特許第5964146号(P5964146)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964146
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/494 20060101AFI20160721BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20160721BHJP
【FI】
   A61F13/494 110
   A61F13/494 120
   A61F13/514 320
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-130204(P2012-130204)
(22)【出願日】2012年6月7日
(65)【公開番号】特開2013-252323(P2013-252323A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100164345
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】山本 了一
【審査官】 山本 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−018714(JP,U)
【文献】 特開2003−265529(JP,A)
【文献】 特開2004−081618(JP,A)
【文献】 実開平07−021020(JP,U)
【文献】 特開2003−290282(JP,A)
【文献】 特開2007−260392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性コアを含む縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の両側に配された内側立体ギャザー部及び該内側立体ギャザー部よりも幅方向外方にある外側立体ギャザー部とを有し、腹側部、股下部及び背側部に区分される吸収性物品であって、
前記吸収性コアの非肌当接面側から、前記外側立体ギャザー部、前記内側立体ギャザー部へと亘って撥水性フィルムが連続的に配されていて、
前記外側立体ギャザー部及び前記内側立体ギャザー部は、立体ギャザー部形成用シートを部分的に折り返してなる外側シート積層部及び内側シート積層部それぞれのシート層間に弾性部材及び前記撥水性フィルムを挟持してなり、
前記撥水性フィルムは、前記外側立体ギャザー部及び前記内側立体ギャザー部の前記吸収性本体との対向面側を覆う吸収性物品。
【請求項2】
記撥水性フィルムは、前記外側シート積層部及び前記内側シート積層部の少なくともいずれか一方において二つ折りされた状態で挟持されている請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記内側立体ギャザー部の起立点が前記吸収性コアの幅方向外方に設けられている請求項1又は2記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収性コアが、前記吸収性物品の長手方向に沿う一対の溝部を有し、該溝部に対応する肌当接面側の位置に、前記内側立体ギャザー部の起立点が配されている請求項1又は2記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記撥水性フィルムは、前記内側立体ギャザー部及び前記外側立体ギャザー部のギャザー先端には至らない配置とされている請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記撥水性フィルムが前記吸収性コアの非肌当接面側に配される裏面シートの延出部分からなり、前記内側立体ギャザー部及び前記外側立体ギャザー部の形成部材である立体ギャザー部形成用シートが前記裏面シートの非肌当接面側に配される外包不織布シートの延出部分からなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性物品がパンツ型吸収性物品であって、前記腹側部をなす腹側帯と前記背側部をなす背側帯とを有し、前記腹側帯及び前記背側帯が外装体をなし、前記腹側帯と前記背側帯との間に前記吸収性本体を架け渡して股下部が形成され、前記腹側帯及び前記背側帯それぞれの両側縁部が接合されて胴回り開口部及び一対の足回り開口部が形成さている請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収性物品がパンツ型吸収性物品であって、前記股下部が括れ、前記腹側部及び前記背側部が幅広とされた縦長形状の外装体の肌当接面側に前記吸収性本体を配置し、前記外装体における前記腹側部及び前記背側部のそれぞれの両側縁部が接合されて胴回り開口部及び一対の足回り開口部が形成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸収性物品の製造方法であって、
搬送される立体ギャザー部形成用連続シートの前記外側立体ギャザー部のギャザー先端予定位置を起点に、前記立体ギャザー部形成用連続シートを搬送方向に沿って谷折りし、前記外側立体ギャザー部のギャザー先端予定位置と該外側立体ギャザー部のギャザー先端予定位置よりも幅方向外方のシート側縁近傍にある前記内側立体ギャザー部のギャザー先端予定位置とにそれぞれ弾性部材を搬送方向に沿って配置する工程と、
前記立体ギャザー部形成用連続シートの前記弾性部材を配した面に対し、前記内側立体ギャザー部のギャザー先端予定位置より幅方向内方を撥水性連続シートで覆う工程と、
前記谷折り部分に前記弾性部材とともに前記撥水性連続シートを挟持し、線状接合部で接合して、外側シート積層部連続体を形成する工程と、
前記内側立体ギャザー部のギャザー先端予定位置を起点に、前記立体ギャザー部形成用連続シートを搬送方向に沿って折り返し、該折り返し部分に前記弾性部材とともに前記撥水性連続シートの端部を挟持し接合して、内側シート積層部連続体を形成する工程と、
前記線状接合部を起点に、前記内側シート積層部連続体を幅方向内方へと折り返す工程と
を備えた吸収性物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ等の吸収性物品については、足回りからの排泄物の横漏れを防止することを目的として、種々の防漏構造のものが提案されている。
例えば、特許文献1には、1枚のカバーシートを折り畳んで第1防漏壁及び第2防漏壁を形成し、前記第1防漏壁の内部にバックシート側縁部を挟持させた吸収性物品が開示されている。これにより、防漏性に優れ、別部材を必要とせずに簡易化した吸収性物品を提供できるとされる。
また、特許文献2には、トップシートの両側部において、内側シートからなる襞部ギャザーと、該内側シートとバックシートとの連結部に形成されたレッグギャザーとを備えた使い捨ておむつが開示されている。内側シート及びバックシートは不織布とフィルムとをラミネートしたものからなる。これにより、着用者の動作で液が拡散しても確実に吸収し、液漏れを防止し得るとされる。
さらに、特許文献3には、吸収性本体の両側に複数の弾性部材を配した立体ギャザーを有するパンツ型使い捨ておむつが開示されている。前記複数の弾性部材には伸縮力の最も大きい第1弾性部材が含まれている。このおむつにおいては、第1弾性部材を起点に立体ギャザーが装着者側に折れて太もも周りにフィットし、横漏れを防止できるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−43444号公報
【特許文献2】特開2004−481号公報
