特許第5964105号(P5964105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5964105電子機器およびそれに適用される電子機器筐体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964105
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】電子機器およびそれに適用される電子機器筐体
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/00 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   H05K7/00 H
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-75854(P2012-75854)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-207144(P2013-207144A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】矢作 安希博
(72)【発明者】
【氏名】永田 智一
【審査官】 筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−171649(JP,A)
【文献】 特開2007−227635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/00
H02B 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結束バンド固定部が底板に一体に成形された樹脂製の本体を有し、該底板の背面の設置面が壁に接して配設される電子機器筐体において、
上記結束バンド固定部は、上記底板の表面に開口する第1開口部と、上記底板の表面に上記第1開口部から離間して開口する第2開口部と、上記第1開口部と上記第2開口部との間で上記底板の背面に開口する第3開口部と、上記第1開口部、上記第3開口部および上記第2開口部を連通する連通路と、上記第1開口部と上記第2開口部との間に上記第3開口部と相対して上記連通路に架設された架橋部と、を有し、
上記第1開口部と上記第3開口部とを繋ぐ、上記第2開口部側を向く壁面が上記底板の表面から背面に向って該第2開口部側に変位するテーパ面に形成され、
上記第2開口部と上記第3開口部とを繋ぐ、上記第1開口部側を向く壁面が上記底板の表面から背面に向って該第1開口部側に変位するテーパ面に形成され、
上記底板の背面の上記第3開口部周りが上記設置面と面一となっていることを特徴とする電子機器筐体。
【請求項2】
上記架橋部は上記底板の表面側に膨出していることを特徴とする請求項1記載の電子機器筐体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の上記電子機器筐体を備え、
上記本体内に延線された電気配線群が上記連通路に通された結束バンドにより結束されて上記架橋部に固定されていることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火災などに関する受信機からなる火災受信機などの電子機器およびそれに適用される電子機器筐体に関し、特に筐体内に延線される電気配線などを結束する結束バンドの固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の火災報知設備用機器では、プレス加工などにより、底板から切り起こして逆L字状に曲げられた電気配線保持部を一体に成形し、筐体内に延線される電気配線群を底板と電気配線保持部との間に嵌入して所定の位置に保持していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−48399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の火災報知設備用機器では、電気配線群を底板と逆L字状の電気配線保持部との間に嵌入して保持している。そこで、保持される電気配線の本数が多い場所では、電気配線群の拘束力が強くなるが、保持される電気配線の本数が少ない場所では、電気配線群の拘束力が弱くなり、電気配線群がばらつき、底板と電気配線保持部との間から飛び出してしまう。このような非拘束状態の電気配線群は、振動などにより揺れ動き、筐体内に実装されている部品の損傷を引き起こす虞があった。
【0005】
