特許第5964068号(P5964068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5964068法枠成形用の枠構造体並びにこれを用いた法枠施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964068
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】法枠成形用の枠構造体並びにこれを用いた法枠施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   E02D17/20 104C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-21606(P2012-21606)
(22)【出願日】2012年2月3日
(65)【公開番号】特開2013-159935(P2013-159935A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2015年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】512028921
【氏名又は名称】株式会社e−works
(74)【代理人】
【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
(72)【発明者】
【氏名】木嶋 潮
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−184142(JP,A)
【文献】 特開2011−074691(JP,A)
【文献】 実開昭59−173742(JP,U)
【文献】 特開平07−150568(JP,A)
【文献】 実開平07−026507(JP,U)
【文献】 特開平08−218385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/00−17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上覆い状に配設される網枠体と、この網枠体の長手方向に添って組み合わされる構造鉄筋と、この構造鉄筋を支持する支持アンカと、この構造鉄筋にクリップ係合するとともに網枠体の断面形状を規制するスペーサとを具え、前記スペーサは、施工基盤面にほぼ沿う向きに配設される規制杆と、この規制杆の両端近くに設けられ、網枠体の側胴部に沿って配設されて網枠体の形状を規制する整形片と、前記規制杆における整形片より内側部位に設けられ前記構造鉄筋に対する抜け止めキャッチ構造を有するクリップ片とを具えていることを特徴とする法面成形用の枠構造体。
【請求項2】
前記支持アンカは、打設支柱部と、打設支柱部から側方に張り出すように形成した鉄筋支持杆とを具え、且つ打設支持部には打設寸法を案内する打設案内部が形成され、また鉄筋支持杆は、支持する構造鉄筋を所定の高さに設定できるようにするための支承部を具えたことを特徴とする前記請求項記載の法面成形用の枠構造体。
【請求項3】
法面対し法枠を施工する方法であって、前記請求項1、のいずれか記載の法面成形用の枠構造体を用いて、まず支持アンカにおける打設支柱部を法面に対し所定の位置に打ち込み、次いで支持アンカにおける鉄筋支持杆の支承部に構造鉄筋を上載せ状態に配置し、次いで構造鉄筋に対しスペーサをクリップ係合させ、更に網枠体をこれらの上に被せてスペーサにおける整形片によりその断面形状を規制された状態として枠構造体を法面に構成し、この枠構造体を基準にしてコンクリートを打設することにより法枠を構成するようにしたことを特徴とする法面成形用の枠構造体を用いた法枠施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、急傾斜法面等を補強するための法枠の構築手法に関するものであって、特に法枠構成用の枠構造体並びにこれを用いた施工方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
