【文献】
R. Souge et al.,Integration of Isolated RF-LDMOS Transistors in a 0.25 μm SiGe:C BICMOS Process,Bipolar/BiCMOS Circuits and Technology Meeting (BCTM),2011年10月 9日,pp.162-165
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のp型不純物領域および前記局所n型埋め込み領域は、前記主表面に沿う方向に関して前記第1のp型不純物領域を介して対向配置されている前記n型ウェル領域内に部分的に入り込み接触するように前記n型ウェル領域同士を接続する、請求項1に記載の半導体装置。
前記第1のp型不純物領域および前記局所n型埋め込み領域は、前記主表面に沿う方向に関して前記第1のp型不純物領域を介して対向配置されている前記n型ウェル領域内に部分的に入り込み接触するように前記n型ウェル領域同士を接続するように形成される、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず半導体基板SUBの主表面における各素子形成領域の配置について
図1を用いて説明する。
【0012】
図1を参照して、本実施の形態の半導体装置DEVは、半導体基板SUBの主表面に、たとえば高耐圧アナログI/O回路の形成領域と、低電圧ロジック回路の形成領域と、低電圧アナログ回路の形成領域と、いわゆるSRAM(Static Random Access Memory)の形成領域とを有している。
【0013】
上記の高耐圧アナログI/O回路は、通常よりも高い駆動電圧を印加して使用することが可能な、電源回路と低電圧ロジック回路などとの間で電気信号を入出力する回路である。低電圧ロジック回路とは、たとえば複数のMISトランジスタなどにより構成された論理回路などの制御回路を有しており、デジタル信号を用いて演算する回路である。低電圧アナログ回路とは、低電圧ロジック回路と同様の低電圧にて駆動するが、アナログ信号を用いて演算する回路である。SRAMにはMISトランジスタが複数個含まれており、当該半導体装置内でのデータの記憶素子として用いられる。この他に図示されないが、当該半導体装置には、たとえば電源回路の形成領域なども有している。当該電源回路は、上記の各回路を起動するための電源電圧を供給するためのものである。
【0014】
図2は、
図1中のII−II線に沿う領域の概略断面図である。
図1の高耐圧アナログI/O回路には、たとえば
図2の断面図に示すようないわゆる高耐圧pMOSFET(高耐圧pチャネル型トランジスタ)を有している。ここで高耐圧pMOSFETとは、たとえば10V以上の高いドレイン電圧の耐圧を有する、pチャネル型のMOSトランジスタを意味する。
【0015】
図2を参照して、
図1の高耐圧アナログI/O回路の形成領域には、高耐圧pMOSFETと高耐圧nMOSFET(高耐圧nチャネル型トランジスタ)とを有している。高耐圧nMOSFETは、高耐圧pMOSFETと同様に、たとえば10V以上の高いドレイン電圧の耐圧を有する、nチャネル型のMOSトランジスタを意味する。
【0016】
高耐圧pMOSFETは、n型埋め込み層NI(第1のn型半導体層)と、局所n型埋め込み領域RBNと、n型ウェル領域LNWと、高耐圧用p型ドリフト層HPDF(第1のp型不純物領域)と、n型不純物領域NRと、p型不純物領域PRと、ゲート電極Gと、素子分離絶縁膜LSとを主に有している。これらはたとえばシリコンの単結晶からなりp型不純物を含むp型領域PSRを有する半導体基板SUBに形成されている。
図3を参照して、これらの各領域は基本的に
図2の紙面奥行き方向に延在する。
【0017】
p型領域PSRは、シリコンの単結晶の内部にたとえばボロンなどのp型の不純物イオンが導入されてなる不純物領域である。n型埋め込み層NIは、半導体基板SUBの内部に埋め込まれるように配置された、たとえばリンなどのn型の不純物イオンを含む不純物領域である。n型埋め込み層NIは、p型領域PSRに対して半導体基板SUBの主表面MS側(すなわちp型領域PSRの上側)に配置されている。n型埋め込み層NIはたとえばp型領域PSRの上側に接するように配置されている。n型埋め込み層NIは、半導体基板SUBの内部においてp型領域PSRと、p型領域PSRに対して半導体基板SUBの主表面MS側におけるp型不純物領域(高耐圧用p型ドリフト層HPDFなど)とを電気的に分離するためのn型半導体層である。
【0018】
p型不純物領域PRおよび高耐圧用p型ドリフト層HPDFは、p型領域PSRと同様にp型の不純物イオンが導入されてなる。p型不純物領域PRおよびその周囲を取り囲むように形成された高耐圧用p型ドリフト層HPDFは、いずれも半導体基板SUBの主表面MSに形成された、ドレイン電極Dを取り出すための領域(第1のp型不純物領域)である。p型ドリフト層HPDFにおけるp型不純物の濃度は、p型領域PSRにおけるp型不純物の濃度よりも高く、p型ドリフト層HPDFが取り囲む(ドレイン電極Dを取り出すための)p型不純物領域PRにおけるp型不純物の濃度よりも低いことが好ましい。
