特許第5964103号(P5964103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5964103-薬液混合散布装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964103
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】薬液混合散布装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20160721BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   A01M7/00 G
   B05C11/10
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-72545(P2012-72545)
(22)【出願日】2012年3月27日
(65)【公開番号】特開2013-201934(P2013-201934A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118898
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 立昌
(72)【発明者】
【氏名】湯木 正一
【審査官】 青▲柳▼ 祥子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−031212(JP,A)
【文献】 特開2008−012433(JP,A)
【文献】 特開2007−167809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 7/00
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が貯留される第1タンクと、
薬液が貯留される第2タンクと、
前記第1タンクの水と前記第2タンクの薬液を混合した散布液を散布する散布ノズル部と、
前記散布液を前記散布ノズル部に圧送する第1ポンプと、
前記第1タンクと前記第1ポンプの吸引側を接続する吸引流路と、
前記第1ポンプの圧送側と前記散布ノズル部を接続する圧送流路と、
前記吸引流路の合流部に接続されて前記第2タンクの薬液を前記吸引流路に供給する薬液供給路と、
前記薬液供給路に設けられ前記第2タンクの薬液を前記合流部に送る第2ポンプと、
前記圧送流路の流れを前記吸引流路における前記合流部の下流側に環流する環流路と、
前記圧送流路における前記散布ノズル部に向かう流れを前記環流路への流れに切り替える切り替え弁と、
前記切り替え弁の下流側で前記圧送流路の圧送状態を検知する圧送状態検知手段と、
前記圧送状態検知手段による検知に基づいて前記第2ポンプの駆動を制御する制御部とを備え、
前記薬液供給路は弾性チューブであり、前記第2ポンプはチューブポンプであって、前記制御部は、前記圧送状態検知手段が検知した流量低下に基づいて、前記チューブポンプのローターを短期間だけ逆転駆動し、前記ローターが前記弾性チューブを2点で封止する位置で前記ローターを停止させることを特徴とする薬液混合散布装置。
【請求項2】
前記圧送状態検知手段は、前記圧送流路に設けた流量センサであることを特徴とする請求項1記載の薬液混合散布装置。
【請求項3】
前記圧送状態検知手段は、前記圧送流路に設けた圧力センサであることを特徴とする請求項1記載の薬液混合散布装置。
【請求項4】
前記吸引流路における前記環流路との連結部と前記合流部の間に第1逆止弁を設けると共に、前記吸引流路における前記合流部の上流側に第2逆止弁を設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬液混合散布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水と薬液を混合して散布する薬液混合散布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載された薬液混合散布装置は、圧送ポンプと、水を貯留する水貯留部(水タンク)と、水貯留部と圧送ポンプの吸込側とを連通する吸水路と、薬液を貯留する薬液貯留部(薬液タンク)と、薬液貯留部と吸水路の途中とを連通する薬液供給路と、圧送ポンプの吐出側に連通した散布路とが備えられ、薬液供給路には、薬液貯留部の薬液を吸水路に強制的に供給するための薬液供給ポンプが設けられている。