特許第5964116号(P5964116)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964116
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/12 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   B66C13/12 D
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-89055(P2012-89055)
(22)【出願日】2012年4月10日
(65)【公開番号】特開2013-216454(P2013-216454A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川淵 直人
(72)【発明者】
【氏名】櫨林 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】泉谷 淳司
(72)【発明者】
【氏名】林 洋幸
(72)【発明者】
【氏名】白井 佑典
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−174491(JP,A)
【文献】 特開2012−057766(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0023924(US,A1)
【文献】 特開2001−197785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの動力によって走行する車両と、エンジンの動力によって駆動する油圧ポンプから吐出される作動油によって駆動可能であるとともに、電力によって駆動可能な作業装置と、を備えた作業車両であって、
エンジンの動力によって発電する第1発電機と、
油圧ポンプから吐出される作動油によって駆動されるアクチュエータの動力によって発電する第2発電機と、
第1発電機において発電した電力を蓄電可能に設けられ、車両側で使用される電力を供給可能な車両用バッテリと、
第1発電機において発電した電力および第2発電機において発電した電力を蓄電可能に設けられ、作業装置を電力によって駆動する際に電力を供給可能な動力バッテリと、を備え
第1発電機において発電した電力は、車両用バッテリを充電する電力として優先的に供給され、余剰電力が動力バッテリを充電する電力として供給される
ことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
作業装置の駆動部に作用する負荷を検出する負荷検出手段と、
負荷検出手段によって検出された負荷が所定以下の場合に第2発電機による発電を行い、検出された負荷が所定より大きい場合に第2発電機による発電を規制する発電規制手段と、を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
動力バッテリの電力の残量を検出する残量検出手段と、
残量検出手段によって検出された残量が所定量以下の場合に第2発電機による発電を行い、検出された残量が所定量より大きい場合に第2発電機による発電を規制する発電規制手段と、を備えた
ことを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの動力または電力によって駆動可能な作業装置を備えた作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の作業車両としては、エンジンの動力によって駆動する油圧ポンプから吐出される作動油によって駆動可能であるとともに、電力によって駆動可能な作業装置を備えたものが知られている。
【0003】
前記作業車両では、車両側で利用される電力を供給するための車両用バッテリとは別に、作業装置を駆動する電力を供給するための動力バッテリを備えている。
【0004】
前記作業車両では、エンジンの動力によって作業装置を駆動する際に、油圧ポンプから吐出される作動油によって駆動されるアクチュエータの動力によって発電した電力を動力バッテリに充電するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−119179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記作業車両では、作業装置の駆動時の負荷が大きい場合や車両の走行中に、動力バッテリを充電することができないため、動力バッテリの充電量が不足して、作業装置を電動駆動させることができない場合がある。
【0007】
