特許第5964101号(P5964101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964101
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】サーマルプリントヘッド
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/345 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   B41J2/345 K
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-71055(P2012-71055)
(22)【出願日】2012年3月27日
(65)【公開番号】特開2013-202797(P2013-202797A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113322
【氏名又は名称】東芝ホクト電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082740
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 恵基
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(74)【代理人】
【識別番号】100081732
【弁理士】
【氏名又は名称】大胡 典夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智法
【審査官】 大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−289999(JP,A)
【文献】 特開昭59−178269(JP,A)
【文献】 特開平07−321141(JP,A)
【文献】 特開昭62−142660(JP,A)
【文献】 特開平01−200971(JP,A)
【文献】 特開2001−038941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/345
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の絶縁基板と、前記絶縁基板の表面に間隔を置いて主走査方向に配列された発熱抵抗体と、隣り合う2つの前記発熱抵抗体の前記絶縁基板の一方の長辺側の端部を接続する折返し電極と、前記発熱抵抗体に対して前記折返し電極の反対側で前記主走査方向に延びるコモン電極と、前記コモン電極と前記発熱抵抗体との間に位置するパッドと、前記パッドと前記発熱抵抗体との間に延びる第1の電極と、前記第1の電極に接続した前記発熱抵抗体に前記折返し電極で接続された前記発熱抵抗体と前記コモン電極との間に延びる第2の電極と、を備えた発熱体板と、
前記コモン電極に沿って延びるコモン配線を持つ回路基板と、
前記回路基板の前記コモン配線よりも前記発熱体板から遠い位置に載置された駆動ICと、
前記コモン電極と前記コモン配線との間に架け渡された第1のボンディングワイヤーと、
前記パッドと前記駆動ICのIC端子との間に架け渡された第2のボンディングワイヤーと、
前記駆動ICと前記第1のボンディングワイヤーと前記第2のボンディングワイヤーとを封止する樹脂封止体と、
を具備し、
主走査方向に隣り合う2つの前記パッドの間隔は、主走査方向に隣り合う2つの前記IC端子の間隔より広く、
複数の前記第1のボンディングワイヤーは、それぞれ副走査方向に架け渡され、
複数の前記第2のボンディングワイヤーのうちの少なくとも一部は、副走査方向に対して斜め方向に、前記第1のボンディングワイヤーの上を跨ぐようにして架け渡される
ことを特徴とするサーマルプリントヘッド。
【請求項2】
前記コモン配線は、前記絶縁基板上の前記パッド及び前記コモン電極よりも低い位置にあり、前記駆動ICのIC端子は、前記パッド及び前記コモン電極よりも高い位置にあり、前記第2のボンディングワイヤーが、第1のボンディングワイヤーよりも高い位置を通過する
ことを特徴とする請求項1に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項3】
前記コモン配線は前記主走査方向の複数の位置で電源に接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサーマルプリントヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルプリントヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリントヘッドは、ビデオプリンター、イメージャー、シールプリンターなどの出力用デバイスとして注目されている。サーマルプリントヘッドは、基板上に配列された発熱抵抗体を有している。これらの発熱抵抗体を所定のパターンで発熱させることにより、サーマルプリントヘッドを用いて感熱紙、製版フィルム印画紙などのメディアへの記録が行われる。低騒音、低ランニングコストなどの利点を持つため、様々な開発が行われている。
【0003】