【特許文献3】特開2011−110317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の従来技術における横漏れ防止性能をさらに向上させ、かつ、肌に接する立体ギャザーの肌触りを柔らかくして肌への負荷を軽減する吸収性物品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、吸収性コアを含む縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の両側に配された内側立体ギャザー部及び該内側立体ギャザー部よりも幅方向外方にある外側立体ギャザー部とを有し、腹側部、股下部及び背側部に区分される吸収性物品であって、前記吸収性コアの非肌当接面側から、前記外側立体ギャザー部、前記内側立体ギャザー部へと亘って撥水性フィルムが連続的に配されている吸収性物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の吸収性物品は、横漏れ防止性能をさらに向上させ、かつ、肌に接する立体ギャザーの肌触りを柔らかくして肌への負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る吸収性物品に係る好ましい実施形態(第1実施形態)としてのパンツ型使い捨ておむつを概ね着用状態の形状として模式的に示す斜視図である。
図2】本実施形態のパンツ型使い捨ておむつを展開して伸長した状態を肌当接面側から示す一部切欠展開平面図である。
図3図2のIII-III線断面を示す拡大断面図である。
図4図3に示す断面図の左側部分のみを拡大して示す部分拡大断面図である。
図5】本実施形態のパンツ型使い捨ておむつの変形例を示す、図4相当の拡大断面図である。
図6】本実施形態のパンツ型使い捨ておむつの別の変形例を示す、図4相当の拡大断面図である。
図7】本発明の吸収性物品に係る別の好ましい実施形態(第2実施形態)としてのパンツ型使い捨ておむつを示す図2相当の一部切欠展開平面図である。
図8】本実施形態のパンツ型使い捨ておむつの製造方法において、内側立体ギャザー部及び外側立体ギャザー部を撥水性フィルムを挟持して形成する工程を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好ましい実施形態(第1実施形態)であるパンツ型使い捨ておむつについて、図1〜6を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のパンツ型使い捨ておむつ10は、胴回り部Dを構成する環状外装体2と股下部Cを構成する吸収性本体3とを有する。吸収性本体3の両側には、長手方向に沿って内側立体ギャザー部4及び外側立体ギャザー部5が配されている。環状外装体2は、およそ胴回り部Dのおよそ半周ずつをなす腹側帯21及び背側帯22からなる。腹側帯21及び背側帯22の両側縁(図2に示される、腹側帯21の左右両側部25,25及び背側帯22の左右両側部26,26)を重ね合わせ接合することで、一対のサイドシール部11,11が形成されている。これにより、おむつ10は、胴回り部Dの上端が開放されたウエスト開口部12と、股下部Cの左右両側が開放された一対の足回り開口部13,13とを有する。サイドシール部11は、ヒートシール、超音波シール等の任意の手段を用いて形成することができる。
【0009】
一方、おむつ10をサイドシール11,11で破断して展開した形状は、図2に示すように、長手方向(Y方向)に、着用者の腹側に配される腹側部Fと背側に配される背側部Rとその間に位置する股下部Cとに区分される。腹側部Fは腹側帯21からなり、背側部Rは背側帯22からなる。吸収性本体3は、股下部Cから腹側部F及び背側部Rを繋ぐように配され、腹側帯21及び背側帯22の肌当接面側に固定されている。こうして、腹側部F及び背側部Rの間に配される吸収性本体3の部分が股下部Cをなす。展開されたおむつ10は、全体として、長手方向(Y方向)と幅方向(X方向)とを有するI字形状とされている。吸収性本体3の固定方法としては、例えば接着剤、ヒートシール、超音波シール等による方法が用いられる。
【0010】
本発明においては、特に断らない限り、人体に接触する側を肌面側ないし肌当接面側あるいは表面側といい、これと反対側を非肌面側ないし非肌当接面側あるいは裏面側という。着用時に人体の前側に位置する方向を前方といいその端部を前端部とし、後側に位置する方向を後方といいその端部を後端部として説明する。吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み(厚さ)方向といいその量を厚み(厚さ)という。
【0011】
環状外装体2を構成する腹側帯21及び背側帯22は、着用者肌面側の1層以上の内層シート23と着用者非肌面側の外層シート24とからなる。内層シート23及び外層シート24は、ともに不織布からなり、実質的に撥水性で且つ水蒸気の透過性を有するものが好ましい。この内層シート23と外層シート24との間に、胴回り方向に沿って腰回り弾性部材27および胴回り弾性部材28がそれぞれ伸長状態で固定されている。これらの弾性部材は、おむつ10の着用時に適度に胴回り方向に伸縮して腰回りギャザー及び胴回りギャザーを形成し、着用者の胴回りにおむつ10をフィットさせる。
【0012】
吸収性本体3は、図2及び3に示すように、液透過性の表面シート31、液難透過性又は撥水性の裏面シート32及び両シート間に介在配置される液保持性の吸収性コア33を有する縦長の形状である。表面シート31は、吸収性コア33の肌当接面側に配され、排泄液等を吸収性コア33へと素早く透過させる。裏面シート32は、吸収性コア33の非肌当接面側に配され、吸収性コア33が吸収保持する液の染み出し等の漏れを防ぐ。さらに、裏面シート32の非肌当接面側に外包不織布シート34を有する。表面シート31としては、排泄された体液を速やかに透過させ吸収性コア33へと導く観点と、肌触りのよさの観点から親水性のエアスルー不織布を用いている。また、裏面シート32としては、撥水性フィルムを用いている。該撥水性フィルムは、液難透過性で且つ水蒸気透過性を有する多孔質フィルムであることが、おむつ10のムレ防止性の観点から好ましい。
【0013】
吸収性コア33は、親水性繊維(フラッフパルプ)及び高吸水性ポリマー等を含有した集合体であり、その外周はコアラップシート(図示せず)で被覆されている。本実施形態において、吸収性コア33は、上層吸収部33aと下層吸収部33bとの2層からなる。上層吸収部33aは、下層吸収部33bよりも幅狭として幅方向中央に配され、排泄液を取り込みやすい中高部を形成している。下層吸収部33bには、長手方向(Y方向)に沿う2条の溝部33c,33cが形成され、吸収性コア33の可撓部となっている。これにより、吸収性コア33全体が着用者の肌の起伏に沿いやすく、体の動きにも追従してフィットし易くされている。なお、吸収コア33は、全体として、平面視において吸収性本体3と相似の長方形であるが、これに限らず、例えば股下部で括れた形状など、この種の物品に用いられる形状を種々採用できる。また、吸収性コア33は、1層からなるものであってもよく、溝部がないものであってもよい。
【0014】
外包不織布シート34は、吸収性本体3の両側縁35,35から幅方向(X方向)外方へと延出して立体ギャザー部形成用シート6,6となり、内側立体ギャザー部4及び外側立体ギャザー部5を形成する。つまり、立体ギャザー部形成用シート6が内側立体ギャザー部4及び外側立体ギャザー部5の形成部材をなす。内側立体ギャザー部4は吸収性本体3の両側に配されており、外側立体ギャザー部5は内側立体ギャザー部4よりも幅方向(X方向)外方に配されている。内側立体ギャザー部4及び外側立体ギャザー部5はそれぞれ伸長状態で配された弾性部材41,51を有している。この弾性部材41,51の収縮力により、おむつ10の着用時に股下部Cにおいて、着用者の肌に向かって起立する。これにより、おむつ10に排泄された液の流出を防ぎ、液の横漏れを防止することができる。
【0015】
さらに裏面シート32をなす撥水性フィルムが、吸収性コア33の非肌当接面側から外側立体ギャザー部5、内側立体ギャザー部4へと亘って連続的に配されている。より具体的には、前記撥水性フィルムは、吸収性コア33の非肌当接面側から幅方向外方の外側立体ギャザー部5へと至り、外側立体ギャザー部5から幅方向内方の内側立体ギャザー部6へと折り返して連続的に配されている。つまり、前記撥水性フィルムは、前記2つの立体ギャザー部4,5における吸収性本体3との対向面側と吸収性コア33の非肌当接面側とを切れ目なく覆うこととなる。ここで「連続的に配される」とは、撥水性フィルムが継ぎ目や隙間なく幅方向に配されることをいい、典型的には1枚のシート部材を配することをいう。これにより液が漏れる隙間が生じ難く、前記2つの立体ギャザー部4,5の防漏性が高められる。
