガス収集バルブ17は閉弁される。
【0045】
このように、吸気バルブ15及びガス収集バルブ17は、クランク角が0°〜720°の範囲である1サイクル中に、1度だけ開き、ガス収集タンク20に混合ガスを送り出す。このため、減筒運転時において機関回転数Neが比較的高い場合であっても、可変動弁系にかかる負荷を軽減することができる。
【0046】
一方、機関回転数Neが上記所定回転数未満の場合、
図4に示すように、吸気バルブ15及びガス収集バルブ17は、クランク角が0°〜720°の範囲である1サイクル中に、2度開き、ガス収集タンク20に混合ガスを送り出す。具体的には、排気バルブ16は常に閉弁され、クランク角が0°付近でガス収集バルブ17が閉じ、吸気バルブ15が開き始める。クランク角がおよそ0°〜180°で吸気バルブ15は開状態を維持する。また、クランク角180°付近で吸気バルブ15が閉じ、ガス収集バルブ17が開く。クランク角がおよそ180°〜360°でガス収集バルブ17は開状態を維持する。そして、クランク角360°付近で、ガス収集バルブ17が閉じ、吸気バルブ15が開き始める。また、クランク角がおよそ360°〜720°では、クランク角がおよそ0°〜360°と同様に作動させる。このようにすると、機関回転数Neが低い場合でもガス収集タンク20に混合ガスを速やかに収集できる。またこのように吸気バルブ15及びガス収集バルブ17を交互に連続して開く動作は、機関回転数Neが小さい場合のみ実行されるため、可変動弁系に大きな負荷をかけずにガスを収集することができる。
【0047】
そして電子制御装置50は、上述したガス収集モードを実行しつつ、減筒運転を継続するか否か(ステップS1−1〜ステップS1−6)、タンク内圧Ptが蓄圧上限値PTS未満であるか否か(ステップS1−7〜ステップS1−9)、目標空気量Gmaと総吸入新気量Gsaとの差分が加速判定閾値ΔG1未満であるか否かといった判断を繰り返す。
【0048】
そして電子制御装置50は、ステップS1−3において機関回転数Neが停止判定閾値N1未満と判断したり(ステップS1−3においてNO)、ステップS1−5において減筒運転を継続しないと判断すると(ステップS1−6においてNO)、全気筒運転に切り替える(ステップS1−4)。そして、上述した各条件に基づき、減筒運転の開始を待機する。
【0049】
また、ガス収集タンク20に混合ガスが収集されて、電子制御装置50が、タンク内圧Ptが蓄圧上限値PTSに到達したと判断すると(ステップS1−10においてNO)、ガス収集モードを中止して、通常減筒運転モードによって減筒運転を行う(ステップS1−11)。
【0050】
次に、ガス噴射制御について
図5及び
図6に従って説明する。まず、電子制御装置50は、ガス噴射バルブ24を閉状態にした後(ステップS2−1)、クランクポジションセンサ42から機関回転数Neを読み込むとともに(ステップS2−2)、上記した停止判定閾値N1を読み出す(ステップS2−3)。
【0051】
さらに電子制御装置50は、機関回転数Neが、上述した停止判定閾値N1以上であるか否かを判断する(ステップS2−4)。機関回転数Neがエンジン停止判定閾値N1未満である場合には(ステップS2−4においてNO)、ステップS2−2に戻る。
【0052】
一方、機関回転数Neがエンジン停止判定閾値N1以上であると判断すると(ステップS2−4においてYES)、電子制御装置50は、機関回転数Neを再度読み込むとともに、アクセル開度センサ43(
図1参照)からアクセル開度Acを読み込む(ステップS2−5)。そして、機関回転数Ne及びアクセル開度Acと、機関回転数及び燃料噴射量をパラメータとするマップ(図示略)とに基づき、目標空気量Gmaを計算する(ステップS2−6)。次に、目標空気量Gmaをパラメータとするマップ(図示略)に基づき、加速判定閾値ΔG1を計算する(ステップS2−7)。上述したように、加速判定閾値ΔG1は目標空気量Gmaによって変化するため、ここでも目標空気量Gmaをパラメータとするマップによって算出する必要がある。