【0019】
高耐圧用p型ドリフト層HPDFは、これが取り囲むp型不純物領域PRとp型領域PSRとの間の電気的接続をより滑らかにするために主表面MSに形成される領域である。高耐圧用p型ドリフト層HPDFが配置されることにより、ドレイン電極Dに高電圧が印加されたとしても、高耐圧用p型ドリフト層HPDFおよびその近傍における電界が極度に高くなることに伴う不具合の発生を抑制することができる。
【0020】
また半導体基板SUBの主表面MSには、ソース電極Sを取り出すための領域(第2のp型不純物領域)としてのp型不純物領域PRが併せて形成されている。これらのドレイン電極D、ソース電極Sを取り出す不純物領域およびゲート電極Gにより、高耐圧pMOSFETとしてのp型トランジスタPTRが形成される。したがって
図2においてはp型トランジスタPTRが2台図示されており、2台のp型トランジスタPTRはドレイン電極Dならびにドレイン電極Dを取り出すp型不純物領域PRおよび高耐圧用p型ドリフト層HPDFを共有している。
【0021】
なお2台のp型トランジスタPTRのゲート電極Gは、たとえばシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜GIと、電圧を印加するゲート電圧印加部GEと、たとえばシリコン酸化膜からなる側壁絶縁膜SWとにより構成される。
【0022】
半導体基板SUBの主表面MSには、n型ウェル領域LNWが形成され、主表面MSにおいてn型ウェル領域LNWが形成される領域の一部には、ソース電極Sを取り出すためのp型不純物領域PRおよびベース電位Bを取り出すn型不純物領域NRが形成されている。つまりn型ウェル領域LNWはソース電極Sを取り出すp型不純物領域PRおよびベース電位Bを取り出すn型不純物領域NRの周囲を取り囲むように、主表面MSに形成されている。なおn型ウェル領域LNWおよびn型不純物領域NRは、n型埋め込み層NIと同様にn型の不純物イオンが導入されてなる。
【0023】
ベース電位Bを取り出すn型不純物領域NRは、ベース電位Bとn型ウェル領域LNWとを電気的に接続することにより、n型ウェル領域LNWにおける電位を固定する役割を有する。
図3を参照して、ベース電位Bを取り出すn型不純物領域NRは、たとえば(1対の)p型トランジスタPTRを平面視において取り囲むように配置されることが好ましい。
【0024】
n型ウェル領域LNWは、ゲート電極Gの真下の少なくとも一部の領域を含むように配置されることが好ましい。このようにすれば、主表面MSおよびその近傍におけるn型ウェル領域LNWのうち、特にドレイン電極Dとソース電極Sとに挟まれた領域の少なくとも一部において、p型トランジスタPTRの電界効果を起こすチャネル領域が形成される。この電界効果は、当該チャネル領域の真上のゲート電極G(ゲート電圧印加部GE)に印加される電圧により引き起こされる。
【0025】
素子分離絶縁膜LSは、隣接する複数のp型トランジスタPTR同士を電気的に分離するために、たとえば主表面MSのうちベース電位Bとソース電極Sとの間に挟まれた領域の少なくとも一部に、たとえばシリコン酸化膜により形成される絶縁膜である。素子分離絶縁膜LSはたとえばいわゆるLOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)法やSTI(Shallow Trench Isolation)法により形成される。
【0026】
また素子分離絶縁膜LSは、たとえば主表面MSにおいて、p型トランジスタPTRのゲート電極Gとドレイン電極Dとの間に挟まれた領域の少なくとも一部(たとえば側壁絶縁膜SWの真下)に形成されることが好ましい。この領域に形成される素子分離絶縁膜LSは、たとえばn型ウェル領域LNWの主表面MSおよびその近傍にイオン注入法により形成されるp型トランジスタPTRのチャネル領域の不純物濃度が極度に低い領域の発生を抑制する。当該不純物濃度が低い領域は、電界効果を低下させ、ゲート電極Gの閾値電圧が非常に高くなる不具合を誘発する可能性がある。このため、当該不純物濃度が低い領域となる可能性が高い領域に素子分離絶縁膜LSを形成することにより、ゲート電極Gの真下において閾値電圧が高い領域を実質的に消滅させ、高耐圧pMOSFETのドレイン電流や信頼性が低下するなどの不具合の発生を抑制することができる。
【0027】
一方、高耐圧nMOSFETは、n型埋め込み層NI(第2のn型半導体層)と、n型ウェル領域LNWと、p型ウェル領域LPWと、低濃度n型領域NNRと、n型不純物領域NRと、p型不純物領域PRと、ゲート電極Gと、素子分離絶縁膜LSとを主に有している。これらは高耐圧pMOSFETが形成される半導体基板SUBと同一のp型領域PSRを有する半導体基板SUBに形成されている。p型ウェル領域LPWはp型領域PSRなどと同様にp型の不純物イオンが導入されてなり、低濃度n型領域NNRはn型不純物領域NRなどと同様にn型の不純物イオンが導入されてなる。