【0016】
また、このように配置された撥水性フィルムが、吸収性コア33の側部に対する防漏壁をなす。つまり、表面シート31を伝う液のみならず、吸収性コア33内から側縁ないし非肌当接面側へと漏出する液をも効果的に堰き止めることができる。前記撥水性フィルムは、その撥水性ゆえに、液をはじきやすく、フィルム表面での液の濡れ拡がりが生じ難い。そのため、内側立体ギャザー部4等の吸収性コア33との対向面では、前記撥水性フィルムに液が付着しても、該フィルム上ではじかれ、ギャザー部4をなすシート6の不織布が湿った状態とはなり難い。その結果、液の染み出しが効果的に防止される。そして、撥水性フィルムが液をはじくことで、その表面では濡れ拡がりによる液の膜が生じ難く、立体ギャザー部4,5の通気性を阻害しない。さらに、はじかれた液は、立体ギャザー部4,5の撥水性フィルムと吸収性コア33とで囲まれたポケットpへと戻り、吸収性コア33で再び吸収保持されやすい。
なお、本実施形態において、裏面シート32をなす撥水性フィルムを、吸収性コア33の非肌当接面側から前記2つの立体ギャザー部4,5までの一連の防漏性を高める部材として説明するとき、撥水性フィルム7と称する。また、撥水性フィルム7の配置において、吸収性コア33の非肌当接面側から延出する限り、吸収性コア33と撥水性フィルム7との間にコアラップシートや他の部材が介在していてもよい。
【0017】
次に、図4を参照して、内側立体ギャザー部4及び外側立体ギャザー部5の具体的構成とその作用について詳述する。なお、おむつ10は左右対称な構造であるため、図4に示される左側の内側立体ギャザー部4及び外側立体ギャザー部5の構成及び以下の説明は、右側においても同様に適用される。
外側立体ギャザー部5は、吸収性本体3の両側縁から幅方向(X方向)外方へと延出した立体ギャザー部形成用シート6が折り返され、弾性部材51が伸長した状態で挟持されてなる。より具体には、ギャザー先端53となる長手方向(Y方向)の折れ目線に沿って、立体ギャザー部形成用シート6が折り返されて二つ折りされる。二つ折りされたシート層間に、前記折れ目線に沿って弾性部材51が伸長した状態で配されている。この二つ折り部分の端部が長手方向に沿う線状接合部8(図2参照)で接合されて、袋状の外側シート積層部52となる。なお、この弾性部材51の伸長状態とは、図2に示すように、おむつ10を展開した状態でY方向に伸長させた状態であり、腹側部F、股下部C及び背側部Rが並ぶ方向に伸長させた状態である。この点は、後述の内側立体ギャザー部4においても同様である。
また、外側立体ギャザー部5の長手方向端部は、腹側部F及び背側部Rにおいて、腹側帯21及び背側帯22に接合されている。接合された前記長手方向端部の間で、伸長状態の弾性部材51が収縮可能とされている。そのため、おむつ10を展開状態からサイドシール部11を形成した完成品(図1参照)とすると、弾性部材51が収縮する。これにより、おむつ10の装着時に、固定された前記長手方向端部の間で、外側立体ギャザー部5の股下部Cに配された部分が自由端として起立し、ギャザー先端53及びその周辺が着用者の肌に当接し防漏壁をなす。
【0018】
このように形成された外側立体ギャザー部5の起立は、線状接合部8を起立点として吸収性本体3の幅方向外方へ向かう起立である(図4の矢印f参照)(以下、この線状接合部8を、外側立体ギャザー部5の起立点といて説明するとき、起立点58と称する。)。そのため、ギャザー先端53よりもやや内側(肌当接面側)部分が股下部の大腿部付近に当接しつつ臀部を覆い、内側立体ギャザー部4から排泄物等の染み出しが生じてもさら堰き止めて横漏れを効果的に防止する。
【0019】
前述のとおり、外側立体ギャザー部5には、吸収性コア33の非肌当接面側から延出した撥水性フィルム7が配されている。具体的には、吸収性コア33の非肌当接面側から延出した撥水性フィルム7が、線状接合部8を越え、外側シート積層部52のシート層間に挟持されている。これにより、外側立体ギャザー部5による防漏性が高められる。加えて、撥水性フィルム7は、厚みのある平坦な吸収性コア33の下に敷かれて延出しているため、吸収性コア33の剛性も手伝って、比較的幅方向に沿いやすい。そのため、撥水性フィルム7の延出方向に沿って、これを含む外側立体ギャザー部5は、吸収性本体5の幅方向外方へと広がりながら起立し易い(図4の矢印f参照)。その結果、外側立体ギャザー部5は、内側に逸れ難くしっかりと臀部を覆うことができる。特に、本実施形態のように縦長の吸収性本体3で股下部Cの側縁が直線状となる構成において、臀部のはみ出しを効果的に抑制することができる。
【0020】
また、外側立体ギャザー部5において、撥水性フィルム7は、折り返し線55で二つ折りされていることが好ましい。二つ折りされた撥水性フィルム7は、外側シート積層部52内部で、線状接合部8を閉じ口とする袋状となる。これにより、吸収性コア32の側縁から液の移行があっても撥水性フィルム7の袋状部分で堰き止められる。これにより、外層シート積層部52の不織布やその外側へ液が漏出することを効果的に防ぐことができる。この撥水性フィルム7の二つ折りは、図示しないが、後述の内側立体ギャザー部4においても同様に形成されていることが好ましく、内側立体ギャザー部4及び外側立体ギャザー部5の少なくともいずれか一方において、撥水性フィルム7が二つ折りされた状態で挟持されていることが好ましい。
【0021】
一方、内側立体ギャザー部4は、ギャザー先端53で折り返された立体ギャザー部形成用シート6の部分が線状接合部8を越え、幅方向(X方向)内方へと延出して形成されている。より具体的には、線状接合部8を越えた立体ギャザー部形成用シート6の端部が、ギャザー先端43となる長手方向(Y方向)の折れ目線に沿って二つ折りされる。二つ折りされたシート層間に、前記折れ目線に沿って弾性部材41が伸長した状態で配されている。この二つ折り部分の端部が接合部9で接合されて、ギャザー先端53を有する袋状の内側シート積層部42となる。
また、内側立体ギャザー部4の長手方向端部は、腹側部F及び背側部Rにおいて、吸収性本体3に接合されている。接合された前記長手方向端部の間で、伸長状態の弾性部材41が収縮可能とされている。そのため、おむつ10を展開状態からサイドシール部11を形成した完成品(図1参照)とすると、弾性部材41が収縮する。これにより、おむつ10の装着時に、固定された前記長手方向端部の間で、内側立体ギャザー部4の股下部Cに配された部分が自由端として起立し、ギャザー先端43及びその周辺が着用者の鼠径部に当接し防漏壁をなす。
【0022】
このように形成された内側立体ギャザー部4の起立は、吸収性コア33の幅方向外方に設けられた線状接合部8を起立点として吸収性本体3側へやや傾斜し表面シート31の上方へ向かう起立である(図4の矢印f参照)(以下、この線状接合部8を、内側立体ギャザー部4の起立点といて説明するとき、起立点48と称する。)。これにより、吸収性本体3の側縁35からの排泄物の移行が遮断され横漏れが効果的に防止される。
【0023】
前述のとおり、内側立体ギャザー部4には撥水性フィルム7が配されている。具体的には、折り返し線55で折り返された撥水性フィルム7の部分が線状接合部8を越え、内側シート積層部42のシート層間に挟持されている。これにより、内側立体ギャザー部4の根元である起立点48から内側シート積層部42までを隙間なく撥水性フィルム7が覆って防漏性が高められる。加えて、前述の撥水性フィルム7の配置は、内側立体ギャザー部4の幅方向内方への起立性に好適である。それは、折り返し線55から端部45へと幅方向外方から内方へ向かう配置が、例えば吸収性コア33の下から直ぐに立ち上がって反転され内方へ向かう配置に比べ、内側立体ギャザー部4の起立方向に比較的沿うものだからである。また前記配置は、吸収性コア33から直接的に内側立体ギャザー部4に入り込む構造に比べて、吸収性コア33の厚みの影響を受け難く、内側立体ギャザー部4の起立性が阻害されにくい。さらに、前述の撥水性フィルム7の配置は、立体ギャザー部形成用シート6とともに、内側立体ギャザー部4及び外側立体ギャザー部5を繋ぎ、双方の弾性部材41及び51が相互作用して両ギャザー部4,5の起立性(図4の矢印f及びf参照)が高められ易い。以上のとおり、前述の撥水性フィルム7の配置が、内側立体ギャザー部4の幅方向内方へ向かう起立性に好適なものとなる(図4の矢印f参照)。これにより、着用時にギャザー先端43がめくれ難くしっかりと着用者の鼠径部に当接し、防漏性が高められる。