急傾斜地における法面には、崩落防止ための法枠を構築することが行われている。この手法は、例えば1mから数m四方を単位として、平面視で井桁状であり、断面形状を例えばドーム状としたコンクリートの堰状枠体を構築するものであって、この法枠は芯材として強度部材となる枠構造体を具えている。この枠構造体は、おおよその外形仕上げの目安となる上覆い枠状の網枠体と、この網枠体の長手方向に添って組み合わされる構造鉄筋と、この構造鉄筋を支持する支持アンカとを具えている。
【0003】
ところで、従来は例えば下記特許文献1に開示されているように、これら網枠体と構造鉄筋と支持アンカとを有機的に結合させるための構造の案出が充分ではなく、特に構造鉄筋を配置する際の作業性や、網枠体の正確な整形のし易さ等については、充分な工夫がなされていない。
具体的には、支持アンカに構造鉄筋を支持させるにしても、別途部材を介して取り付ける必要があったり、支持部材下方に鉄筋をあてがってその状態でいわゆる番線によって両者を緊縛する手法であったりして、その作業性は必ずしも良いとは言えない。また網枠体の断面形状を正確に設定するための工夫についても充分になされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−001692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、これらの種々の背景を考慮してなされたものであって、特にアンカ並びに別途用意されるスペーサとの工夫により、構造鉄筋と、スペーサと、支持アンカと、網枠との有機的な組み合わせを案出し、もって施工作業を円滑に行えるようにした新規な法面成形用の枠構造体並びにこれを用いた施工方法の開発を試みたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の法面成形用の枠構造体は、上覆い状に配設される網枠体と、この網枠体の長手方向に添って組み合わされる構造鉄筋と、この構造鉄筋を支持する支持アンカと、この構造鉄筋にクリップ係合するとともに網枠体の断面形状を規制するスペーサとを具え、前記スペーサについては、施工基盤面にほぼ沿う向きに配設される規制杆と、この規制杆の両端近くに設けられ、網枠体の側胴部に沿って配設されて網枠体の形状を規制する整形片と、前記規制杆における整形片より内側部位に設けられ前記構造鉄筋に対する抜け止めキャッチ構造を有するクリップ片とを具えていることを特徴として成るものである。
【0007】
請求項記載の法面成形用の枠構造体は、前記請求項記載の要件に加え、前記支持アンカについては、打設支柱部と、打設支柱部から側方に張り出すように形成した鉄筋支持杆とを具え、且つ打設支柱部には打設寸法を案内する打設案内部が形成され、また鉄筋支持杆は、支持する構造鉄筋を所定の高さに設定できるようにするための支承部を具えたことを特徴として成るものである。
【0008】
請求項記載の法面成形用の枠構造体を用いた法枠施工方法は、法面対し法枠を施工する方法であって、前記請求項1、のいずれか記載の法面成形用の枠構造体を用いて、まず支持アンカにおける打設支柱部を法面に対し所定の位置に打ち込み、次いで支持アンカにおける鉄筋支持杆の支承部に構造鉄筋を上載せ状態に配置し、次いで構造鉄筋に対しスペーサをクリップ係合させ、更に網枠体をこれらの上に被せてスペーサにおける整形片によりその断面形状を規制された状態として枠構造体を法面に構成し、この枠構造体を基準にしてコンクリートを打設することにより法枠を構成するようにしたことを特徴として成るものである。
【発明の効果】
【0009】
まず請求項1記載の発明によれば、支持アンカに設けられた納め部に構造鉄筋を仮載置した状態でスペーサをクリップ係合させて、構造鉄筋の位置決めを行い、更にこれら部材を覆うように網枠体を被せ、前記スペーサで網枠体の断面形状を規制することにより、法枠構造体が迅速且つ正確に構築し得る。加えて、スペーサの整形片により、網枠体が正確に断面形状を整えると共にクリップ片により、スペーサと構造鉄筋とが正確に位置決めされるものであり、且つその組み付けにあたっての作業性もよい。
【0010】
また請求項記載の発明によれば、構造鉄筋の高さ方向の配設位置が正確に設定される。
【0011】