そこで、電気配線の本数に拘らず、電気配線群を火災報知設備用機器の筐体の底板に強固に固定するために、火災報知設備用機器の筐体とは別体の結束バンド固定具を底板に貼り付け、結束バンド固定具に挿入した結束バンドにより電気配線群を結束することが考えられる。しかし、結束バンド固定具を電気配線の延線経路に沿って火災報知設備用機器の筐体の底板に貼り付ける必要があり、電気配線群の固定作業が煩雑となり、部品点数も多くなることでコスト高になるという課題があった。また、結束バンド固定具は、貼り付けて固定されるため、結束バンド固定部が外れる虞も生じる。
【0006】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本体を樹脂製とし、結束バンド固定部を本体の底板に一体に成形し、電気配線群の固定作業が簡易となる電子機器およびそれに適用される電子機器筐体を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による電子機器筐体は、結束バンド固定部が底板に一体に成形された樹脂製の本体を有し、該底板の背面の設置面が壁に接して配設される。上記結束バンド固定部は、上記底板の表面に開口する第1開口部と、上記底板の表面に上記第1開口部から離間して開口する第2開口部と、上記第1開口部と上記第2開口部との間で上記底板の背面に開口する第3開口部と、上記第1開口部、上記第3開口部および上記第2開口部を連通する連通路と、上記第1開口部と上記第2開口部との間に上記第3開口部と相対して上記連通路に架設された架橋部と、を有し、上記第1開口部と上記第3開口部とを繋ぐ、上記第2開口部側を向く壁面が上記底板の表面から背面に向って該第2開口部側に変位するテーパ面に形成され、上記第2開口部と上記第3開口部とを繋ぐ、上記第1開口部側を向く壁面が上記底板の表面から背面に向って該第1開口部側に変位するテーパ面に形成され、上記底板の背面の上記第3開口部周りが上記設置面と面一となっている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、結束バンド固定部が樹脂製の本体の底板に一体に成形されているので、結束バンド固定具を電気配線の延線経路に沿って底板に貼り付けるなどの作業が不要となり、結束バンド固定具がはがれる虞がなく、電気配線群などの固定作業が簡易となる。
連通路が架橋部の下を通って第1開口部と第2開口部とを連通するように形成され、連通路が底板の背面に架橋部と相対する第3開口部で開口し、底板の背面の第3開口部周りが底板の設置面と面一となっている。そこで、結束バンド固定部にアンダーカット部がなく、本体の射出成形時に、簡易に底部に一体に成形できる。さらに、本体を壁に設置した状態で、結束バンドのテール部を第1開口部に挿入すると、テール部が壁に当たって第2開口部側に曲げられ、第2開口部から延出され、結束バンドの装着が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の一実施の形態に係る電子機器筐体を開けた状態を示す正面図である。
図2図1のII−II矢視断面図である。
図3図1のIII−III矢視断面図である。
図4】この発明の一実施の形態に係る電子機器筐体における第1結束バンド固定部を用いた電気配線群の固定方法を説明する工程断面図である。
図5】この発明の一実施の形態に係る電子機器筐体における第2結束バンド固定部を用いた予備電源の固定方法を説明する工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による電子機器および電子機器筐体の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0011】
図1はこの発明の一実施の形態に係る電子機器筐体を開けた状態を示す正面図、図2図1のII−II矢視断面図、図3図1のIII−III矢視断面図、図4はこの発明の一実施の形態に係る電子機器筐体における第1結束バンド固定部を用いた電気配線群の固定方法を説明する工程断面図、図5はこの発明の一実施の形態に係る電子機器筐体における第2結束バンド固定部を用いた予備電源の固定方法を説明する工程断面図である。
【0012】
図1において、電子機器筐体1は、前面を開口とする箱形に成形された樹脂製の本体2と、背面を開口とする箱形に成形され、側壁6を本体2の側壁4に蝶番7を介して開閉可能に取り付けられた樹脂製の扉体5と、から構成されている。そして、電源トランス101などが筐体1内に収納され、電気回路部や外部からの信号線が接続される端子などが実装された回路基板102や、予備電源103などが本体2に収納されて、電子機器としての火災受信機100が構成される。なお、予備電源103は説明の便宜上一点鎖線で示している。
【0013】