サーマルプリントヘッドは、アルミナなどのセラミック基板の表面に保温層としてグレーズ層を形成した支持基体を有している。この支持基体上に発熱抵抗体層とアルミニウムなどの電極となる導電層とをスパッタ法などの薄膜形成方法によって積層した後、フォトエングレービングプロセスで発熱抵抗体、個別電極などをパターニングする。その後、発熱抵抗体層および電極の所定の部分を覆う絶縁保護被膜層をスパッタ法などの薄膜形成方法によって形成する。
【0004】
このようにして製造された発熱体板と別途製造された回路基板とが放熱板の表面に固定される。さらに発熱体板の電極と回路基板に搭載された駆動ICとがボンディングワイヤーなどで接続され、駆動ICなどが樹脂で封止されてサーマルプリントヘッドが製造される。
【0005】
サーマルプリントヘッドにおいて、駆動ICなどを封止する樹脂としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられる。エポキシ樹脂は、熱硬化後に常温で十分な機械的強度を持ち、基板への接着性が高いためである。
【0006】
駆動ICなどを封止する工程において、熱硬化性樹脂を硬化させるため加熱処理が行われる。このため、発熱体板と回路基板とが熱膨張した状態で封止樹脂が硬化する。その後常温に戻る際には、発熱体板と回路基板との熱膨張係数の違いにより、発熱体板と回路基板との収縮率は異なる。その結果、回路基板がある程度硬い場合には、発熱体板が回路基板に引っ張られて曲がってしまう場合がある。これに伴って発熱体板に形成された抵抗体の配列が曲がる可能性がある。抵抗体配列の曲がりが大きいと、印刷時、プラテンローラと発熱体板との接触状態が悪化し、印刷品質が低下する。
【0007】
そこで、たとえば回路基板として、フレキシブル基板(FPC)にセラミックの板を接着して、発熱体板に熱膨張を近づけたものを用いる方法がある(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−334791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
サーマルプリントヘッドのそれぞれの発熱抵抗体の一方の端部は、駆動素子に接続されている。これらの端部に接続されて主走査方向に配列されたパッドと、主走査方向に電極が配列された駆動素子との間に架け渡されたボンディングワイヤーで、これらの端部との駆動素子と間が接続される。
【0010】
発熱抵抗体の他方の端部は、一定の電位となるコモン電極に接続されている。このコモン電極は、回路基板側のコモン配線とボンディングワイヤーで接続される。このコモン配線は、駆動素子にも接続される。
【0011】
発熱抵抗体と駆動素子とを接続する主走査方向に配列されたパッドの主走査方向の外側で発熱体板のコモン電極と回路基板側のコモン配線とを接続すると、主走査方向にコモン配線との接続位置から離れるほど、コモン電極自体の電気抵抗によってコモン電極の電位が低下してしまう。このようなコモンドロップが生じると、発熱抵抗体ごとに印画濃度が異なり、印画にムラが生じてしまうことがある。
【0012】
そこで、本発明は、サーマルプリントヘッドの共通電極における主走査方向の電位変化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題を解決するため、本発明は、サーマルプリントヘッドにおいて、長方形の絶縁基板と、前記絶縁基板の表面に間隔を置いて主走査方向に配列された発熱抵抗体と、隣り合う2つの前記発熱抵抗体の前記絶縁基板の一方の長辺側の端部を接続する折返し電極と、前記発熱抵抗体に対して前記折返し電極の反対側で前記主走査方向に延びるコモン電極と、前記コモン電極と前記発熱抵抗体との間に位置するパッドと、前記パッドと前記発熱抵抗体との間に延びる第1の電極と、前記第1の電極に接続した前記発熱抵抗体に前記折返し電極で接続された前記発熱抵抗体と前記コモン電極との間に延びる第2の電極と、を備えた発熱体板と、前記コモン電極に沿って延びるコモン配線を持つ回路基板と、前記回路基板の前記コモン配線よりも前記発熱体板から遠い位置に載置された駆動ICと、前記コモン電極と前記コモン配線との間に架け渡された第1のボンディングワイヤーと、前記パッドと前記駆動ICのIC端子との間に架け渡された第2のボンディングワイヤーと、前記駆動ICと前記第1のボンディングワイヤーと前記第2のボンディングワイヤーとを封止する樹脂封止体と、を具備し、主走査方向に隣り合う2つの前記パッドの間隔は、主走査方向に隣り合う2つの前記IC端子の間隔より広く、複数の前記第1のボンディングワイヤーは、それぞれ副走査方向に架け渡され、複数の前記第2のボンディングワイヤーのうちの少なくとも一部は、副走査方向に対して斜め方向に、前記第1のボンディングワイヤーの上を跨ぐようにして架け渡されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、サーマルプリントヘッドの共通電極における主走査方向の電位変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態の上面図である。
図2】本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態の発熱体板上の抵抗体層および電極層の平面図である。
図3】本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態の発熱体板の断面図である。
図4】本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態を用いたサーマルプリンタの断面図である。