【0024】
本実施形態のおむつ10において、撥水性フィルム7は、内側立体ギャザー部4及び外側立体ギャザー部5のギャザー先端43及び53へは至らない配置とされることが好ましい。本実施形態において、撥水性フィルム7がギャザー先端43及び53へは至らないとは、内側シート積層部42及び外側シート積層部52内部におけるギャザー先端43及び53の位置に撥水性フィルム7が至らないことをいう。そして、撥水性フィルム7がギャザー先端43及び53位置にある弾性部材41及び51を巻き込まず、その手前の配置とされることが好ましい。これにより、防漏性を高める撥水性フィルム7による部材の増加は、肌に当接するギャザー先端43及び53周辺には及ばず、シート6をなす不織布の柔らかさが保持される。また、ギャザー先端43及び53周辺において、弾性部材41及び51の収縮力が伝わり易いので、撥水性フィルム7による厚みや剛性の上昇にも係らず前記収縮力を強めずとも十分起立し易い。その結果、撥水性フィルム7により防漏性を高めつつ、弾性部材41及び51の収縮力を高めずに両ギャザー部4,5がしっかりと肌に密着し得る。この弾性部材41及び51の収縮力の抑制により、不織布の柔らかを生かしたギャザーとなり肌触りが柔らかなものとなる。さらに、抑制された収縮力が柔らかな不織布に直接伝わることで、不織布の過度なヨレとならず、比較的きめの細かな襞が形成され易い。この細かな襞によって、おむつ10着用中の着用者の動きに対してもギャザー部4及び5が追従して隙間を生じ難くし、高い防漏性が得られる。
【0025】
また、内側シート積層部42及び外側シート積層部52において、立体ギャザー部形成用シート6と撥水性フィルム7とが全面で接合されないことが好ましい。これにより、両シートをラミネートした部材を用いる場合に比べて、シート6をなす不織布が撥水性フィルム7に拘束されずに変形し易い。そのため、不織布の柔らかさが保持されて、肌へのあたりを柔らかくすることができる。ここで「全面で接合されない」状態とは、立体ギャザー部形成用シート6が撥水性フィルム7と完全には一体とならず独自に変形し得る部分を有する状態をいい、例えば、(i)スパイラルやストライプなどの接着方式で接合すること、(ii)立体ギャザー部形成用シート6と撥水性フィルム7とを重ねた先端(端部)或いは、どちらかのシートの折り返し部分(撥水性フィルム7の端部45、折り返し線55、ギャザー先端43,53など)の周辺に接着剤を塗布しないドライエッジ領域を設けて、ホットメルトなどが接合部位から食み出ないようにすること、などにより形成され得る。
【0026】
一方、2つの立体ギャザー部4及び5の起立点となる線状接合部8及びその周辺には、撥水性フィルム7が1層又は複数層で配設されている。この配置によって、両ギャザー部4及び5の根元の部材厚みがます。これにより、両ギャザー部4及び5の起立性を下支えする剛性が得られる。
【0027】
上記の防漏性及び起立性を高め、同時にギャザー部の肌触りを柔らかくして肌へのダメージを軽減する観点から、内側立体ギャザー部4のギャザー先端43から撥水性フィルム7の端部45までの距離(h)、外側立体ギャザー部5のギャザー先端53から撥水性フィルム7の折り返し線55までの距離(h)は、いずれも5mm以上であることが好ましく、10mm以上であることがより好ましい。また前記距離は、25mm以下であることが好ましく、20mm以下であることがより好ましい。同様の観点から、撥水性フィルム7のシート厚みは、0.01mm以上であることが好ましく、0.015mm以上であることがより好ましい。また前記シート厚みは、0.03mm以下であることが好ましく、0.025mm以下であることがより好ましい。また、前記距離が10mm以上20mm以下で、かつ、前記シート厚みが0.015mm以上0.025以下であることが特に好ましい。
【0028】
弾性部材41及び51の伸縮力は、その太さ(dtex)と伸長率(%)とによって定められる。特に、伸長率(%)は、自然状態での長さをa、伸長させたときの長さをbとした場合に、((b−a)/a)×100の式から算出される値である。防漏性及び起立性を高め、同時にギャザー部の肌触りを柔らかくして肌へのダメージを軽減する観点から、太さ(dtex)は、310dtex以上が好ましく、470dtex以上がより好ましい。また太さ(dtex)は、1240dtex以下が好ましく、940dtex以下がより好ましい。伸長率(%)は、100%以上が好ましく、150%以上がより好ましい。伸長率(%)は、300%以下が好ましく、250%以下がより好ましい。
【0029】
次に、図5を参照して、本実施形態における撥水性フィルム7の配置の変形例について説明する。図5の(i)〜(iii)は外側立体ギャザー部5に関する変形例であり、(iv)〜(vi)は内側立体ギャザー部4に関する変形例である。図5の(i)〜(iii)と(iv)〜(vi)とは任意に組み合わせ可能である。これらの変形例においても、防漏性と起立性を高め、同時に肌への負担を軽減する観点から、立体ギャザー部形成用シート6と撥水性フィルム7とが全面で接合されないことが好ましい。
【0030】
図5(i)においては、外側立体ギャザー部5における撥水性フィルム7の折り返し線55がギャザー先端53付近まで至る形態である。これによりギャザー先端まで防漏性を高めることができる。一方、撥水性フィルム7は弾性部材51よりも下側、つまり外側シート積層部52のシート部52b側に配置されている。これにより、臀部に接するシート部52a側において、撥水性フィルム7とシート6との積層体の厚みを肌に感じさせず、シート6の不織布の柔らかさが肌に直接伝わり易い。また、弾性部材51の収縮力を高めることなく細かなギャザーを形成してしっかりと起立させることができる。これにより、上記の防漏性及び起立性並びに肌への負担の軽減を同時に達成することができる。
【0031】
図5(ii)においては、外側立体ギャザー部5のギャザー先端53まで撥水性フィルム7が配されているが、(i)とは逆に弾性部材51よりも上側、つまり外側シート積層部52のシート部52aに撥水性フィルム7が配置される形態である。この場合、撥水性フィルム7は、シート部52aを介した肌への液の伝搬をより効果的に抑制し得る。また、外側シート積層部52のシート部52aと2層の撥水性フィルム6との厚みのある積層体が弾性部材51による下からの押し上げにより、面状に臀部に当接し易く、弾性部材の収縮力を面状の当接面に分散して肌に伝えることができるため、フィット性が高められる。この場合、構成材料枚数の増加による弾性体収縮の阻害が最も生じやすいが、起立性を確保するために弾性部材51の収縮力を高めることで容易に対応できる。なお、収縮力を高めることは、弾性材料のdtex値を上げること(太くすること)や本数を増やすこと、また、伸張率を上げることで実現できる。一方で、収縮力を多少高めても、前述したように収縮力が分散するため、肌への影響は少なく好ましい。
【0032】
図5(iii)においては、外側立体ギャザー部5の弾性部材51よりもギャザー先端53側に撥水性フィルム7の折り返し線55が配置されている形態、つまり撥水性フィルム7が弾性部材51を巻き込んで挟持する形態である。これにより、外側立体ギャザー部5の内面を全て撥水性フィルム7が覆い、防漏性が最も高められている。
