特許第5964125号(P5964125)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964125
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】充電制御回路
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20160721BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20160721BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   H02J7/00 S
   H01M10/44 Q
   H02M3/155 H
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-98984(P2012-98984)
(22)【出願日】2012年4月24日
(65)【公開番号】特開2013-229969(P2013-229969A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】300057230
【氏名又は名称】セミコンダクター・コンポーネンツ・インダストリーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 圭司
(72)【発明者】
【氏名】林 安昭
【審査官】 竹下 翔平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−172154(JP,A)
【文献】 特開平09−154275(JP,A)
【文献】 特開2011−239525(JP,A)
【文献】 特開2002−315313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42−10/48
H02J 7/00−7/12
7/34−7/36
H02M 1/00−3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電源から電池の充電に用いる出力電圧を、前記電池が接続される端子に生成する充電回路を制御する充電制御回路であって、
前記入力電源からの入力電流が第1電流より小さい場合、コンデンサを充電し、前記入力電流が前記第1電流より大きい場合、前記コンデンサを放電する充放電回路と、
前記入力電流が前記第1電流と比べて大きい第2電流より大きくなると、前記コンデンサを放電する放電回路と、
前記コンデンサの充電電圧及び前記出力電圧の最大値に応じた基準電圧のうち低い方の電圧と、前記出力電圧に応じた帰還電圧との誤差を増幅する誤差増幅回路と、
前記入力電流が供給されるインダクタと、オンされると前記インダクタに流れるインダクタ電流を増加させるトランジスタとを含み、前記トランジスタがオフの際に前記インダクタ電流を前記端子に供給して前記出力電圧を上昇させる昇圧回路の前記トランジスタを、前記誤差が小さくなるようにスイッチングする駆動回路と、
を備えることを特徴とする充電制御回路。
【請求項2】
請求項1に記載の充電制御回路であって、
前記放電回路は、
オンされると前記コンデンサを放電するよう、前記コンデンサに接続されたスイッチと、
前記入力電流が前記第2電流より大きくなると、前記スイッチをオンし、前記入力電流が前記第2電流より小さくなると、前記スイッチをオフする制御回路と、
を含むことを特徴とする充電制御回路。
【請求項3】
請求項2に記載の充電制御回路であって、
前記放電回路は、
前記スイッチがオンとなると前記コンデンサを定電流で放電する定電流回路を更に含むこと、
を特徴とする充電制御回路。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の充電制御回路であって、
前記第1電流の大きさを示すデータを記憶する記憶回路と、
前記記憶回路に記憶された前記データに応じた第1電圧を生成する電圧生成回路と、
を更に備え、
前記充放電回路は、
前記第1電圧及び前記入力電流に応じた第2電圧に基づいて、前記入力電流が前記第1電流より小さい場合、前記コンデンサを充電し、前記入力電流が前記第1電流より大きい場合、前記コンデンサを放電すること、
を特徴とする充電制御回路。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の充電制御回路であって、
前記第2電流と比べて大きい第3電流より、前記トランジスタに流れる電流が大きいか否かを判定する判定回路を更に備え、
前記駆動回路は、