図5】本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態の一部拡大上面図である。
図6】本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態の一部拡大断面図である。
図7】本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態の一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、この実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれらに限定されない。
【0017】
図1は、本発明に係るサーマルプリントヘッドの一実施の形態の上面図である。図2は、本実の施形態のサーマルプリントヘッドの発熱体板上の抵抗体層および電極層の平面図である。図3は、本実施の形態のサーマルプリントヘッドの発熱体板の断面図である。
【0018】
本実施の形態のサーマルプリントヘッド11は、放熱板30と発熱体板20とフレキシブル基板40とを有している。放熱板30は、たとえばアルミニウムなどの金属で形成された長方形の平板である。
【0019】
発熱体板20は、セラミック基板22およびグレーズ層25からなる絶縁基板を有している。セラミック基板22は、たとえばアルミナ(Al)で形成された長方形の平板である。セラミック基板22の一方の表面は放熱板30と向かい合っており、他方の表面にはグレーズ層25が融着している。グレーズ層25は、ガラスで形成されている。グレーズ層25には、セラミック基板22の表面から突出する突条部21が形成されている。突条部21は、セラミック基板22の一方の長辺に近接してほぼ直線状に延びている。
【0020】
グレーズ層25の表面には、突条部21が延びる方向に沿って間隔を置いて突条部21を跨ぐように抵抗体層23が形成されている。また、抵抗体層の表面には、金属配線層28が形成されている。金属配線層28には突条部21の一部を跨ぐ切欠部が形成されていて、抵抗体層の金属配線層28と重なり合わない部分が発熱抵抗体26となる。このようにして発熱抵抗体26が突条部21の表面に間隔を置いて複数配列されて、突条部21のラインに沿った線状の発熱領域24が形成されている。発熱領域24は、発熱体板20の一方の長辺の近傍に、その長辺に平行に延びている。発熱領域24が延びる方向を主走査方向と呼び、主走査方向を垂直に横切る方向を副走査方向と呼ぶ。
【0021】
隣り合う2つの発熱抵抗体26は、1つの画素を形成する。1つの画素を形成する発熱抵抗体26は、副走査方向の下流側に設けられた折返し電極84で電気的に接続されている。また、1つの画素を形成する2つの発熱抵抗体26のうちの一方は、パッド85まで延びる第1の電極86に接続されている。他方の発熱抵抗体26は、コモン電極88に第2の電極87で接続されている。
【0022】
コモン電極88は、発熱領域24が近接する長辺と向かい合う長辺の近傍で主走査方向に延びている。したがって、パッド85と発熱領域24が近接する長辺に向かい合う長辺との間に、コモン電極88は位置している。
【0023】
第1の電極86および第2の電極87は、副走査方向に延びている。折返し電極84、コモン電極88、パッド85、第1の電極86および第2の電極87は、いずれも金属配線層28に形成されている。
【0024】
発熱体板20には、グレーズ層25、金属配線層28および抵抗体層23の保護のために、これらを覆う保護層29が形成されている。パッド85およびコモン電極88は、保護層29に覆われずに露出している。
図4は、本実施の形態のサーマルプリントヘッドを用いたサーマルプリンタの断面図である。
【0025】
サーマルプリントヘッド11は、発熱領域24を発熱させる駆動回路を有している。その駆動回路は、たとえば発熱体板20と同じ側の表面で放熱板30に載置されたフレキシブル基板40の上に形成されている。フレキシブル基板40には、発熱領域24に所定の発熱パターンを形成するための制御信号や駆動電力が入力される。
【0026】
このサーマルプリントヘッド11を用いたプリンタは、発熱領域24の表面の法線上に位置する軸62を中心とする円筒状のプラテンローラ61を有している。プラテンローラ61によって被印刷媒体60がサーマルプリントヘッド11に押し付けられる。この状態で発熱領域24の発熱抵抗体26が発熱することによって、被印刷媒体60に印画される。被印刷媒体60が副走査方向に搬送されながら、主走査方向に延びる発熱領域24が所定のパターンで発熱することによって、被印刷媒体60には所望の画像が形成される。
【0027】
図5は、本実施の形態のサーマルプリントヘッドの一部拡大上面図である。図6は、本実施の形態のサーマルプリントヘッドの一部拡大断面図である。図7は、本実施の形態のサーマルプリントヘッドの一部拡大断面図である。なお、図6および図7には、樹脂封止体の図示を省略している。また、図6には、一部のボンディングワイヤーの図示を省略している。
【0028】
フレキシブル基板40は、ベースフィルム51と銅箔52,53と接着剤54,55とカバーレイ56,57とを有する。銅箔52,53は、ベースフィルム51の両面に貼りつけられている。ベースフィルム51の両面に貼りつけられた銅箔52,53には、それぞれ所定の配線パターンが形成されている。また、銅箔52,53の大部分は、接着剤54,55を用いて接着されたカバーレイ56,57で覆われている。