本発明の目的とするところは、作業装置を駆動させるための電力を確実に動力バッテリに充電することができる作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するために、エンジンの動力によって走行する車両と、エンジンの動力によって駆動する油圧ポンプから吐出される作動油によって駆動可能であるとともに、電力によって駆動可能な作業装置と、を備えた作業車両であって、エンジンの動力によって発電する第1発電機と、油圧ポンプから吐出される作動油によって駆動されるアクチュエータの動力によって発電する第2発電機と、第1発電機において発電した電力を蓄電可能に設けられ、車両側で使用される電力を供給可能な車両用バッテリと、第1発電機において発電した電力および第2発電機において発電した電力を蓄電可能に設けられ、作業装置を電力によって駆動する際に電力を供給可能な動力バッテリと、を備え、第1発電機において発電した電力は、車両用バッテリを充電する電力として優先的に供給され、余剰電力が動力バッテリを充電する電力として供給される
【0009】
これにより、動力バッテリがエンジンの動力で発電する第1発電機によって充電されるとともに、油圧ポンプから吐出された作動油によって発電する第2発電機によって充電されることから、車両の走行中や作業装置のエンジン駆動作業中には第1発電機で発電された電力によって動力バッテリが充電され、作業装置の駆動部の負荷が小さいときに第2発電機で発電された電力によって動力バッテリが充電可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両の走行中や作業装置のエンジン駆動作業中には第1発電機で発電された電力を動力バッテリに充電し、作業装置の駆動部の負荷が小さいときに第2発電機で発電された電力を動力バッテリに充電することができるので、作業装置を電動駆動させる電力を確実に動力バッテリに充電でき、電動モータによる作業装置の駆動時の電力不足を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態を示す移動式クレーンの側面図である。
図2】油圧供給装置の概略構成図である。
図3】回路切換処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の他の実施形態を示す油圧供給装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図3は、本発明の一実施形態を示すものである。
【0013】
本発明の作業車両としての移動式クレーン1は、図1に示すように、走行する車両10と、クレーン装置20と、を備えている。
【0014】
車両10は、車輪11を有し、エンジンEを動力源として走行する。また、車両10の前側および後側の左右両側には、クレーン作業時に車両10の転倒を防止するとともに、車両10を安定的に支持するためのアウトリガ12が設けられている。アウトリガ12は、幅方向外側に移動可能であるとともに、油圧式のジャッキシリンダ13(図2)によって下方に伸長可能である。アウトリガ12は、下端を接地させることにより車両10を地面に対して安定的に支持する。
【0015】
クレーン装置20は、車両10の前後方向略中央部に水平面上を旋回可能に設けられた旋回台21と、旋回台21に対して起伏可能に設けられるとともに、伸縮可能に設けられたブーム22と、ブーム22の先端側から垂下されるワイヤロープ23と、ワイヤロープ23の巻き込みまたは繰り出しを行うためのウインチ24と、旋回台21の前側に設けられ、車両10の走行およびクレーン装置20による作業に関する操作を行うための運転キャブ25と、を備えている。
【0016】
旋回台21は、ボールベアリング式またはローラベアリング式の旋回サークル21aを介して車両10に対して旋回自在に設けられ、油圧式の旋回モータ21b(図2)によって旋回する。
【0017】
ブーム22は、複数のブーム部材22a,22b,22c,22dからなり、最先端側のブーム部材22dを除く各ブーム部材22a,22b,22cの内部に先端側に隣り合うブーム部材22b,22c,22dが収納可能なテレスコープ式に構成されている。最基端側のブーム部材22aは、基端部が旋回台21のブラケット21cに揺動自在に連結されている。ブーム部材22aとブラケット21cとの間には、油圧式の起伏シリンダ22eが連結されており、起伏シリンダ22eの伸縮動作によってブーム22を起伏させる。また、最基端側のブーム部材22aの内部には、油圧式の伸縮シリンダ22f(図2)が設けられ、伸縮シリンダ22fの伸縮によってブーム22を伸縮させる。
【0018】
ワイヤロープ23は、先端側にフックブロック23aが設けられ、フックブロック23aがブーム22の先端部から垂下される。フックブロック23aには吊荷を係止可能であり、フックブロック23aに係止された吊荷がブーム22の先端部から吊り下げられる。
【0019】
ウインチ24は、ワイヤロープ23が巻き掛けられるドラム24aを有し、ドラム24aは油圧式のウインチモータ24b(図2)によって正逆回転可能に構成されている。
【0020】
運転キャブ25は、旋回台21上のブラケット21cの側方に設けられ、旋回台21と共に旋回する。