また、圧送ポンプの吐出側に連結される散布路と圧送ポンプの吸込側で薬液供給路の合流位置より下流側を結ぶ環流路が設けられており、散布路と環流路の連結部には、散布路内の流体が所定以下の圧力であるときには散布路から環流路への流れを阻止し、散布路内の流体が所定以上の圧力となったときに散歩路から環流路への流れを許容するアンローダ弁(流路切り替え器)が設けられている。更に、圧送ポンプの上流側には、水貯留部に薬液を混合した散布液が逆流するのを阻止するために、逆止弁が設けられている。このような薬液混合散布装置は、水貯留部から吸水路に吸い込まれた水に薬液貯留部の薬液を混合することで、所望の濃度に希釈された希釈薬液を散布することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−125433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に示したような薬液混合散布装置は、水貯留部(水タンク)内に薬液の混ざった散布液を逆流させないようにすることで、水貯留部(水タンク)の洗浄が不要になり、メンテナンス性を向上することができる利点が得られる。
【0005】
これに対して、従来技術の薬液混合散布装置は、環流路を介して散布用の圧送ポンプの圧力の一部を圧送ポンプの上流側に戻しているため、圧送ポンプによる散布を停止した直後は、環流路を介して戻された正圧が圧送ポンプの上流側に作用し、薬液供給路の合流位置の下流側に設けた逆止弁が作動する前に、この逆止弁の上流側に正圧が加わる現象が生じる。この現象が生じると、薬液供給路の合流位置より下流側に逆止弁を設けていたとしても、散布液が水タンク内に逆流するのを防止できない問題が生じる。
【0006】
本発明は、このような問題に対処することを目的とするものであって、水タンクから引き出された水に薬液タンクから供給された薬液を混合して散布する薬液混合散布装置において、水タンク内に薬液の混合した散布液が逆流するのを防止することができること、継続した散布作業を確保することで良好な作業効率を得ることができること、などが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明による薬液混合散布装置は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
【0008】
水が貯留される第1タンクと、薬液が貯留される第2タンクと、前記第1タンクの水と前記第2タンクの薬液を混合した散布液を散布する散布ノズル部と、前記散布液を前記散布ノズル部に圧送する第1ポンプと、前記第1タンクと前記第1ポンプの吸引側を接続する吸引流路と、前記第1ポンプの圧送側と前記散布ノズル部を接続する圧送流路と、前記吸引流路の合流部に接続されて前記第2タンクの薬液を前記吸引流路に供給する薬液供給路と、前記薬液供給路に設けられ前記第2タンクの薬液を前記合流部に送る第2ポンプと、前記圧送流路の流れを前記吸引流路における前記合流部の下流側に環流する環流路と、前記圧送流路における前記散布ノズル部に向かう流れを前記環流路への流れに切り替える切り替え弁と、前記切り替え弁の下流側で前記圧送流路の圧送状態を検知する圧送状態検知手段と、前記圧送状態検知手段による検知に基づいて前記第2ポンプの駆動を制御する制御部とを備え、前記薬液供給路は弾性チューブであり、前記第2ポンプはチューブポンプであって、前記制御部は、前記圧送状態検知手段が検知した流量低下に基づいて、前記チューブポンプのローターを短期間だけ逆転駆動し、前記ローターが前記弾性チューブを2点で封止する位置で前記ローターを停止させることを特徴とする薬液混合散布装置。
【発明の効果】
【0009】
このような特徴を有する薬液混合散布装置によると、第1タンク(水タンク)から引き出された水に第2タンク(薬液タンク)から供給された薬液を混合して散布する薬液混合散布装置において、環流路を経由して第1ポンプの吸引側に作用する正圧を、第2ポンプを短期間だけ逆回転させることで逃がすことができるので、第1タンクに薬液が混合された散布液が逆流するのを防止することができる。
【0010】
また、第2ポンプを逆回転させることで、薬液供給路に合流部を経由して正圧が加わるのを抑止することができ、薬液供給路の破損や接続外れを回避することができる。これによって、継続した散布作業を確保することで良好な作業効率を得ることができる。
【0011】
また、薬液供給路を弾性チューブとし、第2ポンプをチューブポンプとして、制御部が、チューブポンプのローターを逆転駆動し、ローターが弾性チューブを2点で封止する位置でローターを停止させることで、薬液タンク内への散布液の逆流を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る薬液混合散布装置の全体的な配管構成を示した説明図である。