また請求項記載の発明によれば、作業性の良い施工が可能となると共に、構造鉄筋を配設するための作業も行いやすく、結果的に結束作業を正確に行うことができ、更に網枠体の設置も正確且つ迅速に行うことができ、予め設計され法枠が実現するように、枠構造体を正確な位置並びに形状に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の法面成形用の枠構造体の設置状態を示す説明図である。
図2】同上枠構造体の分解斜視図である。
図3】同上枠構造体の施工手順を示す説明図である。
図4】同上枠構造体の施工手順を示す説明図である。
図5】同上枠構造体における網枠体の他の実施例を複数示す正面図である。
図6】同上枠構造体におけるスペーサの他の実施例を複数示す正面図である。
図7】同上枠構造体における支持アンカの他の実施例を複数示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態は、以下述べる実施例をその一つとするものであると共に、この技術思想に基づく種々の改良した実施例をも含むものである。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明を図示の実施例に基づいて具体的に説明する。
まず本発明の法面成形用の枠構造体が施工される法面Gについて説明する。図1に示すように急傾斜の法面Gに対して、例えば1mから数m四方を単位として、平面視井桁状として、法枠Aが施工されるものであり、これによって法面Gの崩落等を防ぐ。またその法枠内は、コンクリートで被覆したり、自然植生を設けて自然景観を発現させるような用い方がされる。
【0015】
この法枠Aは、枠構造体1を構造用芯材とすると共にこれを覆うようにコンクリートCが打設され、断面ドーム状乃至は半円状、楕円状あるいは矩形状の堰状の構築構造となる。
【0016】
以下この枠構造体1について説明する。
このものは、図2において各部材を分解して示すように上面を例えばドーム状等とした上覆い枠状の網枠体2と、網枠体2の長手方向に添って設けられる構造鉄筋3と、この構造鉄筋3に対し、クリップ係合すると共に前記網枠体2の断面形状を規制するスペーサ4と、前記構造鉄筋3を主として支持し、更に網枠体2を間接的または直接的に支持することとなる支持アンカ5とを主要部材とする。この支持アンカ5と構造鉄筋3とは、例えば結束番線6を利用して固定されているほか、支持アンカ5と網枠体2との間も結束番線6によって固定される場合もある。
以下、これらの部材について説明する。
【0017】
網枠体2は、例えば金網状の部材で構成されるものであり、断面方向を経線状に形成するドーム要素線21と、これと直交する方向に緯線状に組み合わされる長手要素線22とによって網状の構造体を構成している。なおこの各ドーム要素線21と長手要素線22は、一例として相互の組み合わせを考慮して波形状屈曲線を用いるのが好ましい。またこのようなドーム要素線21と長手要素線22とにより構成される網目のサイズは、コンクリートCを打設する際にコンクリートCが充分に枠構造体1内に通過しうるような寸法とする。
この実施例では、網枠体2を頂部2A、側胴部2B、接地部2Cとに上下方向に分けたとき、側胴部2Bの下方から接地部2Cにかけては、網目が細かく形成され、一方それより上方の側胴部2B、頂部2Aは、荒く形成されている。また長手方向で見た場合、ドーム要素線21の配設ピッチは、均等間隔であってもよいし、一部不等間隔であってもよい。
【0018】
次に構造鉄筋3は、枠構造体1の例えば下方に2本、上方に1本、あるいは下方に2本、上方に2本等適宜、枠構造体1の長手方向に添うように網枠体2のおおむね内側に設けられるものであり、これらを上部鉄筋31、下部鉄筋32として区別する。通常使用される構造鉄筋は、8mmから13mm径程度であり、長さは使い勝手を考慮して、1800mmから3600mm程度である。
【0019】
次にスペーサ4について説明する。
このものは、一例として鉄等の金属線材によって構成されたものであって、前記スペーサ4は、施工基盤面にほぼ沿う向きに配設される規制杆41と、この規制杆41の両端近くに設けられ、網枠体2の側胴部2Bに沿って配設されて網枠体の形状を規制する整形片42と、前記規制杆41における整形片42より内側部位に設けられる抜け止めキャッチ構造を有するクリップ片43とを具えているものである。