【0028】
高耐圧nMOSFETのp型領域PSRおよびn型埋め込み層NIは、高耐圧pMOSFETのp型領域PSRおよびn型埋め込み層NIと共通のものとなっている。すなわち高耐圧nMOSFETのp型領域PSRは高耐圧pMOSFETのp型領域PSRと同一の層として存在し、高耐圧nMOSFETのn型埋め込み層NIは高耐圧pMOSFETのn型埋め込み層NIと同一の層として存在する。
【0029】
ドレイン電極Dを取り出すための領域は、半導体基板SUBの主表面MSに形成されたn型不純物領域NRおよびその周囲を取り囲むように形成された低濃度n型領域NNRである。低濃度n型領域NNRにおけるn型不純物の濃度は、n型ウェル領域LNWにおけるn型不純物の濃度よりも高く、n型不純物領域NRにおけるn型不純物の濃度よりも低いことが好ましい。このような構成により、ドレイン電極Dに高電圧が印加されたとしても、n型不純物領域NRおよびその近傍における電界が極度に高くなることに伴う不具合の発生を抑制することができる。なお、ソース電極Sを取り出すための領域においても、n型不純物領域NRおよびその周囲を取り囲むように形成された低濃度n型領域NNRを有してもよい。
【0030】
これらのドレイン電極D、ソース電極Sを取り出す不純物領域およびゲート電極Gにより、高耐圧nMOSFETとしてのn型トランジスタNTRが形成される。
【0031】
さらにベース電位Bを取り出すp型不純物領域PRは、ベース電位Bとp型ウェル領域LPWとを電気的に接続することにより、p型ウェル領域LPWにおける電位を固定する役割を有する。
【0032】
局所n型埋め込み領域RBNは、高耐圧pMOSFETにおいて、ドレイン電極Dを取り出すための第1のp型不純物領域の直下、すなわち第1のp型不純物領域のp型領域PSR側に配置された領域である。この局所n型埋め込み領域RBNは、第1のp型不純物領域のなかでも特にp型不純物領域PRの直下に配置されることが好ましいが、第1のp型不純物領域を構成するp型不純物領域PRと高耐圧用p型ドリフト層HPDFとの双方の直下に配置されてもよい。
【0033】
局所n型埋め込み領域RBNは、上記のようにドレイン電極Dを取り出すための第1のp型不純物領域の直下を含むように配置されてもよいが、平面視において当該第1のp型不純物領域と重なるように(たとえば第1のp型不純物領域と同一の平面形状となり第1のp型不純物領域とほぼ完全に重なるように)配置されてもよい。局所n型埋め込み領域RBNは、第1のp型不純物領域のなかでも特にp型不純物領域PRと同一の平面形状となるように配置されてもよいし、第1のp型不純物領域を構成するp型不純物領域PRと高耐圧用p型ドリフト層HPDFとの双方を合わせた領域(つまり平面視における高耐圧用p型ドリフト層HPDFと等しい)と同一の平面形状となるように配置されてもよい。
【0034】
図4のグラフの横軸(深さ)は、
図2の半導体基板SUBの内部における、半導体基板SUBの主表面MSからの
図2の上下方向に関する距離の相対量を示し、
図4のグラフの縦軸(濃度)は、当該深さの領域における不純物(p型不純物領域におけるボロンまたはn型不純物領域におけるリン)の濃度の相対量を示している。
【0035】
図2の局所n型埋め込み領域RBNとは、局所n型埋め込み領域RBNを形成するために導入された不純物であるリンの濃度が、他の領域を形成するために導入された不純物(たとえばn型埋め込み層NIを形成するためのリン、または高耐圧用p型ドリフト層HPDFを形成するためのボロン)およびp型領域PSRにおけるp型不純物の濃度よりも高い領域をいうものとする。同様に、
図2の高耐圧用p型ドリフト層HPDFとは、これを形成するためのボロンの濃度が他のいずれの領域(p型領域PSRを含む)を構成する不純物の濃度よりも高い領域をいうものとし、
図2のn型埋め込み層NIとは、これを形成するためのリンの濃度が他のいずれの領域(p型領域PSRを含む)を構成する不純物の濃度よりも高い領域をいうものとする。
図2に示す他のいずれの領域についても同様であり、当該領域を形成するために導入された不純物の濃度が他のいずれの領域用の不純物の濃度よりも高くなった領域をいうものとする。
【0036】
図2および
図4を参照して、本実施の形態においては、局所n型埋め込み領域RBNはn型埋め込み層NIに対する主表面MS側、すなわち
図2における上側(
図4における左側)に配置される。特に本実施の形態においては、局所n型埋め込み領域RBNのリンの濃度が最大となる位置は、n型埋め込み層NIのリンの濃度が最大となる位置よりも主表面MS側(
図2の上側)であり、高耐圧用p型ドリフト層HPDFのボロンの濃度が最大となる位置よりもp型領域PSR側(
図2の下側)に配置される。