前記ランジスタに流れる電流が前記第3電流より小さい場合、前記誤差が小さくなるように前記トランジスタをスイッチングし、前記トランジスタに流れる電流が前記第3電流より大きい場合、前記トランジスタをオフすること、
を特徴とする充電制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池等の電池(二次電池)を充電する充電回路は、一般に、定電流で電池を充電する定電流モード、または定電圧で電池を充電する定電圧モードで動作する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−284585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、充電回路には、電池が充電回路に接続されていない状態であっても、充電回路の出力端子に接続された負荷(例えば、マイコン等)を駆動するために定電圧を生成するものもある。このような充電回路の出力端子に、充電余地のある電池、つまり電池電圧が低下している電池が接続されると、充電回路の入力側から電池へと過電流が流れてしまう。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、過電流を低減することができる充電制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一つの側面に係る入力電源から電池の充電に用いる出力電圧を、前記電池が接続される端子に生成する充電回路を制御する充電制御回路であって、前記入力電源からの入力電流が第1電流より小さい場合、コンデンサを充電し、前記入力電流が前記第1電流より大きい場合、前記コンデンサを放電する充放電回路と、前記入力電流が前記第1電流と比べて大きい第2電流より大きくなると、前記コンデンサを放電する放電回路と、前記コンデンサの充電電圧及び前記出力電圧の最大値に応じた基準電圧のうち低い方の電圧と、前記出力電圧に応じた帰還電圧との誤差を増幅する誤差増幅回路と、前記入力電流が供給されるインダクタと、オンされると前記インダクタに流れるインダクタ電流を増加させるトランジスタとを含み、前記トランジスタがオフの際に前記インダクタ電流を前記端子に供給して前記出力電圧を上昇させる昇圧回路の前記トランジスタを、前記誤差が小さくなるようにスイッチングする駆動回路と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
過電流を低減することができる充電制御回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明を適用した充電回路10の概要を示す図である。
図2】スイッチング制御回路35の一例を示す図である。
図3】端子Gに電池15,16が接続された際の充電回路10の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
<<充電回路10の概要>>
図1は、本発明を適用した充電回路10の構成を示す図である。充電回路10は、2セルのリチウムイオン電池(以下、単に電池と称する)15,16を、定電流または定電圧で充電する回路である。なお、1セルのリチウムイオン電池の電圧は、例えば、2.4Vから4.2Vまで変化するため、2セルの電池15,16に発生する電圧は、4.8V〜8.4Vとなる。また、充電回路10は、例えばUSB(Universal Serial Bus)バスから供給される電源17に基づいて、電池15,16を充電する。
【0011】
充電回路10は、充電制御IC(Integrated Circuit)20、コンデンサ21〜24、インダクタ25、及び抵抗26を含んで構成される。
【0012】
充電制御IC20(充電制御回路)は、インダクタ25に流れるインダクタ電流ILを制御することにより、電源17からの入力電圧Vin(例えば、5V)より高い出力電圧Voutを生成する回路であり、NMOSトランジスタ30〜32、入力電流検出回路33、出力電流検出回路34、スイッチング制御回路35、及び端子A〜Gを含んで構成される。なお、NMOSトランジスタ31,32は外付け部品としてもよく、NMOSトランジスタ32については、ダイオード若しくはPMOSトランジスタとしてもよい。
【0013】
端子Aには、電源17(入力電源)からの入力電圧Vinが印加されるとともに、入力電圧Vinを安定化させるためのコンデンサ21が接続されている。
【0014】
NMOSトランジスタ30は、ドレインが端子Aに接続され、ソースが端子Bに接続されている。
【0015】
入力電流検出回路33は、電源17からの端子Aを介して入力される入力電流Iinを検出し、入力電流Iinの増加に応じて上昇する電圧Va(第2電圧)を生成する回路である。なお、入力電流検出回路33は、電流検出抵抗や、NMOSトランジスタ30のカレントミラー回路等を用いて入力電流Iinを検出する。また、入力電流検出回路33は、出力電圧Voutが昇圧されている際に、NMOSトランジスタ30がフルオン状態となる電圧をNMOSトランジスタ30のゲートに印加する。