また、(ii)の形態と同様、外側シート積層部52のシート部52aと撥水性フィルム6との厚みのある積層体が弾性部材51による下からの押し上げにより、面状に臀部に当接し易く、弾性部材の収縮力を面状の当接面に分散して肌に伝えることができるため、フィット性が高められる。この場合、構成材料枚数の増加による弾性体収縮の阻害が生じやすいが、起立性を確保するために弾性部材51の収縮力を高めることで容易に対応できる。なお、収縮力を高めることは、弾性材料のdtex値を上げること(太くすること)や本数を増やすこと、また、伸張率を上げることで実現できる。一方で、収縮力を多少高めても、前述したように収縮力が分散するため、肌への影響は少なく好ましい。
【0033】
なお、本実施形態において、撥水性フィルム7と立体ギャザー部形成用シート6とは別の部材としてそれぞれ独立に外側立体ギャザー部5を構成する。そのため、図5(i)〜(iii)に示される外側立体ギャザー部5においては、不織布とフィルムとのラミネート部材とは異なり、シート6の不織布は、撥水性フィルム7に拘束されずに独立に襞を作り易く、その柔らかさが保持され、肌への負担は軽減される。
【0034】
図5(iv)においては、内側立体ギャザー部4における撥水性フィルム7の先端45がギャザー先端45付近まで至る形態である。この形態において、内側立体ギャザー部4の弾性部材41よりも外側、つまり内側シート積層部42のシート部42a側に、撥水性フィルム7が配置されている。撥水性フィルム7は、着用者の鼠径部に当接し易いシート部42a側にあるので、肌への液の伝搬がより効果的に抑制され得る。この場合、構成材料枚数の増加による弾性体収縮の阻害が生じやすいが、起立性を確保するために弾性部材51の収縮力を高めることで容易に対応できる。なお、収縮力を高めることは、弾性材料のdtex値を上げること(太くすること)や本数を増やすこと、また、伸張率を上げることで実現できる。一方で、収縮力を多少高めても、前述したように収縮力が分散するため、肌への影響は少なく好ましい。
【0035】
図5(v)においては、(iv)とは逆に、内側立体ギャザー部4の弾性部材41よりも内側、つまり内側シート積層部42のシート部42b側に、撥水性フィルム7が配置される形態である。これによりギャザー先端まで防漏性を高めることができる。一方、撥水性フィルム7は弾性部材41よりも下側にあり、鼠径部に接する部分において撥水性フィルム7の剛性が影響しない。そのため、肌と接するシート部42aにおいて、撥水性フィルム7とシート6との積層体の厚みを肌に感じさせず、シート6の不織布の柔らかさが直接伝わり易い。また、弾性部材41の収縮力を高めることなく、柔らかな不織布のみで細かなギャザーを形成してしっかりと起立させることができる。これにより、上記の防漏性及び起立性並びに肌への負担の軽減を同時に達成することができる。
【0036】
図5(vi)においては、内側立体ギャザー部4の弾性部材41よりもギャザー先端43側に撥水性フィルム7が至り、弾性部材41を巻き込んで挟持する形態である。この場合、内側立体ギャザー部4の内面を全て撥水性フィルム7が覆い、防漏性が最も高められている。この場合、構成材料枚数の増加による弾性体収縮の阻害が生じやすいが、起立性を確保するために弾性部材51の収縮力を高めることで容易に対応できる。なお、収縮力を高めることは、弾性材料のdtex値を上げること(太くすること)や本数を増やすこと、また、伸張率を上げることで実現できる。一方で、収縮力を多少高めても、前述したように収縮力が分散するため、肌への影響は少なく好ましい。
【0037】
なお、本実施形態において、撥水性フィルム7と立体ギャザー部形成用シート6とは別の部材としてそれぞれ独立に内側立体ギャザー部4を構成する。そのため、図5(iv)〜(vi)に示される内側立体ギャザー部4においては、シート6の不織布は、不織布とフィルムとのラミネート部材とは異なり、撥水性フィルム7に拘束されずに独立に襞を作り易く、その柔らかさが保持され、肌への負担は軽減される。
【0038】
本発明の吸収性物品は、撥水性フィルム7が、吸収性コアの非肌当接面側から外側立体ギャザー部5、内側立体ギャザー部4へと連続して配される配置である限り、前述の形態に限定されるものではない。例えば、立体ギャザー部形成用シート6及び撥水性フィルム7の一方又は両方を、外包不織布シート34及び裏面シート32とは別の部材としてもよい。この場合、吸収性本体3の左右それぞれの側縁において、立体ギャザー部形成用シート6及び撥水性フィルム7を配置し、これらの一端を吸収性コア33の非肌当接面側に固定して形成される。撥水性フィルム7の吸収性コア33への入り込み位置は、液漏れ防止の観点から任意に設定できる。また、吸収性本体3の左右それぞれの側部において、立体ギャザー部形成用シート6を連続したシート材として両ギャザー部4,5を形成してもよく、立体ギャザー部形成用シート6を2種類のシート材として両ギャザー部4及び5を形成して連結するようにしてもよい。さらに、本実施形態においては、立体ギャザー部形成用シート6を1層として2つのギャザー部4及び5を形成したが、これに限らず、例えばシート6を折り返して2重にした状態からギャザー部をしてもよい。この場合、シート積層部42及び52は4層の積層部となる。また、弾性部材41及び51の本数も任意に設定可能であり、内側立体ギャザー部4の接合部9の位置も任意に設定可能である。
【0039】
その他、線状接合部8に他の部材、例えば表面シート31などが一緒に接合される形態であってもよい。また、内側立体ギャザー部4の起立点48と外側立体ギャザー部の起立点58とは、同一でなくとも、別々に配設されていてもよい。例えば、線状接合部8の形成幅を広げて、両側縁を起立点48及び起立点58とすることもできる。また、図6に示すように、別々の接合部を設けて、完全に分離した起立点とすることもできる。図6に示す変形例について、以下に説明する。
【0040】
図6においては、内側立体ギャザー部4の起立点48は、吸収性本体3の肌当接面側に配設されている。具体的には、吸収性コア33の下層吸収部33bが有する一対の溝部33c,33cに対応する表面シート31の肌当接面側に、起立点48が形成されている。この位置において、立体ギャザー部形成用シート6及び撥水性フィルム7が表面シート31と長手方向(Y方向)に沿って線状に接合され、そこから起立するようにして内側立体ギャザー部4が形成されている。吸収性コア33における溝部33cは、パルプ繊維を除去ないし極端に少なくした部分である。そのため、吸収性コア33の他の部分よりも厚みが薄くて可撓性に優れる。この溝部33cの位置に起立点48があると、内側立体ギャザー部4の弾性部材41の伸縮力は溝部33cに伝わり易い。これにより、内側立体ギャザー部4の弾性部材41の収縮力を過度に高めなくても、十分に吸収性コア33を持ち上げることができる。その結果、内側立体ギャザー部4は肌への負担を軽減しつつ起立性が高められ、しかも吸収性コア33が弛まずに排泄物をしっかりと捉えて吸収保持することができる。加えて、内側立体ギャザー部4,4の幅方向外方に、吸収性コアの一部が配置されているため、幅方向外方に漏れ出る液を直接的に吸収保持して、液の横漏れを効果的に防止することができる。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態のパンツ型使い捨ておむつ90について、図7を参照して説明する。
パンツ型使い捨ておむつ90は、第1実施形態のものとは外装体が異なる。おむつ90の外装体92は、図7に示されるように、腹側部F及び背側部Rが股下部Cで繋がれた連続体である。股下部Cは、腹側部F及び背側部Rよりも幅狭とされている。つまり、外装体92は、全体として、側部が股下部で括れ、腹側部F及び背側部Rが幅広とされた縦長形状である。この外装体92も、2層の不織布シート92a,92b間に幅方向に配された腰回り弾性部材27及び胴回り弾性部材28を有している。この外装体92の肌当接面側に、吸収性本体3が股下部Cを中心に腹側部F及び背側部Rへ亘って配置されている。おむつ90においても、外装体92の腹側部Fの両側縁と背側部Rの両側縁とがそれぞれ接合されてウエスト開口部12と一対の足回り開口部13,13が形成されてパンツ型使い捨ておむつ90が形成される。
【0042】