図4においては局所n型埋め込み領域RBNとn型埋め込み層NIとの最大不純物濃度がほぼ等しくなっているが、局所n型埋め込み領域RBNの最大不純物濃度の方がn型埋め込み層NIの最大不純物濃度よりも高くなっていてもよい。
【0037】
また局所n型埋め込み領域RBNは、n型埋め込み層NIと互いに接するように配置される。すなわち
図4に示すように、局所n型埋め込み領域RBNの濃度プロファイルとn型埋め込み層NIとの濃度プロファイルとが互いに交わり合い、かつ
図2に示すように、局所n型埋め込み領域RBNとn型埋め込み層NIとの間にp型領域PSRなどの他の領域を含まない。
【0038】
図2の断面図において、局所n型埋め込み領域RBNは主表面MSに沿う方向に関して局所n型埋め込み領域RBNの両側に配置されるn型ウェル領域LNWと接するように形成されることが好ましい。言い換えれば
図2の断面図において、局所n型埋め込み領域RBNは、主表面MSに沿う方向に関して隣接するn型ウェル領域LNWと接続するように(n型ウェル領域LNWを橋渡しするように)配置されることが好ましい。局所n型埋め込み領域RBNは、主表面MSに沿う方向に関して第1のp型不純物領域(高耐圧用p型ドリフト層HPDF)を介して(
図2における高耐圧用p型ドリフト層HPDFの左側と右側とに)対向配置されているn型ウェル領域LNW同士を接続する。さらに言い換えればn型ウェル領域LNWは、局所n型埋め込み領域RBNと接するように、局所n型埋め込み領域RBNを取り囲むことが好ましい。またn型ウェル領域LNWは、第1のp型不純物領域(高耐圧用p型ドリフト層HPDF)と接するように、局所n型埋め込み領域RBNを取り囲んでもよい。
【0039】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について、
図5〜
図14を用いて説明する。
【0040】
図5を参照して、まず内部にたとえばp型の不純物を含むp型領域PSRを有する、シリコンの単結晶からなる半導体基板SUBが準備される。半導体基板SUBの一方の主表面MS上に、通常の写真製版技術(露光技術および現像技術)により、平面視において素子分離絶縁膜LSが形成される領域が開口されたフォトレジストPHRのパターンが形成される。
【0041】
図6を参照して、たとえば通常のLOCOS法やSTI法により、主表面MSのうちフォトレジストPHRの開口部にあたる領域に、たとえばシリコン酸化膜からなる素子分離絶縁膜LSが形成される。
【0042】
次に図示されないが、上記フォトレジストPHRを除去した後、主表面MSのほぼ全面に、厚みがたとえば10nm以上50nm以下のシリコン酸化膜が形成される。再度
図6を参照して、次に通常の写真製版技術により、平面視において高耐圧p型ドリフト層HPDFが形成される領域が開口されたフォトレジストPHRのパターンが形成される。
【0043】
図7を参照して、通常のイオン注入法により、たとえばボロン(B)の不純物イオンが50keV以上300keV以下のエネルギで主表面MSの上方から複数回注入される。その結果、高耐圧p型ドリフト層HPDFが形成される。さらに続いて、イオン注入法により、たとえばリン(P)の不純物イオンが500keV以上2MeV以下のエネルギで主表面MSの上方から注入される。その結果、局所n型埋め込み領域RBNが形成される。
【0044】
次に上記の(高耐圧p型ドリフト層HPDFおよび局所n型埋め込み領域RBNを形成するために用いた)フォトレジストPHRが除去された後、通常の写真製版技術により、平面視においてn型埋め込み層NIが形成される領域が開口されたフォトレジストPHRのパターンが形成される。
【0045】
図8を参照して、イオン注入法により、たとえばリン(P)の不純物イオンが1MeV以上5MeV以下のエネルギで主表面MSの上方から注入される。その結果、半導体基板SUB内のp型領域PSRの主表面MS側(上側)に、n型埋め込み層NIが形成される。ここでは、高耐圧pMOSFETの領域のn型埋め込み層NI(第1のn型半導体層)と、高耐圧nMOSFETの領域のn型埋め込み層NI(第2のn型半導体層)とが、同時に形成される。
【0046】
次に上記の(n型埋め込み層NIを形成するために用いた)フォトレジストPHRが除去された後、通常の写真製版技術により、平面視においてn型ウェル領域LNWが形成される領域が開口されたフォトレジストPHRのパターンが形成される。
【0047】
図9を参照して、イオン注入法により、たとえばリン(P)の不純物イオンが150keV以上2000keV以下のエネルギで、さらにボロン(B)の不純物イオンが20keV以上50keV以下のエネルギで、主表面MSの上方から注入される。その結果、n型ウェル領域LNWが形成される。
【0048】
次に上記の(n型ウェル領域LNWを形成するために用いた)フォトレジストPHRが除去された後、通常の写真製版技術により、平面視においてp型ウェル領域LPWが形成される領域が開口されたフォトレジストPHRのパターンが形成される。
【0049】