【0053】
また、電子制御装置50は、内蔵メモリ等に格納された総吸入新気量Gsaを取得する(ステップS2−8)。総吸入新気量Gsaは、インテークマニホールド19に供給される新気量の総和を示し、外部から吸気通路31を介して取り込まれた新気量と、ガス収集タンク20から供給される新気量とを加算した量である。ガス噴射前の時点では、総吸入新気量Gsaには、エアフローセンサ35が計測した吸入空気量Gjaが格納されている。
【0054】
総吸入新気量Gsaを取得すると、電子制御装置50は、その目標空気量Gmaと総吸入新気量Gsaとの差分が、上述した加速判定閾値ΔG1以上であるか否かを判断する(ステップS2−9)。
【0055】
目標空気量Gmaと総吸入新気量Gsaとの差分が、加速判定閾値ΔG1未満と判断すると(ステップS2−9においてNO)、
図6に示すようにガス噴射バルブ24を閉弁する(ステップS2−19)。その結果、ガス噴射管23が閉路され、ガス収集タンク20から混合ガスは噴射されない。
【0056】
一方、
図5に示すように、目標空気量Gmaと総吸入新気量Gsaとの差分が、加速判定閾値ΔG1以上であると判断すると(ステップS2−9においてYES)、
図6に示すステップS2−10に進む。ステップS2−10では、電子制御装置50は、ブースト圧センサ37からブースト圧Pbを読み込むとともに、内圧センサ25からタンク内圧Ptを読み込む。
【0057】
さらに電子制御装置50は、タンク内圧Ptとブースト圧Pbとの差圧が、差圧閾値ΔP1以上であるか否かを判断する(ステップS2−11)。差圧閾値ΔP1は、インテークマニホールド19から、ガス噴射管23を介してガス収集タンク20にガスが逆流しないような値に設定されている。タンク内圧Ptとブースト圧Pbとの差圧が、差圧閾値ΔP1未満であると判断すると(ステップS2−11においてNO)、ガス収集タンク20からのガス噴射を行わないとして、ガス噴射バルブ24を閉弁する(ステップS2−19)。
【0058】
一方、タンク内圧Ptとブースト圧Pbとの差圧が、差圧閾値ΔP1以上であると判断すると(ステップS2−11においてYES)、EGRバルブ40を閉弁するとともに、ガス噴射バルブ24を開弁する(ステップS2−12)。その結果、ガス収集タンク20から、ガス噴射管23を介して、インテークマニホールド19に対し混合ガスが噴射される。このため、内燃機関が低排気量化されていたとしても、外部から吸気通路31を介して取り込んだ新気に加えて、新気を含む混合ガスが供給されるので、加速時等の応答性を向上できる。また、混合ガス中にはEGRガスが含まれるので、加速時にEGRガスが供給されないことによる、排気中のNOx濃度の著しい上昇を抑制することができる。
【0059】
また、ガス収集タンク20から混合ガスを噴射することにより、排気量が増大するのと同様の効果が得られるため、過給機30のタービン34の回転速度が速やかに増大する。従って、ブースト圧Pbも速やかに上昇するため、応答性を高めることができる。
【0060】
ところで、このようにガス収集タンク20からガスを噴射することで、各気筒に供給される総吸入新気量Gsaが変更される。従って、各気筒に噴射可能な燃料噴射量が変化するため、ガス収集タンク20から混合ガスを噴射しつつ、総吸入新気量Gsaを更新する。
【0061】
具体的には、
図6に示すように、電子制御装置50は、温度センサ27から、タンク内ガス温度Ttを読み込む(ステップS2−13)。そして、読み込んだタンク内ガス温度Tt、タンク内圧Pt、及び気体定数Rを用いて、下記の式1に基づいて、ガス収集タンク20内のガス密度を示すタンク内ガス密度ρtを算出する(ステップS2−14)。