第2実施形態で用いられる吸収性本体3は、第1実施形態のものと同一である。つまり、吸収性コア33の非肌当接面側から立体ギャザー部形成用シート6と撥水性フィルム7とが延出して、弾性部材51及び41を挟持した外側立体ギャザー部5及び内側立体ギャザー部4が形成されている。これにより、両ギャザー部4,5の防漏性と起立性が高められ、且つ、肌へのあたりが柔らかく負荷が軽減される。なお、第1実施形態で述べた種々の形態を任意に適用可能であり、第2実施形態の外装体92が股下部Cまで配されていることを考慮すれば、吸収性本体3が外包不織布シート34を有さずに、立体ギャザー部形成用シート6が独立の部材からなることが好ましい。
【0043】
次に、本発明に係る吸収性物品の製造方法の好ましい形態について、図8を参照して説明する。図8においては、内側立体ギャザー部4及び外側立体ギャザー部5を形成する工程が示されている。図8は、機械方向ないし搬送方向(MD;Machine Direction)に直行する方向(CD;Cross Direction)に沿った断面として示している。また、この製造方法においては、第1実施形態で述べた、立体ギャザー部形成用シート6が外包不織布シート34からなり、撥水性フィルム7が裏面シート32からなる構成を前提としているので、吸収性本体と2つの立体ギャザー部4及び5が一体に形成される工程が示されている。一方、第1実施形態とは異なる、立体ギャザー部形成用シート6及び撥水性フィルム7を吸収性本体3とは別部材とする場合は、左右それぞれの立体ギャザー部4及び5を別々の部材から形成することとなる。いずれの場合も、下記で述べる工程を経て内側立体ギャザー部4及び外側立体ギャザー部5が形成される。
【0044】
図8(a)に示されるように、不織布連続シート(立体ギャザー部形成用連続シート)600をMDに沿って搬送する。搬送される不織布連続シート600は、後述する撥水性連続シート700を積層する前に、外側立体ギャザー部5のギャザー先端予定位置530を起点にV字条に谷折りし、谷折した部分で不織布連続シート600同士が触れないように開いた状態とする。不織布連続シート600の谷折されたギャザー先端予定位置530に弾性部材51を搬送方向(MD)に沿って伸長状態で配置する。これと同時に又はこれと前後して、外側立体ギャザー部5のギャザー先端予定位置530よりも幅方向外方のシート側縁近傍にある前記内側立体ギャザー部のギャザー先端予定位置430に弾性部材41を搬送方向(MD)に沿って伸長状態で配置する。前述したギャザー先端予定位置430及びギャザー先端予定位置530は、内側立体ギャザー部4の起立高さと線状接合部8(起立点48乃至58)の位置とを考慮して適宜設定される。
【0045】
次いで、不織布連続シート600における弾性部材の配置面に対して、ギャザー先端予定位置430,430の間で弾性部材41に至らないようにして撥水性連続シート700を配置する。つまり、内側立体ギャザー部4のギャザー先端予定位置430より幅方向内方を、不織布連続シート600の谷折されたギャザー先端予定位置530が閉じない状態にしたまま、前記撥水性連続シート700で覆う。
【0046】
次いで、吸収性コア33及び表面シート連続体310を載置する。この場合、撥水性連続シート700の幅方向(CD)の中心線CLに吸収性コア33の幅方向中心及び表面シート連続体310の幅方向中心が一致するようにする。また、表面シート連続体310は、吸収性コア33の上面側を追ってさらに側縁、吸収性コア33の下面側へと巻き下げられて、吸収性コア33と撥水連続シート700との間で接合固定される。これにより、吸収性本体の連続体300が形成される。なお、前述の吸収性コア33及び表面シート連続体310を載置する工程は、弾性部材41及び51の載置する工程の前でも同時でもよく、後述の谷折り工程や接合固定の後でもよく、任意の段階で行うことができる。
【0047】
次に、図8(b)に示されるように、前記工程で予め谷折されて開いた状態の不織布連続シート600を、ギャザー先端予定位置530を起点に、搬送方向(MD)に沿って谷折りを閉じるように折り畳み、弾性部材51とともに撥水性連続シート700を部分的に挟持し接合して、図8(c)に示されるように、外側シート積層部連続体520を形成する。このときの前記接合部が、線状接合部800であり、後の線状接合部8(起立点48乃至58)である。
【0048】
次に、図8(d)に示されるように、内側立体ギャザー部のギャザー先端予定位置430を起点に、不織布連続シート600を搬送方向(MD)に沿って部分的に折り返し、該折り返し部分に弾性部材41とともに撥水性連続シート700の端部を挟持し接合して、内側シート積層部連続体420を形成する。このときの前記接合部が接合部900であり、後の内側立体ギャザー部4の接合部9である。
【0049】
次に、図8(e)に示されるように、線状接合部800を軸に内側シート積層部連続体420を幅方向(CD)の内方へと折り返す。これにより、外側シート積層部連続体520が幅方向(CD)の外方へと回転する。この状態から、図示しないが、搬送方向(MD)の吸収性コア33の端部及びその外方において、内側シート積層部連続体420を吸収性本体連続体300の上面に接合固定し、各吸収性本体3の単位長さに切断して、立体ギャザー部4及び5を備えた多数の吸収性本体3,3・・を得る。
【0050】
こうして得られた吸収性本体3は、図示しないが、その長手方向を90°回転して搬送方向と直行する方向(CD)に向けられる。次いで、別工程で製造された外装体の連続体の一面側に吸収性本体3を載置する。次いで、前記外装体をCD方向に2つ折りして側縁を接合して所定の箇所で切断等を行い、多数のパンツ型使い捨ておむつを得る。その際、第1実施形態のおむつ10の場合は、別工程で製造された腹側帯連続体210及び背側帯連続体220がCD方向に離間して搬送され、その間を立体ギャザー部4及び5を備えた吸収性本体3を架け渡すように固定する。次いで、腹側帯連続体210と背側帯連続体220とが重なるようにCDに二つ折りして、サイドシール部予定位置を接合し、単位長さに切断して、多数の使い捨ておむつ10を得る。一方、第2実施形態のおむつ90の場合は、別工程で製造された外装体連続体920に対し、足回り開口部13となる位置を切り取ってCDに長い楕円形状の開口を形成し、該開口に挟まれた位置が幅狭の股下部予定部となる。これと同時に、立体ギャザー部4及び5を備えた吸収性本体3の長手方向をCDに向け、外装体連続体920の股下部予定部に固定する。次いで、CD方向に二つ折りしてサイドシール部予定位置を接合し、単位長さに切断して、多数の使い捨ておむつ90を得る。
【0051】
以上の製造方法においては、撥水性連続シート700の配置とギャザー先端予定位置430及び530における谷折りの深さ等を調節することにより、内側シート積層部42及び外側シート積層部53のシート層間への撥水性フィルム7の入り込みを精度よく設定できる。これにより、防漏性及び起立性を高め、同時にギャザー部の柔らかさが保持されて肌への負担が軽減できる。
【0052】
次に、おむつ10及びおむつ90を構成する部材の好ましい形成素材について説明する。表面シート31、裏面シート32ないし撥水性フィルム7、吸収性コア33、外包不織布シート34ないし立体ギャザー部形成用シート6、及び環状外装体2ないし外装体92の形成材料としては、この種の物品に採用されるものを特に制限なく用いることができる。
【0053】
例えば、表面シート31は、排泄された体液を速やかに吸収し、吸収体に伝達する観点と肌触りのよさの観点とから親水性のサーマルボンド不織布が好ましく、特にエアスルー不織布が好ましい。表面シート31は親水化処理された熱可塑性樹脂繊維であり、かつ、該繊維が2次クリンプ又は3次クリンプのような立体捲縮がなされた繊維であることが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、及びこれらの複合繊維を作成し、所定の長さにカットしてステープルを形成する前の段階で、各種親水化剤を塗工する。親水化剤としては、αオレフィンスルホン酸塩に代表される各種アルキルスルホン酸塩、アクリル酸塩、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、エステルアミド、エステルアミドの塩、ポリエチレングリコール及びその誘導物、水溶性ポリエステル樹脂、各種シリコーン誘導物、各種糖類誘導物、及びこれらの混合物など、当業者公知の親水化剤による親水化処理を用いることができる。