【0016】
端子Bには、コンデンサ22とインダクタ25の一端が接続され、端子Cには、インダクタ25の他端、NMOSトランジスタ31のドレイン、NMOSトランジスタ32のソースが接続されている。また、接地された端子Fには、NMOSトランジスタ31のソースが接続されている。
【0017】
このため、インダクタ25,NMOSトランジスタ31,32は、入力電圧Vinを昇圧する昇圧チョッパ回路(昇圧回路)を構成する。具体的には、NMOSトランジスタ32がオフし、NMOSトランジスタ31がオンすると、インダクタ25に流れるインダクタ電流ILは増加する。そして、NMOSトランジスタ31がオフし、NMOSトランジスタ32がオンすると、インダクタ25に蓄えられたエネルギーは、端子Gを介してコンデンサ24に放出される。したがって、端子Gに発生する出力電圧Voutは昇圧される。また、端子Gには、電池15,16が接続される。なお、電池15,16及び端子Gの間のスイッチSWは実際には設けられていないが、電池15,16が端子Gに接続されているか否かの理解を容易にするために描かれている。また、端子Gには、出力電圧Voutで動作するマイコン等の負荷(不図示)が接続されている。
【0018】
出力電流検出回路34は、NMOSトランジスタ31に流れる電流Ibの増加に応じて上昇する電圧Vbを生成する回路である。なお、出力電流検出回路34も、入力電流検出回路33と同様に、電流検出抵抗や、NMOSトランジスタ31のカレントミラー回路等を用いて電流Ibを検出する。
【0019】
スイッチング制御回路35は、電圧Va,Vb、出力電圧Voutに基づいて、NMOSトランジスタ31,32のスイッチングを制御する。スイッチング制御回路35は、図2に示すように、充放電回路50、放電回路51、判定回路52、及びスイッチング回路53を含んで構成される。なお、図2は、スイッチング制御回路35の詳細を説明するための図であるため、図2においては、図1に示された端子Aや、NMOSトランジスタ30等は適宜省略している。
【0020】
充放電回路50は、入力電流Iinが、充電回路10が電池15,16を定電流充電する際の電流I1(第1電流)より小さい場合、コンデンサ23を充電し、入力電流Iinが電流I1より大きい場合、コンデンサ23を放電する。充放電回路50は、レジスタ60、バイアス電圧生成回路61、及びトランスコンダクタンスアンプ62を含んで構成される。
【0021】
レジスタ60(記憶回路)は、端子Dを介してマイコン(不図示)から送信されるデータDAを記憶する。なお、データDAは、電流I1の電流値を示すデータである。
【0022】
バイアス電圧生成回路61(電圧生成回路)は、レジスタ60に格納されたデータDAに基づいて、電流I1の電流値に応じた電圧V1(第1電圧)を生成する。本実施形態では、設定される電流I1の電流値が高くなるにつれて、電圧V1の電圧値も高くなる。
【0023】
トランスコンダクタンスアンプ62は、入力電流Iinが増加すると高くなる電圧Vaと、電流I1を示す電圧V1とに応じた電流でコンデンサ23を充放電する。具体的には、電流Iinが電流I1より低い場合、つまり、電圧Vaが電圧V1より低い場合には、トランスコンダクタンスアンプ62は、コンデンサ23を充電する。一方、電流Iinが電流I1より高い場合、つまり、電圧Vaが電圧V1より高い場合には、トランスコンダクタンスアンプ62は、コンデンサ23を放電する。なお、ここでは、コンデンサ23の充電電圧を電圧Vcapとする。
【0024】
放電回路51は、入力電流Iinが、所定の電流I2(>I1)より大きくなると、コンデンサ23を放電する。放電回路51は、バイアス電圧生成回路70、コンパレータ71、スイッチ72、及び定電流回路73を含んで構成される。
【0025】
バイアス電圧生成回路70は、電流I2(第2電流)の電流値に応じた電圧V2を生成する。なお、本実施形態では、電流I2が電流I1より大きくなるよう、電圧V2の電圧値は、電圧V1の電圧値より高く設定される。
【0026】
コンパレータ71(制御回路)は、電圧Vaが電圧V2より高くなると、スイッチ72をオンし、電圧Vaが電圧V2より低くなると、スイッチ72をオフする。スイッチ72の一端はコンデンサ23に接続され、他端は定電流回路73に接続されている。したがって、スイッチ72がオンすると、定電流回路73はコンデンサ23の電荷を定電流で放電する。
【0027】