この規制杆41が網枠体2の大まかな寸法を規制するものであり、この両端部の整形片42は、一例として枠構造体1がドーム状乃至は三角形状の断面であることに因み、上
窄まり状に傾斜した形状に形成されている。
またクリップ片43は充分な弾性を具えた線材が適用され、図2図3(d)ii、iii に拡大して示すように、ほぼ縦長円形状であり、直線状の固定部43aから変形誘導部32bを経て、更に下方の逆爪部43cまでが一体部材で構成されている。そして逆爪部43cの外側には、係止誘導部43dを構成すると共にその内側を係止部43eとする。
【0020】
次に構造鉄筋3を支持する支持アンカ5について説明する。
このものは、例えば異形鉄筋等を利用して構成したものであり、打設支柱部51を一例としてその中心に一本設ける。
この打設支柱部51は、一例として直線状部材であり、打設側(法面Gに打ち込まれる側)は、適宜先端を尖らせる。そして、その中間位置に打設支柱部51から一例として正面視翼状に左右に張り出すように鉄筋支持杆52を設ける。この鉄筋支持杆52は、一例として打設支柱部51と同一素材の異形鉄筋を用いて構成されるものであって、前記打設支柱部51との固着部を打設寸法を案内するための打設案内部52aとする。更に鉄筋支持杆52は、左右斜め上方に立ち上がるように形成され、先端は左右に水平に伸びるような正面視翼状となる形状を採り、ここを鉄筋受部53とする。
【0021】
本発明は、このような構成をするものであり、次のようにして枠構造体1を構成するための施工を行い、更にはそこにコンクリートCを流し込んで法枠Aを形成する。
【0022】
〔1.準備段階〕
準備段階としては、適宜施工する工事箇所に設けた遣り方坑や、これに張った水糸等により施工基準位置を明確化した後、これを案内として、適宜の間隔ごとに枠構造体1における支持アンカ5を法面Gに打設する。
このとき、法面G自体が岩盤状で固い場合には、予め岩盤をドリルD等によって下孔Hを穿孔しておき、その打設が行いやすくした上で、ハンマや振動ハンマ等で打設する。
もちろん、カケヤあるいはハンマ等による打設が下孔Hを形成せずに当初から、可能な程度の法面Gの基盤状態であれば、適宜手作業等により支持アンカ5を一定間隔ごとに打設してゆく(図3(a)(b))。このとき打設深さは打設案内部52aが接地するまでを目安とすることが好ましい。
【0023】
〔2.構造鉄筋の組み合わせ〕
次に構造鉄筋3を、支持アンカ5に対して、支持させるために組み合わせるものであり、支持アンカ5における鉄筋受部53に構造鉄筋3を載せるようにしてゆく。このように支持アンカ5における鉄筋受部53へ構造鉄筋3を仮置き状態とした後、必要があれば適宜結束番線6を用いて支持アンカ5の鉄筋支持杆52に対して構造鉄筋3(下部鉄筋32)を仮固定してゆく(図3(c))。
【0024】
〔3.スペーサの係合〕
このように仮置き状態とされた、一対の下部鉄筋32に対し、図3(d)i 〜iii に示すようにまずスペーサ4をクリップ係合させる。この作業は、スペーサ4を下部鉄筋32の上方から押し当て、クリップ片43の位置において、スペーサ4におけるクリップ片43の係止誘導部43dの傾斜と変形誘導部43bの外側への撓みとを助けとして、係止部43e内に下部鉄筋32を保持し、且つ逆爪部43cの作用で、その抜け出しを阻止する。
因みにこのとき前記下部鉄筋32は、支持アンカ5における鉄筋受部53が、ほぼ水平に伸びた形状であるから、その仮保持位置をずらし易く止められている。これによりスペーサ4により設定された寸法に従った下部鉄筋32の固定が図られる。
なお下部鉄筋32と鉄筋受部53とは、スペーサ4により正確な位置決めが図られた後結束番線6を本締めして固定される。またスペーサ4の配設位置は、支持アンカ5の1ピッチ毎に1本〜3本程度の等間隔とする。
【0025】
〔4.網枠体の設置〕
このような状態に設置された各部材に対し、これらを覆うように網枠体2を配設する。
このとき既に構造鉄筋3(下部鉄筋32)に対してスペーサ4がクリップ係合して設けられていることから、図4(e)(f)に示すように網枠体2を被せれば、その整形片42が網枠体2の側胴部2Bの内側に添うように組み合わされ、網枠体2の形状を整えるように作用する。この状態で網枠体2とスペーサ4(整形片42)とを結束番線6で固定する。