【0054】
裏面シート32ないし撥水性フィルム7としては、液の透過を防ぎ透湿性を有していれば特に限定されないが、例えば疎水性の熱可塑性樹脂と、炭酸カルシウム等からなる微小な無機フィラー又は相溶性のない有機高分子等とを溶融混練してフィルムを形成し、該フィルムを一軸又は二軸延伸して得られる多孔性フィルムが挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが挙げられる。該ポリオレフィンとしては、高〜低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられ、これらを単独で又は混合して用いることができる。また、他のおむつの中に挿入して用いる尿とりパッドなどにおいては、裏面シート33は液透過性を有していてもよい。
【0055】
吸収性コア33は、親水性繊維と高吸水性ポリマー粒子との混合物、または、親水性繊維と高吸水性ポリマー粒子と熱可塑性合成樹脂繊維との混合物、または、複数の繊維シートの間に高吸水性ポリマー粒子が挟まれた吸水性シートであり、所要の厚みに圧縮されている。親水性繊維としては、親水性表面を有する繊維を用いることができ、例えばセルロース繊維や、合成繊維を必要に応じ界面活性剤等により親水化処理したものが挙げられる。吸収性コア33は、その型崩れやポリマー粒子の脱落を防ぐため、その全体がティッシュペーパーや親水性繊維不織布等の透液性シートに被覆されていてもよい。ポリマー粒子としては、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系のものを使用することができる。
【0056】
外包不織布シート34ないし立体ギャザー部形成用シート6としては撥水性の不織布が好ましく、カード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、ニードルパンチ不織布等の中から撥水性の物、または撥水処理した種々の不織布を用いることができる。特に好ましくは、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン(SM)不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布等が用いられる。
【0057】
第1実施形態のおむつ10で用いられた環状外装体2(腹側帯21及び背側帯22)における内層シート23及び外層シート24の材料は、実質的に撥水性で且つ水蒸気の透過性を有するものであれば、この種の物品に一般的に用いられるものを好適に使用することができる。この点は、第2実施形態のおむつ90で用いられた外装体92においても同様である。
外層シート24としては、例えばエアスルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等の各種製法による不織布、織布、編布、樹脂フィルム等が挙げられ、これらを積層一体化させてなるシート材等を用いることができる。内層シート23も外層シート24と同様のシート材等を用いることができる。また、内層シート23及び外層シート24は、いずれか一方もしくは両方が伸縮性を有するシート材で構成されていてもよい。伸縮性を有するシートとしては、2枚のシート材の間に伸縮性を有するフィルムを挟み込んだシートやポリウレタン等の伸縮性を有するエラストマー繊維から構成された不織布等が挙げられる。
【0058】
腰回り弾性部材27及び胴回り弾性部材28、立体ギャザー部4及び5に配された弾性部材41及び51は、吸収性物品に用いられる通常の弾性材料を用いることができ、それぞれ同じ素材でもよいし、異なる素材、太さでもよい。
【0059】
本発明の吸収性物品は、上記の実施形態のパンツ型使い捨ておむつのほか、テープ型の使い捨ておむつや尿とりパッド、生理用ナプキン、失禁パッド、失禁ライナ等に適応することができる。
【0060】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の吸収性物品及びその製造方法を開示する。
【0061】
<1>吸収性コアを含む縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の両側に配された内側立体ギャザー部及び該内側立体ギャザー部よりも幅方向外方にある外側立体ギャザー部とを有し、腹側部、股下部及び背側部に区分される吸収性物品であって、
前記吸収性コアの非肌当接面側から、前記外側立体ギャザー部、前記内側立体ギャザー部へと亘って撥水性フィルムが連続的に配されている吸収性物品。
【0062】
<2>前記吸収性本体は、液透過性の表面シート、液難透過性又は撥水性の裏面シート及び両シート間に介在配置される液保持性の前記吸収性コアを有する<1>記載の吸収性物品。
<3>前記裏面シートは、撥水性フィルムを用いてなる<2>記載の吸収性物品。
<4>前記裏面シートをなす撥水性フィルムが、前記吸収性コアの非肌当接面側から前記外側立体ギャザー部、前記内側立体ギャザー部へと亘って連続的に配されている<3>記載の吸収性物品。
<5>前記外側立体ギャザー部及び前記内側立体ギャザー部は、立体ギャザー部形成用シートを部分的に折り返してなる外側シート積層部及び内側シート積層部それぞれのシート層間に弾性部材及び前記撥水性フィルムを挟持してなり、
前記撥水性フィルムは、前記外側立体ギャザー部及び前記内側立体ギャザー部の前記吸収性本体との対向面側を覆い、かつ、前記外側シート積層部及び前記内側シート積層部の少なくともいずれか一方において二つ折りされた状態で挟持されている<1>〜<4>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<6>前記内側立体ギャザー部及び前記外側立体ギャザー部はそれぞれ伸長状態で配された弾性部材を有している<1>〜<5>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<7>前記弾性部材の伸長状態が、前記吸収性物品を展開した状態で腹側部、股下部及び背側部が並ぶ方向に伸長させた状態である<6>記載の吸収性物品。
<8>前記吸収性コアの非肌当接面側に裏面シートが配されており、該裏面シートが撥水性フィルムからなり、該撥水性フィルムが前記吸収性コアの非肌当接面側から幅方向外方の前記外側立体ギャザー部へと至り、該外側立体ギャザー部から幅方向内方の前記内側立体ギャザー部へと折り返して連続的に配されている<1>〜<7>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<9>前記外側立体ギャザー部は、この形成部材である立体ギャザー部形成用シートが二つ折りされ、該二つ折り部分の端部が長手方向に沿う線状接合部で接合されて、袋状の外側シート積層部を備えてなる<1>〜<8>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<10>前記外側立体ギャザー部において、前記撥水性フィルムは、折り返し線で二つ折りされている<1>〜<9>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<11>二つ折りされた前記撥水性フィルムは、前記外側シート積層部内部で、前記線状接合部を閉じ口とする袋状となる<10>記載の吸収性物品。
<12>前記外側立体ギャザー部において、この形成部材である立体ギャザー部形成用シートが二つ折りされ、該二つ折り部分の端部が長手方向に沿う線状接合部で接合されており、
前記外側立体ギャザー部の起立は、前記線状接合部を起立点として前記吸収性本体の幅方向外方へ向かう起立である<1>〜<11>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<13>前記外側立体ギャザー部において、この形成部材である立体ギャザー部形成用シートが二つ折りされ、該二つ折り部分の端部が長手方向に沿う線状接合部で接合されており、