図10を参照して、イオン注入法により、たとえばボロン(B)の不純物イオンが20keV以上1000keV以下のエネルギで、主表面MSの上方から注入される。その結果、p型ウェル領域LPWが形成される。
【0050】
次に上記の(p型ウェル領域LPWを形成するために用いた)フォトレジストPHRが除去された後、先に主表面MSのほぼ全面に形成されたシリコン酸化膜が除去される。次に主表面MSのほぼ全面に、通常の熱酸化法により、ゲート絶縁膜GIを形成するための絶縁膜(10nm以上50nm以下のシリコン酸化膜)が形成され、当該絶縁膜GIのほぼ全面を覆うように、通常のCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、ゲート電圧印加部GEを形成するための多結晶シリコン膜が形成される。
【0051】
さらに多結晶シリコン膜GE上に、通常の写真製版技術により、平面視において絶縁膜GIおよび多結晶シリコン膜GEが除去される領域が開口されたフォトレジストPHRのパターンが形成される。
【0052】
図11を参照して、
図10のフォトレジストPHRのパターンをフォトマスクとして上記の絶縁膜GIおよび多結晶シリコン膜GEに対して通常のエッチングがなされ、ゲート絶縁膜GIおよびゲート電圧印加部GEが形成される。
【0053】
次に上記の(ゲート絶縁膜GIなどを形成するために用いた)フォトレジストPHRが除去された後、通常の写真製版技術により、平面視において低濃度n型領域NNRが形成される領域およびゲート電圧印加部GEと平面視において重なる領域が開口されたフォトレジストPHRのパターンが形成される。
【0054】
図12を参照して、イオン注入法により、たとえばリン(P)の不純物イオンが50keV以上200keV以下のエネルギで、主表面MSの上方から注入される。その結果、低濃度n型領域NNRが形成される。
【0055】
次に上記の(低濃度n型領域NNRを形成するために用いた)フォトレジストPHRが除去された後、主表面MSのほぼ全面に、ゲート電圧印加部GEなどの上側面を覆うようにシリコン酸化膜がたとえばCVD法により堆積される。このシリコン酸化膜の厚みは30nm以上300nm以下であることが好ましい。その後当該シリコン酸化膜がエッチバックされることにより、ゲート電圧印加部GEおよびゲート絶縁膜GIの側面を覆うように側壁絶縁膜SWが形成される。以上によりゲート電極Gが形成される。
【0056】
図13を参照して、通常の写真製版技術により、平面視においてn型不純物領域NRが形成される領域が開口されたフォトレジストPHRのパターンが形成される。
【0057】
図14を参照して、イオン注入法により、たとえばヒ素(As)の不純物イオンが30keV以上70keV以下のエネルギで、主表面MSの上方から注入される。その結果、n型不純物領域NRが形成される。以上により高耐圧nMOSFETのドレイン電極Dおよびソース電極Sを取り出す(n型)不純物領域、ならびに高耐圧pMOSFETのベース電位Bを取り出す(n型)不純物領域が形成される。
【0058】
さらに上記の(n型不純物領域NRを形成するために用いた)フォトレジストPHRが除去された後、通常の写真製版技術により、平面視においてp型不純物領域PRが形成される領域が開口されたフォトレジストPHRのパターンが形成される。その後イオン注入法により、たとえばフッ化ホウ素(BF
2)の不純物イオンが20keV以上60keV以下のエネルギで、主表面MSの上方から注入される。その結果、再度
図2を参照して、p型不純物領域PRが形成される。以上により高耐圧pMOSFETのドレイン電極Dおよびソース電極Sを取り出す(p型)不純物領域、ならびに高耐圧nMOSFETのベース電位Bを取り出す(p型)不純物領域が形成され、p型トランジスタPTRおよびn型トランジスタNTRが形成される。
【0059】
なお上記のイオン注入法により不純物が注入されて各領域が形成された直後には、通常の熱処理がなされることにより、形成された各領域が安定な状態となる。また各図に示されないが、上記の各工程により、高耐圧pMOSFETおよび高耐圧nMOSFETのみならず、
図1の低電圧ロジック回路などを構成するMOSFETの各構成要素も同時に形成される。
【0060】
次に、本実施の形態の関連技術としての
図15を参照しながら、本実施の形態の作用効果について説明する。
【0061】
図15を参照して、本実施の形態の関連技術としての
図15の高耐圧アナログI/O回路の形成領域には、
図2と同様に高耐圧pMOSFETと高耐圧nMOSFETとを有している。しかし
図15においては、p型トランジスタPTRのドレイン電極Dを取り出すp型不純物領域PRの直下に局所n型埋め込み領域RBNが配置されていない点において、
図15の構成は
図2の構成と異なっている。しかし他の点においては
図15の構成は
図2の構成と同様であるため、
図15において
図2と同様の構成要素については同様の参照符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0062】