【0021】
各ジャッキシリンダ13、旋回モータ21b、起伏シリンダ22e、伸縮シリンダ22fおよびウインチモータ24b等のアクチュエータは、作動油の供給や排出によって作動する。各アクチュエータを作動させる作動油は、図2に示す油圧供給装置30によって供給される。
【0022】
油圧供給装置30は、車両10走行用のエンジンEの動力を取り出すためのPTO(パワーテイクオフ)機構31と、PTO機構31によって取り出されたエンジンEの動力によって駆動する第1油圧ポンプ32と、PTO機構31を介さずにエンジンEの動力によって駆動する第2油圧ポンプ33と、第2油圧ポンプ33から吐出された作動油によって駆動可能な油圧モータ34と、電力を供給するための動力バッテリ35と、動力バッテリ35の電力で駆動する電動モータ36と、電動モータ36の動力によって駆動される第3油圧ポンプ37と、エンジンEの動力によって駆動する第1発電機38と、油圧モータ34の動力によって駆動される第2発電機39と、第1油圧ポンプ32または第3油圧ポンプ37から吐出された作動油の流れを制御するためのコントロールバルブユニット40と、を備え、これらは作動油回路41に接続されている。
【0023】
第1油圧ポンプ32は、PTO機構31によってエンジンEの動力の伝達と動力の伝達の遮断の切換えが可能に構成されている。第1油圧ポンプ32は、エンジンEの動力によってクレーン装置20の作業を行う場合に駆動される。
【0024】
第2油圧ポンプ33は、エンジンEに直に連結されており、エンジンEの駆動時には常に動力が伝達される。第2油圧ポンプ33は、各ジャッキシリンダ13、旋回モータ21b、起伏シリンダ22e、伸縮シリンダ22fおよびウインチモータ24bに作動油を供給するものではなく、油圧モータ34および、例えば、運転キャブ25内の空調用圧縮機の駆動や補助ジブの着脱を行うためのアクチュエータに対して作動油を供給するものである。
【0025】
第1発電機38は、主に、エンジンEの始動や車両10のライト等、車両10側で使用される電力を発電するものである。また、第1発電機38には、車両10側で使用される電力を蓄えるための車両用バッテリ38aが接続されおり、第1発電機38で発電された電力によって車両用バッテリ38aが充電される。さらに、第1発電機38は、バッテリチャージャ38bを介して動力バッテリ35に接続されており、車両用バッテリ38aを充電する際の余剰電力によって動力バッテリ35が充電される。
【0026】
第2発電機39は、第3油圧ポンプ37を駆動させる電力を発電するものである。第2発電機39には、動力バッテリ35が接続されており、第2発電機39で発電された電力によって動力バッテリ35が充電される。
【0027】
コントロールバルブユニット40は、各アクチュエータに対応する複数のコントロールバルブを有し、各コントロールバルブが操作レバーや操作ペダル等の操作部40aによって操作可能である。また、コントロールバルブユニット40を構成する各コントロールバルブは、ソレノイド等の切換手段を有し、後述する過負荷防止装置からの信号によって操作可能である。
【0028】
作動油回路41には、第1油圧ポンプ32、第2油圧ポンプ33および第3油圧ポンプ37の吸入側が並列に作動油タンク42に接続されている。第1油圧ポンプ32および第3油圧ポンプ37の吐出側は、コントロールバルブユニット40のポンプ側のポートに接続されている。第1油圧ポンプ32および第3油圧ポンプ37のそれぞれの吐出側とコントロールバルブユニット40との間の作動油流路には、第1油圧ポンプ32および第3油圧ポンプ37の吐出側からの作動油の流入を規制するための逆止弁43が設けられている。また、コントロールバルブユニット40には、各アクチュエータが接続されている。コントロールバルブユニット40の作動油タンク42側のポートには、リターンフィルタ44を介して作動油タンク42が接続されている。
【0029】
また、作動油回路41の第2油圧ポンプ33の吐出側には、油圧モータ34とバイパス流路45が並列に接続され、方向切換弁46によって第2油圧ポンプ33の吐出側が油圧モータ34側の流路またはバイパス流路45に切換えられる。油圧モータ34側の流路およびバイパス流路45の作動油の流出側には、前記の空調用圧縮機の駆動や補助ジブの着脱等を行うための図示しないアクチュエータに接続されている。
【0030】
また、移動式クレーン1は、図2に示すように、油圧供給装置30の操作や動力バッテリ35の充電に関する制御を行うためのコントローラ50を備えている。
【0031】
コントローラ50は、CPU、ROM、RAMを有している。コントローラ50は、入力側に接続された装置からの入力信号を受信すると、CPUが、入力信号に基づいてROMに記憶されたプログラムを読み出すとともに、入力信号によって検出された状態をRAMに記憶したり、出力側に接続された装置に出力信号を送信したりする。
【0032】