【0062】
【数1】
さらに、電子制御装置50は、酸素センサ26から、タンク内酸素濃度DOTを取得する(ステップS2−15)。そして、予め設定されたガス噴射バルブ流量係数C、ガス噴射バルブ24の通過面積である噴射バルブ通過面積A等を用い、下記の式2に基づいて、ガス収集タンク20から噴射された新気量を示す新気噴射量Gfaを算出する(ステップS2−16)。
【0063】
【数2】
また、エアフローセンサ35の検出値に基づいた吸入空気量Gjaを読み込む(ステップS2−17)。そして、下記の式3のように吸入空気量Gjaに新気噴射量Gfaを加算して、総吸入新気量Gsaを更新する(ステップS2−18)。
【0064】
【数3】
このように総吸入新気量Gsaを算出すると、ステップS2−1に戻る。
【0065】
ステップS2−1〜ステップS2−3では、電子制御装置50は、機関回転数Neが、エンジン停止判定閾値N1以上であるか否かを判断する。機関回転数Neが、エンジン停止判定閾値N1以上であると判断すると(ステップS2−4においてYES)、目標空気量Gmaを算出する(ステップS2−5〜ステップS2−6)。
【0066】
ステップS2−8では、ステップS2−18で更新して自身のメモリ等に記憶した総吸入新気量Gsaを取得する。そして、目標空気量Gmaと総吸入新気量Gsaとの差分が、加速判定閾値ΔG1以上であるか否かを判断する(ステップS2−9)。
【0067】
ガス収集タンク20から混合ガスが供給されることにより、インテークマニホールド19に供給される新気量が増加して、目標空気量Gmaと総吸入新気量Gsaとの差分が、加速判定閾値ΔG1未満になったと判断すると(ステップS2−9においてNO)、ガス噴射バルブ24が閉弁される(ステップS2−19)。このため、各燃焼室へ過剰に酸素が供給されることによる、NOx濃度の増大が抑制される。
【0068】
また、ガス収集タンク20から混合ガスが供給されることにより、タンク内圧Ptが低下していく。ステップS2−11で、電子制御装置50が、タンク内圧Ptとブースト圧Pbとの差圧が、差圧閾値ΔP1未満であると判断すると(ステップS2−11においてNO)、ガス噴射バルブ24を閉弁する(ステップS2−19)。従って、インテークマニホールド19側からガス収集タンク20側への逆流が防止される。
【0069】
以上説明したように、上記実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)上記実施形態によれば、減筒運転時に、EGR機構38によりEGRガスを還流しつつ、休止気筒を利用して、ガス収集タンク20にガスが収集される。このとき収集されるガスは、EGRガス及び新気を含む。また、収集された混合ガスは、加速や発進等で目標空気量が増大した際に、ガス噴射管23を通じてインテークマニホールド19に噴射される。このため、低排気量化された内燃機関であっても、加速時に各気筒に供給される新気量を速やかに増加させて加速性能を向上しつつ、EGRガスにより燃焼温度を低下させることでNOx排出量を低減できる。
【0070】
(2)上記実施形態によれば、ガス収集タンク20から供給される混合ガスに含まれる新気噴射量Gfaを算出することによって、インテークマニホールド19に供給される総吸入新気量Gsaを算出し、総吸入新気量Gsaが目標空気量Gmaに達した際に、ガス収集タンク20からのガス供給が停止される。このため、新気の供給量を必要最小限とし、NOx排出量を低減することができる。
【0071】
(3)上記実施形態によれば、機関回転数Neに応じて、吸気バルブ15及びガス収集バルブ17の開閉タイミングを変更するようにした。即ち、機関回転数Neが大きい場合には、クランク角が0°〜720°の1サイクル中に、吸気バルブ15及びガス収集バルブ17がそれぞれ1回開くようにした。また、機関回転数Neが小さい場合には、1サイクル中に、吸気バルブ15及びガス収集バルブ17が交互に2度開くようにした。このため、機関回転数Neが大きい場合には、可変動弁系等に大きな負荷をかけずにガスを収集し、機関回転数Neが小さい場合には、ガス収集タンク20にガスを速やかに収集することができる。