図2】本発明の実施形態に係る薬剤混合散布装置における第2ポンプの構成例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る薬液混合散布装置の全体的な配管構成を示した説明図である。薬液混合散布装置1は、走行機体に搭載されて移動しながら薬液を散布するブームスプレーヤやスピードスプレーヤ、或いは、定置型の動力噴霧機などに搭載されるものであって、水と薬剤を混合して散布するものである。
【0014】
薬液混合散布装置1は、第1タンク(水タンク)2、第2タンク(薬液タンク)3、散布ノズル部4、第1ポンプ5、第2ポンプ6、制御部7を備えている。第1タンク2は水W1が貯留されており、第2タンク3は薬液W2が貯留されている。散布ノズル部4は、一つ又は複数の散布ノズル(例えば、ブームノズル)4A,4B,4Cを備えており、水W1と薬液W2との混合液からなる散布液を散布するものである。
【0015】
第1ポンプ5は、前述した散布液を散布ノズル部4に圧送するものであり、第1タンク2と第1ポンプ5の吸引側とは吸引流路10によって接続されている。また、第1ポンプ5の圧送側と散布ノズル部4とは圧送流路11によって接続されている。
【0016】
圧送流路11には、切り替え弁12が設けられ、切り替え弁12の第1流出口12Aが散布ノズル部4に連通されており、切り替え弁12の第2流出口12Bが環流路13に接続されている。環流路13は、一端が切り替え弁12の第2流出口12Bに接続され、他端が吸引流路10の連結部14に接続されることで、圧送流路11の流れを吸引流路10における合流部17の下流側に環流するものである。
【0017】
環流路13は、調整弁15を介して圧送流路11における切り替え弁12の上流側に連結されている。圧送流路11には切り替え弁12の下流側で圧送流路の流量を検知する流量センサ16Aが設けられている。切り替え弁12は、圧送流路11における散布ノズル部4に向かう流れを環流路13に切り替えるものである。
【0018】
第2タンク3は、薬液供給路20を介して吸引流路10の合流部17に接続されている。これによって、薬液供給路20は第2タンク3の薬液W2を吸引流路10の合流部17に供給する。薬液供給路20には第2ポンプ6が設けられており、第2ポンプ6によって薬液W2が合流部17に送られる。第2ポンプ6は駆動部(駆動モータ)6Aによって駆動される。
【0019】
吸引流路10は、合流部17の下流側に第1逆止弁18を備え、合流部17の上流側に第2逆止弁19を備える。第1逆止弁18は、吸引流路10における連結部14と合流路17の間に設けられる。
【0020】
制御部7は、圧送流路11の流量を設定流量に制御すると共に、水W1と薬液W2の混合比を設定比に制御する。具体的には、制御部7は、流量センサ16Aの検出流量に基づいて第2ポンプ6を駆動する駆動部6Aの回転数を制御する。制御部7による散布流量と混合比の設定は散布作業を行う前に行う事前設定であり、散布作業中は、図示省略した車速センサや散布幅センサなどの検知信号に基づいて、制御部7が設定する条件での均一散布が行われる。
【0021】
圧送流路11は、切り替え弁12の下流側で圧送流路11の圧送状態を検知する圧送状態検知手段16を備えている。この圧送状態検知手段16は、例えば、圧送流路11に設けられる流量センサ16Aや圧力センサ16Bによって構成することができる。図1においては、流量センサ16Aと圧力センサ16Bを設けた例を示しているが、流量センサ16Aと圧力センサ16Bはその一方のみで圧送状態検知手段16を構成することができる。制御部7は、散布ノズル部4からの散布を停止する際に、圧送状態検知手段16が検知した流量低下に基づいて、第2ポンプ6を短時間だけ逆転駆動する。
【0022】
散布ノズル部4からの散布を停止する際には、切り替え弁12の切り替え操作によって、圧送流路11の流れを環流路13の流れに切り替える。この際に、圧送流路11への流れが環流路13への流れに切り替えられたことを圧送状態検知手段16が検知すると、制御部7は、駆動部6Aを制御して、第2ポンプ6を短時間だけ逆回転駆動する。
【0023】
このような構成を有する本発明の実施形態に係る薬液混合散布装置1は、切り替え弁12が切り替えられて、散布ノズル部4からの散布が停止された場合には、環流路13を介して吸引流路10に正圧が付加されることになる。これに対して、圧送状態検知手段16によって圧送流路11の流量低下が生じて吸引流路10に正圧が付加されたことを検知して、第2ポンプ6を短時間だけ逆回転させる。これによると、吸引流路10に正圧が付加される状況を適正に検知して、付加される正圧を第2タンク3側に逃がすことができるので、薬液が混合された散布液が第1タンク2側に逆流するのを抑止することができる。
