特許第5964148号(P5964148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5964148
(24)【登録日】2016年7月8日
(45)【発行日】2016年8月3日
(54)【発明の名称】隧道内剛体電車線の支持装置
(51)【国際特許分類】
   B60M 1/12 20060101AFI20160721BHJP
【FI】
   B60M1/12 D
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-133782(P2012-133782)
(22)【出願日】2012年6月13日
(65)【公開番号】特開2013-256213(P2013-256213A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山川 盛実
(72)【発明者】
【氏名】小林 武弘
(72)【発明者】
【氏名】奈良場 勇人
【審査官】 武市 匡紘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−137811(JP,A)
【文献】 特開2008−030578(JP,A)
【文献】 特開平09−086228(JP,A)
【文献】 実開昭57−001734(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60M 1/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隧道の天井に碍子を介して剛体電車線を支持し、延線方向に相互間隔をおいて複数固定される剛体電車線支持装置であって、
前記碍子に結合され、カント角に応じて碍子に対して傾斜可能に前記剛体電車線を支持する角度調整機構を具備し、
前記角度調整機構は、前記碍子に結合される受け部材と、この受け部材に左右方向上下に相対角度変更可能に支持され、前記剛体電車線を支持する支持部材とを具備し、
前記受け部材は、前記碍子の下部にボルト止めされる取付部と、この取付部の下部に延線方向の軸線を有する円弧状上側面を有する半円柱状の下係合部とを具備し、
前記支持部材は、左右両側端部に剛体電車線の左右方向のフランジを着脱可能に支持する支持部と、前記受け部材の下係合部の円弧状上側面に沿う円弧状下側面を有し、前記受け部材上に左右方向上下の相対角度を変更可能に配置され、前記下係合部にボルト止めされる上係合部とを具備し、
前記下係合部の円弧状上側面又は前記上係合部の円弧状下側面の一方に半径方向に突出する軸線方向の突条を一又は周方向に複数備え、他方に前記突条に係合する軸線方向の係合溝を周方向に複数備え、カント角に応じて前記上係合部と下係合部との係合位置を適宜選択して位置決めされることを特徴とする隧道内剛体電車線支持装置。
【請求項2】
前記上係合部の円弧状上側面の頂部には、前記下係合部の相対位置を変更可能に固定するためのボルト挿通用長孔を具備することを特徴とする請求項1に記載の隧道内剛体電車線支持装置。
【請求項3】
前記支持部材には、前記受け部材の取付部を貫通させて下係合部を左右に跨ぐための開口を具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の隧道内剛体電車線支持装置。
【請求項4】
前記下係合部又は上係合部の一方には、傾斜角に対応する目盛りを備え、他方には目盛りを指示する指示マークを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の隧道内剛体電車線支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地下鉄の隧道等の天井に固定され、線路のカント角に応じて剛体電車線を角度調整可能に支持する隧道内剛体電車線の支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のずい道内剛体電車線のカント調整機構が知られている。これは、碍子を介して剛体電車線を吊り下げる吊架部材の上部を固定する載置部材と、その上方に位置する上方支持部材とを左右両側部の一対の調整ボルトを介して接続することにより、これらの調整ボルトが上方支持部材から載置部材を左右異なる上下位置で支持することにより載置部材の角度を変更して、カント角に応じた調整を行う。