コントローラ50には、図2に示すように、動力バッテリ35と、方向切換弁46と、バッテリチャージャ38bからの充電電流値を検出するための第1電流検出部51と、第2発電機39からの充電電流値を検出するための第2電流検出部52と、吊荷の荷重、ブーム22の長さ寸法および起伏角度を検出して吊荷の定格荷重を算出し、吊荷の荷重が定格荷重を超える場合にクレーン装置20の動作を停止させるための過負荷防止装置53と、が接続されている。
【0033】
以上のように構成された作業車両としての移動式クレーンにおいて、クレーン装置20によるクレーン作業時には、エンジンEの動力によって第1油圧ポンプ32を駆動させながらクレーン作業を行うエンジン駆動クレーン作業、または、エンジンEを停止して電動モータ36の動力によって第3油圧ポンプ37を駆動させながらクレーン作業を行う電動駆動クレーン作業が選択可能である。
【0034】
また、車両10の走行中やエンジン駆動クレーン作業中には、エンジンEの動力によって第1発電機38が駆動されるため、第1発電機38は発電を行う。第1発電機38において発電された電力は、車両10のライト等、車両10側で使用されるとともに、バッテリチャージャ38bによって車両用バッテリ38aが優先的に充電され、余剰電力が動力バッテリ35に充電される。このとき、車両10側と車両用バッテリ38aの充電に使用される電力量が大きい場合には、動力バッテリ35に充電される電力量が減少するか、動力バッテリ35の充電が停止される。
【0035】
また、車両10の走行中やエンジン駆動クレーン作業中には、エンジンEの動力によって第2油圧ポンプ33が駆動される。第2油圧ポンプ33の駆動によって吐出された作動油は、空調用圧縮機の駆動や補助ジブの着脱等を行うためのアクチュエータを駆動するとともに、方向切換弁46を油圧モータ34側に設定することによって油圧モータ34を駆動する。油圧モータ34の駆動中には、油圧モータ34の動力によって第2発電機39が駆動されるため、第2発電機39は発電を行う。第2発電機39において発電された電力は、動力バッテリ35に充電される。
【0036】
エンジンEの駆動中には、動力バッテリ35の電圧、第1電流検出部51の検出電流および第2電流検出部52の検出電流に基づいて、方向切換弁46を切換え、第2発電機39による発電と発電の停止を切換える。
【0037】
また、エンジンEの駆動中には、第2油圧ポンプ33から吐出される作動油によって駆動するアクチュエータの負荷や動力バッテリ35の電力の残量に応じて方向切換弁46を切換える回路切換処理を行う。このときの、コントローラ50の動作を図3のフローチャートを用いて説明する。
【0038】
(ステップS1)
ステップS1においてCPUは、エンジンEが駆動中であるか否かを判定する。エンジンEが駆動中であると判定した場合にはステップS2に処理を移し、エンジンEが駆動中であると判定しなかった場合には回路切換処理を終了する。
【0039】
(ステップS2)
ステップS1においてエンジンEが駆動中であると判定した場合に、ステップS2においてCPUは、第2油圧ポンプ33から吐出される作動油によって駆動するアクチュエータの負荷が所定以下であるか否か判定する。第2油圧ポンプ33から吐出される作動油によって駆動するアクチュエータの負荷が所定以下の場合にはステップS3に処理を移し、第2油圧ポンプ33から吐出される作動油によって駆動するアクチュエータの負荷が所定以下であると判定しなかった場合にはステップS5に処理を移す。
ここで、第2油圧ポンプ33から吐出される作動油によって駆動するアクチュエータの負荷とは、空調用圧縮機の駆動や補助ジブの着脱等を行うためのアクチュエータを駆動させるために必要な第2油圧ポンプ33の出力の大きさである。
【0040】
(ステップS3)
ステップS2において第2油圧ポンプ33から吐出される作動油によって駆動するアクチュエータの負荷が所定以下であると判定した場合に、ステップS3においてCPUは、動力バッテリ35の電力の残量が所定量以下であるか否かを判定する。動力バッテリ35の電力の残量が所定量以下であると判定した場合にはステップS4に処理を移し、動力バッテリ35の電力の残量が所定量以下であると判定しなかった場合にはステップS5に処理を移す。
【0041】
(ステップS4)
ステップS3において動力バッテリ35の電力の残量が所定量以下であると判定した場合にステップS4においてCPUは、方向切換弁46を油圧モータ34側の流路に設定し、回路切換処理を終了する。
【0042】
(ステップS5)
ステップS2において第2油圧ポンプ33から吐出される作動油によって駆動するアクチュエータの負荷が所定以下であると判定しなかった場合、またはステップS3において動力バッテリ35の電力の残量が所定量以下である判定しなかった場合に、ステップS5においてCPUは、方向切換弁46をバイパス流路45側に設定し、回路切換処理を終了する。
【0043】