【0024】
また、本発明の実施形態では、吸引流路10には合流部17の下流側と上流側にそれぞれ第1逆止弁18と第2逆止弁19を設けているので、これによっても、薬剤が混合された散布液が第1タンク2内に逆流する不具合を防止することができる。
【0025】
一方、このように合流部17の上流側と下流側の両方に第1逆止弁18と第2逆止弁19を設けると、第1ポンプ5による散布停止直後に生じる正圧が第1逆止弁18と第2逆止弁19に挟まれた合流部に加わることになり、薬液供給路20に過剰な正圧が加わることが懸念される。薬液供給路20は弾性チューブで構成され、第2ポンプ6としてチューブポンプが用いられるので、薬液供給路20の合流部17に比較的高い正圧が作用すると、弾性チューブ20の破損や接続外れが生る懸念があり、これによって継続した散布作業が阻害される不具合が生じる懸念がある。これに対しては、切り替え弁12が切り替えられて、圧送状態検知手段16によって圧送流路11の流量低下による吸引流路10への正圧付加が検知されると、制御部7が第2ポンプ6を逆転駆動させるので、合流部17に加わった正圧を第2タンク3側に逃がすことができ、薬液供給路20の破損や接続外れを未然に防止することができる。
【0026】
図2は、本発明の実施形態に係る薬剤混合散布装置における第2ポンプの構成例を示した説明図である。図2(a)が外観図、図2(b)が内部構成図を示している。第2ポンプ6は、ステッピングモータなどで構成される駆動部6Aによって駆動され、駆動部6Aのローター6A1と第2ポンプ6の2つのローター6B,6Bが伝動ベルト6Dによって連結されている。ここでは2つのローター6B,6Bを備える例を示しているが、これに限らず1つのローター6Bを備えるものであってもよい。第2ポンプ6は、ローター6Bに設けられるローラー6B1の周囲に薬液供給路20を構成する弾性チューブが巻き回れており、ローター6Bの回転によって弾性チューブ20内の薬液が送り出されるようになっている。
【0027】
このような構成の第2ポンプ6は、矢印A方向の正回転で弾性チューブ20内の薬液を矢印a方向に輸送して、第2タンク3内の薬液を合流部17に供給する。これに対して、散布ノズル部4からの散布を停止する際には、制御部7は圧送状態検知手段16の流量低下検知に基づいてローター6Bを矢印B方向に回転駆動する。この矢印B方向の回転は2〜3回転だけ行われ、ローター6Bは設定された位置に停止する。
【0028】
ローター6Bには位置検知用の回転子6Eが回転軸に取り付けられており、ローター6Bと共に回転子6Eが回転するようになっている。また、この回転子6Eは位置検知センサ6Fの検出子6F1の下を横切るように配置されており、位置検知センサ6Fは、回転子6Eが検出子6F1の下に位置した状態で停止するように、ローター6A1に対して回転停止信号を送る。これによると、ローター6Bの停止位置をローター6Bの2つのローラー6B1が弾性チューブ20を封止している位置(図2(a)に示すような位置)に設定することができる。これによると、ローター6Bが弾性チューブ20を封止した状態で停止することで、弾性チューブ20内の逆流を抑止することができ、第2タンク3内に散布液が逆流するのを最小限に抑えることができる。
【0029】
また、第2ポンプ6は、ローター6Bの回転が目視確認できるように透明板によって形成された確認窓6Cを備えている。これによると、第2ポンプ6が適正に回転していることを目視で確認できるので、薬液が適正に供給されていることを確認しながら作業を行うことができる。
【0030】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る薬剤混合散布装置1は、第1タンク2から引き出された水に第2タンク3から供給された薬液を混合して散布する薬液混合散布装置1において、第1タンク2内に薬液の混合した散布液が逆流するのを防止することができる。また、薬液供給路20の破損や接続外れを回避し、継続した散布作業を確保することで良好な作業効率を得ることができる。また、第2タンク3内への散布液の逆流を最小限に抑えることができる。
【符号の説明】
【0031】
1:薬剤混合散布装置,2:第1タンク,3:第2タンク,
4:散布ノズル部,
5:第1ポンプ,
6:第2ポンプ(チューブポンプ),
6A:駆動部(駆動モータ),
6B:ローター,6B1:ローラー,6C:確認窓,
7:制御部,
10:吸引流路,11:圧送流路,12:切り替え弁,
13:環流路,14:連結部,15:調整弁,
16:圧送状態検知手段,16A:流量センサ,16B:圧力センサ,
17:合流部,18:第1逆止弁,19:第2逆止弁,
20:薬液供給路(弾性チューブ)
図1
図2