前記内側立体ギャザー部は、前記線状接合部を越えた前記立体ギャザー部形成用シートの端部が、前記内側立体ギャザー部のギャザー先端となる折れ目線に沿って二つ折りされ、前記二つ折り部分の端部が接合されて、前記ギャザー先端を有する袋状の内側シート積層部を備えてなる<1>〜<12>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<14>前記内側立体ギャザー部は、この形成部材である立体ギャザー部形成用シートを部分的に折り返してなる内側シート積層部を備え、前記内側立体ギャザー部の根元である起立点から前記内側シート積層部までを隙間なく撥水性フィルムが覆っている<1>〜<13>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<15>前記外側立体ギャザー部において、この形成部材である立体ギャザー部形成用シートが二つ折りされ、該二つ折り部分の端部が長手方向に沿う線状接合部で接合されており、
前記内側立体ギャザー部の起立は、前記線状接合部を起立点として前記表面シートの上方へ向かう起立である<1>〜<14>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<16>前記内側立体ギャザー部の起立点が前記吸収性コアの幅方向外方に設けられている<1>〜<15>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<17>前記内側立体ギャザー部の形成部材である立体ギャザー部形成用シート及び前記撥水性フィルムが前記吸収性コアの肌当接面側に配された表面シートと前記吸収性物品の長手方向に沿って線状に接合され、そこから起立するようにして前記内側立体ギャザー部が形成されている<1>〜<16>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<18>前記吸収性コアが、前記吸収性物品の長手方向に沿う一対の溝部を有し、前記吸収性コアの肌当接面側に表面シートが配されており、前記溝部に対応する前記表面シートの肌当接面側において、前記立体ギャザー部形成用シート及び前記撥水性フィルムが前記表面シートと前記吸収性物品の長手方向に沿って線状に接合されている<1>〜<17>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<19>前記吸収性コアが、前記吸収性物品の長手方向に沿う一対の溝部を有し、該溝部に対応する肌当接面側の位置に、前記内側立体ギャザー部の起立点が配されている<1>〜<18>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<20>前記撥水性フィルムは、前記内側立体ギャザー部及び前記外側立体ギャザー部のギャザー先端には至らない配置とされている<1>〜<19>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<21>前記撥水性フィルムは、前記内側立体ギャザー部及び前記外側立体ギャザー部のギャザー先端にある弾性部材を巻き込まず、その手前の配置とされている<1>〜<20>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<22>前記撥水性フィルムが前記吸収性コアの非肌当接面側に配される裏面シートの延出部分からなり、前記内側立体ギャザー部及び前記外側立体ギャザー部の形成部材である立体ギャザー部形成用シートが前記裏面シートの非肌当接面側に配される外包不織布シートの延出部分からなる<1>〜<21>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<23>前記撥水性フィルムが、前記内側立体ギャザー部及び前記外側立体ギャザー部における前記吸収性本体との対向面側と前記吸収性コアの非肌当接面側とを切れ目なく覆う<1>〜<22>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<24>前記撥水性フィルムが、前記吸収性コアの側部に対する防漏壁をなす<1>〜<23>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<25>前記内側立体ギャザー部及び外側立体ギャザー部の形成部材である立体ギャザー部形成用シートは、撥水性の不織布を用いてなる<1>〜<24>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<26>前記吸収性物品がパンツ型吸収性物品であって、前記腹側部をなす腹側帯と前記背側部をなす背側帯とを有し、前記腹側帯及び前記背側帯が外装体をなし、前記腹側帯と前記背側帯との間に前記吸収性本体を架け渡して股下部が形成され、前記腹側帯及び前記背側帯それぞれの両側縁部が接合されて胴回り開口部及び一対の足回り開口部が形成さている<1>〜<25>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<27>前記吸収性物品がパンツ型吸収性物品であって、前記股下部が括れ、前記腹側部及び前記背側部が幅広とされた縦長形状の外装体の肌当接面側に前記吸収性本体を配置し、前記外装体における前記腹側部及び前記背側部のそれぞれの両側縁部が接合されて胴回り開口部及び一対の足回り開口部が形成されている<1>〜<25>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<28>前記外装体を構成する前記腹側帯及び前記背側帯は、着用者肌面側の1層以上の内層シートと着用者非肌面側の外層シートとからなる<26>記載の吸収性物品。
<29>前記腹側帯及び前記背側帯は、環状外装体をなし、前記パンツ型吸収性物品の胴回り部を構成する<28>記載の吸収性物品。
<30>前記撥水性フィルムは、液難透過性で且つ水蒸気の透過性を有する多孔質フィルムである<1>〜<29>のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<31><1>〜<30>のいずれか1項に記載の吸収性物品の製造方法であって、
搬送される立体ギャザー部形成用連続シートの前記外側立体ギャザー部のギャザー先端予定位置を起点に、前記立体ギャザー部形成用連続シートを搬送方向に沿って谷折りし、前記外側立体ギャザー部のギャザー先端予定位置と該外側立体ギャザー部のギャザー先端予定位置よりも幅方向外方のシート側縁近傍にある前記内側立体ギャザー部のギャザー先端予定位置とにそれぞれ弾性部材を搬送方向に沿って配置する工程と、
前記立体ギャザー部形成用連続シートの前記弾性部材を配した面に対し、前記内側立体ギャザー部のギャザー先端予定位置より幅方向内方を前記撥水性連続シートで覆う工程と、
前記谷折り部分に前記弾性部材とともに前記撥水性連続シートを挟持し、線状接合部で接合して、前記外側シート積層部連続体を形成する工程と、
前記内側立体ギャザー部のギャザー先端予定位置を起点に、前記立体ギャザー部形成用連続シートを搬送方向に沿って折り返し、該折り返し部分に前記弾性部材とともに前記撥水性シートの端部を挟持し接合して、前記内側シート積層部連続体を形成する工程と、
前記線状接合部を起点に、前記内側シート積層部連続体を幅方向内方へと折り返す工程と
を備えた吸収性物品の製造方法。
【符号の説明】
【0063】
2 環状外装体
3 吸収性本体
31 表面シート
32 裏面シート
33 吸収性コア
4 内側立体ギャザー部
41 弾性部材
42 内側シート積層部
43 ギャザー先端
5 外側立体ギャザー部
51 弾性部材
52 外側シート積層部
53 ギャザー先端
6 立体ギャザー形成用シート
7 撥水性フィルム
8 線状接合部
10,90 パンツ型使い捨ておむつ
92 外装体
420 内側シート積層部連続体
520 外側シート積層部連続体
600 立体ギャザー形成用連続シート
700 撥水性連続シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8