なおスペーサ4と網枠体2とは、このような組み合わせに限られず、例えば図4(e)左側拡大図に示すようにスペーサ4における整形片42を上部が網枠体2の側胴部2Bから外側に抜け出すような状態に網枠体2を被せることができる。この操作は、網枠体2の胴幅を狭めるように扱いながら、整形片の上部の網目からくぐらせるようにする。この状態で整形片42は、網枠体2の側胴部2Bに接する状態となって、網枠体2の正確な断面形状を実現させる。
【0026】
また網枠体2は、例えばドーム状であって上部中心が一部凹陥して上部受け部23を有するものの場合、この部位を利用して上部鉄筋31を配設することができる。また支持アンカ5の打設支柱部51の頂部が上部受け部23を貫いている場合には結束番線6によって固定し両者の組み立てを図る。また同様に結束番線6を利用して、上部受け部23に配置された上部鉄筋31と、網枠体2との間、あるいは上部鉄筋31と、支持アンカ5の頂部との間を緊縛する。
【0027】
このような工程を経て枠構造体1を構成した後には、コンクリートCを枠構造体1に対し、吹付け施工していく。コンクリートCの粘度は、この際枠構造体1の存在により、流動が阻まれる程度の粘度に設定されており、吹付け時には、網枠体2の側胴部2Bから上方にかけての大きな網目からコンクリートCが流し込まれる一方、接地部2C近くは網目が細かく、従ってコンクリートCの流出が阻まれ、枠構造体1内側に留まる。その後、枠構造体1をコンクリートCがほぼ覆った段階で必要に応じて、図4(h)に示すようにコテSを用いた手作業等によりその表面の仕上処理が行われ法枠Aを構成する。
【0028】
〔他の実施の形態〕
本発明は以上述べた実施の形態を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
これら各改変は、網枠体2、スペーサ4、支持アンカ5においてそれぞれなされるものであるが、これらを順列組み合わせ的に選択して枠構造体1が構成される。
まず網枠体2は、図5(a)に示すように単純なドーム状としたもの、また図5(b)に示すように上部受け部23を幅広に設定したもの、更には法枠Aを矩形状断面とするためのほぼ門型断面としたもの等、種々の変形が可能である。
【0029】
またスペーサ4におけるクリップ片43は、別部材を適用せずに例えば図6(a)に示すように規制杆41の一部をループ状に曲成して形成することも出来る。また図6(b)に示すように鈎針状のものや、図6(c)に示すように係止誘導部43dを上方に向けたもの等が変形例として挙げられる。
更にスペーサ4は、必ずしも線材で構成することに限られず図6(d)(e)に示すようなプレス打抜き鋼板によって形成することが可能である。
【0030】
次に支持アンカ5の変形例について説明する。
まず図7(a)に示すものは、打設案内部52aを鉄筋支持杆52とは別の部材で形成したものである。また図7(b)(c)に示すものは、鉄筋支持杆52を上下2段に配したものであり、この場合には網枠体2が上部鉄筋31を支持するための構造を具えていない場合に有効である。
この場合上部鉄筋31を2本支持するもの(図7(b))、1本支持するもの(図7(c))の2つのタイプが考慮し得る。
【0031】
また図示を省略するが、鉄筋支持杆52を異形鉄筋で構成せず、プレス打抜き鋼板等で構成してもよい。
【符号の説明】
【0032】
G 法面
A 法枠
C コンクリート
D ドリル
H 下孔
S コテS

1 枠構造体
2 網枠体
3 構造鉄筋
4 スペーサ
5 支持アンカ
6 結束番線

2 網枠体
2A 頂部
2B 側胴部
2C 接地部
21 ドーム要素線
22 長手要素線
23 上部受け部

3 構造鉄筋
31 上部鉄筋
32 下部鉄筋

4 スペーサ
41 規制杆
42 整形片
43 クリップ片
43a 固定部
43b 変形誘導部
43c 逆爪部
43d 係止誘導部
43e 係止部

5 支持アンカ
51 打設支柱部
52 鉄筋支持杆
52a 打設案内部
53 鉄筋受部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7