【0072】
尚、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、ガス収集管21に逆止弁22を設けるようにしたが、ガス収集タンク20からの逆流が少ないか、又はタンク内圧Ptを所定圧以下に維持することができれば、逆止弁22はなくてもよい。また、逆止弁22に替えて、流量調整バルブを設け、この流量調整バルブによってタンク内圧Ptを制御するようにしてもよい。
【0073】
・上記実施形態では、ガス収集タンク20から送り出された混合ガスを、インテークマニホールド19に供給するようにしたが、吸気通路31のうち、インテークマニホールド19よりも上流の位置に供給するようにしてもよい。
【0074】
・上記実施形態では、ガス噴射管23にガス噴射バルブ24を設けるようにしたが、ガス収集タンク20が、混合ガスの供給を制御するバルブを備えた構成にしてもよい。
・ガス噴射バルブ24は、ガス噴射管23を流れる混合ガスの流量を制御する流量制御弁として構成してもよい。
【0075】
・上記実施形態では、吸気バルブ15及びガス収集バルブ17を、バルブオーバーラップのないタイミングで開閉するようにしたが、ガス収集効率を上げるためにバルブオーバーラップを設けるようにしてもよい。
【0076】
・上記実施形態では、ガス収集モードの際、クランク角がおよそ0°〜180°(稼動気筒の吸気工程)で吸気バルブ15を開き、クランク角がおよそ180°〜360°(圧縮工程)でガス収集バルブ17を開くようにしたが、これ以外のタイミングでもよい。例えば、
図7に示すように、クランク角がおよそ540°〜720°でガス収集バルブ17を開いた直後、クランク角がおよそ0°〜180°で吸気バルブ15を開くようにしてもよい。
【0077】
・上記実施形態では、機関回転数Neに応じて、ガス収集モードにおける吸気バルブ15及びガス収集バルブ17のバルブタイミングを変更するようにしたが、タンク内圧Pt、又は目標空気量Gmaと総吸入新気量Gsaとの差分等に応じて、吸気バルブ15及びガス収集バルブ17のバルブタイミングを変更するようにしてもよい。即ち、ガス収集タンク20に、混合ガスを急速に貯める必要がある場合には、
図4に示すようにクランク角0°〜720°で、吸気バルブ15及びガス収集バルブ17をそれぞれ交互に2回開くようにしてもよい。
【0078】
・上記実施形態では、機関回転数Neに応じて、ガス収集モードにおける吸気バルブ15及びガス収集バルブ17のバルブタイミングを変更するようにしたが、充分なガス収集量を維持できる場合には、1サイクル中に開くバルブをそれぞれ1回のみ開くようにしてもよい。また、1サイクル中に開くバルブをそれぞれ交互に2回開くようにしてもよい。
【0079】
・上記実施形態では、内燃機関は、4気筒としたが、多気筒エンジンであればよく、6気筒としてもよい。
・上記実施形態では、蓄圧システム10が備えられる内燃機関は、低排気量化且つ過給機を備えた構成としたが、本発明の蓄圧システム10は、このような構成以外の内燃機関に備えられてもよい。
【0080】
・上記実施形態では、第4気筒14を休止気筒としたが、これ以外の気筒を休止気筒としてもよい。また、第1気筒11〜第4気筒14のうち複数の気筒を休止気筒としてもよい。さらに、休止気筒を固定するようにしたが、第1気筒11〜第4気筒14のうち1つ又は複数が、順番に燃料供給停止されるようにしてもよい。この場合、休止気筒になり得る気筒の全てが、吸気バルブ15、排気バルブ16及びガス収集バルブ17を備える構成とする。