【0029】
フレキシブル基板40の放熱板30と対向する面の反対側には、カバーレイ56で覆われていない部分が形成されている。発熱体板20を駆動する駆動回路の一部を構成する駆動IC42は、フレキシブル基板40のカバーレイ56で覆われずに銅箔52が露出している部分に固定されている。銅箔52と駆動IC42との固定には、たとえば熱硬化性樹脂が用いられる。駆動IC42が載置される部分の銅箔52は、たとえばアース部となっている。
【0030】
フレキシブル基板40の駆動IC42が固定された部分の裏側には、接着剤72を用いて補強用のセラミック板71が接着されている。セラミック板71は、接着剤73を用いて放熱板30に固定されている。また、発熱体板20は、接着剤および両面テープ74などで放熱板30に固定されている。
【0031】
駆動回路は、フレキシブル基板40に設けられた駆動IC42などの電気部品を有している。駆動IC42は、集積回路(Integrated Circuit)であり、底面以外に露出した複数のIC端子81を有している。
【0032】
フレキシブル基板40の駆動IC42が搭載される位置よりも発熱体板20側には、コモン配線83が延びている。コモン配線83は、駆動IC42の主走査方向の両側で、所定の一定電位の電源に接続されている。
【0033】
フレキシブル基板40のコモン配線83と発熱体板20のコモン電極88とは、第1のボンディングワイヤー45で接続されている。
【0034】
また、パッド85と駆動IC42のIC端子81との間には、第2のボンディングワイヤー44(図6においては図示を省略している)が架け渡されている。パッド85と駆動IC42との間に架け渡された第2のボンディングワイヤー44は、コモン配線83とコモン電極88との間に架け渡された第1のボンディングワイヤー45よりも高い位置を通過している。
【0035】
さらに、フレキシブル基板40の表面に形成された配線パターンと駆動IC42との間も第3のボンディングワイヤー46で電気的に接続される。駆動IC42およびボンディングワイヤー44,45,46は、たとえば樹脂封止体48によって封止される。
【0036】
折り返し電極84を持ち、2つの発熱抵抗体26で1つの画素を形成するサーマルプリントヘッド11では、コモン電極88は、必然的に個別電極である第1の電極86の端部であるパッド85よりも回路基板40側に位置することとなる。このため、フレキシブル基板40の駆動IC42を搭載する位置よりも発熱体板20側になければ、回路基板40のコモン配線83は駆動IC42の主走査方向の両側でコモン電極88と接続されることになる。また、コモン電極88に対して駆動IC42よりも遠い位置でコモン配線83が主走査方向に延びていたとしても、コモン電極88とコモン配線83との間にワイヤーボンディングしようとすると、そのワイヤーは駆動IC42とパッド85との間に架け渡された第2のボンディングワイヤー44と交差することになり、現実的に実現することは困難である。
【0037】
本実施の形態では、回路基板40の駆動IC42を搭載する位置よりも発熱体板20側に主走査方向に延びるコモン配線83を有している。このため、コモン電極88とコモン配線83との間の第1のボンディングワイヤー45と、パッド85とIC端子81との間の第2のボンディングワイヤー44の高さを変えることによって、これらのボンディングワイヤー44,45を交差させずに架け渡すことができる。
【0038】
つまり、発熱体板20の回路基板40側に主走査方向に延びるコモン電極88と主走査方向の複数の位置で第1のボンディングワイヤー45によって電気的に接続することができる。回路基板40上のコモン配線83を主走査方向の複数の位置で所定の一定電位の電源に接続することにより、コモン配線83の主走査方向の電位を実質的に一定とすることができる。コモン配線83と所定の一定電位の電源との接続は、駆動IC42の主走査方向の両側で行ってもよいし、駆動IC42の下を通して行ってもよい。
【0039】
したがって、コモン電極88自体の電気抵抗による主走査方向の電位の変化を極めて小さくすることができる。その結果、発熱抵抗体毎の発熱量が均一化され、印画濃度にムラが生じる可能性を小さくすることができる。また、第1のボンディングワイヤー45は、主走査方向の位置が駆動IC42と重なる位置であってもよいため、駆動IC42ごとに印画ムラが生じることはない。
【符号の説明】
【0040】
11…サーマルプリントヘッド、20…発熱体板、21…突条部、22…セラミック基板、23…抵抗体層、24…発熱領域、25…グレーズ層、26…発熱抵抗体、28…金属配線層、29…保護層、30…放熱板、40…フレキシブル基板、42…駆動IC、44…第2のボンディングワイヤー、45…第1のボンディングワイヤー、46…第3のボンディングワイヤー、48…樹脂封止体、51…ベースフィルム、52…銅箔、53…銅箔、54…接着剤、55…接着剤、56…カバーレイ、60…被印刷媒体、61…プラテンローラ、62…軸、71…セラミック板、72…接着剤、73…接着剤、81…IC端子、83…コモン配線、84…折返し電極、85…パッド、86…第1の電極、87…第2の電極、88…コモン電極

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7