このように構成された火災受信機100は、本体2の底板3の背面を建物の壁に接するように設置される。このとき、底板3の背面の全面が平坦面に構成されていると、建物の壁の凹凸により火災受信機100がガタついてしまう。そこで、底板3を壁に締着固定する部位や、後述する各結束バンド固定部の背面のみを突出させ、その突出部の先端面(設置面)を面一とし、建物の壁の凹凸による火災受信機100のガタつきの発生を抑えている。さらに、底板3の背面の外周縁部(本体2の側壁4)を設置面と面一になるように背面側へ突出させ、火災受信機100と壁面との間の隙間を無くしている。
【0014】
第1結束バンド固定部10は、本体2の射出成形時に、底板3の肉薄部に電気配線30の延線経路を跨ぐように本体2と一体に成形されている。なお、電気配線30は、図1には図示されないが、回路基板102に設けられた端子台に接続され、回路基板102の左側に縦方向へ配線され、本体2の背面から建物内へ向かって敷設されるものである。第1結束バンド固定部10は、図1および図2に示されるように、架橋部15を挟んで底板3の表面に開口する第1および第2開口部11,12と、架橋部15と相対して底板3の背面に開口する第3開口部13と、架橋部15の下を通って第1開口部11、第3開口部13および第2開口部12を連通する連通路14と、を有する。なお、連通路14は、電気配線の延設経路と直交するように設けられている。
【0015】
連通路14を形成する壁面のうち、第1開口部11と第3開口部13とを繋ぎ、第2開口部12側を向く壁面14aには、底板3の表面から背面に向って第2開口部12側に変位するテーパ面が形成されている。同様に、連通路14を形成する壁面のうち、第2開口部12と第3開口部13とを繋ぎ、第1開口部11側を向く壁面14bには、底板3の表面から背面に向って第1開口部11側に変位するテーパ面が形成されている。底板3の背面の第1結束バンド固定部10の形成領域、すなわち第3開口部13周りは、本体2の底板3の設置面と面一となるように、背面側へ突出させている。架橋部15は底板3の表面側に膨らませ、連通路14を形成することによる厚みの低下を抑え、強度を確保している。
【0016】
第2結束バンド固定部20は、本体2の射出成形時に、底板3の肉厚部に予備電源103の設置方向を跨ぐように本体2と一体に成形されている。第2結束バンド固定部10は、図1および図3に示されるように、架橋部25を挟んで底板3の表面に開口する第1および第2開口部21,22と、架橋部25と相対して底板3の背面に開口する第3開口部23と、架橋部25の下を通って第1開口部21、第3開口部23および第2開口部22を連通する連通路24と、を有する。なお、連絡通路24は予備電源103と直交するように設けられている。
【0017】
連通路24を形成する壁面のうち、第1開口部21と第3開口部23とを繋ぎ、第2開口部22側を向く壁面24aには、底板3の表面から背面に向って第2開口部22側に変位するテーパ面が形成されている。連通路24の第2開口部22と第3開口部23とを繋ぐ第1開口部21側を向く壁面24bには、底板3の表面から背面に向って第1開口部21側に変位するテーパ面が形成されている。底板3の背面の第2結束バンド固定部20の形成領域、すなわち第3開口部23周りは、本体2の底板3の設置面と面一となるように背面側へ突出させている。架橋部25は、底板3の肉厚部に形成されているので、連通路24を形成しても所定の肉厚が確保でき、底板3の表面と面一となっている。
【0018】
つぎに、第1結束バンド固定部10を用いた電気配線30の群の結束手順について図4を参照しつつ説明する。なお、結束バンド31は、例えば樹脂製であり、爪(図示せず)が内蔵された頭部32と、頭部32から一体に延設され、凹凸が背面に形成されたバンド部33と、バンド部33の先端から延出するテール部34と、を有している。
【0019】
まず、火災受信機100が壁35に設置されている。第1結束バンド固定部10の形成領域の底板3の背面が設置面と面一となっているので、図4の(a)に示されるように、底板3の背面の第3開口部13周りが壁35に接し、第3開口部13が壁35により塞口される。
そこで、結束バンド31のテール部34が、図4の(b)に示されるように、第1開口部11から連通路14内に挿入される。テール部34の先端が、壁面14aに案内されて第2開口部12側に変位しつつ第3開口部13に到達し、壁35に当たると、第2開口部12側に曲げられる。
【0020】
結束バンド31を連通路14内にさらに押し込むと、テール部34の先端が、図4の(c)に示されるように、壁面14bに案内されて第2開口部12側に移動する。そして、テール部34が壁面14bに案内されて第2開口部12側に移動し、第2開口部12から延出し、バンド部33が、図4の(d)に示されるように、連通路14内に挿入される。
ついで、電気配線30が延線された後、電気配線30の群を架橋部15上に集め、図4の(e)に示されるように、テール部34を頭部32に通して結束する。