また、特許文献2に記載の隧道内剛体電車線の支持装置が知られている。これは、天井に固定されるベースの下部に左右方向に間隔を置いて結合される一対の碍子にそれぞれ固定される受け部材と、この受け部材間にカント角に応じて角度調整可能に固定され、剛体電車線を支持する支持部材とを具備する。受け部材の延線方向端部には、取付状態における下方のトロリ線とほぼ同心となる円弧面を持つ支持部を備え、支持部材の両端部には受け部材の円弧面上に重なる円弧面を備え、支持部材の相対固定角度を円弧面の摺り合わせにより変更して、支持部材を受け部材にボルトで固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-086228号公報
【特許文献2】特開2008-030578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の隧道内剛体電車線のカント調整機構においては、碍子の上部に配置されるので、剛体電車線の傾き中心から離れ、カント角の微調整が容易でない。
また、上記剛体電車線の支持装置においては、剛体電車線の傾き中心に近い位置でカント角に対応する調整が可能であるが、受け部材と支持部材とを固定するボルトの締結によってカント角に対応する傾斜角に固定するため、このボルトのゆるみが発生すれば、受け部材と支持部材との位置がずれてカント角度に対応できなくなる。
そこで、この発明は、狭小な隧道内において、線路のカント角に応じて剛体電車線の支持角度を容易に調整でき、調整した傾斜角を長期にわたり維持する隧道内剛体電車線の支持装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明においては、上記課題を解決するため、隧道の天井に碍子3を介して剛体電車線21を支持し、延線方向に相互間隔をおいて複数固定される剛体電車線支持装置1であって、カント角に応じて碍子3に対して傾斜可能なに剛体電車線21を支持する角度調整機構4を具備させる。角度調整機構4は、碍子3に結合される受け部材5と、この受け部材5に左右方向上下に相対角度変更可能に支持され、剛体電車線21を支持する支持部材6とを具備させる。受け部材5は、碍子3の下部にボルト止めされる取付部9と、この取付部9の下部に延線方向の軸線を有する円弧状上側面12を有する半円柱状の下係合部10とを具備させる。支持部材6は、左右両側端部に剛体電車線21の左右方向のフランジ22aを着脱可能に支持する支持部と15、受け部材5の下係合部10の円弧状上側面12に沿う円弧状下側面16を有し、受け部材5上に左右方向上下の相対角度を変更可能に配置され、下係合部10にボルト19で締め止められる上係合部14とを具備し、下係合部10の円弧状上側面12又は上係合部14の円弧状下側面16の一方に半径方向に突出する軸線方向の突条13を一又は周方向に複数備え、他方に突条13に係合する軸線方向の係合溝17を周方向に複数備え、カント角に応じて上係合部14と下係合部10との係合位置を適宜選択して位置決めすることとする。
【発明の効果】
【0006】
この発明においては、碍子より下方位置で角度調整を行うので、天井からの規定絶縁距離を確保でき、可及的に天井に接近した位置で剛体電車線を線路のカント角に応じた支持角度の調整を容易に行うことができるし、係合突条が係合溝に係合することにより的確に位置決め調整できるので、調整作業が容易になるし、ボルトの弛みによっても容易に変位せず調整した支持角度を長期にわたり維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る支持装置の斜視図である。
図2図1の支持装置の正面図である。
図3図1の支持装置の側面図である。
図4図1の支持装置の図3のIV−IV断面図である。
図5】受け部材の斜視図である。
図6】支持部材の斜視図である。
図7】傾斜状態の支持装置の正面図である。
図8】角度調整機構の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
図1から図4において、支持装置1は、隧道の天井に電車線の延線方向に相互間隔をおいて複数固定され、剛体電車線21をカント角に応じて角度調整可能に支持する。剛体電車線21は、長尺の支持剛体22と、この支持剛体22の下縁間に把持されるトロリ線23とを具備する。支持剛体22は、上部のフランジ22aと、このフランジ22aから互いに間隔を置いて直角に延出する平行一対のウェブ22bと、これらのウェブ22bの下縁に沿ってトロリ線24の側面溝に係合する把持部22cと、一対のウェブ22b,22b間を締め付けるボルト22dとを有する長尺導体である。剛体電車線21は、支持剛体の上部フランジ22aにおいて支持装置1に固定される。