図15の構成は、上記の本実施の形態と同様に、n型埋め込み層NI、局所n型埋め込み領域RBN、n型ウェル領域LNW、高耐圧用p型ドリフト層HPDFなどがすべてイオン注入法により形成されている。このため、たとえば上記公報(特許文献1)のように半導体層をエピタキシャル成長により形成する場合に比べて製造コストを低減することができる。
【0063】
ところが、
図15に示すように、この構成においては、図の上下方向に並ぶ高耐圧用p型ドリフト層HPDFとその直下のn型埋め込み層NIとその直下のp型領域PSRとの間で寄生pnpバイポーラトランジスタが発生することがある。特に、モータなどからドレイン電極Dを取り出す領域へ逆回生電流が流入してきた場合、この寄生pnpバイポーラトランジスタが動作すれば、上記逆回生電流の一部が当該バイポーラトランジスタのコレクタに相当するp型領域PSR(半導体基板SUB)の方へ漏れ電流として流れ、その結果当該MOSFETの周辺の素子が誤動作したり、p型トランジスタPTRが熱破壊したりする可能性がある。
【0064】
上記のp型領域PSRの方へ(図の下方へ)流れる漏れ電流を抑制するためには、当該バイポーラトランジスタのベースとして動作するn型埋め込み層NIを高濃度化するか、n型埋め込み層NIの(図の上下方向の)厚みを大きくすることが好ましい。これらは、n型埋め込み層NIのイオン注入量を増やすか、n型埋め込み層NIを多段注入とすることにより実現できる。しかし
図15の構成において上記の処置をすれば、p型トランジスタPTRの寄生トランジスタの影響が減る代わりにn型トランジスタNTRのソース電極Sを取り出すためのn型不純物領域NRおよび低濃度n型領域NNRと、その直下のp型ウェル領域LPWと、さらにその直下のn型埋め込み層NIとの間に発生する寄生npnバイポーラトランジスタの動作を促進することになる。これは当該npnバイポーラトランジスタのエミッタとしてのn型埋め込み層NIにおけるn型不純物の濃度が高くなったりn型埋め込み層NIが厚くなったりするためである。n型トランジスタNTRの寄生バイポーラトランジスタが動作しやすくなるため、上記と同様に素子を誤動作させる可能性がある。
【0065】
上記の問題は、たとえばp型トランジスタPTRのn型埋め込み層NIのみを厚くしたり不純物濃度を増したりすることにより解消できるが、このようにするためには、追加でフォトマスクを1枚用意する必要があるため、製造コストを増加させる可能性がある。
【0066】
そこで本実施の形態(
図2)のように、n型埋め込み層NIと接するように局所n型埋め込み領域RBNを配置することにより、
図15の寄生pnpバイポーラトランジスタが動作しやすい領域において、ベースとしてのn型不純物領域が実質的に厚みを増すことになる。このため、当該領域において寄生pnpバイポーラトランジスタとしての動作が起こりにくくなる。したがって、本実施の形態の半導体装置は、寄生バイポーラトランジスタの動作に起因する周辺回路の誤動作およびp型トランジスタPTRの熱破壊を抑制することができる。この効果は、局所n型埋め込み領域RBNが高耐圧p型トランジスタPTRのドレイン電極Dを取り出す領域(p型不純物領域PRおよび高耐圧用p型ドリフト層HPDF)の直下に(ドレイン電極Dを取り出す領域と平面視において重なる位置に)、ドレイン電極Dを取り出す領域と同じ平面形状を有するように配置される場合において、いっそう大きくなる。これは寄生バイポーラトランジスタは、
図2の上下方向に沿ってp型領域、n型領域およびp型領域の順に配列されることにより形成されるためである。
【0067】
本実施の形態の局所n型埋め込み領域RBNは、特に半導体装置が高耐圧pMOSFETと高耐圧nMOSFETとを備え、かつ高耐圧pMOSFETと高耐圧nMOSFETとが同一の層(ここではn型埋め込み層NI)を共有する構成である場合に特に有利に利用され得る。これは上記のように、高耐圧nMOSFETのn型埋め込み層NIにおけるn型不純物の濃度およびn型埋め込み層NIの厚みを増加することにより高耐圧nMOSFETにおいて起こりうる不具合(寄生npnバイポーラトランジスタの動作促進)を回避するために本実施の形態の態様が採用されるためである。
【0068】
また本実施の形態の局所n型埋め込み領域RBNは、主表面MSに沿う方向に関して高耐圧用p型ドリフト層HPDFを介して(
図2における高耐圧用p型ドリフト層HPDFの左側と右側とに)対向配置されている。n型ウェル領域LNWと接続するように配置される。このため、たとえば
図2の高耐圧用p型ドリフト層HPDFの下側に接するp型領域PSRは、高耐圧用p型ドリフト層HPDFとn型埋め込み層NIとを互いに接続しない。したがって、高耐圧用p型ドリフト層HPDFとその直下のn型埋め込み層NIとの間に漏れ電流(逆回生電流のドレイン領域への流入時に高耐圧用p型ドリフト層HPDFからn型埋め込み層NIの方へ流れる電流)が流れることを抑制し、p型トランジスタPTRの熱破壊を抑制したり、周辺回路の誤動作を抑制することができる。