このように、本実施形態の作業車両によれば、エンジンEの動力によって発電する第1発電機38と、第2油圧ポンプ33から吐出される作動油によって駆動される油圧モータ34の動力によって発電する第2発電機39と、第1発電機38において発電した電力および第2発電機39において発電した電力を蓄電可能に設けられ、クレーン装置20を電力によって駆動する際に電力を供給可能な動力バッテリ35と、を備えている。これにより、エンジンEの駆動中には、第1発電機38で発電された電力を動力バッテリ35に充電可能とするとともに、第2油圧ポンプ33から吐出される作動油によって駆動するアクチュエータの負荷が小さい場合に第2発電機39で発電された電力を動力バッテリ35に充電可能とすることができるので、クレーン装置20を駆動させる電力を確実に動力バッテリ35に充電でき、電動モータ36によるクレーン装置20の駆動時の電力不足を防止することができる。
【0044】
また、第2油圧ポンプ33から吐出される作動油によって駆動するアクチュエータの負荷が所定以下の場合に第2発電機39による発電を行い、クレーン作業の負荷が所定より大きい場合に第2発電機39による発電を規制している。これにより、エンジンEの動力を優先的に第2油圧ポンプ33から吐出される作動油によって駆動するアクチュエータに利用することができるので、作業効率の低下を防止することが可能となる。
【0045】
動力バッテリ35の電力の残量が所定量以下の場合に第2発電機39による発電を行い、動力バッテリ35の電力の残量が所定量より大きい場合に第2発電機39による発電を規制している。これにより、動力バッテリ35の充電が必要ない場合に、油圧モータ34を停止させることができるので、クレーン作業時の効率を向上させることが可能となる。
【0046】
図4は、本発明の他の実施形態を示すものである。なお、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0047】
本実施形態の移動式クレーン1の油圧供給装置30は、図4に示すように、作動油回路41の第1油圧ポンプ32の吐出側に、油圧モータ34とバイパス流路45が並列に接続され、方向切換弁46によって第1油圧ポンプ32の吐出側が油圧モータ34側の流路またはバイパス流路45に切換えられる。
【0048】
以上のように構成された作業車両としての移動式クレーンにおいて、クレーン装置20の作業待機時、クレーン作業の負荷が小さい場合には、前記実施形態と同様に、方向切換弁46によって第1油圧ポンプの吐出側を油圧モータ34側に切換えて油圧モータ34を駆動させる。油圧モータ34が駆動すると、第2発電機39は、動力が伝達されて発電を開始するため、発電された電力によって動力バッテリ35が充電される。
【0049】
このように、本実施形態の作業車両によれば、エンジンEの動力によって発電する第1発電機38と、第1油圧ポンプ32から吐出される作動油によって駆動される油圧モータ34の動力によって発電する第2発電機39と、第1発電機38において発電した電力および第2発電機39において発電した電力を蓄電可能に設けられ、クレーン装置20を電力によって駆動する際に電力を供給可能な動力バッテリ35と、を備えている。これにより、エンジンEの駆動中には、第1発電機38で発電された電力を動力バッテリ35に充電可能とするとともに、クレーン装置20の作業待機時等、クレーン作業の負荷が小さい場合に第2発電機39で発電された電力を動力バッテリ35に充電することができるので、クレーン装置20を駆動させる電力を確実に動力バッテリ35に充電でき、電動モータ36によるクレーン装置20の駆動時の電力不足を防止することができる。
【0050】
なお、前記実施形態では、作業車両として移動式クレーン1を示したが、エンジン駆動の油圧ポンプを有する油圧回路または電力によって駆動可能な作業装置を備えた作業車両であれば、高所作業車や掘削機等の作業車両に対しても本発明を適用可能である。
【0051】
また、前記実施形態では、作業装置の電動駆動の例として、電動駆動の油圧ポンプによって作動油を吐出させるようにしたものを示したが、電動駆動であれば、電動モータによって直接作業装置の駆動部を駆動させるようにしてもよい。
【0052】
また、前記実施形態の動力バッテリ35は、移動式クレーン1の旋回台21の上方に配置してもよいし下方に配置してもよい。例えば、電動で駆動する駆動部が旋回台21上方のみの場合には、旋回台21の上方側に配置することが望ましく、電動で駆動する駆動部が旋回台21の下方のみの場合には、旋回台21の下方側に配置することが望ましい。
【符号の説明】
【0053】
1…移動式クレーン、20…クレーン装置、30…油圧供給装置、31…PTO機構、32…第1油圧ポンプ、33…第2油圧ポンプ、34…油圧モータ、35…動力バッテリ、36…電動モータ、37…第3油圧ポンプ、38…第1発電機、39…第2発電機、41…作動油回路、46…方向切換弁、50…コントローラ、51…第1電流検出部、52…第2電流検出部、53…過負荷防止装置、E…エンジン。
図1
図2
図3
図4