判定回路52は、電圧Vbに基づいて、NMOSトランジスタ31に流れる電流Ibが、過電流であるか否かを判定する。具体的には、判定回路52は、電流Ibが過電流を示す所定の電流I3(>I2)より大きい場合、電流Ibが過電流であることを判定する回路である。
【0028】
スイッチング回路53は、抵抗90〜92、基準電圧回路93、オペアンプ94、コンデンサ95、及び駆動回路96を含んで構成される。
【0029】
抵抗90,91は、出力電圧Voutを分圧して帰還電圧Vfbを生成し、基準電圧回路93は、出力電圧Voutの最大値(例えば、8.4V)に応じた所定の基準電圧Vrefを生成する。
【0030】
オペアンプ94は、2つの非反転入力端子(+)と、1つの反転入力端子(−)を有し、2つの非反転入力端子(+)の夫々に印加された電圧のうち、低い方の電圧と、反転入力端子(−)に印加された電圧との誤差に応じた電圧を出力する。ここでは、2つの非反転入力端子(+)のうち、一方の端子には基準電圧Vrefが印加され、他方の端子には電圧Vcapが印加されている。したがって、電圧Vcapが基準電圧Vrefより低い場合、電圧Vcapと帰還電圧Vfbとの誤差が増幅され、基準電圧Vrefが電圧Vcapより低い場合、基準電圧Vrefと帰還電圧Vfbとの誤差が増幅される。オペアンプ94の出力には、スイッチング回路53の帰還ループの位相を補償するための抵抗92及びコンデンサ95が接続されている。なお、コンデンサ95の電圧を電圧Vcとする。
【0031】
駆動回路96は、電流Ibが過電流でないと判定されている場合、電圧Vcのレベルに基づいて、NMOSトランジスタ31と、NMOSトランジスタ32とを相補的にスイッチングする。具体的には、駆動回路96は、電圧Vcのレベルが高くなるにつれて出力電圧Voutが上昇するよう、NMOSトランジスタ31,32をスイッチングする。また、駆動回路96は、電流Ibが過電流であると判定された場合、NMOSトランジスタ31をオフする。なお、NMOSトランジスタ31がオンした際に流れる電流Ibは、入力電流Iinとほぼ等しい。このため、入力電流Iinの電流値は電流I3の電流値で制限される。
【0032】
<<電池15,16が接続されている状態での充電回路10の動作>>
==定電流充電==
まず、電圧Vcapが基準電圧Vrefよりも低く、充電回路10が定電流で電池15,16を充電する際の動作を説明する。
【0033】
例えば、電池15,16の充電電流の増加に応じて入力電流Iinが電流I1より大きくなると、電圧Vaが所定の電流I1を示す電圧V1より高くなる。これにより、トランスコンダクタンスアンプ62は、コンデンサ23を放電するため電圧Vcapは低下する。また、電圧Vcapが低下するとコンデンサ95は放電されるため、出力電圧Voutは低下する。電池15,16の充電に用いられる出力電圧Voutが低下すると、電池15,16の充電電流は減少するため、入力電流Iinも減少することになる。このように、入力電流Iinが電流I1より大きくなると、充電回路10は入力電流Iinを減少させる。
【0034】
一方、例えば、充電電流の減少に応じて入力電流Iinが電流I1より小さくなると、前述した場合とは逆に出力電圧Voutが高くなる。この結果、充電電流及び入力電流Iinは増加することになる。このように、スイッチング制御回路35は、入力電流Iinが電流I1となるように、電池15,16を定電流で充電する。
【0035】
ところで、電池15,16が定電流(電流I1)で充電されると、電池15,16の電池電圧Vbatは徐々に高くなる。このような状態で、仮に出力電圧Voutが一定であると、充電電流及び入力電流Iinは徐々に減少することになる。しかしながら、電池電圧Vbatは徐々に高くなり入力電流Iinが減少すると、スイッチング制御回路35は、前述のように電圧Vcapを上昇させて出力電圧Voutを上昇させる。この結果、充電回路10は、電池電圧Vbatが上昇した場合であっても、精度良く電池15,16を定電流で充電し続けることができる。
【0036】
==定電圧充電==
前述のように、電池15,16を定電流で充電し続けると、電池電圧Vbatが上昇する。そして、電池電圧Vbatが最大値である8.4Vに近づくと、トランスコンダクタンスアンプ62は、出力電圧Voutが8.4Vより高くなるよう、コンデンサ23を充電する。この結果、電圧Vcapは、出力電圧Voutが8.4Vの際の基準電圧Vrefよりも高くなる。このため、本実施形態では、電池電圧Vbatが最大値である8.4Vに近づくと、スイッチング回路53は、帰還電圧Vfbのレベルが、基準電圧Vrefのレベルに一致するよう、NMOSトランジスタ31,32をスイッチングすることになる。つまり、充電回路10は、充電電圧Vbatが高くなると、入力電流Iinを電流I1に一致させて電池15,16を定電流で充電する定電流モードから、8.4Vの出力電圧Voutで電池15,16を充電する定電圧モードで動作する。