【0069】
また本実施の形態のように、局所n型埋め込み領域RBNがn型埋め込み層NIよりも主表面MS側に存在することにより、高耐圧用p型ドリフト層HPDFとその直下のn型埋め込み層NIとの間の距離をより短くすることができる。その結果、高耐圧用p型ドリフト層HPDFとその直下のn型埋め込み層NIとの間に漏れ電流(逆回生電流のドレイン領域への流入時に高耐圧用p型ドリフト層HPDFからn型埋め込み層NIの方へ流れる電流)が流れることを抑制し、p型トランジスタPTRの熱破壊を抑制したり、周辺回路の誤動作を抑制することができる。
【0070】
さらに、本実施の形態の製造方法において、高耐圧用p型ドリフト層HPDFと局所n型埋め込み領域RBNとが同一のフォトマスクを用いて(時間的に連続して)形成されることにより、当該製造工程に要する時間とコストを削減することができる。また上記のように局所n型埋め込み領域RBNが高耐圧用p型ドリフト層HPDFと平面形状が同じであり、かつ平面視においてほぼ完全に重なるように局所n型埋め込み領域RBNが高耐圧用p型ドリフト層HPDFの直下に配置されるため、局所n型埋め込み領域RBNは高耐圧用p型ドリフト層HPDFと同一のフォトマスクを用いて容易に形成することができる。
【0071】
ここで本実施の形態との比較をすれば、たとえば上記の公報においては、埋め込み層を形成するための専用のフォトマスクが別途1枚必要であり、さらに埋め込み層を覆うようにエピタキシャル成長による薄膜が形成されるため、製造工程に多くの時間とコストを要する。しかし本実施の形態においては、局所n型埋め込み領域RBNは高耐圧用p型ドリフト層HPDFを形成するためのフォトマスクを用いて形成することができる。このため、上記の公報のような別途のフォトマスクの準備が不要となることにより、当該製造工程に要する時間とコストが大きく削減される。
【0072】
このように局所n型埋め込み領域RBNを高耐圧用p型ドリフト層HPDFと同一のフォトマスクを用いて形成する技術は、局所n型埋め込み領域RBNが高耐圧用p型ドリフト層HPDFの直下に、高耐圧用p型ドリフト層HPDFと平面視において重なる位置に(両者が同一の平面形状となるように)形成されるために実現可能となる。
【0073】
(実施の形態2)
図7に示す工程においてイオン注入法により形成される局所n型埋め込み領域RBNは、その形成される条件を変化することにより、高耐圧pMOSFET(p型トランジスタPTR)における寄生バイポーラトランジスタの動作、およびそれに伴うp型領域PSRへの漏れ電流(基板漏れ電流)をより確実に抑制することができる。
【0074】
具体的には、たとえば局所n型埋め込み領域RBNを形成するためのイオン注入のエネルギを低下させたり、イオン注入量を増加することにより、寄生バイポーラトランジスタの動作およびp型領域PSRへの基板漏れ電流をより確実に抑制することができる。
【0075】
図16(A)の横軸は(たとえば局所n型埋め込み領域RBNを形成するための)イオン注入のエネルギの大きさを示し、縦軸はp型トランジスタPTRの基板漏れ電流の割合および耐圧の大きさを示す。ここで基板漏れ電流とは、モータなどが逆回生状態になった場合にドレイン電極Dを取り出すp型不純物領域PRに流入する電流のうち、p型トランジスタPTRの寄生バイポーラトランジスタを介して半導体基板SUBのp型領域PSRの方へ漏れる電流成分を示す。
【0076】
図16(A)を参照して、イオン注入のエネルギが低下すれば、p型トランジスタPTRにおける局所n型埋め込み領域RBNが厚くなる。するとp型トランジスタPTRの寄生バイポーラトランジスタのベースとして機能する領域が厚くなるため、p型トランジスタPTRのバイポーラトランジスタとしての機能が低下し、その結果基板漏れ電流の割合を低下させることができる。
【0077】
図16(B)の横軸は(たとえば局所n型埋め込み領域RBNを形成するための)イオン注入量を示し、縦軸はp型トランジスタPTRの基板漏れ電流の割合および耐圧の大きさを示す。
【0078】
図16(B)を参照して、イオン注入量が増加すれば、p型トランジスタPTRにおける局所n型埋め込み領域RBNの不純物濃度が高くなる。するとp型トランジスタPTRの寄生バイポーラトランジスタのベースとして機能する領域の不純物濃度が高くなるため、p型トランジスタPTRのバイポーラトランジスタとしての機能が低下し、その結果基板漏れ電流の割合を低下させることができる。
【0079】
図16(A)、(B)を参照して、イオン注入のエネルギが低下した場合およびイオン注入量が増えた場合のいずれにおいてもp型トランジスタPTRの耐圧は低下する。このため、当該p型トランジスタPTRに要求される仕様に応じてイオン注入エネルギおよびイオン注入量を調整することが望まれる。
【0080】
なお本実施の形態と、実施の形態1で説明した各構成上の特徴とを適宜組み合わせてもよい。
【0081】