【0021】
つぎに、第2結束バンド固定部20を用いた予備電源103の結束手順について図5を参照しつつ説明する。
【0022】
まず、第2結束バンド固定部20の形成領域の底板3の背面が設置面と面一となっているので、図5の(a)に示されるように、底板3の背面の第3開口部23周りが壁35に接し、第3開口部23が壁35により塞口される。
そこで、結束バンド31のテール部34が、第1開口部21から連通路24内に挿入される。テール部34の先端が、壁面24aに案内されて第2開口部22側に変位しつつ第3開口部23に到達し、壁35に当たると、第2開口部22側に曲げられる。
【0023】
結束バンド31を連通路24内にさらに押し込むと、テール部34の先端が、壁面24bに案内されて第2開口部22側に移動する。そして、テール部34が第2開口部22から延出し、バンド部33が、図5の(b)に示されるように、連通路24内に挿入される。
ついで、予備電源103が架橋部25上に設置された後、図5の(c)に示されるように、テール部34を頭部32に通して結束する。
【0024】
このように、第1および第2結束バンド固定部10,20が、底板3の表面に開口する第1開口部11,21と、底板3の表面に第1開口部11,21から離間して開口する第2開口部12,22と、第1開口部11,21と第2開口部12,22との間で底板3の背面に開口する第3開口部13,23と、第1開口部11,21、第3開口部13,23および第2開口部12,22を連通する連通路14,24と、第1開口部11,21と第2開口部12,22との間に第3開口部13,23と相対して連通路14,24に架設された架橋部15,25と、を有している。そこで、第1および第2結束バンド固定部10,20にアンダーカット部がなく、本体2の射出成形時に、第1および第2結束バンド固定部10,20を簡易に底板3に一体に成形できる。
【0025】
第1および第2結束バンド固定部10,20が樹脂製の本体2の底板3に一体に成形されているので、結束バンド固定具を電気配線30の延線経路や、予備電源103の設置方向に沿って底板3に貼り付ける作業が不要となり、電気配線30の群や予備電源103の固定作業が簡易となる。
【0026】
底板3の背面の第3開口部13,23周りが底板3の設置面と面一となっているので、本体2を壁35に設置すると、第3開口部13,23が壁35により塞口される。そこで、結束バンド31のテール部34を第1開口部11,21から挿入すると、壁35に突き当たって第2開口部12,22側に曲げられ、第2開口部12,22から延出するので、結束バンド31の第1および第2結束バンド固定部10,20への装着が簡易となる。
【0027】
第1開口部11,21と第3開口13,23部とを繋ぐ、第2開口部12,22側を向く壁面14a,24aが底板3の表面から背面に向って第2開口部12,22側に変位するテーパ面に形成され、第2開口部12,22と第3開口部13,23とを繋ぐ、第1開口部12,21側を向く壁面14b,24bが底板3の表面から背面に向って第1開口部11,21側に変位するテーパ面に形成されている。そこで、結束バンド31のテール部34の連通路14,24への挿入および排出がスムーズとなり、結束バンド31の第1および第2結束バンド固定部10,20への装着が簡易となる。
【0028】
架橋部15は底板3の表面側に膨出しているので、架橋部15の肉厚が厚くなり、電気配線30の群や予備電源103を高強度で保持できる。
電子機器筐体1が樹脂製であるので、火災受信機100の軽量化および低コスト化が図られる。また、電気配線30の群が結束バンド31を用いて結束されているので、電気配線30の本数に拘らず、電気配線30の群を確実に固定できる。また、予備電源103の大きさに拘わらず、予備電源103を固定できる。この結果、電気配線30の群が膨らんだり、振動などにより揺れ動くことが確実に防止でき、非拘束の電気配線30や予備電源103の揺動に起因する実装部品の損傷発生を抑制できる。
なお、上記実施の形態において、結束バンド固定部が電気配線30、予備電源103を結束固定するものとして説明したが、筐体内のそれ以外の部材等を結束固定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 電子機器筐体、2 本体、3 底板、10 第1結束バンド固定部、11 第1開口部、12 第2開口部、13 第3開口部、14a,14b 壁面、14 連通路、15 架橋部、20 第2結束バンド固定部、21 第1開口部、22 第2開口部、23 第3開口部、24a,24b 壁面、24 連通路、25 架橋部、30 電気配線、31 結束バンド、35 壁、100 火災受信機(電子機器)、103 予備電源。
図1
図2
図3
図4
図5