【0037】
<<電池15,16が端子Gに接続された際の充電回路10の動作>>
つぎに、図3を参照しつつ、充電余地が十分ある電池15,16が端子Gに接続された際の充電回路10の動作について説明する。なお、図3は、電池15,16が端子Gに接続される前後における充電回路10の主要な波形を示す図である。また、本実施形態では、端子Gに接続されているマイコン等の負荷(不図示)の消費電流は、電流I1より十分小さいこととする。
【0038】
このような状態では、入力電流Iinは電流I1より小さく、電圧Vaは電圧V1より低い。したがって、コンデンサ62は、トランスコンダクタンスアンプ62により充電され続け、電圧Vcap(実線)は、トランスコンダクタンスアンプ62を動作させる電源電圧Vddのレベル近くまで上昇する。また、この際、電圧Vcapは、基準電圧Vref(一点鎖線)より高くなるため、8.4Vの出力電圧Voutが生成され続ける。
【0039】
時刻t1に、8.4Vの出力電圧Voutが印加されている端子Gに、例えば電池電圧Vbatが6Vの電池15,16が接続されると、充電回路10の入力側から電池15,16に対して過電流が流れる。このため、入力電流Iinは急激に増加する。ただし、前述のように、本実施形態では、入力電流Iinは電流I3で制限される。またこの際、入力電流Iinは電流I1よりも大きいため、トランスコンダクタンスアンプ62はコンデンサ23の放電を開始する。さらに、ここでは、入力電流Iinは電流I2(I1<I2<I3)よりも大きくなっている。したがって、図2におけるスイッチ72がオンとなり、定電流回路73もコンデンサ23を放電する。これにより、電圧Vcapは急激に低下することになる。なお、この際は、電圧Vcapは基準電圧Vrefより高いため、充電回路10は、定電圧モードで動作している。
【0040】
そして、時刻t2に電圧Vcapが基準電圧Vrefより低くなると、充電回路10は、定電流モードの動作を開始する。このため、入力電流Iinは、電流I1となるよう制御される。
【0041】
以上、本発明の一実施形態である充電制御IC20を適用した充電回路10について説明した。本実施形態では、過電流が発生すると、コンデンサ23は、トランスコンダクタンスアンプ62及び定電流回路73の両方により放電される。このため、例えば、コンデンサ23がトランスコンダクタンスアンプ62のみにより放電される場合と比べると、定電圧モードから定電流モードに移行する時間が短くなる。また、定電流モードで充電回路10が動作すると、入力電流Iin(充電電流)は電流I1で制限される。このように、充電回路10は、入力電流Iinが過電流となった際に、入力電流Iinを電流I1まで減少させるまでの時間を短くできる。したがって、充電回路10は、過電流を低減することができる。
【0042】
また、コンデンサ23は定電流回路73で放電されることとしたが、例えば、スイッチ72で直接コンデンサ23の電荷を放電しても良い。このような場合であっても、過電流を低減することが可能となる。
【0043】
スイッチ72でコンデンサ23を直接放電すると、入力電流Iinが小さくなりすぎ、入力電流Iinを電流I1まで増加させるまで時間がかかることもある。コンデンサ23を定電流回路73で放電すると、コンデンサ23の電圧Vcapが低くなりすぎるのを防ぐことができる。したがって、このような場合、より短い時間で入力電流Iin(充電電流)を電流I1とすることができるため、充電時間を短くすることができる。
【0044】
また、電流I1は、データDAに基づいて定められる。したがって、充電回路10は、充電電流(入力電流Iin)を利用者の所望の値とすることができる。
【0045】
また、駆動回路96は、NMOSトランジスタ31に流れる電流Ibが過電流(電流I3)となると、NMOSトランジスタ31をオフする。このため、駆動回路96は、NMOSトランジスタ31等が過電流により破壊されることを防ぐことができる。
【0046】
なお、上記実施例は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0047】
10 充電回路
15,16 電池
17 電源
20 充電制御IC
21〜24,95 コンデンサ
25 インダクタ
26,46,90〜92 抵抗
30〜32 NMOSトランジスタ
33 入力電流検出回路
34 出力電流検出回路
35 スイッチング制御回路
50 充放電回路
51 放電回路
52 判定回路
53 スイッチング回路
60 レジスタ
61,70 バイアス電圧生成回路
62 トランスコンダクタンスアンプ
71 コンパレータ
72,SW スイッチ
73 定電流回路
93 基準電圧回路
94 オペアンプ
96 駆動回路
図1
図2
図3