【0009】
支持装置1は、天井に固定される固定部材2と、この固定部材2の下部に碍子3を介して固定される角度調整機構4とを具備する。碍子3は、固定部材2の下方に垂設される。
【0010】
角度調整機構4は、碍子3に結合される受け部材5と、この受け部材5に延線方向両側(左右方向)上下に相対角度変更可能に支持される支持部材6と、支持部材6に取り付けられ剛体電車線21の上部を支持する支持金具7とを具備する。
【0011】
受け部材5は、図5図7に示すように、下面が平坦で上側面12が円弧状を有する半円柱状をなす下係合部10と、下係合部10の中央部から立ち上がる接続幹11と、碍子3の下端の固定片3aに対応して接続幹11の上端から左右両側に水平に張り出し固定片3aと共にボルト8a,ナット8bで締め付け固定される取付部9とを備えている。下係合部10の上側面12上には半径方向に突出した長手方向の突条13を円周方向に複数備えている。上側面12の頂部にはボルト20を挿通させるために平坦に形成され上下に貫通するボルト孔9aを有する。下係合部10の端面には頂部中央を指示するマーク10bを有する。
【0012】
支持部材6は、図6図7に示すように、受け部材5の下係合部10上に支持され、下係合部10に対して左右方向上下に相対角度を変更可能に取り付けられる。この支持部材6は、下係合部10を左右に跨ぐように上方に湾曲した上係合部14と、この上係合部14の左右両端側に水平に延出する板状の支持部15とを備えている。支持部材6の内側には、受け部材5の取付片11及び接続幹10を上下に貫通させる開口6aを有する。上係合部14は、下係合部10の上側面12に対応する円弧状の下側面16を有し、この下側面16に下係合部10の突条13が嵌合する長手方向の係合溝17が円周方向に等間隔に多数設けられている。上係合部14の頂部には、ボルト孔9aに対して一定範囲で相対位置を変更可能にボルト19を挿通させるためボルト挿通用長孔14aを有する。上係合部14の端面には、受け部材5に対する支持部材6の傾斜角を示す目盛り板14bが固定されている。支持部15の先端にはストッパ片15aが立ち上がっており、端縁の中間部にボルトを受け入れる挿通凹部15bが形成されている。係合溝17は、受け部材5上に支持部材6を配置すると、下係合部10の突条13に係合し、受け部材5に対して支持部材6を位置決めし、ずれることなく固定する。
【0013】
支持金具7は、剛体電車線21のフランジ22aを支持する。支持金具7は、支持部材6の両支持部15,15の下面にそれぞれ接合され、ボルト20で締め留められる取付板部7aと、取付板部7aから斜め下方へ延出し、上部に上下方向の段差を介して支持部材6との間に隙間を置くようにほぼ水平に張り出す載置部7bとを有する。取付板部7aの外側端縁には、ストッパ片15aの外側面に当接する保持片7cが立ち上がっている。取付板部7aにはボルト20を貫通させる挿通孔を有する。
【0014】
この支持装置1においては、隧道の天井から固定部材2を介して取り付けた碍子3の固定片3aに、支持部材6の開口6aを貫通させた受け部材5の取付片9を重ね、ボルト8a,ナット8bで締め付けて固定する。この状態で、受け部材5の下係合部10上に支持部材6の上係合部14が載せ置かれ支持される。支持部材6は、下係合部10に対して上係合部14が左右方向上下に傾斜配置可能で、トロリ線24のカント角に応じて目盛板14bにマーク10bを合わせることにより傾斜位置を調整でき、調整位置の突条13を係合溝17に係合させることにより位置決めされ、ボルト19を締め込んで固定できる。こうすれば、支持部材6と共に傾斜した支持金具7により、カント角に対応して剛体電車線21を傾斜させて支持できる。
【符号の説明】
【0015】
1 支持装置
3 碍子
4 角度調整機構
5 受け部材
6 支持部材
7 支持金具
9 取付部
10 下係合部
12 円弧状上側面
13 突条
14 上係合部
15 支持部
16 円弧状下側面
17 係合溝
19 ボルト
21 剛体電車線
22 支持剛体
23 トロリ線
22a フランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8