(実施の形態3)
図17を参照して、本実施の形態における高耐圧アナログI/O回路の形成領域は、
図2に示す実施の形態1における高耐圧アナログI/O回路の形成領域と基本的に同様の構成を有する。しかし本実施の形態においては、局所n型埋め込み領域RBNはn型埋め込み層NIに対する主表面MSと反対側、すなわち
図2における下側(
図4における右側)に、n型埋め込み層NIと接するように配置される。したがって本実施の形態の局所n型埋め込み領域RBNは、半導体基板SUBのp型領域PSRに取り囲まれるように(埋め込まれるように)配置されている。
【0082】
本実施の形態においても実施の形態1と基本的に同様の製造方法(
図5〜
図14参照)により所望の半導体装置が形成される。しかし本実施の形態においては、実施の形態1の
図7に示す工程において、局所n型埋め込み領域RBNを形成する際にリン(P)の不純物イオンを注入するエネルギを、たとえば2.6MeV以上5MeV以下とすることが好ましい。そのようにすれば、実施の形態1の
図7よりも深い領域に局所n型埋め込み領域RBNが形成される。
【0083】
以上の点において、
図17の構成は
図2の構成と異なっている。しかし他の点においては
図17の構成は
図2の構成と同様であるため、
図17において
図2と同様の構成要素については同様の参照符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0084】
次に本実施の形態の作用効果について説明する。本実施の形態は、実施の形態1の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
【0085】
本実施の形態においては、実施の形態1と比較して、局所n型埋め込み領域RBNが主表面MSから離れた(深い)領域に配置される。このため、本実施の形態の局所n型埋め込み領域RBNは、形成時における
図16(A)のイオン注入エネルギが実施の形態1の局所n型埋め込み領域RBNよりも高い。したがって
図16(A)のグラフが示すように、本実施の形態のp型トランジスタPTRは、実施の形態1のp型トランジスタPTRよりも耐圧を向上する効果が増大する。
【0086】
なお本実施の形態と、実施の形態1〜2で説明した各構成上の特徴とを適宜組み合わせてもよい。
【0087】
(実施の形態4)
図18を参照して、本実施の形態における高耐圧アナログI/O回路の形成領域は、
図2に示す実施の形態1における高耐圧アナログI/O回路の形成領域と基本的に同様の構成を有する。しかし本実施の形態においては、局所n型埋め込み領域RBNは、n型埋め込み層NIの内部に配置される。したがって本実施の形態の局所n型埋め込み領域RBNは、ドレイン電極Dのp型不純物領域PR(および高耐圧p型ドリフト層HPDF)の直下において、n型埋め込み層NIと同一の領域に配置される。
【0088】
この場合は、局所n型埋め込み領域RBNによる不純物濃度が最大となる領域が、n型埋め込み層NIの内部にあることになり、さらに言い換えれば、当該不純物濃度が最大となる領域は、図の上下方向に関してn型埋め込み層NIと同じ位置(同じ座標)にあることになる。
【0089】
本実施の形態においても実施の形態1と基本的に同様の製造方法(
図5〜
図14参照)により所望の半導体装置が形成される。しかし本実施の形態においては、実施の形態1の
図7に示す工程において、局所n型埋め込み領域RBNを形成する際にリン(P)の不純物イオンを注入するエネルギを、たとえばn型埋め込み層NIを形成するときのイオン注入のエネルギと同等である2MeV以上3.5MeV以下とすることが好ましい。そのようにすれば、実施の形態1の
図7よりも深く、実施の形態3の
図17よりも浅い領域に局所n型埋め込み領域RBNが形成される。
【0090】
以上の点において、
図18の構成は
図2の構成と異なっている。しかし他の点においては
図18の構成は
図2の構成と同様であるため、
図18において
図2と同様の構成要素については同様の参照符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0091】
次に本実施の形態の作用効果について説明する。
以上のように本実施の形態においては、局所n型埋め込み領域RBNがn型埋め込み層NIと同一の位置に形成される。しかし不純物濃度プロファイルで考えれば、局所n型埋め込み領域RBNが形成されることにより、たとえば当該局所n型埋め込み領域RBNが存在しない場合に比べて、ドレイン電極Dを取り出す領域の直下におけるn型不純物領域の厚みが増加したり、n型不純物の濃度が高くなったりする。このため本実施の形態の局所n型埋め込み領域RBNも他の実施の形態と同様の上記の効果を奏する。
【0092】
なお本実施の形態と、実施の形態1〜3で説明した各構成上の特徴とを適宜組み合わせてもよい。
【0093】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。